(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2019144239
(43)【公開日】20190829
(54)【発明の名称】流体取扱装置および金型
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/08 20060101AFI20190802BHJP
   B29C 33/10 20060101ALI20190802BHJP
【FI】
   !G01N35/08 A
   !B29C33/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】2019023314
(22)【出願日】20190213
(31)【優先権主張番号】2018027892
(32)【優先日】20180220
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
【住所又は居所】埼玉県川口市並木2丁目30番1号
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】野口 幸二
【住所又は居所】埼玉県川口市並木2丁目30番1号 株式会社エンプラス内
【テーマコード(参考)】
2G058
4F202
【Fターム(参考)】
2G058AA05
2G058CA01
2G058CA02
2G058CA05
2G058CC01
2G058CC03
2G058CC18
2G058CE02
2G058EA01
4F202AH63
4F202CA30
4F202CP04
4F202CP05
4F202CP10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ケースの内周面の形状を容易に、かつ正確に修正できる流体取扱装置を提供する。
【解決手段】流体取扱装置100は、ケース110および収容部120を有する。収容部120は、略円筒状に形成された側壁と、複数のチャンバー122と、複数の連通孔123と、を含む。ケース110の内周面は、回転軸を取り囲み、ケース110の底部に向かうにつれて回転軸に近づくようにそれぞれ傾斜した複数の分割内周面と、隣接する2つの分割内周面の間に配置された段差面と、を含む。収容部120の外周面126の少なくとも一部は、ケース110の複数の分割内周面に接触する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底のケースと、
外周面が前記ケースの内周面に接触しつつ、回転軸を中心として回転可能に収容された収容部と、を有し、
前記収容部は、
略円筒状に形成された側壁と、
前記側壁の内部に形成された複数のチャンバーと、
前記側壁の外側と前記複数のチャンバーのいずれかとを連通する複数の連通孔と、
を含み、
前記ケースの前記内周面は、
前記回転軸を取り囲み、前記ケースの底部に向かうにつれて前記回転軸に近づくようにそれぞれ傾斜した複数の分割内周面と、
隣接する2つの前記分割内周面の間に配置された段差面と、
を含み、
前記収容部の前記外周面の少なくとも一部は、前記ケースの前記複数の分割内周面のいずれかに接触する、
流体取扱装置。
【請求項2】
前記ケースの前記内周面は、前記段差面と、当該段差面に対して前記ケースの底部側に隣接する前記分割内周面との間に、前記収容部の前記外周面から離間した外側離間面をさらに有する、請求項1に記載の流体取扱装置。
【請求項3】
前記回転軸を含む断面において、前記外側離間面は、前記回転軸と平行である、請求項2に記載の流体取扱装置。
【請求項4】
隣接する2つの前記分割内周面において、前記ケースの底部側の前記分割内周面における前記回転軸に対する傾斜角度は、前記ケースの開口部側の前記分割内周面における前記回転軸に対する傾斜角度よりも大きい、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体取扱装置。
【請求項5】
前記収容部の前記外周面は、
前記回転軸を取り囲み、前記ケースの底部に向かうにつれて前記回転軸に近づくようにそれぞれ傾斜し、前記複数の分割内周面にそれぞれ接触する複数の分割外周面と、
隣接する2つの前記分割外周面の間に前記ケースの前記内周面から離間した内側離間面と、を有し、
少なくとも1つの前記分割外周面には、前記連通孔が開口している、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の流体取扱装置。
【請求項6】
前記複数の分割内周面のそれぞれにおいて、
前記分割内周面の前記ケースの開口部側の端部は、当該分割内周面と接触する前記分割外周面の前記開口部側の端部よりも前記開口部側に配置されており、
