(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2019144197
(43)【公開日】20190829
(54)【発明の名称】電圧監視装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 19/00 20060101AFI20190802BHJP
【FI】
   !G01R19/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】2018030867
(22)【出願日】20180223
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】森田 裕之
【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内
(72)【発明者】
【氏名】小林 宏紀
【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内
【テーマコード(参考)】
2G035
【Fターム(参考)】
2G035AA01
2G035AB03
2G035AC01
2G035AD10
2G035AD17
2G035AD20
2G035AD28
2G035AD47
(57)【要約】
【課題】複数の電池セルと複数のキャパシタとが接続されたときに差動成分電圧の影響を受けた場合であっても、精度の高い電圧を検出することが可能な電圧監視装置を提供する。
【解決手段】キャパシタ回路22の複数のキャパシタC1、C2が、相互に逆極性に充電されている状態で、第10切替スイッチ制御信号SC10を出力して、検出ラインL10〜L12を介して電池セルB10とB11と、キャパシタ回路22の複数のキャパシタC1、C2との両端及び接続点同士をすべて接続するときには、2検出周期続けて第10切替スイッチ制御信号SC10を出力する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セル(B0〜B11)が直列に接続されて構成される組電池(1)の、当該複数の電池セルの電圧を監視する電圧監視装置(2)であって、
直列に接続された複数のキャパシタ(C1、C2)を有するキャパシタ回路(22)と、
前記組電池の複数の電池セルと前記キャパシタ回路とを接続する複数の接続経路(L0〜L12)中にそれぞれ設けられる複数の切替スイッチ(SW0〜SW12)と、
複数の前記切替スイッチの各々に直列に接続される複数の抵抗(R0〜R12)と、
複数の前記切替スイッチを操作して、複数の電池セルの中で、前記キャパシタ回路に接続する電池セルを切り替える接続セル切替制御部(25)と、
接続された電池セルによって充電された、前記キャパシタ回路の複数のキャパシタの充電電圧(VA、VB、VC)を、電池セルと前記キャパシタ回路とが電気的に切り離された状態で検出する検出部(24)と、を備え、
前記組電池を構成する複数の電池セルは、対応する前記切替スイッチを介して前記キャパシタ回路に接続されるときに、前記キャパシタ回路の複数のキャパシタと同数の電池セルが直列に接続された直列電池セルの両端電位だけが前記キャパシタ回路の両端に印加されるように、両端同士が接続される第1直列電池セル(B2〜B9)と、直列電池セルの両端電位が前記キャパシタ回路の両端に印加されるとともに、直列電池セルにおける電池セル同士の接続点の電位が、前記キャパシタ回路のキャパシタ同士の対応する接続点に印可されるように、両端及び接続点同士が接続される第2直列電池セル(B0とB1、B10とB11)と、を含み、
前記キャパシタ回路の複数のキャパシタが、第2直列電池セルによる充電の極性とは逆極性に充電されている状態で、第2直列電池セルに接続される場合、前記接続セル切替制御部は、第2直列電池セルに含まれる単一の電池セル(B1、B10)だけを、前記キャパシタ回路の対応する単一のキャパシタ(C1)に接続して、当該単一のキャパシタを他のキャパシタ(C2)とは逆の極性に充電し、その後、第2直列電池セルと前記キャパシタ回路の複数のキャパシタとの両端及び接続点同士をすべて接続し、第2直列電池セルによって前記キャパシタ回路の複数のキャパシタ(C1、C2)を充電するものであり、
前記接続セル切替制御部は、第2直列電池セルの中の単一の電池セルだけを単一のキャパシタに接続して充電した後、第2直列電池セルと複数のキャパシタとの両端及び接続点同士をすべて接続して充電するとき、その第1接続充電時間(T)を、第1直列電池セルの両端を前記キャパシタ回路の両端に接続して充電する第2接続充電時間(t)よりも長くすることを特徴とする電圧監視装置。
【請求項2】
第1直列電池セル及び第2直列電池セルは、それぞれ、前記キャパシタ回路を充電する際の極性が逆となる直列電池セルを含み、
前記接続セル切替制御部は、一方の極性にて前記キャパシタ回路を充電する第1直列電池セル及び第2直列電池セルを第1グループ(B0、B1、B3、B5、B7、B9)としてまとめ、一方の極性とは逆の他方の極性にて前記キャパシタ回路を充電する第1直列電池セル及び第2直列電池セルを第2グループ(B2、B4、B6、B8、B10、B11)としてまとめ、前記第1グループと前記第2グループとが交互に入れ替わるように、前記キャパシタ回路に接続する直列電池セルを切り替えるものであり、
さらに、前記接続セル切替制御部は、前記第1グループ及び前記第2グループに属する第1直列電池セル及び第2直列電池セルの前記キャパシタ回路に接続する順序を、前記第1グループと前記第2グループとが入れ替わるごとに変更することを特徴とする請求項1に記載の電圧監視装置。
【請求項3】
