(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2019144515
(43)【公開日】20190829
(54)【発明の名称】虚像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20190802BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20190802BHJP
   G02B 17/08 20060101ALN20190802BHJP
【FI】
   !G02B27/02 Z
   !H04N5/64 511A
   !G02B17/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】2018031372
(22)【出願日】20180223
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区新宿四丁目1番6号
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】横山 修
【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内
【テーマコード(参考)】
2H087
2H199
【Fターム(参考)】
2H087KA14
2H087RA41
2H087RA45
2H087TA03
2H199CA06
2H199CA12
2H199CA23
2H199CA25
2H199CA29
2H199CA32
2H199CA42
2H199CA44
2H199CA46
2H199CA47
2H199CA50
2H199CA53
2H199CA55
2H199CA83
(57)【要約】
【課題】外観的に優れ、かつ、大きな画像を高解像度・低歪曲で視認することができる虚像表示装置を提供すること。
【解決手段】本発明の虚像表示装置は、画像光を射出する画像表示素子と、前記画像表示素子から射出された前記画像光の中間像を生成するリレー光学系と、前記中間像を観察者の眼と想定される位置に向けて反射することで、拡大された虚像を生成する接眼光学素子と、を備え、前記リレー光学系は、屈曲面で構成される入射面としての第1屈曲面と、屈曲面で構成される出射面としての第2屈曲面と、前記第1屈曲面から入射した前記画像光を前記第2屈曲面に向けて反射する反射面と、を有するプリズムを含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像光を射出する画像表示素子と、
前記画像表示素子から射出された前記画像光の中間像を生成するリレー光学系と、
前記中間像を観察者の眼と想定される位置に向けて反射することで、拡大された虚像を生成する接眼光学素子と、を備え、
前記リレー光学系は、屈曲面で構成される入射面としての第1屈曲面と、屈曲面で構成される出射面としての第2屈曲面と、前記第1屈曲面から入射した前記画像光を前記第2屈曲面に向けて反射する反射面と、を有するプリズムを含むことを特徴とする虚像表示装置。
【請求項2】
前記リレー光学系は、さらに、少なくとも1つのレンズを含み、
前記プリズムは、前記リレー光学系において、最も前記接眼光学素子側に位置する請求項1に記載の虚像表示装置。
【請求項3】
前記画像表示素子は、前記観察者の側頭部と想定される位置に配置され、前記接眼光学素子は、前記観察者の眼の前と想定される位置に配置され、前記リレー光学系は、前記画像表示素子と前記接眼光学素子との間に配置されており、
前記画像表示素子は、前記画像光を前記側頭部と想定される位置に沿って出射して前記リレー光学系に入射させる請求項1または2に記載の虚像表示装置。
【請求項4】
前記反射面は、平面で構成される請求項1ないし3のいずれか1項に記載の虚像表示装置。
【請求項5】
前記プリズムは、前記反射面に対向する位置に、平面で構成される対向面を備える請求項1ないし4のいずれか1項に記載の虚像表示装置。
【請求項6】
前記プリズムは、前記反射面に対向する位置に、2つの平面で構成される凹面を対向面として備える請求項1ないし4のいずれか1項に記載の虚像表示装置。
【請求項7】
前記プリズムは、前記反射面に対向する位置に、湾曲凹面で構成される対向面を備える請求項1ないし4のいずれか1項に記載の虚像表示装置。
【請求項8】
前記接眼光学素子は、透明な光学媒質で構成されたプリズム部材と、前記プリズム部材の一部を被覆する凹面ミラーとを備え、
前記プリズム部材は、前記観察者の眼と想定される位置側に位置する平面と、前記眼と想定される位置と反対側に位置し、前記眼と想定される位置側に位置する平面と遠ざかる方向に向かって凸となる凸曲面形状からなる曲面と、を備え、
前記凹面ミラーは、前記曲面を被覆して形成されている請求項1ないし7のいずれか1項に記載の虚像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、虚像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
瞳の網膜に画像光を直接照射し、使用者に画像を視認させる表示装置としてヘッドマウントディスプレイ(HMD)が知られている。
【0003】
ヘッドマウントディスプレイは、一般に、画像光を生成する画像表示素子と、画像表示素子から射出された前記画像光の中間像を生成するリレー光学系と、中間像の拡大された虚像を観察者の眼と想定される位置、すなわち網膜に向けて反射(偏向)する接眼光学素子と、を備えている。このようなヘッドマウントディスプレイにより、使用者は、例えば、外界の景色と、前記画像光がリレー光学系を介して拡大して生成された虚像との双方を同時に視認することができる。
