(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2019144891
(43)【公開日】20190829
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20190802BHJP
【FI】
   !G06F3/041 512
   !G06F3/041 560
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】2018029060
(22)【出願日】20180221
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
【住所又は居所】愛知県知多郡阿久比町大字草木字芳池1
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(72)【発明者】
【氏名】長沼 武
【住所又は居所】愛知県知多郡阿久比町大字草木字芳池1 株式会社デンソーウェーブ内
(72)【発明者】
【氏名】横山 大晃
【住所又は居所】愛知県知多郡阿久比町大字草木字芳池1 株式会社デンソーウェーブ内
(57)【要約】
【課題】タッチパネルの操作検出感度を手袋の厚みに応じて適切に設定することのできる電子機器を提供する。
【解決手段】静電容量式で操作を検出するタッチパネル13と、物体が接触させられる被接触部21を有し、被接触部21からの熱流を検出する熱流センサ20と、熱流センサ20により検出された熱流に基づいて、タッチパネル13に対する操作の検出感度を連続的に設定する感度設定部30と、を備える電子機器10。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電容量式で操作を検出するタッチパネルと、
物体が接触させられる被接触部を有し、前記被接触部からの熱流を検出する熱流センサと、
前記熱流センサにより検出された前記熱流に基づいて、前記タッチパネルに対する操作の検出感度を連続的に設定する感度設定部と、
を備える電子機器。
【請求項2】
前記感度設定部は、前記熱流センサにより検出された前記熱流の増加速度が低いほど、前記検出感度を高く設定する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記被接触部は、標準的な成人の指先よりも小さく形成されている、請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記熱流センサは、前記電子機器の電源をオンにする電源ボタンに設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記感度設定部は、前記熱流センサにより検出された前記熱流の増加速度が、タッチペンが前記被接触部に接触させられていることを判定する所定速度よりも低い場合に、前記検出感度を手袋装着時の検出感度よりも低く設定されたタッチペン使用時の検出感度に優先的に設定する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量式で操作を検出するタッチパネルを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電子機器において、タッチセンサの検出感度を段階的に上げながら、表示されたロック解除ボタンに対する操作を検出し、操作を検出した時点における感度に基づいて、タッチセンサの感度を本設定する電子機器がある(特許文献1参照)。こうした構成によれば、特別なデバイスを設けることなく、手袋をした状態でタッチセンサの検出感度を切り替えることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−142894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、タッチパネルに対する操作の検出感度を段階的に設定する場合、手袋の厚みによる静電容量の違いに適切に対応することが困難である。このため、検出感度が高過ぎる場合は操作を誤検出するおそれがあり、検出感度が低過ぎる場合は手袋装着時に操作検出の応答性が低下するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、タッチパネルの操作検出感度を手袋の厚みに応じて適切に設定することのできる電子機器を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の手段は、電子機器であって、
静電容量式で操作を検出するタッチパネルと、
物体が接触させられる被接触部を有し、前記被接触部からの熱流を検出する熱流センサと、
前記熱流センサにより検出された前記熱流に基づいて、前記タッチパネルに対する操作の検出感度を連続的に設定する感度設定部と、
を備える。
【0007】