第2直列電池セルの前記キャパシタ回路に接続される順序が、前記第1グループ又は前記第2グループの第1番目以外の順序であって、前記キャパシタ回路の複数のキャパシタが第2直列電池セルによる充電の極性と同極性に充電されている状態で、第2直列電池セルを前記キャパシタ回路に接続する場合、前記接続セル切替制御部は、第2直列電池セルに含まれる単一の電池セルを接続することなく、第2直列電池セルと前記キャパシタ回路の複数のキャパシタとの両端及び接続点同士をすべて接続し、第2直列電池セルによって前記キャパシタ回路の複数のキャパシタをそれぞれ充電することを特徴とする請求項2に記載の電圧監視装置。
【請求項4】
第2直列電池セルの接続点を前記キャパシタ回路の複数のキャパシタ同士の接続点に接続する前記切替スイッチに直列に接続された抵抗の抵抗値をkR(kは0.5以下)とし、第2直列電池セルの両端を前記キャパシタ回路の両端に接続する前記切替スイッチに直列に接続された抵抗の抵抗値をRとしたとき、前記第1接続充電時間(T)を前記第2接続充電時間(t)の(2k+1)倍以上とすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電圧監視装置。
【請求項5】
前記接続セル切替制御部は、直列電池セルが第1直列電池セルか第2直列電池セルかに係らず、所定の接続充電時間(t)だけ直列電池セルを前記キャパシタ回路に接続するものであり、その後、検出部は、所定の検出時間で、前記キャパシタ回路の複数のキャパシタの充電電圧を検出するものであって、各直列電池セルによる充電電圧の検出周期が、所定の接続充電時間と所定の検出時間とによって規定されている場合、前記接続セル切替制御部は、第2直列電池セルによる充電電圧の検出周期を複数回繰り返すことにより、前記第1接続充電時間(T)を、前記第1接続充電時間(t)よりも長くすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電圧監視装置。
【請求項6】
第2直列電池セルによる充電電圧の検出周期が複数回繰り返されたとき、最後の検出周期で検出された充電電圧が、第2直列電池セルの電圧監視に用いられることを特徴とする請求項5に記載の電圧監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電池セルが直列に接続されて構成される組電池の、当該複数の電池セルの電圧を複数のキャパシタを用いて監視するフライングキャパシタ方式の電圧監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フライングキャパシタ方式の電圧監視装置では、キャパシタに接続した電圧検出回路によって、キャパシタの充電電圧から個々の電池セルの電池電圧を検出したり、電池セルとキャパシタとを接続する各系統の断線の有無などを検出したりする。また、2個のキャパシタを用いて、2個の電池セルの電圧を一度に検出可能なダブルフライングキャパシタ方式の電圧監視装置も知られている。このようなダブルフライングキャパシタ方式の電圧監視装置によれば、2個の電池セルの電圧を同時に検出できるので、検出時間を短縮化することができるというメリットがある。
【0003】
ここで、ダブルフライングキャパシタ方式のように複数のキャパシタを用いる場合、特許文献1に記載されているように、複数のキャパシタを用いて複数の電池セルの電圧を検出するだけでなく、その複数のキャパシタの中の単一のキャパシタを用いて、単一の電池セルの電圧を検出することがある。その理由は、例えば、ダブルフライングキャパシタ方式において、2個のキャパシタを用いて2個の電池セルの電圧を検出するだけでは、各キャパシタと各電池セルとを結ぶ複数の検出ラインのうちの、各キャパシタ間の接続端に接続された検出ラインの断線を判別することができないためである。
【0004】
しかし、複数のキャパシタと複数の電池セルとの両端同士を接続して、複数の電池セルの電圧検出を一度に行う方式を採用した場合、各検出ラインに設けられる、フィルタとして機能する各抵抗の抵抗値が同じであったとすると、単一の電池セルを充電するときと、複数の電池セルを充電するときとで、充電に要する時間が異なることになる。つまり、複数のキャパシタを充電するときには、複数のキャパシタが直列接続されているため、その合成容量は、単一のキャパシタの容量よりも低下する。従って、各抵抗の抵抗値とキャパシタの容量とによって定まる時定数が、単一の電池セルを充電するときの方が大きくなり、充電に要する時間も長くなってしまうのである。
【0005】
このような問題に対処するため、特許文献1の電圧監視装置では、キャパシタ間の接続端に接続される検出ラインに設ける抵抗の抵抗値を、複数のキャパシタの両端に接続される検出ラインに設ける抵抗の抵抗値よりも小さくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−53939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されたように、複数のキャパシタを用いて複数の電池セルの電圧を検出する構成において、キャパシタ間に接続される検出ラインの抵抗の抵抗値を小さくするだけでは、キャパシタにおける充電時間の相違に十分に対処できない可能性がある。
【0008】
以下、その理由について説明する。複数のキャパシタを用いるフライングキャパシタ方式では、複数のキャパシタは、接続される複数の電池セルが順次切り替えられ、その接続された複数の電池セルによって充電される。このように、複数のキャパシタへ接続する複数の電池セルの切り替えが行われるときに、複数のキャパシタが、切替予定の複数の電池セルによる充電の極性とは逆極性に充電されている状態で、まず、切替予定の複数の電池セルの中の単一の電池セルだけが接続された場合、接続された単一の電池セルによって複数のキャパシタの中の単一のキャパシタだけが充電される。この単一のキャパシタの充電により、単一のキャパシタの充電極性は、残りのキャパシタの充電極性とは逆極性となる。