前記分割内周面の前記ケースの底部側の端部は、当該分割内周面と接触する前記分割外周面の前記底部側の端部よりも前記底部側に配置されている、
請求項5に記載の流体取扱装置。
【請求項7】
請求項1に記載の流体取扱装置の前記ケースを成形するための金型であって、
前記分割内周面を成形するための第1金型面をそれぞれ有する複数の分割駒を有し、
前記複数の分割駒は、前記回転軸に対応する方向に重ねられ、
前記複数の分割駒のうちの少なくとも1つの分割駒は、前記段差面を成形するための第2金型面を有し、
前記第2金型面を有する前記分割駒と、当該分割駒に隣接する前記分割駒との分割面は、前記第2金型面と同一平面上に位置する、
金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体取扱装置および金型に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、血液、タンパク質、DNAなどの生体物質は、試薬との混合や、加熱、冷却、検出などの工程を行うことで解析される。近年、このような複数の工程を連続して行うためのデバイスが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、インサート(収容部)と、インサートを回転可能に収容するカートリッジ本体(ケース)とを有するマルチチャンバ型回転バルブ(流体取扱装置)が記載されている。インサートは、内部に形成された複数のチャンバーを有している。インサートの側壁には、各チャンバーに対応して形成された複数の貫通孔がそれぞれ形成されている。カードリッジ本体の側壁には、貫通孔に対応する高さにシリンジを挿入可能な挿入口が形成されている。なお、各チャンバーには、解析に必要な試薬や検体などの液体が予め充填されている。
【0004】
特許文献1に記載のマルチチャンバ型回転バルブでは、例えば、シリンジを挿入口から第1チャンバーに対応した第1貫通孔に挿入して、第1チャンバーに充填されている検体をシリンジ内に吸引する。次いで、第2チャンバーに対応した第2貫通孔を挿入口に合わせるようにインサートを周方向に回転させ、第2チャンバーに充填されている試薬をシリンジ内に吸引する。これにより、シリンジ内で検体および試薬が混合される。また、検体および試薬の混合液を加熱する場合には、シリンジ内の混合液を加熱用の第3チャンバーに吐出して、マルチチャンバ型回転バルブを加熱装置などで加熱することで混合液を加熱する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2012−522996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のマルチチャンバ型回転バルブは、解析毎に交換する必要があるため、樹脂材料を用いた射出成形によって安価に製造されることがある。このようなマルチチャンバ型回転バルブでは、操作時の液体漏れ防止する観点から、インサートの外周面およびカートリッジ本体の内周面が密着するように精度よく製造する必要がある。この場合、インサートの外周面およびカートリッジ本体の内周面に対応する金型の対応面を調整することで、インサートの外周面およびカートリッジ本体の内周面の形状を修正すると考えられる。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のマルチチャンバ型回転バルブでは、カートリッジ本体の内周面が単一の曲面であるため、形状を修正すべき箇所の位置および形状を高精度に特定することが困難であり、それに伴って金型の対応面における調整も困難であった。このため、例えば、カードリッジ本体の内周面の一部分の形状を修正するために、当該部分に対応する対応面だけでなく、その周囲の調整が不要な他の面まで調整しなければならないことがあった。さらには、カードリッジ本体の内周面の一部分のみを修正する場合であっても、その対応面全体を修正することまであった。
【0008】
本発明の目的は、ケースの内周面の形状を容易に、かつ正確に修正できる流体取扱装置を提供することである。また、本発明の別の目的は、この流体取扱装置のケースを成形するための金型を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の流体取扱装置は、有底のケースと、外周面が前記ケースの内周面に接触しつつ、回転軸を中心として回転可能に収容された収容部と、を有し、前記収容部は、略円筒状に形成された側壁と、前記側壁の内部に形成された複数のチャンバーと、前記側壁の外側と前記複数のチャンバーのいずれかとを連通する複数の連通孔と、を含み、前記ケースの前記内周面は、前記回転軸を取り囲み、前記ケースの底部に向かうにつれて前記回転軸に近づくようにそれぞれ傾斜した複数の分割内周面と、隣接する2つの前記分割内周面の間に配置された段差面と、を含み、前記収容部の前記外周面の少なくとも一部は、前記ケースの前記複数の分割内周面のいずれかに接触する。
