前記導光体の背面に対向して配置されて、前記導光体の背面から外部に出射された光を前記導光体の背面に向けて反射するリフレクタを備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用灯具の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す車両用灯具の構成を示す分解斜視図である。
【図3】図1中に示す線分A−Aによる車両用灯具の鉛直断面図である。
【図4】図1中に示す囲み部分Bにおける車両用灯具の水平断面図である。
【図5】図1中に示す線分C−Cによる車両用灯具の鉛直断面図である。
【図6】図1中に示す囲み部分Dにおける車両用灯具の水平断面図である。
【図7】図1中に示す線分E−Eによる車両用灯具の鉛直断面図である。
【図8】図1中に示す囲み部分Fにおける車両用灯具の水平断面図である。
【図9】図1に示す車両用灯具の一部を拡大して示す鉛直断面図である。
【図10】図1に示す車両用灯具の一部を拡大して示す水平断面図である。
【図11】複数の反射部と複数の拡散部とを同じ間隔で並べた場合を示し、(a)はその導光体の正面及び断面を示す模式図、(b)はそのリフレクタの正面及び断面を示す模式図である。
【図12】複数の反射部と複数の拡散部とを異なる間隔で並べた場合を示し、(a)はその導光体の正面及び断面を示す模式図、(b)はそのリフレクタの正面及び断面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0012】
本発明の一実施形態として、例えば図1〜図10に示す車両用灯具1について説明する。
なお、図1は、車両用灯具1の構成を示す斜視図である。図2は、車両用灯具1の構成を示す分解斜視図である。図3は、図1中に示す線分A−Aによる車両用灯具1の鉛直断面図である。図4は、図1中に示す囲み部分Bにおける車両用灯具1の水平断面図である。図5は、図1中に示す線分C−Cによる車両用灯具1の鉛直断面図である。図6は、図1中に示す囲み部分Dにおける車両用灯具1の水平断面図である。図7は、図1中に示す線分E−Eによる車両用灯具1の鉛直断面図である。図8は、図1中に示す囲み部分Fにおける車両用灯具1の水平断面図である。図9は、車両用灯具1の一部を拡大して示す鉛直断面図である。図10は、車両用灯具1の一部を拡大して示す水平断面図である。
【0013】
また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を車両用灯具の前後方向(長さ方向)、Y軸方向を車両用灯具の左右方向(幅方向)、Z軸方向を車両用灯具1の上下方向(高さ方向)として、それぞれ示すものとする。
【0014】
本実施形態の車両用灯具1は、例えば、車両(図示せず。)の前端側の両コーナー部(本実施形態では右前端側のコーナー部)に搭載される方向指示器に本発明を適用したものである。
【0015】
なお、以下の説明において、「前」「後」「左」「右」「上」「下」との記載は、特に断りのない限り、車両用灯具1を正面(車両前方)から見たときのそれぞれの方向を意味するものとする。
【0016】
具体的に、この車両用灯具1は、図1〜図8に示すように、光源2と、導光体3と、ブラケット4と、エクステンション5とを備え、ブラケット4の背面(後面)側に光源2が取り付けられ、ブラケット4の正面(前面)側に導光体3及びエクステンション5が取り付けられた構造を有している。
【0017】
また、この車両用灯具1は、図示を省略するものの、車両用前照灯(ヘッドランプ)や車幅灯(ポジションランプ)、昼間点灯ランプ(DRL)と共に、灯体の内側に収容された状態で、車両の右前端側のコーナー部に配置されている。
【0018】
光源2は、例えば橙色光(以下、単に光という。)を発するLEDからなる。また、LEDには、車両照明用の高出力(高輝度)タイプのものを使用している。光源2は、この光源2を駆動する駆動回路が設けられた回路基板6の正面側に実装されて、光を前方(+X軸方向)に向けて放射状に出射する。
