(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2019145535
(43)【公開日】20190829
(54)【発明の名称】セラミック積層基板およびセラミック積層基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20190802BHJP
   H05K 1/16 20060101ALI20190802BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20190802BHJP
【FI】
   !H05K3/46 N
   !H05K3/46 H
   !H05K1/16 B
   !H05K1/03 610B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】2018025459
(22)【出願日】20180215
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
【住所又は居所】京都府長岡京市東神足1丁目10番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100158207
【弁理士】
【氏名又は名称】河本 尚志
(72)【発明者】
【氏名】小林 憲史
【住所又は居所】京都府長岡京市東神足1丁目10番1号 株式会社村田製作所内
【テーマコード(参考)】
4E351
5E316
【Fターム(参考)】
4E351AA07
4E351BB09
4E351CC03
4E351CC06
4E351DD04
4E351DD05
4E351GG01
5E316AA02
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5E316DD16
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5E316FF07
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG28
5E316HH11
(57)【要約】
【課題】 積層体に割れや欠けなどの構造欠陥が発生しにくいセラミック積層基板を提供する。
【解決手段】 セラミック基体1a〜1eが積層された積層体2と、貫通孔5a〜5hと金属薄膜6a〜6hとで構成された薄膜ビア8〜12とを備え、薄膜ビア8〜12は、内部に空隙を有し、かつ、少なくとも一方の端部が塞がれた非貫通孔であり、薄膜ビア8〜12の端部に配線導体(外部電極3a、3b、コイル導体4a〜4d)が形成され、配線導体が金属薄膜6a〜6hと接続されたものとする。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセラミック基体が積層された積層体と、
前記積層体の内部に形成された層間接続導体と、を備えたセラミック積層基板であって、
前記層間接続導体は、1層の前記セラミック基体、または、連続した複数層の前記セラミック基体を貫通して形成された貫通孔と、前記貫通孔の内壁に形成された金属薄膜と、を備えた薄膜ビアであり、
前記薄膜ビアは、内部に空隙を有し、かつ、少なくとも一方の端部が塞がれた非貫通孔であり、
前記薄膜ビアの端部と接する位置に配線導体が形成され、
前記配線導体が前記金属薄膜と接続された、セラミック積層基板。
【請求項2】
前記配線導体と前記金属薄膜とが異なる組成からなる、請求項1に記載されたセラミック積層基板。
【請求項3】
前記薄膜ビアの前記貫通孔が、連続した複数層の前記セラミック基体を貫通して形成され、
隣接する前記セラミック基体に形成された前記金属薄膜同士を接続する接続導体が、前記セラミック基体の層間に形成された、請求項1または2に記載されたセラミック積層基板。
【請求項4】
前記薄膜ビアの前記貫通孔が、前記セラミック基体ごとに、径の大きい開口と、径の小さい開口とを有するテーパー形状を有し、
前記接続導体が、隣接する前記セラミック基体に形成された、径の大きい開口部分の前記金属薄膜と、径の小さい開口部分の前記金属薄膜とを接続する、請求項3に記載されたセラミック積層基板。
【請求項5】
前記配線導体はコイル導体を含み、
異なる層間に形成された前記コイル導体同士が前記薄膜ビアによって接続され、コイルが形成された、請求項1ないし4のいずれか1項に記載されたセラミック積層基板。
