前記光学的特徴点が、前記光学素子媒体の輝度情報、色相情報、濃淡情報のうち、1つ以上の情報からなることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の光学素子媒体の判別方法。
【背景技術】
【0002】
ホログラムに代表される光学素子媒体は、紙幣、商品券、さらにはクレジットカードなどの有価証券類のほか、IDカードやパスポートといった個人認証用媒体の偽造あるいは複製による不正使用を防止するため、あるいは各種商品の偽造品流通を防止するためのツール、ないし商品価値を上げるための装飾性を高めるツールなどとして、広く活用されている。
【0003】
従来、ホログラムなどを不正防止目的で使用する場合には、ホログラムなどが有する光学的な効果を目視で確認して、例えば立体感あるいは奥行き感のある画像が認識されるかどうか、更には正面から観察した時の画像と角度を変えて観察した時の画像とで色の変化や画像の変化があるかどうかを確認するといったような方法が一般的であった。
【0004】
しかし、近年所謂ホログラムからなる光学素子媒体では、一見すると本物らしく見え、専門家が確認しないと贋物であると判定できないような場面も出てきている。
【0005】
これは、一般のユーザは、各商材のホログラム画像の特徴や機能を熟知しているわけではなく、ホログラムらしきものが貼付されていれば、本物と認識してしまう可能性があるということを示している。
【0006】
そこで、特許文献1に示すような、ホログラムを有する媒体に光を照射し、2方向の回折光を同時に取り込み、プリズムを介してホログラムが有する2つの画像を同時に確認する装置が提案されている。
【0007】
しかし、このような装置は一般的なものではなく、一般ユーザが持ち歩くことはできない。そのため、特許文献2のように、広く普及しているスマートフォンなどを利用して真贋判定を実施する方法も提案されているが、この方法では判定時にスマートフォンを動かしながら撮影する必要があり、実施しにくいという課題があった。
【0008】
また近年では、光源の動きにより観察される像や濃淡などが動いて見えるような効果を有する光学素子媒体が使われており、このような効果は、目視でのインパクトはあるものの、動きを定義しにくいため真贋判定が難しいという問題がある。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、各図はそれぞれ一例を示しているにすぎず、これらに限定されるものではない。なお、各図において、同様又は類似した機能を発揮する校正要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0019】
本発明の一態様に係わる判別方法の例を模式的に示したイメージ図である。
【0020】
本発明の識別装置(10)は、撮像部(11)と表示部(12)とを同一面に備え、これらを備えた面を、光学素子媒体(20)に対し、対向配置させ、概ね特定の位置に保持される。その後、表示部(12)において、予め設定された複数の表示部位(13)を、少なくとも1つ毎に、順次表示させる。
【0021】
この時、各表示部位(13)から、光学素子媒体(20)に対して、光照射(14)されることが重要であり、表示部(12)は発光性を有する必要がある。そのため、表示部(12)は、バックライトを有する液晶ディスプレイやELディスプレイ、LEDディスプレイ等であることが望ましい。
【0022】
また、表示部位(13)は、その表示形状や面積、色相等は特に限定されるものではなく、対象となる光学素子媒体(20)の特性に応じて、任意に設定することができる。また表示部位(13)の数も2つ以上であれば、特に限定されるものではなく、対象となる光学素子媒体(20)の特性に応じて、任意に設定するが可能である。
【0023】
上述のように、光学素子媒体(20)に対して特定の位置に概ね保持された表示部(12)より、表示部位(13)から照射される光は、表示部位(13)が順次入れ替わって表示されることにより、それぞれ異なる位置から光学素子媒体(20)に光が照射されることになる。
【0024】
このため、光学素子媒体(20)は、常に一定の方向から目視観察した場合、入射された光の方向に応じて、光学素子媒体(20)の視覚効果が変化し、設けられている絵柄や輝度点の動きや、色相の変化などとして認識することができる。
【0025】
このような視覚効果の変化を、概ね固定された撮像部(11)によって、画像として取り込みがなされ、得られた画像情報から、輝度情報、色相情報、濃淡情報などからなる光学的特徴点の抽出を実施し、この光学的特徴点の変位の様子を光学的特徴点変位情報として記憶する。
