(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2019144208
(43)【公開日】20190829
(54)【発明の名称】測定装置、及び、センサユニット
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/28 20060101AFI20190802BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20190802BHJP
   G01N 27/26 20060101ALI20190802BHJP
【FI】
   !G01N27/28 R
   !G01N27/416 366D
   !G01N27/416 366A
   !G01N27/26 371D
   !G01N27/26 381Z
   !G01N27/26 371A
   !G01N27/416 353F
   !G01N27/416 341N
   !G01N27/416 341M
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】2018031100
(22)【出願日】20180223
(71)【出願人】
【識別番号】592187534
【氏名又は名称】株式会社 堀場アドバンスドテクノ
【住所又は居所】京都府京都市南区吉祥院宮の西町31番地
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】森田 敏夫
【住所又は居所】京都府京都市南区吉祥院宮の西町31番地 株式会社堀場アドバンスドテクノ内
(72)【発明者】
【氏名】中岸 和也
【住所又は居所】京都府京都市南区吉祥院宮の西町31番地 株式会社堀場アドバンスドテクノ内
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電極種の異なる多数の測定用電極で同時に測定を行う場合でも、そのうちの一部の測定用電極から得られる物理量について比較表示やその記憶を行うことを可能とする測定装置を提供する。
【解決手段】複数の測定用電極と、複数の測定用電極がそれぞれ着脱可能に接続される複数の端子を具備し、接続されている複数の測定用電極により測定される物理量の値の一部又は全部を出力するセンサユニットと、を備え、センサユニットが、入力器に入力されるグループ設定データに基づいて、接続されている複数の測定用電極について1又は複数のグループを設定するグループ設定部と、グループ設定部で設定されたグループごとにそのグループに属する測定用電極で測定される物理量の値を記憶するデータロギング部と、を備えた。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体試料に対して接触させて設けられる複数の測定用電極と、
前記複数の測定用電極がそれぞれ着脱可能に接続される複数の端子を具備し、接続されている前記複数の測定用電極により測定される物理量の値の一部又は全部を出力するセンサユニットと、を備え、
前記センサユニットが、
入力器に入力されるグループ設定データに基づいて、接続されている前記複数の測定用電極について複数のグループを設定するグループ設定部と、
前記グループ設定部で設定されたグループごとにそのグループに属する測定用電極で測定される物理量の値を記憶するデータロギング部と、を備えたことを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記センサユニットが、
接続されている前記複数の測定用電極の状態をディスプレイに一覧表示する状態一覧表示部をさらに備えた請求項1記載の測定装置。
【請求項3】
前記複数の測定用電極が、少なくとも当該測定用電極の電極種を示す電極種データを記憶する電極メモリをそれぞれ備え、
前記センサユニットが、
前記複数の測定用電極が個別に接続される複数の端子と、
接続されている測定用電極の前記電極メモリから電極種データを読み出し電極種データ読出部と、をさらに備え、
前記状態一覧表示部が、各端子に接続されている測定用電極の電極種と、その電極種が測定している物理量の値をディスプレイに一覧表示する請求項2記載の測定装置。
【請求項4】
前記センサユニットが、
測定用電極で測定される物理量の上限閾値又は下限閾値を設定する閾値設定部と、
前記複数の測定用電極の少なくとも1つで測定される物理量が上限閾値又は下限閾値を超えた場合に警告を行う警告部と、をさらに備えた請求項1記載の測定装置。
【請求項5】
前記グループ設定部が、少なくとも1つのグループが既に設定されており、新たに別のグループが設定される場合において、まだグループに設定されていない測定用電極についてのみグループ設定データを受け付けるように構成されている請求項1記載の測定装置。