【0004】
このようなヘッドマウントディスプレイでは、例えば、画像表示素子が観察者の頭部の側面に、接眼光学素子が眼(瞳)の前に、それぞれ配置され、さらに、リレー光学系が、これら画像表示素子と接眼光学素子との間、すなわち、頭部の側面(側頭部)と眼の前との間に配置される。
【0005】
そのため、リレー光学系は、頭部の側面と眼の前との間において、観察者の頭部に沿って配置され、頭部に対する突出量が抑制されて、ヘッドマウントディスプレイが外観的に優れること、さらには、拡大された虚像を高解像度に生成し得ることが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−208193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、リレー光学系に偏心プリズムを用いることが提案されている。この偏心プリズムでは、光路を折り曲げることで光学系のコンパクト化を図り、さらに、リレー光学系における中間像拡大率を高めることで、裏面鏡で構成される接眼光学素子における偏心収差の補正の負担を分担させることが提案されている。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のリレー光学系に用いられる偏心プリズムでは、頭部に対する突出量が十分には抑制されず、外観的に優れるとは言えず、さらに、収差の補正が十分になされているとは言えないのが実情であった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
【0010】
本発明の適用例に係る虚像表示装置は、画像光を射出する画像表示素子と、
前記画像表示素子から射出された前記画像光の中間像を生成するリレー光学系と、
前記中間像を観察者の眼と想定される位置に向けて反射することで、拡大された虚像を生成する接眼光学素子と、を備え、
前記リレー光学系は、屈曲面で構成される入射面としての第1屈曲面と、屈曲面で構成される出射面としての第2屈曲面と、前記第1屈曲面から入射した前記画像光を前記第2屈曲面に向けて反射する反射面と、を有するプリズムを含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の適用例に係る虚像表示装置では、前記リレー光学系は、さらに、少なくとも1つのレンズを含み、
前記プリズムは、前記リレー光学系において、最も前記接眼光学素子側に位置することが好ましい。
【0012】
本発明の適用例に係る虚像表示装置では、前記画像表示素子は、前記観察者の側頭部と想定される位置に配置され、前記接眼光学素子は、前記観察者の眼の前と想定される位置に配置され、前記リレー光学系は、前記画像表示素子と前記接眼光学素子との間に配置されており、
前記画像表示素子は、前記画像光を前記側頭部と想定される位置に沿って出射して前記リレー光学系に入射させることが好ましい。
【0013】
本発明の適用例に係る虚像表示装置では、前記反射面は、平面で構成されることが好ましい。
【0014】
本発明の適用例に係る虚像表示装置では、前記プリズムは、前記反射面に対向する位置に、平面で構成される対向面を備えることが好ましい。
【0015】
本発明の適用例に係る虚像表示装置では、前記プリズムは、前記反射面に対向する位置に、2つの平面で構成される凹面を対向面として備えることが好ましい。
【0016】
本発明の適用例に係る虚像表示装置では、前記プリズムは、前記反射面に対向する位置に、湾曲凹面で構成される対向面を備えることが好ましい。
【0017】
本発明の適用例に係る虚像表示装置では、前記接眼光学素子は、透明な光学媒質で構成されたプリズム部材と、前記プリズム部材の一部を被覆する凹面ミラーとを備え、
前記プリズム部材は、前記観察者の眼と想定される位置側に位置する平面と、前記眼と想定される位置と反対側に位置し、前記眼と想定される位置側に位置する平面と遠ざかる方向に向かって凸となる凸曲面形状からなる曲面と、を備え、
前記凹面ミラーは、前記曲面を被覆して形成されていることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の虚像表示装置としてヘッドマウントディスプレイ(HMD)に適用した場合の実施形態の全体像を示す概略斜視図である。
【図2】図1に示すヘッドマウントディスプレイを観察者に装着した際に、HMDが備える画像表示部の第1実施形態における概略構成を示す模式平面図である。
【図3】図2に示す画像表示部の右側の構成を拡大して示す拡大平面図である。
【図4】図2に示す画像表示部の右側の構成を拡大して示す拡大側面図である。
【図5】図4に示す画像表示部が備える接眼光学素子を拡大して示す拡大平面図である。
【図6】HMDが備える画像表示部の第2実施形態における右側の構成を拡大して示す拡大平面図である。
【図7】HMDが備える画像表示部の第3実施形態における右側の構成を拡大して示す拡大平面図である。
【図8】図1に示すヘッドマウントディスプレイを観察者に装着した際に、HMDが備える画像表示部の第4実施形態における概略構成を示す模式平面図である。
【図9】図8に示す画像表示部の右側の構成を拡大して示す拡大平面図である。
【図10】HMDが備える画像表示部の第5実施形態における右側の構成を拡大して示す拡大平面図である。
【図11】図10に示す画像表示部の第5実施形態における右側の他の構成例を拡大して示す拡大平面図である。
【図12】一般的なHMDの画像表示部が備える画像表示部の右側の一部を拡大して示す拡大平面図である。
【図13】一般的なHMDの画像表示部が備える画像表示部の右側の一部を拡大して示す拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の虚像表示装置を添付図面に示す好適な実施形態について説明する。