【0010】
本発明の金型は、本発明の流体取扱装置の前記ケースを成形するための金型であって、前記分割内周面を成形するための第1金型面をそれぞれ有する複数の分割駒を有し、前記複数の分割駒は、前記回転軸に対応する方向に重ねられ、前記複数の分割駒のうちの少なくとも1つの分割駒は、前記段差面を成形するための第2金型面を有し、前記第2金型面を有する前記分割駒と、当該分割駒に隣接する前記分割駒との分割面は、前記第2金型面と同一平面上に位置する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の流体取扱装置は、ケースの内周面の形状を容易に、かつ正確に修正できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1A〜Dは、実施の形態1に係る流体取扱装置の構成を示す図である。
【図2】図2A〜Dは、ケースの構成を示す図である。
【図3】図3A、Bは、ケースの構成を示す他の図である。
【図4】図4A〜Cは、収容部の構成を示す図である。
【図5】図5A、Bは、実施の形態2に係る流体取扱装置におけるケースの構成を示す図である。
【図6】図6A〜Dは、実施の形態3に係る流体取扱装置におけるケースの構成を示す図である。
【図7】図7A〜Dは、実施の形態3に係る流体取扱装置における収容部の構成を示す図である。
【図8】図8A、Bは、ケースを成形するための金型の構成を示す図である。
【図9】図9A、Bは、実施の形態4に係る流体取扱装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施の形態に係る流体取扱装置について、添付した図面を参照して説明する。
【0014】
[実施の形態1]
(流体取扱装置の構成)
図1A〜Dは、流体取扱装置100の構成を示す図である。図1Aは、流体取扱装置100の平面図であり、図1Bは、右側面図であり、図1Cは、図1Aに示されるA−A線の断面図であり、図1Dは、図1Aに示されるB−B線の断面図である。なお、図1C、Dでは、収容部120は断面ではなく側方から見た様子を示している。
【0015】
図1A〜Dに示されるように、流体取扱装置100は、有底のケース110と、収容部120とを有する。流体取扱装置100は、ケース110内に収容部120を収容した状態で使用される。このとき、収容部120の外周面126の少なくとも一部は、ケース110の内周面131の一部(後述する複数の分割内周面132のいずれか)に接触している。流体取扱装置100は、ケース110に対して収容部120を摺接させながら間欠的に回転させつつ、シリンジを用いて試薬や検体などの液体や気体を含む流体を操作して、例えば、検体中の被検出物質を解析するために使用される。
【0016】
ケース110および収容部120は、それぞれ別体として形成され、組み立てることで流体取扱装置100となる。ケース110および収容部120の製造方法は、特に限定されない。ケース110および収容部120は、製造コストの観点から、いずれも樹脂材料を用いた射出成形で製造されることが好ましい。ケース110および収容部120の材料は、解析に使用される耐試薬性を有し、かつ解析時の温度で変形しなければ特に限定されない。ケース110および収容部120の材料の例には、ポリプロピレン(PP)、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)、ポリカーボネート(PC)が含まれる。
【0017】
図2A〜Dおよび図3A、Bは、ケース110の構成を示す図である。図2Aは、ケース110の平面図であり、図2Bは、右側面図であり、図2Cは、図2Bに示されるB−B線の断面図であり、図2Dは、図2Bに示されるC−C線の断面図である。図3Aは、図2Aに示されるA−A線の断面図であり、図3Bは、図3Aに示される領域Aの部分拡大断面図である。図3Bにおける一点鎖線は、回転軸RAに平行な仮想直線を示している。
【0018】
前述したように、ケース110は、回転軸RAを中心として収容部120を回転可能に収容する。図2A〜Dおよび図3A、Bに示されるように、ケース110は、台座111と、ケース本体112と、挿入部113と、外側連通孔114とを有する。
【0019】
台座111は、ケース本体112を設置するとともに、加熱冷却装置などの外部機器に対する設置部として機能する。台座111の上部には、ケース本体112が固定されている。台座111の中心部分には、台座111の表面および裏面にそれぞれ開口した孔115が形成されている。
【0020】
