(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2019144251
(43)【公開日】20190829
(54)【発明の名称】改良された感知素子を備えた容量指紋センサ
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/00 20060101AFI20190802BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20190802BHJP
【FI】
   !G01B7/00 102C
   !G06T1/00 400G
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】2019041376
(22)【出願日】20190307
(62)【分割の表示】2016558559の分割
【原出願日】20150320
(31)【優先権主張番号】1450336-1
(32)【優先日】20140324
(33)【優先権主張国】SE
(71)【出願人】
【識別番号】317002755
【氏名又は名称】フィンガープリント カーズ アクティエボラーグ
【住所又は居所】スウェーデン国,エス−403 16 イェーテボリ,ボックス 2412
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100160716
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 力
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100205969
【弁理士】
【氏名又は名称】氷室 詩乃
(72)【発明者】
【氏名】リーディーク、フランク ロベルト
【住所又は居所】オランダ国 エヌエル−2613ティーゼッド デルフト、ヒューゴ デ グロートストラート 156
【テーマコード(参考)】
2F063
5B047
【Fターム(参考)】
2F063AA03
2F063AA43
2F063BA29
2F063BB01
2F063CA17
2F063CA30
2F063DA02
2F063DA05
2F063HA04
2F063LA11
2F063LA29
5B047AA25
5B047BB04
5B047BC01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】半導体基板と、半導体基板に形成された感知素子のアレイとを備える容量指紋感知装置を提供する。
【解決手段】感知素子8のそれぞれは、保護コーティング13と、保護コーティング13の下に配置された感知板17と、感知板17に接続されたチャージアンプ22とを備える。チャージアンプ22は、感知板17に接続された負入力と、正入力と、感知信号を供給する出力と、帰還コンデンサと、負入力を構成するゲートを有するセンストランジスタ23と、を備える。センストランジスタ23は、半導体基板の絶縁されたウェル25に形成される。指紋感知装置はさらに、感知構造およびウェル25の電位を変えるためにチャージアンプ22の正入力およびウェル25に接続された励起信号供給回路構成32を備え、それによって感知素子8の寄生容量Cp3の影響を低減する。
【選択図】図4a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指の指紋パターンを感知するための容量指紋感知装置であり、半導体基板と、前記半導体基板に形成された感知素子のアレイとを備える指紋感知装置であって、
前記感知素子のそれぞれは、
前記指に触れられる保護誘電最上層と、
前記最上層の下に配置された導電感知構造と、
前記指と前記感知構造との間の電位差の変化に由来する前記感知構造が帯びる電荷の変化を示す感知信号を供給するために前記感知構造に接続されたチャージアンプと、を備え、
前記チャージアンプは、
前記感知構造に接続された負入力と、
正入力と、
前記感知信号を供給する出力と、
前記負入力と前記出力との間に接続された帰還コンデンサと、
前記負入力を構成するゲートを有する感知トランジスタと、を備え、
前記感知トランジスタは前記半導体基板のウェルに形成され、前記ウェルと前記基板との間のインターフェースは電流が前記ウェルと前記基板との間を流れるのを妨げられるように構成され、
前記チャージアンプは、前記負入力の電位が前記正入力の電位に実質的に追従するよう構成され、
前記指紋感知装置は、
励起信号供給回路構成をさらに備え、前記励起信号供給回路構成は、
前記正入力に接続され、前記正入力の電位を第一の電位から第二の電位に変えるよう構成され、それによって前記感知構造の電位を変え、それによって前記指と前記感知構造との間の電位差の前記変化を提供し、かつ
前記ウェルの電位を第三の電位から第四の電位に変えるために前記ウェルに接続され、前記第三の電位と前記第四の電位との差は前記第一の電位と前記第二の電位との差に実質的に等しく、それによって前記感知構造と前記ウェルとの間および前記感知トランジスタと前記ウェルとの間の寄生容量の影響を低減する、指紋感知装置。
【請求項2】
前記励起信号供給回路構成はさらに、
前記チャージアンプの前記正入力を前記第一の電位に、および前記ウェルを前記第三の電位に同時に保ち、かつ
前記チャージアンプの前記正入力を前記第二の電位に、および前記ウェルを前記第四の電位に同時に保つよう構成される、請求項1に記載の指紋感知装置。
【請求項3】
前記チャージアンプの前記出力に接続され、前記チャージアンプの前記正入力が前記第一の電位に保たれ、前記ウェルが前記第三の電位に保たれる際は、第一のサンプリング時間に、前記チャージアンプの前記正入力が前記第二の電位に保たれ、前記ウェルが前記第四の電位に保たれる際は、第二のサンプリング時間に、前記感知信号をサンプリングするよう構成されたサンプリング回路構成をさらに備える、請求項1または2に記載の指紋感知装置。
【請求項4】
前記第三の電位は前記第一の電位と実質的に等しく、前記第四の電位は前記第二の電位と実質的に等しい、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の指紋感知装置。
【請求項5】
前記励起信号供給回路構成は、前記正入力および前記ウェルのそれぞれに接続された、前記正入力の電位および前記ウェルの電位を前記第一の電位から前記第二の電位に同時に変えるための出力を備える、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の指紋感知装置。
【請求項6】
前記感知構造と前記基板との間に配置された遮蔽構造をさらに備え、
前記励起信号供給回路構成はさらに、前記遮蔽板に接続され、かつ前記遮蔽板の電位を第五の電位から第六の電位に変えるよう構成され、前記第五の電位と前記第六の電位との間の差は、前記第一の電位と前記第二の電位との間の差に実質的に等しい、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の指紋感知装置。
【請求項7】
前記感知トランジスタは、それぞれ、NMOSトランジスタもしくはPMOSトランジスタであり、前記ウェルはpウェルもしくはnウェルである、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の指紋感知装置。