【請求項6】
最外層に積層されたセラミック基体の外表面に形成された前記配線導体が、外部と接続する外部電極を構成する、請求項1ないし5のいずれか1項に記載されたセラミック積層基板。
【請求項7】
複数のセラミック基体が積層された積層体と、前記積層体の内部に形成された層間接続導体と、を備えたセラミック積層基板の製造方法であって、
前記層間接続導体は、1層の前記セラミック基体、または、連続した複数層の前記セラミック基体を貫通して形成された貫通孔と、前記貫通孔の内壁に形成された金属薄膜とを備え、内部に空隙を有する薄膜ビアであり、
前記セラミック基体となるグリーンシートを作製する工程と、
前記グリーンシートに貫通孔を形成する工程と、
前記グリーンシートに形成した前記貫通孔の内壁に、前記金属薄膜を形成する工程と、
前記グリーンシートの主面に配線導体を形成する工程と、
複数の前記グリーンシートを積層して積層体を作製する工程と、
前記積層体を焼成する工程と、を備えたセラミック積層基板の製造方法。
【請求項8】
前記グリーンシートを積層して積層体を作製する工程において、
前記薄膜ビアの前記貫通孔の少なくとも一方の端部が前記グリーンシートによって塞がれ、当該貫通孔が非貫通孔となる、請求項7に記載されたセラミック積層基板の製造方法。
【請求項9】
前記薄膜ビアの前記貫通孔が、連続した複数層の前記セラミック基体を貫通したものであり、
隣接する前記グリーンシートの前記内壁に形成された前記金属薄膜同士を接続する接続導体を、少なくとも一方の当該グリーンシートの主面に形成する工程をさらに備えた、請求項7または8に記載されたセラミック積層基板の製造方法。
【請求項10】
前記グリーンシートに形成された前記貫通孔が、径の大きい開口と、径の小さい開口とを有するテーパー形状を有し、
前記接続導体が、隣接する前記グリーンシートに形成された、径の大きい開口部分の前記金属薄膜と、径の小さい開口部分の前記金属薄膜とを接続する、請求項9に記載されたセラミック積層基板の製造方法。
【請求項11】
前記接続導体を形成する工程が、前記配線導体を形成する工程と同時におこなわれる、請求項9または10に記載されたセラミック積層基板の製造方法。
【請求項12】
前記配線導体がコイル導体を含み、
前記グリーンシートを積層して積層体を作製する工程において、異なる前記グリーンシートに形成された前記コイル導体同士が前記薄膜ビアによって接続され、コイルが形成される、請求項7ないし11のいずれか1項に記載されたセラミック積層基板の製造方法。
【請求項13】
前記配線導体が外部電極を含み、
前記グリーンシートの主面に配線導体を形成する工程において、最外層に積層される前記グリーンシートの外表面に前記外部電極が形成される、請求項7ないし12のいずれか1項に記載されたセラミック積層基板の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセラミック積層基板に関し、さらに詳しくは、セラミック基体が積層された積層体を備え、積層体に配線導体と層間接続導体が形成されたセラミック積層基板に関する。
【0002】
また、本発明は、本発明のセラミック積層基板を製造するのに適したセラミック積層基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
セラミック基体が積層された積層体を備え、積層体に配線導体と層間接続導体が形成されたセラミック積層基板が、電子機器に広く使用されている。特許文献1(WO2015/152333A1公報)に、そのようなセラミック積層基板が開示されている。図6に、特許文献1に開示されたセラミック積層基板(積層型コイル部品)1000を示す。
【0004】
セラミック積層基板1000は、複数のセラミック基体(絶縁体層)101a〜101hが積層された積層体102を備えている。最外層に積層されたセラミック基体101aの外表面には、1対の外部電極103a、103bが形成されている。
【0005】
セラミック基体101a〜101hの層間には、配線導体としてコイル導体(パターン導体部)104が形成されている。また、セラミック基体101a〜101gには、両主面間を貫通してビア(層間接続導体)105が形成されている。そして、異なる層間に形成されたコイル導体104を、ビア105で順に接続することによって、積層体101の内部にコイル106が形成されている。コイル106は、一端が外部電極103aに接続され、他端が外部電極103bに接続されている。
