(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2019125463
(43)【公開日】20190725
(54)【発明の名称】端子の固定構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/38 20060101AFI20190704BHJP
   H01R 11/12 20060101ALI20190704BHJP
【FI】
   !H01R4/38 B
   !H01R11/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】2018004511
(22)【出願日】20180115
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
【住所又は居所】東京都渋谷区恵比寿一丁目20番8号
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】特許業務法人青海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】粕谷 侑司
【住所又は居所】東京都渋谷区恵比寿一丁目20番8号 株式会社SUBARU内
【テーマコード(参考)】
5E012
【Fターム(参考)】
5E012BA12
5E012BA33
(57)【要約】
【課題】複数の端子を共締めする際の作業性を向上させる。
【解決手段】端子の固定構造1では、積層された複数の端子(組み合わせ端子100および組み合わせ端子200)を挟んでベース部300とは反対側に端子ケース部400が配置される。端子ケース部400には、側壁部430が設けられている。側壁部430における積層方向の先端430aは、積層された複数の端子のうちの、最もベース部300側に位置する端子(組み合わせ端子200)における端子ケース部400側の上面の位置Uと、最もベース部300側に位置する端子(組み合わせ端子200)におけるベース部300との接触面の位置Dとの間の範囲HA内に位置する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線が接続され、電気接触部が平板状の複数の端子と、
積層された前記複数の端子の積層方向の一方側に配置されるベース部と、
積層された前記複数の端子を挟んで前記ベース部とは反対側に配置されて前記複数の端子を被覆する端子ケース部と、
前記複数の端子および前記端子ケース部を前記ベース部に締結する締結部と、
を備え、
前記端子ケース部は、積層された前記複数の端子の側面を被覆する側壁部を有し、
前記側壁部における前記積層方向の先端は、積層された前記複数の端子のうちの、最も前記ベース部側に位置する端子における前記端子ケース部側の上面の位置と、最も前記ベース部側に位置する端子における前記ベース部との接触面の位置との間の範囲内に位置する端子の固定構造。
【請求項2】
前記複数の端子は、厚さが最も厚い端子が、最も前記ベース部側に配置されて積層される請求項1に記載の端子の固定構造。
【請求項3】
前記複数の端子のうちの少なくとも1つの端子は、前記複数の端子が積層されて互いに固定された組み合わせ端子である請求項1または2に記載の端子の固定構造。
【請求項4】
前記複数の端子のうちの最も前記端子ケース部側に位置する端子は、前記複数の端子が積層されて互いに固定された組み合わせ端子であり、
前記組み合わせ端子は、
電線圧着部の先端から電線圧着部の長手方向に交差する方向の一方に偏って電気接触部が設けられた第1種端子と、
電線圧着部の先端から電線圧着部の長手方向に交差する方向の他方に偏って電気接触部が設けられた第2種端子と、を有し、
前記端子ケース部は、前記組み合わせ端子に対向する内壁面に、前記第1種端子の電気接触部と前記第2種端子の電気接触部とが積層されることで並べられた前記第1種端子の電線圧着部と前記第2種端子の電線圧着部との間の段差に対応する段差部を有する請求項1から3のいずれか1項に記載の端子の固定構造。
【請求項5】
前記端子ケース部は、前記複数の端子に接続される電線を含むワイヤーハーネスを収容するハーネスケースに固定される請求項1から4のいずれか1項に記載の端子の固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線が接続される端子の固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に搭載されるワイヤーハーネスを構成する電線が接続された複数の端子を、共通のボルトで共締めすることがある。例えば、特許文献1には、2枚のアース端子を固定台に重ねて1つのボルトで共締めする技術が開示されている。特許文献1では、アース端子を固定位置に保持するガイド突起が、固定台から突出して設けられている。特許文献1では、2枚のアース端子が個別に移動することをガイド突起によって抑制することができるため、共締め作業性をよくすることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−65894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のガイド突起では、2枚のアース端子が固定台から離れる方向へ移動することを抑制することができない。複数の端子の共締め作業の際には、固定台から離れる方向および固定台に平行な方向のいずれの方向についても、アース端子が個別に移動することを抑制することが望まれる。