ケース本体112は、回転軸を中心として収容部120を回転可能に収容する。ケース本体112は、円筒状に形成されている。ケース本体112には、シリンジを挿入するための挿入部113と、収容部120の第2連通孔142(後述)に連通する外側連通孔114が配置されている。
【0021】
ケース本体112の内周面131は、複数の分割内周面132と、段差面133とを有する。ケース本体112の内周面131は、全体として、ケース110の底部の中央部分に向かってわずかに傾斜している。
【0022】
複数の分割内周面132は、それぞれ、回転軸RAを取り囲むように形成されている。複数の分割内周面132は、収容部120をケース110内に組み込んだ状態では、それぞれ対応する収容部120の分割外周面127と接触する。
【0023】
複数の分割内周面132は、それぞれ、ケース110の底部(台座111側)に向かうにつれて回転軸RAに近づくように傾斜している。分割内周面132の回転軸RAに対する傾斜角度θ1は、特に限定されない。分割内周面132の回転軸RAに対する傾斜角度θ1は、ケース110および収容部120を組立てしやすくする観点と、ケース110と収容部120との間に潤滑剤(例えば、グリース)を塗布した際に潤滑剤が押し出されにくくする観点とからは、1〜3°程度が好ましい。本実施の形態では、分割内周面132の回転軸RAに対する傾斜角度θ1は、いずれも2°である。
【0024】
回転軸RAを含む断面における分割内周面132の形状は、測定のしやすさ、誤差に対するロバスト性、加工精度、加工難易度などの観点から、直線状が好ましい。すなわち、分割内周面132の形状は、逆円錐台形の側面の形状であることが好ましい。
【0025】
分割内周面132の数は、複数であれば特に限定されない。分割内周面132の数は、2つでもよいし、それ以上でもよい。本実施の形態では、分割内周面132の数は、3つである。
【0026】
回転軸RAに沿う方向における分割内周面132の長さ(高さ)は、回転軸RAに沿う方向における分割外周面127の長さ(高さ)以上であることが好ましい。本実施の形態では、上段に位置する分割内周面132(図2Dにおいては、紙面上方を上方向とする)の長さは、対応する分割外周面127の長さと同じであり、それ以外の回転軸RAに沿う方向における分割内周面132の長さは、回転軸RAに沿う方向における分割外周面127の長さより大きい。
【0027】
段差面133は、回転軸RAを取り囲むように、隣接する2つの分割内周面132の間に配置されている。段差面133は、収容部120をケース110内に組み込んだ状態では、収容部120と接触していてもよいし、離間していてもよい。本実施の形態では、段差面133は収容部120と接触している。
【0028】
回転軸RAを含む断面において、段差面133の回転軸RAに対する傾斜角度θ2(段差面133と回転軸RAとのなす角度θ2)は、隣接する2つの分割内周面132の傾斜角度θ1より大きければ特に限定されないが、段差面133と隣接する2つの分割内周面132との間に明瞭な稜線が形成される角度であることが好ましい。本実施の形態では、回転軸RAを含む断面において、段差面133の回転軸RAに対する傾斜角度θ2は、90°である。段差面133と分割内周面132との間の稜線は、後述する射出成形に使用される金型を微調整するための基準位置となりえる。
【0029】
段差面133の回転軸RAに沿う方向における長さは、分割内周面132の回転軸RAに沿う方向における長さに応じて設定される。
【0030】
段差面133の数は、1または2以上であり、分割内周面132の数に応じて設定される。分割内周面132が2つの場合には、段差面133の数は1つであり、分割内周面132が3つの場合には、段差面133の数は2つである。本実施の形態では、分割内周面132が3つであるため、段差面133の数は2つである。段差面133の数は、分割内周面132の数より1つ小さいことが好ましい。すなわち、複数の分割内周面132のそれぞれの間に段差面133が1つずつ配置されていることが好ましい。
【0031】
挿入部113は、筒状に形成されている。挿入部113の内面の形状は、シリンジと略相補的な形状が好ましい。挿入部113は、シリンジの先端が挿入部113の内側開口部まで挿入できるように構成されている。挿入部113の外側開口部の形状は、シリンジの外形と相補的な形状である。挿入部113は、収容部120に形成された第1連通孔141(後述)に対応する位置に形成されている。
【0032】