【0019】
また、回路基板6の背面側には、光源2が発する熱を放熱させるヒートシンク7が取り付けられている。ヒートシンク7は、熱電導性の高い金属材料や絶縁樹脂材料、又はそれらの複合材料からなる。ヒートシンク7の正面には、回路基板6を固定するための一対の位置決めピン8a及びネジ穴8bが設けられている。ヒートシンク7の背面には、放熱性を高めるための複数のフィン部7aが幅方向(Y軸方向)に並んで設けられている。
【0020】
回路基板6は、一対の位置決めピン8a及びネジ穴8bの各々に対応して、光源2を挟んだ幅方向の両側に、一対の位置決め孔9a及び貫通孔9bを有している。回路基板6は、位置決め孔9aに位置決めピン8aを貫通させると共に、貫通孔9bを通してネジ穴8bにビス(図示せず。)を螺合することによって、ヒートシンク7の正面に固定されている。また、回路基板6は、ヒートシンク7の正面に設けられた熱伝導グリス(図示せず。)を介してヒートシンク7とは電気的に絶縁された状態で取り付けられている。ヒートシンク7は、回路基板6が取り付けられた状態で、後述するブラケット4の背面側に取り付けられる。
【0021】
導光体3は、車両用灯具1のインナーレンズとして、光源2の前方に配置された長尺(本実施形態では棒状)に形成されている。また、導光体3は、光源2と対向する位置から、前方に向かって延長された後、湾曲しながら車両幅方向(Y軸方向)の外側(−Y軸側)から内側(+Y軸側)に向かって延長された形状を有している。また、導光体3は、その横断面形状(軸線方向に対して直交する断面形状)が軸線方向に亘って略円形状となっている。なお、導光体3には、例えばポリカーボネイトやアクリル等の透明樹脂やガラスなど、空気よりも屈折率の高い材質のものを用いることができる。
【0022】
導光体3では、光源2から出射された光を基端側の一端面(以下、入射面という。)3aから入射し、その内部で反射を繰り返しながら、先端側に向けて光を導光させると共に、その背面3b側に設けられた複数の反射部10で反射された光を正面3c側から出射することによって、その正面3c側に設けられた発光部11を発光させる。
【0023】
複数の反射部10は、導光体3の車両幅方向の外側から内側に向かって延長された部分の所定の領域(以下、発光領域Lという。)に亘って、導光体3の背面3b側に周期的に並んで設けられている。
【0024】
複数の反射部10は、導光体3の背面3b側の中央部を上下方向(Z軸方向)に所定の寸法で切り欠くプリズムカットからなる。具体的に、このプリズムカットは、第1のカット面10aと第2のカット面10bと第3のカット面10cとを含み、これら第1のカット面10aと第2のカット面10bと第3のカット面10cとが導光体3の軸線方向に繰り返し並んで設けられた形状を有している。
【0025】
すなわち、第1のカット面10aは、導光体3の正面3c側に向かって傾斜するように切り欠かれている。第2のカット面10bは、第1のカット面10aの頂部側に連続して導光体3の正面3cに対して平行となるように切り欠かれている。第3のカット面10cは、互いに隣り合う第1のカット面10aの底部側と第2のカット面10bとを連結するように、第1のカット面10aよりも急峻な角度で切り欠かれている。
【0026】
なお、第2のカット面10bについては、反射部10の一部において省略した構成としてもよい。その場合、互いに隣り合う第1のカット面10aの底部側と第3のカット面10cとが連結されることになる。
【0027】
反射部10は、導光体3の内部で導光される光を第1のカット面10aにより導光体3の正面3c側に向けて反射する。一方、反射部10は、導光体3の背面3b側から入射した光を第2のカット面10bにより導光体3の正面3c側に向けて透過する。
【0028】
発光部11は、導光体3の正面3c側の発光領域Lをライン状に発光させる発光面11aを有している。発光面11aは、導光体3の正面3c側が上下方向において略円弧状の凸面形状を有することから、この正面3cから光を上下方向に拡散しながら出射する。