【0005】
そこで、本発明は、複数の端子を共締めする際の作業性を向上させることが可能な端子の固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の端子の固定構造は、電線が接続され、電気接触部が平板状の複数の端子と、積層された複数の端子の積層方向の一方側に配置されるベース部と、積層された複数の端子を挟んでベース部とは反対側に配置されて複数の端子を被覆する端子ケース部と、複数の端子および端子ケース部をベース部に締結する締結部と、を備え、端子ケース部は、積層された複数の端子の側面を被覆する側壁部を有し、側壁部における積層方向の先端は、積層された複数の端子のうちの、最もベース部側に位置する端子における端子ケース部側の上面の位置と、最もベース部側に位置する端子におけるベース部との接触面の位置との間の範囲内に位置する。
【0007】
複数の端子は、厚さが最も厚い端子が、最もベース部側に配置されて積層されてもよい。
【0008】
複数の端子のうちの少なくとも1つの端子は、複数の端子が積層されて互いに固定された組み合わせ端子であってもよい。
【0009】
複数の端子のうちの最も端子ケース部側に位置する端子は、複数の端子が積層されて互いに固定された組み合わせ端子であり、組み合わせ端子は、電線圧着部の先端から電線圧着部の長手方向に交差する方向の一方に偏って電気接触部が設けられた第1種端子と、電線圧着部の先端から電線圧着部の長手方向に交差する方向の他方に偏って電気接触部が設けられた第2種端子と、を有し、端子ケース部は、組み合わせ端子に対向する内壁面に、第1種端子の電気接触部と第2種端子の電気接触部とが積層されることで並べられた第1種端子の電線圧着部と第2種端子の電線圧着部との間の段差に対応する段差部を有してもよい。
【0010】
端子ケース部は、複数の端子に接続される電線を含むワイヤーハーネスを収容するハーネスケースに固定されてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の端子を共締めする際の作業性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態による端子の固定構造を示す斜視図である。
【図2】端子の固定構造を示す透視側面図である。
【図3】第1種端子の構成を示す平面図である。
【図4】第2種端子の構成を示す平面図である。
【図5】2個組の組み合わせ端子の構成を示す平面図である。
【図6】2個組の組み合わせ端子の構成を示す側面図である。
【図7】第1種中間端子の構成を示す図である。
【図8】第2種中間端子の構成を示す図である。
【図9】4個組の組み合わせ端子の構成を示す側面図である。
【図10】端子ケース部の構成を示す底面図である。
【図11】端子ケース部の内壁面の構成を示す底面図である。
【図12】図11における白抜き矢印XIIの方向から端子ケース部を見たときの側面図である。
【図13】カラー部付近の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0014】
図1は、本実施形態による端子の固定構造1を示す斜視図である。図2は、端子の固定構造1を示す透視側面図である。端子の固定構造1は、組み合わせ端子100、組み合わせ端子200、ベース部300、端子ケース部400、締結部500、を含んで構成される。
【0015】
端子の固定構造1は、複数の端子(ここでは、組み合わせ端子100および組み合わせ端子200)および端子ケース部400を、締結部500による共締めによってベース部300に固定する構造である。端子の固定構造1は、例えば、車両に搭載されるワイヤーハーネスを構成する電線に接続される端子を固定する際に適用される。
【0016】
組み合わせ端子100は、1個の第1種端子110と、1個の第2種端子120とを組み合わせて構成される。また、組み合わせ端子200は、1個の第1種端子110と、1個の第2種端子120と、1個の第1種中間端子160と、1個の第2種中間端子170とを組み合わせて構成される。なお、組み合わせ端子100を2個組の組み合わせ端子100と呼ぶことがあり、組み合わせ端子200を4個組の組み合わせ端子200と呼ぶことがある。
【0017】
図3は、第1種端子110の構成を示す平面図である。第1種端子110は、電線圧着部111および電気接触部112を含んで構成される。電線圧着部111は、側面が開いた略筒状に形成されている。電線圧着部111の一端には、略平板状の電気接触部112が連続して設けられている。電線圧着部111には、電気接触部112とは反対側から電線140が挿入される。挿入された電線140は、圧着工具によって電線圧着部111に圧着される。電線圧着部111に圧着される電線140は、例えば、アース線である。