外側連通孔114は、ケース本体112に形成されている。外側連通孔114は、収容部120に形成された少なくとも一部の第2連通孔142(後述)に対応する位置に形成されている。外側連通孔114の数は、特に限定されない。本実施の形態では、ケース110は、上段に位置する分割外周面127に形成された複数の第2連通孔142に対応する高さに形成された1つの外側連通孔114と、中段に位置する分割外周面127に形成された複数の第2連通孔142に対応する高さに形成された1つの外側連通孔114とを有している。これら2つの外側連通孔114は、回転軸RAに沿う方向に配置されている。
【0033】
図4A〜Cは、収容部120の構成を示す図である。図4Aは、収容部120の平面図であり、図4Bは、正面図であり、図4Cは、右側面図である。
【0034】
収容部120は、ケース110に摺接しつつ、回転軸RAを中心として回転可能に収容される。収容部120は、底部が閉塞された略円筒形状である。回転軸RAに垂直な方向において、収容部120の外形の形状は、円形である。
【0035】
収容部120は、略円筒状の側壁121と、側壁121の内部に形成された複数のチャンバー122と、側壁121の外側と複数のチャンバー122のいずれかとを連通する複数の連通孔123とを有する。収容部120は、側壁121によりその外形が規定されている。また、収容部120は、内壁124により複数のチャンバー122が区画されているとともに、内壁124により円柱形状の内部孔125が区画されている。
【0036】
側壁121の外周面126は、複数の分割外周面127と、複数の内側離間面128とを有する。
【0037】
複数の分割外周面127は、それぞれ回転軸RAを取り囲むように形成されている。複数の分割外周面127は、収容部120をケース110内に組み込んだ状態では、それぞれケース110の分割内周面132と接触する。回転軸RAに沿う方向における分割外周面127の長さは、分割内周面132と接触する領域において連通孔123が開口できれば特に限定されない。また、回転軸RAに沿う方向における複数の分割外周面127の長さは、それぞれ同じでもよいし、それぞれ異なっていてもよい。本実施の形態では、上段に位置する分割内周面132(図4B、Cにおいては、紙面上方を上方向とする)の長さは、対応する分割外周面127の長さと同じであり、それ以外の回転軸RAに沿う方向における分割内周面132の長さは、回転軸RAに沿う方向における分割外周面127の長さより大きい。
【0038】
分割外周面127は、ケース110の底部に向かうにつれて回転軸RAに近づくように傾斜している。分割外周面127の回転軸RAに対する傾斜角は、対応する分割内周面132の回転軸RAに対する傾斜角と同じであることが好ましい。分割外周面127の数は、分割内周面132の数と同じであることが好ましい。少なくとも一部の分割外周面127には、連通孔123が開口している。
【0039】
内側離間面128は、回転軸RAを取り囲むように、隣接する2つの分割外周面127の間に接続面を介して配置されている。内側離間面128は、収容部120をケース110内に組み込んだ状態では、ケース110のいずれの面とも接触していない。回転軸RAに沿う方向における内側離間面128の長さは、分割外周面127の長さに応じて設定される。内側離間面128は、回転軸RAに対して傾斜していてもよいし、回転軸RAと平行でもよい。
【0040】
内側離間面128の数は、1または2以上であり、分割外周面127の数に応じて設定される。分割外周面127が2つの場合には、内側離間面128の数は1つであり、分割外周面127が3つの場合には、内側離間面128の数は2つである。本実施の形態では、分割外周面127が3つであるため、内側離間面128の数は、2つである。内側離間面128の数は、分割外周面127の数より1つ小さいことが好ましい。すなわち、分割外周面127のそれぞれの間に内側離間面128が1つずつ配置されていることが好ましい。
【0041】
チャンバー122は、検体や試薬などの液体や気体などの流体を一時的に保管するとともに、流体などを反応させる反応槽としても機能する。チャンバー122の数は、特に限定されない。チャンバー122の数は、解析に必要な工程に応じて適宜設定できる。本実施の形態では、チャンバー122の数は、10個である。各チャンバー122の大きさも特に限定されない。各チャンバー122は、同じ大きさでもよいし、それぞれ異なる大きさでもよい。本実施の形態では、図4Aにおける紙面上側半分の複数のチャンバー122と、紙面下側半分の複数のチャンバー122のそれぞれに対応した紙面下側半分の複数のチャンバー122とのそれぞれは、同じ形状である。すなわち、本実施の形態では、複数のチャンバー122は、回転軸RAを含む断面を境界に対称となるように形成されている。
【0042】
