(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2019144675
(43)【公開日】20190829
(54)【発明の名称】パラメータ決定支援装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20190802BHJP
   H02P 21/14 20160101ALI20190802BHJP
【FI】
   !G05B23/02 P
   !H02P21/14
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】2018026165
(22)【出願日】20180216
(71)【出願人】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
【住所又は居所】山梨県南都留郡忍野村忍草字古馬場3580番地
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】及川 航希
【住所又は居所】山梨県南都留郡忍野村忍草字古馬場3580番地 ファナック株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】森田 有紀
【住所又は居所】山梨県南都留郡忍野村忍草字古馬場3580番地 ファナック株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】置田 肇
【住所又は居所】山梨県南都留郡忍野村忍草字古馬場3580番地 ファナック株式会社内
【テーマコード(参考)】
3C223
5H505
【Fターム(参考)】
3C223AA23
3C223BA01
3C223CC01
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3C223EA06
3C223FF09
3C223FF43
3C223GG01
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3C223HH13
5H505AA18
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5H505LL01
5H505LL22
5H505LL24
5H505LL41
5H505MM12
(57)【要約】
【課題】回路定数が未知のモータを駆動する際の、駆動パラメータの決定を簡略化し、決定に要する時間を短縮すること。
【解決手段】パラメータ決定支援装置11は、初期パラメータを適用して、試運転プログラムにより、同期モータ41を基底速度に基づいた略一定速度で駆動した際の運転情報として、同期モータ41の回転数SPEED[rmp]、並びにモータ駆動装置31のDCリンク電圧VDC[V]及びQ相電圧指令VQCMD[%]を自動測定する自動測定部117と、運転情報に基づいて、同期モータ41の回路定数として、逆起電圧定数Ke[V/krpm]及びトルク定数Kt[Nm/Arms]を推定する推定部118と、回路定数に基づいて、同期モータ41の出力仕様に合わせた最適パラメータの計算を行う計算部119と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ駆動装置の仕様情報と同期モータの出力仕様情報とを取得する取得手段と、
前記仕様情報及び前記出力仕様情報に基づいて、試運転用の初期パラメータを決定する初期パラメータ決定手段と、
前記出力仕様情報に基づいて、前記同期モータの出力を決定するパラメータの調整のために必要なデータを取得するための試運転に用いられる、試運転プログラムを作成するプログラム作成手段と、
前記初期パラメータを適用して、前記試運転プログラムにより、前記同期モータを基底速度に基づいた略一定速度で駆動した際の運転情報として、前記同期モータの回転数、並びに前記モータ駆動装置のDCリンク電圧及びQ相電圧指令を自動測定する自動測定手段と、
前記運転情報に基づいて、前記同期モータの回路定数として、逆起電圧定数及びトルク定数を推定する推定手段と、
前記回路定数に基づいて、前記同期モータの出力仕様に合わせた最適パラメータの計算を行う計算手段と、を備える、モータ駆動用のパラメータ決定支援装置。
【請求項2】
前記仕様情報を検知する検知手段と、
前記出力仕様情報をオペレータが入力する入力手段と、を更に備え、
前記取得手段は、前記検知手段から前記仕様情報を取得し、前記入力手段から前記出力仕様情報を取得する、請求項1に記載のパラメータ決定支援装置。
【請求項3】
測定した前記運転情報、推定した前記回路定数、及び計算した前記最適パラメータのうち少なくとも一つを表示する表示手段を更に備える、請求項1又は2に記載のパラメータ決定支援装置。
【請求項4】