【請求項8】
pウェルおよびnウェルの少なくとも一つが前記ウェルに形成される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の指紋感知装置。
【請求項9】
前記ウェルは、複数の感知素子に共通である、請求項8に記載の指紋感知装置。
【請求項10】
前記感知素子のそれぞれは、
前記チャージアンプの前記負入力と前記出力との間に接続され、前記帰還コンデンサを放電するよう制御可能な少なくとも一つのリセットトランジスタを備えるリセットスイッチをさらに備え、
前記リセットトランジスタは前記ウェルに形成される、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の指紋感知装置。
【請求項11】
前記感知素子のそれぞれは、
前記感知構造に接続され、駆動信号を前記感知構造に直接供給するよう制御可能な少なくとも一つの駆動トランジスタを備える駆動信号供給回路構成さらに備え、
前記駆動トランジスタは前記ウェルに形成される、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の指紋感知装置。
【請求項12】
前記感知素子のそれぞれに接続され、前記感知素子のそれぞれからの前記感知信号に基づいて前記指紋パターンの表示を提供するよう構成された読み出し回路構成をさらに備える、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の指紋感知装置。
【請求項13】
請求項12に記載の指紋感知装置と、
前記指紋感知装置から前記指紋パターンの前記表示を取得し、
表示に基づいてユーザを認証し、
表示に基づいてユーザが前記認証された場合にのみ、少なくとも一つのユーザ要求処理を行うよう構成された処理回路構成と、を備える電子装置。
【請求項14】
ドープされた半導体基板と、前記半導体基板に形成された感知素子のアレイと、を備える指紋感知装置を使用して指の指紋パターンを感知する方法であって、
前記感知素子のそれぞれは、前記半導体基板のウェルに形成された感知トランジスタのゲートに接続された導電感知構造を含み、前記ウェルは前記半導体基板に関して対極にドープされ、
前記方法は、前記感知素子のそれぞれについて、
前記感知構造の電位を第一の電位から第二の電位に変えるステップと、
前記ウェルの電位を第三の電位から第四の電位に変えるステップであって、前記第三の電位と前記第四の電位との差は、前記第一の電位と前記第二の電位との差に実質的に同等であるステップと、
前記第一の電位から前記第二の電位への前記感知構造の電位の前記変化によって達成された、前記指と前記感知構造との間の電位差の変化に由来する、前記感知構造が帯びる電荷の変化を示す感知信号を供給するステップと、を備える方法。
【請求項15】
複数の近接した感知素子の各感知構造の電位を第七の電位から第八の電位に変えるステップをさらに備え、前記第七の電位と前記第八の電位との差は前記第一の電位と前記第二の電位との差に実質的に同等である、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容量指紋感知装置に関し、指紋パターンを感知する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々なタイプの生体認証システムが、安全性の向上のためおよび/またはユーザの利便性を高めるために、ますます使われている。
【0003】
特に、指紋感知システムは、その小さな形状要素、高い性能およびユーザ受け入れのため、例えば家電機器に採用されている。
【0004】
(例えば静電容量式、光学式、熱式等の)様々な利用可能な指紋感知原理の中でも、静電容量感知が最も一般的に使われており、特に、大きさおよび電力消費が重要な課題である用途において使われている。
【0005】
全ての容量指紋センサは、いくつかの感知構造のそれぞれと、指紋センサの表面に乗せられる、または指紋センサの表面を横切って動く指との間の静電容量を示す測定値を提供する。
【0006】
いくつかの容量指紋センサは、感知構造と指との間の静電容量を受動的に読み出す。しかしながら、これは、比較的大きな静電容量を必要とする。したがって、そのような受動的な容量センサは概して、感知構造を覆う非常に薄い保護層を備え、そうすることで、そのようなセンサはスクラッチングおよび/またはESD(静電放電)に対して幾分感度が高くなる。
【0007】
米国特許US7864992は、センサアレイの近傍に配置された導電駆動構造をパルスして、センサアレイの感知構造が帯びる電荷の結果変化を測定することによって、駆動信号が指に注入される能動容量指紋感知装置を開示する。
【0008】
US7864992による指紋感知システムは、指紋画質とセンサ保護との優れた組み合わせを提示するが、いくつかの用途では、別個の導電駆動構造を使用することなく、高質な指紋画像を取得できることが望ましい。特に、乾燥した指等“難しい”指への改善の余地が見られる。
【0009】
代替の能動指紋感知装置は、Kwang−Hyun LeeおよびEuisik Yoonによる論文“画素レベル適応画像向上スキームを備えるA500dpi静電容量型CMOS指紋センサ”(ISSCC2002/Session21/TD:センサおよびマイクロシステム/21.3)に記載される。この指紋感知装置では、励起パルスは、指の代わりに各画素の感知電極に印加される。指の電位は、略一定と考えられる。
【0010】
この指紋センサは、別個の導電駆動構造を使わずに使用可能であるようである。しかしながら、“画素レベル適応画像向上スキームを備えるA500dpi静電容量型CMOS指紋センサ”に記載される指紋センサは、0fFから200fFの範囲の指への静電容量(測定される静電容量)を呈するよう構成されるとされる。指紋感知の分野では、これは比較的大きな静電容量であり、感知電極の上部に設けられた保護コーティングが非常に薄いことを示す。実際に、保護コーティングは“保護層”と称され、概して、1μm前後の厚さを有するケイ素酸化物もしくは窒化ケイ素の層と解される。そのような薄い保護コーティングを有する指紋センサは、携帯用装置用途を含む多くの重要な用途には十分に堅固ではない。
【0011】
よって、励起パルスが感知電極に印加され、同時に高質な指紋表示を達成することができる、より堅固な容量指紋感知装置を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0012】
従来技術の、上述のおよび他の欠点に鑑みて、本発明の目的は、改良された容量指紋感知装置を提供することである。
【0013】