【0018】
電線圧着部111は、電気接触部112に対して、電線圧着部111の長手方向(図3中、上下方向)に交差(直交)する方向の一方(図3中の右方向)に偏って設けられている。換言すると、第1種端子110は、略q字状に形成されている。
【0019】
電気接触部112には、電線圧着部111の長手方向に交差する方向の電線圧着部111側(図3中の右側)に、電気接触部112の表面の一部が裏面方向に窪む窪み部113が設けられている。また、電気接触部112には、電線圧着部111の長手方向に交差する方向の電線圧着部111とは反対側(図3中の左側)に、電線圧着部111側(図3中の右側)に窪む窪み部114が2箇所設けられている。この2箇所の窪み部114の間には、窪み部114に対して相対的に突出する突出部115が形成される。突出部115は、窪み部113と同様に、裏面方向に窪んでいる。また、電気接触部112の中央付近には、電気接触部112を貫通する穴部116が形成されている。
【0020】
図4は、第2種端子120の構成を示す平面図である。第2種端子120は、電線圧着部121および電気接触部122を含んで構成される。電線圧着部121は、側面が開いた略筒状に形成されている。電線圧着部121の一端には、略平板状の電気接触部122が連続して設けられている。電線圧着部121には、電気接触部122とは反対側から電線140が挿入される。挿入された電線140は、圧着工具によって電線圧着部121に圧着される。電線圧着部121に圧着される電線140は、例えば、アース線である。
【0021】
電線圧着部121は、電気接触部122に対して、電線圧着部121の長手方向(図4中、上下方向)に交差(直交)する方向の他方(図4中の左方向)に偏って設けられている。換言すると、第2種端子120は、略p字状に形成されている。
【0022】
電気接触部122には、電線圧着部121の長手方向に交差する方向の電線圧着部121側(図4中の左側)に、電気接触部122の裏面の一部が表面方向に突出する突出部123が設けられている。また、電気接触部122には、電線圧着部121の長手方向に交差する方向の電線圧着部121とは反対側(図4中の右側)に、電線圧着部121側(図4中の左側)に窪む窪み部124が2箇所設けられている。この2箇所の窪み部124の間には、窪み部124に対して相対的に突出する突出部125が形成される。突出部125は、突出部123と同様に、表面方向に突出している。また、電気接触部122の中央付近には、電気接触部122を貫通する穴部126が形成されている。このように、第1種端子110と第2種端子120とは、概ね左右対称に構成されている。
【0023】
図5は、2個組の組み合わせ端子100の構成を示す平面図である。図6は、2個組の組み合わせ端子100の構成を示す側面図である。組み合わせ端子100は、第2種端子120の電気接触部122の表面上に第1種端子110の電気接触部112が積層されて構成される。より詳細には、第1種端子110の電気接触部112が、第2種端子120の電気接触部122に対して図5の右方向にずらされた状態で重ねられる。その状態で、第1種端子110の電気接触部112が、第2種端子120の電気接触部122に対して図5の左方向に横移動される。これにより、第1種端子110の突出部115が、第2種端子120の突出部123の裏面側に組み合わされるとともに、第2種端子120の突出部125が、第1種端子110の窪み部113の表面側に組み合わされる。このようにして、第1種端子110および第2種端子120は、互いに固定される。また、第1種端子110の穴部116と、第2種端子120の穴部126とが重ねられることで、第1種端子110および第2種端子120の両方を貫通する端子穴150が形成される。つまり、組み合わせ端子100は、第1種端子110と第2種端子120とが組み合わされることで、1個の端子として機能する。
【0024】
電気接触部112と電気接触部122とが積層されると、電線圧着部111および電線圧着部121は、電気接触部112、122に対して同方向(図5中の下方向)に配置される。電線圧着部111の長手方向と電線圧着部121の長手方向とは、概ね揃えられる。電線圧着部111および電線圧着部121は、電線圧着部111の長手方向(電線圧着部121の長手方向)に交差する方向(図5中の左右方向)に並べられる。そして、図6に示すように、電線圧着部111の上端部117と電線圧着部121の上端部127との間には、段差HSが生じる。
【0025】
図7は、第1種中間端子160の構成を示す図である。図7(a)は、第1種中間端子160の平面図であり、図7(b)は、第1種中間端子160の右側面図であり、図7(c)は、第1種中間端子160の背面図であり、図7(d)は、第1種中間端子160の左側面図である。
【0026】