【0026】
そして、記録された光学的特徴点変位情報を予め設定された変位予測情報と比較することにより、その光学的特徴点の変位の様子が、真正品に特有のものであるかどうかをチェックすることが可能となる。
【0027】
ここで、真正品であるかどうかの判定対象となる光学素子媒体(20)は、照射される光の方向に応じて、視認される画像に変化が見られるものであれば、いずれも用いることができ、例えば、マイクロレンズアレイや、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズなどの各種レンズ構造を応用したもの、多層構造や高さあるいは深さの異なる複数の平面構造などからなる光の干渉を応用したもの、方向性を有する複数の凹凸構造(レリーフ構造)からなる指向性散乱を応用したもの、更にはホログラムに代表されるような光の回折を伴うものなど、任意の光学素子媒体を例示することができる。
【0028】
図2は、光学素子媒体(20)として、レリーフ構造(24)を有する媒体の構成例を示している。
【0029】
図2に示した光学素子媒体(20)は、基材(21)、レリーフ構造形成層(22)、反射層(23)からなっている。
【0030】
基材(21)は、特に限定されるものではなく、紙類やガラスをはじめ、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート
樹脂、ポリイミド樹脂、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル、ポリビニルアルコールなどのビニル系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂などの各種樹脂素材などを例示することができる。
【0031】
基材(21)は、単層構造を有していても良く、多層構造を有していても良い。更に、基材(21)には、反射防止処理、低反射防止処理、ハードコート処理、帯電防止処理および防汚処理、あるいは易接着処理などの各種処理を施してあっても良い。
【0032】
レリーフ構造形成層(22)は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂などから構成することができる。
【0033】
レリーフ構造形成層(22)として、熱可塑性樹脂を用いる場合には、例えばアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂などや、これらの混合物、またはこれらの共重合体などを使用することができる。
【0034】
また、熱硬化性樹脂を用いる場合には、例えば、アクリル系ポリオール樹脂やポリエステル系ポリオール樹脂などのポリオール系樹脂とイソシアネート化合物との架橋反応によって形成されるウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂などや、これらの混合物、またはこれらの共重合物を使用することができる。
【0035】
あるいは、放射線硬化性樹脂を用いる場合には、放射線硬化性樹脂は、典型的には、重合性化合物と開始剤とを含んでいる。
【0036】
重合性化合物としては、例えば、光ラジカル重合が可能な化合物を使用する。具体的には、エチレン性不飽和結合またはエチレン性不飽和基を有したモノマー、オリゴマーまたはポリマーを使用することができる。あるいは光ラジカル重合が可能な化合物として、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールジアクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート、ペンタエリスリトールアクリラート、ペンタエリスリトールテトラアクリラート、ペンタエイスリトールペンタアクリラートおよびジペンタエリスリトールヘキサアクリラート等のモノマー、エポキシアクリラート、ウレタンアクリラートおよびポリエステルアクリラート等のオリゴマー、またはウレタン変性アクリル樹脂およびエポキシ変性アクリル樹脂等のポリマーなどを使用してもよい。
【0037】
重合性化合物として光ラジカル重合が可能な化合物を使用する場合、開始剤としては、光ラジカル重合開始剤を使用することができる。
【0038】