本発明の第一の態様によれば、したがって、指の指紋パターンを感知するための容量指紋感知装置であって、半導体基板と、前記半導体基板に形成された感知素子のアレイとを備える指紋感知装置が提供され、前記感知素子のそれぞれは、前記指に触れられる保護誘電最上層と、前記最上層の下に配置された導電感知構造と、前記指と前記感知構造との間の電位差の変化に由来する前記感知構造が帯びる電荷の変化を示す感知信号を供給するために前記感知構造に接続されたチャージアンプと、を備え、前記チャージアンプは、前記感知構造に接続された負入力と、正入力と、前記感知信号を供給する出力と、前記負入力と前記出力との間に接続された帰還コンデンサと、前記負入力を構成するゲートを有する感知トランジスタと、を備え、前記感知トランジスタは前記半導体基板のウェルに形成され、前記ウェルと前記基板との間のインターフェースは電流が前記ウェルと前記基板との間を流れるのを防止されるように構成され、前記チャージアンプは、前記負入力の電位が前記正入力の電位に実質的に追従するよう構成され、前記指紋感知装置は、励起信号供給回路構成をさらに備え、前記励起信号供給回路構成は、前記正入力に接続され、前記正入力の電位を第一の電位から第二の電位に変えるよう構成され、それによって前記感知構造の電位を変え、それによって前記指と前記感知構造との間の電位差の前記変化を提供し、かつ前記励起信号供給回路構成は、前記ウェルの電位を第三の電位から第四の電位に変えるために前記ウェルに接続され、前記第三の電位と前記第四の電位との差は前記第一の電位と前記第二の電位との差に実質的に等しく、それによって前記感知構造と前記ウェルとの間および前記感知トランジスタと前記ウェルとの間の寄生容量の影響を低減する。
【0014】
半導体基板は、有利にはドープされた半導体基板であり、ウェルは半導体基板に関して対極にドープされた基板の部分でありうる(半導体基板がpドープであれば、ウェルはnドープであり、半導体基板がnドープであれば、ウェルはpドープでありうる)。これは、電流がウェルと基板との間を流れるのを防止されるように構成された、ウェルと基盤との間のインターフェースを達成する一つの方法である。特に、ウェルおよび基板は、基板のウェルとの間のインターフェースに形成されたダイオードを通って電流が流れないような電位に保たれうる。
【0015】
あるいは、絶縁層が、例えばガラスの薄層の形状で、基板とウェルとの間に提供されうる。そのような絶縁層もまた、電流がウェルと基盤との間を流れるのを防止する。
【0016】
チャージアンプは、負入力の電荷を出力の電圧に変換する。チャージアンプのゲインは、帰還コンデンサの容量によって決定される。
【0017】
チャージアンプが、負入力の電位が正入力の電位に実質的に追従するように構成されることは、正入力の電位の変化が、実質的に対応する負入力の電位の変化につながることを意味すると理解されるべきである。チャージアンプの実際の構成に依って、負入力の電位は正入力の電位と実質的に同じでありうるか、もしくは、正入力と負入力との間に実質的に一定の電位差が存在しうる。例えば、チャージアンプが一段アンプとして構成される場合は、電位差は感知トランジスタのゲートソース電圧になる。
【0018】
尚、チャージアンプの出力は、帰還コンデンサに直接接続される必要はなく、出力と帰還コンデンサとの間に追加の回路構成が存在しうることに留意されたい。この回路構成はまた、感知素子の列の外側に設置されうる。
【0019】
励起信号供給回路構成は、異なるラインに提供された二つ以上の異なる電位間で切り替わるよう構成された切替回路構成でありうる。代替として、もしくは組み合わせて、励起信号供給回路構成は、方形波電圧信号もしくは正弦波電圧信号等の時変電位を提供するよう構成された少なくとも一つの信号源を備えうる。
【0020】
感知構造は、有利には、平行平板コンデンサの一種が、感知構造(感知板)、局所指表面、および保護コーティング(および局所指表面と保護コーティングとの間に局所的に存在しうる任意の空気)によって形成されるよう、金属板の形状で提供されうる。
【0021】
保護コーティングは、有利には、少なくとも厚さ20μmであり、指紋感知装置の基底構造を摩耗および消耗ならびにESDから保護するために高い誘電強度を有する。さらに有利には、保護コーティングは、少なくとも厚さ50μmでありうる。実施形態では、保護コーティングは、厚さ数百μmでありうる。
【0022】
本発明は、励起信号の感知電極への(および感知トランジスタへの)印加は、励起信号が代わりに指に印加された場合には見えないかなりの寄生容量への注意を要するという認識と、そのような寄生容量の影響は、感知構造と指との間の約0.1fFの非常に小さな静電容量を感知できるために著しく低減される必要があるという認識に基づく。そのような小さな静電容量の感知は、今度は、向上した頑強性を呈する厚い保護コーティングの使用を可能にするよう求められうる。
【0023】
励起信号が指に印加され、感知構造が、例えばグランド等固定された電位に保たれた場合、感知構造およびチャージアンプ(および半導体基板)の関連する部分の電位が同じになるため(もしくは感知構造とチャージアンプの入力段と半導体基板との間に一定の電位差が存在するため)、感知構造と指との間の静電容量の測定は、感知構造とチャージアンプとの間および/または感知構造とチャージアンプが形成される半導体基板との間のいかなる寄生容量によっても阻害されない。しかしながら、励起信号が感知構造に印加される場合、感知構造と半導体基板との間に時変電位差が存在する。シミュレーションは、感知構造とチャージアンプの入力段との間の接続に近接した感知構造と半導体構造(概してnウェル、pウェルおよび/または半導体基板)との間の寄生容量は約10fFになりうる一方、(感知構造と指との間で)感知される静電容量は0.1fF未満と低くなりうることを示す。さらに、上述の寄生容量は概して未知であり、半導体製造プロセスの変形のために異なる感知素子について異なりうる。
【0024】
本発明の発明者はここで、指紋感知装置における感知構造と半導体構造との間のこの寄生容量の影響は、チャージアンプの感知トランジスタが形成されるウェルの電位を変えるよう構成された励起信号供給回路構成を提供することによって著しく低減できることを認識した。それによって、感知構造と感知トランジスタ(チャージアンプの入力段)との間の接続に近接した半導体構造であるウェルの電位は、少なくとも感知構造と指との間の静電容量の測定に関連した時点でウェルと感知構造との間の電位差が略一定に保たれるよう、感知構造の電位に追従するよう制御されることができる。
【0025】
どの時点が測定に関連するかは、用いられる測定方法に依って異なり、当業者はそのような時点を、例えば回路シミュレーションに基づいて不当な負担なく決定することができる。例えば、感知信号が二つのサンプリング時間にサンプリングされる所謂相関二重サンプリングの場合、それらのサンプリング時間は測定に関連する時点でありうる。
【0026】
励起信号を、直接導電接続を介して指に提供する際、または言い換えれば指をガルバニック駆動する際、センサアレイに触れる指の表面とセンサアレイの感知構造との間の電位差は、異なる電気的特性を有する指によって異なりうる。例えば、乾燥した指では電位差は低くなり、解析し難い“弱い”指画像につながりうる。
【0027】
本発明の種々の実施形態は、指とのガルバニック接続において導電駆動電極の必要なしに高質な指紋表示を取得できる頑強な容量指紋センサを提示する。これは、“難しい”指(特に乾燥した指)からの改良された指紋取得を提示する。指紋パターンの表示は、例えば、生の指紋画像データでありうるか、もしくはデータは加工され、それから指紋テンプレートデータのような調整画像データの形式もしくは任意の他の形式で提供されうる。