【0006】
セラミック積層基板1000は、たとえば、次の方法で製造される。まず、セラミック基体101a〜101hとなるセラミックのグリーンシートを作製する。次に、グリーンシートに、必要に応じて、ビア105を形成するための貫通孔を形成する。次に、貫通孔に、ビア105となる導電性ペーストを充填する。次に、グリーンシートの主面に導電性ペーストを塗布し、外部電極103a、103b、コイル導体104となる導電性ペーストパターンを形成する。次に、グリーンシートを所定の順番に積層し、圧着して一体化させ、未焼成の積層体を作製する。最後に、未焼成の積層体を焼成して積層体102を作製し、セラミック積層基板1000が完成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2015/152333A1公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
セラミック積層基板1000には、未焼成の積層体を焼成して積層体102を作製するときに、グリーンシートの収縮率と、貫通孔に充填された導電性ペーストの収縮率とが異なることに起因して、積層体102や、積層体102とビア105との接触部分に割れや欠けなどの構造欠陥が発生する虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した従来の問題を解決するためになされたものであり、その手段として本発明のセラミック積層基板は、複数のセラミック基体が積層された積層体と、積層体の内部に形成された層間接続導体と、を備え、層間接続導体は、1層のセラミック基体、または、連続した複数層のセラミック基体を貫通して形成された貫通孔と、貫通孔の内壁に形成された金属薄膜と、を備えた薄膜ビアであり、薄膜ビアは、内部に空隙を有し、かつ、少なくとも一方の端部が塞がれた非貫通孔であり、薄膜ビアの端部と接する位置に配線導体が形成され、配線導体が金属薄膜と接続されたものとする。
【0010】
配線導体と金属薄膜は、異なる組成からなるものであっても良い。異なる組成は、たとえば、AgとCuのように主成分である金属が異なっている場合を含み、主成分である金属が同じであっても、副成分の有無の違い、副成分の種類の違い、副成分の量の違いなどがある場合も含む。
【0011】
薄膜ビアの貫通孔が、連続した複数層のセラミック基体を貫通して形成されたものである場合は、隣接するセラミック基体に形成された金属薄膜同士を接続する接続導体が、セラミック基体の層間に形成されることも好ましい。この場合には、接続導体によって、隣接するセラミック基体に形成された金属薄膜同士を確実に接続することができる。
【0012】
その場合において、薄膜ビアの貫通孔が、セラミック基体ごとに、径の大きい開口と、径の小さい開口とを有するテーパー形状を有し、接続導体が、隣接するセラミック基体に形成された、径の大きい開口部分の金属薄膜と、径の小さい開口部分の金属薄膜とを接続することも好ましい。この場合には、接続導体によって、隣接するセラミック基体に形成された金属薄膜同士をさらに確実に接続することができる。
【0013】
配線導体がコイル導体を含み、異なる層間に形成されたコイル導体同士が薄膜ビアによって接続され、コイルが形成されることも好ましい。また、最外層に積層されたセラミック基体の外表面に形成された配線導体が、外部と接続する外部電極を構成することも好ましい。
【0014】
また、本発明のセラミック積層基板を製造するのに適した、本発明の積層基板の製造方法は、複数のセラミック基体が積層された積層体と、積層体の内部に形成された層間接続導体と、を備えたセラミック積層基板の製造方法であって、層間接続導体は、1層のセラミック基体、または、連続した複数層のセラミック基体を貫通して形成された貫通孔と、貫通孔の内壁に形成された金属薄膜とを備え、内部に空隙を有する薄膜ビアであり、セラミック基体となるグリーンシートを作製する工程と、グリーンシートに貫通孔を形成する工程と、グリーンシートに形成した貫通孔の内壁に、金属薄膜を形成する工程と、グリーンシートの主面に配線導体を形成する工程と、複数のグリーンシートを積層して積層体を作製する工程と、積層体を焼成する工程と、を備えたものとする。
【0015】