【請求項6】
前記グループ設定部が、まだグループに設定されていない測定用電極のみをディスプレイに表示し、当該ディスプレイに表示されている測定用電極についてのみグループ設定データを受け付けるように構成されている請求項5記載の測定装置。
【請求項7】
前記センサユニットが、
接続されている測定用電極の校正データを記憶する校正データ記憶部と、
入力器に入力される校正対象となる測定用電極を示す対象データに基づいて、校正対象の測定用電極の校正データを更新する校正部と、をさらに備え、
前記校正部が、前記データロギング部により物理量の値の記憶が行われていない測定用電極のみ校正データを更新するように構成されている請求項1記載の測定装置。
【請求項8】
前記校正部が、前記データロギング部により物理量の値の記憶が行われていない測定用電極のみをディスプレイに表示し、当該ディスプレイに表示されている測定用電極についてのみ対象データを受け付けるように構成されている請求項7記載の測定装置。
【請求項9】
前記状態一覧表示部が、前記測定用電極が接続されていない端子についてエラー表示をディスプレイに表示するように構成されている請求項3記載の測定装置。
【請求項10】
液体試料に対して接触させて設けられる複数の測定用電極がそれぞれ着脱可能に接続される複数の端子と、
入力器に入力されるグループ設定データに基づいて、接続されている前記複数の測定用電極について複数のグループを設定するグループ設定部と、
前記グループ設定部で設定されたグループごとにそのグループに属する測定用電極で測定される物理量の値を記憶するデータロギング部と、を備えたことを特徴とするセンサユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の測定用電極が接続され、各測定用電極で測定される物理量の値を記憶するセンサユニットを備えた測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば細胞培養や菌株のスクリーングのために用いられる多連培養システムでは、各培養槽内の培養液についてそれぞれpH、酸化還元電位(ORP)、溶存酸素(DO)、電気伝導率、等といった1又は複数種の電気化学的な物理量が測定装置によってモニタリングされる。
【0003】
測定装置は、測定したい物理量に応じて用いられる複数種の測定用電極と、複数の端子を具備し、複数種の測定用電極がそれぞれ同時に接続可能なセンサユニットと、を備えたものがある(特許文献1参照)。センサユニットは、当該測定用電極で測定される電圧値等に基づき、電極種に応じたpHやORP等の物理量を算出し、その値を表示又は記憶する。
【0004】
このような測定装置であれば、培養槽の多連数やモニタリングする物理量の種類が変更された場合でも、測定に使用する電極の数や電極種の組み合わせを自由に変更することは可能である。
【0005】
しかしながら、従来のマルチチャンネル型の測定装置では、各端子に接続される測定用電極の数や電極種が限定されないため、例えば複数の場所や複数の人でセンサユニットを共同利用し、特定のいくつかの測定用電極で得られる物理量だけを抽出するといった管理が行いにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3143631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述したような問題に鑑みてなされたものであり、電極種の異なる多数の測定用電極で同時に測定を行う場合でも、そのうちの一部の測定用電極から得られる物理量について記憶し、例えば比較表示を行うといったことを可能とする測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明に係る測定装置は、液体試料に対して接触させて設けられる複数の測定用電極と、前記複数の測定用電極がそれぞれ着脱可能に接続される複数の端子を具備し、接続されている前記複数の測定用電極により測定される物理量の値の一部又は全部を出力するセンサユニットと、を備え、前記センサユニットが、入力器に入力されるグループ設定データに基づいて、接続されている前記複数の測定用電極について複数のグループを設定するグループ設定部と、前記グループ設定部で設定されたグループごとにそのグループに属する測定用電極で測定される物理量の値を記憶するデータロギング部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るセンサユニットは、液体試料に対して接触させて設けられる複数の測定用電極がそれぞれ着脱可能に接続される複数の端子と、入力器に入力されるグループ設定データに基づいて、接続されている前記複数の測定用電極について複数のグループを設定するグループ設定部と、前記グループ設定部で設定されたグループごとにそのグループに属する測定用電極で測定される物理量の値を記憶するデータロギング部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