【0029】
また、導光体3は、この導光体3の上面側から背面側に向かって延出された延出部12を有している。延出部12は、少なくとも発光部11に対応した領域(発光領域L)に亘って、略矩形平板状に連続して設けられている。本実施形態では、発光領域Lよりも幅広となるように、導光体3の車両幅方向の外側から内側に向かって延長された部分のほぼ全域に亘って延出部12が設けられている。
【0030】
ブラケット4は、長尺の樹脂成形体からなり、導光体3の背面3b側に対向して配置されている。ブラケット4は、導光体3、エクステンション5及びヒートシンク7が取り付けられる第1の取付部13と、導光体3の延出部12(導光体3の一部)が保持される保持部14と、導光体3の背面3bから外部に出射された光を導光体3の背面3bに向けて反射するリフレクタ15とを有している。
【0031】
第1の取付部13は、車両幅方向の外側に位置して、位置決め孔16a及び貫通孔16bが設けられた一対のフランジ部16と、ネジ穴17aが設けられた一対のボス部17とを有している。
【0032】
これに対応して、導光体3の基端側には、位置決め孔18a及び貫通孔18bを含む一対のフランジ部18が車両幅方向に突出して設けられている。エクステンション5は、車両幅方向の外側に位置して、位置決め孔19a及び貫通孔19bが設けられた一対のフランジ部19を有している。また、エクステンション5は、内側のフランジ部19の先端から前方に向かって延長された後、屈曲しながら更に内側に向かって延長された延長フランジ部20を有している。延長フランジ部20には、一対の貫通孔20aが設けられている。
【0033】
一方、ヒートシンク7の正面には、位置決めピン21a及びネジ穴21bを含む一対の台座部21が、回路基板6を挟んだ車両幅方向の両側から前方に突出して設けられている。
【0034】
第1の取付部13では、導光体3のフランジ部18をブラケット4のフランジ部16とエクステンション5のフランジ部19とで前後方向(X軸方向)に挟み込んだ状態とする。この状態で、各フランジ部18,16,19の位置決め孔18a,16a,19aに、台座部21の位置決めピン21aを貫通させた状態で、各フランジ部18,16,19の貫通孔18b,16b,19bを通して台座部21のネジ穴21bにビス22aを螺合する。また、第1の取付部13では、延長フランジ部20の貫通孔20aを通してボス部17のネジ穴17aにビス22bを螺合する。これにより、ブラケット4の背面側にヒートシンク7と、ブラケット4の正面側に導光体3及びエクステンション5とが一体に取り付けられている。
【0035】
保持部14は、ブラケット4の正面側の上部に延出部12が差し込まれる溝部14aを有している。溝部14aは、少なくとも発光部11に対応した領域(発光領域L)に亘って延出部12を保持するように、ブラケット4の長手方向(Y軸方向)に連続して設けられている。本実施形態では、延出部12を保持する全域に亘って延出部12が設けられている。
【0036】
リフレクタ15は、溝部14a(保持部14)の下方に位置して、導光体3の背面3bから外部に出射された光を導光体3の背面3bに向けて反射する反射面15aを有している。反射面15aは、例えばアルミニウムなどの金属反射膜をブラケット4の導光体3の背面3bと対向する面に設けることによって形成されている。
【0037】
また、反射面15aは、少なくとも発光部11に対応した領域(発光領域L)に亘って導光体3の背面3bと対向するように、ブラケット4の長手方向に連続して設けられている。本実施形態では、発光領域Lよりも幅広となるように、ブラケット4の長手方向のほぼ全域に亘って反射面15aが設けられている。
【0038】
さらに、反射面15aは、導光体3の背面3b側が上下方向において略円弧状の凸面形状を有することから、この導光体3の背面3bに沿って、上下方向において略円弧状の凹面形状を有している。これにより、リフレクタ15は、この反射面15aに入射した光を前方に向けて上下方向に集光しながら反射する。
