(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2017130993
(43)【公開日】20170727
(54)【発明の名称】制御回路、制御回路を有するバッテリ残量表示ユニット、車両、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60L 3/00 20060101AFI20170630BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20170630BHJP
   G01R 31/36 20060101ALI20170630BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20170630BHJP
   B60K 37/00 20060101ALI20170630BHJP
   G01R 1/08 20060101ALI20170630BHJP
【FI】
   !B60L3/00 S
   !H02J7/00 X
   !G01R31/36 E
   !H01M10/48 P
   !H01M10/48 301
   !B60K37/00 Z
   !G01R1/08 Z
   !H02J7/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【全頁数】27
(21)【出願番号】2016007077
(22)【出願日】20160118
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
【住所又は居所】静岡県磐田市新貝2500番地
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100139930
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮司
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【弁理士】
【氏名又は名称】梶谷 美道
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】藤代 雅也
【住所又は居所】静岡県磐田市新貝2500番地 ヤマハ発動機株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】華 鶴
【住所又は居所】静岡県磐田市新貝2500番地 ヤマハ発動機株式会社内
【テーマコード(参考)】
2G216
3D344
5G503
5H030
5H125
【Fターム(参考)】
2G216AB01
2G216BA13
2G216BA17
2G216BA42
2G216CB32
2G216CB55
2G216CD01
3D344AA19
3D344AB00
3D344AD13
5G503BB01
5G503EA05
5H030AS08
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
5H125AA01
5H125AB03
5H125AC12
5H125AC24
5H125BC08
5H125BC18
5H125CC01
5H125CD01
5H125CD02
5H125EE22
5H125EE23
5H125EE25
5H125EE27
5H125EE48
5H125EE51
(57)【要約】
【課題】バッテリ残量を、処理負荷が比較的少なく、より高い精度で表示する。
【解決手段】制御回路は、バッテリを有する車両に搭載されて、バッテリに蓄えられたエネルギーの残量を示す残量情報を取得し、取得した残量情報をバッテリ残量表示ユニットに設けられた、連続的に運動する指針を駆動させるために出力する。当該制御回路は、バッテリの実電圧値の情報を受け取るインタフェースと、バッテリに蓄えられたエネルギー量に応じて定義される3つ以上の区分の各々に、電圧の上限値を設定し、受け取った実電圧値が上限値以上の場合には上限値を指針電圧値として設定し、指針電圧値を利用して残量情報を取得する処理回路とを備えている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリを有する車両に搭載されて、前記バッテリに蓄えられたエネルギーの残量を示す残量情報を取得し、取得した前記残量情報をバッテリ残量表示ユニットに設けられた、連続的に運動する指針を駆動させるために出力する制御回路であって、
前記バッテリの実電圧値の情報を受け取るインタフェースと、
前記バッテリに蓄えられたエネルギー量に応じて定義される3つ以上の区分の各々に、電圧の上限値を設定し、受け取った前記実電圧値が前記上限値以上の場合には前記上限値を指針電圧値として設定し、前記指針電圧値を利用して前記残量情報を取得する処理回路と
を備えた制御回路。
【請求項2】
前記処理回路は、前記バッテリの実電圧値を利用して現在の区分を特定し、受け取った前記実電圧値が、前記現在の区分に設定された前記上限値未満の場合には、前記実電圧値を前記指針電圧値として設定する、請求項1に記載の制御回路。
【請求項3】
前記処理回路は、前記3つ以上の区分の各々に、前記実電流値に応じて変化する電圧の上限値を設定する、請求項1または2に記載の制御回路。
【請求項4】
前記処理回路は、前記3つ以上の区分の各々に、前記実電流値が相対的に大きいほど相対的に小さい電圧の上限値を設定する、請求項3に記載の制御回路。
【請求項5】
前記処理回路は、前記3つ以上の区分の各々について設けられた、前記実電流値と前記電圧の上限値との関係を示すテーブル、または関数を利用して、前記実電流値に応じて変化する前記電圧の上限値を設定する、請求項3または4に記載の制御回路。
【請求項6】
前記処理回路は、前記実電圧値を利用して現在の区分を特定し、特定された前記現在の区分について前記テーブルに前記実電流値と同じ値が記述されていないときは、前記テーブルに記述された少なくとも2つの電流値と前記実電流値との関係を利用して、前記少なくとも2つの電流値に対応する少なくとも2つの電圧の上限値から、前記現在の電流値に対応する電圧の上限値を算出する、請求項5に記載の制御回路。
【請求項7】
前記インタフェースは、さらに前記バッテリの現在の温度に対応する温度値を受け取り、
前記処理回路は、前記3つ以上の区分の各々に、前記温度値および前記実電流値に応じて変化する電圧の上限値を設定する、請求項3から6のいずれかに記載の制御回路。
【請求項8】
前記処理回路は、前記3つ以上の区分の各々に、前記温度値が相対的に低いほど相対的に小さい電圧の上限値を設定する、請求項7に記載の制御回路。
【請求項9】
前記処理回路は、前記3つ以上の区分の各々について設けられた、前記実電流値と前記現在の温度値と前記電圧の上限値との関係を示すテーブル、または関数を利用して、前記現在の電流値および前記現在の温度値から求めた前記電圧の上限値を設定する、請求項7または8に記載の制御回路。
【請求項10】
前記処理回路は、前記電圧値を利用して現在の区分を特定し、特定された前記現在の区分について前記テーブルに前記現在の温度値と同じ値および前記実電流値と同じ値が記述されていないときは、前記テーブルに記述された少なくとも2つの温度値に対応する、前記現在の電流値と前記電圧の上限値との関係を示す補間情報を算出し、さらに、前記補間情報から得られる少なくとも2つの電流値と前記現在の電流値との関係を利用して、前記少なくとも2つの電流値に対応する少なくとも2つの電圧の上限値から、前記現在の電流値に対応する電圧の上限値を補間する、請求項9に記載の制御回路。
【請求項11】
前記インタフェースは、所定の時間が経過した後、再度、前記バッテリの実電圧値および実電流値の情報を受け取り、
前記処理回路は、再度受け取った前記実電圧値を利用して現在の区分を更新し、前記区分が変化したときは、変化後の区分に対応する電圧の上限値を設定する、請求項1から10のいずれかに記載の制御回路。
【請求項12】
前記処理回路は、前記バッテリのエネルギーの消費量が予め定められた基準を超える度に、前記電圧の上限値を段階的に減少させる、請求項11に記載の制御回路。
【請求項13】
前記エネルギーの消費量は、前記車両の走行距離、走行時間、前記バッテリの電流の消費量のいずれかの積算値を利用して決定される、請求項12に記載の制御回路。
【請求項14】
前記区分が変化したときは、所定の条件が満たされない限り、以前の区分への変更を禁止する、請求項11から13のいずれかに記載の制御回路。