【0009】
その後、例えば、複数の電池セルと複数のキャパシタとの両端及び接続端同士を結ぶ検出ラインが全て接続されると、上記残りのキャパシタの充電極性が、上記単一のキャパシタの充電極性とは逆極性となっている状態から反転して同極性となる。この際、単一のキャパシタと、その単一のキャパシタに隣接する残りのキャパシタとの充電電圧が収束するまでに要する時間が、通常の電池セルの切り替えなどの場合に複数のキャパシタの充電電圧が収束するまでに要する時間と比較して伸びてしまうのである。
【0010】
このような現象が生じる理由について、図8を参照して説明する。図8に示すような、2個のキャパシタが直列接続され、その2個のキャパシタが、複数の電池セルで充電される回路について考える。図8に示す回路では、2個のキャパシタの両端と2個の電池セルの両端とは、抵抗値Rの抵抗を介して接続されている。一方、2個のキャパシタの接続点と2個の電池セルの接続点とを結ぶラインには、抵抗値Rよりも小さい抵抗値kR(例えば、k=0.5)の抵抗が設けられている。
【0011】
図8に示す回路において、実線矢印で示す同相電流によってキャパシタに充電される電圧を同相成分電圧Vcomとし、点線矢印で示す逆相電流によってキャパシタに充電される電圧を差動成分電圧Vdiffとすると、同相成分電圧Vcom及び差動成分電圧Vdiffは、
以下の数式1によって示される。
【数1】
なお、Vcom_initは同相成分電圧Vcomの初期値を表し、Ecomは、電池セルにおいて同相電流を発生させる同相電圧を表す。また、Vdiff_initは差動成分電圧Vdiffの初期値を表し、Ediffは、電池セルにおいて逆相電流を発生させる差動電圧を表す。
【0012】
そして、図8の回路における下段のキャパシタの充電電圧VA、上段のキャパシタの充電電圧VB、及び上下段のキャパシタの充電電圧の和VCは、以下の数式2によって示される。
【数2】
数式2に示すように、下段のキャパシタの充電電圧VAと上段のキャパシタの充電電圧VBとは、差動成分電圧Vdiffの影響を受ける。そして、数式1に示すように、同相成分電圧Vcomの時定数はRCであるのに対し、差動成分電圧Vdiffの時定数は(2k+1)RCである。従って、特許文献1に記載されているように、k=0.5に設定した場合であっても、差動成分電圧Vdiffの時定数は、同相成分電圧Vcomの時定数のおよそ2倍となる。
【0013】
ここで、上述したように、単一のキャパシタと残りのキャパシタとが逆極性に充電されている状態で、複数の電池セルと複数のキャパシタとの両端及び接続端同士を結ぶ検出ラインが全て接続されると、そのときに形成される回路には、同相電流及び逆相電流が流れる。このため、複数のキャパシタの充電電圧が収束するまでの時間が通常よりも伸びてしまうことになる。
【0014】
本発明は上述した点に鑑みてなされたものであり、複数の電池セルと複数のキャパシタとが接続されたときに差動成分電圧の影響を受けた場合であっても、精度の高い電圧を検出することが可能な電圧監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明による電圧監視装置(2)は、複数の電池セル(B0〜B11)が直列に接続されて構成される組電池(1)の、当該複数の電池セルの電圧を監視するものであって、
直列に接続された複数のキャパシタ(C1、C2)を有するキャパシタ回路(22)と、
組電池の複数の電池セルとキャパシタ回路とを接続する複数の接続経路(L0〜L12)中にそれぞれ設けられる複数の切替スイッチ(SW0〜SW12)と、
複数の切替スイッチの各々に直列に接続される複数の抵抗(R0〜R12)と、
複数の切替スイッチを操作して、複数の電池セルの中で、キャパシタ回路に接続する電池セルを切り替える接続セル切替制御部(25)と、
接続された電池セルによって充電された、キャパシタ回路の複数のキャパシタの充電電圧(VA、VB、VC)を、電池セルとキャパシタ回路とが電気的に切り離された状態で検出する検出部(24)と、を備え、
組電池を構成する複数の電池セルは、切替スイッチを介してキャパシタ回路に接続されるときに、キャパシタ回路の複数のキャパシタと同数の電池セルが直列に接続された直列電池セルの両端電位だけがキャパシタ回路の両端に印加されるように、両端同士が接続される第1直列電池セル(B2〜B9)と、直列電池セルの両端電位がキャパシタ回路の両端に印加されるとともに、直列電池セルにおける電池セル同士の接続点の電位が、キャパシタ回路のキャパシタ同士の対応する接続点に印可されるように、両端及び接続点同士が接続される第2直列電池セル(B0とB1、B10とB11)と、を含み、
キャパシタ回路の複数のキャパシタが、第2直列電池セルによる充電の極性とは逆極性に充電されている状態で、第2直列電池セルに接続される場合、接続セル切替制御部は、第2直列電池セルに含まれる単一の電池セル(B1、B10)だけを、キャパシタ回路の対応する単一のキャパシタ(C2)に接続して、当該単一のキャパシタを他のキャパシタ(C1)とは逆の極性に充電し、その後、第2直列電池セルとキャパシタ回路の複数のキャパシタとの両端及び接続点同士をすべて接続し、第2直列電池セルによってキャパシタ回路の複数のキャパシタ(C1、C2)を充電するものであり、
接続セル切替制御部は、第2直列電池セルの中の単一の電池セルだけを単一のキャパシタに接続して充電した後、第2直列電池セルと複数のキャパシタとの両端及び接続点同士をすべて接続して充電するとき、その接続充電時間(T)を、第1直列電池セルの両端をキャパシタ回路の両端に接続して充電する接続充電時間(t)よりも長くすることを特徴とする。
【0016】