【0028】
また、本発明の実施形態による指紋感知装置の良好な動作は、指の変動する電位に依存しないため、指は、指紋感知装置が含まれる製品の導電部分によってグランドされる(もしくは少なくとも重い負荷がかけられる)ことができる。
【0029】
さらに、(センサアレイを囲む導電フレーム等の)導電構造がないことは、携帯電話およびコンピュータ等の種々の装置への指紋センサの統合を簡単にする。さらに、指紋センサシステムの設計は目立ちにくくすることができ、指紋センサシステムを含む製品の完成度を向上することができる。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態によれば、励起信号供給回路構成はさらに、チャージアンプの正入力を第一の電位に、およびウェルを第三の電位に同時に保ち、かつチャージアンプの正入力を第二の電位に、およびウェルを第四の電位に同時に保つよう構成されうる。それによって、ウェルは、感知構造の電圧スイングと実質的に同じ大きさである電圧スイングを受けうる。このことによって、感知構造とウェルとの間の寄生容量の影響を、除去もしくは少なくとも著しく低減することができる。
【0031】
本発明による指紋感知装置の種々の実施形態は、チャージアンプの出力に接続され、チャージアンプの正入力が第一の電位に保たれウェルが第三の電位に保たれる際は第一のサンプリング時間に、チャージアンプの正入力が第二の電位に保たれウェルが第四の電位に保たれる際は第二のサンプリング時間に、感知信号をサンプリングするよう構成されたサンプリング回路構成をさらに備えうる。
【0032】
第一および第二のサンプリング時間に感知信号をサンプリングする手順は、概して相関二重サンプリングと称され、オフセットならびに少なくとも指紋感知装置が受けうるコモンモードノイズの低周波成分の多くを除去しうる。感知構造およびウェルの電位がそれぞれ、少なくともサンプリング時間と同期することを確実にすることによって、感知構造とウェルとの間の寄生容量の影響は、除去されるかもしくは少なくとも著しく低減されうる。
【0033】
種々の実施形態では、さらに、第三の電位は有利には第一の電位と実質的に等しく、第四の電位は第二の電位と実質的に等しくなりうる。
【0034】
さらに、励起信号供給回路構成は、正入力およびウェルのそれぞれに接続された、正入力の電位およびウェルの電位を第一の電位から第二の電位に同時に変えるための出力を有しうる。
【0035】
さらに、種々の実施形態によれば、指紋感知装置はさらに、感知構造と基板との間に配置された遮蔽構造を備える。励起信号供給回路構成はさらに、遮蔽板に接続され、かつ遮蔽板の電位を第五の電位から第六の電位に変えるよう構成され、第五の電位と第六の電位との間の差は、第一の電位と第二の電位との間の差に実質的に等しくなりうる。
【0036】
それによって、感知構造は、金属層の接続線および/または半導体基板に形成された接続線および/または半導体回路構成等の、感知素子の基底にありうる他の部分から効果的に遮蔽されうる。このことは、感知素子の寄生容量の影響をさらに低減する。
【0037】
第五の電位は、有利には上述の第三の(および/または第一の)電位と等しく、第六の電位は、有利には上述の第四の(および/または第二の)電位と等しくなりうる。例えば、遮蔽板は、有利にはウェルに直接導電接続されうる。
【0038】
第一組の実施形態によれば、それぞれ、感知トランジスタは、NMOSトランジスタもしくはPMOSトランジスタであり、ウェルはpウェルもしくはnウェルでありうる。
【0039】
第二組の実施形態によれば、pウェルおよび/またはnウェルは、励起信号供給回路構成に接続されたウェルに形成されうる。少なくとも一つのpウェルおよび少なくとも一つのnウェルがウェルに形成されると、そのウェルは時々isoウェルと称されうる。
【0040】
さらに、ウェルは、複数の感知素子に共通でありうる。例えば、ウェルは、いくつかの感知素子のnウェルおよびpウェルを囲むisoウェルでありうる。励起信号供給回路構成は、isoウェルおよびisoウェル内に形成されたウェルに接続され、isoウェルおよびisoウェル内に形成されたウェルの電圧を変えるよう構成されうる。
【0041】
種々の実施形態によれば、感知素子のそれぞれは、チャージアンプの負入力と出力との間に接続され、帰還コンデンサを放電するよう制御可能な少なくとも一つのリセットトランジスタを備えるリセットスイッチをさらに備え、リセットトランジスタはウェルに形成される。
【0042】
リセットトランジスタのゲートは、リセットトランジスタが帰還コンデンサを放電するよう制御される際にリセットトランジスタを導電に保つために、上述の第三および第四の電位に関して選択された固定電位に接続され、かつ、帰還コンデンサの帯電を可能にするようリセットトランジスタを非導電に保つために、励起信号供給回路構成によって提供されうる変動電位に接続されうる。
【0043】
種々の実施形態によれば、さらに、感知素子のそれぞれは、感知構造に接続され、駆動信号を感知構造に直接供給するよう制御可能な少なくとも一つの駆動トランジスタを備える駆動信号供給回路構成を追加で備え、駆動トランジスタはウェルに形成されうる。
【0044】
例えば、駆動トランジスタは、感知素子がその‘駆動’状態にある際は感知構造を励起信号供給回路構成に接続し、感知素子がその‘感知’状態にある際は、感知構造の励起信号供給回路構成との接続を切るよう制御可能でありうる。そのために、駆動トランジスタのゲートは、駆動トランジスタを‘駆動’状態において導電に保つために、上述の第三および第四の電位に関して選択された固定電位に接続され、かつ、駆動トランジスタを‘感知’状態において非導電に保つために、励起信号供給回路構成によって提供されうる変動電位に接続されうる。
【0045】
駆動信号供給回路構成の提供によって、現在感知している感知素子(画素)に近接する感知素子(画素)の感知構造は、現在感知している感知素子の感知構造の電位に、その感知素子のチャージアンプを作動させる必要なく、“追従する”ようにされうる。これは、指紋感知装置の電力消費の低減を提示する。各感知素子は、有利には、少なくとも‘感知’状態と‘駆動’状態との間でプログラム可能でありうる。また、感知構造が固定電位に接続されうるか、もしくは電気的にフローティングしうる第三の状態も存在しうる。それによって、感知構造と近接する感知素子の感知構造との間の寄生容量の影響は、取り除かれるかもしくは少なくとも著しく低減されることができる。
【0046】
本発明による種々の実施形態による指紋感知装置は、さらに有利には、感知素子のそれぞれに接続され、感知素子のそれぞれからの感知信号に基づいて指紋パターンの表示を提供するよう構成された読み出し回路構成を備えうる。
【0047】
この指紋感知装置は、有利には、指紋感知装置から指紋パターンの表示を取得し、表示に基づいてユーザを認証し、表示に基づいてユーザが認証された場合にのみ、少なくとも一つのユーザ要求処理を行うよう構成された処理回路構成をさらに備える電子装置に具備されうる。電子装置は、例えば、携帯電話もしくはタブレット等の手持ち通信装置、コンピュータ、もしくは時計または類似品等の電子装着物品でありうる。
