(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2019145409
(43)【公開日】20190829
(54)【発明の名称】リチウムイオン二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/052 20100101AFI20190802BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20190802BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20190802BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20190802BHJP
【FI】
   !H01M10/052
   !H01M10/0569
   !H01M4/13
   !H01M4/62 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】2018030007
(22)【出願日】20180222
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋二丁目5番1号
(72)【発明者】
【氏名】久米 佑輔
【住所又は居所】東京都港区芝浦三丁目9番1号TDK株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】角田 宏郁
【住所又は居所】東京都港区芝浦三丁目9番1号TDK株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 智彦
【住所又は居所】東京都港区芝浦三丁目9番1号TDK株式会社内
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ04
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL11
5H029AL12
5H029AM03
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5H050AA09
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA07
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5H050CB02
5H050CB03
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB11
5H050CB12
5H050DA03
5H050DA09
5H050EA22
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA07
(57)【要約】
【課題】自己放電特性を改善することが可能なリチウムイオン二次電池を提供すること。
【解決手段】正極と、負極と、前記正極と前記負極の間に位置するセパレータと、電解液とを備えるリチウムイオン二次電池であって、前記負極は、負極集電体上に負極活物質層を有し、前記負極活物質層はナトリウムまたはナトリウム化合物から選ばれるいずれかを含み、前記電解液がカルボン酸エステルを含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と、負極と、前記正極と前記負極の間に位置するセパレータと、電解液と、を備えるリチウムイオン二次電池であって、
前記負極は、負極集電体上に負極活物質層を有し、
前記負極活物質層はナトリウムまたはナトリウム化合物から選ばれるいずれかを含み、前記電解液がカルボン酸エステルを含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項2】
前記ナトリウムまたはナトリウム化合物は、負極活物質層に対してナトリウム換算で0.05〜0.5質量%含まれることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項3】
前記ナトリウム化合物は、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、酪酸ナトリウム、から選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項4】
前記カルボン酸エステルが、プロピオン酸エステルまたは酢酸エステルから選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項5】
前記カルボン酸エステルが、下記化学式(1)で表されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
[R1およびR2は炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基または置換アルキル基である。ただし、R1とR2の炭素数の合計が5以下]
【化1】
【請求項6】
前記カルボン酸エステルが、前記電解液中に50体積%以上90体積%以下含まれることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、移動体通信機器、携帯電子機器の主電源として利用されているリチウムイオン二次電池は、起電力が高く、高エネルギー密度であるという特長を有している。
【0003】
カーボン系負極を用いたリチウムイオン二次電池では、初回充放電の際に、負極活物質表面において、電解液の構成成分であるカーボネート類が還元分解し、SEI(Solid electrolyte interface)と呼ばれる被膜を形成することが知られている。このSEI被膜の形成後は負極活物質表面での溶媒の分解が抑制されるため、電池の長寿命化が可能となる。
【0004】
しかし、電池の寿命はSEI被膜の状態によって大きく左右され、不均一な被膜が形成されると、自己放電特性が悪化するという問題が存在する。
【0005】
そこで、特許文献1では、負極活物質としのリチウムチタン複合酸化物にアナターゼ型構造の酸化チタンを加えて負極を構成すると、負極の自己放電反応を抑制できると報告している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−178916
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術の方法では未だ諸特性は満足されず、自己放電特性の更なる向上が求められている。
【0008】
本発明は上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、自己放電特性を改善することが可能なリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係るリチウムイオン二次電池は、正極と、負極と、上記正極と上記負極の間に位置するセパレータと、電解液と、を備えるリチウムイオン二次電池であって、前記負極は、負極集電体上に負極活物質層を有し、前記負極活物質層はナトリウムまたはナトリウム化合物から選ばれるいずれかを含み、上記電解液がカルボン酸エステルを含むことを特徴とする。