なお、以下では、本発明の虚像表示装置(画像表示装置)を、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)に適用した場合を一例に説明する。
【0020】
図1は、本発明の虚像表示装置としてヘッドマウントディスプレイ(HMD)に適用した場合の実施形態の全体像を示す概略斜視図である。
【0021】
ヘッドマウントディスプレイ1000(HMD)は、図1に示すように、眼鏡様の形状を有する本体部100と、使用者の手で持つことが可能な程度の大きさを有する制御部200(コントローラー)とを備えている。
【0022】
本体部100と制御部200とは、本実施形態では、ケーブル300により有線で通信可能に接続されている。そして、本体部100と制御部200とは、このケーブル300を介して、画像信号や制御信号を通信する。なお、本体部100と制御部200とは、通信可能に接続されていればよく、図1に示した有線の他、無線であってもよい。
【0023】
制御部200は、操作部210と操作ボタン部220とを備え、使用者は、制御部200の操作部210や操作ボタン部220に対して操作入力を行い、本体部100が備える各部に対する指示を行うよう構成されている。
【0024】
本体部100は、使用者が眼鏡を掛ける感覚で頭部に装着して使用されるものであり、フレーム140と、このフレーム140内に収容された画像表示部110とを有している。
【0025】
画像表示部110は、フレーム140の右側の部分に収容され、右眼用画像の画像光を形成して、観察者の右眼に向けて射出する右眼用の画像表示部110Aと、フレーム140の左側の部分に収容され、左眼用画像の画像光を形成して、観察者の左眼に向けて射出する左眼用の画像表示部110Bとを備えている。
【0026】
なお、フレーム140の右側に収納された画像表示部110Aと左側に収納された画像表示部110Bとは、同様の構成を有しており、双方の画像表示部内の各構成要素は左右対称に配置されている。そのため、以下では、画像表示部110Aを代表に説明し、画像表示部110Bの説明を省略する。
【0027】
<第1実施形態>
まず、画像表示部110Aの第1実施形態について説明する。
図2は、図1に示すヘッドマウントディスプレイを観察者に装着した際に、HMDが備える画像表示部の第1実施形態における概略構成を示す模式平面図、図3、図4は、図2に示す画像表示部の右側の構成を拡大して示す拡大図、図5は、図4に示す画像表示部が備える接眼光学素子を拡大して示す拡大平面図、図12、図13は、一般的なHMDの画像表示部が備える画像表示部の右側の一部を拡大して示す拡大平面図である。なお、以下では、説明の都合上、図2中の上側を「前(Z方向)」、下側を「後(−Z方向)」、紙面手前側を「上(X方向)」、紙面奥側を「下(−X方向)」、右側を「右(Y方向)」、左側を「左(−Y方向)」として説明を行う。換言すれば、後述するリレー光学系12が並ぶ方向を「±Z方向」、リレー光学系12の幅方向を「±Y方向」、リレー光学系12の高さ方向を「±X方向」として説明を行う。
【0028】
図2〜図4に示すように、画像表示部110Aは、画像表示素子11と、リレー光学系12(導光光学系)と、接眼光学素子13(プリズム光学素子)とを備えている。
【0029】
なお、図3、図4において、観察者の眼MEの瞳孔中心を通り、かつ観察される画像の中心画角となる光線が通る経路を光軸axとする。
【0030】
画像表示素子11は、画像情報を含む画像光Gを射出するものであり、本実施形態では、観察者の右側の側頭部において、この画像表示素子11と接眼光学素子13との間に位置するリレー光学系12に面(対向)して配置されており、リレー光学系12に向けて、すなわち、観察者の側頭部に沿って画像光Gを射出することで、この画像光Gをリレー光学系12に入射させる。
【0031】
この画像表示素子11は、本実施形態では、例えば、バックライトで照明された液晶表示素子や、有機EL表示素子等の二次元画像表示素子で構成される。
【0032】
ただし、画像表示素子11は、このような二次元画像表示素子に限定されず、レーザー光源により射出されたレーザー光を走査することで画像を生成する走査型画像表示素子で構成されていてもよい。
【0033】
接眼光学素子13(プリズム光学素子)は、リレー光学系12を介して画像表示素子11から射出された画像光Gを偏向(反射)させて、観察者の右の眼ME(右眼)に導くことにより、眼ME(右眼)の網膜上に映像を表示させるためのものであり、観察者の右の眼ME(右眼)の前に配置されている。
【0034】
この接眼光学素子13は、プリズム部材14(第1プリズム部材)と、プリズム部材14の一部を被覆する凹面ミラー15とを有している。
【0035】
プリズム部材14は、例えば、透明な光学樹脂または光学ガラスのような光学媒質で構成されるものであり、面14a(眼ME側の面)と面14b(眼MEと反対側の面)とを有し、一方の面14a(眼ME側の面)が光屈折面16(第1光屈折面)で構成され、他方の面14b(眼MEと反対側の面)が曲面17で構成されている。これらのうち、光屈折面16は、平面からなり、これに対して、曲面17は光屈折面16から遠ざかる方向に向かって凸となる凸曲面形状からなる。
【0036】
かかる構成のプリズム部材14において、光屈折面16は、画像光Gを屈折(偏向)させることで凹面ミラー15へと導く。この際、光屈折面16は、光軸axを観察者から遠ざける方向に画像光Gを屈折させる。
【0037】