【0048】
本発明の第二の態様によれば、ドープされた半導体基板と、前記半導体基板に形成された感知素子のアレイとを備える指紋感知装置を使用して指の指紋パターンを感知する方法が提供され、前記感知素子のそれぞれは、前記半導体基板のウェルに形成された感知トランジスタのゲートに接続された導電感知構造を含み、前記ウェルは前記半導体基板に関して対極にドープされ、前記方法は、前記感知素子のそれぞれについて、前記感知構造の電位を第一の電位から第二の電位に変えるステップと、前記ウェルの電位を第三の電位から第四の電位に変えるステップであって、前記第三の電位と前記第四の電位との差は、前記第一の電位と前記第二の電位との差に実質的に同等であるステップと、前記第一の電位から前記第二の電位への前記感知構造の電位の前記変化によって達成された、前記指と前記感知構造との間の電位差の変化に由来する、前記感知構造が帯びる電荷の変化を示す感知信号を供給するステップと、を備える。
【0049】
本発明による方法の実施形態では、感知構造が第一の電位にあるのと同時にウェルが第三の電位にあるよう、および感知構造が第二の電位にあるのと同時にウェルが第四の電位にあるよう、ウェルの電位が変えられうる。
【0050】
本発明の種々の実施形態によれば、本方法は、複数の近接した感知素子の各感知構造の電位を第七の電位から第八の電位に変えるステップをさらに備え、第七の電位と第八の電位との差は第一の電位と第二の電位との差に実質的に同等でありうる。
【0051】
それによって、感知構造と近接した感知素子の感知構造との間の寄生容量の影響は、除去されるか、もしくは少なくとも著しく低減されうる。
【0052】
本発明のこの第二の態様のさらなる実施形態、および第二の態様によって得られる効果は、本発明の第一の態様について上述したものと大部分が類似している。
【0053】
要約すると、本発明は、半導体基板と、半導体基板に形成された感知素子のアレイとを備える容量指紋感知装置に関する。感知素子のそれぞれは、保護誘電最上層と、最上層の下に配置された感知構造と、感知構造に接続されたチャージアンプとを備える。チャージアンプは、感知構造に接続された負入力と、正入力と、感知信号を供給する出力と、帰還コンデンサと、負入力を構成するゲートを有する感知トランジスタと、を備える。感知トランジスタは、半導体基板の絶縁されたウェルに形成される。指紋感知装置はさらに、感知構造およびウェルの電位を変えるためにチャージアンプの正入力およびウェルに接続された励起信号供給回路構成を備え、それによって感知素子の寄生容量の影響を低減する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
本発明の、これらのおよび他の態様は、本発明の例示的な実施形態を示す付属の図面を参照して、ここでより詳細に説明される。
【図1】本発明の例示的実施形態による指紋感知装置の用途の模式図。
【図2】図1の指紋感知装置の模式図。
【図3】図3aは図2の指紋感知装置の部分の模式的な断面図であり、図3bは指紋感知装置の種々の静電容量を示す、図3aの断面図の一部の拡大図である。
【図4a】図2の指紋感知装置に具備された感知素子の、部分的な構造図と部分的な回路模式図の複合図。
【図4b】チャージアンプがより高いレベルのシンボルを使用して図示された図4aの変形。
【図5】nウェルを備える図4aの感知素子の一部の概念断面図。
【図6】isoウェルを備える図4aの感知素子の一部の概念断面図。
【図7】図7a−7cは図4aの感知素子の、その“駆動”状態とその“感知”状態との間での制御を模式的に図示するタイミング図である。
【図8】図8a−8cは感知構造/ウェルに供給される信号、および感知素子から出力される対応する感知信号を模式的に図示するグラフである。
【図9】本発明による方法の例示の実施形態を模式的に図示するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0055】
この詳細な説明では、本発明による指紋感知装置および方法の種々の実施形態が、主に、チャージアンプの正入力およびチャージアンプに具備された感知トランジスタが形成されるウェルが互いに接続され、従って(電気グランド等の基準電位に関する)同じ時変電位に追従するよう励起信号供給回路構成によって制御される指紋感知装置を参照して説明される。指紋感知装置の感知構造(板)と、下にある構造との間の遮蔽板もまた、チャージアンプの正入力に接続される。さらに、帰還コンデンサが、感知板、上述の遮蔽板と同じ金属層の基準板、および感知板と基準板との間の誘電層によって形成される。さらに、指紋感知装置は、静止した指からの指紋表示を取得するような大きさに形成されおよび構成されたタッチセンサとして図示される。
【0056】
尚、これは決して本発明の範囲を限定するものではなく、本発明は例えば、チャージアンプの正入力、上述のウェルおよび/または遮蔽板の電位が、それぞれの電位段階が実質的に同じである限り、異なる電位間で変動する指紋感知装置を等しく含む。さらに、帰還コンデンサは、感知素子の他の構造を使用して形成されうる。例えば、感知素子は、感知トランジスタのゲートおよびドレインが帰還コンデンサとして使用されうるよう構成されうる。指紋表示を動く指から取得するための所謂スワイプセンサ(もしくはラインセンサ)等の他のセンサアレイ構成もまた、付属のクレームによって定義されるような本発明の範囲内である。
【0057】
図1は、本発明の例示の実施形態による指紋感知装置の用途を、統合された指紋感知装置2を有する携帯電話1の形状で模式的に図示する。指紋感知装置2は、例えば、携帯電話1のロックを解除するためおよび/または携帯電話を使って実行される取引を認証するため等に使われうる。
【0058】
図2は、図1の携帯電話1に具備された指紋感知装置2を模式的に示す。図2に見られるように、指紋感知装置2は、センサアレイ5、電源インターフェース6、および通信インターフェース7を備える。センサアレイ5は、多数の感知素子8(図が散らかるのを避けるために、一つの感知素子のみが参照番号で示される)を備え、それぞれの感知素子は、感知素子8に具備される感知構造(上板)とセンサアレイ5の上面に接触する指の表面との間の距離を感知するよう制御可能である。図2のセンサアレイ5の拡大部分では、第一の感知素子はSenseの‘S’とマークされ、近接する感知素子の第二のグループは、Driveの‘D’とマークされる。
【0059】
電源インターフェース6は、第一の接触パッド10aおよび第二の接触パッド10bを備え、ここでは、電源電圧Vsupplyを指紋センサ2に接続するための接着パッドとして示される。
【0060】
通信インターフェース7は、指紋センサ2の制御を可能にするためおよび指紋センサ2から指紋データを取得するための多くの接着パッドを備える。
【0061】
図3aは、図2に示されるような線A−A’に沿って見た、図2の指紋感知装置2の部分の模式的な断面図であり、指11がセンサアレイ5の上部に置かれる。図3aを参照すると、指紋感知装置2は、ドープされた半導体基板12、半導体基板12上に形成された複数の感知素子8、および感知素子の上部の保護コーティング13を備える。指11の表面は、保護コーティング13に接触した隆線14および保護コーティング13から間隔を空けた谷部15を備える。