上記構成によれば、タッチパネルにより、静電容量式で操作が検出される。使用者が被接触部に素手又は手袋を装着して接触すると、被接触部からの熱流が熱流センサにより検出される。熱量センサにより検出される熱流は、手袋の有無、及び手袋の厚みに応じて変化する。そして、感度設定部により、熱流センサにより検出された熱流に基づいて、タッチパネルに対する操作の検出感度が連続的に設定される。したがって、タッチパネルに対する操作の検出感度を、手袋の厚みに応じて適切に設定することができる。
【0008】
手袋の厚みが大きいほど、手の熱が被接触部に伝わりにくくなるため、熱量センサにより検出される熱流の増加速度が低くなり、また熱流の増加が停止する時の最大値が小さくなる。
【0009】
この点、第2の手段では、前記感度設定部は、前記熱流センサにより検出された前記熱流の増加速度が低いほど、前記検出感度を高く設定する。このため、タッチパネルの検出感度を、手袋の厚みに応じて適切に設定することができる。さらに、熱流の増加速度は、熱流の最大値と比べて、短時間で測定することができる。したがって、タッチパネルの検出感度を短時間で設定することができる。
【0010】
例えば、使用者が指先を被接触部に接触させた際に、被接触部において指先が接触していない部分が存在すると、その部分に風が当たって熱流が変化するおそれがある。その場合、手袋の厚みを適切に判断することができず、タッチパネルの検出感度を適切に設定することができないおそれがある。
【0011】
この点、第3の手段では、前記被接触部は、標準的な成人の指先よりも小さく形成されている。このため、使用者が指先を被接触部に接触させる場合に、非接触部全体を指先で覆うことができる。したがって、手袋の厚みを適切に判断することができ、タッチパネルの検出感度を適切に設定することができる。
【0012】
第4の手段では、前記熱流センサは、前記電子機器の電源をオンにする電源ボタンに設けられている。
【0013】
上記構成によれば、使用者が電子機器の電源をオンにするために電源ボタンを押した際に、熱流センサにより被接触部からの熱流を検出することができる。このため、電子機器の電源オン時に、タッチパネルの検出感度を、手袋の厚みに応じて適切に設定することができる。電子機器の電源がオンにされた後、電源ボタンに軽く指先を接触させることにより、電源をオフにせずに、検出感度を再設定してもよい。また、タッチパネル等、電源ボタン以外に対する操作により、電源をオフにしてもよい。
【0014】
タッチパネルがタッチペンにより操作される場合は、タッチパネルの検出感度を手袋装着時の検出感度よりも低く設定することが望ましい。しかしながら、使用者が被接触部にタッチペンを接触させた場合は、熱流センサにより検出される熱流が手袋装着時に検出される熱流よりも小さくなる。このため、タッチパネルの検出感度が必要以上に高く設定されることとなり、操作を誤検出するおそれがある。
【0015】
この点、第5の手段では、前記感度設定部は、前記熱流センサにより検出された前記熱流の増加速度が、タッチペンが前記被接触部に接触させられていることを判定する所定速度よりも低い場合に、前記検出感度を手袋装着時の検出感度よりも低く設定されたタッチペン使用時の検出感度に優先的に設定する。このため、タッチペン使用時に、タッチパネルの検出感度を適切に設定することができ、操作の誤検出を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】電子機器を示す正面図。
【図2】熱流センサを示す模式図。
【図3】手袋の厚みと検出感度との関係を示すグラフ。
【図4】検出感度を設定する態様を示すブロック図。
【図5】時間、手袋厚み、熱流の関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、工場内の生産ラインの設定や状態表示を行う電子機器として具現化している。
【0018】
図1に示すように、電子機器10は、本体11、タッチパネル13、電源ボタン20、制御部30等を備えている。
【0019】
タッチパネル13は、表示部と検出部とを備えている。表示部は、液晶ディスプレイ等で構成され、生産ラインの状態や操作アイコン等を表示する。検出部は、静電容量式のタッチセンサ等で構成され、静電容量の変化に基づいて使用者のタッチ位置(操作)を検出する。
【0020】
タッチパネル13が検出した使用者の操作に関する情報は、制御部30に送られる。制御部30は、図4に示すように、マイコン33を主体として構成されており、後述するアンプ31、ADコンバータ32等を備えている。制御部30は、タッチパネル13を含む電子機器10全体を制御するとともに、使用者の操作に基づいて、生産ラインに対する動作指令を生成及び出力する。さらに、制御部30は、タッチパネル13(検出部)に対する操作の検出感度を設定する。
【0021】