【0039】
リフレクタ15は、導光体3の背面3bから外部に出射された光を導光体3の背面3bに向けて拡散しながら反射する複数の拡散部23を有している。複数の拡散部23は、少なくとも発光部11に対応した領域(発光領域L)に亘って、ブラケット4の長手方向に周期的に並んで設けられている。本実施形態では、発光領域Lよりも幅広となるように、ブラケット4の長手方向のほぼ全域に亘って拡散部23が設けられている。
【0040】
複数の拡散部23は、反射面15a(リフレクタ15)の正面側を上下方向に所定の寸法T1で切り欠く溝部からなる。具体的に、この溝部は、上下方向において略円弧状の凹面形状を有している。これにより、拡散部23は、図9に示すように、この溝部に入射した光を前方に向けて上下方向に集光しながら反射する。また、拡散部23の上下方向における焦点(集光点)Fは、導光体3の中心軸Sよりも前方に位置している。
【0041】
また、溝部は、図10に示すように、幅方向において略円弧状の凹面形状を有している。これにより、拡散部23は、この溝部に入射した光を前方に向けて幅方向に拡散しながら反射する。
【0042】
エクステンション5は、図1〜図8に示すように、長尺の樹脂成形体からなり、その正面側が黒色に塗装された加飾面を構成している。エクステンション5は、少なくとも発光部11及び延出部12を除く導光体3の一部を覆うように、導光体3の正面3c側に配置されている。
【0043】
具体的に、このエクステンション5は、導光体3の基端側を覆う第1の遮蔽部5aと、発光部11及び延出部12を外部に露出させる開口部5bと、導光体3の先端側を覆う第2の遮蔽部5cとを有している。
【0044】
第1の遮蔽部5aは、導光体3の基端側から導光体3の湾曲した部分を覆うことによって、この部分からの漏れ光を遮光している。開口部5bは、導光体3の発光領域Lを区画している。第2の遮蔽部5cは、導光体3の先端側を覆うことによって、この部分からの漏れ光を遮光している。
【0045】
エクステンション5は、ブラケット4の正面側の下部に設けられた溝部4aに、その背面側に設けられた段差部5dが差し込まれることによって、ブラケット4の正面側に保持されている。
【0046】
ブラケット4は、導光体3及びエクステンション5が取り付けられる第2の取付部24を有している。第2の取付部24は、車両幅方向の外側に位置して、位置決めピン25a及びネジ穴25bが設けられたフランジ部25と、車両幅方向の内側に位置して、ネジ穴26aが設けられたボス部26とを有している。
【0047】
これに対応して、エクステンション5は、車両幅方向の外側に位置して、位置決め孔27a及び貫通孔27bが設けられたフランジ部27と、車両幅方向の内側に位置して、貫通孔28aが設けられたフランジ部28とを有している。導光体3は、その先端側に貫通孔29aが設けられたフランジ部29を有している。
【0048】
第2の取付部24では、ブラケット4のフランジ部25とエクステンション5のフランジ部27とを上下方向に重ね合わせると共に、導光体3のフランジ部29をブラケット4のフランジ部25とエクステンション5のフランジ部29とで上下方向に挟み込んだ状態とする。この状態で、フランジ部27の位置決め孔27aにフランジ部25の位置決めピン25aを貫通させると共に、フランジ部27の貫通孔27bを通してフランジ部25のネジ穴25bにビス30aを螺合する。また、各フランジ部28,29の貫通孔28a,29aを通してボス部26のネジ穴26aにビス30bを螺合する。これにより、ブラケット4の正面側に導光体3及びエクステンション5とが一体に取り付けられている。
【0049】
車両用灯具1は、ブラケット4の背面側の略中央部及びエクステンション5のフランジ部29側に位置して、この車両用灯具1を灯体の内部に取り付けるための取付用フランジ部31a,31bを有している。なお、車両用灯具1では、このような取付用フランジ部31a,31bの配置に限らず、取付用フランジ部の配置や数を適宜変更することが可能である。