本発明の発明者らは、複数のキャパシタを用いて複数の電池セルの電圧を監視する電圧監視装置において、特に、第2直列電池セルの中の単一の電池セルを単一のキャパシタに接続して充電し、それにより、単一のキャパシタと残りのキャパシタとの充電極性が逆となった状態で、第2直列電池セルと複数のキャパシタとの両端及び接続点同士がすべて接続されて、第2直列電池セルによって複数のキャパシタが充電されるとき、キャパシタの充電電圧は、上述した差動成分電圧の影響を受けることを見出した。
【0017】
そのため、本発明では、接続セル切替制御部が、そのときの接続充電時間Tを、第1直列電池セルの両端をキャパシタ回路の両端に接続して充電する接続充電時間tよりも長くするように構成した。これにより、キャパシタの充電電圧を、差動成分電圧の影響を受けながらも、検出対象となっている電池セルの電圧に対応する電圧により近似させることができるようになる。その結果、電圧監視装置による電池セルの電圧検出の精度を高めることが可能となる。
【0018】
上記括弧内の参照番号は、本開示の理解を容易にすべく、後述する実施形態における具体的な構成との対応関係の一例を示すものにすぎず、なんら発明の範囲を制限することを意図したものではない。
【0019】
また、上述した特徴以外の、特許請求の範囲の各請求項に記載した技術的特徴に関しては、後述する実施形態の説明及び添付図面から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態に係る、電圧監視装置を含む監視システムの構成を示す構成図である。
【図2】マイコンが出力する切替スイッチ制御信号について説明するための図である。
【図3】図1の電圧監視装置において発生しえる課題について説明するための波形図である。
【図4】マイコンが電池電圧検出処理を実施する際の、電圧監視装置の状態を示した図である。
【図5】単一の電池セルを単一のキャパシタに接続するために、マイコンが出力する切替スイッチ制御信号について説明するための図である。
【図6】本実施形態の電圧監視装置の特徴的な作動を説明するための波形図である。
【図7】本実施形態の電圧監視装置の特徴的な作動を説明するための波形図である。
【図8】課題の発生する理由を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、組電池1により構成される車載高圧バッテリの各電池セルの電池電圧を監視(検出)する監視システムに本発明の電圧監視装置2を適用している。図1に示すように、本実施形態の監視システムは、組電池1と、フライングキャパシタ方式の電圧監視装置2とを備えている。
【0022】
組電池1は、インバータ等を介して車両走行用の電動機(走行用モータ)に電力を供給したり、発電機によって発電された電力によって充電されたりするものであり、n個の単位電池セルの直列接続体として構成されている。図1では、組電池1が20個の単位電池セルの直列接続体として構成された例を示している。なお、図1に示すように、組電池1を構成する電池セルB0〜B11のうち、電池セルB0、B1、B10、B11は、1個の単位電池セルであるのに対し、電池セルB2〜B9は、単位電池セルを2個直列に接続した直列電池セルである。各電池セルB0〜B11として、例えば充放電可能なリチウムイオン電池や鉛蓄電池などが用いられる。
【0023】
組電池1を構成する各単位電池セルの電池電圧が不均一になると、組電池1の充放電可能な電力が低下するなど組電池1の充放電効率が低下する。そのため、各単位電池セルの電池電圧を監視し、もし電池電圧が不均一であることが検出された場合には、例えば、各単位電池セルの電池電圧を均一化するための処置を施したりすることが望まれる。そのため、電圧監視装置2は、組電池1の各単位電池セルの電池電圧を監視するように構成される。
【0024】
電圧監視装置2は、組電池1の各電池セルB0〜B11と複数の検出ラインL0〜L12を介して接続されている。具体的には、検出ラインL0の一端は、電池セルB0の負極側に接続されている。検出ラインL1の一端は、電池セルB0の正極側かつ電池セルB1の負極側に接続されている。検出ラインL2の一端は、電池セルB1の正極側かつ電池セルB2の負極側に接続されている。以下同様に、検出ラインL3〜L11については、各検出ラインm(mは3〜11の整数)の一端が、電池セルBm−1の正極側かつ電池セルBmの負極側に接続されている。そして、検出ラインL12の一端は、電池セルB11の正極側に接続されている。
【0025】
電圧監視装置2は、抵抗回路20、経路切替スイッチ部21、キャパシタ回路22、サンプリングスイッチ部23、電圧検出部24、マイクロコンピュータ(以下、マイコン25と記す)を備えている。
【0026】
抵抗回路20は、組電池1と経路切替スイッチ部21との間において、各検出ラインL0〜L12上に個別に設けた複数の抵抗R0〜R12を備えている。これら複数の抵抗R0〜R12は電流制限を行うフィルタとして機能し、これにより、経路切替スイッチ部21の各スイッチSW0〜SW12が保護される。複数の抵抗R0〜R12の抵抗値は、以下のように設定される。検出ラインの他端が、キャパシタ回路22におけるキャパシタC1、C2の直列接続体の両端(独立端)に接続される検出ラインL0、L2、L3〜L10、L12に設けられる抵抗R0、R2、R3〜R10、R12は、抵抗値Rを有する。それに対し、検出ラインの他端が、キャパシタ回路22におけるキャパシタC1、C2の直列接続体の中点(接続端)に接続される検出ラインL1、L11に設けられる抵抗R1、R11は、抵抗値Rよりも小さい抵抗値kR(kは0.5以下)を有する。なお、kの下限値は、経路切替スイッチ部21の対応する切替スイッチSW0〜SW12がオンされたときに流れる突入電流により、例えば切替スイッチSW0〜SW12がダメージを受けない範囲で設定される。
【0027】