【0010】
カルボン酸エステルは粘度が低く、濡れ性が高いため、電極深部にまで電解液を均一に浸透させることができる。更に、リチウムより酸化還元電位の高いナトリウムを含む負極を用いることで、リチウムより先にSEI被膜形成反応が行われる。また、上記SEI被膜はイオン半径が大きいナトリウムを含むため、リチウムイオンのイオン伝導パスが阻害することができ、自己放電特性が改善する。 特にナトリウムが負極中に存在することで、負極内部にもナトリウムを含む被膜を形成することができるため、高い自己放電特性が得られる。
【0011】
本発明に係るリチウムイオン二次電池はさらに、上記ナトリウムまたはナトリウム化合物から選ばれるいずれかが、負極活物質層に対してナトリウム換算で0.05〜0.5質量%含まれることが好ましい。
【0012】
これによれば、ナトリウムの添加量として適量であり、自己放電特性が更に改善する。
【0013】
本発明に係るリチウムイオン二次電池はさらに、上記ナトリウム化合物が、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、酪酸ナトリウム、から選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0014】
これによれば、ナトリウムとして好適であり、自己放電特性が更に改善する。
【0015】
本発明に係るリチウムイオン二次電池はさらに、上記カルボン酸エステルが、プロピオン酸エステルまたは酢酸エステルから選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0016】
これによれば、カルボン酸エステルとして好適であり、自己放電特性が更に改善する。
【0017】
本発明に係るリチウムイオン二次電池はさらに、上記カルボン酸エステルが、下記化学式(1)で表されることが好ましい。
(ここで、RおよびRは炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基または置換アルキル基であり、RとRの炭素数の合計が5以下である。)
【0018】
【化1】
【0019】
これによれば、カルボン酸エステルとして好適であり、自己放電特性が更に改善する。
【0020】
本発明に係るリチウムイオン二次電池はさらに、上記カルボン酸エステルが、上記電解液中に50体積%以上90体積%以下含まれることが好ましい。
【0021】
これによれば、カルボン酸エステルの組成として好適であり、自己放電特性が更に改善する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、自己放電特性を改善することが可能なリチウムイオン二次電池が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態のリチウムイオン二次電池の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想到できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに以下に記載した構成要素は、適宜組み合わせることができる。
【0025】
<リチウムイオン二次電池>
図1に示すように、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池100は、互いに対向する板状の負極20及び板状の正極10と、負極20と正極10との間に隣接して配置される板状のセパレータ18と、を備える積層体30と、リチウムイオンを含む電解質溶液と、これらを密閉した状態で収容するケース50と、負極20に一方の端部が電気的に接続されると共に他方の端部がケースの外部に突出されるリード62と、正極10に一方の端部が電気的に接続されると共に他方の端部がケースの外部に突出されるリード60とを備える。
【0026】
正極10は、正極集電体12と、正極集電体12上に形成された正極活物質層14と、を有する。また、負極20は、負極集電体22と、負極集電体22上に形成された負極活物質層24と、を有する。セパレータ18は、負極活物質層24と正極活物質層14との間に位置している。
【0027】
<正極>
(正極集電体)
正極集電体12は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム又はそれらの合金、ステンレス等の金属薄板(金属箔)を用いることができる。
【0028】
(正極活物質層)
正極活物質層14は、正極活物質、正極用バインダー、および正極用導電助剤から主に構成されるものである。
【0029】
(正極活物質)
正極活物質としては、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、該リチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、PF)のドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能であれば特に限定されず、公知の電極活物質を使用できる。例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、及び、化学式:LiNixCoyMnzMaO(x+y+z+a=1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦a≦1、MはAl、Mg、Nb、Ti、Cu、Zn、Crより選ばれる1種類以上の元素)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物Lia(M)b(PO)c(ただし、M=VOまたはV、かつ、0.9≦a≦3.3、0.9≦b≦2.2、0.9≦c≦3.3)、オリビン型LiMPO(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素又はVOを示す)、チタン酸リチウム(LiTi12)、LiNixCoyAlzO(0.9<x+y+z<1.1)等の複合金属酸化物が挙げられる。
【0030】
上記正極活物質のうち、リチウムバナジウム化合物を用いた場合、本実施形態に係る負極および電解液と組み合わせた際に、自己放電特性の改善効果が強く得られる。リチウムバナジウム化合物の中でも、特にLiVOPOで自己放電特性の改善効果がより強く得られる。上記作用の正確なメカニズムはいまだ不明であるが、バナジウムイオンがカルボン酸エステルと錯形成し、負極上で皮膜を形成しているものと推測される。
【0031】
(正極用バインダー)