このようなものであれば、前記グループ設定部によって接続されている複数の測定用電極について任意の組み合わせでグループを設定し、そのグループごとにまとめて前記データロギング部がそのグループで測定される物理量の値を記憶することができる。
【0011】
したがって、前記センサユニットの複数の端子に対して接続される測定用電極の数や種類が用途に応じて変更されたとしても、それに応じて適宜グループを設定することで、例えば簡単に注目したい物理量同士を比較したり、特定のグループで測定されている物理量の値だけをグラフ表示したりすることが容易になる。
【0012】
具体的には、前記センサユニットに接続される複数の測定用電極が多数であり、電極種が様々であったとしても、前記センサユニットに対して測定用電極を接続する順番や場所を予め定められた通りにしなくても、比較したい物理量を測定している測定用電極についてグループを接続後に設定するだけで、必要な比較データ等を容易に得ることができる。
【0013】
前記センサユニットに様々な電極種の測定用電極が多数接続されている場合でも、どのような接続状態となっているかをユーザが簡単に把握できるようにするには、前記センサユニットが、接続されている前記複数の測定用電極の状態をディスプレイに一覧表示する状態一覧表示部をさらに備えたものであればよい。
【0014】
多数の測定用電極を前記センサユニットに接続する場合でも、接続されている測定用電極の電極種や測定されている値について、ユーザが予め設定しなくても接続するだけですぐにディスプレイに表示されるようにするには、前記前記複数の測定用電極が、少なくとも当該測定用電極の電極種を示す電極種データを記憶する電極メモリをそれぞれ備え、前記センサユニットが、前記複数の測定用電極が個別に接続される複数の端子と、接続されている測定用電極の前記電極メモリから電極種データを読み出し電極データ読出部と、をさらに備え、前記状態一覧表示部が、各端子に接続されている測定用電極の電極種と、その電極種が測定している物理量の値をディスプレイに一覧表示する。
【0015】
測定用電極が設けられている測定対象において何らかの異常が発生したことなどを自動で検出できるようにして、ユーザに警告できるようにするには、前記センサユニットが、測定用電極で測定される物理量の上限閾値又は下限閾値を設定する閾値設定部と、前記複数の測定用電極の少なくとも1つで測定される物理量が上限閾値又は下限閾値を超えた場合に警告を行う警告部と、をさらに備えたものであればよい。
【0016】
多数の測定用電極が前記センサユニットに対して接続されている場合でも、ある測定用電極が誤って複数のグループに重複設定されないようにして、誤ったデータの組み合わせで比較が行われにくくするには、前記グループ設定部が、少なくとも1つのグループが既に設定されており、新たに別のグループが設定される場合において、まだグループに設定されていない測定用電極についてのみグループ設定データを受け付けるように構成されていればよい。
【0017】
どの測定用電極が既にグループに設定されているかを理解しやすくして、各測定用電極のグループ設定を容易に行えるようにするには、前記グループ設定部が、まだグループに設定されていない測定用電極のみをディスプレイに表示し、当該ディスプレイに表示されている測定用電極についてのみグループ設定データを受け付けるように構成されていればよい。
【0018】
前記データロギング部により測定されている物理量の値が記憶されている測定用電極について、途中で校正データが変更されて測定データの連続性が失われてしまうのを防ぐには、前記センサユニットが、接続されている測定用電極の校正データを記憶する校正データ記憶部と、入力器に入力される校正対象となる測定用電極を示す対象データに基づいて、校正対象の測定用電極の校正データを更新する校正部と、をさらに備え、前記校正部が、前記データロギング部により物理量の値の記憶が行われていない測定用電極のみ校正データを更新するように構成されていればよい。
【0019】
ユーザが現時点で測定が行われていない測定用電極を把握しやすくして、校正を行っても問題のない測定用電極についてのみ校正を実施できるようにするには、前記校正部が、前記データロギング部により物理量の値の記憶が行われていない測定用電極のみをディスプレイに表示し、当該ディスプレイに表示されている測定用電極についてのみ対象データを受け付けるように構成されていればよい。
【0020】
