(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2019144953
(43)【公開日】20190829
(54)【発明の名称】太陽電池制御システム
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/67 20060101AFI20190802BHJP
【FI】
   !G05F1/67 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】2018030000
(22)【出願日】20180222
(71)【出願人】
【識別番号】391022614
【氏名又は名称】学校法人幾徳学園
【住所又は居所】神奈川県厚木市下荻野1030
(74)【代理人】
【識別番号】110000420
【氏名又は名称】特許業務法人エム・アイ・ピー
(72)【発明者】
【氏名】板子 一隆
【住所又は居所】神奈川県厚木市下荻野1030番地 神奈川工科大学内
【テーマコード(参考)】
5H420
【Fターム(参考)】
5H420BB03
5H420BB14
5H420CC03
5H420DD03
5H420EA10
5H420EA20
5H420EA40
5H420EA43
5H420EA48
5H420EA49
5H420EB13
5H420EB23
5H420FF03
5H420FF04
5H420GG03
(57)【要約】
【課題】太陽電池ストリングに部分影が生じた場合であっても、太陽電池アレイのP−V特性に単一のピークが生じるように制御するシステムを提供する。
【解決手段】本発明によれば、太陽電池ストリングを構成する複数の太陽電池モジュールに接続される複数の電圧補正ユニットと、該複数の電圧補正ユニットを集中制御する制御装置とを含み、各前記電圧補正ユニットは、DC−DCコンバータと、前記太陽電池モジュールのI−V特性を取得する手段と、前記I−V特性に基づいて対応する前記太陽電池モジュールの最大電力値を算出する手段と、前記最大電力値を前記制御装置に送信する手段と、前記太陽電池モジュールの目標出力電圧を算出する目標出力電圧算出手段と、前記DC−DCコンバータを制御して対応する前記太陽電池モジュールの出力電圧を前記目標出力電圧に変換する出力電圧制御手段とを含む太陽電池制御システムが提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池ストリングを構成する複数の太陽電池モジュールのそれぞれに対して接続される複数の電圧補正ユニットと、該複数の電圧補正ユニットを集中制御する制御装置とを含む太陽電池制御システムであって、
各前記電圧補正ユニットは、
対応する前記太陽電池モジュールの出力電圧を変換するためのDC−DCコンバータと、
対応する前記太陽電池モジュールのI−V特性を取得する手段と、
取得された前記I−V特性に基づいて対応する前記太陽電池モジュールの最大電力値を算出する手段と、
算出された前記最大電力値を前記制御装置に送信する手段と、
対応する前記太陽電池モジュールの目標出力電圧を算出する目標出力電圧算出手段と、
前記DC−DCコンバータを制御して対応する前記太陽電池モジュールの出力電圧を前記目標出力電圧に変換する出力電圧制御手段と、
を含み、
前記制御装置は、
複数の前記電圧補正ユニットから受信した前記最大電力値の合計値を前記太陽電池ストリングが接続されるパワーコンディショナーの基準入力電圧で除した商を該太陽電池ストリングの基準電流値として算出する手段と、
算出された前記基準電流値を前記複数の電圧補正ユニットに対して送信する手段とを含み、
各前記目標出力電圧算出手段は、
算出された前記最大電力値を前記制御装置から受信した前記基準電流値で除した商を前記目標出力電圧として算出する、
太陽電池制御システム。
【請求項2】
太陽電池ストリングを構成する複数の太陽電池モジュールの出力電圧を個別的に制御するための太陽電池制御システムであって、
各前記太陽電池モジュールの出力電圧を変換するためのDC−DCコンバータと、
各前記太陽電池モジュールのI−V特性を取得する手段と、
各前記太陽電池モジュールの前記I−V特性に基づいて該太陽電池モジュールの最大電力値を算出する手段と、
各前記太陽電池モジュールの目標出力電圧を算出する目標出力電圧算出手段と、
