(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2019145451
(43)【公開日】20190829
(54)【発明の名称】X線発生装置
(51)【国際特許分類】
   H01J 35/16 20060101AFI20190802BHJP
   H01J 35/06 20060101ALI20190802BHJP
   H01J 35/08 20060101ALI20190802BHJP
   H01J 35/18 20060101ALI20190802BHJP
【FI】
   !H01J35/16
   !H01J35/06 B
   !H01J35/06 E
   !H01J35/08 F
   !H01J35/18
   !H01J35/06 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】2018030692
(22)【出願日】20180223
(71)【出願人】
【識別番号】511254284
【氏名又は名称】ヒューグル開発株式会社
【住所又は居所】東京都板橋区蓮根3−14−13
(74)【代理人】
【識別番号】100097205
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 正樹
(72)【発明者】
【氏名】入江 史崇
【住所又は居所】東京都板橋区蓮根3−14−13 ヒューグル開発株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】羽場 方紀
【住所又は居所】東京都板橋区蓮根3−14−13 ヒューグル開発株式会社内
(57)【要約】
【課題】ターゲットで反射した反射電子、2次電子による容器内における絶縁体の帯電を防止することができるX線発生装置を提供することにある。
【解決手段】密封可能な容器12と、容器12内に設けられ、電子を放出する電子源である電極27及びエミッタ28と、容器12内に設けられ、エミッタ28から放出された電子の衝突によりX線を発生するターゲット22と、有するX線発生装置11であって、容器12の材質は、金属及び合金の少なくともいずれかであるとする構成である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
密封可能な容器と、
該容器内に設けられ、電子を放出する電子源と、
前記容器内に設けられ、前記電子源から放出された電子の衝突によりX線を発生するターゲットと、
を有するX線発生装置であって、
前記容器の材質は、金属及び合金の少なくともいずれかであるX線発生装置。
【請求項2】
前記電子源は、棒状に形成された電極と、該電極の長手方向に形成された溝部に取り付けられた、電子放出機能をもつエミッタと、を含む請求項1に記載のX線発生装置。
【請求項3】
前記エミッタは、炭素系材料からなる請求項2に記載のX線発生装置。
【請求項4】
前記容器の対向する2つの面の一方の面には第1の開口部が、他方の面には第2の開口部がそれぞれ設けられ、
更に、前記第1の開口部には、当該第1の開口部を塞ぐX線透過窓が設けられ、前記第2の開口部には前記容器内を真空排気するための筒状部材が挿着されている請求項1乃至3のいずれかに記載のX線発生装置。
【請求項5】
前記エミッタを前記X線透過窓に向けた状態で、前記電子源が前記筒状部材の容器内部側の端部に取付けられ、前記X線透過窓の容器内部側に前記ターゲットがコーティングされている請求項4に記載のX線発生装置。
【請求項6】
前記容器と前記筒状部材とは、電気的に絶縁されている請求項4又は5に記載のX線発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子放出部から放出された電子をターゲットに衝突させてX線を発生するX線発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高真空にした容器内において、電子源(電子放出部)から放出された電子をターゲット膜に照射して、X線を発生させるX線発生管が知られている(特許文献1)。