グリーンシートを積層して積層体を作製する工程において、薄膜ビアの貫通孔の少なくとも一方の端部がグリーンシートによって塞がれ、当該貫通孔が非貫通孔となっても良い。すでに、グリーンシートに形成した貫通孔の内壁に金属薄膜が形成されているため、当該貫通孔が非貫通孔になっても、薄膜ビアの貫通孔の内壁に金属薄膜を設けることができる。
【0016】
薄膜ビアの貫通孔が、連続した複数層のセラミック基体を貫通したものである場合は、隣接するグリーンシートの内壁に形成された金属薄膜同士を接続する接続導体を、少なくとも一方の当該グリーンシートの主面に形成する工程をさらに備えることが好ましい。この場合には、接続導体によって、隣接するグリーンシートに形成された金属薄膜同士を確実に接続することができる。
【0017】
その場合において、グリーンシートに形成された貫通孔が、径の大きい開口と、径の小さい開口とを有するテーパー形状を有し、接続導体が、隣接するグリーンシートに形成された、径の大きい開口部分の金属薄膜と、径の小さい開口部分の金属薄膜とを接続することも好ましい。この場合には、接続導体によって、隣接するセラミック基体に形成された金属薄膜同士をさらに確実に接続することができる。なお、接続導体を形成する工程は、配線導体を形成する工程と同時におこなうこともできる。
【0018】
配線導体がコイル導体を含み、グリーンシートを積層して積層体を作製する工程において、異なるグリーンシートに形成されたコイル導体同士が薄膜ビアによって接続され、コイルが形成されることも好ましい。また、配線導体が外部電極を含み、グリーンシートの主面に配線導体を形成する工程において、最外層に積層されるグリーンシートの外表面に外部電極が形成されることも好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明のセラミック積層基板は、層間接続導体が、1層のセラミック基体、または、連続した複数層のセラミック基体を貫通して形成された貫通孔と、貫通孔の内壁に形成された金属薄膜とを備え、内部に空隙を有する薄膜ビアであるため、未焼成の積層体を焼成して積層体を作製するときに、積層体に割れや欠けなどの構造欠陥が発生しにくい。
【0020】
また、本発明の積層基板の製造方法によれば、本発明のセラミック積層基板を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態にかかるセラミック積層基板100を示す斜視図である。
【図2】セラミック積層基板100を示す断面図である。
【図3】セラミック積層基板100のセラミック基体1a〜1eを示す積図である。
【図4】図4(A)、(B)は、それぞれ、セラミック積層基板100の製造方法の一例において実施する工程を示す断面図である。
【図5】図5(C)〜(E)は、図4(B)の続きであり、それぞれ、セラミック積層基板100の製造方法の一例において実施する工程を示す断面図である。
【図6】特許文献1に開示されたセラミック積層基板1000を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面とともに、本発明を実施するための形態について説明する。
【0023】
なお、各実施形態は、本発明の実施の形態を例示的に示したものであり、本発明が実施形態の内容に限定されることはない。また、図面は、明細書の理解を助けるためのものであって、模式的に描画されている場合があり、描画された構成要素または構成要素間の寸法の比率が、明細書に記載されたそれらの寸法の比率と一致していない場合がある。また、明細書に記載されている構成要素が、図面において省略されている場合や、個数を省略して描画されている場合などがある。
【0024】
図1、図2、図3に、実施形態にかかるセラミック積層基板100を示す。ただし、図1は、セラミック積層基板100の斜視図である。図2は、セラミック積層基板100の断面図である。図3は、セラミック積層基板100のセラミック基体1a〜1eを示す積図である。なお、断面図である図2は、図1および図3にそれぞれ示す、一点鎖線X-X部分を示している。
【0025】
セラミック積層基板100は、上から順にセラミック基体1a、1b、1b、1d、1eが積層された積層体2を備えている。積層体2(セラミック基体1a〜1e)の材質は任意であるが、たとえば磁性体セラミックや非磁性体セラミックによって作製することができる。
【0026】
セラミック基体1aの上側主面に、配線導体として、1対の外部電極3a、3bが形成されている。
【0027】