各前記DC−DCコンバータを制御して対応する前記太陽電池モジュールの出力電圧を前記目標出力電圧に変換する出力電圧制御手段とを含み、
各前記目標出力電圧算出手段は、
前記複数の太陽電池モジュールの前記最大電力値の合計値を前記太陽電池ストリングが接続されるパワーコンディショナーの基準入力電圧で除した商を該太陽電池ストリングの基準電流値として算出し、各前記太陽電池モジュールの最大電力値を該基準電流値で除した商を前記目標出力電圧として算出する、
太陽電池制御システム。
【請求項3】
各前記電圧補正ユニットは、
前記目標出力電圧を前記最大電力値に対応する最適動作電圧で除した商を昇降圧比として算出する手段を含み、
前記出力電圧制御手段は、
算出された前記昇降圧比で前記DC−DCコンバータを動作させる、
請求項1または2に記載の太陽電池制御システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の太陽電池制御システムが設けられた太陽電池ストリング。
【請求項5】
請求項4に記載の太陽電池ストリングが複数並列に接続されてなる太陽電池アレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池制御システムに関し、より詳細には、太陽電池アレイのP−V特性を最適化する制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池ストリングに部分影が生じると太陽電池アレイの出力に複数のピークが生じるため、山登り法によるMPPT制御(最大電力動作点追跡制御)では、アレイがピーク値が低い方の動作点電圧で動作してしまう場合がある。
【0003】
この問題につき、特許文献1は、太陽電池ストリングのP−V特性を定期的にスキャンし、最も電力の大きくなった動作点電圧で太陽電池を動作させる方法を開示する。この方法によれば、太陽電池アレイの出力に複数のピークが生じた場合でも、アレイを高い方のピークで動作させることが可能になるが、その場合でも、影がかかった太陽電池モジュール自体は、バイパスダイオードによってバイパスされるため、その出力を取り出せないという問題があった。
【0004】
この点に関し、近年、影がかかったモジュールから出力を取り出すことを目的として、太陽電池モジュール毎にMPPTユニットを接続したシステムが実用化されている。しかしながら、このようなシステムでは、ストリング毎に最適動作点電圧がずれてしまうため、パワーコンディショナー(PCS)側のMPPT制御だけでは、全てのモジュールの発電能力を完全に引き出すことができず、また、太陽電池モジュール側のMPPT制御とPCS側のMPPT制御が干渉することが原因で動作が不安定になるという問題も指摘されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5503745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、太陽電池ストリングに部分影が生じた場合であっても、太陽電池アレイのP−V特性に単一のピークが生じるように制御するシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、太陽電池ストリングに部分影が生じた場合であっても、太陽電池アレイのP−V特性に単一のピークが生じるように制御するシステムにつき鋭意検討した結果、以下の構成に想到し、本発明に至ったのである。
【0008】
すなわち、本発明によれば、太陽電池ストリングを構成する複数の太陽電池モジュールのそれぞれに対して接続される複数の電圧補正ユニットと、該複数の電圧補正ユニットを集中制御する制御装置とを含む太陽電池制御システムであって、各前記電圧補正ユニットは、対応する前記太陽電池モジュールの出力電圧を変換するためのDC−DCコンバータと、対応する前記太陽電池モジュールのI−V特性を取得する手段と、取得された前記I−V特性に基づいて対応する前記太陽電池モジュールの最大電力値を算出する手段と、算出された前記最大電力値を前記制御装置に送信する手段と、対応する前記太陽電池モジュールの目標出力電圧を算出する目標出力電圧算出手段と、前記DC−DCコンバータを制御して対応する前記太陽電池モジュールの出力電圧を前記目標出力電圧に変換する出力電圧制御手段と、を含み、前記制御装置は、複数の前記電圧補正ユニットから受信した前記最大電力値の合計値を前記太陽電池ストリングが接続されるパワーコンディショナーの基準入力電圧で除した商を該太陽電池ストリングの基準電流値として算出する手段と、算出された前記基準電流値を前記複数の電圧補正ユニットに対して送信する手段と、を含み、各前記目標出力電圧算出手段は、算出された前記最大電力値を前記制御装置から受信した前記基準電流値で除した商を前記目標出力電圧として算出する、太陽電池制御システムが提供される。