多数の測定用電極が前記センサユニットに対して接続されている場合に、一部に接続不良が発生している場合でもすぐにユーザが把握できるようにするには、前記状態一覧表示部が、前記測定用電極が接続されていない端子についてエラー表示をディスプレイに表示するように構成されていればよい。
【発明の効果】
【0021】
このように本発明に係る測定装置であれば、接続される多数の測定用電極の電極種が変更されたり、その数が変更されたりする場合でもグループに属する測定用電極を設定し、例えば必要なデータ同士を対にして記憶したり、比較したりすることができる。
【0022】
このため、前記センサユニットに対して前記測定用電極を接続する順番や場所を厳密に設定することが難しい用途であっても、前記センサユニットに対して前記測定用電極を接続した後で適宜グループを設定することでデータの比較等を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る測定装置を示す模式的斜視図。
【図2】同実施形態における測定装置の機能ブロック図。
【図3】同実施形態における状態一覧表示画面を示す模式図。
【図4】同実施形態におけるモード選択画面を示す模式図。
【図5】同実施形態におけるグループ選択画面を示す模式図。
【図6】同実施形態におけるグループが未設定の状態のグループ設定画面を示す模式図。
【図7】同実施形態におけるグループに設定された測定用電極がある場合の電気化学測定グループ設定画面を示す模式図。
【図8】同実施形態におけるグラフ表示画面を示す模式図。
【図9】同実施形態における閾値設定画面の一例を示す模式図。
【図10】同実施形態における閾値設定画面の別の例を示す模式図。
【図11】同実施形態における校正対象選択画面を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の一実施形態に係る測定装置100について各図を参照しながら説明する。
【0025】
本実施形態の測定装置100は、電気化学測定装置であって、例えば多連培養システムにおいて菌類のスクリーニングを行うために各培養槽内の電気化学的な状態をモニタリングするために用いられるものである。
【0026】
すなわち、図1に示すように測定装置100は、内部に液体試料に相当する培養槽が収容されたメジューム瓶M(測定セル)に対して取り付けられた測定用電極1と、複数の測定用電極1がそれぞれ接続されるセンサユニット2(コントローラ(制御部))と、センサユニット2へのユーザからの入力を受け付ける入力器であり、測定用電極1により測定されている物理量の値等が表示されるタッチパネルディスプレイ3と、を備えている。
【0027】
測定用電極1は、複数の電極種を含むものであり、図2に示すように、少なくともpH電極、ORP(酸化還元電位)電極、DO(溶存酸素)電極、COND(電気伝導率)等を含む。加えて、測定用電極1は、pH電極のように水素イオンに対して応答するものだけでなく、対象中の特定のイオンに対して応答するイオン電極であってもよい。具体的には測定用電極1は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等といった各種イオン電極であってもよい。また、1つのメジューム瓶Mに対して1又は複数の測定用電極1が、そのセンシング部が液体試料に相当する培養槽に接触するように設けられている。つまり、1つの培養槽に対して1種類の電気化学的な物理量が測定される場合と、複数種類の電気化学的な物理量が測定される場合もある。さらに各測定用電極1は自身の電極種を示す電極種データを記憶した電極メモリをそれぞれ備えている。
【0028】
センサユニット2は、図2に示すように、各測定用電極1が接続され、それぞれで測定される電気化学的な物理量の値を記憶したり、タッチパネルディスプレイ3等の外部機器へ出力したりするものである。当該センサユニット2は、測定用電極1が接続される複数の端子Tを備えたマルチチャンネル型のものであり、端子Tに接続された測定用電極1の電極種を自動的に判別し、それに応じた出力がされるようにしている。すなわち、測定用電極1の電極種によらず、どの端子Tに接続しても動作するように構成されている。また、各端子Tに対して各測定用電極1は接続コードを介して着脱可能に接続されており、必要に応じて測定用電極1の電極種を変更したり、電極の数を変更したりできるようにしてある。加えて、測定用電極1が菌類等のスクリーニングのために別々の複数の場所に設けられる場合や、各電気化学測定電極1で得られる測定値が複数人のユーザで別々に利用される場合でも、例えば20本までの電気化学測定電極1に対してセンサユニット2は1つだけ設けられ、共同利用される。
【0029】
このセンサユニット2は、端子Tに接続されている測定用電極1から得られる電圧からその電極種に応じた物理量の値を示す信号を出力する測定回路機構2Aと、測定用電極1で測定される物理量を記憶、又は、表示する機能等を実現する演算制御機構2Bと、を備えている。