正極用バインダーは正極活物質同士を結合すると共に、正極活物質層14と正極用集電体12とを結合している。バインダーは、上述の結合が可能なものであればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂や、セルロース、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等を用いてもよい。また、バインダーとして電子伝導性の導電性高分子やイオン伝導性の導電性高分子を用いてもよい。電子伝導性の導電性高分子としては、例えば、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリアニリン等が挙げられる。イオン伝導性の導電性高分子としては、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物と、LiClO、LiBF、LiPF等のリチウム塩とを複合化させたもの等が挙げられる。
【0032】
正極活物質層14中のバインダーの含有量は特に限定されないが、添加する場合には正極活物質の質量に対して0.5〜5質量部であることが好ましい。
【0033】
(正極用導電助剤)
正極用導電助剤としては、正極活物質層14の導電性を良好にするものであれば特に限定されず、公知の導電助剤を使用できる。例えば、黒鉛、カーボンブラック等の炭素系材料や、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。
【0034】
<負極>
本実施形態に係る負極20は、負極集電体22上に負極活物質層24を備えるものである。
【0035】
(負極活物質層)
負極活物質層24は、負極活物質、負極用バインダー、および負極用導電助剤から主に構成されるものである。
【0036】
本実施形態に係る負極活物質層24は、ナトリウムまたはナトリウム化合物から選ばれるいずれかを含むものである。
【0037】
これによれば、リチウムより酸化還元電位の高いナトリウムまたはナトリウム化合物から選ばれるいずれかを含む負極を用いることで、リチウムより先にSEI被膜形成反応が行われる。また、上記SEI被膜はイオン半径が大きいナトリウムを含むため、リチウムイオンのイオン伝導パスが阻害することができ、自己放電特性が改善する。 特にナトリウムが負極中に存在することで、負極内部にもナトリウムを含む被膜を形成することができるため、高い自己放電特性が得られる。
【0038】
本実施形態に係る負極活物質層はさらに、上記ナトリウムまたはナトリウム化合物から選ばれるいずれかが、負極活物質層に対してナトリウム換算で0.05〜0.5質量%含まれることがより好ましい。
【0039】
これによれば、ナトリウムの添加量として適量であり、自己放電特性が更に改善する。
【0040】
本実施形態に係る負極活物質層はさらに、上記ナトリウム化合物が、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、酪酸ナトリウム、から選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0041】
これによれば、ナトリウム化合物として好適であり、自己放電特性が更に改善する。
(負極集電体)
負極集電体22は、導電性の板材であればよく、例えば、銅等の金属薄板(金属箔)を用いることができる。
【0042】
(負極活物質)
負極活物質としては、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)を可逆的に進行させることが可能であれば特に限定されず、公知の電極活物質を使用できる。例えば、グラファイト、ハードカーボン等の炭素系材料、酸化シリコン(SiO)金属シリコン(Si)等の珪素系材料、チタン酸リチウム(LTO)等の金属酸化物、リチウム、スズ、亜鉛等の金属材料が挙げられる。
【0043】
負極活物質として金属材料を用いない場合、負極活物質層24は更に、負極用バインダーおよび負極用導電助剤を含んでいてもよい。
【0044】
(負極用バインダー)
負極用バインダーとしては特に限定は無く、上記で記載した正極用バインダーと同様のものを用いることができる。
【0045】
(負極用導電助剤)
負極用導電助剤としては特に限定は無く、上記で記載した正極用導電助剤と同様のものを用いることができる。
【0046】
<電解液>
本実施形態に係る電解液は、カルボン酸エステルを含むものである。
【0047】
これによれば、カルボン酸エステルは粘度が低く、濡れ性が高いため、電極深部にまで電解液を均一に浸透させることができ、自己放電特性が改善する。
【0048】
本実施形態に係る電解液はさらに、上記カルボン酸エステルが、化学式(1)で表されることが好ましく、プロピオン酸エステルまたは酢酸エステルから選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0049】
これによれば、カルボン酸エステルとして好適であり、自己放電特性が更に改善する。
【0050】
本実施形態に係る電解液はさらに、上記カルボン酸エステルが、電解液中に50体積%以上90体積%以下含まれることが好ましい。
【0051】
これによれば、カルボン酸エステルの組成として好適であり、自己放電特性が更に改善する。また、カルボン酸エステルが50体積%以上含まれている場合、電解液の粘度は十分に低減され、低粘度化の効果を最大限に得ることが出来る。
【0052】
(その他の溶媒)
本実施形態に係る電解液は、上記カルボン酸エステル以外にも一般にリチウムイオン二次電池に用いられている溶媒を用いることが出来る。上記溶媒としては特に限定はなく、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)等の環状カーボネート化合物、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等の鎖状カーボネート化合物、等を任意の割合で混合して用いることができる。
【0053】
(電解質)
電解質は、リチウムイオン二次電池の電解質として用いられるリチウム塩であれば特に限定は無く、例えば、LiPF、LiBF、リチウムビスオキサレートボラート等の無機酸陰イオン塩、LiCFSO、(CFSONLi、(FSONLi等の有機酸陰イオン塩等を用いることができる。
【0054】
以上、本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【実施例】
【0055】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0056】
[実施例1]
(正極の作製)
LiVOPO50質量部、Li(Ni0.80Co0.15Al0.05)O35質量部、カーボンブラック5質量部、PVDF10質量部をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させ、正極活物質層形成用のスラリーを調整した。このスラリーを、厚さ20μmのアルミ金属箔の一面に、正極活物質の塗布量が9.0mg/cmとなるように塗布し、100℃で乾燥することで正極活物質層を形成した。その後、ローラープレスによって加圧成形し、正極を作製した。
【0057】
(負極の作製)