【0009】
すなわち、本発明によれば、太陽電池ストリングを構成する複数の太陽電池モジュールの出力電圧を個別的に制御するための太陽電池制御システムであって、各前記太陽電池モジュールの出力電圧を変換するためのDC−DCコンバータと、各前記太陽電池モジュールのI−V特性を取得する手段と、各前記太陽電池モジュールの前記I−V特性に基づいて該太陽電池モジュールの最大電力値を算出する手段と、各前記太陽電池モジュールの目標出力電圧を算出する目標出力電圧算出手段と、各前記DC−DCコンバータを制御して対応する前記太陽電池モジュールの出力電圧を前記目標出力電圧に変換する出力電圧制御手段と、を含み、各前記目標出力電圧算出手段は、前記複数の太陽電池モジュールの前記最大電力値の合計値を前記太陽電池ストリングが接続されるパワーコンディショナーの基準入力電圧で除した商を該太陽電池ストリングの基準電流値として算出し、各前記太陽電池モジュールの最大電力値を該基準電流値で除した商を前記目標出力電圧として算出する、太陽電池制御システムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
上述したように、本発明によれば、太陽電池ストリングに部分影が生じた場合であっても、太陽電池アレイのP−V特性に単一のピークが生じるように制御するシステムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態の太陽光発電システムを示す図。
【図2】本実施形態の太陽電池制御システムの機能構成を示す図。
【図3】本実施形態の太陽電池制御システムが実行する処理を説明するための概念図。
【図4】本実施形態の太陽電池制御システムが実行する処理のフローチャート。
【図5】本実施形態の太陽電池制御システムの運用例を示す図。
【図6】本実施形態の太陽電池制御システムのシミュレーションに用いたモデルを示す図。
【図7】シミュレーション結果(P−V特性)を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を図面に示した実施の形態をもって説明するが、本発明は、図面に示した実施の形態に限定されるものではない。なお、以下に参照する各図においては、共通する要素について同じ符号を用い、適宜、その説明を省略するものとする。
【0013】
図1は、本発明の実施形態である太陽光発電システム1000を示す。図1に示すように、太陽光発電システム1000は、n個の太陽電池モジュール50が直列に接続されてなる太陽電池ストリング500がm個並行に接続されてなる太陽電池アレイ550と、パワーコンディショナー(PCS)600とを含んで構成されており、太陽電池ストリング500毎にブロッキングダイオード60が設けられている。PCS600は、太陽電池アレイ550から入力される直流電力を交流電力に変換するインバーター装置であり、太陽電池アレイ550の最大電力動作点を山登り法によって追跡するMPPT機能を搭載している。
【0014】
ここで、本実施形態では、各太陽電池ストリング500に対して、本実施形態の太陽電池制御システム300が設けられている。各太陽電池制御システム300は、対応する太陽電池ストリング500を構成するn個の太陽電池モジュール50の出力電圧を個別的に制御するためのシステムであって、n個の太陽電池モジュール50と対をなすn個の電圧補正ユニット100と、n個の電圧補正ユニット100を集中制御するための制御装置200とを含んで構成されている。なお、以下では、太陽電池ストリング500および太陽電池モジュール50を、それぞれ、PVストリング500およびPVモジュール50という場合がある。
【0015】