コンピュータを請求項1〜3のいずれかに記載のパラメータ決定支援装置として動作させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パラメータ決定支援装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械、包装機械、産業用ロボット等に含まれるサーボ機構において用いられるサーボモータを制御するためには、サーボモータを駆動するための駆動パラメータを適切な値に設定する必要がある。この駆動パラメータの設定方法として、例えば、特許文献1は、駆動系のパラメータを取得し、取得したパラメータに応じて生成した試験動作プログラムで駆動系を運転し、運転の際に得られた運転データを解析した結果に基づいて、制御器のパラメータを調整する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−316422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、モータの抵抗値やインダクタンス等の回路定数が既知であることを前提としているが、回路定数が未知のモータや、回路定数として提示されている値の精度が不明なモータを駆動する場合には、モータの定格出力や基底回転数等の既知の情報から、試運転用の初期パラメータを決定し、特定の動作で試運転を行った際に測定した電流値や速度等のデータに基づいて、最適な駆動パラメータを決定する必要がある。
しかし、最適な駆動パラメータを決定する手順は複雑なため、作業者のスキルが必要であると共に、最適な駆動パラメータの決定には時間がかかる。
【0005】
本発明は、回路定数が未知のモータを駆動する際の、駆動パラメータの決定を簡略化し、決定に要する時間を短縮することが可能な、パラメータ決定支援装置及びプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係るモータ駆動用のパラメータ決定支援装置(例えば、後述のパラメータ決定支援装置11)は、モータの駆動装置(例えば、後述のモータ駆動装置31)の仕様情報と同期モータ(例えば、後述の同期モータ41)の出力仕様情報とを取得する取得手段(例えば、後述の取得部114)と、前記仕様情報及び前記出力仕様情報に基づいて、試運転用の初期パラメータを決定する初期パラメータ決定手段(例えば、後述の初期パラメータ決定部115)と、前記出力仕様情報に基づいて、前記同期モータの出力を決定するパラメータの調整のために必要なデータを取得するための試運転に用いられる、試運転プログラムを作成するプログラム作成手段(例えば、後述のプログラム作成部116)と、前記初期パラメータを適用して、前記試運転プログラムにより、前記同期モータを基底速度に基づいた略一定速度で駆動した際の運転情報として、前記同期モータの回転数、並びに前記モータ駆動装置のDCリンク電圧及びQ相電圧指令を自動測定する自動測定手段(例えば、後述の自動測定部117)と、前記運転情報に基づいて、前記同期モータの回路定数として、逆起電圧定数及びトルク定数を推定する推定手段(例えば、後述の推定部118)と、前記回路定数に基づいて、前記同期モータの出力仕様に合わせた最適パラメータの計算を行う計算手段(例えば、後述の計算部119)と、を備える。
【0007】
(2) (1)に記載のパラメータ決定支援装置は、前記仕様情報を検知する検知手段(例えば、後述の検知部112)と、前記出力仕様情報をオペレータが入力する入力手段(例えば、後述の入力部113)と、を更に備え、前記取得手段は、前記検知手段から前記仕様情報を取得し、前記入力手段から前記出力仕様情報を取得してもよい。
【0008】
(3) (1)又は(2)に記載のパラメータ決定支援装置は、測定した前記運転情報、推定した前記回路定数、及び計算した前記最適パラメータのうち少なくとも一つを表示する表示手段(例えば、後述の表示部120)を更に備えてもよい。
【0009】
(4) 本発明に係るプログラムは、コンピュータを(1)〜(3)のいずれかに記載のパラメータ決定支援装置として動作させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、回路定数が未知のモータを駆動する際の、駆動パラメータの決定を簡略化し、決定に要する時間を短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るパラメータ決定支援装置を含むモータ駆動システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すパラメータ決定支援装置の機能を示すブロック図である。
【図3】図1に示す数値制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示すモータ駆動装置の構成を示すブロック図である。
【図5】図1に示すパラメータ決定支援装置の動作を説明するフローチャートである。
【図6】測定した運転情報を表示器に表示させた画面を示す図である。
【図7】推定した回路定数を表示器に表示させた画面を示す図である。