第1種中間端子160は、側面が開いた略筒状の電線圧着部161と、電線圧着部161の一端から連続して設けられる略平板状の電気接触部162とを含んで構成される。電線圧着部161は、電線140が挿入されて圧着される。電線圧着部161は、電気接触部162に対して、電線圧着部161の長手方向に交差(直交)する方向の一方(図7中の右方向)に偏って設けられている。換言すると、第1種中間端子160は、正面から見て、略q字状に形成されている。
【0027】
電気接触部162は、平板が折り返されることで3重に積層された形状に形成されている。第1種中間端子160では、電気接触部162を構成する平板が、電線圧着部161の上端部167側に積層されている。
【0028】
電気接触部162には、電線圧着部161の長手方向に交差する方向の電線圧着部161側(図7(a)中の右側、図7(c)中の左側)に、窪み部163aおよび突出部163bが設けられている。窪み部163aは、電気接触部162において相対的に電線圧着部161の底部168側の層(図7(b)中の右側の層)に設けられている。なお、底部168は、上端部167とは反対側の端部である。窪み部163aは、電気接触部162の一部が裏面方向に窪んでいる。突出部163bは、電気接触部162において相対的に電線圧着部161の上端部167側の層(図7(b)の左側の層)に設けられている。突出部163bは、電気接触部162の一部が表面方向に突出している。
【0029】
電気接触部162には、電線圧着部161の長手方向に交差する方向の電線圧着部161とは反対側(図7(a)中の左側、図7(c)中の右側)に、2箇所の窪み部164、窪み部164に対して相対的に突出する突出部165a、165bが設けられている。突出部165aは、電気接触部162において相対的に電線圧着部161の底部168側の層(図7(d)中の左側の層)に設けられている。突出部165aは、窪み部163aと同様に、裏面方向に窪んでいる。突出部165bは、電気接触部162において相対的に電線圧着部161の上端部167側の層(図7(d)中の右側の層)に設けられている。突出部165bは、突出部163bと同様に、表面方向に突出している。また、電気接触部162の中央付近には、電気接触部162の3層を貫通する穴部166が形成されている。
【0030】
図8は、第2種中間端子170の構成を示す図である。図8(a)は、第2種中間端子170の平面図であり、図8(b)は、第2種中間端子170の右側面図であり、図8(c)は、第2種中間端子170の背面図であり、図8(d)は、第2種中間端子170の左側面図である。
【0031】
第2種中間端子170は、側面が開いた略筒状の電線圧着部171と、電線圧着部171の一端から連続して設けられる略平板状の電気接触部172とを含んで構成される。電線圧着部171は、電線140が挿入されて圧着される。電線圧着部171は、電気接触部172に対して、電線圧着部171の長手方向に交差(直交)する方向の一方(図7中の右方向)に偏って設けられている。換言すると、第2種中間端子170は、正面から見て、略p字状に形成されている。
【0032】
電気接触部172は、平板が折り返されることで3重に積層された形状に形成されている。第2種中間端子170では、電気接触部172を構成する平板が、電線圧着部171の底部178側に積層されている。なお、底部178は、電線圧着部171の上端部177とは反対側の端部である。
【0033】
電気接触部172には、電線圧着部171の長手方向に交差する方向の電線圧着部171側(図8(a)中の左側、図8(c)中の右側)に、突出部173aおよび窪み部173bが設けられている。突出部173aは、電気接触部172において相対的に電線圧着部171の上端部177側の層(図8(d)中の右側の層)に設けられている。突出部173aは、電気接触部172の一部が表面方向に突出している。窪み部173bは、電気接触部172において相対的に電線圧着部171の底部178側の層(図8(d)中の左側の層)に設けられている。窪み部173bは、電気接触部172の一部が裏面方向に窪んでいる。
【0034】
電気接触部172には、電線圧着部171の長手方向に交差する方向の電線圧着部171とは反対側(図8(a)中の右側、図8(c)中の左側)に、2箇所の窪み部174、窪み部174に対して相対的に突出する突出部175a、175bが設けられている。突出部175aは、電気接触部172において相対的に電線圧着部171の上端部177側の層(図8(b)の左側の層)に設けられている。突出部175aは、突出部173aと同様に、表面方向に突出している。突出部175bは、電気接触部172において相対的に電線圧着部171の底部178側の層(図8(b)の右側の層)に設けられている。突出部175bは、窪み部173bと同様に、裏面方向に窪んでいる。また、電気接触部172の中央付近には、電気接触部172の3層を貫通する穴部176が形成されている。
【0035】
図9は、4個組の組み合わせ端子200の構成を示す側面図である。図9(a)は、組み合わせ端子200の右側面図であり、図9(b)は、組み合わせ端子200の左側面図である。
【0036】