ここで、凹面ミラー15は、例えば、曲面17に対して金属膜を蒸着することにより、曲面17を被覆して形成される。そのため、凹面ミラー15は、曲面17の形状に倣った曲面形状を有する。本実施形態において、凹面ミラー15は接眼光学系としての凹面ミラーとして機能し、画像表示素子11から射出された画像光Gを反射して良好に観察者の眼MEに導く。より具体的には、凹面ミラー15は、中間像Fからの光を集光して観察者の眼MEの瞳孔近傍に射出瞳25を形成する。これにより、観察者は、接眼光学素子13越しに拡大された虚像を見ることができる。なお、本実施形態において、凹面ミラー15は、光の透過性を有しないことから、かかる凹面ミラー15を備える接眼光学素子13を有するヘッドマウントディスプレイ1000は、反射型のものに適用される。
【0038】
凹面ミラー15で反射された画像光Gは、プリズム部材14から出射される際、光屈折面16で屈折されることで観察者の眼MEに入射する。そのため、観察者は、凹面ミラー15越しに拡大された虚像を視認することができる。
【0039】
ところで、近年、ヘッドマウントディスプレイにおいては、さらなる広画角化が要求されている。
【0040】
ここで、画角を大きくする場合に生じる問題点について、接眼光学素子が凹面ミラー15Aのみで構成される場合を参照しながら説明する。
【0041】
なお、図12では、ヘッドマウントディスプレイが備える画像表示部110Aにおいて画角を小さくする場合を示し、図13では、画像表示部110Aにおいて画角を大きくする場合を示している。
【0042】
一般的なヘッドマウントディスプレイにおける、画像表示部110Aが備える接眼光学素子では、画像光Gを凹面ミラー15Aのみで観察者の眼MEに導く点で、本実施形態で説明したヘッドマウントディスプレイ1000における画像表示部110Aが備える接眼光学素子13と構成が異なる。
【0043】
なお、図12、図13において、観察者の眼MEの瞳孔中心を通り、かつ観察される画像光Gの中心画角となる光線が通る経路を光軸axとする。
【0044】
まず、図12に示すように、凹面ミラー15Aの曲面は、観察者の鼻側では顔に近く、耳側では顔から離れるように配置される。そこで、画角θが大きくなると、図12に示すように、凹面ミラー15Aの突出量(以下、「ミラー突出量D」と称す)が大きくなる。このように、ミラー突出量Dが大きくなると外観デザインが損なわれるため、好ましくない。
【0045】
そこで、画角θを維持した状態でミラー突出量Dを小さくすることが考えられる。このように画角θを維持した状態でミラー突出量Dを小さくする手法として凹面ミラー15Aの傾斜角αを小さくすることが考えられる。ここで、図13に示す通り、傾斜角αとは、凹面ミラー15Aのミラー面法線H1と光軸axとが成す角度である。
【0046】
しかしながら、図13から分かるように、傾斜角αを小さくすると、凹面ミラー15Aによる光軸axの偏向角βが小さくなる。これにより、画像表示素子11やリレー光学系12が観察者の頭部に近づくことで接触するといった問題が生じる。
【0047】
これに対し、本実施形態のヘッドマウントディスプレイ1000では、接眼光学素子13が備える光屈折面16により画像光Gが屈折される。すなわち、上述したミラー突出量Dを抑えるために前記傾斜角αを小さくしたとしても、光屈折面16によって画像光Gを屈折させることで光軸axを折り曲げて画像表示素子11およびリレー光学系12を観察者の頭部に接触しない位置に配置させることができる。
【0048】
より具体的には、図13において、例えば、傾斜角αを30度としなければならない場合でも、凹面ミラー15Aに代えて接眼光学素子13を用いることで、傾斜角αを15度程度に抑えることができる。また、図13に示した偏向角βを60度程度とした場合であっても、画像表示素子11およびリレー光学系12が観察者の頭部に接触するのを防止することができる。
【0049】
そこで、例えば、水平画角40度の虚像を観察可能とする場合、図12に示したような凹面ミラー15Aだけの構成ではミラー突出量Dが約17mm程度となるが、接眼光学素子13を用いた構成によればミラー突出量Dを約10mm程度にまで薄くすることができる。
【0050】
また、図5に示すように、射出瞳25の中心を通る視軸axoの設定を考慮すると、例えば、プリズム部材14の屈折率を1.74とし、視軸に垂直な面axvに対する眼側平面としての面14aの傾斜角を10度、視軸axo位置での凹面ミラー15Aの傾斜角を約20度である時に、視軸axoに平行に入射した光は約67度の角度で偏向され、顔の外側に向かう。
【0051】
また、画面水平方向の画角を30度、射出瞳25の直径を4.5mmとした時に、プリズム部材14内で光が通過する領域の厚さは5mm程度であり、プリズム部材14すなわち接眼光学素子13の厚さを薄くできる。このように、眼側平面での屈折を利用することにより、接眼光学素子13の視軸axo方向へのミラー突出量Dを抑えながらも顔の外側からの光を大きく偏向することができるため、図2に示すような顔の側面に沿ったリレー光学系12の配置を実現することができる。
【0052】
また、接眼光学素子13の視軸axo方向へのミラー突出量Dを抑えるには、眼側平面としての面14aの傾斜角を小さくすることが好ましいが、例えば、5度未満のように小さくし過ぎると、画像光Gが面14aで大きく屈折したとしても大きく偏向させることが困難となり、画像光Gの一部が顔の側面に当たって虚像の一部が欠けて表示されてしまうおそれがある。そのため、眼側平面としての面14aの傾斜角は、好ましくは5度以上20度未満、より好ましくは10度以上15度未満に設定される。
【0053】
以上のように、接眼光学素子13を用いることで、ミラー突出量Dを小さくすることが可能であるため、観察者の眼MEの前に位置する部材の厚さを薄くすることでヘッドマウントディスプレイ1000の外観デザインを向上させることができる。
