(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2019145039
(43)【公開日】20190829
(54)【発明の名称】自走式ロボットおよび自走式ロボットの制御方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20060101AFI20190802BHJP
【FI】
   !G05D1/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】2018031289
(22)【出願日】20180223
(71)【出願人】
【識別番号】506310865
【氏名又は名称】CYBERDYNE株式会社
【住所又は居所】茨城県つくば市学園南二丁目2番地1
(71)【出願人】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
【住所又は居所】茨城県つくば市天王台一丁目1番1
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】特許業務法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山海 嘉之
【住所又は居所】茨城県つくば市学園南二丁目2番地1 CYBERDYNE株式会社内
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301BB11
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG09
(57)【要約】
【課題】障害物を高精度に検知するために比較的高価な測距センサを必要とする課題があった。
【解決手段】時系列的に連続して撮像された画像に基づいて、照射領域の外側境界線の形状変化を検出する。具体的には、外側境界線のエッジ画像が時間列で光の形状変化が床面から所定高さ方向以上であれば自走式ロボットの走路上に障害物(物体や壁面)が存在すると判断する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律的にまたは外部操作に応じて床面を走行する自走式ロボットにおいて、
ロボット本体の周囲の複数方位のうち少なくとも走行方向を含む前記床面に対して、前記ロボット本体から照射領域の外側境界線までの距離が規定された所定形状の前記照射領域を形成する光を照射する光照射部と、
前記床面から所定の高さ位置に設けられ、前記床面に照射された前記照射領域の外側境界線が被写界深度内に位置するように合焦位置が設定され、前記照射領域を中心に前記ロボット本体の周囲の前記床面を撮像する床面撮像部と、
前記床面撮像部による時系列的に連続する撮像画像に基づいて、前記照射領域の外側境界線の形状変化を検出する境界線検出部と、
前記照射領域の外側境界線の形状変化に基づいて、前記ロボット本体の走路上の周囲環境を検知する環境検知部と、
前記環境検知部による検知結果に基づいて、前記ロボット本体の走路をリアルタイムで確保しながら走行状態を制御する走行制御部と
を備えることを特徴とする自走式ロボット。
【請求項2】
前記床面を含む前記ロボット本体の走行方向を撮像する走路撮像部をさらに備え、
前記環境検知部は、前記走路撮像部の撮像内容に基づいて、前記ロボット本体に生じる振動状態及び前記ロボット本体の走路上の路面状態を検知しながら、前記検知結果のうち通常の走行状態に影響を及ぼす検知誤差を校正して、前記ロボット本体の走路上の周囲環境を検知する
ことを特徴とする請求項1に記載の自走式ロボット。
【請求項3】
前記光照射部から照射される光の光量を制御する光制御部をさらに備え、
前記光制御部は、前記境界線検出部において前記床面撮像部の撮像結果から前記照射領域の外側境界線の形状変化が検出困難な場合に、前記光照射部から照射される光の強度を高めるように前記光照射部の光量を制御する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自走式ロボット。
【請求項4】
前記光制御部は、前記ロボット本体の走行速度が速くなるにつれて前記ロボット本体から前記照射領域の外側境界線までの距離が長くなるように、前記光照射部から照射される光の照射角を調整する
ことを特徴とする請求項3に記載の自走式ロボット。
【請求項5】
自律的にまたは外部操作に応じて床面を走行する自走式ロボットの制御方法において、
ロボット本体の周囲の複数方位のうち少なくとも走行方向を含む前記床面に対して、前記ロボット本体から照射領域の外側境界線までの距離が規定された所定形状の前記照射領域を形成する光を照射する第1ステップと、