【請求項15】
前記所定の条件は、前記車両のメインスイッチが一旦オフされることである、請求項14に記載の制御回路。
【請求項16】
請求項1から15のいずれかに記載の制御回路と、
指針と、
前記制御回路から前記残量情報を受け取って、前記残量情報に基づいて前記指針を
連続的に運動させる駆動機構と
を備えたバッテリ残量表示ユニット。
【請求項17】
請求項1から15のいずれかに記載の制御回路と、
指針および駆動機構を有するバッテリ残量表示ユニットであって、前記駆動機構は前記制御回路から前記残量情報を受け取って、前記残量情報に基づいて前記指針を連続的に運動させる、バッテリ残量表示ユニットと
を備えた車両。
【請求項18】
請求項16に記載のバッテリ残量表示ユニットと、
前記バッテリと、
前記バッテリから供給される電力で駆動されるモータと
を備えた車両。
【請求項19】
前記バッテリは鉛蓄電池である、請求項18に記載の車両。
【請求項20】
前記バッテリは、各々が蓄電可能な複数のバッテリブロックを有する、請求項19に記載の車両。
【請求項21】
制御回路に設けられた処理回路によって実行されるコンピュータプログラムであって、
前記制御回路は、バッテリを有する車両に搭載されて、前記バッテリに蓄えられたエネルギーの残量を示す残量情報を取得し、取得した前記残量情報をバッテリ残量表示ユニットに設けられた、連続的に運動する指針を駆動させるために出力する回路であり、
前記コンピュータプログラムは前記処理回路に、
前記バッテリの実電圧値の情報を受け取らせる処理と、
前記バッテリに蓄えられたエネルギー量に応じて定義される3つ以上の区分の各々に、電圧の上限値を設定する処理と、
受け取った前記実電圧値が前記上限値以上の場合には前記上限値を指針電圧値として設定する処理と、
前記指針電圧値を利用して前記残量情報を取得する処理と
を実行させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指針式のバッテリ残量表示ユニットにおいてバッテリ残量を表示するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電動車両の普及が進みつつある。電動車両は、バッテリに蓄えられた電気を駆動力に変換して推進力を得る車量である。
【0003】
電動車両の中には、メータユニット内に指針式のバッテリ残量表示ユニットを有するものが存在する。指針式のバッテリ残量表示ユニットは、連続的に変化する指針を用いてバッテリ残量を表示する。乗車者は、指針の位置からバッテリ残量、換言すれば電動車両の動作可能時間を知ることが可能になる。
【0004】
最も簡単な電池残量表示手法として電圧計の計測値を表示する方法が考えられる。しかしながらこの方法では、バッテリ残量が同じであっても、バッテリ残量計の指針の位置が大きく変動することがあり得る。たとえばバッテリ温度の高低や路面負荷条件の有無などによっては、バッテリ残量が同じであっても、指針の位置が大きく変動し得る。残量表示精度の更なる改善が求められる。
【0005】
特許文献1は指針式バッテリ残量表示装置を開示する。特許文献1では、実電圧と、放電電流マップおよび残容量マップから算出された推定電流値と、に基づいて推定電力量が求められ、推定電力量を満充電量から減算することでバッテリ残量を算出している。バッテリ残量が80%以上のときは指針がフルゾーンを示すように制御され、20%以下のときは指針がレッドゾーンを示すように制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−239290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、まず推定電流値を求め、さらに推定電流値を利用した推定電力量を演算する必要がある。さらに、バッテリの残量決定のために、種々の情報(放電量等)が必要である。つまり、特許文献1ではバッテリの残量を求めるためには複雑な処理を必要とする。
【0008】
本発明の目的の一つは、バッテリ残量を、処理負荷が比較的少なく、より高い精度で表示するための方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の例示的な実施形態にかかる制御回路は、バッテリを有する車両に搭載されて、前記バッテリに蓄えられたエネルギーの残量を示す残量情報を取得し、取得した前記残量情報をバッテリ残量表示ユニットに設けられた、連続的に運動する指針を駆動させるために出力する制御回路であって、前記バッテリの実電圧値の情報を受け取るインタフェースと、前記バッテリに蓄えられたエネルギー量に応じて定義される3つ以上の区分の各々に、電圧の上限値を設定し、受け取った前記実電圧値が前記上限値以上の場合には前記上限値を指針電圧値として設定し、前記指針電圧値を利用して前記残量情報を取得する処理回路とを備えている。
【0010】
ある実施の形態において、前記処理回路は、前記バッテリの実電圧値を利用して現在の区分を特定し、受け取った前記実電圧値が、前記現在の区分に設定された前記上限値未満の場合には、前記実電圧値を前記指針電圧値として設定してもよい。
【0011】
ある実施の形態において、前記処理回路は、前記3つ以上の区分の各々に、前記実電流値に応じて変化する電圧の上限値を設定してもよい。
【0012】
ある実施の形態において、前記処理回路は、前記3つ以上の区分の各々に、前記実電流値が相対的に大きいほど相対的に小さい電圧の上限値を設定してもよい。
【0013】
ある実施の形態において、前記処理回路は、前記3つ以上の区分の各々について設けられた、前記実電流値と前記電圧の上限値との関係を示すテーブル、または関数を利用して、前記実電流値に応じて変化する前記電圧の上限値を設定してもよい。
【0014】
ある実施の形態において、前記処理回路は、前記実電圧値を利用して現在の区分を特定し、特定された前記現在の区分について前記テーブルに前記実電流値と同じ値が記述されていないときは、前記テーブルに記述された少なくとも2つの電流値と前記実電流値との関係を利用して、前記少なくとも2つの電流値に対応する少なくとも2つの電圧の上限値から、前記現在の電流値に対応する電圧の上限値を算出してもよい。
【0015】
ある実施の形態において、前記インタフェースは、さらに前記バッテリの現在の温度に対応する温度値を受け取り、前記処理回路は、前記3つ以上の区分の各々に、前記温度値および前記実電流値に応じて変化する電圧の上限値を設定してもよい。
【0016】
ある実施の形態において、前記処理回路は、前記3つ以上の区分の各々に、前記温度値が相対的に低いほど相対的に小さい電圧の上限値を設定してもよい。
【0017】
ある実施の形態において、前記処理回路は、前記3つ以上の区分の各々について設けられた、前記実電流値と前記現在の温度値と前記電圧の上限値との関係を示すテーブル、または関数を利用して、前記現在の電流値および前記現在の温度値から求めた前記電圧の上限値を設定してもよい。
【0018】
ある実施の形態において、前記処理回路は、前記電圧値を利用して現在の区分を特定し、特定された前記現在の区分について前記テーブルに前記現在の温度値と同じ値および前記実電流値と同じ値が記述されていないときは、前記テーブルに記述された少なくとも2つの温度値に対応する、前記現在の電流値と前記電圧の上限値との関係を示す補間情報を算出し、さらに、前記補間情報から得られる少なくとも2つの電流値と前記現在の電流値との関係を利用して、前記少なくとも2つの電流値に対応する少なくとも2つの電圧の上限値から、前記現在の電流値に対応する電圧の上限値を補間してもよい。
【0019】
ある実施の形態において、前記インタフェースは、所定の時間が経過した後、再度、前記バッテリの実電圧値および実電流値の情報を受け取り、前記処理回路は、再度受け取った前記実電圧値を利用して現在の区分を更新し、前記区分が変化したときは、変化後の区分に対応する電圧の上限値を設定してもよい。
【0020】
ある実施の形態において、前記処理回路は、前記バッテリのエネルギーの消費量が予め定められた基準を超える度に、前記電圧の上限値を段階的に減少させてもよい。
【0021】
ある実施の形態において、前記エネルギーの消費量は、前記車両の走行距離、走行時間、前記バッテリの電流の消費量のいずれかの積算値を利用して決定される。
【0022】
ある実施の形態において、前記区分が変化したときは、所定の条件が満たされない限り、以前の区分への変更を禁止してもよい。
【0023】