【0030】
測定回路機構2Aは、測定用電極1が接続される端子Tごとにチャンネルを構成するものである。各チャンネルは、端子Tに接続されている測定用電極1の電極種データを読み出す電極メモリから読み出す電極種データ読出部21と、端子Tに接続されている測定用電極1から得られる電圧値に基づいて、電極種データ読出部21で読み出された電極種の物理量を出力する測定回路22と、を備えている。
【0031】
測定回路22は、例えば接続され得る電極種であるpH用回路、ORP用回路、DO用回路、COND用回路等を具備しており、電極種データ読出部21で読み出された電極種に応じた回路に切り替えられる。また、測定回路22はそれぞれ後述する校正データ記憶部2Mに記憶されている校正データを参照し、その校正データに基づいて測定されている電圧からpH、ORP、DO、COND等の物理量の値を示すアナログ信号を出力する。
【0032】
演算制御機構2Bは、A/D・D/A/コンバータ、CPU、メモリ等を備えたいわゆるコンピュータであって、メモリに格納されているプログラムが実行され、各種機器と協業することにより、少なくとも状態一覧表示部23、データロギング部24、グループ設定部25、測定データ表示部26、校正部29、校正データ記憶部2M、閾値設定部27、警告部28としての機能を発揮する。
【0033】
各部について詳述する。
【0034】
状態一覧表示部23は、タッチパネルディスプレイ3に各端子Tに接続されている測定用電極1の状態を位置画面中に表示するものである。本実施形態ではセンサユニット2は20個の端子Tを備えており、状態一覧表示部23は図3に示すように、電気化学測定用端子Tが接続されている端子Tだけでなく、接続されていない端子Tの状態を含めて一画面中に一覧表示する。図3に示すように、接続されている測定用電極1の電極種に応じて状態一覧表示部23はそれぞれ表示態様を変えており、どのチャンネルがどの種類の電気化学的な物理量を測定しているかと現時点での測定値がユーザに判別できるようにしてある。本実施形態ではCh1、Ch11、Ch17にはpH電極が接続され、Ch3、Ch7、Ch13、Ch19にはORP電極が接続され、Ch2、Ch8、Ch12、Ch18にはDO電極が接続され、Ch4、Ch9、Ch10、Ch14、Ch20にはCOND電極が接続されている状態を示している。なお、Ch5、Ch15には測定用電極1が接続されているものの何らかの接続不良が発生しているため、どの電極種であるかと測定値が表示されていない。また、Ch6、Ch16は予め使用しないように設定されているので、無表示となっている。
【0035】
データロギング部24は、図2に示すように各チャンネルから出力される各測定用電極1で測定されている物理量の値を示す信号に基づいて、各端子Tに接続された測定用電極1で測定される物理量についてチャンネルごとに例えば時系列データとして記憶するものである。なお、記憶されている時系列データには、チャンネルの番号を示す識別子、電極種又は物理量の種類を示す識別子、がそれぞれ紐付けられている。データロギング部24は、例えば各チャンネルから入力される測定された物理量の値についてリングバッファにより現時点の値から所定サンプリング周期前までのデータ点数を一時記憶し、タッチパネルディスプレイ3を介してユーザから指定された測定用電極1についてはハードディスクやフラッシュメモリ等の不揮発性メモリに記憶する。
【0036】
グループ設定部25は、タッチパネルディスプレイ3によってユーザから入力されるグループ設定データに基づいて、接続されている前記複数の測定用電極1について複数のグループを設定する。ここで、本実施形態ではグループ設定部25は、1つのグループに対して電極種の異なる複数の測定用電極1を含むように設定可能である。
【0037】
具体的には図4に示すモード選択画面においてユーザがデータのロギングに関する設定を行うためのLoggingアイコンを選択した場合に、グループ設定部25は図5に示すようにどのグループを設定するかをユーザが選択するためのグループ選択画面をタッチパネルディスプレイ3に表示する。図5に示す画面においてLog Aのグループがユーザにより選択され、例えばいずれの測定用電極1についてもグループに割り当てられていない場合には、図6に示すようにグループ設定部25は、すべてのチャンネルが表示された状態のグループ設定画面を表示する。
【0038】
ユーザはタッチパネルディスプレイ3において表示されているグループ設定画面のチャンネルの番号を選択することで、グループ設定部25は、LogAのグループに対して複数の測定用電極1を割り当てる。
【0039】