前記床面に照射された前記照射領域の外側境界線が被写界深度内に位置するように合焦位置が設定され、前記照射領域を中心に前記ロボット本体の周囲の前記床面を撮像する第2ステップと、
前記第2ステップによる時系列的に連続する撮像画像に基づいて、前記照射領域の外側境界線の形状変化を検出する第3ステップと、
前記照射領域の外側境界線の形状変化に基づいて、前記ロボット本体の走路上の周囲環境を検知する第4ステップと、
前記第4ステップによる検知結果に基づいて、前記ロボット本体の走路をリアルタイムで確保しながら走行状態を制御する第5ステップと
を備えることを特徴とする自走式ロボットの制御方法。
【請求項6】
前記第4ステップでは、前記床面を含む前記ロボット本体の走行方向を撮像した撮像内容に基づいて、前記ロボット本体に生じる振動状態及び前記ロボット本体の走路上の路面状態を検知しながら、前記検知結果のうち通常の走行状態に影響を及ぼす検知誤差を校正して、前記ロボット本体の走路上の周囲環境を検知する
ことを特徴とする請求項5に記載の自走式ロボットの制御方法。
【請求項7】
前記第3ステップにおいて前記第2ステップによる撮像結果から前記照射領域の外側境界線の形状変化が検出困難な場合に、光照射部から照射される光の強度を高めるように前記光照射部の光量を制御する第6ステップをさらに備える
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の自走式ロボットの制御方法。
【請求項8】
前記第6ステップにおいて、前記ロボット本体の走行速度が速くなるにつれて前記ロボット本体から前記照射領域の外側境界線までの距離が長くなるように、前記光照射部から照射される光の照射角を調整する
ことを特徴とする請求項7に記載の自走式ロボットの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば空港等の施設内を自律移動可能な自走式ロボットに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動清掃ロボットなどの自律移動可能なロボットには、外部環境に対して自己の位置を推定すると同時に環境地図を作成するSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術が搭載されたものが数多く提案されている。
【0003】
このSLAM技術を用いた自律移動ロボットとしては、レーザレンジセンサ等の測距センサを用いて、高精度に自己の位置を推定しながら、実空間内に存在する物体の3次元位置を表現する環境地図を動的に生成することにより、自己の移動経路を特定して環境内を自律的に移動するものが一般的である(特許文献1参照)。
【0004】
また測距センサを用いない走行経路上の障害物判断方法として、撮像した画像における照射領域の上端部又は下端部の明度変化領域の高さ方向の幅に基づいて、自車両の前方に存在する障害物を検出するものが提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
さらに測距センサを用いない距離算出方法として、対象物にその上端部がかかるようにパルス光を投光し、このとき撮像される画像を検波して上端エッジを検出するとともに、特定発光状態ときに撮像される画像から、対象物の形状エッジを検出し、これら上端エッジ及び形状エッジに基づいて、三角測量の原理を用いて移動体と対象物との距離を算出するものが記載されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開WO2017/030188号公報
【特許文献2】特開2013−101432号公報
【特許文献3】特開2013−24636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1において、障害物検知に利用されるレーザレンジセンサや超音波センサは、自律移動ロボットの他の内部部品と比較して非常に高価であるため、量産化を図る上で極力搭載しないことが望ましい。
【0008】
また特許文献2による障害物判断方法は、測距センサを用いないものの自動車のような走行速度が比較的速いものを対象としているため、障害物の検出精度が粗く、走行速度が比較的緩やかな自律移動ロボットが周辺の微小な境界線を検出するものに適用することは不適当である。
【0009】
さらに特許文献3による距離算出方法では、移動体と対象物との相対的な位置関係が変動する場合であっても、高精度に両者間の距離を算出することが可能であるが、自動車のような比較的高速走行中に検出したエッジを基準とする三角測量による距離測定では、測定精度が粗く、また同期検波及びパルス光が必要な点で煩雑となる。