【図8】計算した最適パラメータを表示器に表示させた画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図1〜図8を参照しながら、詳述する。
図1は、本発明の実施形態に係るパラメータ決定支援装置を含むモータ駆動システム1の全体構成を示す。モータ駆動システム1は、パラメータ決定支援装置11に加えて、数値制御装置21、モータ駆動装置31、及び同期モータ41を備える。
【0013】
パラメータ決定支援装置11は、モータ駆動装置31から受信したモータ駆動装置31の仕様と、オペレータがパラメータ決定支援装置11に対して入力した、同期モータ41の出力仕様情報とに基づいて、同期モータ41の試運転用の初期パラメータを決定すると共に、仕様情報、出力仕様情報、及び初期パラメータに基づいて試運転を行うための試運転プログラムを作成する。
同期モータ41の回路定数を推定するためには、同期モータ41を略一定回転数(略一定速度)で回転させたり、加減速させたりした時の、駆動電流値、駆動電圧値、及び回転数等のデータ(運転情報)を確認する必要があるが、ここでの「試運転」とは、これらのデータの確認のために同期モータ41を駆動させる試運転のことである。
また、「駆動電圧値」とは、同期モータ41を、実際に、ある回転数で駆動するのに必要な電圧であって、大元の電源の電圧や、電圧の指令値を元に算出される。
また、ここでの「初期パラメータ」とは、例えば、同期モータ41を駆動する最大電流値や、D相電流値、同期モータ41の最高回転数、モータ駆動装置31から取り込んだ電流値のフィードバックを実際の物理量に換算する係数のうち少なくとも一つを含む。
また、ここでの「出力仕様情報」とは、例えば、同期モータ41の定格出力及び基底回転数のうち少なくとも一つを含む。
【0014】
更に、パラメータ決定支援装置11は、この初期パラメータと試運転プログラムとを、数値制御装置21に送信する。数値制御装置21は、初期パラメータを適用して試運転プログラムを実行することにより、位置指令値、速度指令値等の指令値を生成し、初期パラメータと共に、モータ駆動装置31に送信する。
【0015】
モータ駆動装置31は、数値制御装置21から受信した初期パラメータと指令値とに基づいた駆動電流を、同期モータ41に供給する。
【0016】
同期モータ41は、モータ駆動装置31に対し、速度情報、位置情報、回転数等のフィードバック値を送信する。
【0017】
モータ駆動装置31は、同期モータ41から受信したフィードバック値、駆動電流値、同期モータ41への指令値等を含む運転情報を、パラメータ決定支援装置11に送信する。なお、ここでの「運転情報」とは、同期モータ41の回転数SPEED[rmp]、並びにモータ駆動装置31のDCリンク電圧VDC[V]及びQ相電圧指令VQCMD[%]を含む。
【0018】
パラメータ決定支援装置11は、モータ駆動装置31から受信した運転情報に基づいて、同期モータ41の回路定数を推定する。更に、パラメータ決定支援装置11は、この回路定数に基づいて、同期モータ41の出力仕様に合わせた最適パラメータの計算を行い、この最適パラメータを、数値制御装置21に送信する。なお、ここでの「回路定数」とは、逆起電圧定数Ke[V/krpm]及びトルク定数Kt[Nm/Arms]を含む。
【0019】
図2は、パラメータ決定支援装置11の機能を示すブロック図である。パラメータ決定支援装置11は、制御部111、検知部112、及び入力部113を備え、更に、制御部111は、取得部114、初期パラメータ決定部115、プログラム作成部116、自動測定部117、推定部118、計算部119、及び表示部120を備える。
【0020】
制御部111は、CPU、ROM、RAM、CMOSメモリ等を有し、これらはバスを介して相互に通信可能に構成される、当業者にとって公知のものである。
CPUはパラメータ決定支援装置11を全体的に制御するプロセッサである。該CPUは、ROMに格納されたシステムプログラム及びアプリケーションプログラムを、バスを介して読み出し、該システムプログラム及びアプリケーションプログラムに従ってパラメータ決定支援装置11全体を制御することで、図2に示すように、制御部111が、取得部114、初期パラメータ決定部115、プログラム作成部116、自動測定部117、推定部118、計算部119、及び表示部120の機能を実現するように構成される。RAMには一時的な計算データや表示データ等の各種データが格納される。CMOSメモリは図示しないバッテリでバックアップされ、パラメータ決定支援装置11の電源がオフされても記憶状態が保持される不揮発性メモリとして構成される。
【0021】
取得部114は、モータ駆動装置31の仕様情報と同期モータ41の出力仕様情報とを取得する。とりわけ、取得部114は、後述の検知部112から、モータ駆動装置31の仕様情報を取得し、後述の入力部113から、同期モータ41の出力仕様情報を取得する。
【0022】
