【実施例】
【0055】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0056】
[実施例1]
(正極の作製)
LiVOPO
450質量部、Li(Ni
0.80Co
0.15Al
0.05)O
235質量部、カーボンブラック5質量部、PVDF10質量部をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させ、正極活物質層形成用のスラリーを調整した。このスラリーを、厚さ20μmのアルミ金属箔の一面に、正極活物質の塗布量が9.0mg/cm
2となるように塗布し、100℃で乾燥することで正極活物質層を形成した。その後、ローラープレスによって加圧成形し、正極を作製した。
【0057】
(負極の作製)
天然黒鉛90質量部、カーボンブラック5質量部、PVDF5質量部をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させ、負極活物質層形成用のスラリーを調整した。その後、上記スラリーにナトリウム源として酢酸ナトリウムをナトリウム含有量0.01質量%となるように加えた。上記スラリーを、厚さ20μmの銅箔の一面に、負極活物質の塗布量が6.0mg/cm
2となるように塗布し、100℃で乾燥することで負極活物質層を形成した。その後、ローラープレスによって加圧成形し、負極を作製した。
【0058】
上記で作製した負極活物質層のナトリウム含有量を調べたところ、仕込み量のナトリウムが含まれていることを確認した。
【0059】
また、作製した負極活物質層に含まれるナトリウムは酢酸ナトリウムであった。
【0060】
(電解液の作製)
カルボン酸エステルとしてプロピオン酸メチルを用い、体積比でEC/プロピオン酸メチル=30:70の組成となるように調整し、これに1mol/Lの濃度となるようにLiPF
6を溶解させ、電解液を作製した。
【0061】
(評価用リチウムイオン二次電池の作製)
上記で作製した正極および負極と、それらの間にポリエチレン微多孔膜からなるセパレータを挟んでアルミラミネートパックに入れた。このアルミラミネートパックに、上記で作製した電解液を注入した後、真空シールし、評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0062】
(自己放電特性の測定)
上記で作製した評価用リチウムイオン二次電池について、二次電池充放電試験装置(北斗電工株式会社製)を用い、充電レート1.0C(25℃で定電流充電を行ったときに1時間で充電終了となる電流値)の定電流充電で電池電圧が4.2Vとなるまで充電を行った。充電完了後、室温で24時間放置した後の電圧をV1とし、その後、40℃環境下にて5日間放置後の電圧をV2とした。得られたV1及びV2の値から以下の(1)式より自己放電特性を求めた。その結果を自己放電特性として表1に示す。
自己放電特性(mV/day)=V1−V2・・・(1)
【0063】
[実施例2]
負極の作製で用いたナトリウム源の添加量を、表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例2の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0064】
[実施例3]
負極の作製で用いたナトリウム源の添加量を、表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例3の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0065】
[実施例4]
負極の作製で用いたナトリウム源の添加量を、表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例4の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0066】
[実施例5]
負極の作製で用いたナトリウム源の添加量を、表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例5の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0067】
[実施例6]
負極の作製で用いたナトリウム源の添加量を、表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例6の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0068】
[実施例7]
負極の作製で用いたナトリウム源の添加量を、表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例7の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0069】
[実施例8]
負極の作製で用いたナトリウム源を、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例8の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0070】
[実施例9]
負極の作製で用いたナトリウム源を、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例9の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0071】
[実施例10]
負極の作製で用いたナトリウム源を、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例10の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0072】
[実施例11]
電解液の組成を、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例11の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0073】
[実施例12]
電解液の組成を、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例12の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0074】
[実施例13]
電解液の組成を、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例13の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0075】
[実施例14]
電解液の組成を、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例14の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0076】
[実施例15]
電解液の作製で用いたカルボン酸エステルを、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例15の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0077】
[実施例16]
電解液の作製で用いたカルボン酸エステルを、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例16の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0078】
[実施例17]
電解液の作製で用いたカルボン酸エステルを、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例17の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0079】
[実施例18]
電解液の作製で用いたカルボン酸エステルと電解液の組成を、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例18の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0080】
[実施例19]
電解液の作製で用いたカルボン酸エステルと電解液の組成を、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例19の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0081】
[実施例20]
電解液の作製で用いたカルボン酸エステルと電解液の組成を、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例20の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0082】
[実施例21]
電解液の作製で用いたカルボン酸エステルと電解液の組成を、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例21の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0083】
[実施例22]
電解液の作製で用いたカルボン酸エステルを、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例22の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0084】
[実施例23]
電解液の作製で用いたカルボン酸エステルを、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例23の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0085】
[実施例24]
電解液の作製で用いたカルボン酸エステルを、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例24の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0086】
[実施例25]
電解液の作製で用いたカルボン酸エステルを、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例25の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0087】
[実施例26]
電解液の作製で用いたカルボン酸エステルを、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例26の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0088】
[実施例27]
電解液の作製で用いたカルボン酸エステルを、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例27の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0089】
[実施例28]
電解液の作製で用いたカルボン酸エステルを、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例28の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0090】
[実施例29]
電解液の組成を、表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、実施例29の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0091】
[比較例1]
電解液の作製でカルボン酸エステルを加えず、電解液の組成を表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、比較例1の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0092】
[比較例2]
電解液の作製でカルボン酸エステルを加えず、電解液の組成を表1に示した通りに変更した以外は実施例3と同様として、比較例2の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0093】
[比較例3]
負極の作製でナトリウム源を添加していない点以外は実施例3と同様として、比較例3の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
【0094】
実施例2〜29、および比較例1、2について実施例1と同様にナトリウム含有量を調べたところ、仕込み量と同量であることを確認した。
【0095】
また、同様に作製した負極のナトリウムを分析したところ、表1に記載のナトリウム源であることを確認した。
【0096】
実施例2〜29、および比較例1〜3で作製した評価用リチウムイオン二次電池について、実施例1と同様に、自己放電特性の測定を行った。結果を表1に示す。
【0097】
実施例1〜29はいずれも、ナトリウム源を加えなかった比較例3に対し、自己放電特性が改善した。
【0098】
実施例1〜7より、負極におけるナトリウム含有量の割合を0.05質量部以上0.5質量部以下とすることで、自己放電特性がより改善することが確認された。
【0099】
実施例8〜10より、負極におけるナトリウム源を酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、酪酸ナトリウムとすることで、自己放電特性がより改善することが確認された。
【0100】
実施例1〜29はいずれも、カルボン酸エステルを使用しなかった比較例1および2に対し、自己放電特性が改善した。
【0101】
実施例15〜17、および実施例22〜25の結果から、カルボン酸の総炭素数を5以下とすることで、自己放電特性がより改善する効果が得られることが確認された。
【0102】
実施例26〜28の結果から、カルボン酸エステルとしてプロピオン酸または酢酸エステルを使用することで、自己放電特性がより改善する効果が得られることが確認された。
【0103】
実施例11〜14、および実施例18〜21の結果から、電解液の組成を最適化することで、自己放電特性がより改善する効果が得られることが確認された。
【0104】
【表1】