【0010】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、空港等の人混みの多い場所において徘徊する際に、照射光を撮像するだけで障害物や壁面をリアルタイムで高精度に検知することができる自走式ロボット及びその制御方法を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる課題を解決するため本発明においては、自律的にまたは外部操作に応じて床面を走行する自走式ロボットにおいて、ロボット本体の周囲の複数方位のうち少なくとも走行方向を含む床面に対して、ロボット本体から照射領域の外側境界線までの距離が規定された所定形状の照射領域を形成する光を照射する光照射部と、床面から所定の高さ位置に設けられ、床面に照射された照射領域の外側境界線が被写界深度内に位置するように合焦位置が設定され、照射領域を中心にロボット本体の周囲の床面を撮像する床面撮像部と、床面撮像部による時系列的に連続する撮像画像に基づいて、照射領域の外側境界線の形状変化を検出する境界線検出部と、照射領域の外側境界線の形状変化に基づいて、ロボット本体の走路上の周囲環境を検知する環境検知部と、環境検知部による検知結果に基づいて、ロボット本体の走路をリアルタイムで確保しながら走行状態を制御する走行制御部とを備えるようにした。
【0012】
この結果、本発明の自走式ロボットでは、比較的高価なレーザレンジセンサや超音波センサを搭載することなく、照射光を撮像するだけで障害物や壁面をリアルタイムで高精度に検知することができる。
【0013】
また本発明においては、床面を含むロボット本体の走行方向を撮像する走路撮像部をさらに備え、環境検知部は、走路撮像部の撮像内容に基づいて、ロボット本体に生じる振動状態及びロボット本体の走路上の路面状態を検知しながら、検知結果のうち通常の走行状態に影響を及ぼす検知誤差を校正して、ロボット本体の走路上の周囲環境を検知するようにした。
【0014】
この結果、本発明の自走式ロボットでは、ロボット本体の走路が坂道やうねりが生じている場合、ロボット本体が外部衝撃等によって振動を受けている場合には、床面における照射領域の外側境界線が視写界深度外になる可能性があるため、それを撮像により補正すれば検知精度を保つことが可能となる。
【0015】
さらに本発明においては、光照射部から照射される光の光量を制御する光制御部をさらに備え、光制御部は、境界線検出部において床面撮像部の撮像結果から照射領域の外側境界線の形状変化が検出困難な場合に、光照射部から照射される光の強度を高めるように光照射部の光量を制御するようにした。
【0016】
この結果、本発明の自走式ロボットでは、ロボット本体の走路上の周囲環境が比較的明るい場所のとき、照射領域の外側境界線が画像認識可能なレベルまで照射光の光強度を高めることができる。
【0017】
さらに本発明においては、光制御部は、ロボット本体の走行速度が速くなるにつれてロボット本体から照射領域の外側境界線までの距離が長くなるように、光照射部から照射される光の照射角を調整するようにした。
【0018】
この結果、本発明の自走式ロボットでは、ロボット本体の走路上に障害物や壁面が存在する場合に、走行速度が速いために停止や回避が困難となるのを未然に防止することが可能となる。
【0019】
さらに本発明においては、自律的にまたは外部操作に応じて床面を走行する自走式ロボットの制御方法において、ロボット本体の周囲の複数方位のうち少なくとも走行方向を含む床面に対して、ロボット本体から照射領域の外側境界線までの距離が規定された所定形状の照射領域を形成する光を照射する第1ステップと、床面に照射された照射領域の外側境界線が被写界深度内に位置するように合焦位置が設定され、照射領域を中心にロボット本体の周囲の床面を撮像する第2ステップと、第2ステップによる時系列的に連続する撮像画像に基づいて、照射領域の外側境界線の形状変化を検出する第3ステップと、照射領域の外側境界線の形状変化に基づいて、ロボット本体の走路上の周囲環境を検知する第4ステップと、第4ステップによる検知結果に基づいて、ロボット本体の走路をリアルタイムで確保しながら走行状態を制御する第5ステップとを備えるようにした。
【0020】
この結果、本発明の自走式ロボットでは、比較的高価なレーザレンジセンサや超音波センサを搭載することなく、照射光を撮像するだけで障害物や壁面をリアルタイムで高精度に検知することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、空港等の人混みの多い場所において徘徊する際に、照射光を撮像するだけで障害物や壁面をリアルタイムで高精度に検知することができる自走式ロボット及びその制御方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】自走式ロボットの外観構成を示す斜視図である。