【0050】
ところで、本実施形態の車両用灯具1では、図4〜図8に示すように、導光体3の軸線方向において複数の反射部10が一定の間隔で並んで配置されると共に、当該反射部10により反射されて導光体3の正面3c側から出射される光の光量が、導光体3の基端側から先端側に向かって漸次大きくなるように調整されている。
【0051】
具体的に、本実施形態の車両用灯具1では、導光体3の基端側から先端側に向かって、反射部10を構成するプリズムカットの深さDが漸次大きくなるように調整されている。なお、プリズムカットの深さDとは、導光体3の軸線方向に対して直交する方向における第1のカット面10aの頂部と底部との間の距離を表す。
【0052】
例えば、本実施形態では、図4に示す導光体3の基端側におけるプリズムカットの深さDが0.1mm、図6に示す導光体3の中央側におけるプリズムカットの深さDが0.5mm、図8に示す導光体3の先端側におけるプリズムカットの深さDが1mmとなり、プリズムカットの深さDが導光体3の基端側から先端側に向かって連続的に変化するように調整されている。
【0053】
反射部10では、このプリズムカットの深さDが増加するほど、第1のカット面10aの傾斜角が大きくなり、この第1のカット面10aに入射した光を導光体3の正面3cに対して臨界角未満となる角度(導光体3の正面3cから光が透過する角度)で反射させることになる。
【0054】
したがって、本実施形態の車両用灯具1では、導光体3の基端側から先端側に向かうほど、導光体3の内部で導光される光の光量が低下していくのに対して、複数の反射部10(第1のカット面10a)により反射されて導光体3の正面3c側から出射される光の光量が、導光体3の基端側から先端側に向かって漸次大きくなる。これにより、導光体3の内部で導光される光の光路長の違いによる輝度ムラの発生を抑制しながら、導光体3の発光面11a(発光部11)をより均一に発光させることが可能である。
【0055】
また、本実施形態の車両用灯具1では、導光体3の基端側から先端側に向かって、反射部10を構成するプリズムカットの上下方向の寸法T1が漸次大きくなるように調整されている。
【0056】
例えば、本実施形態では、図3に示す導光体3の基端側におけるプリズムカットの寸法T1が1mm、図5に示す導光体3の中央側におけるプリズムカットの寸法T1が1.7mm、図7に示す導光体3の先端側におけるプリズムカットの寸法T1が2mmとなり、プリズムカットの寸法T1が導光体3の基端側から先端側に向かって連続的に変化するように調整されている。
【0057】
反射部10では、このプリズムカットの上下方向の寸法T1が増加するほど、第1のカット面10aの面積が大きくなり、この第1のカット面10aにより導光体3の正面3c側に向けて反射される光が増加することになる。
【0058】
したがって、本実施形態の車両用灯具1では、導光体3の基端側から先端側に向かうほど、導光体3の内部で導光される光の光量が低下していくのに対して、導光体3の基端側から先端側に向かって、複数の反射部10(第1のカット面10a)で反射される光の光量が漸次大きくなる。これにより、導光体3の内部で導光される光の光路長の違いによる輝度ムラの発生を抑制しながら、複数の反射部10(第1のカット面10a)で反射される光によって、導光体3の発光面11a(発光部11)をより均一に発光させることが可能である。
【0059】
また、本実施形態の車両用灯具1では、導光体3の基端側から先端側に向かって、反射部10を構成するプリズムカットにおける第1のカット面10aの割合W1が漸次大きくなり、且つ、第2のカット面10bの割合W2が漸次小さくなるように調整されている。
【0060】