特許文献1に開示されているX線発生管は、ガラス管内部に軸方向に沿って冷陰極電子源、電子引き出し電極、放出電子加速収束電極が絶縁体冶具により取付けられ、ターゲットに近い部分が耐電圧緩和湾曲構造を併せ持つ収束電極により、ターゲットで反射した電子や2次電子による絶縁性の電極支持部材やガラス管等の帯電を防止し、X線管内の電極間の耐電圧特性が保持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−66694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたX線管では、電子源からの不要電子の放散防止構造をもつ電子引出し電極、放出電子の加速収束及び帯電防止突出部をもつ収束電極をX線管軸方向に絶縁体冶具で固定し配置しており、X線管を小型化するには構造が複雑となる。また一部露出したガラス管と収束電極を離す必要もある。また、特許文献1のX線管では、引出し電極のアパーチャーに比べ冷陰極径は非常に大きく、かつ放出電子の方向を制御していないため、引出し電極に電流が流れることによるロスで安定してアパーチャーから放出電子の大部分を通過させることは難しい。2電極で電子源からの放散する電子の防御、放出した電子の方向制御とターゲットでの反射電子、二次電子による帯電防止を合わせて行う構造のため、部品も多く複雑であり小型化と安定性を十分に達成できない。
【0005】
本発明は、冷陰極に適した超高真空環境を実現し、放出電子の方向を制御し、ターゲットで反射した反射電子、2次電子による容器内での帯電を防止することができる電子源とターゲットとの2電極構造を有するX線発生装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るX線発生装置は、密封容器と、該容器内に設けられ、電子を放出する電子源と、前記容器内に設けられ、前記電子源から放出された電子の衝突によりX線を発生するターゲットと、を有するX線発生装置であって、前記容器の材質は、金属及び合金の少なくともいずれかである構成となる。
【0007】
このような構成によれば、電子源とターゲットを内部に設けた密封容器が、導電性の金属材料であるから、電子源から放出された電子がターゲットで反射した反射電子、2次電子が発生した場合でも、容器を接地電位とすることで容器内での帯電を防止することができ、電子源からの放出電子への帯電による影響が生じない。また、電子を放出する空間が金属及び合金の少なくともいずれかである材質の容器で遮蔽されているので、空間の真空度がガラス管に比べガス放出しないため、X線発生装置に印加する電圧が安定している。
【0008】
本発明に係るX線発生装置において、前記電子源は、棒状に形成された電極と、該電極の長手方向に形成された溝部に取り付けられた、電子放出機能をもつエミッタと、を含む構成とすることにより放出電子の量と方向を制御ができる。このX線発生装置は、容器を通じてターゲットが接地電位とされ、電子源に負電圧が印加されて、電子源より放出された電子がターゲットに当たることによりX線を発生する冷陰極型のX線発生装置である。すなわち、ターゲットが接地電位とされ、そして電子源がターゲットに対して負に偏倚される。
【0009】
このような構成によれば、エミッタから電子の方向性を制御し線状に近い帯状に放出できるので、X線を効率よく発生させ、照射範囲を広くすることができる。
【0010】
本発明に係るX線発生装置において、前記エミッタは、炭素系材料からなる構成とすることができる。
【0011】
このような構成によれば、エミッタを炭素系材料とすれば、加熱することなく、高電界を加えることで電子を放出することができる。炭素系材料としては、例えば、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノ構造体、CCNS等を含む。
【0012】
本発明に係るX線発生装置において、前記容器の対向する2つの面の一方の面には第1の開口部が、他方の面には第2の開口部がそれぞれ設けられ、更に、前記第1の開口部には、当該第1の開口部を塞ぐX線透過窓が設けられ、前記第2の開口部には前記容器内を真空排気するための筒状部材が挿着されている構成とすることができる。すなわち、前記第2の開口部にはX線管の真空度、出力特性及び出力安定性試験する間は真空装置と接続し高真空を維持する真空排気するための筒状部材が挿着されている構成となっている。この筒状部材は真空容器内に設置したゲッターを500℃以上で活性化後封止切断し真空を維持する。
【0013】
このような構成によれば、密封可能な容器を真空排気用の筒状部材を通じて真空排気できるので、電子放出部である電子源から放出された電子をターゲットに衝突させてX線を効率よく発生させることができ封止後の真空度予測、X線管の出力・安定性と寿命推定をあらかじめ把握できる。