【図2】自走式ロボットの機能構成を示すブロック図である。
【図3】照射領域のその他の例を示す図である。
【図4】統括制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】境界線検出の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】境界線検出の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(1)本実施の形態による自走式ロボットの構成
本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。図1(A)及び(B)は、自走式ロボット1の外観構成を示す斜視図である。
【0024】
自走式ロボット1は、搬送用ロボット、清掃用ロボット、分身ロボットなどであってもよいが、本実施の形態ではコミュニケーション用ロボット(スタッフロボット)を例に説明する。自走式ロボット1は、自己の移動経路を自律的にまたは外部操作に応じて走行する。
【0025】
自走式ロボット1の本体下部には、前後方向中央位置の左右に一対の駆動輪11a、11bが設けられ、更に、自走式ロボット1の走行に応じて走行方向又は当該走行方向と交差する方向に回転自在なオムニホイール12a、12bを備える。左右の駆動輪11a、11bはそれぞれ駆動モータ13a、13b(図2参照)によってそれぞれ独立して回転駆動し、駆動輪11a、11bの前進回転或いは後進回転によって前進及び後進し、駆動輪11a、11bの前進回転速度に差を与えることによって前進しつつ右或いは左に走行する。また、駆動輪11a、11bを互いに逆方向に回転駆動することによって自走式ロボット1がスピン、即ちその位置で方向転換する。
【0026】
自走式ロボット1の本体上端部には、表示部14、トレイ15が設けられている。表示部14には、メニュー画面、アイコンなどユーザの操作入力に必要な画面や、情報処理の結果である環境地図画像などを機能に応じて表示する。さらにユーザが操作入力を行うため画面に重畳してタッチパネルが設けられ、GUI(Graphical User Interface)をオンスクリーン表示する。ユーザはGUIを操作するように、タッチパネル上を手指で触れたり手指を滑らせたりすることにより、情報の入力操作を行う。トレイ15には、荷物、利用者の所持品などを載置する。
【0027】
自走式ロボット1の本体上部には、光照射部16が設けられている。光照射部16は、自走式ロボット1が走行する床面の全周囲に円環形状の照射領域17を形成するように光を照射する。自走式ロボット1と照射領域17の外側境界線までの距離は予め規定されている。
【0028】
照射領域17は、自走式ロボット1の全周囲の円環形状に限定せず、例えば、図3(A)に示すように自走式ロボット1の進行方向にのみ照射領域17を円弧環形状に形成してもよい。更に、図3(B)に示すように、自走式ロボット1の進行方向に照射領域17を直角に直線形状に形成してもよい。光照射部16から照射される光は、本実施形態では赤外線光と可視光とを組合せてなるが、これに限定せず、ある程度の光強度は必要であるが可視光のみでもよく、レーザ光などでもよい。
【0029】
本実施形態では、照射領域17を撮像し、撮像した照射領域17の外側境界線のエッジ画像の形状変化を検出して、自走式ロボット1の走行方向に存在する障害物をリアルタイムで検知する。
【0030】
図2は、自走式ロボット1の機能構成を示すブロック図である。統括制御部20はコンピュータを主体として構成され、自走式ロボット1の全体の制御を司る。統括制御部20には、表示部14、光照射部16、赤外線センサ21、撮像カメラ22、RGB−Dセンサ23、スピーカ24、情報通信部25、目標走行経路記憶部26、走行制御部27が接続される。
【0031】
赤外線センサ21は、赤外領域の光(赤外線)を受光し電気信号に変換して、必要な情報を取り出す。光照射部16から照射される光が赤外線光である場合に、赤外線センサ21で照射領域17を中心に自走式ロボット1の周囲の床面を撮像する。
【0032】
撮像カメラ22は、床面から所定の高さ位置に設けられ、床面に照射された照射領域17の外側境界線が被写界深度内に位置するように合焦位置が設定され、照射領域17を中心に自走式ロボット1の周囲の床面を撮像する。撮像カメラ22は、固体撮像デバイスとして、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサなどを備える。