経路切替スイッチ部21は、各検出ラインL0〜L12に個別に設けられた複数個の切替スイッチSW0〜SW12を備えている。各切替スイッチSW0〜SW12は、例えばフォトMOSリレーによって構成される。これら切替スイッチSW0〜SW12が、接続セル切替制御部としてのマイコン25によって導通、遮断の状態が制御されることにより、キャパシタ回路22に接続する電池セルB0〜B12を切り替えることができる。
【0028】
キャパシタ回路22は、直列接続された複数のキャパシタC1,C2を有している。なお、キャパシタC1,C2の直列接続体の端部には接続端子として独立端N1,N3が設けられている。また、キャパシタC1,C2同士の接続中点には接続端子として接続端N2が設けられている。そして、電池セルB2〜B9に関しては、それらの正極側及び負極側が、検出ラインL2〜L10によって複数のキャパシタC1、C2の独立端N1、N3だけに接続され、接続端N2に接続するための検出ラインは設けられていない。これにより、電圧監視装置2の構成の簡略化が図られている。
【0029】
サンプリングスイッチ部23は、キャパシタ回路22の独立端N1,N3及び接続端N2の各々に接続された複数個のスイッチSWA〜SWCを備えている。詳しくは、スイッチSWAは独立端N1、スイッチSWBは接続端N2、スイッチSWCは独立端N3にそれぞれ接続されている。これらのスイッチSWA〜SWCの導通及び遮断の切り替えによって、キャパシタ回路22と電圧検出部24との接続及び非接続が切り替えられる。
【0030】
電圧検出部24は、各キャパシタC1,C2の充電電圧VA、VB、VCを検出する複数の電圧検出回路24A〜24Cを有している。電圧検出回路24Aは、スイッチSWA及びスイッチSWBに接続されておりキャパシタC1の充電電圧VAを検出する。電圧検出回路24Bは、スイッチSWB及びスイッチSWCに接続されておりキャパシタC2の充電電圧VBを検出する。電圧検出回路24CはスイッチSWA及びスイッチSWCに接続されておりキャパシタC1及びC2の総充電電圧VCを検出する。
【0031】
各電圧検出回路24A〜24Cは、例えば、差動増幅器とAD変換器を備え、各キャパシタC1、C2の充電電圧VA、VB及びキャパシタC1、C2の総充電電圧VCを増幅した後にAD変換してマイコン25に出力する。電圧検出回路24A,24Bは、各キャパシタC1,C2の充電電圧VA、VBを所定の増幅率(第1増幅率)で増幅して出力する。一方、電圧検出回路24Cは、各キャパシタC1、C2の総充電電圧VCを、第1増幅率とは異なる第2増幅率で増幅して出力する。
【0032】
マイコン25は、CPU、メモリ等からなるマイクロコンピュータである。このマイコン25は、経路切替スイッチ部21に対して、複数個の切替スイッチSW0〜SW12の導通、遮断の状態を切り替えるための切替スイッチ制御信号を出力する。また、マイコン25は、サンプリングスイッチ部23に対して、複数個のスイッチSWA〜SWCの導通、遮断の状態を切り替えるためのサンプリングスイッチ制御信号を出力する。
【0033】
マイコン25は、切替スイッチ制御信号及びサンプリングスイッチ制御信号により、サンプリングスイッチ部23の各スイッチSWA〜SWCを遮断した状態で、経路切替スイッチ部21の少なくとも2つの切替スイッチを導通状態に切り替える。つまり、マイコン25は、組電池1と電圧検出部24とを電気的に絶縁した状態で、キャパシタ回路22を充電する充電処理を実施する。
【0034】
マイコン25が実行するキャパシタ回路22の充電処理について詳しく説明する。キャパシタ回路22の充電処理において、マイコン25は、原則として、経路切替スイッチ部21の複数の切替スイッチSW0〜SW12のうち少なくとも2つの切替スイッチを導通状態にし、キャパシタ回路22に対して、キャパシタC1、C2と同数の単位電池セルを接続して、各キャパシタC1、C2を接続した電池セルの電池電圧まで充電する。
【0035】
例えば、電池セルB0とB1をキャパシタ回路22に接続する場合には、マイコン25は、3本の検出ラインL0〜L2上の3つの切替スイッチSW0〜SW2を導通状態にする。3つの切替スイッチSW0〜SW2を導通させるためにマイコン25が出力する切替スイッチ制御信号を、図2に示すように、第1切替スイッチ制御信号SC1と呼ぶこととする。また、電池セルB2〜B9のいずれかをキャパシタ回路22に接続する場合には、マイコン25は、検出ラインL2〜L10の内、隣接する2本の検出ラインLn,Ln+1(nは2〜9の整数)上の切替スイッチSWn、SWn+1を導通状態にする。これらの切替スイッチSWn、SWn+1を導通させるためにマイコン25が出力する切替スイッチ制御信号を、図2に示すように、それぞれ、第2切替スイッチ制御信号SC2〜第9切替スイッチ制御信号SC9と呼ぶこととする。さらに、電池セルB10とB11をキャパシタ回路22に接続する場合には、マイコン25は、3本の検出ラインL10〜L12上の3つの切替スイッチSW10〜SW12を導通状態にする。3つの切替スイッチSW10〜SW12を導通させるためにマイコン25が出力する切替スイッチ制御信号を、図2に示すように、第10切替スイッチ制御信号SC10と呼ぶこととする。このように、マイコン25が各切替スイッチ制御信号SC1〜SC10を出力して、キャパシタ回路22に、キャパシタC1、C2と同数の単位電池セルを接続することで、各キャパシタC1、C2は、接続された複数の単位電池セルの電池電圧に応じた電圧まで充電される。
【0036】
なお、本実施形態では、マイコン25は、キャパシタ回路22にいずれの電池セルB0〜B11を接続するかに係らず、すべての切替スイッチ制御信号SC1〜SC10を所定時間(例えば、4ms)だけ出力するように構成されている。
【0037】