この光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテルおよびベンゾインエチルエーテル等のベンゾイン系化合物、アントラキノンおよびメチルアントラキノン等のアントラキノン系化合物、アセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−アミノアセトフェノンおよび2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モリホリノプロパン−1−オン等のフェニルケトン系化合物、ベンジルジメチルケタール、チオキサントン、アシルホスフィンオキサイド、または、ミヒラーズケトンなどを使用することができる。
【0039】
あるいは、重合性化合物として、光カチオン重合が可能な化合物を使用してもよい。光カチオン重合が可能な化合物としては、例えば、エポキシ基を備えたモノマー、オリゴマーもしくはポリマー、キセタン骨格含有化合物、または、ビニルエーテル類を使用する。
【0040】
重合性化合物として光カチオン重合が可能な化合物を使用する場合、開始剤としては、
光カチオン重合開始剤を使用する。この光カチオン重合開始剤としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ホスホニウム塩または混合配位子金属塩を使用する。
【0041】
あるいは、重合性化合物として、光ラジカル重合が可能な化合物と光カチオン重合が可能な化合物との混合物を使用してもよい。
【0042】
この場合、開始剤としては、例えば、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤との混合物を使用する。あるいは、この場合、光ラジカル重合および光カチオン重合の双方の開始剤として機能しうる重合開始剤を使用してもよい。
【0043】
このような開始剤としては、例えば、芳香族ヨードニウム塩または芳香族スルホニウム塩を使用する。
【0044】
尚、放射性硬化樹脂に占める開始剤の割合は、例えば、0.1から15重量%の範囲内とする。
【0045】
また、重合開始剤を使用しない例として、電子線照射により重合性化合物の重合反応を引き起こす方法を用いてもよい。
【0046】
前記放射線硬化樹脂は、増感色素、染料、顔料、重合禁止剤、レベリング剤、消泡剤、タレ止め剤、付着向上剤、塗面改質剤、可塑剤、含窒素化合物、エポキシ樹脂等の添加剤、離型剤またはこれらの組合せを更に含んでいてもよい。
【0047】
また、放射線硬化樹脂には、その成形性を向上させるべく、非反応性の樹脂を更に含有させてもよい。この非反応性の樹脂としては、例えば、前記熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などを単独または混合物として用いることができる。
【0048】
このようなレリーフ構造形成層(22)は、基材(21)と同一の材料を用いて、一体として形成されてあっても何ら問題ない。
【0049】
上述のようなレリーフ構造形成層(22)にレリーフ構造(24)を形成する方法としては、例えば、金属表面にレリーフ構造を設けた原版を用いて、熱圧転写方式などによって、レリーフ構造(24)を容易に形成することができる。
【0050】
反射層(23)としては、例えば、アルミニウム、銅、銀、クロム、及びそれらの合金などの金属材料からなる金属層を使用することができる。
【0051】
また、反射層(23)として、レリーフ構造形成層(22)とは屈折率が異なる誘電体層、具体的には、Sb
2S
3、Fe
2O
3、TiO
2、CdS、CeO
2、ZnS、PbCl
2、CdO、Sb
2O
3、WO
3、SiO、Si
2O
3、In
2O
3、PbO、Ta
2O
3、ZnO、ZrO
2、Cd
2O
3、Al
2O
3などの金属化合物からなる誘電体などを使用しても良い。
【0052】
あるいは、反射層(23)として、隣り合うもの同士の屈折率が異なる誘電体層の積層体、すなわち誘電体多層膜を使用しても良い。但し、誘電体多層膜が含む誘電体層のうちレリーフ構造形成層(22)と接触しているものの屈折率は、レリーフ構造形成層(22)の屈折率とは異なっているのが好ましい。
【0053】
また、反射層(23)は蒸着あるいはスパッタリング法等で形成された後、マスク印刷
層やフォトレジストを用いてパターン状マスク層を形成した後、エッチング溶液等によりエッチングを行う化学エッチング法などを用いて、パターン状に形成しても良い。
【0054】
あるいは、水溶性樹脂からなるインキによってレリーフ構造形成層(22)上にパターン印刷を施した後、蒸着法あるいはスパッタリング法等で反射層(23)を設け、その後水溶性樹脂も含めて水洗処理する水性エッチング法などを用いて、反射層(23)をパターン化しても良い。