【0033】
RGB−Dセンサ23は、RGBカラーカメラ機能に加えて、対象物までの距離を計測できる深度センサを有し、対象物の3次元スキャンを行うことができる。スピーカ24は、各種の案内情報や警告情報などを音声によって出力する。
【0034】
情報通信部25は、統括制御部20の制御に応じて、図示省略したセンターシステムとの間で、環境地図のデータや各種制御データを無線により送受信する。目標走行経路記憶部26は、予め設定された走行経路情報を記憶する。
【0035】
走行制御部27は、統括制御部20による処理結果に基づいて、自走式ロボット1の走路をリアルタイムで確保しながら走行状態を制御する。走行制御部27には、モータドライバ28a、28bを介して駆動モータ13a、13bが接続される。走行制御部27は、走行経路情報に応じて駆動モータ13a、13bの回転を制御し、左右の駆動輪11a、11bを駆動する。
【0036】
(2)本実施の形態による自走式ロボットの走行制御
図4は、統括制御部20の処理手順を示すフローチャートである。なお、このフローチャートで示したプログラムを、CPU、メモリなどを備えたコンピュータにより実行することができる。全部の処理、または一部の処理をハードロジック回路により実現してもよい。更に、このプログラムは、予め自走式ロボット1の記憶媒体に格納して提供することができる。あるいは、独立した記憶媒体にプログラムを格納して提供したり、情報通信部25を介してネットワーク回線によりプログラムを自走式ロボット1の記憶媒体に記録して格納することもできる。データ信号(搬送波)などの種々の形態のコンピュータ読み込み可能なコンピュータプログラム製品として供給してもよい。
【0037】
図4のステップS31では、統括制御部20は、光照射部16により、自走式ロボット1の本体の周囲の複数方位のうち少なくとも走行方向を含む床面に対して、自走式ロボット1の本体から照射領域17の外側境界線までの距離が規定された円環形状の照射領域17を形成するように光を照射する。そして、統括制御部20は、自走式ロボット1の走行速度が速くなるにつれて自走式ロボット1から照射領域17の外側境界線までの距離が長くなるように、光照射部16より照射される光の照射角を調整する。次に、ステップS32へ進む。
【0038】
ステップS32では、統括制御部20は、撮像カメラ22により、照射領域17を中心に自走式ロボット1の周囲の床面を時系列的に連続して撮像する。撮像カメラ22は、床面から所定の高さ位置に設けられ、床面に照射された照射領域17の外側境界線が被写界深度内に位置するように合焦位置が設定されている。次に、ステップS33へ進む。
【0039】
ステップS33では、統括制御部20は、撮像カメラ22によって時系列的に連続して撮像された画像に基づいて、照射領域17の外側境界線の形状変化を検出する境界線検出処理を実行する。この境界線検出処理の詳細については図5を参照して後述する。この境界線検出処理で、照射領域17の外側境界線の形状変化が光量等の問題で検出困難な場合はステップS34へ進む。
【0040】
ステップS34では、統括制御部20は、光照射部16から照射される光の強度を高めるように光照射部16の光量を制御する。その後、ステップS31の処理に戻る。
【0041】
ステップS33の境界線検出処理において、照射領域17の外側境界線の形状変化が可能であった場合はステップS35へ進む。
【0042】
ステップS35では、統括制御部20は、RGB−Dセンサ23によって自走式ロボット1の走行方向の床面を撮像する。次に、ステップS36へ進む。
【0043】
ステップS36では、統括制御部20は、走行方向の床面の撮像内容に基づいて、自走式ロボット1に生じる振動状態及び自走式ロボット1の走路上の路面状態を検知しながら、この検知結果のうち通常の走行状態に影響を及ぼす検知誤差を校正して、自走式ロボット1の走路上の周囲環境を検知する。具体的には、ロボット本体の走路が坂道やうねりが生じて、ロボット本体が外部衝撃等によって振動を受けている場合には、床面における照射領域17の外側境界線が被写界深度外にならないように、撮像カメラ22の合焦位置を設定する。次に、ステップS37へ進む。
【0044】
ステップS37では、統括制御部20による処理結果に基づいて、走行制御部27は自走式ロボット1の走路をリアルタイムで確保しながら走行状態を制御する。
以下、ステップS31〜ステップS37を繰り返して処理することにより、自走式ロボット1の走行を制御する。
【0045】