また、電子機器10は、使用者が電子機器10の電源をオン及びオフにする電源ボタン20を備えている。電源ボタン20(熱流センサ)は、カバー21、センサ部23、接点部(図示略)等を備えている。
【0022】
接点部は、電源ボタン20が押されている間だけ導通し、電源ボタン20が押されていない状態では非導通となる。電子機器10の電源がオフの状態で使用者が電源ボタン20を押すことにより、接点部が導通して電子機器10の電源がオンになる。そして、電子機器10の電源がオンの状態で使用者が電源ボタン20を押すことにより、接点部が導通して電子機器10の電源がオフになる。なお、接点部は、電源ボタン20が押されることで、導通状態と非導通状態とに切り替わるものでもよい。その場合、電子機器10の電源がオフの状態で使用者が電源ボタン20を押すことにより、接点部が導通状態に切り替わって電子機器10の電源がオンになる。そして、電子機器10の電源がオンの状態で使用者が電源ボタン20を押すことにより、接点部が非導通に切り替わって電子機器10の電源がオフになる。
【0023】
カバー21(被接触部)は、樹脂や金属等により、有底円筒状に形成されている。カバー21の裏には、図2に示すように、センサ部23が取り付けられている。センサ部23は、カバー21からの熱流を検出する。熱流は、熱の移動量及び方向を示すパラメータであり、単位時間に単位面積を通過するエネルギである。センサ部23は、熱の移動量及び方向(すなわち熱流)を、電圧として検出して制御部30へ出力する。カバー21及びセンサ部23により、熱流センサが構成されている。すなわち、熱流センサは電源ボタン20に設けられており、電源ボタン20は熱流センサを兼ねている。
【0024】
使用者が指先(物体)をカバー21に接触させた際に、カバー21において指先が接触していない部分が存在すると、その部分に風(外乱要因)が当たって熱流が変化するおそれがある。そこで、カバー21は、標準的な成人の指先、具体的には人差し指の指先よりも小さく形成されている。
【0025】
ここで、使用者が手袋を装着した状態でタッチパネル13を操作する場合には、タッチパネル13の検出感度を素手で操作する場合の検出感度よりも上げる必要がある。
【0026】
しかしながら、図3に示すように、タッチパネル13に対する操作の検出感度を手袋の厚みに応じて段階的に設定する場合、手袋の厚みによる静電容量の違いに適切に対応することが困難である。理想感度直線は、手袋の厚みに対する理想的な検出感度を示す直線である。例えば、手袋の厚みが厚みtkである場合は、Mode2の検出感度S2に設定されるが、厚みtkに対する理想的な検出感度Siよりも高くなっている。このため、検出感度が高過ぎて、操作を誤検出するおそれがある。また、検出感度が低過ぎる場合は、操作を検出できない、あるいは操作検出の応答性が低下するおそれがある。
【0027】
そこで、図4に示すように、制御部30(感度設定部)は、センサ部23(熱流センサ)により検出された熱流に基づいて、タッチパネル13に対する操作の検出感度を連続的に設定する。具体的には、アンプ31は、センサ部23から入力された電圧(熱流に相当)を増幅する。ADコンバータ32は、アンプ31により増幅された電圧をデジタル値に変換する。マイコン33は、ADコンバータ32により変換された電圧のデジタル値に基づいて、タッチパネル13の検出感度を連続的に設定する。
【0028】
使用者が電源ボタン20のカバー21に素手又は手袋を装着して接触すると、カバー21からの熱流がセンサ部23により検出される。センサ部23により検出される熱流(出力電圧)は、手袋の有無、及び手袋の厚み等に応じて変化する。
【0029】
詳しくは、図5に示すように、手袋の厚みが大きいほど、手の熱がカバー21に伝わりにくくなるため、センサ部23により検出される熱流の増加速度が低くなり、また熱流の増加が停止する時の最大値が小さくなる。熱流の増加速度は、少なくとも2つの時点における熱流を検出し、熱流の増加量を2つの時点の間隔で割ることにより算出することができる。そこで、図4に示すように、制御部30は、センサ部23により検出された熱流の増加速度が低いほど、タッチパネル13の検出感度を高く設定する。詳しくは、制御部30は、熱流の増加速度に比例して、タッチパネル13の検出感度が低くなるように設定する。
【0030】
熱流の増加速度は、熱流の最大値と比べて、短時間で測定することができる。このため、制御部30は、使用者が電源ボタン20を押して、電子機器10の電源をオンにするまでの間に、タッチパネル13の検出感度を、手袋の厚みに応じて適切に設定することができる。また、電子機器10の電源がオンにされた後、電源ボタン20に軽く指先を接触させることにより、電源をオフにせずに、検出感度を再設定することができる。なお、タッチパネル13等、電源ボタン20以外に対する操作により、電源をオフにしてもよい。
【0031】