【0055】
反射層(23)のパターン形成法はこれらに限定されるものではなく、従来公知の任意の方法でパターンを形成することが可能である。
【0056】
上述のようにして得られる光学素子媒体(20)は、単独で用いられても良いし、感熱接着層や感圧接着層などを設けて、任意の物品に貼着して用いられてあっても良い。
【0057】
また、光学素子媒体(20)は、基材(21)とレリーフ構造形成層(22)との間に剥離層を設け、転写箔として用いられても良く、光学素子媒体(20)のいずれかの層間には、中間層、着色層、アンカー層、印刷層など任意の層が設けられてあっても何ら問題ない。
【0058】
更に、光学素子媒体(20)には、個々の光学素子媒体(20)を識別することが可能なユニークコードやナンバリングなどが設けられてあっても良く、これらのユニークコードやナンバリングは、後述する識別装置によって、真正品か否かの判別と同時に読み取りがなされても良い。
【0059】
図3には、上述のような光学素子媒体(20)に設けられたレリーフ構造(24)が光の回折を伴う場合を例として、光回折について説明するための図である。
【0060】
図3に示す様に、レリーフ構造(24)において、隣接する凹部または凸部の中心間距離が一定である時、このレリーフ構造(24)に光を照射すると、入射光(IL)の進行方向に対して、特定の方向に回折光(DL)を射出する。
【0061】
一般的に回折光に関しては、以下の式で表すことができる。
d(sinα±sinβ)=nλ … (1)
【0062】
この等式(1)において、dは凹部または凸部の中心間距離を表し、λは入射光(IL)および回折光(DL)の波長を表している。また、αは入射光(IL)の入射角を、βは回折光(DL)の射出角を表しており、nは次数であり、最も代表的な回折光は、1次回折光であることから、n=1と考えることができる。
【0063】
ここで、入射角αは、0次回折光すなわち正反射光(RL)の射出角と同じと考えることができ、また、α、βは、表示体に対する法線方向(NL)から時計回りの方向を正方向とする。
【0064】
よって、等式(1)は以下の式となる。
d(sinα+sinβ)=λ … (2)
すなわち
sinβ =(λ−dsinα)/d … (3)
【0065】
従って、凹部または凸部の中心間距離dを一定とし、観察する光の波長λを一定とすると、入射角αを変化させることにより1次回折光(DL)の射出角βが変化することとな
るため、概ね固定された位置から観察した場合に、異なる色相や画像が認識されることとなる。
【0066】
図4は、上述のような光学素子媒体(20)を判別するための識別装置(10)の例を説明するためのブロック図であり、図5は、識別装置(10)を用いて光学素子媒体(20)を判別する手法を示したフロー図である。
【0067】
図4に示した識別装置(10)は、撮像部(11)と、表示部(12)と、これらを制御するための制御部(15)とがあり、制御部(15)には例えば、記憶部(16)、演算部(17)などがある。
【0068】
また、必要に応じて、ユーザ(30)に対して、識別装置(10)の操作を促すための音声発生部(18)が、設けられてあって良い。
【0069】
また、識別装置(10)は、通信機能を有し、必要に応じてインターネット等を経由してサーバーにアクセスするなどの機能を有していることが望ましい。
【0070】
識別装置(10)によって光学素子媒体(20)の判別を実施するに当たり、対象とする光学素子媒体(20)がどのタイプの光学素子媒体であるのかを選択(S1)して、識別装置(10)に入力する。
【0071】
この際、対象となる光学素子媒体のタイプに関する情報は、識別装置(10)内の記憶部(16)に記憶されてあっても良いし、サーバー側に記憶されている情報にアクセスする方法がとられても良い。
【0072】
また、識別装置(10)に対する選択情報の入力方法は、表示部(12)上に設けたタッチパネルによって行う方法などを用いることができるが、音声による入力、あるいはキーボードやマウスによる入力方法が用いられても何ら問題ない。
【0073】
また、撮像部(11)により、光学素子媒体(20)や光学素子媒体(20)が取り付けられた物品を撮像し、その特徴やユニークコード、ナンバリングなどを抽出することによって、選択情報の入力がなされても良い。
【0074】