次に、図5を参照して境界線検出処理について説明する。なお、このフローチャートで示したプログラムを、CPU、メモリなどを備えたコンピュータにより実行することができる。全部の処理、または一部の処理をハードロジック回路により実現してもよい。更に、このプログラムは、予め自走式ロボット1の記憶媒体に格納して提供することができる。あるいは、独立した記憶媒体にプログラムを格納して提供したり、情報通信部25を介してネットワーク回線によりプログラムを自走式ロボット1の記憶媒体に記録して格納することもできる。データ信号(搬送波)などの種々の形態のコンピュータ読み込み可能なコンピュータプログラム製品として供給してもよい。
【0046】
図5のステップS331では、統括制御部20は、撮像カメラ22によって時系列的に連続して撮像された画像に基づいて、照射領域17の外側境界線の形状変化を検出する。具体的には、外側境界線のエッジ画像が時間列で光の形状変化が床面から高さ方向にXcm以上であるかを検出する。Xcmは例えば1cmであり、Xcm以上であれば自走式ロボット1の走路上に障害物(物体や壁面)が存在すると判断する。光の形状変化がXcm以上であればステップS332へ進む。なお、照射領域17の外側境界線の形状変化の検出が光量等の問題で検出困難であった場合はステップS34へ進む。
【0047】
ステップS332では、統括制御部20は、自走式ロボット1の車輪(駆動輪11a、11b、オムニホイール12a、12b)が障害物を踏む可能性があるかを判定する。具体的には、自走式ロボット1の走路上に障害物が存在し、自走式ロボット1が走行を続けた場合に、自走式ロボット1の車輪が障害物の位置に合致する可能性があるかを判定する。自走式ロボット1の車輪が障害物を踏む可能性が有ると判定された場合は、ステップS333へ進む。踏む可能性が無ければ、ステップS334へ進む。
【0048】
ステップS333では、統括制御部20は、走行制御部27に対して、自走式ロボット1を停止させるか、もしくは迂回して走行するかを指示する。なお、停止した場合は障害物が除去された後に、または外部操作により走行方向が変更された後に、再び自律的に走行を開始する。
【0049】
ステップS334では、統括制御部20は、撮像カメラ22によって時系列的に連続して撮像された画像に基づいて、照射領域17の外側境界線の形状変化を検出する。具体的には、外側境界線のエッジ画像が時間列で光の形状変化が床面から高さ方向にYcm以上であるかを検出する。Ycmは例えば2cmであり、自走式ロボット1が走行可能な障害物の高さの閾値である。光の形状変化がYcm以上であればステップS335へ進む。なお、照射領域17の外側境界線の形状変化の検出が光量等の問題で検出困難であった場合はステップS34へ進む。
【0050】
ステップS335では、統括制御部20は、光の形状変化を検出開始した位置から進行方向にZcm進む。Zcmは例えば10cmであり、障害物へ接近するまでの距離である。障害物へ接近したらステップS333へ進む。
【0051】
ステップS331で、光の形状変化が床面から高さ方向にXcm以上でない場合や、もしくはステップS334で光の形状変化が床面から高さ方向にYcm以上でない場合は、障害物が検出されなかった場合であり、境界線検出処理を終了する。
【0052】
図6(A)〜(D)は、境界線検出の状態を示す図である。各図において(a1)〜(d1)は、照射領域17と障害物18の位置関係を、(a2)〜(d2)は、照射領域17の外側境界線における形状変化の検出状態を示すものである。
【0053】
図6(A)に示すように、障害物18に照射領域17が達していない段階では、形状変化が認められない。図6(B)に示すように、障害物18に照射領域17が達し始めた段階では、時間t1の経過とともに形状変化(約0.5cm)が検出される。図6(C)に示すように、障害物18に照射領域17が完全に達した段階では、時間t2の経過とともに閾値を終える形状変化(約2.0cm以上)が検出される。図6(D)に示すように、照射領域17が障害物18を超えると、時間t3の経過とともに形状変化の検出はなくなる。
【0054】
(3)本実施の形態による自走式ロボットの動作及び効果
以上説明した実施形態によれば、自律的にまたは外部操作に応じて床面を走行する自走式ロボット1は、ロボット本体の周囲の複数方位のうち少なくとも走行方向を含む床面に対して、光照射部16を用いて、ロボット本体から照射領域17の外側境界線までの距離が規定された所定形状の照射領域17を形成する光を照射する。
【0055】
これと同時に、自走式ロボット1は、床面から所定の高さ位置に設けられ、床面に照射された照射領域17の外側境界線が被写界深度内に位置するように合焦位置が設定された床面撮像部(撮像カメラ22、ステップS32)を用いて、照射領域17を中心にロボット本体の周囲の床面を撮像する。