【0062】
図3aに模式的に示されるように、各感知素子8は、保護コーティング13に近接した感知板17の形状の感知構造を備える。感知板17の下には、追加の金属構造、および図3aの斜線領域18によって模式的に示された能動半導体回路構成が存在する。
【0063】
図3aはおよそ、保護コーティング13、感知素子8、および指11の隆線14および谷部15の相対的な寸法を図示するような尺度に描かれる。見てわかるように、保護コーティング13は、感知素子を摩耗や消耗およびESDから保護するためにかなり厚い。言うまでもなく、保護コーティング13は、指紋感知装置2の頑強性のために重要である。図3aの相対寸法に続いて、感知構造17と指11との間の静電容量は、特に感知板17と感知板17に近接した他の導電構造との間の寄生容量と比較すると、非常に小さい。そのような導電構造の例は、隣接した感知板、上述の追加の金属構造、能動半導体回路構成18、および基板12を含む。
【0064】
図3bに模式的に示すように、感知素子8は、感知板17に加えて、遮蔽板20、基準板21、およびチャージアンプ22を備える。チャージアンプ22は、図3bでは、点線によって単に模式的に示されるのみである。幾分詳細に示されるチャージアンプ22の唯一の部分は、感知板17が接続されるセンストランジスタ(MOSFET)23である。このように図示する理由は、感知素子8に影響する最も重要な寄生容量を示すためである。
【0065】
図3bに示されるのは、感知板17と指11との間の指容量C、感知板17と基準板21との間の基準容量Cref、感知板17と遮蔽板20との間の第一の寄生容量Cp1、感知板と隣接する感知板との間の第二の寄生容量Cp2、および感知板と、センストランジスタ23が形成されるウェル25(実際はウェル25と、感知板17をセンストランジスタ23のゲートと接続する線との間に形成される)との間の第三の寄生容量Cp3である。Cp3はまた、センストランジスタ自体の内部コンデンサを含む。
【0066】
図3a−bの堅固な指紋感知装置2を使用して高質な指紋感知を達成するために、感知板17に関する寄生容量の影響を取り除くもしくは少なくとも減らすことが、最も重要である。これは、図3bの種々の静電容量のおおよその大きさの比較に基づいて明白に理解される。寄生容量Cp1は約100fF、Cp2は約10fF、およびCp3は約5−10fFである一方、感知される指容量Cは、約0.1fFである。
【0067】
種々の寄生容量の影響を取り除くもしくは少なくとも大きく減らすための感知素子8の例示の構成が、図4a−bを参照してここで説明される。
【0068】
図4aは、図3a−bにおける感知素子8の、部分的な構造図と部分的な回路模式図の複合である。保護コーティング13、感知板17、遮蔽板20、および基準板21が、分解斜視図で模式的に示される一方、チャージアンプ22は、トランジスタレベル回路模式図の形状で示される。
【0069】
図4aに示されるように、この第一の例のサンプルチャージアンプ22は、センストランジスタ23、カスコードトランジスタ27、リセットトランジスタ28、およびバイアス電流源29を備える。センストランジスタ23、カスコードトランジスタ27、およびリセットトランジスタ28は、全て同じウェル25に形成される。
【0070】
図4aの部分および接続の理解を助けるために、同じ模式的構成が、より抽象的なレベルで図4bにも示され、4aのトランジスタ回路はチャージアンプの一般記号に取り変わり、チャージアンプは、感知板17に接続された負入力30、ここではパルス発生器の形状の励起信号供給回路構成32に接続された正入力31、および、指11と感知板17との間の電位差の変化に由来する感知板17が帯びる電荷の変化を示す感知信号Voutを供給する出力33を有する。指11と感知板17との間の電位差の変化は、チャージアンプを介してパルス発生器32によって感知プレート17に印加される電位を変化することに由来する。感知板17および基準板21によって形成される帰還コンデンサは、チャージアンプ22の負入力30と出力との間に接続される。尚、チャージアンプの一般的な機能は、当業者には周知であることに留意されたい。図4bはまた、ウェル25が励起信号供給回路構成32に接続されることを模式的に示す。
【0071】
図4aに戻ると、センストランジスタ23のゲートがチャージアンプ22の負入力30を構成することと、センストランジスタ23のソースがチャージアンプ22の正入力31を構成することが見られる。チャージアンプ22の正入力31は、遮蔽板20に接続され、遮蔽板は続いて、センストランジスタ23が形成されるウェル25、およびパルス発生器32に接続される。
【0072】
感知素子8はさらに、駆動トランジスタ26、駆動制御スイッチ35、およびリセット制御スイッチ36を備える。駆動制御スイッチ35は、駆動トランジスタ26のゲートがパルス発生器32に接続される第一の状態と、駆動トランジスタ26のゲートがグランドに接続される第二の状態との間で制御可能である。駆動制御スイッチ35が第一の状態にある際、駆動トランジスタ26は導電し、よって感知構造17をパルス発生器32に直接接続する。駆動制御スイッチが第二の状態にある際、駆動トランジスタ26は、非導電である。後者の場合は、したがって、感知構造17とパルス発生器32との間の駆動トランジスタ26を介した直接の接続はない。図4aに見られるように、駆動トランジスタ26は、ウェル25に形成される。バイアス電流源29は、感知素子内もしくはセンサアレイ5の外部にありうる。
【0073】
同様に、リセット制御スイッチ36は、感知板17と帰還板21との間の電位差を許容するようリセットトランジスタ28が非導電である第一の状態と、感知板17と帰還板21の電位を等しくするようリセットトランジスタ28が導電する第二の状態との間で制御可能である。
【0074】
図4aの感知素子8の構造を介して、内部寄生容量Cp1およびCp3の影響は、取り除かれるかもしくは少なくとも著しく低減される。さらに、隣接する感知構造を駆動すると、図3bに示される隣接する感知板17間の寄生容量Cp2の影響を取り除くか、もしくは少なくとも著しく低減する。これは、隣接する感知素子を、その‘感知’状態、もしくは‘駆動’状態にするよう制御することによって達成することができ、‘駆動’状態は、指紋感知装置2の低い消費電流を呈するという利点を有する。
【0075】
尚、本発明は図4aの特定の感知素子設計に限定されず、感知素子の種々の要素が、本開示に基づいて当業者に容易に明らかになる多くの異なる方法で実現することができる。例えば、チャージアンプは、異なる入力を有する二段アンプの形状で提供されうる。
【0076】
本発明の種々の実施形態の理解をさらに助けるために、図4aの感知素子8の第一の実装の他の断面を、図5に提供する。図5の図示は、チャージアンプに具備されたいくつかのトランジスタ(センストランジスタ23およびカスコードトランジスタ27)の物理的トランジスタ構成が示される一方、感知素子8(および隣接する感知素子)の種々の部分の電位についての関係は“ブートストラップ”50、51、および52を使用して概念的に示される点が、主に図4aと異なる。
【0077】