【0054】
なお、接眼光学素子13は、リレー光学系12を介して画像表示素子11から射出された画像光Gを偏向(反射)させて、観察者の右の眼MEに導くことができるものであれば、本実施形態のように、プリズム部材14と凹面ミラー15とを有する構成のものに限定されず、例えば、ホログラムミラーやフレネルミラー等で構成することもできる。
【0055】
リレー光学系12は、画像表示素子11から射出された画像光Gを、観察者の側頭部に沿って、接眼光学素子13へと導く(入射させる)ためのものであり、本実施形態では、観察者の右側の側頭部において、画像光Gが通過する光路上における画像表示素子11と接眼光学素子13との間に配置されており、接眼光学素子13に対して、画像表示素子11からの画像光Gを、このリレー光学系12内を伝達した後に、射出する。このリレー光学系12は、少なくとも正のパワーと負のパワーとを含む光学系であり、全体として正のパワーを有する。そのため、リレー光学系12は、このリレー光学系12に画像光Gを通過させることで、画像表示素子11から射出された画像光Gを集光して、接眼光学素子13の手前に中間像Fを形成する。
【0056】
リレー光学系12は、本実施形態では、第1レンズ12aと、第2レンズ12bと、第3レンズ12cと、第4レンズ12dと、プリズム12eとを有し、これらが、画像光Gが通過する光路上の光入射側(画像表示素子11)から光出射側(接眼光学素子13側)までこの順で、観察者の右側の側頭部に沿って並んで配置されている。なお、本実施形態では、リレー光学系12は、画像光Gが通過する光路上の最も光出射側(接眼光学素子13側)に位置するプリズム12eと、第1レンズ12a、第2レンズ12b、第3レンズ12cおよび第4レンズ12dの4枚のレンズとで構成されているが、プリズム12eと少なくとも1つレンズとを含んでいればよく、レンズの枚数は、1枚以上であれば4枚に特に限定されるものではない。
【0057】
プリズム12e(光偏向素子)は、リレー光学系12の最も接眼光学素子13側(最終段)に配置され、プリズム部材14と同様に、例えば、光学的に透明な光学樹脂または光学ガラスのような光学媒質で構成される。
【0058】
このプリズム12eは、その全体形状がZ方向に長い直方体状をなし、入射面121(画像表示素子11側の面)と、出射面122(接眼光学素子13側の面)と、反射面123(側頭部と反対側の面)と、対向面124(側頭部側の面)とを有している。かかる構成のプリズム12eにおいて、入射面121と出射面122とが、入射面121を画像表示素子11側とし、出射面122を接眼光学素子13側として、対向するように形成され、反射面123と対向面124とが、反射面123を側頭部の反対側とし、対向面124を側頭部側として、対向するように形成されている。そして、入射面121が、凸形状をなす屈曲面(凸面)からなる第1屈曲面(第1屈折面)で構成され、出射面122が、凸形状をなす屈曲面からなる第2屈曲面(第2屈折面)で構成され、反射面123および対向面124が、平坦面からなる平面で構成されている。
【0059】
かかる構成のプリズム12eにおいて、画像表示素子11から射出された画像光Gが、レンズ12dを介して入射面121に入射すると、反射面123により出射面122に向けて反射される。そして、反射された画像光Gが出射面122から、接眼光学素子13に向けて出射される。
【0060】
ここで、画像表示部110Aが備えるリレー光学系12を、観察者の側頭部に沿った形状とするには、側頭部に配置された画像表示素子11から顔の前方に向かって進行する(射出された)画像光Gを、観察者の眼の前に配置された接眼光学素子13の方向に偏向させる必要があるが、リレー光学系12が備えるプリズム12eでは、かかる偏向を、前述した、反射面123による画像光Gの出射面122に向けた反射により実現している。
【0061】
ところで、画像光Gを偏向させると言う観点からは、反射面123の位置に、光を反射可能なミラーを配置することも考えられるが、この場合、単一なミラーで反射(偏向)させるため収差補正の自由度が小さいという問題がある。特に、本実施形態のように、プリズム部材14の面14a(眼側平面)において大きな角度での屈折が生じる場合には、大きな収差が発生する。そのため、リレー光学系12の最も接眼光学素子13側に位置するプリズム12eに、より強力な収差補正を行い得ることが求められる。
【0062】
このような要求に対して、プリズム12eでは、反射面123に加えて、入射面121が第1屈曲面(第1屈折面)と、出射面122が第2屈曲面(第2屈折面)と、を備えるため、これら2つの屈折面を収差補正に利用することができる。したがって、収差補正の自由度を大きく保つことができ、その結果、より強力な収差補正を行うことができる。そのため、観察者は、接眼光学素子13越しに拡大された虚像を高解像度・低歪曲なものとして視認することができる。
【0063】
なお、反射面123には画像光Gが斜めに入射することから、大きな範囲に渡って画像光Gが入射することとなるため、本実施形態では、画像光Gの波面を乱さないように反射面123を平面としているが、光学系の収差補正に有効であれば、反射面123は、平面で構成される必要はなく、屈曲面で構成されていてもよい。
【0064】