【0014】
本発明に係るX線発生装置において、前記エミッタを前記X線透過窓に向けた状態で、前記電子源が前記筒状部材の容器内部側の端部に取付けられ、前記X線透過窓の容器内部側に前記ターゲットがコーティングされている構成とすることができる。
【0015】
このような構成によれば、(エミッタから放出された電子を−削除)ターゲットでの発生X線をできる限り吸収させないで、効率よくターゲットに衝突させてX線を発生させることができる。
【0016】
本発明に係るX線発生装置において、前記容器と前記筒状部材とは、電気的に絶縁されている構成とすることができる。
【0017】
このような構成によれば、容器と筒状部材とを電気的に絶縁されているので、筒状部材を通じて電子源に高電圧を印加しても、容器を接地電位に保持することができ、ターゲットで反射した電子を容器で接地することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電子源とターゲットを内部に設けた密封容器が、金属及び合金の少なくともいずれかの材質であるから、容器を接地電位とすることで容器内で生じる反射電子、2次電子による帯電を防止することができ、電子放出部からの放出電子を効率よくターゲットに衝突させてX線を発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係るX線発生装置の平面図である。
【図2】図2は、上記X線発生装置の正面図(図1のA−A矢視)である。
【図3】図3は、上記X線発生装置の底面図(図2のB−B矢視)である。
【図4】図4は、上記X線発生装置の側面図(図1のC−C矢視)である。
【図5】図5は、上記X線発生装置の断面図(図1のD−D断面)である。
【図6】図6は、上記X線発生装置の断面図(図1のE−E線面)である。
【図7】図7は、上記X線発生装置の分解斜視図である。
【図8】図8は、図7に示すX線発生装置の組み立て工程図(その1)である。
【図9】図9は、図7に示すX線発生装置の組み立て工程図(その2)である。
【図10】図10は、図7に示すX線発生装置の組み立て工程の完成斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0021】
本発明の実施の一形態に係るX線発生装置は、図1乃至図7に示す構造となっている。
図1は本発明の実施の形態に係るX線発生装置の平面図、図2は上記X線発生装置の正面図(図1のA−A矢視)、図3は上記X線発生装置の底面図(図2のB−B矢視)、図4は上記X線発生装置の側面図(図1のC−C矢視)、図5は上記X線発生装置の断面図(図1のD−D断面)、図6は上記X線発生装置の断面図(図1のE−E断面)、図7は上記X線発生装置の分解斜視図である。
【0022】
以下、図1乃至図7を参照して説明する。X線発生装置11は、直方体形状の容器である真空容器12と、円筒形状の絶縁体13と、真空容器12から真空排気するための筒状部材である排気パイプ15と、絶縁体13と排気パイプ15とを接続する中間部材16を有する。排気パイプ15は、上記した真空容器12内を真空排気するための筒状部材としての他、後述するように、その先端に取り付ける電極27及びエミッタ28へのマイナス高電圧の印加口としての役割をも有するものである。なお、排気パイプ15は、真空容器12内を排気した後に、真空引き装置(不図示)に接続する側の先端が封止される。
【0023】
真空容器12は、天部が開口となっている容器本体12aと、容器本体12aの天部を塞ぐ蓋部12bとを有する。容器12は、容器本体12a及び蓋部12bともステンレス鋼(例えば、SUS304)から成る金属容器である。ステンレス鋼以外では、例えば、融点が1000°C以上で脱ガスの少ない金属が好ましく、例えば銅、チタン、鉄、ニッケル及び耐熱合金等が該当する。真空容器12は、10−7Pa以上の超高真空状態を維持する容器として使用するものであり、脱ガスの少ない金属が使用され、融点が高いものが好ましい。容器本体12aと蓋部12bとは溶接などによる組み立てで一体化されている。
【0024】