外部電極3a、3bの形状、大きさなどは任意であるが、たとえば長方形に形成されている。外部電極3a、3bの材質も任意であるが、たとえば、銀、銅、銀を含む合金、銅を含む合金などによって作製することができる。外部電極3a、3bの表面に、めっき層を形成しても良い。また、配置される外部電極の数も2つに制限されず、単数あるいは複数であっても良い。
【0028】
セラミック基体1bの上側主面に、配線導体として、コイル導体4aが形成されている。同様に、セラミック基体1cの上側主面に、配線導体として、コイル導体4bが形成されている。セラミック基体1dの上側主面に、配線導体として、コイル導体4cが形成されている。セラミック基体1eの上側主面に、配線導体として、コイル導体4dが形成されている。コイル導体4a〜4dは積層体2内部で接続され、積層方向に対し平行な巻回軸を有する螺旋状のコイルが形成されている。
【0029】
コイル導体4a〜4dの形状、長さなどは任意である。コイル導体4a〜4dの材質も任意であるが、たとえば、銀、銅、銀を含む合金、銅を含む合金などによって作製することができる。
【0030】
セラミック基体1aを積層方向に貫通して、貫通孔5aが形成されている。貫通孔5aは、外部電極3aの形成領域内に形成されている。また、貫通孔5aは、セラミック基体1bに形成されたコイル導体4aの一端の直上に形成されている。貫通孔5aは、上側の開口の直径が下側の開口の直径よりも大きく、テーパー形状を有している。貫通孔5aの内壁に、金属薄膜6aが形成されている。貫通孔5aと金属薄膜6aとで、薄膜ビア8が構成されている。薄膜ビア8は、内部に空隙を有している。
【0031】
セラミック基体1bを貫通して、貫通孔5bが形成されている。貫通孔5bは、コイル導体4aの他端に形成されている。また、貫通孔5aは、セラミック基体1cに形成されたコイル導体4bの一端の直上に形成されている。貫通孔5bは、上側の開口の直径が下側の開口の直径よりも大きく、テーパー形状を有している。貫通孔5bの内壁に、金属薄膜6bが形成されている。貫通孔5bと金属薄膜6bとで、薄膜ビア9が構成されている。薄膜ビア9は、内部に空隙を有している。
【0032】
セラミック基体1cを貫通して、貫通孔5cが形成されている。貫通孔5cは、コイル導体4bの他端に形成されている。また、貫通孔5cは、セラミック基体1dに形成されたコイル導体4cの一端の直上に形成されている。貫通孔5cは、上側の開口の直径が下側の開口の直径よりも大きく、テーパー形状を有している。貫通孔5cの内壁に、金属薄膜6cが形成されている。貫通孔5cと金属薄膜6cとで、薄膜ビア10が構成されている。薄膜ビア10は、内部に空隙を有している。
【0033】
セラミック基体1dを貫通して、貫通孔5dが形成されている。貫通孔5dは、コイル導体4cの他端に形成されている。また、貫通孔5dは、セラミック基体1eに形成されたコイル導体4dの一端の直上に形成されている。貫通孔5dは、上側の開口の直径が下側の開口の直径よりも大きく、テーパー形状を有している。貫通孔5dの内壁に、金属薄膜6dが形成されている。貫通孔5dと金属薄膜6dとで、薄膜ビア11が構成されている。薄膜ビア11は、内部に空隙を有している。
【0034】
セラミック基体1aを貫通して貫通孔5eが形成され、セラミック基体1bを貫通して貫通孔5fが形成され、セラミック基体1cを貫通して貫通孔5gが形成され、セラミック基体1dを貫通して貫通孔5hが形成されている。貫通孔5e〜5hは、積層体2を平面視した場合に、外部電極3bの形成領域内の同じ位置に、重ねて形成されている。また、貫通孔5e〜5hは、セラミック基体1eに形成されたコイル導体4dの他端の直上に形成されている。貫通孔5e〜5hは、それぞれ、上側の開口の直径が下側の開口の直径よりも大きく、テーパー形状を有している。貫通孔5eの内壁に金属薄膜6eが形成され、貫通孔5fの内壁に金属薄膜6fが形成され、貫通孔5gの内壁に金属薄膜6gが形成され、貫通孔5hの内壁に金属薄膜6hが形成されている。
【0035】
セラミック基体1aの下側主面の貫通孔5eの下側の開口部分に、接続導体7aが形成されている。同様に、セラミック基体1bの下側主面の貫通孔5fの下側の開口部分に、接続導体7bが形成されている。セラミック基体1cの下側主面の貫通孔5gの下側の開口部分に、接続導体7cが形成されている。
【0036】