また、LogAのグループが設定された状態においてさらにLogBのグループについてユーザが設定する場合には、グループ設定部25は図7に示すように既にLogAのグループに設定されている測定用電極1のチャンネルについては例えば非表示にしたグループ設定画面を表示する。このようにして、グループ設定部25はまだグループに設定されていない測定用電極1についてのみユーザからのタッチパネルディスプレイ3を介したグループ設定信号の入力を受け付けるように構成してある。ここで、非表示にするとは例えば図6に示すようにチャンネルの表示を点線表示するだけでなく、全く表示しないようにすることを含み得る。なお、グループ設定部25は、どのような場合でも全てのチャンネルについて表示するようにして、既にグループに設定されている測定用電極1のチャンネルがユーザに選択された場合には、エラー表示を出す、あるいは、そもそも反応しないようにしてグループ設定信号を受け付けないようにしてもよい。
【0040】
なお、グループ設定部25で設定された各グループに属する測定用電極1で測定される各物理量の値の時系列データについては、データロギング部24がフラッシュメモリやハードディスク等の不揮発性メモリに対して保存し続ける。いずれのグループにも属していない測定用電極1については、リングバッファによって測定されている物理量の値が一時記憶される。
【0041】
測定データ表示部26は、グループ設定部25に設定されているグループに含まれている複数の測定用電極1で測定されている、あるいは、既に測定されたデータを比較可能に表示するものである。本実施形態では測定データ表示部26は、データロギング部24に記憶されている各チャンネルの測定用電極1で測定された物理量の値の時系列データについてグループごとに比較可能にグラフ表示するものである。すなわち、測定データ表示部26は図8に示すグラフ表示画面を示すものであり、選択されたグループについてpH、ORP、DO、CONDごとにグラフ表示するものである。例えばLogAのグループが選択された状態で表示する物理量の種類がpHに選択されている場合には、測定データ表示部26は、データロギング部24に記憶されている各チャンネルの時系列データのうち、LogAの識別子と、pHの識別子が紐付けられているCh1とCh11の時系列データのグラフを画面に表示する。すなわち、多数の測定用電極1がセンサユニット2に接続されている場合でも、ユーザにより設定されたグループに属する測定用電極1で測定された物理量のみが表示される。このようにして、グループが設定されるので、比較を行いたい複数の測定用電極1の測定結果についてだけ表示することができる。
【0042】
次に各チャンネルで測定されている値に例えば異常値が検出された場合に、ユーザに対して警告を表示するための構成である閾値設定部27と警告部28について説明する。
【0043】
閾値値設定部27は、図4のモード選択画面においてLimit Alarmのアイコンが選択されると、図9の閾値設定画面をタッチパネルディスプレイ3に対して表示する。この閾値設定画面は、選択されている電極種が接続されているチャンネルについては実線表示され、選択されている電極種とは異なる電極種が接続されているチャンネル、あるいは、電極種が認識できないチャンネルについては非表示となる。ユーザが、実線表示されているチャンネルのうち、異常値であると判定するための上限閾値又は下限閾値を設定したいチャンネルを選択すると、図示しない数値設定画面に遷移し、選択された各チャンネルに対して同じ値の上限閾値又は下限閾値を設定できる。
【0044】
図9の閾値設定画面では閾値を設定する電極種をpHに設定しているので、本実施形態ではCh1、CH11、Ch17のみが選択可能に実線表示される。また、例えば閾値を設定する電極種としてORPが選択されている場合には、図10に示すようにCh7、Ch13、Ch19のみが選択可能に実線表示される。すなわち、対応する電極種のみについて閾値設定部27はユーザから入力される閾値設定信号を受け付けるように構成してある。
【0045】
警告部28は、現時点で各チャンネルにおいて測定されている値が設定されている上限閾値又は下限閾値を超えた場合にユーザに対して例えばアラーム音によって警告する。なお、警告部28は、状態一覧表示部23において表示される各チャンネルの状態表示が変化させたり、警告メッセージをタッチパネルディスプレイ3に表示したりするように構成してもよい。
【0046】
次に各測定用電極1の校正データを更新するための構成である校正部29について説明する。
【0047】