例えば、本実施形態では、図3に示す導光体3の基端側におけるプリズムカットのW1とW2との割合(W1:W2)が1mm:1mm、図5に示す導光体3の中央側におけるプリズムカットのW1とW2との割合(W1:W2)が1.9mm:0.1mm、図7に示す導光体3の先端側におけるプリズムカットのW1とW2との割合(W1:W2)が2.0mm:0mmとなり、プリズムカットのW1とW2との割合(W1:W2)が導光体3の基端側から先端側に向かって連続的に変化するように調整されている。
【0061】
反射部10では、第1のカット面10aの割合が漸次大きくなり、且つ、第2のカット面10bの割合が漸次小さくなるほど、第1のカット面10aにより導光体3の正面3c側に向けて反射される光が増加することになる。
【0062】
したがって、本実施形態の車両用灯具1では、導光体3の基端側から先端側に向かうほど、導光体3の内部で導光される光の光量が低下していくのに対して、導光体3の基端側から先端側に向かって、複数の反射部10(第1のカット面10a)で反射される光の光量が漸次大きくなる。これにより、導光体3の内部で導光される光の光路長の違いによる輝度ムラの発生を抑制しながら、複数の反射部10(第1のカット面10a)で反射される光によって、導光体3の発光面11a(発光部11)をより均一に発光させることが可能である。
【0063】
また、本実施形態の車両用灯具1では、図10に示すように、導光体3の軸線方向において周期的に並ぶ複数の反射部10の間隔P1と同じ間隔P2で複数の拡散部23が周期的に並んで設けられている。例えば、本実施形態では、反射部10の間隔P1及び拡散部23の間隔P2がそれぞれ2mmに設定されている。
【0064】
ここで、複数の反射部10と複数の拡散部23とを同じ間隔(P1=P2)で並べた場合を図11(a),(b)に示す。一方、比較例として、複数の反射部10と複数の拡散部23とを異なる間隔(P1<P2)で並べた場合を図12(a),(b)に示す。なお、図11(a)及び図12(a)は、それぞれ導光体3の正面及び断面を示す模式図である。一方、図11(b)及び図12(b)は、それぞれリフレクタ15を正面及び断面を示す模式図である。
【0065】
本実施形態の車両用灯具1では、複数の反射部10と複数の拡散部23とを同じ間隔(P1=P2)で並べることによって、拡散部23を構成する溝部の位置と、反射部10を構成する第2のカット面10bの位置とを前後方向において重ね合わせる(一致させる)ことができる。これにより、輝度ムラの発生を抑制しながら、導光体3の発光面11a(発光部11)をより均一に発光させることが可能である。また、消灯時において発光部11にモアレが発生することを防ぐことができ、この発光部11の見栄えを良くすることが可能である。
【0066】
一方、複数の反射部10と複数の拡散部23とを異なる間隔(P1≠P2)で並べた場合には、拡散部23を構成する溝部の位置と、反射部10を構成する第2のカット面10bの位置とがずれることによって、点灯時に輝度ムラが発生したり、消灯時にモアレが発生したりすることがある。
【0067】
また、本実施形態の車両用灯具1では、図9及び図10に示すように、反射部10を構成するプリズムカットの上下方向の寸法T1よりも、拡散部23を構成する溝部の上下方向の寸法T2が大きくなるように、溝部が凹面形状を有している。また、溝部は、幅方向(Y軸方向)において略円弧状の凹面形状を有している。
【0068】
例えば、本実施形態では、導光体3の外径が8mm、導光体3のプリズムカットの寸法T1が1〜2mm、溝部の寸法T2が導光体3の外径と同じ8mmに設定されている。また、溝部の深さが1mm、溝部の幅方向における曲率半径が0.6mmに設定されている。
【0069】
これにより、本実施形態の車両用灯具1では、反射部10を構成するプリズムカットで反射された光B1よりも、拡散部23を構成する溝部で反射された光B2の方が、発光面11a(発光部)から車両前方に向けて広い角度範囲で出射されることになる。
【0070】
例えば、本実施形態では、方向指示器として、反射部10で反射された光B1により、車両幅方向の外側及び内側の範囲、車両上下方向の上側及び下側の範囲において、高照度が必要な角度範囲の配光を可能としている。