ある実施の形態において、前記所定の条件は、前記車両のメインスイッチが一旦オフされることであってもよい。
【0024】
本発明の例示的な実施形態によれば、バッテリ残量表示ユニットは、上述したいずれかに記載の制御回路と、指針と、前記制御回路から前記残量情報を受け取って、前記残量情報に基づいて前記指針を連続的に運動させる駆動機構とを備えている。
【0025】
本発明の例示的な実施形態によれば、車両は、上述のいずれかに記載の制御回路と、指針および駆動機構を有するバッテリ残量表示ユニットとを備えている。当該バッテリ残量表示ユニットは、前記駆動機構は前記制御回路から前記残量情報を受け取って、前記残量情報に基づいて前記指針を連続的に運動させる。
【0026】
ある実施の形態において、車両は、上述のバッテリ残量表示ユニットと、前記バッテリと、前記バッテリから供給される電力で駆動されるモータとを備えている。
【0027】
ある実施の形態において、前記バッテリは鉛蓄電池であってもよい。
【0028】
ある実施の形態において、前記バッテリは、各々が蓄電可能な複数のバッテリブロックを有していてもよい。
【0029】
本発明の例示的な実施形態によれば、制御回路に設けられた処理回路によって実行されるコンピュータプログラムであって、前記制御回路は、バッテリを有する車両に搭載されて、前記バッテリに蓄えられたエネルギーの残量を示す残量情報を取得し、取得した前記残量情報をバッテリ残量表示ユニットに設けられた、連続的に運動する指針を駆動させるために出力する回路であり、前記コンピュータプログラムは前記処理回路に、前記バッテリの実電圧値の情報を受け取らせる処理と、前記バッテリに蓄えられたエネルギー量に応じて定義される3つ以上の区分の各々に、電圧の上限値を設定する処理と、受け取った前記実電圧値が前記上限値以上の場合には前記上限値を指針電圧値として設定する処理と、前記指針電圧値を利用して前記残量情報を取得する処理とを実行させる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の例示的な実施形態によれば、バッテリに蓄えられたエネルギー量に応じて定義される3つ以上の区分の各々に、電圧の上限値を設定し、受け取った実電圧値が上限値以上の場合には上限値を現在の電圧値として設定し、現在の電圧値を利用して前記残量情報を取得する。バッテリの実電圧値が、バッテリに蓄積された電気エネルギー以上の値を示す場合には、実電圧値ではなく上限値が現在の電圧値として設定されて残量情報が取得される。これにより、バッテリに蓄積された電気エネルギー以上の振れ幅で指針が残量を指し示すことがなくなる。3つ以上の区分の各々に、電圧の上限値を設定すればよいので、処理負荷は比較的少なく、かつ高い精度で残量を表示することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の例示的な実施形態にかかるスクーター型の電動二輪車1の外観構成を示す側面図である。
【図2】電動二輪車1が備える電気回路を模式的に示す図である。
【図3】メータユニット55の外観を模式的に示す図である。
【図4】主として、バッテリ30からメータユニット55までの情報の流れを模式的に示す図である。
【図5】メータユニット55のハードウェア構造を示す図である。
【図6】従来から行われている指針制御動作におけるバッテリの残量とバッテリ電圧値との関係を示す図である。
【図7】残量=L1、L2、L3における指針82の振れ幅を模式的に示す図である。
【図8】残量に6つの区分を設定し、各区分に上限値を設定したときの、バッテリの残量と指針電圧値との関係を示す図である。
【図9】残量=L1、L2、L3における指針82の振れ幅を模式的に示す図である。
【図10A】車両の電源投入時に決定される6つの区分と、各区分を規定する条件のテーブル100を示す図である。
【図10B】区分と残量との関係を模式的に示す図である。
【図11A】車両走行時の区分切替処理のためのテーブル101−1を示す図である。
【図11B】他の例による車両走行時の区分切替処理のためのテーブル101−2を示す図である。
【図12】車両走行時の区分切替処理に利用される関数群102を示す図である。
【図13】バッテリ残量表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】指針電圧値の決定処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【図15】区分の遷移を伴う指針電圧値Vmの決定処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【図16】実施形態2にかかる、バッテリの残量と指針82の位置との関係を示す図である。
【図17】図16に示す二点鎖線の円で囲んだ部分の拡大図である。
【図18】実施形態2にかかる指針電圧値Vmの決定処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【図19】図16に示す指針電圧値Vmの他の例を示す図である。
【図20】バッテリ30の温度条件によって異なる電圧カーブを示す図である。
【図21A】バッテリ30の温度が0℃のときの区分切替処理に利用される関数群202Aを示す図である。
【図21B】バッテリ30の温度が25℃のときの区分切替処理に利用される関数群202Bを示す図である。
【図22】2つの温度に関する関数から、任意の温度の関数を生成するための方法の概念を示す図である。
【図23】第1の変形例にかかるバッテリ残量表示処理のための構成例を示す図である。
【図24】第2の変形例にかかるバッテリ残量表示処理のための構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付の図面を参照しながら、電動車両のためのバッテリ残量表示技術を説明する。
【0033】
本明細書では、電動車両の実施形態としてスクーター型の電動二輪車を挙げて説明する。ただしこれは一例に過ぎない。スクーター型以外の電動二輪車であってもよいし、電動三輪車等の3つ以上の車輪を有する電動車両であってもよい。以下の実施形態は例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0034】
本明細書では、複数の実施形態を説明する。いずれの実施形態も、スクーター型の電動二輪車である。そこで、各実施形態の説明に先立ち、電動二輪車の構成を説明する。そして各実施形態の具体的な内容として、それぞれのバッテリ残量表示処理の詳細を説明する。
【0035】
図1は、本発明の例示的な実施形態にかかるスクーター型の電動二輪車1の外観構成を示す側面図である。
【0036】
以下の説明では特に断らない限り、前および後は、それぞれ電動二輪車の乗員から見た前および後を意味するとする。図面に付した符号F、Reは、それぞれ前、後を表す。実施形態の説明においては、同様の構成要素には同様の参照符号を付し、重複する場合にはその説明を省略する。
【0037】
図1に示すように、電動二輪車1は、車体10と、ステアリングハンドル12と、前輪14と、後輪16と、電動モータ20と、シート26とを備えている。
【0038】
車体10は、車体フレームと車体カバーを含む構造を有する。車体10には、フロントフォーク22が支持されている。フロントフォーク22の上部には、ステアリングハンドル12が取り付けられている。フロントフォーク22の下端部には前輪14が支持されている。
【0039】
後輪16および電動モータ20は、スイングアーム24により車体10に揺動可能に支持されている。この例では、駆動輪は後輪16であり、従動輪は前輪14である。電動モータ20の回転が後輪16に伝達されることにより、電動二輪車1は走行する。
【0040】
前輪14および後輪16の間における車体10の下部には、乗員が足を置く足乗せ部28が設けられている。足乗せ部28の下方には、バッテリ30が搭載される。バッテリ30はたとえば鉛蓄電池である。バッテリ30の出力電圧は例えば60Vである。バッテリの出力電圧は一例であり、別の値であってもよい。例えば、36V、48V、72V等であってもよい。バッテリの出力電圧は、たとえば1つ当たり12Vのバッテリブロックを複数直列に接続することによって調整し得る。電動モータ20は、バッテリ30から供給される電力に応じて駆動される。
【0041】