初期パラメータ決定部115は、取得部114が取得した仕様情報及び出力仕様情報に基づいて、試運転用の初期パラメータを決定する。
【0023】
プログラム作成部116は、取得部114が取得した出力仕様情報に基づいて、試運転プログラムを作成する。この試運転プログラムは、同期モータ41の出力を決定するパラメータの調整に必要なデータを取得するための試運転に用いられる。
【0024】
自動測定部117は、上記の初期パラメータを適用して、上記の試運転プログラムにより、同期モータ41を基底速度に基づいた略一定速度で駆動した際の運転情報を自動測定する。同期モータ41を基底速度に基づいた略一定速度で駆動するには、D相電流を使わない速度にすればよく、例えば、無負荷状態で基底速度の1/2の速度にすればよい。もちろん、基底速度と同じ速度でもよいが、誤差を小さくすべく、基底速度よりも遅い速度が好ましい。
【0025】
推定部118は、自動測定部117が測定した運転情報に基づいて、同期モータ41の回路定数として、逆起電圧定数Ke[V/krpm]及びトルク定数Kt[Nm/Arms]を推定する。逆起電圧定数Ke[V/krpm]は、運転情報を用いた計算式Ke=(1000/SPEEDAVE)×(VDCAVE/(21/2))×(VQCMDAVE/100)で推定される。トルク定数Kt[Nm/Arms]は、運転情報を用いた計算式Kt=(31/2×Ke)/(1000×2π/60)で推定される。なお、各数値を表す記号に付された添え字「AVE」は、該数値の平均値を意味する。
【0026】
計算部119は、推定部118が推定した回路定数に基づいて、同期モータ41の出力仕様に合わせた最適パラメータの計算を行う。
【0027】
表示部120は、パラメータ決定支援装置11が備える表示器(不図示)に各種情報を表示する。ここでの「各種情報」とは、自動測定部117が測定した運転情報、推定部118が推定した回路定数、及び計算部119が計算した最適パラメータのうち少なくとも一つを含む。
なお、表示部120は、例えば、オペレータが後述の入力部113を用いて出力仕様情報を入力するためのガイドとなる、ナビゲーション情報を表示してもよい。なお、このナビゲーション情報は、出力仕様情報の入力方法に限らず、例えば、パラメータ決定支援装置11の操作方法等の情報を含んでもよい。
【0028】
検知部112は、モータ駆動装置31の仕様情報を検知する装置であり、例えばセンサである。また、入力部113は、オペレータが同期モータ41の出力仕様情報を入力するために用いる装置であり、例えば、キーボードやタッチパネルである。
【0029】
図3は、数値制御装置21の構成を示す。数値制御装置21は、主として、CPU211、ROM212、RAM213、CMOS214、インタフェース215,218,219、PMC(プログラマブル・マシン・コントローラ)216、I/Oユニット217、軸制御回路230〜234、及びスピンドル制御回路260を備える。
【0030】
CPU211は、数値制御装置21を全体的に制御するプロセッサである。CPU211は、ROM212に格納されたシステムプログラムを、バス220を介して読み出し、該システムプログラムに従って数値制御装置21全体を制御する。
【0031】
RAM213には、一時的な計算データや表示データ、及び表示器/MDIユニット270を介してオペレータが入力した各種データが格納される。
【0032】
CMOSメモリ214は、図示しないバッテリでバックアップされ、数値制御装置21の電源がオフされても記憶状態が保持される不揮発性メモリとして構成される。CMOSメモリ214中には、インタフェース215を介して読み込まれた加工プログラムや表示器/MDIユニット270を介して入力された加工プログラム等が記憶される。
【0033】
ROM212には、加工プログラムの作成及び編集のために必要とされる編集モードの処理や自動運転のための処理を実施するための各種システムプログラムがあらかじめ書き込まれている。
【0034】
各種加工プログラムは、インタフェース215や表示器/MDIユニット270を介して入力し、COMSメモリ214に格納することができる。
【0035】
インタフェース215は、数値制御装置21とアダプタ等の外部機器272との接続を可能とするものである。外部機器272側からは、加工プログラムや各種パラメータ等が読み込まれる。また、数値制御装置21内で編集した加工プログラムは、外部機器272を介して外部記憶手段に記憶させることができる。
【0036】
PMC(プログラマブル・マシン・コントローラ)216は、数値制御装置21に内蔵されたシーケンスプログラムで工作機械の補助装置(例えば、工具交換用のロボットハンドといったアクチュエータ)にI/Oユニット217を介して信号を出力し制御する。また、工作機械の本体に配備された操作盤の各種スイッチ等の信号を受け、必要な信号処理をした後、CPU211に渡す。
【0037】