組み合わせ端子200は、第1種端子110および第2種端子120によって、第1種中間端子160および第2種中間端子170を挟んで積層した構成となっている。図9(a)に示すように、第1種端子110を最下層とした姿勢で組み合わせ端子200の右側面を見たとき、組み合わせ端子200は、第1種端子110の電気接触部112の表面上に第2種中間端子170の電気接触部172が積層され、第2種中間端子170の電気接触部172の表面上に第1種中間端子160の電気接触部162が積層され、第1種中間端子160の電気接触部162の表面上に第2種端子120の電気接触部122が積層されて構成される。換言すると、図9(b)に示すように、第2種端子120を最下層とした姿勢で組み合わせ端子200の左側面を見たとき、組み合わせ端子200は、下から上へ向かって、第2種端子120、第1種中間端子160、第2種中間端子170、第1種端子110の順に積層される。
【0037】
より詳細には、第2種端子120を最下層とし、第1種中間端子160の電気接触部162が、第2種端子120の電気接触部122に対して電線圧着部121に交差する方向にずらされた状態で上に重ねられる。その状態で、第1種中間端子160の電気接触部162が、第2種端子120の電気接触部122に対して側面が揃えられる方向に横移動される。これにより、第1種中間端子160の突出部165aが、第2種端子120の突出部123の裏面側に組み合わされるとともに、第2種端子120の突出部125が、第1種中間端子160の窪み部163aの表面側に組み合わされる。
【0038】
その後、第2種中間端子170の電気接触部172が、第1種中間端子160の電気接触部162に対して電線圧着部161に交差する方向にずらされた状態で上に重ねられる。その状態で、第2種中間端子170の電気接触部172が、第1種中間端子160の電気接触部162に対して側面が揃えられる方向に横移動される。これにより、第2種中間端子170の突出部175bが、第1種中間端子160の突出部163bの裏面側に組み合わされるとともに、第1種中間端子160の突出部165bが、第2種中間端子170の窪み部173bの表面側に組み合わされる。
【0039】
その後、第1種端子110の電気接触部112が、第2種中間端子170の電気接触部172に対して電線圧着部171に交差する方向にずらされた状態で上に重ねられる。その状態で、第1種端子110の電気接触部112が、第2種中間端子170の電気接触部172に対して側面が揃えられる方向に横移動される。これにより、第1種端子110の突出部115が、第2種中間端子170の突出部173aの裏面側に組み合わされるとともに、第2種中間端子170の突出部175aが、第1種端子110の窪み部113の表面側に組み合わされる。
【0040】
このようにして、第1種端子110、第2種端子120、第1種中間端子160および第2種中間端子170が互いに固定される。また、第1種端子110の穴部116、第2種端子120の穴部126、第1種中間端子160の穴部166および第2種中間端子170の穴部176が重ねられることで、第1種端子110、第2種端子120、第1種中間端子160、第2種中間端子170のすべてを貫通する端子穴250が形成される。つまり、組み合わせ端子200は、第1種端子110、第2種端子120、第1種中間端子160および第2種中間端子170が組み合わされることで、1個の端子として機能する。
【0041】
なお、組み合わせ端子200では、電線圧着部111、121、161、171の配置される方向が揃えられる。また、組み合わせ端子200では、電線圧着部111の上端部117、電線圧着部121の上端部127、電線圧着部161の上端部167、電線圧着部171の上端部177の配置される方向が揃えられる。
【0042】
図2に戻って、ベース部300は、例えば、車両に搭載されるエンジンのシリンダヘッドの一部である。ベース部300の上面部310には、ねじ溝が形成された締結穴320が設けられている。
【0043】
ベース部300の上面部310の上方には、4個組の組み合わせ端子200が配置される。具体的には、組み合わせ端子200は、上面部310から上方に向かって、第1種端子110、第2種中間端子170、第1種中間端子160、第2種端子120の順となるように配置される。つまり、組み合わせ端子200は、第1種端子110の電線圧着部111が電気接触部112に対してベース部300側に突出する姿勢で配置される。そして、ベース部300に対向する第1種端子110の電気接触部112が上面部310に接触する。
【0044】
4個組の組み合わせ端子200の上方には、2個組の組み合わせ端子100が配置される。具体的には、組み合わせ端子100は、4個組の組み合わせ端子200から上方に向かって、第2種端子120、第1種端子110の順となるように配置される。つまり、組み合わせ端子100は、電線圧着部111、121が電気接触部112、122に対して組み合わせ端子200とは反対側に突出する姿勢で配置される。
【0045】