電圧補正ユニット100は、対応するPVモジュール50が発電する直流電力の電圧を補正するための装置であり、1台のPVモジュール50に対して1台の電圧補正ユニット100が接続され、電圧補正ユニット100の出力側が直列に接続されている。
【0016】
図2は、本実施形態の太陽電池制御システム300の機能構成を示す。
【0017】
電圧補正ユニット100は、自身に接続されたPVモジュール50の出力電圧を測定する電圧計32と、PVモジュール50の出力電流を検出する電流計33と、昇降圧型のDC−DCコンバータ40と、マイコン10とを含んで構成されており、DC−DCコンバータ40は、スイッチ素子42、スイッチ素子43、インダクタ44、ダイオード45、ダイオード46および平滑コンデンサ47、平滑コンデンサ48を含んで構成されている。
【0018】
マイコン10は、電圧計32および電流計33から入力される電圧値および電流値に基づいて所定の演算を実行し、その演算結果に基づいてスイッチ素子42またはスイッチ素子43のオン・オフをPWM制御することによって、PVモジュール50の出力電圧を補正するための装置であり、I−V特性取得部12と、最大電力値算出部13と、最大電力値送信部14と、目標出力電圧算出部15と、昇降圧比算出部16と、出力電圧制御部17とを含んで構成されている。
【0019】
I−V特性取得部12は、電圧計32および電流計33から入力される検出値に基づいて、対応するPVモジュール50のI−V特性を取得する手段である。
【0020】
最大電力値算出部13は、I−V特性取得部12が取得したI−V特性に基づいて対応するPVモジュール50の最大電力値を算出するとともに、当該最大電力値に対応する最適動作電圧を取得する手段である。
【0021】
最大電力値送信部14は、最大電力値算出部13が算出した最大電力値を制御装置200に送信する手段である。
【0022】
目標出力電圧算出部15は、対応するPVモジュール50の目標出力電圧を算出する手段である。
【0023】
昇降圧比算出部16は、目標出力電圧算出部15が算出した目標出力電圧に基づいてDC−DCコンバータ40の昇降圧比を算出する手段である。
【0024】
出力電圧制御部17は、DC−DCコンバータ40を制御して、対応するPVモジュール50の出力電圧を目標出力電圧に変換する手段である。
【0025】
なお、上述した各手段は、ハードウェアまたはソフトウェアまたはそれらの組み合わせによって実現することができ、上述した手段の一部または全部をソフトウェアによって実現する場合は、マイコン10に搭載されるCPUが、所定のプログラムを実行することにより、上述した各手段として機能する。
【0026】
一方、制御装置200は、PVストリング500を構成するn個の電圧補正ユニット100と相互に通信可能に構成されており、電圧補正命令部22と、基準電流値算出部23と、基準電流値送信部24とを含んで構成されている。
【0027】
電圧補正命令部22は、予め設定された制御周期に基づいて、PVストリング500を構成するn個の電圧補正ユニット100に対して定期的に電圧補正命令を送信する手段である。
【0028】
基準電流値算出部23は、n個の電圧補正ユニット100から受信した各PVモジュール50の最大電力値に基づいてPVストリング500の基準電流値を算出する手段である。
【0029】
基準電流値送信部24は、基準電流値算出部23が算出したPVストリング500の基準電流値を当該ストリングを構成するn個の電圧補正ユニット100に対して送信する手段である。
【0030】
なお、上述した各手段は、ハードウェアまたはソフトウェアまたはそれらの組み合わせによって実現することができ、上述した手段の一部または全部をソフトウェアによって実現する場合は、制御装置200に搭載されるコンピュータが、所定のプログラムを実行することにより、上述した各手段として機能する。
【0031】
以上、本実施形態の電圧補正ユニット100および制御装置200の機能構成について説明してきたが、続いて、本実施形態の太陽電池制御システム300が実行する処理について説明する。なお、以下の説明においては、適宜、図3に示す概念図を参照するものとする。
【0032】
図4(a)は、制御装置200が実行する処理のフローチャートを示し、図4(b)は、マイコン10が実行する処理のフローチャートを示す。以下、図4(a)および図4(b)を交互に参照しながら説明を行う。