また、本実施形態では、プリズム12eの入射面121から入射した画像光Gは、臨界角以上の角度で反射面123に入射する。そのため、画像光Gは、反射面123で全反射される。そのため、反射面123における、金属膜等の反射膜(ミラー)の形成を省略することができる。この場合、本実施形態のように、対向面124が反射面123に対して平行であることにより、プリズム12eを通して外界(外側)の景色を視認することができる。さらに、外界の光を取り込むことが可能となり、観察者は、ヘッドマウントディスプレイ1000の装着時に開放感を感じることができる。また、Z方向すなわち側頭部に沿って伸びる平面である反射面123で全反射させる構成とすることで、入射面121と出射面122とを交差させることなくプリズム12eを形成することができ、プリズム12eの厚さが厚くなるのを抑制することができる。すなわち、プリズム12eの小型軽量化を実現することができる。そのため、Y方向すなわち頭部に対する突出量を小さくすることができることから、ヘッドマウントディスプレイ1000を、優れた外観を備えるものとすることができる。
【0065】
また、反射面123と対向する位置の対向面124は、平面で構成され、反射面123に対して平行に設けられている。このような対向面124を備えるプリズム12eとすることで、プリズム12eは、反射面123および対向面124を予め備える平行平板の両端面に、屈曲面(屈折面)を加工して入射面121および出射面122を形成することで得られることから、プリズム12eを製造する際の製造工程の簡略化を図ることができる。なお、プリズム12eは、上記のような製造方法の他、反射面123および対向面124を予め備える平行平板の両端面に、入射面121が作り込まれた部材と、出射面122が作り込まれた部材とを、それぞれ接合する方法によっても製造することができる。
【0066】
前記で説明した、画像表示素子11と、リレー光学系12と、接眼光学素子13とを備える画像表示部110Aにおいて、リレー光学系12が備えるレンズ12a〜12dおよびプリズム12eと、接眼光学素子13が備えるプリズム部材14が有する面14b(光反射面)との面形状は、XY多項式で表される曲面となっている。この画像表示部110Aでは、水平方向(Y方向)には大きな非対称性を有するが、垂直方向(X方向)では上下対称となっていることから、XY多項式はXについて偶数次数の項だけを含む。
【0067】
以上のように、本発明では、画像光Gを射出する画像表示素子11と、画像表示素子11から射出された画像光Gの中間像Fを生成するリレー光学系12と、中間像Fを観察者の眼MEと想定される位置(射出瞳25)に向けて反射することで、拡大された虚像を生成する接眼光学素子13と、を備える画像表示部110A(ヘッドマウントディスプレイ1000)において、リレー光学系12は、屈曲面で構成される入射面121としての第1屈曲面と、屈曲面で構成される出射面122としての第2屈曲面と、第1屈曲面から入射した画像光Gを第2屈曲面に向けて反射する反射面123と、を有するプリズム12eを含むことを特徴とする。
【0068】
これにより、プリズム12eひいてはリレー光学系12の小型軽量化を実現することができ、リレー光学系12を観察者(使用者)の側頭部に、その突出量を低減させた状態で、沿うように配置させることができる。そのため、かかるリレー光学系12を備えるヘッドマウントディスプレイ1000を、優れた外観を備えるものとすることができる。
【0069】
さらに、プリズム12eにおいて、入射面121、出射面122および反射面123の3つの面を収差補正に利用して、収差補正の自由度を大きく保つことができ、その結果、より強力な収差補正を行うことができるため、観察者は、接眼光学素子13越しに拡大された虚像を高解像度・低歪曲なものとして視認することができる。
【0070】
したがって、観察者の頭部からの突出量を抑制して外観的に優れ、かつ、大きな画像(虚像)を高解像度・低歪曲で視認することができるヘッドマウントディスプレイ1000を提供することができる。
【0071】
<第2実施形態>
次に、画像表示部110Aの第2実施形態について説明する。
図6は、HMDが備える画像表示部の第2実施形態における右側の構成を拡大して示す拡大平面図である。
【0072】
以下、第2実施形態の画像表示部110Aについて、前記第1実施形態の画像表示部110Aとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0073】
図6に示す第2実施形態の画像表示部110Aでは、プリズム12eが備える対向面124が2つの平面124a、124bで構成されていること以外は、第1実施形態の画像表示部110Aと同様である。
【0074】
プリズム12eでは、画像光Gが入射面121から入射して反射面123で反射され、その後、出射面122から出射して接眼光学素子13に向かうが、プリズム12e内において画像光Gが伝搬する領域以外は、プリズムで構成する必要がない、すなわち、プリズム媒質が不要である。
【0075】
そのため、本実施形態では、図6に示すように、反射面123と対向する位置の対向面124を平面124aと平面124bとの2つの面で分割して構成されるものとし、プリズム12eのZ方向における2つの縁部から中央部に向かって、その厚さが漸減するように、対向面124を2つの平面124a、124bからなる凹面で構成している。
【0076】
プリズム12eをこのような構造とすることで、リレー光学系12の軽量化が図られるとともに、プリズム12eの厚さが薄くなることから、リレー光学系12を観察者の側頭部にさらに沿うように配置できるようになる。
【0077】
このような第2実施形態の画像表示部110Aによっても、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0078】
<第3実施形態>
次に、画像表示部110Aの第3実施形態について説明する。
図7は、HMDが備える画像表示部の第3実施形態における右側の構成を拡大して示す拡大平面図である。
【0079】
以下、第3実施形態の画像表示部110Aについて、前記第1実施形態の画像表示部110Aとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0080】