連通孔123は、側壁121に形成されている。連通孔123は、側壁121の外側とチャンバー122を繋いでいる。本実施の形態では、連通孔123の形状は、直線状である。連通孔123の数は、特に限定されない。連通孔123の数は、流体取扱装置100の仕様に応じて適宜設定できる。連通孔123は、第1連通孔141と、第2連通孔142と、を含む。
【0043】
第1連通孔141は、チャンバー122に対する流体の出し入れに使用される。本実施の形態では、複数の第1連通孔141は、最も底部側の分割外周面127に形成されている。第1連通孔141の数は、チャンバー122の数と同じである。
【0044】
第2連通孔142は、空気孔などとして使用される。本実施の形態では、複数の第2連通孔142は、最も開口部側(上段)の分割外周面127および中段の分割外周面127に形成されている。第2連通孔142の数は、チャンバー122の数と同じである。
【0045】
なお、特に図示しないが、収容部120は、各チャンバー122の開口部の少なくとも一部を塞ぐ蓋を有していてもよい。
【0046】
流体取扱装置100では、例えば、挿入部113にシリンジを挿入して、第1連通孔141を介して、チャンバー122内の液体を吸引する。このとき、第2貫通孔142は、空気孔として機能する。次いで、回転軸RAを中心として、収容部120をケース110に対して回転させる。このとき、ケース110の分割内周面132は、収容部120の分割外周面127に接触する。次いで、シリンジ内の液体をチャンバー122内に吐出する。このように、流体取扱装置100では、液体をチャンバー122に対して出し入れするときに、第2貫通孔が空気孔として機能する。また、ケース110の分割内周面132と、収容部120の分割外周面127とが摺接するため、液漏れが生じない。
【0047】
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る流体取扱装置100では、ケース110の内周面131が複数の分割内周面132に区分けされている。このため、例えば、射出成形でケース110を製造した場合、最上部と底部の間に位置する分割内周面132の形状のみを修正したくなったときであっても、他の分割内周面132に対応する金型の対応面を調整せずに、目的の分割内周面132に対応する金型の対応面のみを容易に調整できる。
【0048】
また、ケースの内周面が複数の分割内周面に区分けされずに、一つの内周面で形成された流体取扱装置では、目的とする修正すべき箇所を特定することが難しいため、製品(成形品)の詳細な寸法を測定することが難しく、測定誤差が大きくなる場合があった。同様に、金型を調整する際にも該当箇所だけを調整すべきであるが、該当箇所の特定が難しいため加工誤差が大きくなる場合がある。さらに、加工後に寸法を確認する際に、正確な位置での詳細な測定が難しい場合があった。
【0049】
一方、本実施の形態に係る流体取扱装置100では、分割内周面132と段差面133との間に明瞭な稜線が形成されているため、この稜線を基準として、修正すべき箇所の位置を正確に把握でき、金型の対応面においても調整すべき箇所の位置を容易に特定できる。したがって、本実施の形態に係る流体取扱装置100によれば、ケース110の内周面の形状を容易に、かつ正確に修正できる。
【0050】
本実施の形態に係る流体取扱装置100では、ケース110の内周面131の形状を、容易にかつ正確に計測して修正できるため、製品の測定、加工および製造がより容易となり、従来技術と比べて精密な製品を製造できる。そのため、ケース110と収容部120との嵌合具合が向上し、ケース110と収容部120との間での液漏れを抑制し、かつ回転抵抗が小さい製品となる。その結果、検出誤差が減少し、装置の駆動部、製品などへの回転負荷を低下させることができる。
【0051】
[実施の形態2]
実施の形態2に係る流体取扱装置は、ケース210の内周面231の構成のみが実施の形態1に係る流体取扱装置100と異なる。そこで、実施の形態1に係る流体取扱装置100と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0052】
(流体取扱装置の構成)
図5A、Bは、実施の形態2に係る流体取扱装置におけるケース210の構成を示す図である。図5Aは、回転軸RAを含み、かつ挿入部113を含まない断面図(図3Aに対応)であり、図5Bは、図5Aに示される領域Aの部分拡大断面図である。図5Bの一点鎖線は、回転軸RAと平行な仮想直線を示している。
【0053】
流体取扱装置は、ケース210と、収容部とを有する。図5A、Bに示されるように、ケース210は、台座111と、ケース本体212と、挿入部と113、外側連通孔114とを有する。
【0054】