図5の主な目的は、感知板17の電位に“追従する”よう制御される上述のウェル25は、ここでは、pドープ基板12に形成されたnウェルであることを示すことである。明らかに、ウェル25は、代替としてnドープ基板に形成されたpウェルであってよい。
【0078】
図6は、図5と同様の図であり、図4aの感知素子8の第二の実装を模式的に図示しており、nウェル25およびpウェル54が両方isoウェル55に形成され、isoウェルは基板12(nドープ、pドープ、もしくは非ドープでありうる)に形成される点が、図6に示されるものと異なる。この実装では、isoウェル55ならびにnウェル25およびpウェル54は、追加の“ブートストラップ”53、54によって模式的に図示されるように、感知板17の電位に追従するよう制御される。具体的には、ウェル間には電位差が存在しうる。
【0079】
例えば、図6を参照すると、isoウェル55およびnウェル25は、同じ電位に保たれうる一方、pウェル54の電位は、isoウェル/nウェルの電位に追従しうるが、異なる(典型的には低い)電位である。
【0080】
本発明の種々の実施形態による指紋感知装置2の例示の動作は、ここで図7a−cおよび図8a−cの機能的タイミング図を参照して説明される。
【0081】
図4aもまた参照すると、図7aは、ウェル25(およびオフセットした感知板17の)の挙動電位を模式的に示し、図7bは駆動制御スイッチ35の状態を模式的に示し、図7cは、リセット制御スイッチ36の状態を模式的に示す。
【0082】
図7a−cのtからtでは、感知素子8は‘駆動’状態にあり、tでは感知素子8は駆動制御スイッチ35を作動することによって‘感知’状態に遷移され、tでは、感知素子8は、駆動制御スイッチを再び作動して、駆動トランジスタ26を介して感知板17をパルス発生器32に接続することによって、‘駆動’状態に戻るよう遷移される。
【0083】
図7aに模式的に図示されるように、ウェル25(および感知板17)は、‘感知’状態および‘駆動’状態で実質的に同じ挙動を有する時変電位を呈する。‘駆動’状態では、時変電位は駆動トランジスタ26を介して感知板17に印加され、‘感知’状態では、(場合によってはチャージアンプ構成に依ってオフセットした)時変電位は、チャージアンプ22を介して感知板17に印加される。
【0084】
図7cに模式的に図示されるように、リセット制御スイッチ36は、リセットトランジスタ28を、感知素子8が‘駆動’状態にある際に非導電に保ち、感知素子8が‘感知’状態にある際に、導電と非導電との間で交互するように保つよう制御される。感知時に感知板17に印加される励起信号と、リセットトランジスタ27の動作との間の例示のタイミング関係は、図8a−8cを参照して下記に説明される。
【0085】
図8aは、図7aの拡大部であり、図8bは、感知信号、つまり図4aのチャージアンプ22の出力33での信号のシミュレーションを模式的に示し、図8cは、(図4aのチャージアンプ22の局所基準電位である)ウェル25に印加される信号よりも、(グランド等の)固定の基準電位が参照される感知信号のシミュレートされた“補正済”バージョンを模式的に示す。
【0086】
まず図8aを参照すると、感知板17に印加される励起信号は、tで低い電位から高い電位になり、その後tで高い電位から低い電位に戻る。tで、リセット制御スイッチ36は、リセットトランジスタ28を導電させ、つまりリセットトランジスタ28を介して基準板21を感知板17に接続するよう作動される。tで、リセット制御スイッチ36は、リセットトランジスタ28を非導電にする、つまりチャージアンプを、感知板17の電荷が変化する場合に出力が信号を示す状態にするよう、再び作動される。tで、感知信号は初めてサンプリングされ、第一のサンプル値Sとなる。励起信号がtで高から低になると、(少なくともサンプリング事象の時間スケールで)実質的に固定された電位にあるとされる指11との容量結合に由来する感知板17の電荷の変化が起こる。この電荷の変化は、チャージアンプによって提供される電圧の変化、つまり感知信号Voutの変化に変換される。励起信号の高から低への遷移に追従する感知信号の電位Sは、tでサンプリングされる。図4aからわかるように、感知信号はウェルの電位(図8a)に関連する。‘補正された’感知信号(図8c)を得るために、励起信号は、チャージアンプ22の出力33に存在する感知信号から引かれ、結果補正されたサンプル電圧S’およびS’となりうる。S’とS’と間の差は、感知板17と指11との間の容量結合を示す測定値である。
【0087】
図8cの補正された信号もしくは少なくとも補正されたサンプルは、例えば計装アンプの使用によって、もしくは励起信号をサンプリングコンデンサの基準電位として使用することによって等、種々の方法で得られうる。
【0088】
本発明による方法の例示の実施形態が、ここで図9のフローチャートを参照して説明される。第一のステップ101では、感知板17、遮蔽板20、ウェル(図6のnウェル25もしくは図7のisoウェル54)、および隣接する感知板の電位が、第一の電位Vから第二の電位V(これらの電位はどちらも、電気グランド等の固定された電位が参照される)に同時に変化される。後続のステップ102では、ステップ101での電位の変化に由来する指11と感知板17との間の電位差の変化に由来する感知板17が帯びる電荷の変化を示す感知信号Voutが提供される。
【0089】
当業者は、本発明が決して上述の好適な実施形態に限定されないことを認識する。むしろ逆に、多くの修正および変形が、付属のクレームの範囲内で可能である。
【0090】
請求の範囲では、“備える”という文言は他の要素またはステップを除外するものではなく、不定冠詞“a”または“an”は、複数を除外するものではない。単一のプロセッサもしくは他のユニットは、クレームに記載されるいくつかの事項の機能を満たしうる。単に一定の方法が相互に従属する異なるクレームに記載されるというだけでは、これらの方法の組み合わせを有利に使うことができないことを示すことにならない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共にもしくはその一部として供給される光学記憶媒体もしくは固体媒体等の適切な媒体に格納/配布されうるが、インターネットもしくは他の有線または無線遠距離通信システムを介して等、他の形式でも配布されうる。クレームにおけるいかなる参照記号も、範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【手続補正書】
【提出日】20190329
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指の指紋パターンを感知するための指紋感知装置であり、前記指紋感知装置は、
半導体基板と、
前記半導体基板上の感知素子のそれぞれが導電感知構造を備える感知素子のアレイと、
前記指と前記感知構造との間の容量結合を示す感知信号を供給するために前記感知構造の少なくとも1つに接続された少なくとも1つの増幅器と、
前記感知構造に接続され、前記感知構造の電位を変えるように構成された励起信号供給回路とを備える、指紋感知装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの増幅器は、前記半導体基板のウェルに形成された少なくとも1つのトランジスタを備え、