図7に示す第3実施形態の画像表示部110Aでは、プリズム12eが備える対向面124が曲面で構成されていること以外は、第1実施形態の画像表示部110Aと同様である。
【0081】
プリズム12eでは、画像光Gが入射面121から入射して反射面123で反射され、その後、出射面122から出射して接眼光学素子13に向かうが、プリズム12e内において画像光Gが伝搬する領域以外は、プリズムで構成する必要がない、すなわち、プリズム媒質が不要である。
【0082】
そのため、本実施形態では、図7に示すように、反射面123と対向する位置の対向面124を、プリズム12eのZ方向における2つの縁部から中央部に向かって、その厚さが漸減する曲面、すなわち、湾曲凹面で構成している。
【0083】
プリズム12eをこのような構造とすることで、リレー光学系12の軽量化が図られるとともに、プリズム12eの厚さが薄くなることから、リレー光学系12を観察者の側頭部にさらに沿うように配置できるようになる。
【0084】
このような第3実施形態の画像表示部110Aによっても、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0085】
<第4実施形態>
次に、画像表示部110Aの第4実施形態について説明する。
図8は、図1に示すヘッドマウントディスプレイを観察者に装着した際に、HMDが備える画像表示部の第4実施形態における概略構成を示す模式平面図、図9は、図8に示す画像表示部の右側の構成を拡大して示す拡大平面図である。
【0086】
以下、第4実施形態の画像表示部110Aについて、前記第1実施形態の画像表示部110Aとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0087】
図8、図9に示す第4実施形態の画像表示部110Aでは、接眼光学素子13(プリズム光学素子)の構成が異なること以外は、第1実施形態の画像表示部110Aと同様である。
【0088】
なお、第1実施形態の画像表示部110Aは、反射型のHMDに適用するものとして説明したが、本実施形態の画像表示部110Aは外界に画像光Gを重畳させるいわゆるシースルー型のHMDに適用されるものである。
【0089】
本実施形態の画像表示部110Aでは、図9に示すように、接眼光学素子13は、プリズム部材14と、プリズム部材20(第2プリズム部材)と、凹面ミラー115とを有している。
【0090】
凹面ミラー115は、部分反射膜で構成される。この部分反射膜としては、例えば、ハーフミラーを用いることができる。また、ハーフミラーとしては、例えば、金属を極薄く成膜して画像光G(入射光)の強度の一部を透過させる金属薄膜等が挙げられる。
【0091】
なお、ハーフミラーを構成する金属薄膜は光の吸収も大きい。そのため、誘電体多層膜を用いて凹面ミラー115を形成することもできる。この場合、凹面ミラー115は、振幅分割型の反射膜から構成されたものとなり、画像光Gを効率良く反射させることができる。
【0092】
さらに、凹面ミラー115としては、特定の波長だけを反射(回折)させる体積ホログラム層を用いてもよい。この場合、凹面ミラー115は波長分割型の反射膜から構成されたものとなり、画像光Gに含まれる所望の波長帯の光を効率良く反射させることができる。
【0093】
プリズム部材20は、凹面ミラー115を介して、プリズム部材14と反対側に設けられる。このプリズム部材20は、例えば、プリズム部材14と同様に、光学的に透明な光学樹脂または光学ガラスから構成され、プリズム部材14と略同一の屈折率を有する。
【0094】
プリズム部材20は、凹面ミラー115と反対側の光屈折面16と平行をなす、平面からなる外面側光屈折面21(第2光屈折面)を有している。
【0095】
ここで、観察者(使用者)の眼MEの前に、前記第1実施形態のように、プリズム部材14のみが配置されていると、観察者によりプリズム部材14を介して視認される外界(外側の景色)が歪んで見えてしまう。これに対して、本実施形態によれば、凹面ミラー115の外界側にプリズム部材20を配置することで、外界からの光の光路を補償することができるため、外界が歪んで見えるのを的確に抑制または防止することができる。
【0096】
より具体的には、凹面ミラー115に対して眼ME側の光学樹脂(プリズム部材14)と外界側の光学樹脂(プリズム部材20)の屈折率とを、前記の通り、略同一とすることで、プリズム部材14の曲面17で光が屈折しないようにしている。
【0097】
特に、前記第1実施形態で説明したように、水平画角が40度程度の大きな虚像を観察する場合、接眼光学素子13のミラー突出量Dは10mm程度になる。このように厚いプリズム部材14を通して外界を見る場合、シースルー像G1に歪みが生じやすくなる。
【0098】
これに対し、本実施形態の接眼光学素子13によれば外界からの光入射面としての光屈折面16と、光出射面としての外面側光屈折面21とが平行な平面で構成されている。そのため、外界から接眼光学素子13に入射する光線の角度と、接眼光学素子13で屈折された後に出射される際の光線の角度とが変化しない。したがって、ヘッドマウントディスプレイ1000の観察者は、凹面ミラー115越しに見える外界の像(図8、9に示すシースルー像G1)を、歪みが生じることなく観察することができる。そのため、観察者の使用時における疲労感および不快感を低減させることができる。
【0099】
したがって、本実施形態の画像表示部110Aを備えるヘッドマウントディスプレイ1000とすることで、観察者は、歪みのないシースルー像G1に画像表示素子11からの画像光Gを重畳させて視認することができる。
【0100】