天然黒鉛90質量部、カーボンブラック5質量部、PVDF5質量部をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させ、負極活物質層形成用のスラリーを調整した。その後、上記スラリーにナトリウム源として酢酸ナトリウムをナトリウム含有量0.01質量%となるように加えた。上記スラリーを、厚さ20μmの銅箔の一面に、負極活物質の塗布量が6.0mg/cmとなるように塗布し、100℃で乾燥することで負極活物質層を形成した。その後、ローラープレスによって加圧成形し、負極を作製した。
【0058】
上記で作製した負極活物質層のナトリウム含有量を調べたところ、仕込み量のナトリウムが含まれていることを確認した。
【0059】
また、作製した負極活物質層に含まれるナトリウムは酢酸ナトリウムであった。
【0060】
(電解液の作製)
カルボン酸エステルとしてプロピオン酸メチルを用い、体積比でEC/プロピオン酸メチル=30:70の組成となるように調整し、これに1mol/Lの濃度となるようにLiPFを溶解させ、電解液を作製した。
【0061】
(評価用リチウムイオン二次電池の作製)
上記で作製した正極および負極と、それらの間にポリエチレン微多孔膜からなるセパレータを挟んでアルミラミネートパックに入れた。このアルミラミネートパックに、上記で作製した電解液を注入した後、真空シールし、評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0062】
(自己放電特性の測定)
上記で作製した評価用リチウムイオン二次電池について、二次電池充放電試験装置(北斗電工株式会社製)を用い、充電レート1.0C(25℃で定電流充電を行ったときに1時間で充電終了となる電流値)の定電流充電で電池電圧が4.2Vとなるまで充電を行った。充電完了後、室温で24時間放置した後の電圧をV1とし、その後、40℃環境下にて5日間放置後の電圧をV2とした。得られたV1及びV2の値から以下の(1)式より自己放電特性を求めた。その結果を自己放電特性として表1に示す。
自己放電特性(mV/day)=V1−V2・・・(1)
【0063】
[実施例2]
負極の作製で用いたナトリウム源の添加量を、表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例2の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0064】
[実施例3]
負極の作製で用いたナトリウム源の添加量を、表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例3の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0065】
[実施例4]
負極の作製で用いたナトリウム源の添加量を、表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例4の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0066】
[実施例5]
負極の作製で用いたナトリウム源の添加量を、表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例5の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0067】
[実施例6]
負極の作製で用いたナトリウム源の添加量を、表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例6の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0068】
[実施例7]
負極の作製で用いたナトリウム源の添加量を、表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例7の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0069】
[実施例8]
負極の作製で用いたナトリウム源を、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例8の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0070】
[実施例9]
負極の作製で用いたナトリウム源を、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例9の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0071】
[実施例10]
負極の作製で用いたナトリウム源を、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例10の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0072】
[実施例11]
電解液の組成を、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例11の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0073】
[実施例12]
電解液の組成を、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例12の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0074】
[実施例13]
電解液の組成を、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例13の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0075】
[実施例14]
電解液の組成を、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例14の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0076】
[実施例15]
電解液の作製で用いたカルボン酸エステルを、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例15の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0077】
[実施例16]
電解液の作製で用いたカルボン酸エステルを、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例16の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0078】
[実施例17]
電解液の作製で用いたカルボン酸エステルを、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例17の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0079】
[実施例18]