ステアリングハンドル12の周りには、電装品として、ヘッドライト53、電子スロットル54、メータユニット55が配置されている。ヘッドライト53は、電動二輪車1の前方を照らす光を放射する。乗員は電子スロットル54を操作することで電動モータ20の回転数を調整する。メータユニット55には、走行速度、バッテリ残量、運転モード等の各種情報が表示される。車体10の後部には、後続車両に自身の存在を知らせるためのテールライト56が配置されている。
【0042】
バッテリ30から供給される電力は、ハーネス32および端子台41を介して、たとえばモータ制御ユニット(以下「MCU」と記述する。)42、ブレーカ43、DC/DCコンバータ44、アラーム46に供給される。バッテリ30の充電は、充電口45に充電用コネクタを接続することによって行われる。
【0043】
次に、図1および図2を参照しながら、電動二輪車1内部の電気回路を説明する。図2は、電動二輪車1が備える電気回路を模式的に示す図である。なお、説明を分かり易くするために、図2では端子台41を省略している。
【0044】
メインスイッチ49は、乗員の操作に応じて電動二輪車1の電源のオン・オフを切り替える。バッテリ30から出力された電力は、ブレーカ43を介して、MCU42に供給される。ブレーカ43は、過負荷や短絡などの要因で回路に異常な過電流が流れたときにバッテリ30からの電力供給を遮断する。また、ブレーカ43には乗員が操作可能なスイッチが設けられており、電動二輪車1を長期間使用しない等のときは、そのスイッチをオフにしておくことで、バッテリ30からの電力供給をオフにすることができる。
【0045】
MCU42は、電動モータ20の動作を制御するとともに、電動二輪車1の各部の動作を制御する。MCU42は、マイクロコンピュータと、電動二輪車1の各部の動作を制御するための手順を規定したコンピュータプログラムを格納したメモリ等を備える。また、MCU42は、電動二輪車1の各部の動作を制御するための電子部品を備える。
【0046】
MCU42は、外部から情報を受け取るための端子群40を備えている。端子群40をインタフェースと呼ぶこともある。MCU42は、端子群40を介して、電圧計60、電流計61および温度センサ62から、電圧値、電流値および温度の情報を取得する。電圧計60は、バッテリ30の両端電圧の値(電圧値)を測定する。電流計61は、バッテリ30から流れる電流の値(電流値)を測定する。温度センサ62はバッテリ30の温度を測定する。
【0047】
DC/DCコンバータ44は、回路上におけるバッテリ30と上述の電装品との間に位置し、バッテリ30の出力電圧を降圧して出力する。例えば、DC/DCコンバータ44は、バッテリ30の出力電圧60Vを12Vに下げて電装品へ出力する。MCU42は、DC/DCコンバータ44の出力電圧をモニターし、DC/DCコンバータ44の故障等によりDC/DCコンバータ44の出力電圧が異常値になった場合は、リレースイッチ48をオフにして、バッテリ30の出力電圧がDC/DCコンバータ44に供給されないようにする。DC/DCコンバータ44の故障時は電装品への電力供給を遮断することで、低電圧(例えば12V)で動作する電装品に高電圧の電流が流れることを防止することができる。
【0048】
充電口45は、バッテリ30の充電に用いられる。外部の充電器のコネクタが充電口45に接続されることにより、バッテリ30に電力が供給されて充電される。充電口45には雨や埃の侵入および漏電を防止するカバーが設けられていてもよい。この例では、バッテリ30の充電の制御はMCU42が行う。バッテリ30と充電口45との間にはダイオード47が設けられており、このダイオード47により、充電時に電流が逆流することを防止したり、充電口からの外部への漏電を防止したりすることができる。
【0049】
アラーム46は、盗難防止アラームであり、電動二輪車1の駐輪中に作動する。アラーム46は、振動等の異常を検出すると、音および/または光を発して周囲へ異常を知らせる。
【0050】
図3は、メータユニット55の外観を模式的に示す。メータユニット55は、大きく2つの部分に分けることができる。すなわち、メータユニット55は、速度表示ユニット70およびバッテリ残量表示ユニット80を有している。
【0051】
速度表示ユニット70は、速度情報を受け取り、その速度情報によって示される速度に対応した位置に指針72を移動させることにより、現在の車速を表示することができる。
【0052】
バッテリ残量表示ユニット80は、MCU42によって生成された残量情報を受け取り、残量情報によって示される速度に対応した位置に指針82を移動させることにより、バッテリ30に蓄えられた電気の残量またはその程度を表示することができる。一般には、指針82が「H」の位置を指す場合には残量は100%であり、指針82が「L」の位置を指す場合には残量は0%である。また、指針82が、「H」から「L」へ向かう1/4円の中間点の位置を指す場合には残量は50%である。
【0053】
図4は、主として、バッテリ30からメータユニット55までの情報の流れを模式的に示す。MCU42は、インタフェース40と、演算処理回路68と、メモリ69とを有している。
【0054】
MCU42は、インタフェース40を介してバッテリ30の電圧値、電流値、および温度値を取得する。MCU42は、取得したそれらの値から、後述する処理によって残量情報を生成する。後述する全ての処理、典型的にはフローチャートによって記述される一連の処理、はコンピュータプログラムとして記述され得る。そのようなコンピュータプログラムは、メモリ69に格納され、演算処理回路68によって実行される。またMCU42は、他のインタフェースを介して、前輪14の回転数に比例したパルス信号を受け取り、パルス信号から速度情報を生成する。
【0055】
図5は、メータユニット55のハードウェア構造を示す。メータユニット55は、上述した速度表示ユニット70およびバッテリ残量表示ユニット80と、モータ制御回路84と、モータ駆動回路86と、モータ78および88と、を有している。
【0056】
モータ制御回路84は、MCU42から残量情報および速度情報を受け取り、各々の情報に対応するパルス信号をモータ駆動回路86に送る。モータ駆動回路86は、モータ78および88を駆動するために流す電流の大きさ、位相等を制御する。指針72および82はモータ駆動回路86から供給された電流に基づいてモータ78および88を動作させ、指針72および82を駆動させる。
【0057】
なお、本実施形態では、速度表示ユニット70のモータ78、およびバッテリ残量表示ユニット80のモータ88を駆動するためのモータ制御回路84およびモータ駆動回路86を共通化しているが、これは一例である。速度表示ユニット70のモータ78、およびバッテリ残量表示ユニット80の各々に、独立してモータ制御回路およびモータ駆動回路を設けてもよい。さらに、モータを利用することは必須ではなく、他の方法を採用してもよい。
【0058】
次に、本実施形態にかかるバッテリ残量表示ユニット80の指針制御動作を説明する。
【0059】
まず、これまでの一般的な指針制御動作を説明し、その後、本実施形態にかかる指針制御動作を説明する。指針制御動作は、典型的にはMCU42の動作である。なお、説明の便宜上、図3に示すバッテリ残量表示ユニット80の指針82を参照する。
【0060】
図6は、従来から行われている指針制御動作におけるバッテリの残量とバッテリ電圧値との関係を示す。横軸が残量を示し、縦軸がバッテリ電圧値を示す。
【0061】
バッテリの残量の「1.0」は充電が完了した状態(バッテリフル状態)を示し、「0.0」は充電されていた電気エネルギーが枯渇したと見なし得る状態(バッテリエンプティ状態)を表す。「1.0」から「0.0」までの間は、充電完了時の電気量に対する、現在の電気量との比を表している。なお、残量は、たとえばバッテリの現在の電圧値と、充電が完了したと判断された時点でのバッテリの電圧値との比を求めることによって計算される。ただし、この計算方法は一例であり、他の計算方法を用いてもよい。
【0062】
指針82の位置の「1.0」および「0.0」はそれぞれ、バッテリ残量表示ユニット80(図3)の「H」の位置および「L」の位置に対応する。「1.0」から「0.0」までの間は、指針82が、「H」の位置を基準とした、「H」から「L」へ向かう1/4円上の位置に対応する。
【0063】
図6に示されるように、残量が低下してきた状況下でも、指針82が大きく振れていることが理解される。これは、バッテリの温度、走行時の路面負荷条件等に起因してバッテリ電圧値が変動するためである。
【0064】
いま、例として、残量が、L1、L2、L3における指針82の振れを検討する。残量=L1、L2、L3は、図6に示されているとおり、概ねL1=0.48、L2=0.3、L3=0.08である。