なお、外界の像を見ても歪みを認識できない程度の屈折が凹面ミラー115により許容される場合には、眼ME側の光学樹脂(プリズム部材14)と外界側の光学樹脂(プリズム部材20)の屈折率とは、必ずしも同一である必要がなく、若干異なっていてもよい。
【0101】
このような第4実施形態の画像表示部110Aによっても、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0102】
<第5実施形態>
次に、画像表示部110Aの第5実施形態について説明する。
図10は、HMDが備える画像表示部の第5実施形態における右側の構成を拡大して示す拡大平面図、図11は、図10に示す画像表示部の第5実施形態における右側の他の構成例を拡大して示す拡大平面図である。
【0103】
以下、第5実施形態の画像表示部110Aについて、前記第4実施形態の画像表示部110Aとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0104】
図10に示す第5実施形態の画像表示部110Aでは、接眼光学素子13(プリズム光学素子)の構成が異なること以外は、第4実施形態の画像表示部110Aと同様である。
【0105】
本実施形態の画像表示部110Aでは、図10に示すように、接眼光学素子13において、プリズム部材14は、外面側光屈折面21と光屈折面16とで構成される平行平板構造が、凹面ミラー115(プリズム部材20)が形成されている領域を越えて、観察者の鼻と反対側の外側(Y方向)に向かって延在する、直方体状をなす延在部141(突出部)を備えている。
【0106】
プリズム部材14(接眼光学素子13)がこのような延在部141を備えることで、接眼光学素子13越しに観察者が外界を見ているときに、延在部141が左右方向(Y方向)に突出しているため、平板構造を有する接眼光学素子13のエッジが認識されるのを、的確に低減または防止することができる。すなわち、観察者の視野が邪魔されるのを、的確に抑制または防止することができる。
【0107】
なお、延在部141は、図10に示すような、平行平板形状(直方体形状)をなす場合に限らず、図11に示す他の構成例のように、リレー光学系12側に向かって平板が湾曲する湾曲形状をなすものであってもよい。これにより、接眼光学素子13のミラー突出量Dの低減が図られる。
【0108】
また、接眼光学素子13の厚さが5mm程度である場合、延在部141の延在幅(突出量)は、10mm以上40mm以下程度であることが好ましく、15mm以上30mm以下程度であることがより好ましい。これにより、接眼光学素子13のミラー突出量Dの低減を図りつつ、延在部141を形成することにより得られる効果を確実に発揮させることができる。
【0109】
このような第5実施形態の画像表示部110Aによっても、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0110】
以上、本発明の虚像表示装置を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものでない。
【0111】
例えば、本発明の虚像表示装置において、各構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成のものを付加することができる。
【0112】
例えば、本発明では、前記第1〜第5実施形態で示した任意の2以上の構成を組み合わせるようにしてもよい。
【0113】
また、前記実施形態の虚像表示装置では、いずれも、画像表示素子が観察者の側頭部に配置されており、この画像表示素子で生成された画像光を、観察者の眼の前に配置された接眼光学素子に対して、観察者の側頭部において画像表示素子と接眼光学素子との間に配置されたリレー光学系を介して射出する場合について説明したが、本発明の虚像表示装置は、かかる構成に限定されるものではない。すなわち、画像表示素子を観察者の頭頂部に配置し、さらに、リレー光学系を、観察者の頭頂部において、画像表示素子と接眼光学素子との間に配置し、これにより、リレー光学系を介して、画像表示素子で生成された画像光を、観察者の眼の前に配置された接眼光学素子に対して射出するようにしてもよい。
【0114】
さらに、前記実施形態では、本発明の虚像表示装置(画像表示装置)を、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)に適用した場合を一例に説明したが、これに限定されず、本発明の虚像表示装置は、物に固定されたヘッドアップディスプレイや、双眼鏡型のハンドヘルドディスプレイにも適用することができる。
【符号の説明】
【0115】
11…画像表示素子、12…リレー光学系、12a…第1レンズ、12b…第2レンズ、12c…第3レンズ、12d…第4レンズ、12e…プリズム、13…接眼光学素子、14…プリズム部材、14a…面、14b…面、15…凹面ミラー、15A…凹面ミラー、16…光屈折面、17…曲面、20…プリズム部材、21…外面側光屈折面、25…射出瞳、100…本体部、110…画像表示部、110A…画像表示部、110B…画像表示部、115…凹面ミラー、121…入射面、122…出射面、123…反射面、124…対向面、124a…平面、124b…平面、140…フレーム、141…延在部、200…制御部、210…操作部、220…操作ボタン部、300…ケーブル、1000…ヘッドマウントディスプレイ、D…ミラー突出量、F…中間像、G…画像光、G1…シースルー像、H1…ミラー面法線、ME…眼、ax…光軸、axo…視軸、axv…面、α…傾斜角、β…偏向角、θ…画角
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】