前記ウェルと前記半導体基板との間のインターフェースは、電流が前記ウェルと前記半導体基板との間を流れるのを妨げるように構成される、請求項1に記載の指紋感知装置。
【請求項3】
前記半導体基板は、第1の極性にドープされ、前記ウェルは、前記第1の極性と逆の第2の極性にドープされる、請求項2に記載の指紋感知装置。
【請求項4】
前記ウェルは、複数の感知素子に共通する、請求項2又は3に記載の指紋感知装置。
【請求項5】
前記励起信号供給回路は、前記ウェルの電位を変えるために前記ウェルに接続される、請求項2乃至4のいずれか一項に記載の指紋感知装置。
【請求項6】
前記励起信号供給回路は、前記感知構造の電位および前記ウェルの電位を同時に変えるための、前記感知構造および前記ウェルのそれぞれに接続された出力を備える、請求項5に記載の指紋感知装置。
【請求項7】
前記感知素子のそれぞれは、
前記感知構造に接続され、駆動信号を前記感知構造に直接供給するよう制御可能な少なくとも一つの駆動トランジスタを備える駆動信号供給回路をさらに備え、
前記駆動トランジスタは前記ウェルに形成される、請求項2乃至6のいずれか一項に記載の指紋感知装置。
【請求項8】
前記増幅器の出力に接続され、前記感知構造が第一の電位に保たれる際は、第一のサンプリング時間に、かつ前記感知構造が第二の電位に保たれる際は、第二のサンプリング時間に、前記感知信号をサンプリングするように構成された、サンプリング回路をさらに備える、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の指紋感知装置。
【請求項9】
前記感知構造と前記半導体基板との間に配置された遮蔽構造をさらに備え、
前記励起信号供給回路は、前記遮蔽構造に接続され、かつ前記遮蔽構造の電位を変えるよう構成される、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の指紋感知装置。
【請求項10】
前記感知素子のそれぞれは、
前記指に触れられる保護誘電最上層を備え、
前記導電感知構造は、前記保護誘電最上層の下に配置される、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の指紋感知装置。
【請求項11】
前記励起信号供給回路は、前記指と前記感知構造との間の電位差の変化を供給する、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の指紋感知装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの増幅器は、チャージアンプであって、
前記感知構造に接続された第一の入力と、
第二の入力と、
前記感知信号を供給する出力と、
前記第一の入力と前記第二の入力との間に接続された帰還コンデンサと、
前記少なくとも1つのトランジスタと、を備え、
前記チャージアンプは、前記第一の入力の電位が前記第二の入力の電位に追従するよう構成される、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の指紋感知装置。
【請求項13】
前記第一の入力は負入力であり、前記第二の入力は正入力である、請求項12に記載の指紋感知装置。
【請求項14】
前記励起信号供給回路は、前記第二の入力に接続され、前記第二の入力の電位を第一の電位から第二の電位に変えるよう構成され、それによって前記感知構造の電位を変える、請求項12又は13に記載の指紋感知装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つのトランジスタは、前記半導体基板のウェルに形成され、前記ウェルと前記半導体基板との間のインターフェースは電流が前記ウェルと前記半導体基板との間を流れるのを妨げるように構成され、
前記励起信号供給回路は、前記ウェルの電位を第三の電位から第四の電位に変えるために前記ウェルに接続される、請求項14に記載の指紋感知装置。
【請求項16】
前記第三の電位と前記第四の電位との差は前記第一の電位と前記第二の電位との差に等しい、請求項15に記載の指紋感知装置。
【請求項17】
前記励起信号供給回路は、前記チャージアンプの正入力を第一の電位に、および前記ウェルを第三の電位に同時に保ち、かつ前記チャージアンプの正入力を第二の電位に、および前記ウェルを第四の電位に同時に保つよう構成される、請求項15又は16に記載の指紋感知装置。
【請求項18】
前記チャージアンプの前記第一の入力と前記出力との間に接続され、前記帰還コンデンサを放電するよう制御可能な少なくとも一つのリセットトランジスタを備えるリセットスイッチをさらに備え、
前記リセットトランジスタは前記半導体基板のウェルに形成され、前記ウェルと前記半導体基板との間のインターフェースは電流が前記ウェルと前記半導体基板との間を流れるのを妨げるように構成される、請求項12乃至17のいずれか一項に記載の指紋感知装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つの増幅器に接続され、前記少なくとも1つの増幅器からの前記感知信号に基づいて前記指紋パターンの表現を提供するよう構成された読み出し回路をさらに備える、請求項1乃至18のいずれか一項に記載の指紋感知装置。
【請求項20】
請求項19に記載の指紋感知装置と、
前記指紋感知装置から前記指紋パターンの前記表現を取得し、
前記表現に基づいてユーザを認証し、
前記表現に基づいてユーザが前記認証された場合にのみ、少なくとも一つのユーザ要求処理を行うよう構成された処理回路と、を備える電子装置。
【請求項21】
ドープされた半導体基板と、前記半導体基板に形成された感知素子のアレイと、を備える指紋感知装置を使用して指の指紋パターンを感知する方法であって、
前記感知素子のそれぞれは、前記半導体基板のウェルに形成されたトランジスタに接続された導電感知構造を含み、前記ウェルは前記半導体基板に関して逆極性にドープされ、
前記方法は、前記感知素子のそれぞれについて、
前記感知構造の電位を第一の電位から第二の電位に変えるステップと、
前記指と前記感知構造との間の容量結合を示す感知信号を供給するステップと、を備える方法。
【請求項22】
前記感知信号は、前記第一の電位から前記第二の電位への前記感知構造の電位の変化によって達成された、前記指と前記感知構造との間の電位差の変化に由来する、前記感知構造が帯びる電荷の変化を示す、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ウェルの電位を第三の電位から第四の電位に変えるステップをさらに備え、前記第三の電位と前記第四の電位との差は、前記第一の電位と前記第二の電位との差に実質的に同等である、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
複数の近接した感知素子の各感知構造の電位を第七の電位から第八の電位に変えるステップをさらに備え、前記第七の電位と前記第八の電位との差は前記第一の電位と前記第二の電位との差に実質的に同等である、請求項21乃至23のいずれか一項に記載の方法。