【0065】
図7は、残量=L1、L2、L3における指針82の振れ幅を模式的に示す。
【0066】
残量=L1のとき、指針82は、概ね0.5から1.0の間を変動している。また、残量=L2のとき、指針82は、概ね0.26から1.0の間を変動している。L1=0.48、L2=0.3であるにもかかわらず、いずれの例でも指針82がバッテリフル状態を示すことがある。つまり、残量が半分以下であっても、指針82はバッテリフル状態を示すことがある。
【0067】
残量=L3のときは、指針82は、概ね0.0から0.7の間を変動している。L3=0.08であるから、指針82の位置が0.7にあることは、指針82は実際よりも多い充電量を指し示していることになる。
【0068】
従来例では、バッテリ実電圧値に応じて指針が振れるため、簡素な構成でバッテリ残量を表示することができる。しかし、上述の例から理解されるように、指針の動きが大きいため、乗車者は、ある程度の時間乗車して指針の振れの中心位置を把握しなければ、おおよその残量を知ることができない。さらに、指針の動きが大きいため、乗車者にとってはバッテリ30の残量が急変したと感じられる。そのため、指針の動作精度を改善する余地が存在する。
【0069】
(実施形態1)
本実施形態の指針制御では、残量に複数の区分を設定し、区分ごとに電圧の上限値を設定した。バッテリ30の現在の電圧値(実電圧値)が上限値よりも低い場合には、モータ制御回路は実電圧値を利用してモータ駆動回路を制御する。一方、バッテリ30の現在の電圧値(実電圧値)が上限値よりも高い場合には、モータ制御回路は当該上限値を利用しモータ駆動回路を制御する。つまり、実電圧値が何らかの理由で上限値を超えた場合には、モータ制御回路はその実電圧値を利用せずに上限値を利用してモータ駆動回路を制御するため、モータ駆動回路は上限値以上に指針82を駆動することはない。
【0070】
図8は、残量に6つの区分を設定し、各区分に上限値を設定したときの、バッテリの残量と指針電圧値との関係を示す。参考のため、区分の境界を破線によって示し、また区分番号も上部に示している。
【0071】
「指針電圧値」とは、後述する処理によって求められる、指針82の位置に直接対応する電圧値である。「指針電圧値」は、図6に示されるような、単にバッテリ30の実電圧値を示すのではなく、各区分の実電圧値が上限値以上になった場合には、上限値によってクリップされた値を示す。そのため、指針82の位置は、上限値に対応する位置よりも多い位置に振れることはなくなる。残量が低下するにつれて、区分が変更され、変更後の区分に応じた上限値が設定される。
【0072】
図6と同様に、残量=L1、L2、L3における指針82の振れを検討する。図9は、残量=L1、L2、L3における指針82の振れ幅を模式的に示す。図7と比較すると、指針82の振れ幅は所定の幅に収まっている。たとえば図7および図9において、残量=L2のときの振れ幅を比較すると、図9の方が振れ幅は狭い。これにより、実際には残量が半分程度まで減少しているにもかかわらず、残量が100%近くである、という指針表示を回避できる。
【0073】
なお、たとえば図8の区分5に関し、区分4との境界部分に注目する。境界部分に近付くと、区分5内の波形が上限値よりも低い値を取る機会が多くなる。そのため、指針82の振れが上限値によってクリップされるだけでなく、指針82が低い残量を示す位置を示す機会も多くなる。区分5と区分4との境界部分には、そのような、上限値に対応する位置と、低い残量を示す位置との間で振動が発生する状況が現れている。
【0074】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0075】
本実施形態では、バッテリ30の充電率に関して3つ以上の区分が定義される。以下では区分数は6であるとする。
【0076】
区分は、まず初めに車両の動作開始時に決定される。その後、バッテリ30に蓄積された電気エネルギーが消費されるにつれて、区分は変化する。一般には、車両が走行することにより、区分は高い方から低い方へと変動し得る。
【0077】
以下では、車両の動作開始時に決定される区分と、その後、電気エネルギーが消費されるにつれて変化する区分とを説明する。
【0078】
図10Aは、車両の電源投入時に決定される6つの区分と、各区分を規定する条件のテーブル100を示す。各区分はバッテリ残量に応じて定められる。残量は、開放電圧によって決定され得る。開放電圧とは、無負荷時の、バッテリ30の内部が平衡状態にあるときの電圧である。本実施形態では、開放電圧は、車両の電源投入直後に計測されたバッテリ30の実電圧値として得られる。図10Bは、区分と残量との関係を模式的に示す。
【0079】
なお、図10Aおよび図10Bにおいて、区分の境界値のうち、低い方の境界値はその区分には含まないとする。たとえば、残量が70%以下で、かつ45%より多い場合、すなわち開放電圧がV5以下で、かつV4より大きい場合には、残量は区分4に分類される。残量が45%の場合には、残量は区分3に分類される。
【0080】
次に、車両走行時の区分切替処理を説明する。
【0081】
図11Aは、車両走行時の区分切替処理のためのテーブル101−1を示す。
【0082】
テーブル101−1には、区分が変遷したか否かの判断に利用される区分切替電圧値Vchが記述されている。テーブル101−1の最も左の欄に表記されている、区分(X+1)→区分X(X:0から5の整数)は、区分(X+1)から区分Xに遷移することを意味する。バッテリ30の実電圧値が、現在の区分における区分切替電圧値Vch以下になったとき、区分が切り替わる。このように、現在の区分および実電圧値に基づいて、区分が切り替えられるか否かを決定し得る。
【0083】
上述の実電圧値は、バッテリ30で利用されている実電流値の大きさの影響を受ける。そこで電流値をも考慮して区分の切り替わりを判断すると、より指針82の動作の精度を高めることができる。
【0084】
図11Bは、車両走行時の区分切替処理のためのテーブル101−2を示す。
【0085】
本実施形態では、電圧値と電流値とを利用して区分が判定される。テーブル101−2では、電流値がA1、A2、A3およびA4の各々の場合において、区分を切り替える電圧値(区分切替電圧値)が記述されている。
【0086】
たとえば、現在の区分が5、電流値がA1、実電圧値がVであるとする。このとき、区分、電流値に基づいて枠101aの値V51が参照される。V>V51であれば、区分は5のまま維持される。V≦V51であれば、区分は4に切り替えられる。他の例として、現在の区分が2、電流値がA3、実電圧値がVであるとする。このとき、区分、電流値に基づいて枠101bの値V23が参照され、V>V23であれば、区分は2のまま維持される。V≦V23であれば、区分は1に切り替えられる。
【0087】
このように、現在の区分、電流値および電圧値に基づいて、区分が切り替えられるか否かを決定し得る。
【0088】
ただし、電流値は連続的に変化し得るため、図11Bのテーブルに記述された特定の値以外の値を取り得る。以下、連続的に変化し得る電流値の対応策を説明する。
【0089】
対応策の一つとして、実電圧値が上述のテーブル101−2に記述されていないときは、テーブル101−2に記述された少なくとも2つの電流値と実電流値との関係を利用して、少なくとも2つの電流値に対応する少なくとも2つの電圧の上限値から、実電流値に対応する電圧の上限値を算出する、という方法である。テーブル101−2において、実電流値Arに最も近い、テーブル101−2上の2つの電流値At1、At2を特定する。たとえばAt1<Ar<At2とする。電流値At1に対応する電圧値Vt1と、電流値At2に対応する電圧値Vt2とを用いると、求めるべき電圧値Vrは、(At2−Ar):(Ar−At1)=(Vt2−Vr):(Vr−Vt1)の式から求めることができる。
【0090】
他の対応策は、予め、テーブル101−2を拡張した関数群を求めておく方法である。
【0091】
図12は、車両走行時の区分切替処理に利用される関数群102を示す。図12には5本の折れ線が記載されている。先の図11Bの説明に倣うと、上から順に「区分5→区分4」、「区分4→区分3」、「区分3→区分2」、「区分2→区分1」、「区分1→区分0」に対応する区分切替電圧値Vchを規定している。具体的には以下のとおりである。
実線:区分5から区分4への遷移を判定するための区分切替電圧値Vchの関数