ここで、本実施形態においては、組電池1を構成する複数の電池セルB0〜B11は、切替スイッチSW0〜SW12を介してキャパシタ回路22に接続されるとき、キャパシタ回路22の複数のキャパシタC1、C2と同数の単位電池セルが直列に接続された直列電池セルの両端電位だけがキャパシタ回路22の両端に印加されるように、両端同士が接続される電池セルB2〜B9と、直列電池セルの両端電位がキャパシタ回路22の両端に印加されるとともに、直列電池セルにおける電池セル同士の接続点の電位が、キャパシタ回路22のキャパシタC1、C2同士の接続点である接続端N2に印可されるように、両端及び接続点同士が接続される電池セルB0とB1、B10とB11とを含んでいる。電池セルB2〜B9が第1直列電池セルに相当し、電池セルB0とB1、B10とB11が第2直列電池セルに相当する。
【0038】
さらに、これら第1直列電池セルに相当する電池セルB2〜B9と、第2直列電池セルに相当する電池セルB0、B1及びB10、B11は、それぞれ、キャパシタ回路22を充電する際の極性が逆となる電池セルを含んでいる。具体的には、電池セルB2〜B9のうち、電池セルB3、B5、B7、B9は、キャパシタ回路22に接続されたとき、図1において各キャパシタC1、C2の上側が正極、下側が負極となるように、各キャパシタC1、C2を充電する。一方、電池セルB2、B4、B6、B8は、図1において各キャパシタC1、C2の下側が正極、上側が負極となるように、各キャパシタC1、C2を充電する。また、電池セルB0とB1、B10とB11のうち、電池セルB0とB1は、図1において各キャパシタC1、C2の上側が正極、下側が負極となるように、各キャパシタC1、C2を充電する。一方、電池セルB10とB11は、図1において各キャパシタC1、C2の下側が正極、上側が負極となるように、各キャパシタC1、C2を充電する。
【0039】
本実施形態では、第1直列電池セルに相当する電池セルB2〜B9と、第2直列電池セルに相当する電池セルB0、B1及びB10、B11の内、各キャパシタC1、C2の上側が正極、下側が負極となるようにキャパシタC1、C2を充電する電池セルB0とB1、B3、B5、B7、B9を第1グループとしてまとめる。同様に、電池セルB2〜B9と、電池セルB0、B1及びB10、B11の内、各キャパシタC1、C2の下側が正極、上側が負極となるようにキャパシタC1、C2を充電する電池セルB2、B4、B6、B8、B10とB11を第2グループとしてまとめる。マイコン25は、各電池セルB0〜B11をキャパシタ回路22に接続して各キャパシタC1、C2を充電する際、第1グループと第2グループとが交互に入れ替わるように、キャパシタ回路22に接続する電池セルB0〜B11を切り替える。
【0040】
例えば、図3に示すように、マイコン25は、第2グループから第1グループへの切り替わり時に、第1グループに属する電池セルB0、B1、B3、B5、B7、B9の内、まず、電池セルB5に対応する第5切替スイッチ制御信号SC5を出力して、電池セルB5をキャパシタ回路22に接続する。その後、マイコン25は、第7切替スイッチ制御信号SC7、第9切替スイッチ制御信号SC9、第1切替スイッチ制御信号SC1、第3切替スイッチ制御信号SC3を順番に出力して、電池セルB7、電池セルB9、電池セルB0とB1、電池セルB3の順番でキャパシタ回路22に接続する。このように、マイコン25は、第1グループに属する電池セルB0とB1、B3、B5、B7、B9が連続してキャパシタ回路22に接続されるように切替スイッチ制御信号SC1、SC3、SC5、SC7、SC9を出力する。そして、第1グループに属する電池セルB0とB1、B3、B5、B7、B9のキャパシタ回路22への接続がすべて終了すると、マイコン25は、第2グループに属する電池セルB2、B4、B6、B8、B10とB11を順番にキャパシタ回路22に接続するように、切替スイッチ制御信号SC2、SC4、SC6、SC8、SC10を出力する。図3には、最初に第10切替スイッチ制御信号SC10が出力され、その後、順番に第2切替スイッチ制御信号SC2、第4切替スイッチ制御信号C4、第6切替スイッチ制御信号C6、第8切替スイッチ制御信号SC8が出力される例が示されている。
【0041】
このように、本実施形態では、キャパシタ回路22を充電する充電処理として、電池セルB0〜B12を、各キャパシタC1、C2を充電する際の極性に応じて第1グループと第2グループとに分け、第1グループに属する電池セルB0とB1、B3、B5、B7、B9によるキャパシタ回路22の充電を連続的に行い、その後、第2グループに属する電池セルB2、B4、B6、B8、B10とB11によるキャパシタ回路22の充電を連続的に行うようにしている。この結果、図3に示すように、第1グループ及び第2グループとも、最初にキャパシタ回路22に接続される電池セルは、各キャパシタC1、C2の充電電圧の極性を反転させるために相対的に大きな電力を消費するが、2番目以降に接続される電池セルに関しては、キャパシタC1、C2の充電に僅かな電力しか消費されないようにすることができる。また、第1グループ及び第2グループの各1番目にキャパシタ回路22に接続される電池セルによる充電によって、各キャパシタC1、C2の充電極性が反転すれば、その電池セルに接続された検出ラインは断線していないと判定することができる。
【0042】
そして、本実施形態では、マイコン25は、第1グループに属する電池セルB0、B1、B3、B5、B7、B9をキャパシタ回路22に接続する順序、及び第2グループに属する電池セルB2、B4、B6、B8、B10とB11をキャパシタ回路22に接続する順序を、第1グループと第2グループとが入れ替わるごとに変更するように構成されている。たとえば、図3に示すように、第1グループの今回の接続順序がB5→B7→B9→B0とB1→B3であった場合、次回の接続順序はB7→B9→B0とB1→B3→B5とする。また、図3に示すように、第2グループの今回の接続順序がB10とB11→B2→B4→B6→B8であった場合、次回の接続順序はB2→B4→6→B8→B10とB11とする。