ケース本体212の内周面231は、複数の分割内周面132と、複数の段差面133とに加えて、さらに複数の外側離間面243を有する。外側離間面243は、分割内周面132の開口部側端部と、段差面133の内側端部との間に配置されている。回転軸RAを含む断面における外側離間面243の形状は、直線状である。また、回転軸RAを含む断面において、外側離間面243は、回転軸RAに対して傾斜していてもよいし、回転軸RAと平行でもよい。本実施の形態では、回転軸RAを含む断面において、外側離間面243は、回転軸RAと平行である。これにより、分割内周面132および外側離間面243との境界(稜線)が適切に成形される。
【0055】
(効果)
本実施の形態に係る流体取扱装置は、実施の形態1に係る流体取扱装置100の効果に加え、分割内周面132および外側離間面243との境界(稜線)が適切に成形されるため、分割内周面132の微調整のための基準位置をより明確にできる。
【0056】
[実施の形態3]
実施の形態3に係る流体取扱装置は、ケース310の内周面331と、収容部320の外周面326との構成のみが実施の形態2に係る流体取扱装置と異なる。そこで、実施の形態2に係る流体取扱装置と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0057】
(流体取扱装置の構成)
図6A〜Dは、本実施の形態3に係る流体取扱装置におけるケース310の構成を示す図である。図6Aは、回転軸RAを含み、かつ挿入部113を含まない断面図(図3Aに対応)であり、図6B〜Dのそれぞれは、図6Aに示される領域A〜Cの部分拡大断面図である。図6の一点鎖線は、回転軸RAと平行な仮想直線を示している。
【0058】
流体取扱装置は、ケース310と、収容部320とを有する。図6Aに示されるように、ケース310は、台座111と、ケース本体312と、挿入部113と、外側連通孔114とを有する。
【0059】
図6A〜Dに示されるように、ケース本体312の内周面331は、複数の分割内周面332と、段差面133と、外側離間面243とを有する。本実施の形態における複数の分割内周面332は、回転軸RAに対する傾斜角度がそれぞれ異なる。隣接する2つの分割内周面332において、底部側の分割内周面332における回転軸RAに対する傾斜角度θ1は、ケース310の開口部側の分割内周面332における回転軸RAに対する傾斜角度θ1よりも大きい。図6B〜Dに示されるように、本実施の形態では、ケース310の最も開口部側の分割内周面332の回転軸RAに対する傾斜角度θ1は1°であり、ケース310の最も底部側の分割内周面332の回転軸RAに対する傾斜角度θ1は3°であり、傾斜角度θ1が1°の分割内周面332と、傾斜角度θ1が3°の分割内周面332との間の分割内周面332の回転軸RAに対する傾斜角度θ1は2°である。
【0060】
図7A〜Dは、本実施の形態3に係る流体取扱装置における収容部320の構成を示す図である。図7Aは、収容部320の正面図であり、図7B〜Dのそれぞれは、図7Aに示される領域A〜Cの部分拡大断面図である。図7B〜Dの一点鎖線は、回転軸RAと平行な仮想直線を示している。
【0061】
図7Aに示されるように、収容部320は、側壁321と、複数のチャンバー122と、複数の連通孔123とを有する。側壁321の外周面326は、複数の分割外周面327と、複数の内側離間面128と、を有する。
【0062】
本実施の形態における複数の分割外周面327の回転軸RAに対する傾斜角度θ3は、分割内周面332の回転軸RAに対する角度に対応している。隣接する2つの分割外周面327において、底部側の分割外周面327における回転軸RAに対する傾斜角度θ3は、ケース310の開口部側の分割外周面327における回転軸RAに対する傾斜角度θ3よりも大きい。図7B〜Dに示されるように、本実施の形態では、ケース310の最も開口部側の分割外周面327の回転軸RAに対する傾斜角度θ3は1°であり、ケース310の最も底部側の分割外周面327の回転軸RAに対する傾斜角度θ3は3°であり、傾斜角度θ3が1°の分割外周面327と、傾斜角度θ3が3°の分割外周面327との間の分割外周面327の回転軸RAに対する傾斜角度θ3は2°である。
【0063】
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る流体取扱装置は、実施の形態2に係る流体取扱装置の効果に加え、ケース310を成形するための金型500の調整が容易であるという効果を有する。
【0064】
図8Aは、実施の形態3の効果を説明するための、ケース310を成形するための金型500の構成を示す図である。金型500の分割内周面332を成形するための第1金型面511を微調整する場合、回転軸RAを中心として金型500を回転させながら、いずれかの第1金型面511に加工工具520(エンドミル、砥石など)を接触させればよい。前述したように、本実施の形態に係る流体取扱装置では、ケース310の底部側の分割内周面332は、回転軸RAに対する傾斜角度θ1が大きい。よって、分割内周面332に対応する第1金型面511のいずれを微調整する場合でも、加工工具520が他の第1金型面511に接触しない。よって、金型500の第1金型面511の微調整を容易にできる。