細かい鎖線:区分4から区分3への遷移を判定するための区分切替電圧値Vchの関数
粗い鎖線:区分3から区分2への遷移を判定するための区分切替電圧値Vchの関数
一点鎖線:区分2から区分1への遷移を判定するための区分切替電圧値Vchの関数
二点鎖線:区分1から区分0への遷移を判定するための区分切替電圧値Vchの関数
【0092】
電流値A1〜A4の各々に対応する関数群102の各々の上に、黒点(「●」)が設けられている。これらは、図11Bに示す各テーブルの値に対応する。図11Bのテーブル101−2を関数に拡張するために、各テーブル値の間は補間により求められる。いま、図11Bの最上位の実線上の4つの黒点に注目する。電流値A1とA2との間の区分切替電圧値Vchは、電流値A1における区分切替電圧値V51と、電流値A2における区分切替電圧値V52とを直線補間して求められる。この例では、電流値Aと電圧値Vとの座標系を考えたときにおける、座標(A1,V51)と座標(A2,V52)とを結ぶ直線が、電流値A1とA2との間の区分切替電圧値Vchを規定する関数になる。電流値A2とA3との間、電流値A3とA4との間の各区分切替電圧値Vchについても同様である。このような補完処理により、図11Bの最上位の折れ線が得られている。残りの4本の折れ線についても同様である。
【0093】
なお、本実施形態では、電流値A3からA4の間は実質的に平坦になるよう設定されている。電流値A3からA4の間は相対的に大きな電流が消費されることを意味しており、そのような大電流の消費は一時的であって、実用領域として連続的に使用されることはないためである。
【0094】
なお、図12の各区分切替電圧値を示す関数のプロファイルは一例であって、他のプロファイルを採用することができる。たとえば、直線補間は一例であり、曲線による補間を行い、一部または全部が曲線であるプロファイルを採用してもよい。電流値の範囲は、車両に搭載される電気機器の消費電流に基づいて定めればよい。関数は数式として保持されてもよいし、電流計61の検出精度に対応する電流値と電圧値とを対応付けたテーブルとして保持されてもよい。以下、本明細書では、上述したテーブル101−2および関数群102の各々を総称して「電流・電圧マップ」と呼ぶことがある。上述の通り、本明細書では主として関数群102を利用する態様を説明するため、以下では「電流・電圧マップ102」と記述し、関数群102の一部または全部の関数を指すとする。
【0095】
本実施形態では、図12のような電流・電圧マップを予め用意しておくことにより、想定される範囲内の任意の電流値と、現在の区分とに基づいて、区分切替電圧値Vchを設定することができる。
【0096】
次に、MCU42によるバッテリ残量表示処理を説明する。以下では、処理を実行する主体をMCU42であるとして説明するが、より具体的には、図4に示す通り、メモリ69に格納されたコンピュータプログラムを実行した演算処理回路68である。
【0097】
図13は、バッテリ残量表示処理の手順を示すフローチャートである。
【0098】
ステップS1において、MCU42は、電圧計60(図2)から、メインスイッチON時に計測された電圧値を取得する。上述のとおり、この電圧値は開放電圧である。
【0099】
ステップS2において、MCU42は、図10Aに示すテーブルを参照して、取得した実電圧値に応じてバッテリ30の残量の区分を決定する。なお、取得した実電圧値が変動することを踏まえると、常にその時点での実電圧値のみを参照すると表示精度が低下するおそれがある。そのため、実電圧値を30秒から40秒の間、継続的に取得し、それらの実電圧値が同じ区分を示している場合に、その区分をバッテリ30の残量の区分として採用すればよい。
【0100】
ステップS3において、MCU42は、残量の区分に応じて指針電圧値の決定処理を行う。この処理の詳細は、次に説明する図14または図15に示される。指針電圧値の決定処理が行われた後は、走行時に取得された電圧値を利用して、ステップS2およびS3が継続的に実行される。つまり、走行時の電圧値に応じて、ステップS2において区分が改めて決定され、その区分に従って指針電圧値の決定処理が行われる。
【0101】
図14は、指針電圧値の決定処理の詳細な手順を示すフローチャートである。図14では、区分の変更がない、つまり特定の区分内での具体的な処理を示している。
【0102】
図14の詳細な説明に先立ち、以下で使用される用語および記号を説明する。
「実電圧値V」:電圧計60(図2)から得られた現在の電圧値
「実電流値I」:電流計61(図2)から得られた現在の電流値
「比較基準電圧値Vref」:処理の時点における区分切替電圧値Vchが代入された変数。区分切替電圧値Vchは、処理が行われる時点で特定される、バッテリ30の残量の区分に対応して設定される。
「指針電圧値Vm」:現在のバッテリ30の残量として、バッテリ残量表示ユニット80(図3)の指針82を駆動させるための電圧値
「←」:代入を表す記号である。たとえば「A←B」は、Bの値をAに代入することを表す。
【0103】
ステップS11において、MCU42は区分が0か否かを判定する。区分が0のとき、すなわちバッテリ30が放電停止状態にあるとき、処理はステップS12に進む。0以外のときは、処理はステップS13に進む。
【0104】
ステップS12において、MCU42は、指針電圧値Vmに、一定値Vconstを代入する。一定値Vconstは、たとえば図3において、残量が0に相当する「L」の位置に対応する電圧値である。
【0105】
ステップS13において、MCU42は、残量の区分に応じた電流・電圧マップ102を設定する。「設定」とは、MCU42が、図12の関数群102の中から、現在の残量の区分に対応する関数をそのメモリ(図示せず)に読み込むことを言う。たとえば、現在の区分が5のとき、MCU42は図12の最も上に位置する関数(数式またはテーブル)を読み込む。
【0106】
ステップS14において、MCU42は、実電圧値Vおよび実電流値Iを取得する。
【0107】
ステップS15において、MCU42は、電流・電圧マップ102を参照して、現在の区分および実電流値Iに対応する区分切替電圧値Vchを特定する。
【0108】
ステップS16において、MCU42は、比較基準電圧値Vrefに、その時点での区分切替電圧値Vchを代入する。
【0109】
ステップS17において、MCU42は、比較基準電圧値Vrefが、実電圧値V以下か否かを判定する。比較基準電圧値Vrefが実電圧値V以下でない場合には、処理はステップS18に進み、以下の場合には、処理はステップS19に進む。
【0110】
ステップS18において、MCU42は、実電圧値Vを指針電圧値Vmに代入する。
【0111】
ステップS19において、MCU42は、比較基準電圧値Vrefを指針電圧値Vmに代入する。
【0112】
ステップS20において、MCU42は、指針電圧値Vmを残量情報として出力する。この残量情報は、この残量情報はメータユニット55に送られ、バッテリ残量表示ユニット80の指針82の駆動に利用される。
【0113】
上述のステップS17、S19、S20の一連の処理は、指針82が振れる上限を、実電圧値Vではなく、それよりも低い比較基準電圧値Vrefによって制限することを意味する。実電圧値Vは路面負荷条件等に依存して、バッテリ30の本来の残量に応じた電圧値よりも高い値を示し得る。実電圧値Vに代えて、現在の残量に対応する区分毎に決定される区分切替電圧値Vch(=比較基準電圧値Vref)を採用し、指針電圧値Vmに設定する。これにより、図7に示すような、指針82が、量L2(約30%)であるのにバッテリフルまで振れることはなくなり、図9の残量L2として示される振れ幅程度に制限することができる。
【0114】
次に、区分の遷移を伴うときの指針電圧値Vmの決定処理を説明する。
【0115】
図15は、区分の遷移を伴う指針電圧値Vmの決定処理の詳細な手順を示すフローチャートである。図15は、図13のステップS3の詳細な処理を表しており、図14のフローチャートに代えて採用され得る。図15のフローチャートが図14とフローチャートと相違する点は、図15にはステップS21が存在することである。
【0116】
ステップS21は、MCU42が、区分が変更されたか否かを判定する処理である。区分が変更された場合には処理はステップS13に進み、変更されていない場合には処理はステップS17に進む。
【0117】
ステップS21の処理を、順序に沿ってより詳細に説明する。説明の便宜上、区分は2以上であるとする。