電解液の作製で用いたカルボン酸エステルと電解液の組成を、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例18の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0080】
[実施例19]
電解液の作製で用いたカルボン酸エステルと電解液の組成を、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例19の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0081】
[実施例20]
電解液の作製で用いたカルボン酸エステルと電解液の組成を、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例20の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0082】
[実施例21]
電解液の作製で用いたカルボン酸エステルと電解液の組成を、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例21の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0083】
[実施例22]
電解液の作製で用いたカルボン酸エステルを、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例22の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0084】
[実施例23]
電解液の作製で用いたカルボン酸エステルを、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例23の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0085】
[実施例24]
電解液の作製で用いたカルボン酸エステルを、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例24の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0086】
[実施例25]
電解液の作製で用いたカルボン酸エステルを、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例25の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0087】
[実施例26]
電解液の作製で用いたカルボン酸エステルを、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例26の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0088】
[実施例27]
電解液の作製で用いたカルボン酸エステルを、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例27の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0089】
[実施例28]
電解液の作製で用いたカルボン酸エステルを、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例28の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0090】
[実施例29]
電解液の組成を、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例29の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0091】
[比較例1]
電解液の作製でカルボン酸エステルを加えず、電解液の組成を表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、比較例1の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0092】
[比較例2]
電解液の作製でカルボン酸エステルを加えず、電解液の組成を表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、比較例2の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0093】
[比較例3]
負極の作製でナトリウム源を添加していない点以外は実施例3と同様として、比較例3の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0094】
実施例2〜29、および比較例1、2について実施例1と同様にナトリウム含有量を調べたところ、仕込み量と同量であることを確認した。
【0095】
また、同様に作製した負極のナトリウムを分析したところ、表1に記載のナトリウム源であることを確認した。
【0096】
実施例2〜29、および比較例1〜3で作製した評価用リチウムイオン二次電池について、実施例1と同様に、自己放電特性の測定を行った。結果を表1に示す。
【0097】
実施例1〜29はいずれも、ナトリウム源を加えなかった比較例3に対し、自己放電特性が改善した。
【0098】
実施例1〜7より、負極におけるナトリウム含有量の割合を0.05質量部以上0.5質量部以下とすることで、自己放電特性がより改善することが確認された。
【0099】
実施例8〜10より、負極におけるナトリウム源を酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、酪酸ナトリウムとすることで、自己放電特性がより改善することが確認された。
【0100】
実施例1〜29はいずれも、カルボン酸エステルを使用しなかった比較例1および2に対し、自己放電特性が改善した。
【0101】
実施例15〜17、および実施例22〜25の結果から、カルボン酸の総炭素数を5以下とすることで、自己放電特性がより改善する効果が得られることが確認された。
【0102】
実施例26〜28の結果から、カルボン酸エステルとしてプロピオン酸または酢酸エステルを使用することで、自己放電特性がより改善する効果が得られることが確認された。
【0103】
実施例11〜14、および実施例18〜21の結果から、電解液の組成を最適化することで、自己放電特性がより改善する効果が得られることが確認された。
【0104】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明により、自己放電特性を改善することが可能なリチウムイオン二次電池が提供される。
【符号の説明】
【0106】
10…正極、12…正極集電体、14…正極活物質層、18…セパレータ、20…負極、22…負極集電体、24…負極活物質層、30…積層体、50…ケース、60,62…リード、100…リチウムイオン二次電池。
【図1】