【0033】
制御装置200は、予め設定された制御周期の到来を監視し(ステップ101、No)、制御周期が到来すると(ステップ101、Yes)、電圧補正命令部22が、PVストリング500を構成する全ての電圧補正ユニット100に対して電圧補正命令を送信する(ステップ102)。
【0034】
一方、マイコン10は、制御装置200からの電圧補正命令の受信を監視し(ステップ201、No)、電圧補正命令を受信すると(ステップ201、Yes)、I−V特性取得部12が、PVモジュール50をスキャンして、PVモジュール50のI−V特性を取得する。
【0035】
具体的には、I−V特性取得部12は、スイッチ素子42をオフ状態に制御してPVモジュール50を開放状態(VOC)にした後に、スイッチ素子42とスイッチ素子43をオン状態に制御する。これにより、インダクタ44の作用で太陽電池電流がゼロから短絡電流まで自動的に変化するので、それを利用してI−V特性(電流電圧曲線)を取得する。なお、別法として、通常のPWM動作時に開放〜短絡の入力電圧指令値を与えることによってスキャンを実施してもよい。
【0036】
これを受けて、最大電力値算出部13は、取得されたI−V特性に基づいてPVモジュール50の最大電力値Pmaxを算出するとともに、最大電力値Pmaxを与える最適動作電圧VOPを取得する(ステップ203)。
【0037】
これを受けて、最大電力値送信部14は、算出された最大電力値Pmaxを制御装置200に送信する(ステップ204)。
【0038】
一方、制御装置200は、全ての電圧補正ユニット100に対して電圧補正命令を送信した後に、各電圧補正ユニット100から送信される最大電力値Pmaxを待機する(ステップ103、No)。そして、全ての電圧補正ユニット100から最大電力値Pmaxを受信すると(ステップ103、Yes)、基準電流値算出部23が、PVストリング500の基準電流値Iを算出する(ステップ104)。具体的には、基準電流値算出部23は、全ての電圧補正ユニット100から受信した最大電力値Pmaxを合計し、その合計値をPVストリング500が接続されるPCS600の基準入力電圧VPCS0で除した商を基準電流値Iとして算出する。下記式(1)は、基準電流値Iの算出式を示す。
【0039】
【数1】
【0040】
なお、上記式(1)における基準入力電圧VPCS0は、PVストリング500が接続されるPCS600が動作可能な入力電圧の範囲内で任意の値を予め設定しておく。
【0041】
基準電流値Iが算出されたことを受けて、基準電流値送信部24が、全ての電圧補正ユニット100に対して、算出された基準電流値Iを送信する(ステップ105)。その後、処理はステップ101に戻り、以降、上述した一連の処理を繰り返す。
【0042】
一方、電圧補正ユニット100は、制御装置200に最大電力値Pmaxを送信した後に、制御装置200から送信される基準電流値Iを待機する(ステップ205、No)。そして、制御装置200から基準電流値Iを受信すると(ステップ205、Yes)、目標出力電圧算出部15が、電圧補正ユニット100の目標とする出力電圧である目標出力電圧Vaimを算出する(ステップ206)。具体的には、目標出力電圧算出部15は、先のステップ203で算出した最大電力値Pmaxを制御装置200から受信した基準電流値Iで除した商を目標出力電圧Vaimとして算出する。下記式(2)は、目標出力電圧Vaimの算出式を示す。
【0043】
【数2】
【0044】
これを受けて、昇降圧比算出部16は、PVモジュール50の出力電圧VPVを目標出力電圧Vaimに補正するために必要な昇降圧比aを算出する。具体的には、昇降圧比算出部16は、先のステップ206で算出した目標出力電圧Vaimを先のステップ203で取得した最適動作電圧VOPで除した商を昇降圧比aとして算出する。下記式(3)は、目標出力電圧Vaimの算出式を示す。
【0045】
【数3】
【0046】
これを受けて、出力電圧制御部17は、算出された昇降圧比aに基づいてDC−DCコンバータ40を動作させ、PVモジュール50の出力電圧VPVを目標出力電圧Vaimに変換する。具体的には、昇降圧比aに対応するデューティー比(通流率)を決定し、決定したデューティー比のPWM信号でDC−DCコンバータ40のスイッチ素子43のオン・オフ制御(PWM制御)を行う。この他、出力電圧制御部17は、DC−DCコンバータ40の出力電圧の計測値が目標出力電圧Vaimに漸近するように、PWM信号のデューティー比をフィードバック制御するようにしてもよい。