このように、複数の端子(組み合わせ端子100および組み合わせ端子200)は、厚さが最も厚い端子(ここでは、組み合わせ端子200)が、最もベース部300側に配置されて積層される。
【0046】
2個組の組み合わせ端子100に接続された電線140および4個組の組み合わせ端子200に接続された電線140は、束ねられてワイヤーハーネス142を構成している。ワイヤーハーネス142は、ハーネスケース144に収容される。ワイヤーハーネス142は、ハーネスケース144を通って、車両の各部(例えば、イグニッションコイル、ヒューズボックス、ECUなど)に接続される。つまり、本実施形態では、車両の各部から延びるアース線が、端子の固定構造1の位置まで配線されてベース部300に固定されることとなる。
【0047】
2個組の組み合わせ端子100の上方には、組み合わせ端子100および組み合わせ端子200を被覆する端子ケース部400が配置される。端子ケース部400は、上部410、穴部420、側壁部430、段差部440およびカラー部450を含んで構成される。上部410は、略平板状に形成されている。上部410には、上部410を貫通する穴部420が設けられている。
【0048】
締結部500は、例えば、フランジボルトである。締結部500は、端子ケース部400の穴部420、2個組の組み合わせ端子100の端子穴150、4個組の組み合わせ端子200の端子穴250に挿通され、ベース部300の締結穴320に螺合される。これにより、端子ケース部400、2個組の組み合わせ端子100、4個組の組み合わせ端子200は、締結部500によって共締めされる。
【0049】
端子ケース部400は、ハーネスケース144に固定されている。端子ケース部400は、例えば、合成樹脂によって構成され、ハーネスケース144と一体成型される。
【0050】
端子ケース部400の上部410の周縁部には、ベース部300側に突出する側壁部430が設けられている。側壁部430は、積層された組み合わせ端子100および組み合わせ端子200の側面を被覆する。
【0051】
ここで、複数の端子(組み合わせ端子100および組み合わせ端子200)の積層方向を高さ方向と呼ぶ。また、複数の端子が積層された状態において、複数の端子のうちの最もベース部300側に位置する端子(ここでは、組み合わせ端子200)における端子ケース部400側の上面の高さ位置を、位置Uと呼ぶ。また、複数の端子のうちの最もベース部300側に位置する端子(ここでは、組み合わせ端子200)と、ベース部300との接触面の高さ位置を、位置Dと呼ぶ。
【0052】
側壁部430における積層方向(高さ方向)の先端430aは、端子ケース部400、組み合わせ端子100および組み合わせ端子200が共締めされた状態において、位置Uよりもベース部300側に位置し、かつ、位置Dよりも端子ケース部400側に位置する。つまり、側壁部430の先端430aは、位置Uと位置Dとの間の範囲HA内に位置する。換言すると、側壁部430における積層方向の長さ(高さ)は、上部410から位置Uまでの長さよりも長く、かつ、上部410から位置Dまでの長さよりも短く設定される。側壁部430がこのような高さとなっているため、積層された組み合わせ端子100および組み合わせ端子200は、高さ方向に交差する方向(例えば、図2における左方向)への移動が規制される。
【0053】
図10は、端子ケース部400の構成を示す底面図である。図10では、ベース部300が省略されている。
【0054】
側壁部430は、第1側壁部431、第2側壁部432、第3側壁部433に区分される。第1側壁部431は、上部410の周縁部におけるハーネスケース144に近い位置(図10中、下側の周縁部)に設けられている。第3側壁部433は、上部410の周縁部におけるハーネスケース144から遠い位置(図10中、上側の周縁部)に設けられており、第1側壁部431に対向している。第2側壁部432は、上部410の周縁部におけるワイヤーハーネス142とは反対の位置(図10中、左側の周縁部)に設けられている。つまり、側壁部430は、上部410の周縁部における3方向(下、上、左)に設けられている。そして、第1側壁部431、第2側壁部432、第3側壁部433は、上部410の周方向に沿って連続している。
【0055】
組み合わせ端子100および組み合わせ端子200は、第1側壁部431、第2側壁部432、第3側壁部433によって囲まれた領域に収容される。このため、組み合わせ端子100および組み合わせ端子200は、第1側壁部431、第2側壁部432、第3側壁部433が設けられている3方向への移動が規制される。
【0056】
図11は、端子ケース部400の内壁面の構成を示す底面図である。図11では、ベース部300、組み合わせ端子100、組み合わせ端子200およびワイヤーハーネス142が省略されている。図12は、図11における白抜き矢印XIIの方向から端子ケース部400を見たときの側面図である。
【0057】
端子ケース部400の上部410は、厚肉部412と薄肉部414とに区分される。厚肉部412は、薄肉部414よりも第2側壁部432側に位置する。厚肉部412は、薄肉部414に比べ、内壁面が突出しており、肉厚が厚くなっている。