選択された光学素子媒体(20)のタイプに応じて、表示部(12)によって表示されるべき表示部位(13)を決める表示部位選定(S2)がなされる。表示部位選定(S2)は、光学素子媒体(20)のタイプに応じて、予め設定されていることが望ましく、例えば、サーバー内に、光学素子媒体のタイプに紐付けされた情報として、複数の表示部位(13)、ならびに、表示する順番、表示時間等が格納され、サーバーにアクセスしながら識別装置(10)の操作を行ってもよいし、一旦、サーバー側から識別装置(10)内の記憶部(16)に関連情報を記憶させて、識別装置(10)を操作する方法がとられても良い。
【0075】
次いで、識別装置(10)の撮像部(11)ならびに表示部(12)を、光学素子媒体(20)に対して対向するように、識別装置設置(S3)が行われる。
【0076】
ここで、撮像部(11)から得られる光学素子媒体(20)と識別装置(10)との位置関係から、撮像位置確認(S4)を実施し、識別装置(10)の設置位置を移動することが好ましいと判断された場合には、ユーザー(30)に対し、移動方向指示(S5)が成される。
【0077】
移動方向指示(S5)の方法としては、識別装置(10)に第2の表示部を設けて、指示がなされても良いし、音声発生部(18)から指示がなされても良い。
【0078】
光学素子媒体(20)の撮像位置が適性であると確認(S4)されると、表示部位(13)を順次変化させて表示しながら光学素子媒体(20)の撮像(S6)が実施される。
【0079】
この時、撮像等が開始されることを、ユーザー(30)に対し、告知する手段がとられても何ら問題ない。
【0080】
撮像にあたっては、例えば、図6に示すにように、表示部位(13)を表示部位a(13a)から表示部位e(13e)に順次変化させながら、撮像を実施する。
【0081】
撮像された光学素子媒体(20)の画像における光学的特徴点を、例えば、輝度点(25)であるとした時、この輝度点(25)のエリアが、例えば図6に示すように輝度点a(25a)から輝度点e(25e)に順次変位して観察されることとなる。
【0082】
よって、表示部位a(13a)が表示(S8)された時の光学素子媒体(20)を撮像(S9)し、光学素子媒体(20)画像から抽出された光学的特徴点である輝度点a(25a)のエリアが算出(S10)されることで、表示部位aにおける撮像、ならびに輝度点aのエリア算出がなされる(S7)。
【0083】
同様に、表示部位b(13b)以下についても撮像、ならびにエリアの算出が実施(S11など)され、各表示部位(例えば、表示部位a〜表示部位e)における光学的特徴点(例えば、輝度点a〜輝度点e)の変化情報が収集される。
【0084】
光学的特徴点の変化情報としては、例えば、図7に示すように、表示部位変化方向(13M)に応じた、輝度点変位方向(25M)として認識される。
【0085】
ここで言う輝度点変位方向(25M)とは、必ずしも個々の位置情報をデジタル化した情報やベクトル情報等に変換された情報に限定されるものではなく、連続する画像情報として認識されてあっても良い。
【0086】
また、光学素子媒体(20)画像から得られる光学的特徴点は、必ずしも単一の輝度点(例えば、輝度点a、輝度点b、・・・)である必要はなく、絵柄の形状や濃淡、色相などの変化として捉えられてあっても何ら問題なく、光学特徴点変化情報は、必ずしも輝度点変位方向(25M)のような位置の変化情報に限定されるものではなく、色相の変化や、濃淡の変化、絵柄の像の形状変化として捉えたものであっても何ら問題ない。
【0087】
上述の様にして得られた光学的特徴点変化情報は、予め設定され記憶部(16)あるいはサーバーに格納されている変位予想情報(S15)と比較(S16)され、一致するかどうかの判別が実施される。
【0088】
光学的特徴点変化情報が、変位予想情報(S15)と一致した場合には、判別対象の光学素子媒体(20)が真正品(S17)であると判断され、ユーザー(30)に対して、真正品である旨を告知して、光学素子媒体(20)の判別作業を終了することができる。
【0089】
ユーザー(30)に対する告知方法は、表示部(12)や、第2の表示部、さらには音声発生部など任意の告知方法を採用することができ、これらの2つ以上の告知方法が併用されてあっても良い。
【0090】
また、光学的特徴点変化情報と変位予想情報(S15)が一致しない場合には、真正品で無い(S18)と判断して、真正品で無い旨を真正品の場合と同様の手段によってユーザー(30)に告知し、判別作業を終了しても良いし、再度、判別作業に戻っても良い。
【0091】
以上のように、本発明の判別方法を用いることにより、目視では真正品であるか否かの判定が困難な光学素子媒体に対し、特定の位置からの撮像を実施するだけの操作によって簡便に判定することが可能となる。