【0056】
このように自走式ロボット1は、床面撮像部(撮像カメラ22、ステップS32)による時系列的に連続する撮像画像に基づいて、照射領域17の外側境界線の形状変化を境界線検出部(撮像カメラ22、ステップS33)において検出した後、当該照射領域17の外側境界線の形状変化に基づいて、ロボット本体の走路上の周囲環境を環境検知部(撮像カメラ22、RGB−Dセンサ23、ステップS36)において検知する。
【0057】
そして自走式ロボット1は、環境検知部(撮像カメラ22、RGB−Dセンサ23、ステップS36)による検知結果に基づいて、走行制御部27においてロボット本体の走路をリアルタイムで確保しながら走行状態を制御する。
【0058】
これにより、自走式ロボット1では、比較的高価なレーザレンジセンサや超音波センサを搭載することなく、照射光を撮像するだけで障害物や壁面をリアルタイムで高精度に検知することができる。
【0059】
また自走式ロボット1において、環境検知部(撮像カメラ22、RGB−Dセンサ23、ステップS36)は、床面を含むロボット本体の走行方向を撮像する走路撮像部(RGB−Dセンサ23、ステップS35)の撮像内容に基づいて、ロボット本体に生じる振動状態及びロボット本体の走路上の路面状態を検知しながら、検知結果のうち通常の走行状態に影響を及ぼす検知誤差を校正して、ロボット本体の走路上の周囲環境を検知する。
これにより、自走式ロボット1では、ロボット本体の走路が坂道やうねりが生じて、ロボット本体が外部衝撃等によって振動を受けている場合には、床面における照射領域17の外側境界線が被写界深度外になる可能性があるが、これを補正することにより検知精度を保つことが可能になる。
【0060】
さらに自走式ロボット1において、光照射部16から照射される光の光量を制御する光制御部(ステップS34)は、床面撮像部(撮像カメラ22、ステップS32)の撮像結果から照射領域17の外側境界線の形状変化が検出困難な場合に、光照射部16から照射される光の強度を高めるように光照射部16の光量を制御する。これにより、ロボット本体の走路上の周囲環境が比較的明るい場所のとき、照射領域17の外側境界線が画像認識可能なレベルまで照射光の光強度を高めることができる。
【0061】
さらに自走式ロボット1において、光制御部(ステップS31)は、ロボット本体の走行速度が速くなるにつれてロボット本体から照射領域17の外側境界線までの距離が長くなるように、光照射部16から照射される光の照射角を調整する。これにより、ロボット本体の走路上に障害物(物体や壁面)が存在する場合に、走行速度が速いために停止や回避が困難となるのを未然に防止することが可能になる。
【0062】
(4)他の実施の形態
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限り、本発明の技術思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【0063】
光照射部16から照射される光の種類は、赤外線光と可視光の組合せであってもよく、それなりの光強度必要は必要であるが可視光のみ適用するようにしてもよい。またレーザ光でもよい。これに対応して床面撮像部は、赤外線光の場合は、赤外線センサ、可視光の場合は、撮像カメラ(CMOSセンサ、CCDセンサ)を適用してもよい。
【0064】
光照射部16から照射される光の線幅は、境界線の形状変化が読み取れるなら細い幅が良い。例えば、光線幅内に小石等の小さい物体が入った場合に認識困難になるためである。境界線検出処理において、外側境界線の抽出は、エッジ画像(境界線)の時間列で形状変化を判断する。この場合、床面から例えば2cmを閾値とし、2cmが走行判定の標準基準となる。
【0065】
環境検知部や走行制御部は、境界線の形状変化とロボット本体の走行速度及び方向とから、障害物のサイズ(大きさ、形)を認識してもよい。
【0066】
RGB−Dセンサ23は、走路撮像部の撮像内容に基づいて、ロボット本体に生じる振動状態、及びロボット本体の走路上の路面状態を検知してもよい。
【符号の説明】
【0067】
1……自走式ロボット、11a、11b……駆動輪、12a、12b……オムニホイール、13a、13b……駆動モータ、14……表示部、15……トレイ、16……光照射部、17……照射領域、18……障害物、20……統括制御部、21……赤外線センサ、22……撮像カメラ、23……RGB−Dセンサ、24……スピーカ、25……情報通信部、26……目標走行経路記憶部、27……走行制御部。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】