【0047】
その後、処理はステップ201に戻り、以降、上述した一連の処理を繰り返す。
【0048】
以上、本実施形態の太陽電池制御システム300が実行する処理について説明してきたが、続いて、上述した制御処理によってもたらされる効果について説明する。
【0049】
本実施形態においては、PVストリング500を構成するn個のPVモジュール50の最大電力値Pmaxk(k=1,2,…n)と、PVストリング500の基準電流値Iと、n個のPVモジュール50の補正後の出力電圧V(k=1,2,…n)の関係は、下記式(4)で表され、PCS600の基準入力電圧VPCS0と、n個のPVモジュール50の補正後の出力電圧V(k=1,2,…n)の関係は、下記式(5)で表される。
【0050】
【数4】
【0051】
つまり、本実施形態によれば、PVストリング500の端子電圧がPCS600の基準入力電圧VPCS0に制御されているときに、PVストリング500を構成するn個のPVモジュール50の全てが各自の最大電力を出力するようになる。
【0052】
さらに、m個のPVストリング500が並行に接続されてなる太陽電池アレイ550においては、アレイの端子電圧がPCS600の基準入力電圧VPCS0に制御されているときに、m個のPVストリング500の全てが各自の最大電力を出力するようになる。
【0053】
つまり、本実施形態によれば、影がかかるなどして太陽電池アレイ550の日射強度に不均一が生じた場合であっても、太陽電池アレイ550のP−V特性(電力電圧特性)が常に単一のピークを持つようになり、そのピーク値は、常にm個のPVストリング500の最大電力の総和に等しくなる。したがって、PVストリング毎に太陽電池制御システム300が設けられた太陽電池アレイ550においては、PCS600側のMPPT制御(山登り法による最大電力点追跡)だけで、アレイを構成する全てのPVモジュール50の発電能力が最大限に引き出される結果となる。
【0054】
なお、本実施形態の太陽電池制御システム300が設けられたPVストリング500は、既存の太陽電池アレイの一部として組み込むことができる。
【0055】
例えば、太陽電池アレイを設置する場所の条件によって、一部のストリングに影がかかることが予め分かっている場合がある。この点、従来型の太陽電池アレイでは、P−V特性に複数のピークが生じてしまうため、アレイの電力利用率が低下するという問題がある。
【0056】
この問題の対策として、図5(a)に示すような形で、影がかかることが予め分かっている場所に本実施形態のPVストリング500を設置する運用が考えられる。この場合、PCSの基準入力電圧を影がかからない場所に設置された他のストリングの最適動作電圧付近に設定すれば、アレイ全体の電力利用率の大幅な向上が期待できる。
【0057】
また、モジュール毎にMPPTユニットを接続した太陽電池アレイでは、全てのストリングにMPPTユニットを接続してしまうと、アレイのP−V特性がフラットになってPCSが迷走するので、そうさせないために、MPPTユニットを接続しない基準ストリングを少なくとも一つ接続する必要があるが、この基準ストリングに影がかかった場合に、出力低下が避けられないという問題がある。
【0058】
この問題の対策として、図5(b)に示すような形で、本実施形態のPVストリング500を基準ストリングとして導入する運用が考えられる。この場合、PVストリング500は、PCSの基準入力電圧で単一のピークを生じるので、基準ストリングとして機能するだけでなく、影がかかった場合においても最大電力を引き出すことができるので、基準ストリングの導入によってアレイ全体の電力利用率が低下しないという利点がある。
【0059】
以上、本発明について実施形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の設計変更が可能である。
【0060】