【0058】
薄肉部414における第3側壁部433寄りの位置には、段差部440が設けられている。段差部440は、例えば、ゴムシートのような柔軟性のあるシート材によって構成される。なお、段差部440は、柔軟性のあるシート材によって構成される態様に限らない。
【0059】
段差部440の厚さは、厚肉部412の厚さと、薄肉部414の厚さとの差分よりも薄い。つまり、段差部440は、段差部440の位置の内壁面の高さを、厚肉部412の内壁面の高さと薄肉部414の内壁面の高さとの間に設定するために設けられる。より具体的には、段差部440の厚さは、第1種端子110の電線圧着部111と第2種端子120の電線圧着部121との間の段差HSと同程度に設定される(図6参照)。
【0060】
端子ケース部400が組み合わせ端子100の上に配置されると、組み合わせ端子100の第1種端子110の電線圧着部111は、薄肉部414に対向する。一方、組み合わせ端子100の第2種端子120の電線圧着部121は、段差部440に対向する。このため、電線圧着部111と電線圧着部121との間の段差HSによる空間が、段差部440によって埋められることとなる。
【0061】
端子ケース部400の厚肉部412には、カラー部450が設けられている。図13は、カラー部450付近の断面図である。カラー部450は、円筒の一端にフランジ部452が設けられた略ハット状に形成されている。カラー部450は、フランジ部452が端子ケース部400の内壁面側に位置するようにして厚肉部412に埋め込まれている。カラー部450には、カラー部450を貫通する穴部454が設けられている。この穴部454は、端子ケース部400を貫通する穴部420として機能する。
【0062】
端子ケース部400が組み合わせ端子100の上に配置されると、カラー部450のフランジ部452は、組み合わせ端子100の第1種端子110の電気接触部112に接触することとなる。カラー部450のフランジ部452の外径は、締結部500であるフランジボルトのフランジの外径と同程度となっている。このため、締結部500による締め付けトルクが、フランジ部452を介して、第1種端子110の電気接触部112に均一に与えられることとなる。以上が、端子の固定構造1の構成である。
【0063】
共締め作業の際、作業者は、端子ケース部400における上部410および側壁部430によって囲まれる空間に、組み合わせ端子100、組み合わせ端子200の順に収容する。このとき、側壁部430によって組み合わせ端子100および組み合わせ端子200の移動が規制される。また、組み合わせ端子100は、段差部440によって端子ケース部400に対して水平な姿勢に維持される。この状態において、作業者は、側壁部430の先端430aがベース部300に対向する姿勢で、端子ケース部400、組み合わせ端子100および組み合わせ端子200をベース部300上に配置する。これにより、組み合わせ端子100および組み合わせ端子200が、端子ケース部400とベース部300との間に挟まれた状態となる。そして、作業者は、締結部500を、穴部420、端子穴150、端子穴250に挿入し、締結穴320に螺合させて締め付ける。
【0064】
以上のように、本実施形態による端子の固定構造1では、積層された複数の端子(組み合わせ端子100および組み合わせ端子200)を挟んでベース部300とは反対側に端子ケース部400が配置される。端子ケース部400には、複数の端子の側面を覆う側壁部430が設けられている。そして、側壁部430における積層方向の先端430aが、最もベース部300側に位置する端子(組み合わせ端子200)における端子ケース部400側の上面の位置Uと、最もベース部300側に位置する端子(組み合わせ端子200)におけるベース部300との接触面の位置Dとの間の範囲HA内に位置する。
【0065】
このため、本実施形態による端子の固定構造1では、複数の端子が個別に(ばらばらに)移動することを端子ケース部400によって抑制することができる。すなわち、本実施形態による端子の固定構造1では、ベース部300から離れる方向の移動を上部410によって抑制することができ、ベース部300に平行な方向の移動を側壁部430によって抑制することができる。したがって、本実施形態による端子の固定構造1によれば、複数の端子を共締めする際の作業性を向上させることが可能となる。
【0066】
また、本実施形態による端子の固定構造1では、共締めの際に側壁部430の先端430aがベース部300に当たらない。このため、本実施形態による端子の固定構造1によれば、複数の端子および端子ケース部400をベース部300に確実に締結することができる。
【0067】
また、本実施形態による端子の固定構造1では、積層される複数の端子のうち、厚さが最も厚い端子(ここでは、組み合わせ端子200)が、最もベース部300側に配置される。このような積層順では、他の積層順に比べ、位置Uと位置Dとの間の範囲HAを大きくすることができる。したがって、本実施形態による端子の固定構造1によれば、側壁部430における積層方向の長さの設定可能な範囲を広くすることができ、側壁部430の設計の自由度を高くすることが可能となる。