【0065】
なお、ケース310の複数の分割内周面332を成形するための金型500は、複数の分割駒501、502、503から構成されていてもよい。図8Bは、複数の分割駒501、502、503から構成される金型500の構成を示す分解図である。
【0066】
図8Bに示されるように、複数の分割駒501、502、503は、分割内周面332を成形するための第1金型面511をそれぞれ有しており、回転軸RAに対応する方向に重ねられて使用される。また、複数の分割駒501、502、503のうち2つの分割駒501、502は、段差面133を成形するための第2金型面512をそれぞれ有している。そして、分割駒501と分割駒502との分割面は、分割駒501の第2金型面512と同一平面上に位置している。同様に、分割駒502と分割駒503との分割面も、分割駒502の第2金型面512と同一平面上に位置している。また、複数の分割駒501、502には、これらの分割面と接続するようにガス抜き孔513が形成されている。このように金型500を分割駒501、502、503で構成することで、分割内周面332を成形するための第1金型面511を個別に調整することが可能となる。また、成形時に分割面を介して効率的にガス抜きをすることができる。これらの結果、成形品質が向上するとともに、生産性向上により製造コストを低減することもできる。
【0067】
[実施の形態4]
実施の形態4に係る流体取扱装置は、ケース410の分割内周面432と、収容部420の分割外周面427との大きさの関係のみが実施の形態2に係る流体取扱装置と異なる。そこで、実施の形態2に係る流体取扱装置と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0068】
(流体取扱装置の構成)
図9A、Bは、本実施の形態4に係る流体取扱装置の構成を示す図である。図9Aは、回転軸RAを含み、挿入部113を含まない断面で切断した流体取扱装置400の断面図である。図9Bは、分割内周面432と、分割外周面427との大きさの関係を説明するための模式的な部分拡大断面図である。なお、図9では、収容部420は断面ではなく側方から見た様子を示している。
【0069】
図9A、Bに示されるように、流体取扱装置400は、ケース410と、収容部120とを有する。ケース410は、台座111と、ケース本体412と、挿入部113と、外側連通孔114とを有する。
【0070】
ケース本体412の内周面431は、複数の分割内周面432と、段差面133と、外側離間面243とを有する。本実施の形態では、分割内周面432の開口部側の端部は、分割内周面432と接触する分割外周面427の開口部側の端部よりも開口部側に配置されており、分割内周面432の底部側の端部は、分割内周面432と接触する分割外周面427の底部側の端部よりも底部側に配置されている。分割外周面427に対する分割内周面432の大きさは、特に限定されない。分割外周面427に対する分割内周面432の大きさは、製造誤差を吸収できる程度が好ましい。これにより、ケース410と収容部420とを適切に組み立てることができ、製造性を高めることができる。
【0071】
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る流体取扱装置は、実施の形態2に係る流体取扱装置の効果に加え、製造性を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の流体取扱装置は、例えば、微量な生体試料などの解析に適用できる。
【符号の説明】
【0073】
100、400 流体取扱装置
110、210、310、410 ケース
111 台座
112、212、312、412 ケース本体
113 挿入部
114 外側連通孔
115 孔
120、320、420 収容部
121、321 側壁
122 チャンバー
123 連通孔
124 内壁
125 内部孔
126、326 外周面
127、327、427 分割外周面
128 内側離間面
131 231、331、431 内周面
132、332、432 分割内周面
133 段差面
141 第1連通孔
142 第2連通孔
243 外側離間面
500 金型
511 第1金型面
512 第2金型面
520 加工工具
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】