【0118】
図13のステップS1およびS2を経て、MCU42は、最初の区分を決定する。最初の区分を決定したときは、区分の変更はないため、MCU42は、図15のステップS21の次にステップS17を実行する。その後、MCU42は、ステップS18またはS19を実行し、ステップS20を実行して終了する。処理は再び図13のステップS2に戻る。
【0119】
MCU42は、2回目のステップS2の実行時に、実電圧値Vを取得し、実電圧値Vに応じて、バッテリ30の残量の区分を設定する。このとき、区分が一つ下に遷移したとする。
【0120】
2回目に図15のステップS21を実行したとき、MCU42は、ステップS13〜S16の処理を実行することになる。たとえばステップS13では、MCU42は、新たに遷移した区分に応じた電流・電圧マップ102を設定することになる。また、ステップS16では、MCU42は、比較基準電圧値Vrefを、遷移後の区分に応じた区分切替電圧値Vchに更新する。更新後の区分切替電圧値Vchは、その前の区分切替電圧値Vchよりも小さい。区分の遷移が発生した場合には、比較基準電圧値Vrefが都度低く設定される。これにより、図8に示すような、区分が小さくなるにつれて階段状に低くなる上限値が設定によって、指針82の振れ幅が制限されることになる。
【0121】
本実施形態の処理によれば、実電流値および実電圧値を利用して、簡易な処理によって指針82の振幅の振れの上限を設けるため、バッテリ残量を、処理負荷が比較的少なく、より高い精度で表示することが可能になる。
【0122】
(実施形態2)
実施形態1では、区分が変わると上限値に対応する区分切替電圧値Vchが即座に切り替わり、結果として、図8に示すような形状で振れ幅が制御されていた。このような制御は、切り替わった区分切替電圧値Vchが比較基準電圧値Vrefとして設定され上限値として利用されることにより実現されていた。
【0123】
本実施形態では、比較基準電圧値Vrefを即座に新たな区分切替電圧値Vchに更新するのではなく、同じ区分内で、比較基準電圧値Vrefを徐々に小さくすることとした。
【0124】
図16は、本実施形態にかかる、バッテリの残量と指針82の位置との関係を示す。1つの区分内で、振れ幅の上限が段階的に減少していることが理解される。
【0125】
図17は、図16に示す二点鎖線の円で囲んだ部分の拡大図である。
【0126】
区分6の区分切替電圧値Vchから区分5の区分切替電圧値Vchまでは、上限が所定値αごとに下がっていることが理解される。本実施形態では、所定値αは、たとえば0.5〜1Vの範囲で定め得る。
【0127】
上限が所定値αだけ下がるまでの、残量の変化量が「Β」によって示されている。「Β」は、後述の、予め定められた電気エネルギーの消費量βに対応する。
【0128】
図17の例から明らかなように、MCU42は、バッテリ30の電流積算値(電気エネルギーの消費量)が予め定められた基準を超える度に、上限値として機能する区分切替電圧値を段階的に減少させる。
【0129】
以下、図18を参照しながら、図17の動作を実現するための処理の詳細を説明する。
【0130】
図18は、本実施形態にかかる指針電圧値Vmの決定処理の詳細な手順を示すフローチャートである。図18は、図15の処理の一部(破線枠内)の代替処理であり、その他は図15に示される処理と同じである。以下では、ステップS31〜S39の処理を説明する。図15と共通する処理については、図15の説明を援用し、ここではその説明を省略する。
【0131】
図18の詳細な説明に先立ち、以下で新たに使用される用語を説明する。
【0132】
電流積算値Aacc:バッテリ30から流れた電流量の積算値。なお本実施形態では、積算の対象は電流量であるとして説明するが、これは一例である。バッテリ30に蓄積された電気エネルギーの消費を示す物理量であれば、電流量に限られない。たとえば走行距離、走行時間、実電圧値の変化量でもよい。
【0133】
フラグF:電流量の積算を行うか否かを示すフラグ。本実施形態では、フラグ値が1のときは電流量の積算を行い、フラグ値が0のときは電流量の積算を行わない。
【0134】
まず、ステップS31およびS32の処理は、区分が変更されたとき(ステップS21で「Y」のとき)に行われる。ステップS31では、MCU42は、フラグFに1を代入するとともに、電流積算値Aaccに0を代入する。この処理により、電流量の積算が開始される。その後、ステップS13〜S15、およびS32の処理が行われる。
【0135】
ステップS32において、MCU42は、現在の比較基準電圧値Vrefからαだけ減じた値を、新たに比較基準電圧値Vrefとして設定する。この処理は、たとえば図17において、区分6の区分切替電圧値Vchから、1段分のαだけ下がった電圧値に相当する。その後、処理はステップS34に移行する。
【0136】
一方、ステップS21において、MCU42が、区分は変更されていないと判断すると、処理はステップS33に進む。
【0137】
ステップS33において、MCU42は、フラグFの値が1か否かを判定する。フラグF=1のときは、処理はステップS34にむ。フラグF=1でないときは、処理はステップS17(図15)に進む。
【0138】
ステップS34において、MCU42は、電流積算値Aaccを更新する。より具体的には、MCU42は、既存の電流積算値Aaccに差分電流量を加算して、加算結果を電流積算値Aaccに代入する。「差分電流量」は、電流積算値Aaccが最後に更新された時点からステップS34が行われた時点までに消費された電流量として求められる。
【0139】
ステップS35において、MCU42は、電流積算値Aaccが予め定められた電流量β以上になったか否かを判定する。電流積算値Aaccが予め定められた電流量β以上になった場合には処理はステップS36に進み、そうでない場合には処理はステップS17(図15)に進む。本実施形態では、予め定められた電流量βは、たとえば0.5〜1.5Ahであるとする。なお、図17で示されるように、この電流量βは、高さαの微小な階段部分のステップの幅と比例関係にある。
【0140】
電流積算値Aaccが予め定められた電流量β以上になった、ということは、図17において、新たに、1ステップ下がることを意味する。よって、新たに電流量を積算し直す必要がある。
【0141】
そこで、ステップS36において、MCU42は、電流積算値Aaccに0を代入する。つまり電流積算値Aaccをゼロクリアする。ステップS37において、MCU42は、現在の比較基準電圧値Vrefからαだけ減じた値を、新たに比較基準電圧値Vrefとして設定する。
【0142】
ステップS38において、MCU42は、新たな比較基準電圧値Vrefがその区分の区分切替電圧値Vch以下か否かを判定する。この処理は、αだけ減じられたことにより、新たな比較基準電圧値Vrefが区分切替電圧値Vch以下にならないことを担保するために行われる。比較基準電圧値Vrefがその区分の区分切替電圧値Vch以下の場合には処理はステップS39に進み、そうで無い場合には処理はステップS17(図15)に進む。
【0143】
ステップS39において、MCU42は、区分切替電圧値Vchを比較基準電圧値Vrefとして設定し、フラグFを0に設定する。図17の例において、この処理は、比較基準電圧値Vrefが「区分5のVch」として設定されたことを意味する。ステップS39の後、処理はステップS17(図15)に進む。
【0144】
電流積算値Aaccが所定の電流量βに達した都度、比較基準電圧値Vrefをαだけ小さくして上限値を下げる。実施形態1の例と比較すると、乗車者は、指針82により、バッテリ30の残量が徐々に低減していくことを認識でき、より高い精度でバッテリ30の残量を表現できる。
【0145】
図19は、図16に示す指針電圧値Vmの他の例を示す。図16の区分6ではバッテリ30の実電圧値は常に最大の指針電圧値Vmを指していた。これは、指針82が常に、図3の「H」を指し示していることを意味する。また、区分5の区分切替電圧値Vchにおいても指針電圧値Vmは一定であるため、指針82は同じ位置を指し示している。
【0146】
しかしながら、そのような状況は一例に過ぎない。図19に示されるように、全ての区分の全ての指針電圧値Vmが変動していてもよい。この例は、実電圧値の変動が比較的大きいことを意味する。たとえば、車両の運転モードとして、出力(パワー)を優先させる運転モード(「パワーモード」と呼ぶ。)が選択可能であるとする。パワーモードでは使用状況に応じて電力消費の変化が相対的に大きくなる。そのようなパワーモードが選択されて車両が走行する場合には、実電圧値Vが比較基準電圧値Vrefよりも小さくなり、指針電圧値Vmとして採用されるため、図19に示される状況が発生し得る。