容器本体12aの底部12a1は長方形状で、その中心部には底部の12a1の長手方向を長辺とする、長方形状の開口部(第1の開口部)12a2が形成されている。開口部12a2には、ベリリウム金属から成るベリリウム窓と称されるX線透過窓21が、容器本体12aの内部からろう接などの方法で接合されている。開口部12a2はX線透過窓21により封止されている。さらに、X線透過窓21の容器本体12a側には、電子の衝突によりX線を発生するタングステンから成るターゲット22がコーティングされている。後述するように、電極27に挿着されたエミッタ28から放出された電子がターゲット22に衝突してX線が生じるものである。発生したX線はX線透過窓21を透過して外部へ放出される。発生したX線は、例えば、除電気等による除電に使用される。このように、X線透過窓21は、軟X線をよく透過しかつ高融点であることが求められることから、ベリリウムが好適な材質として使用する。また、ターゲット22については、一般的にX線生成効率の優れた高原子番号で高融点をもつタングステンを好適な材質とする。
【0025】
容器12の蓋部12bには、円形状の開口部(第2の開口部)12b1が形成されている。この開口部12b1の容器12内側周囲に、周壁を有する円板状の部材で、中心部に開口(排気パイプ15貫通用の開口)を有する中間部材25が周壁の先端をろう接されている。そして、絶縁体13が一端を中間部材25の底部に載置するようにして開口部12b1に挿着され、絶縁体13と蓋部12b及び中間部材25がそれぞれろう接されている。中間部材25は、コバール合金を材質としている。
【0026】
円筒形状の絶縁体13は、真空引き装置(不図示)に接続される、大気側先端を封止した排気パイプ15が先端を容器12の内部に突出させて貫通した状態となるように、絶縁体13と排気パイプ15とが中間部材16を介してろう接されている。絶縁体13はアルミナ、排気パイプ15は無酸素銅、中間部材16はコバール合金をそれぞれ材質としている。排気パイプ15の容器12内部側の先端部には、棒状のステンレス鋼(例えば、SUS304)の電極27が長手方向を水平状態にしてその中央部がろう接されている。このとき、絶縁体13の容器12内側に挿入した部分は、中間部材25により覆われているので、容器12の内部への絶縁体の露出が抑えられている。電極27にはその長手方向に沿って溝部が形成されており、当該溝部には、炭素系材料から成る棒状のエミッタ28がX線透過窓21と2〜3mm離して対向する位置となるように、溶接により挿着されている。また、電極27の両端には、ステンレス製の蓋部31a、31bがそれぞれ溶接により装着されている。蓋部31a、31bは、電極27及びエミッタ28の両端面における電界集中緩和のためのキャップである。この両端にとりつけた放電防止用のキャップにより、電子源と容器との耐電圧を保証する。さらに電子源とターゲットの間隔は、電子放出特性とターゲットに照射される電子分布(帯状形態)を決定し、X線発生を効率よく行われる。
【0027】
エミッタ28は、後述する電圧の印加により生じる電界の作用によって、電子を発生する電界放出型のもので、炭素系材料である、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノ構造体、CCNS等で形成されている。
【0028】
次に、本実施形態に係るX線発生装置11の組み立てについて、分解斜視図である図7、組み立て工程図である図8乃至図10を参照して説明する。図8は図7に示すX線発生装置の組み立て工程図(その1)、図9は図7に示すX線発生装置の組み立て工程図(その2)、図10は図7に示すX線発生装置11の組み立て工程の完成斜視図である。
【0029】
X線発生装置11の組み立ては、最初に、蓋部12b、中間部材25、絶縁体13、中間部材16、排気パイプ15及び電極27をろう接する。具体的には、中間部材25は蓋部12bの開口部12b1の容器本体12側に位置し、中間部材25の上に絶縁体13が位置し、絶縁体13を挿通した排気パイプ15の先端が容器本体12の内部に位置するようにして、それぞれろう接する。
【0030】
次に、容器本体12aの底部12a1に形成された開口部12aに、X線透過窓21を容器本体12aの内側からろう接し、さらに容器本体12aの内側からX線透過窓21にターゲットをコーティングする。その後、エミッタ28を電極27に挿着して溶接し、更に電極27の両端に蓋部31a、31bをかぶせ、溶接する。これにより電子源が構成される。次に、蓋部12bを容器本体12aに溶接により装着する。
【0031】