貫通孔5e〜5hを繋ぐ長い貫通孔と、金属薄膜6e〜6hとで、薄膜ビア12が構成されている。ただし、金属薄膜6eと金属薄膜6fは、接続導体7aを介して接続されている。同様に、金属薄膜6fと金属薄膜6gは、接続導体7bを介して接続されている。金属薄膜6gと金属薄膜6hは、接続導体7cを介して接続されている。薄膜ビア12は、内部に空隙を有している。
【0037】
金属薄膜6a〜6hは、貫通孔5a〜5hの内壁部分に形成され、1μmから3μm程度の厚さを備えている。金属薄膜6a〜6hの材質は任意であるが、たとえば、銀、銅、銀を含む合金、銅を含む合金などによって作製することができる。
【0038】
薄膜ビア8(貫通孔5a、金属薄膜6a)が、外部電極3aとコイル導体4aの一端とを接続している。薄膜ビア8は、上側の開口が外部に露出し、下側の開口がセラミック基体1bによって塞がれた有底孔である。
【0039】
薄膜ビア9(貫通孔5b、金属薄膜6b)が、コイル導体4aの他端とコイル導体4bの一端とを接続している。薄膜ビア9は、上側の開口がセラミック基体1aによって塞がれ、下側の開口がセラミック基体1cによって塞がれた密閉孔である。
【0040】
薄膜ビア10(貫通孔5c、金属薄膜6c)が、コイル導体4bの他端とコイル導体4cの一端とを接続している。薄膜ビア10は、上側の開口がセラミック基体1bによって塞がれ、下側の開口がセラミック基体1dによって塞がれた密閉孔である。
【0041】
薄膜ビア11(貫通孔5d、金属薄膜6d)が、コイル導体4cの他端とコイル導体4dの一端とを接続している。薄膜ビア11は、上側の開口がセラミック基体1cによって塞がれ、下側の開口がセラミック基体1eによって塞がれた密閉孔である。
【0042】
薄膜ビア12(貫通孔5e〜5h、金属薄膜6e〜6h)が、外部電極3bとコイル導体4dの他端とを接続している。薄膜ビア12は、上側の開口が外部に露出し、下側の開口がセラミック基体1eによって塞がれた有底孔である。
【0043】
この結果、セラミック積層基板100は、外部電極3aと外部電極3bとの間に、薄膜ビア8、コイル導体4a、薄膜ビア9、コイル導体4b、薄膜ビア10、コイル導体4c、薄膜ビア11、コイル導体4d、薄膜ビア12を順に繋いだコイル13が構成されている。
【0044】
セラミック積層基板100は、たとえば、図4(A)〜図5(E)に示す方法で製造することができる。
【0045】
まず、図4(A)に示すように、セラミック基体1a〜1eを形成するためのセラミックのグリーンシート51a〜51eを作製する。グリーンシート51a〜51eは、たとえば磁性体のセラミック粉末に、バインダー、溶剤を添加してスラリーを作製し、作製されたスラリーを、たとえばドクターブレード法によって膜状にすることによって作製する。
【0046】
次に、図4(B)に示すように、グリーンシート51a〜51dに、貫通孔5a〜5hを形成する。貫通孔5a〜5hは、たとえば、レーザー光の照射によって形成する。貫通孔5a〜5hは、それぞれ、上側の開口の直径が下側の開口の直径よりも大きいテーパー形状に形成される。テーパー形状の傾斜等は、レーザー光を照射する条件を選定することによって、調整することができる。
【0047】
次に、図5(C)に示すように、貫通孔5a〜5hの内壁に、金属薄膜6a〜6hを形成する。金属薄膜6a〜6hは、薄膜技術によって形成する。具体的には、金属薄膜6a〜6hは、たとえばスパッタリング法によって形成する。ただし、使用する薄膜技術はスパッタリング法には限定されず、蒸着法、めっき法などであっても良い。薄膜技術を用いることにより、貫通孔の内壁部に満遍なく金属膜を形成することができる。
【0048】
次に、図5(D)に示すように、グリーンシート51aの上側主面に外部電極3a、3b、グリーンシート51b〜51eの上側主面にコイル導体4a〜4d、グリーンシート51a〜51cの下側主面に接続導体7a〜7cを形成する。外部電極3a、3b、コイル導体4a〜4d、接続導体7a〜7cの形成方法は任意であるが、たとえば、導電性ペーストをスクリーン印刷することによって形成することができる。
【0049】
接続導体7a〜7cは、グリーンシート51a〜51eの上側主面と下側主面を導通させるよう金属薄膜6e〜6hに接している。
【0050】
また、接続導体7a〜7cは、貫通孔5e〜5gの下側主面の開口部において、貫通孔5f〜5hの上側主面の開口部よりも大きいことが望ましい。具体的には、積層方向から見て、上側主面の開口部を覆うように形成されることで、グリーンシート51a〜51eが積層された際に、接続導体7a〜7cに接する金属薄膜6f〜6hの上側主面の開口部と広い範囲で接することができる。