校正部29は、図3乃至5におけるCALアイコンがユーザにより選択された場合に、図11に示す校正対象選択画面をタッチパネルディスプレイ3に表示する。校正対象選択画面では、選択されている電極種のうち、データロギング部24において測定値の記憶が現在行われていないチャンネルのみが実線表示される。図11の例ではDO電極が接続されているチャンネルはCh2、Ch8、Ch12、Ch18であるが、Ch2についてはデータロギング部23による測定データの記憶が行われているため、Ch2については非表示の状態となっている。実線表示されているチャンネルの番号がユーザによって選択されることで校正対象となる測定用電極1を示す対象データが入力される。次にユーザは各測定用電極1を対応する標準液に浸漬させた状態にする。校正部29は対象データに示される測定用電極1が接続されているチャンネルの現在の測定値により校正データ記憶部2Mに記憶されている校正データを更新する。なお、校正データが更新される前にユーザに対してタッチパネルディスプレイ3上には校正対象の測定用電極1で測定されている物理量の値が表示され、この値で校正してもよいかどうかの入力を校正部29は促すようにしてある。
【0048】
このように本実施形態の測定装置100によれば、センサユニット2のいずれの端子Tに測定用電極1が接続されても自動で電極種が把握され、その電極種に応じた物理量の値を得ることができるので、例えば多連培養システムにおいて培養槽の数が増減しても、その増減に応じて接続する測定用電極1の数を増減させることができる。
【0049】
また、モニタリングしたい物理量の種類が変化した場合には、接続する電極種を変更するだけで、特にユーザが設定を変更することなく対応することが可能となる。
【0050】
これらのことから、スクリーニングの状況に応じて測定用電極1の数や電極種を簡単に適宜変更することができる。
【0051】
また、上記のように測定装置100の電極構成が自由に変更されるものであっても、グループ設定部25により複数の測定用電極1をグループに設定することができ、任意の測定用電極1の組み合わせで測定値の比較を簡単に行うことができる。
【0052】
したがって、装置としての自由度を高くしながら、特定の測定用電極1について測定データを比較可能な形で収集したり、抽出してグラフ表示したりすることができる。また、複数人のユーザによって本実施形態の測定装置100を共有して、それぞれのスクリーニング作業に用いている測定用電極1ごとにグループを設定するといったこともできる。この場合、1つの測定装置100で複数種類のスクリーニングを並行して実施しても、チャンネル番号を連番で割り振るなどしなくても、それぞれのデータを整理した形で収集、表示することができる。
【0053】
その他の実施形態について説明する。
【0054】
グループの設定数については、前記実施形態では3つの場合を示したが、例えば2つのグループを設定できるものであってもよいし、4以上のグループを設定できてもかまわない。
【0055】
電極種の表示態様は例えば色だけでなく、表示枠の形をそれぞれ異ならせてもよい。
【0056】
閾値設定部、又は、校正部についてもグループを選択できるようにして、グループ内に属している測定用電極についてのみ閾値の設定、又は、校正データの更新が行われるようにしてもよい。
【0057】
端子に接続される測定用電極の電極種については自動認識されるものに限られず、ユーザの入力に基づいて適宜設定されるものであってもかまわない。また、測定用電極として例えば蛍光式溶存酸素計や電磁誘導式電気伝導率計を用いて、それぞれがセンサユニットの端子に接続されるように構成してもよい。
【0058】
各端子については全ての種類の測定用電極が接続可能に構成されているものに限られず、一部の端子については接続可能な測定用電極の種類が一部に制限されている、あるいは、1種類の限定されているものであってもかまわない。
【0059】
タッチパネルディスプレイの代わりに通常のディスプレイと、キーボード等の入力器を用いてもかまわない。
【0060】
本発明に係る測定装置は、菌類のスクリーニングの用途に限られるものではなく、細胞培養や発酵状態のモニタリング用途やその他の電極数や電極種が変更され得る液体試料の特性に関するモニタリング用途に対しても好適に用いることができる。なお、本明細書において液体試料は粘性の小さい物に限られず、ゾルやゲル等のように粘性の高いものも含む概念である。
【0061】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な実施形態の組み合わせや変形を行ってもかまわない。
【符号の説明】
【0062】
100・・・測定装置
1 ・・・測定用電極
2 ・・・センサユニット
3 ・・・タッチパネルディスプレイ
21 ・・・電極データ読出部
22 ・・・測定回路
23 ・・・状態一覧表示部
24 ・・・データロギング部
25 ・・・グループ設定部
26 ・・・測定データ表示部
27 ・・・閾値設定部
28 ・・・警告部
29 ・・・校正部
2M ・・・校正データ記憶部
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】