【0071】
また、本実施形態では、拡散部23で反射された光B2により、車両幅方向の外側及び内側の範囲、車両上下方向の上側及び下側の範囲において、視認可能な角度範囲の配光を可能としている。
【0072】
したがって、本実施形態の車両用灯具1では、必要な角度範囲での視認性を確保すると共に、それよりも広い角度範囲での視認性を高めながら、各方向視からの見栄えを良くすることが可能である。
【0073】
また、本実施形態の車両用灯具1では、図1〜図3、図5及び図7に示すように、導光体3の少なくとも発光領域Lに亘って連続して設けられた延出部12をブラケット4の溝部14a(保持部14)に差し込むことによって、導光体3をブラケット4に保持している。
【0074】
これにより、導光体3の曲げ強度を高めつつ、発光部11及び延出部12をエクステンション5の開口部5bから外部に露出した状態で、ブラケット4に安定的に保持することが可能である。
【0075】
さらに、本実施形態の車両用灯具1では、導光体3の発光部11と共に、延出部12を車両幅方向に亘って発光させることが可能である。これにより、延出部12をエクステンション5で覆うことなく、導光体3の上方視からの見栄えも良くすることが可能である。
【0076】
なお、延出部12の上面については、例えばシボ加工や、魚眼カット、フルートカット等の表面加工(凹凸加工)を施した構成としてもよい。これにより、導光体3に対する延出部12の接続部分が直接見えなくなるため、見栄えを良くすることが可能である。また、導光体3の上面側から背面側に向かって延出された延出部12とは逆向きに、導光体3の上面側から正面側に向かって突出された突出部を設けた構成としてもよい。この構成の場合、導光体3の曲げ強度を向上させることが可能である。また、例えば、突出部の先端をエクステンション5の端部に合わせることで、見栄えを良くすることが可能である。
【0077】
以上のようにして、本実施形態の車両用灯具1では、長尺の導光体3をより均一に発光させると共に、この導光体3の見栄えを良くすることが可能である。
【0078】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記反射部10については、導光体3の背面3bに入射した光を導光体3の正面3cに対して臨界角未満となる角度で反射させるものであればよく、上述したプリズムカットの構成に限らず、その形状等について適宜変更を加えることが可能である。
【0079】
また、上記拡散部23については、導光体3の背面3bから外部に出射された光を導光体3の背面3bに向けて拡散しながら反射するものであればよく、上述した溝部の構成に限らず、その形状等について適宜変更を加えることが可能である。
【0080】
さらに、上記車両用灯具1では、実際の車両のデザイン等に合わせて、導光体3やブラケット4、エクステンション5の形状などを適宜変更することが可能である。
【0081】
なお、上記実施形態では、上述した方向指示器に本発明を適用した車両用灯具1を例示したが、例えば、車幅灯(ポジションランプ)や昼間点灯ランプ(DRL)など、長尺の導光体を用いた車両用灯具に対して本発明を幅広く適用することが可能である。また、上述した方向指示器と組み合わせて、橙色光と白色光との2色の光源を用いた車両用灯具としてもよい。
【0082】
さらに、本発明が適用される車両用灯具については、上述したフロント側の車両用灯具に限らず、例えば、方向指示器や、尾灯(テールランプ)、ブレーキランプ(ストップランプ)、バックランプなどのリア側の車両用灯具に本発明を適用することも可能である。
【0083】
また、上記光源2については、上述したLED以外にも、例えばレーザーダイオード(LD)などの発光素子を用いることができる。また、発光素子が発する光の色については、上述した赤色光に限らず、白色光や橙色光など、その光源2の用途に応じて適宜変更することが可能である。