【0043】
このように、第1グループと第2グループとが入れ替わるごとに、最初にキャパシタ回路22に接続される電池セルが順番に入れ替わるようにすることで、各キャパシタC1、C2の極性反転のための充電に要する電力消費が、特定の電池セルに集中することを防止することができる。さらに、第1グループと第2グループとで最初にキャパシタ回路22に接続される電池セルが順番に入れ替わるので、すべての電池セルの正極側及び負極側に接続された検出ラインの断線の有無を判定することができるようになる。
【0044】
そして、キャパシタ回路22の充電完了後(切替スイッチ制御信号の所定時間の出力後)は、図3及び図4に示すように、経路切替スイッチ部21の各切替スイッチSW0〜SW12がすべて遮断され、組電池1とキャパシタ回路22とが電気的に遮断される。この状態で、マイコン25は、図4に示すように、サンプリングスイッチ制御信号を出力して、サンプリングスイッチ部23の各スイッチSWA〜SWCを導通状態に切り替える。つまり、マイコン25は、組電池1とキャパシタ回路22とを電気的に絶縁した状態で、キャパシタC1、C2の充電電圧VA、VB及び総充電電圧VCから各電池セルB0〜B11の電圧(電池電圧)E0〜E11に相当する電圧V0〜V11を検出する電池電圧検出処理を実施する。
【0045】
なお、マイコン25が、サンプリングスイッチ制御信号により検出すべきキャパシタの充電電圧VA、VB、VCに対応したスイッチSWA〜SWCだけを導通させるようにしてもよい。検出すべきキャパシタの充電電圧VA、VB、VCの一例は、図3の各キャパシタの充電電圧VA、VB、VCの各波形図に沿って、電池セルの各電池電圧E0〜E11に相当する電圧V0〜V11として示されている。
【0046】
マイコン25は、図3に示すように、切替スイッチ制御信号と同じく、サンプリングスイッチ制御信号を所定時間(例えば、4ms)だけ出力するように構成されている。マイコン25は、サンプリングスイッチ制御信号の出力開始から所定時間(例えば、2ms)後に、電圧検出部24の各電圧検出回路24A〜24CによってAD変換された、各キャパシタC1、C2の充電電圧VA、VB及びキャパシタC1、C2の総充電電圧VCを取り込む。マイコン25は、取り込んだ各キャパシタC1、C2の充電電圧VA、VB、及び/又は、キャパシタC1、C2の総充電電圧VCに基づき、各電池セルB0〜B11の電池電圧E0〜E11に相当する電圧V0〜V11を検出する。
【0047】
ここで、図3に示すように、電池セルB10とB11が、第2グループにおける接続順序が1番目の電池セルとなったとき、換言すると、接続しようとしている電池セルB10とB11による充電の極性とは逆極性にキャパシタC1、C2が充電されているとき、マイコン25は、まず、切替スイッチSW10とSW11を導通状態として、単一の単位電池セルB10だけをキャパシタC2に接続する。これにより、キャパシタC2の充電電圧の極性が反転すると、マイコン25は、接続端N2に連なる検出ラインL11が断線していないことを確認することができる。なお、図5に示すように、切替スイッチSW10とSW11を導通状態とするためにマイコン25が出力する切替スイッチ制御信号を、第10単一切替スイッチ制御信号SC10Sと呼ぶこととする。
【0048】
また、図3には示していないが、マイコン25は、電池セルB0とB1が、第1グループにおける接続順序が1番目の電池セルとなったとき、まず、切替スイッチSW1とSW2を導通状態として、単一の単位電池セルB1だけをキャパシタC2に接続する。これにより、キャパシタC2の充電電圧の極性が反転すると、マイコン25は、接続端N2に連なる検出ラインL1が断線していないことを確認することができる。図5に示す如く、切替スイッチSW1とSW2を導通状態とするためにマイコン25が出力する切替スイッチ制御信号を、第1単一切替スイッチ制御信号SC1Sと呼ぶこととする。
【0049】
例えば、第10単一切替スイッチ制御信号SC10Sにより、単一の単位電池セルB10だけがキャパシタC2に接続されると、図3に示すように、キャパシタC2の充電電圧VBの極性が反転する。その結果、キャパシタC1の充電電圧VAの極性とキャパシタC2の充電電圧VBの極性が逆となる。この状態で、マイコン25が第10切替スイッチ制御信号SC10を出力して、切替スイッチSW10〜SW12を導通状態に切り替えると、発明が解決しようとする課題の欄に記載したように、電池セルB0、B1と各キャパシタC1、C2との間で、同相電流及び逆相電流が流れる。その結果、各キャパシタC1、C2の充電電圧VA、VBが収束するまでの時間が通常よりも伸びてしまう。このため、図3に示すように、第10切替スイッチ制御信号SC10を所定時間出力しただけでは、各キャパシタC1、C2の充電電圧VA、VBが、図3に一点鎖線で示す、収束すべき電圧まで変化することができない虞がある。
【0050】
そのため、本実施形態では、図6に示すように、キャパシタ回路22の複数のキャパシタC1、C2が、相互に逆極性に充電されている状態で、第10切替スイッチ制御信号SC10を出力して、検出ラインL10〜L12を介して電池セルB10とB11とキャパシタ回路22の複数のキャパシタC1、C2との両端及び接続点同士をすべて接続するときには、2検出周期続けて第10切替スイッチ制御信号SC10を出力することとした。なお、検出周期は、切替スイッチ制御信号の出力期間と、サンプリングスイッチ制御信号の出力期間とによって規定される。
【0051】