【0147】
逆に、出力(パワー)を抑えて電力消費を少なくする運転モード(「エコモード」と呼ぶ。)では、実電圧値Vが比較基準電圧値Vref以上になる期間が長く、その結果、比較基準電圧値Vrefが指針電圧値Vmとして採用される機会が多くなる。その結果、指針82は、区分が変化したときに動くのみで、1以上の区間において振れることがなくなる場合もあり得る。
【0148】
ただし、いずれの例であっても、全ての区分において実電圧値Vが比較基準電圧値Vrefを以上のときは、比較基準電圧値Vrefが指針電圧値Vmとして採用され、上限が設けられることに留意されたい。
【0149】
実施形態1と同様、本実施形態の処理によっても、実電流値および実電圧値を利用して、簡易な処理によって指針82の振幅の振れの上限を設けるため、バッテリ残量を、処理負荷が比較的少なく、より高い精度で表示することが可能になる。
【0150】
(実施形態3)
実施形態1および2では、テーブル101−1(図11A)、テーブル101−2(図11B)および関数群102(図12)を用いて区分切替電圧値Vchを設定した。これらのうち、テーブル101−2および関数群102は、電流値と電圧値とを対応付けたテーブルまたは数式として表現されていた。本実施形態では、区分切替電圧値Vchが、電流値と電圧値に加え、温度に応じて決定される。すなわち、電圧の上限値が温度に応じて変更することとしている。
【0151】
図20は、バッテリ30の温度条件によって異なる電圧カーブを示す。図20では温度条件として0℃および25℃を設定し、その温度条件下での走行時の電圧変化を、包絡線によって示している。図20によれば、低温ほど走行時の電圧低下が大きいことが理解される。この相違は、バッテリ30の温度に応じて異なるバッテリ30の内部抵抗に起因している。
【0152】
図21Aは、バッテリ30の温度が0℃のときの区分切替処理に利用される関数群202Aを示す。また、図21Bは、バッテリ30の温度が25℃のときの区分切替処理に利用される関数群202Bを示す。いずれも、図12に対応している。
【0153】
図21Aおよび図21Bは、特定の温度についての2種類の関数群である。そこで、当該2種類の関数群を用いて、任意の温度の関数群を生成してもよい。実施形態1では任意の電流に対応するために補間処理を行う例を説明した。本実施形態においても、任意の温度に対応するための例を説明する。最も簡単な例として、比を用いる方法を説明する。
【0154】
図22は、2つの温度に関する関数から、任意の温度の関数を生成するための方法の概念を示す。いま、Q℃の関数群を求めることを考える。以下では区分5の関数を生成する方法のみを説明する。
【0155】
Q℃における区分5の関数として、図21Aの関数群202Aから関数202A−5、および図21Bの関数群202Bから関数202B−5を利用する。
【0156】
いま、Q℃で、かつ電流値A0における区分切替電圧値Vch_Cを求めるとする。区分切替電圧値Vch_Cは、比例関係を利用して以下の式によって求められる。
Vch_C= (Vch_A) + Q{(Vch_B)−(Vch_A)}/25
ここで、(Vch_A)は、関数202A−5における電流値A0における区分切替電圧値を表す。また(Vch_B)は、関数202B−5における電流値A0における区分切替電圧値を表す。
【0157】
上述の式によれば、MCU42は、温度センサ62からバッテリ30の温度値を取得し、電流計61から実電流値を取得することにより、予め用意された少なくとも2種類の関数群から、その温度およびその実電流値における区分切替電圧値を求めることができる。全ての温度および電流値に関して予め区分切替電圧値を求めて保持しておいてもよいし、温度および実電流値に基づいて、都度計算を行って区分切替電圧値を求めてもよい。後者の例では、少なくとも2種類の関数群を保持しておくメモリ容量を確保するだけでよい。また、上述の演算は比較的簡易であり、計算負荷は多くない。よって計算機資源のコスト増加を防ぐことができる。ただしいずれの場合も、実施形態1および2での称呼と同様、「電流・電圧・温度マップ」と呼ぶことができる。
【0158】
任意の温度および電流値における区分切替電圧値が求めた後は、MCU42は、実施形態1または2のいずれかの処理を行ってバッテリ30の残量表示を行えばよい。それらの処理の説明は省略する。
【0159】
本実施形態の処理によれば、実電流値、実電圧値および温度値を利用して、簡易な処理によって指針82の振幅の振れの上限を設けるため、バッテリ残量を、処理負荷が比較的少なく、より高い精度で表示することが可能になる。
【0160】
以上、本発明の実施形態1〜3を説明した。以下、変形例を説明する。
【0161】
(変形例)
図23は、第1の変形例にかかるバッテリ残量表示処理のための構成例を示す。理解の便宜のため、図4に記載された構成要素と同じ機能を有する構成要素には同じ参照符号を付している。
【0162】
図23の例では、バッテリ残量表示処理は、MCU42に代えて、メータユニット55に設けられるメータ制御回路120の演算処理回路(マイコン)68によって行われる。これは、実施形態1および2に関しては電流値および電圧値、実施形態3に関してはさらに温度値を取得できさえすれば、その後の処理を実行する主体は、MCU42に限られないことを意味している。
【0163】
なお、図23では、電流値、電圧値および温度値は、MCU42を介して、メータ制御回路120のインタフェース40に送られているが、MCU42を介することは必須ではない。
【0164】
図23の構成によれば、商品として流通し得るメータユニット55のみで、本発明によるバッテリ残量表示処理を実現できる。
【0165】
図24は、第2の変形例にかかるバッテリ残量表示処理のための構成例を示す。本変形例では、メータユニット55が、画像生成回路130と、表示装置140とを備えている。
【0166】
これまでの例では、指針82は物理的に設けられた部品であった。図24に示すメータユニット55では、指針82は画像生成回路130によって生成された画像オブジェクトとして、表示装置140に表示される。たとえば、図3はメータユニット55として表示された画像である。指針72および82は速度およびバッテリ30の残量に応じて動く画像オブジェクトである。表示装置140は、たとえば液晶、有機EL、電子ペーパ等の表示パネルを採用した表示装置である。
【0167】
第3の変形例として、区分が低い方から高い方へ変化するための条件を設けてもよい。ここでいう、区分が低い方から高い方への変化、とは、たとえば区分4から区分5への変化を言う。
【0168】
実施形態1の冒頭において簡単に説明したように、回生によるバッテリ30の充電や、充電口45を利用するバッテリ30への充電により、実電圧値が回復する場合があり得る。このような例は、バッテリ30の温度や路面負荷条件等に起因する変動とは異なるが、MCU42としてそれらの状況を逐一判断することは処理負荷が増大する一因となる。
【0169】
そこで、MCU42は、所定の条件が満たされない限り、低い区分から高い区分への変動を制限してもよい。所定の条件として、たとえば、車両のメインスイッチ49(図2)が一旦オフされた場合には、MCU42は、現在の区分を、より高い区分に設定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0170】
本発明は、たとえば指針式のバッテリ残量表示ユニットにおいてバッテリ残量を表示するために利用することができる。本発明の例示的な実施形態によれば、バッテリ残量表示ユニットの外部からバッテリ残量の指令値を送信して指針を駆動してもよいし、バッテリ残量表示ユニットにおいてバッテリ残量を求め指針を駆動してもよい。
【符号の説明】
【0171】
1 電動二輪車(車両)
30 バッテリ
40 インタフェース
42 MCU
55 メータユニット
68 演算処理回路
69 メモリ
70 速度表示ユニット
72 指針(速度表示用)
78 モータ
80 バッテリ残量表示ユニット
82 指針(バッテリ残量表示用)
84 モータ制御回路
86 モータ駆動回路
88 モータ
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図22】
【図23】
【図24】