【0051】
次に、図5(E)に示すように、グリーンシート51a〜51eを積層し、圧着して、未焼成の積層体52を作製する。この結果、未焼成の積層体52の内部に、薄膜ビア8〜12が形成される。
【0052】
最後に、未焼成の積層体52を、所定のプロファイルで焼成して、セラミック積層基板100が完成する。
【0053】
セラミック積層基板100は、層間接続導体として薄膜ビア8〜12を使用しているため、従来の貫通孔に導電性ペーストを充填して焼成したビアのように、グリーンシートの収縮率と導電性ペーストの収縮率とが異なることに起因して、焼成時に積層体に割れや欠けなどの構造欠陥が発生する虞が小さい。これは薄膜ビア8〜12が、貫通孔5a〜5hの内壁に金属薄膜6a〜6hを形成したものであり、かつ、内部に空隙を有するからである。
【0054】
焼成時に、グリーンシート51a〜51eが熱収縮を起こした場合、貫通孔5a〜5hは穴の大きさが拡がるように応力がかかる。しかしセラミック積層基板100では、金属薄膜6a〜6hは内部に空隙を有するため、金属が充填されていた場合に比べ柔軟性が高く、応力がかかることを緩和する。したがって、できあがった積層体2(セラミック基体1a〜1e)に、割れや欠けなどの構造欠陥が発生しにくい。
【0055】
また、セラミック積層基板100は、薄膜ビア12において、金属薄膜6eと金属薄膜6fとを接続導体7aを介して接続し、金属薄膜6fと金属薄膜6gとを接続導体7bを介して接続し、金属薄膜6gと金属薄膜6hとを接続導体7cを介して接続しているため、金属薄膜6eと金属薄膜6fとの接続、金属薄膜6fと金属薄膜6gとの接続、金属薄膜6gと金属薄膜6hとの接続が、それぞれ確実になっている。
【0056】
また、セラミック積層基板100は、薄膜ビア8、12が有底孔であり、薄膜ビア9〜11が密閉孔であるが、上記の製造方法では、予めグリーンシート51a〜51dの段階で貫通孔5a〜5hの内壁に金属薄膜6a〜6hを形成しているため、品質の高い薄膜ビア9〜11を形成することが可能になっている。すなわち、積層体の内部に形成された密閉孔の内壁に後から金属薄膜を形成することは不可能であり、また、積層体の主面に露出した有底孔の内壁に後から金属薄膜を形成すると品質の低い金属薄膜になる虞があるが、上記の製造方法では、予めグリーンシート51a〜51dの段階で、貫通孔5a〜5hの内壁に金属薄膜6a〜6hを形成しているため、金属薄膜6a〜6hの品質が高くなっている。
【0057】
以上、実施形態にかかるセラミック積層基板100について説明した。しかしながら、本発明が上述した内容に限定されることはなく、発明の趣旨に沿って、種々の変更をなすことができる。
【0058】
たとえば、セラミック積層基板100では、積層体2(セラミック基体1a〜1e)の材質に磁性体セラミックを使用したが、積層体2の材質は磁性体セラミックには限定されない。たとえば、絶縁体セラミック、半導体セラミック、誘電体セラミック、圧電体セラミックなどを使用しても良く、セラミック基体ごとに異なる材質のセラミックを使用しても良い。
【0059】
また、セラミック積層基板100では、積層体2の内部にコイルを構成したが、本発明においてコイルは必須のものではない。また、積層体2の内部に、コイルに代えて、あるいはコイルとともに、配線、抵抗、コンデンサなどを構成しても良い。
【0060】
また、セラミック積層基板100の主面に、他の電子部品を実装できるように実装用電極を形成しても良い。
【0061】
また、セラミック積層基板100の主面に他の電子部品を実装して、電子モジュールを構成しても良い。
【符号の説明】
【0062】
1a、1b、1c、1d、1e・・・セラミック基体
2・・・積層体
3a、3b・・・外部電極
4a、4b、4c、4d・・・コイル導体
5a、5b、5c、5d、5e、5f、5g、5h・・・貫通孔
6a、6b、6c、6d、6e、6f、6g、6h・・・金属薄膜
7a、7b、7c・・・接続導体
8、9、10、11、12・・・薄膜ビア
13・・・コイル
51a、51b、51c、51d、51e・・・セラミックのグリーンシート
52・・・未焼成の積層体
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】