表示器/MDIユニット270は、ディスプレイやキーボード等を備えた手動データ入力装置であり、インタフェース218は、表示器/MDIユニット270のキーボードからの指令やデータを受けてCPU211に渡す。インタフェース219は、手動パルス発生器等を備えた操作盤271に接続されている。
【0038】
各軸の軸制御回路230〜234は、CPU211からの各軸の移動指令量を受けて、各軸の指令をサーボアンプ240〜244に出力する。サーボアンプ240〜244は、この指令を受けて、各軸のサーボモータ250〜254を駆動する。各軸のサーボモータ250〜254は、位置・速度検出器を内蔵し、この位置・速度検出器からの位置・速度フィードバック信号を軸制御回路230〜234にフィードバックし、位置・速度のフィードバック制御を行う。なお、図3では、位置・速度のフィードバックについては省略している。
【0039】
スピンドル制御回路260は、工作機械への主軸回転指令を受け、スピンドルアンプ261にスピンドル速度信号を出力する。スピンドルアンプ261は、このスピンドル速度信号を受けて、工作機械のスピンドルモータ262を指令された回転速度で回転させ、工具を駆動する。スピンドルモータ262には、歯車あるいはベルト等でパルスエンコーダ263が結合され、パルスエンコーダ263が主軸の回転に同期して帰還パルスを出力し、その帰還パルスは、バス220を経由してCPU211によって読み取られる。
【0040】
なお、サーボアンプ240〜244、及びスピンドルアンプ261は、図1のモータ駆動装置31に対応し、サーボモータ250〜254、及びスピンドルモータ262は、図1の同期モータ41に対応する。
また、図3に示す数値制御装置21の構成は、あくまで一例であって、これには限定されず、数値制御装置21として、汎用の数値制御装置を用いることが可能である。
【0041】
図4は、モータ駆動装置31の構成を示す。モータ駆動装置31は、インバータ311、電流検出器312、制御部313、及び速度検出部314を備える。
【0042】
インバータ311は、同期モータ41に駆動電流を供給する。電流検出器312は、同期モータ41に供給している駆動電流を検出する。制御部313は、モータの速度指令と同期モータ41の速度フィードバックと電流検出器312で検出された電流値を使い、インバータ311をPWM制御する。速度検出部314は、同期モータ41のフィードバック制御のため、速度を検出し、検出した速度を制御部313に送信する。
【0043】
図4に示すモータ駆動装置31の構成は、あくまで一例であって、これには限定されず、モータ駆動装置31として、汎用のモータ駆動装置を用いることが可能である。
【0044】
図5は、パラメータ決定支援装置11の動作を説明するフローチャートである。
ステップS1において、検知部112は、モータ駆動装置31の仕様情報を検知し、取得部114は、検知部112から仕様情報を取得する。
【0045】
ステップS2において、オペレータは、入力部113から同期モータ41の出力仕様情報を入力し、取得部114は、入力部113から出力仕様情報を取得する。
【0046】
ステップS3において、初期パラメータ決定部115は、取得部114が取得した仕様情報及び出力仕様情報に基づいて、試運転用の初期パラメータを決定する。
【0047】
ステップS4において、プログラム作成部116は、同期モータ41の回路定数の推定、及び同期モータ41の出力を決定するパラメータの調整に必要なデータを取得する試運転のための試運転プログラムを、取得部114が取得した出力仕様情報に基づいて作成する。
【0048】
ステップS5において、試運転プログラムにより、同期モータ41を基底速度に基づく略一定速度で駆動した際の運転情報として、同期モータ41の回転数SPEED[rpm]、並びにモータ駆動装置31のDCリンク電圧VDC[V]及びQ相電圧指令VQCMD[%]を、自動測定部117が自動測定する。
【0049】
ステップS6において、自動測定部117が自動測定した一定動作中の各データを自動的に切り出して、そのデータを平均化する。これにより、ノイズや速度変動等での局所的な値での誤差をなくすことができ、ひいては、測定データの統計的な信頼性を上げることができる。
【0050】
ステップS7において、推定部118は、自動測定部117が自動測定した運転情報に基づいて、同期モータ41の回路定数として、逆起電圧定数Ke[V/krpm]を自動計算して推定する。
【0051】
ステップS8において、推定部118は、自動測定部117が自動測定した運転情報に基づいて、同期モータ41の回路定数として、トルク定数Kt[Nm/Arms]を自動計算して推定する。具体的に、ステップS7において、自動測定部117が自動測定した運転情報に基づいて推定した逆起電圧定数Ke[V/krpm]を用いて、推定部118は、トルク定数Kt[Nm/Arms]を自動計算して推定する。
【0052】
ステップS9において、計算部119は、推定部118が推定した回路定数に基づいて、同期モータ41の出力仕様に合わせた最適パラメータを計算し、決定する。