ただし、タッチパネル13がタッチペンにより操作される場合は、タッチパネル13の検出感度を手袋装着時の検出感度よりも低く設定することが望ましい。しかしながら、使用者がカバー21にタッチペンを接触させた場合は、図5に示すように、熱流センサにより検出される熱流が手袋装着時に検出される熱流よりも小さくなる。このため、熱流の増加速度が低いほど、タッチパネル13の検出感度を高く設定すると、タッチパネル13の検出感度が必要以上に高く設定されることとなり、操作を誤検出するおそれがある。
【0032】
そこで、制御部30は、センサ部23により検出された熱流の増加速度が所定速度よりも低い場合に、検出感度を手袋装着時の検出感度よりも低く設定されたタッチペン使用時の検出感度に優先的に設定する。所定速度は、タッチペンがカバー21に接触させられていることを判定する速度、例えば想定される最も厚い手袋を装着した場合の熱流の増加速度よりも低い速度に設定されている。
【0033】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。
【0034】
・使用者がカバー21に素手又は手袋を装着して接触すると、カバー21からの熱流がセンサ部23により検出される。センサ部23により検出される熱流は、手袋の有無、及び手袋の厚みに応じて変化する。そして、制御部30により、センサ部23により検出された熱流に基づいて、タッチパネル13に対する操作の検出感度が連続的に設定される。したがって、タッチパネル13に対する操作の検出感度を、手袋の厚みに応じて適切に設定することができる。
【0035】
・制御部30は、センサ部23により検出された熱流の増加速度が低いほど、検出感度を高く設定する。このため、タッチパネル13の検出感度を、手袋の厚みに応じて適切に設定することができる。さらに、熱流の増加速度は、熱流の最大値と比べて、短時間で測定することができる。したがって、タッチパネル13の検出感度を短時間で設定することができる。
【0036】
・カバー21は、標準的な成人の指先よりも小さく形成されている。このため、使用者が指先をカバー21に接触させる場合に、カバー21全体を指先で覆うことができる。したがって、手袋の厚みを適切に判断することができ、タッチパネル13の検出感度を適切に設定することができる。
【0037】
・使用者が電子機器10の電源をオンにするために電源ボタン20を押した際に、センサ部23によりカバー21からの熱流を検出することができる。このため、電子機器10の電源オン時に、タッチパネル13の検出感度を、手袋の厚みに応じて適切に設定することができる。
【0038】
・制御部30は、センサ部23により検出された熱流の増加速度が、タッチペンがカバー21に接触させられていることを判定する所定速度よりも低い場合に、検出感度を手袋装着時の検出感度よりも低く設定されたタッチペン使用時の検出感度に優先的に設定する。このため、タッチペン使用時に、タッチパネル13の検出感度を適切に設定することができ、操作の誤検出を抑制することができる。
【0039】
なお、上記実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。上記実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0040】
・タッチパネル13がタッチペンにより操作されることが想定されない場合は、タッチペン使用時の検出感度に優先的に設定する処理を省略してもよい。
【0041】
・電源ボタン20とは別に熱流測定用(手袋厚み測定用)の凸部(被接触部)を本体11に設けて、その凸部にセンサ部23を取り付けてもよい。その場合も、凸部を標準的な成人の指先よりも小さく形成すれば、使用者が指先を凸部に接触させる場合に、凸部全体を指先で覆うことができる。したがって、手袋の厚みを適切に判断することができ、タッチパネル13の検出感度を適切に設定することができる。また、凸部に限らず、本体11の平面部に熱流測定用(手袋厚み測定用)の領域(被接触部)を設けて、その領域にセンサ部23を取り付けてもよい。
【0042】
・制御部30(感度設定部)は、センサ部23により検出された熱流に基づいて、手袋の厚みを算出し、手袋の厚みに応じてタッチパネル13の検出感度を設定してもよい。
【0043】
・制御部30(感度設定部)は、熱流の増加が停止する時の最大値に基づいて、タッチパネル13に対する操作の検出感度を設定することもできる。具体的には、熱流の最大値が小さいほど、検出感度を高く設定することもできる。
【0044】
・電子機器10は、空調機器の運転の開始及び停止や、温度設定等の操作を入力するための操作端末等であってもよい。要するに、電子機器10は、静電容量式のタッチパネル13を備え、使用者の操作を検出するものであればよい。
【符号の説明】
【0045】
10…電子機器、13…タッチパネル、20…電源ボタン、21…カバー、23…センサ部、30…制御部。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】