容器本体12aと蓋部12bとの溶接により容器12が一体となった後、真空ポンプ(不図示)により排気パイプ15を通じて容器12の内部を真空排気する。そして、真空排気後に排気パイプ15の真空ポンプ側端部を潰して封止することで、容器12の内部は超高真空状態とすることができる。これにより、エミッタ28から放出された電子を効率よくターゲット22に衝突させ、X線を発生させることができる。そして、X線発生装置11は上述したように、電子放出部であるエミッタ28及び電極27を先端に取り付けた排気パイプ15は、絶縁体13を貫通して挿着されているので、容器12とは絶縁されている。したがって、エミッタ28からターゲット22に向けて放出された電子が、ターゲット22で反射電子となった場合でも、容器本体12a及び蓋部12bから成る真空容器12は金属材質(例えば、ステンレス鋼)であり、更に容器12内に挿入された絶縁体13は中間部材25で覆われているので、容器12を接地電位とすることで、反射電子による容器12内の帯電を防止することができる。
【0032】
次に、図5〜図7を参照して本実施形態に係るX線発生装置11の動作について説明する。排気パイプ15に対して負の高電圧を印加すると、排気パイプ16の先端に取り付けた電極27に設けたエミッタ28から、対向する位置にある接地電位とするターゲット22に向けて電子が放出される。なお、排気パイプ15とは、絶縁体15を間に介しており、真空容器12、X線透過窓21、及び中間部材25は接地電位となる。
【0033】
エミッタ28から放出された電子は、真空容器12内が高真空状態となっているのでターゲット22まで支障なく到達することができる。そのため、ターゲット28に衝突した電子により、ターゲット28からX線を効率よく発生させることができ、X線透過窓21から外部にX線を供給することができる。また、ターゲット28に衝突した電子の一部により、反射電子又は2次電子として容器12内に反射して場合でも、絶縁体13の容器12内に挿入した部分は中間部材25で覆われているので、絶縁体13の帯電を抑えることができる。さらに、容器12及び中間部材25が金属部材で形成されているので、真空容器12及び中間部材を接地電位とすることで、反射電子、2次電子が容器内で帯電することがない。そのため、エミッタ28に印加された高電圧により支障なく電子をターゲットに放出することができ、X線を効果的に発生させることができる。
【0034】
上述したように、本実施形態に係るX線発生装置11は、電子放出部であるエミッタ28及び電極27と、ターゲット22とを収容する真空容器12が金属材質のステンレス鋼で形成され、更に絶縁体13の容器12内に挿入した部分がコバール合金から成る中間部材25で覆われているので、容器12及び中間部材25を接地電位にすることで、容器12内での帯電を抑えることができる。これにより、従来のガラス管容器のX線発生装置に生じていた、多数の電極構成とその保持構造及び、構成電極の複雑な形態を簡素かでき、反射電子又は2次電子の絶縁体への帯電による電極への影響を抑えることができ、安定した電子の放出と、これによるX線の安定した発生を得ることができる。放出電子の方向性と集束性を制御する電子源(電子放出部)である、電極(冷陰極)及びエミッタと、ターゲットを内部に設けた簡単な2電極構造の金属材質の密封容器であるので、簡素化し、かつ安定したX線の発生を得ることができるX線発生装置を提供することができる。
【0035】
以上、本発明のいくつかの実施形態及び各部の変形例を説明したが、この実施形態や各部の変形例は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述したこれら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上、説明したように、本発明に係るX線発生装置は、電子源とターゲットを内部に設けた密封容器が、導電性である金属材料であるから、容器を接地電位とすることで容器内で生じる反射電子、2次電子による帯電を防止することができ、電子放出部からの放出電子を効率よくターゲットに衝突させてX線を発生させることができるので、電子源から放出された電子をターゲットに衝突させて軟X線領域まで波長を有するX線発生装置として有用である。
【符号の説明】
【0037】
11 X線発生装置
12 真空容器
12a 容器本体
12a1 底部
12a2 開口部(第1の開口部)
12b 蓋部
12b1 開口部(第2の開口部)
13 絶縁体
15 排気パイプ
16 中間部材
21 X線透過窓(ベリリウム窓)
22 ターゲット
25 中間部材
27 電極
28 エミッタ
31a、31b 蓋部
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】