【0053】
ステップS10において、自動測定部117が自動測定した運転情報、推定部118が推定した回路定数、及び計算部119が計算した最適パラメータを、表示部120が表示器(不図示)に切替え可能に表示する。これにより、オペレータは、測定データを直接確認しながら、ステップS9で決定されたパラメータが適切か否か、判断することが可能となる。以上により、パラメータ決定支援装置11の動作フローは終了する。
【0054】
なお、図5に記載のフローチャートにおいて、ステップS10の処理を実行した後、それ以前のステップに遡って、改めて遡ったステップ以降の処理を実行してもよい。例えば、パラメータ決定支援装置11が、ステップS10においてパラメータを表示した後、改めてステップS5以降の処理を実行することにより、パラメータを修正してもよい。
【0055】
図6は、測定した運転情報を表示器(不図示)に表示させた画面を示す。図7は、推定した回路定数を表示器(不図示)に表示させた画面を示す。図8は、計算した最適パラメータを表示器(不図示)に表示させた画面を示す。
図6に示すように、図5に記載のフローチャートのステップS10では、表示器(不図示)に、自動測定部117が自動測定した運転情報として、同期モータ41の回転数SPEED[rmp]、並びにモータ駆動装置31のDCリンク電圧VDC[V]及びQ相電圧指令VQCMD[%]の各々の時刻歴波形が表示される。
また、図7に示すように、表示器(不図示)には、表示を切り替えることで、推定部118が推定した回路定数として、逆起電圧定数Ke[V/krpm]及びトルク定数Kt[Nm/Arms]の各々が表示される。このとき、表示器には、図6に示した各波形において、一定速度での安定した波形の領域(破線で囲まれた領域)と、該領域内において上記逆起電圧定数Ke及びトルク定数Ktの計算が行われた計算範囲(矢印の範囲)があわせて表示される。
また、図8に示すように、表示器(不図示)には、表示を切り替えることで、計算部119が計算した各種最適パラメータが表示される。
【0056】
上記のパラメータ決定支援装置11は、初期パラメータを適用して、試運転プログラムにより、同期モータ41を基底速度に基づいた略一定速度で駆動した際の運転情報として、同期モータ41の回転数SPEED[rmp]、並びにモータ駆動装置31のDCリンク電圧VDC[V]及びQ相電圧指令VQCMD[%]を自動測定し、この運転情報に基づいて、同期モータ41の回路定数として、逆起電圧定数Ke[V/krpm]及びトルク定数Kt[Nm/Arms]を推定し、この回路定数に基づいて、同期モータ41の出力仕様に合わせた最適パラメータを計算する。
【0057】
これにより、回路定数が未知の同期モータ41を駆動する際の、駆動パラメータの決定を簡略化し、決定に要する時間を短縮することが可能となる。
【0058】
また、上記のパラメータ決定支援装置11は、測定した運転情報、推定した回路定数、及び計算した最適パラメータのうち少なくとも一つを表示する表示部120を更に備える。
【0059】
これにより、オペレータは、どのようなロジックでパラメータが決定され、その結果どのような出力になるかを確認することにより、パラメータの妥当性を判断した上で、最適パラメータを決定できる。
【0060】
なお、上記のパラメータ決定支援装置11に含まれる各装置は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組合せによりそれぞれ実現することができる。また、上記のパラメータ決定支援装置11に含まれる各装置により行われるパラメータ決定方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組合せにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0061】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は、無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0062】
なお、上記実施形態において、自動測定部117が運転情報を複数回自動測定して平均値を用いるようにしてもよい。自動測定部117が自動測定する回数を増やして平均値を用いることで、ノイズや速度変動等での局所的な値での誤差をなくすことができ、ひいては、測定データの統計的な信頼性を上げることができる。
【符号の説明】
【0063】
1 モータ駆動システム
11 パラメータ決定支援装置
21 数値制御装置
31 モータ駆動装置
41 同期モータ
111 制御部
112 検知部
113 入力部
114 取得部
115 初期パラメータ決定部
116 プログラム作成部
117 自動測定部
118 推定部
119 計算部
120 表示部
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】