1検出周期における切替スイッチ制御信号の出力期間をtとすると、2検出周期続けて第10切替スイッチ制御信号SC10を出力することで、その出力期間Tは、通常の切替スイッチ制御信号の出力期間tの2倍となる。従って、上述したように、検出ラインL11に設けた抵抗R11の抵抗値がkR(kは0.5以下)である場合、出力期間Tは出力期間tの(2k+1)倍以上となる。そして、各電池セルB10、B11の電池電圧E10、E11に相当する電圧V10、V11として、1検出周期目の検出結果ではなく、2検出周期目に検出された結果を採用する。このため、電池セルB10、B11と各キャパシタC1、C2との間に逆相電流が流れて、各キャパシタC1、C2の充電電圧VA、VBが差動成分電圧Vdiffの影響により収束時間が伸びたとしても、電池セルB10、B11の電池電圧E10、E11に相当する電圧V10、V11を高精度に検出できるようになる。
【0052】
なお、電池セルB10とB11が、第2グループにおける接続順序が2番目以降となった場合には、図7に示すように、第10単一切替スイッチ制御信号SC10Sは出力されず、単一の電池セルB10がキャパシタC2に接続されることはない。そして、マイコン25は、図7に示すように、第10切替スイッチ制御信号SC10を、2検出周期ではなく、1検出周期のみ出力する。
【0053】
また、同様に、電池セルB0とB1が第1グループにおける接続順序が1番目の電池セルとなったとき、図7に示すように、マイコン25は、まず、第1単一切替スイッチ制御信号SC1Sを出力して切替スイッチSW1とSW2を導通状態とし、単一の単位電池セルB1だけをキャパシタC2に接続する。これにより、キャパシタC2の充電電圧の極性が反転すると、マイコン25は、接続端N2に連なる検出ラインL1が断線していないと判定することができる。
【0054】
しかし、第1単一切替スイッチ制御信号SC1Sの出力により、単一の単位電池セルB1だけがキャパシタC2に接続されると、図7に示すように、キャパシタC2の充電電圧VBの極性とキャパシタC1の充電電圧VAの極性とが逆になる。従って、この場合も、マイコン25は、図7に示すように、2検出周期続けて第1切替スイッチ制御信号SC1を出力する。そして、各電池セルB0、B1の電池電圧E0、E1に相当する電圧V0、V1として、1検出周期目の検出結果ではなく、2検出周期目に検出された結果を採用する。これにより、電池セルB0、B1の電池電圧E0、E1に相当する電圧V0、V1も高精度に検出できるようになる。
【0055】
なお、電池セルB0とB1が、第1グループにおける接続順序が2番目以降となった場合には、図6に示すように、第1単一切替スイッチ制御信号SC1Sは出力されず、単一の電池セルB1がキャパシタC2に接続されることはない。そして、マイコン25は、図6に示すように、第1切替スイッチ制御信号SC1を、2検出周期ではなく、1検出周期のみ出力する。
【0056】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することができる。
【0057】
例えば、上述した実施形態では、マイコン25は、単一の電池セルを接続するための単一切替スイッチ制御信号SC1S、SC10S、直列電池セルの両端のみをキャパシタ回路22に接続するための切替スイッチ制御信号SC2〜SC9、及び直列電池セルとキャパシタ回路22のキャパシタの直列接続体の両端及び接続端同士を接続するための切替スイッチ制御信号SC1、SC2など各切替スイッチ制御信号の種類を問わず、各切替スイッチ制御信号を同じ出力期間tだけ出力する例について説明した。そして、この場合、上述したように、単一の電池セルB1、B10を単一のキャパシタC2に接続した後に、直列電池セルB0とB1、B10とB11をキャパシタ回路22に接続するとき、2検出周期に渡って、切替スイッチ制御信号SC1、SC10を出力することで、直列電池セルB0とB1、B10とB11によるキャパシタ回路22の充電時間Tを通常の充電時間tよりも長くした。
【0058】
しかしながら、切替スイッチ制御信号の出力期間(キャパシタの充電時間)tとサンプリングスイッチ制御信号の出力期間(電圧検出部による検出期間)とによって規定される一定の検出周期を繰り返す構成に代えて、マイコン25が一検出周期内の切替スイッチ制御信号の出力期間を変化させる構成を採用しても良い。すなわち、マイコン25は、各キャパシタC1、C2の充電電圧の極性が逆極性となっている状態で、直列電池セルB0とB1、B10とB11をキャパシタ回路22に接続するときには、一検出周期内において、切替スイッチ制御信号SC1、SC10の出力期間を、他の切替スイッチ制御信号SC2〜SC9の出力期間の(2k+1)倍以上に長くしても良い。
【0059】
また、上述した実施形態では、2つのキャパシタC1,C2の直列接続体を用いるダブルフライングキャパシタ方式の電圧監視装置2を例として説明した。しかしながら、電圧監視装置2において、3つ以上のキャパシタの直列接続体を用いてもよい。この場合には、キャパシタの直列接続体に対して、同数の電池セルの直列接続体を接続して、3つ以上の各キャパシタを充電するように構成すればよい。そして、単一の電池セルによるいずれかのキャパシタの充電によって隣接する2つのキャパシタ間における充電電圧が互いに逆極性となっている状態で、電池セルの直列接続体の両端及び対応する接続点同士を接続する場合に、切替スイッチ制御信号の出力期間を、通常の出力期間よりも長くすればよい。
【符号の説明】
【0060】
1…組電池、2…電圧監視装置、22…キャパシタ回路、24…電圧検出部、24A〜24C…電圧検出回路、25…マイコン、C1,C2…キャパシタ、N1,N3…独立端、N2…接続端、SW0〜SW12…切替スイッチ、B0〜B11…電池セル
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】