【0068】
また、本実施形態による端子の固定構造1では、端子ケース部400に段差部440が設けられているため、組み合わせ端子100の姿勢が端子ケース部400に対して斜めになることを、段差部440によって抑制することができる。このため、作業者は、組み合わせ端子100の端子穴150への締結部500の挿入を行い易い。したがって、本実施形態による端子の固定構造1によれば、段差部440が設けられていない態様に比べ、複数の端子を共締めする際の作業性を、より向上させることが可能となる。
【0069】
また、本実施形態による端子の固定構造1では、端子ケース部400がハーネスケース144に固定されているため、ハーネスケース144のベース部300への固定と、端子ケース部400のベース部300への固定とを、共通の締結部500によって行うことができる。このため、本実施形態による端子の固定構造1によれば、締結部500の数や締結穴320の数を抑制することが可能となる。
【0070】
また、本実施形態による端子の固定構造1では、ベース部300には締結穴320が設けられているだけでよいため、ベース部300の設計や製造の負担を抑制することができる。
【0071】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0072】
例えば、上記実施形態では、2個組の組み合わせ端子100と、4個組の組み合わせ端子200とが積層されていた。しかし、端子の組数は、2個組や4個組に限らず、3個組であってもよいし、5個以上の組数であってもよい。また、積層される端子の個数は、2個に限らず、3個以上であってもよい。また、積層される複数の端子は、組み合わせ端子に限らず、組み合わされていない一般的な丸端子やY端子などであってもよい。また、組み合わされていない端子と、組み合わせ端子とを混在して積層してもよい。
【0073】
また、上記実施形態の側壁部430は、第1側壁部431、第2側壁部432、第3側壁部433によって3方向に設けられていた。しかし、側壁部430は、3方向に設けられる態様に限らず、少なくとも1方向以上に設けられていればよい。
【0074】
また、上記実施形態の側壁部430は、上部410の周方向に連続していた。しかし、側壁部430は、上部410の周方向の途中において不連続になっていてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、組み合わせ端子100に接続される電線140の延びる方向と、組み合わせ端子200に接続される電線140の延びる方向とが揃えられて、組み合わせ端子100および組み合わせ端子200が積層されていた。しかし、積層される複数の端子に接続される電線140の延びる方向が不揃いであってもよい。例えば、組み合わせ端子200に接続される電線140は、組み合わせ端子100に接続される電線140とは反対方向に延びるように、組み合わせ端子100および組み合わせ端子200が積層されてもよい。この場合、電線140が延びていない方向において、側壁部430が設けられればよい。
【0076】
また、上記実施形態では、厚さが最も厚い端子を最もベース部300側に配置していた。しかし、複数の端子の積層順は、この積層順に限らない。
【0077】
また、上記実施形態において、段差部440は、設けられていなくてもよい。
【0078】
また、上記実施形態において、端子ケース部400は、ハーネスケース144と一体成型されていた。しかし、端子ケース部400は、ハーネスケース144とは別体として形成されてもよい。また、端子ケース部400は、ハーネスケース144に固定されていなくてもよい。
【0079】
また、上記実施形態において、積層される複数の端子に接続される電線は、アース端子であった。しかし、複数の端子に接続される電線は、アース端子に限らない。
【0080】
また、上記実施形態のベース部300は、シリンダヘッドの一部であった。しかし、ベース部300は、シリンダヘッドの一部に限らない。
【0081】
また、端子の固定構造1は、車両に適用される態様に限らず、様々な用途に適用することが可能である。また、端子の固定構造1は、複数の端子を共締めする態様に限らず、1個の端子を締結する際に適用してもよい。例えば、6個組の組み合わせ端子をベース部300に固定するような場合、側壁部430を有する端子ケース部400と共に、その6個組の組み合わせ端子を締結するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、電線が接続される端子の固定構造に利用できる。
【符号の説明】
【0083】
1 端子の固定構造
100、200 組み合わせ端子
300 ベース部
400 端子ケース部
430 側壁部
430a 先端
500 締結部
U、D 位置
HA 範囲
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】