例えば、上述した実施形態では、制御装置200が各電圧補正ユニット100から受信した最大電力値Pmaxに基づいて基準電流値Iを算出し、これを各電圧補正ユニット100に返す形態について説明したが、別の実施形態では、制御装置200が各電圧補正ユニット100に対して、他の電圧補正ユニット100から受信した最大電力値Pmaxを返すようにし、各電圧補正ユニット100側で基準電流値Iを算出するようにしてもよい。
【0061】
例えば、上述した実施形態では、制御装置200が各電圧補正ユニット100から受信した最大電力値Pmaxに基づいて基準電流値Iを算出し、これを各電圧補正ユニット100に返す形態について説明したが、別の実施形態では、制御装置200が各電圧補正ユニット100に対して、他の電圧補正ユニット100から受信した最大電力値Pmaxを返すようにし、各電圧補正ユニット100側で基準電流値Iを算出するようにしてもよい。
【0062】
また、上述した実施形態では、制御装置200が各電圧補正ユニット100を集中制御する形態について説明したが、別の実施形態では、各電圧補正ユニット100が他の電圧補正ユニット100に対して最大電力値Pmaxを直接送るようにし、各電圧補正ユニット100側で基準電流値Iを算出するようにしてもよい。この場合、各電圧補正ユニット100が適切な方法で同期を取ることができれば、制御装置200は不要となる。
【0063】
その他、当業者が推考しうる実施態様の範囲内において、本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【実施例】
【0064】
以下、本発明の太陽電池ストリングについて、実施例を用いてより具体的に説明を行なうが、本発明は、後述する実施例に限定されるものではない。
【0065】
本発明の効果を検証すべくシミュレーションを行った。図6(a)は、本シミュレーションに用いた従来型の太陽電池アレイ(モジュール毎にバイパスダイオードが設けられたアレイ。以下、比較例アレイという)のモデルを示す。一方、図6(b)は、本シミュレーションに用いた本発明の太陽電池アレイ(以下、実施例アレイという)のモデルを示す。
【0066】
比較例アレイおよび実施例アレイは、いずれも、2つの太陽電池モジュールからなる2つのストリングを並列接続したモデルであり、各アレイを構成する太陽電池モジュールの仕様は下記表1に示す通りである。
【0067】
【表1】
【0068】
本シミュレーションでは、各アレイにおいて、第1のストリングを構成するモジュール(PV2)の日射強度が70%低下した状態を想定し、第2のストリングを構成するモジュール(PV4)の日射強度が50%低下した状態を想定した。具体的には、PV2の発電能力(PPV2)を11.0[W]、最適動作電圧(VOP2)を14.6[V]と設定し、PV4の発電能力(PPV4)を23.9[W]、最適動作電圧(VOP4)を15.4[V]と設定した上で、PCSの基準入力電圧を32.6[V](VOP1×2)として、各アレイのP―V特性をシミュレーションした。
【0069】
図7(a)は、比較例アレイのシミュレーション結果を示す。図7(a)に示すように、比較例アレイのP―V特性には、設定2つのピーク(103.5[W]、82.6[W])が生じた。
【0070】
一方、図7(b)は、実施例アレイのシミュレーション結果を示す。図7(b)に示すように、実施例アレイのP―V特性には、設定した基準入力電圧(32.6[V])に対応する1つのピークが生じており、この最大電力(138[W])は、4つのモジュール(PV1〜PV4)の発電能力の総和に等しくなった。
【符号の説明】
【0071】
10…マイコン
12…I−V特性取得部
13…最大電力値算出部
14…最大電力値送信部
15…目標出力電圧算出部
16…昇降圧比算出部
17…出力電圧制御部
22…電圧補正命令部
23…基準電流値算出部
24…基準電流値送信部
32…電圧計
33…電流計
40…DC−DCコンバータ
42,43…スイッチ素子
44…インダクタ
45,46…ダイオード
47,48…平滑コンデンサ
50…太陽電池モジュール
60…ブロッキングダイオード
100…電圧補正ユニット
200…制御装置
300…太陽電池制御システム
500…太陽電池ストリング
550…太陽電池アレイ
1000…太陽光発電システム
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】