(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2019145576
(43)【公開日】20190829
(54)【発明の名称】放熱筐体構造
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20190802BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20190802BHJP
   H05K 5/00 20060101ALI20190802BHJP
【FI】
   !H05K7/20 B
   !H05K5/02 M
   !H05K5/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】2018026183
(22)【出願日】20180216
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
(71)【出願人】
【識別番号】594183299
【氏名又は名称】株式会社松尾製作所
【住所又は居所】愛知県名古屋市南区荒浜町五丁目21番地
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】特許業務法人 小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾関 明弘
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 勇哉
【住所又は居所】愛知県大府市北崎町井田27番地1 株式会社松尾製作所内
【テーマコード(参考)】
4E360
5E322
【Fターム(参考)】
4E360AA02
4E360AB12
4E360AB59
4E360EE03
4E360GA24
4E360GA53
4E360GB97
4E360GC02
4E360GC08
5E322AA03
5E322AA11
5E322AB11
5E322EA11
5E322FA04
(57)【要約】
【課題】様々な発熱素子の形状や配置に対応でき、効率的に放熱が可能な放熱筐体を提供する。
【解決手段】放熱筐体構造1は、発熱素子11〜14が実装された基板10を格納するためのものである。放熱筐体構造1は、発熱素子11〜14に対応した位置に凹部15〜17を有する樹脂性の筐体3と、筐体3の凹部15〜17に沿って折り曲げられ、筐体3と一体化された金属板8とを備える。放熱筐体構造1においては、金属板8の曲げ形状や配置を工夫することにより、発熱素子11〜14の形状や配置にかかわらず、発熱素子11〜14の熱を、金属板5〜7及び筐体3を介して効率的に放熱することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱素子が実装された基板を格納する放熱筐体構造であって、
前記発熱素子に対応した位置に凹部を有する樹脂性の筐体と、
前記筐体の前記凹部に沿って折り曲げられ、前記筐体と一体化された金属板とを備える、放熱筐体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱素子が実装された電子基板を格納するために用いられる放熱筐体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、熱伝導性樹脂からなるケース本体に、熱伝導性樹脂より靱性が高い補強材をインサート成形した構造体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−025216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱伝導性の高い樹脂とアルミニウム等の金属板を組み合わせて電子基板の筐体を構成する場合、発熱素子から筐体への熱拡散性を向上させるために、樹脂と発熱素子との間に介在させる金属板を発熱素子の表面全体を覆うように配置することが好ましい。この場合、絞り加工により、発熱素子の表面形状に合うように金属板を加工することが考えられる。
【0005】
しかしながら、近接する発熱素子の高さの違いや密集の程度によっては、絞り加工で金属板を加工することが難しい。また、絞り加工の場合、発熱素子の側面を覆う部分の金属板の肉厚が減少し、熱伝導性が悪化する。
【0006】
それ故に、本発明は、様々な発熱素子の形状や配置に対応でき、効率的に放熱が可能な放熱筐体構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、発熱素子が実装された基板を格納する放熱筐体構造に関するものであって、発熱素子に対応した位置に凹部を有する樹脂性の筐体と、筐体の凹部に沿って折り曲げられ、筐体と一体化された金属板とを備えるものである。
【0008】
本発明に係る放熱筐体構造は、樹脂性の筐体と金属板とを一体化したものであるが、金属板は、発熱素子を収容する凹部に沿って曲げ加工されている。したがって、折り曲げ形状を工夫することにより様々な発熱素子の形状や配置に対応できる。また、曲げ加工で金属板を形成した場合、絞り加工で形成した場合と比べて、放熱樹脂の側面を覆う部分の金属板の肉厚減少が抑制されるため、熱伝導性を向上できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、様々な発熱素子の形状や配置に対応でき、効率的に放熱が可能な放熱筐体構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係る放熱筐体構造の一例を示す平面図
【図2】図1に示したA−A’線に沿う断面図
【図3】図1に示したB−B’線に沿う断面図
【図4】図1に示したC−C’線に沿う断面図
【図5】図1に示したD−D’線に沿う断面図
【図6】曲げ加工した金属板と絞り加工した金属板の肉厚の差を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(概要)
本発明に係る放熱筐体構造は、樹脂性の筐体の発熱素子に対応する位置に凹部を設け、凹部内面に沿うように曲げ加工した金属板を筐体と一体化して構成したものである。発熱素子の熱を筐体に拡散するための金属板が、曲げ加工により形成されていることにより、絞り加工に伴う絞り形状の制約や側面部の肉厚減少を回避し、金属板から筐体への熱伝導性を向上させる。
【0012】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る放熱筐体構造の一例を示す平面図であり、図2、図3、図4及び図5は、それぞれ、図1に示したA−A’線、B−B’線、C−C’線及びD−D’線に沿う断面図である。
【0013】
放熱筐体構造1は、表面に発熱素子11〜14が実装された基板10を格納するためのものである。本実施形態では、基板10の裏面側には蓋体2が設けられ、放熱筐体構造1と蓋体2との間に形成される空間に基板10が収容されている。また、本実施形態では、基板10に実装された発熱素子の数を4個としているが、基板10に実装される素子の数は特に限定されない。
【0014】
放熱筐体構造1は、樹脂からなる筐体3と金属板8とを備える。
【0015】
筐体3は、放熱部材となる熱伝導性の高い樹脂で形成され、同じ素材で一体成型されたフィン4を介して放熱する。筐体3の内側面(基板10を格納する側)の発熱素子11〜14に対応する位置には、凹部15〜17が設けられている。
【0016】
金属板8は、金属板からなり、例えばインサート成形により筐体3と一体化されている。金属板8には、コの字型の切り込みまたは切欠が形成されており、切り込みまたは切欠で囲まれた部分を折り曲げることによって折曲部5〜7が形成されている。折曲部5〜7は、それぞれ、筐体3の内側面に設けられた凹部15〜17の内面に沿った状態となっている。本実施形態では、筐体3への熱伝導性を向上させるため、金属板8は、基板10の略全面を覆うことができる寸法に形成されている。
【0017】
折曲部5は、図1〜図3に示すように、発熱素子11の上面及び対向する2つの側面(図1における右側の側面及び左側の側面)に沿う形状に曲げ加工されたものである。折曲部5は、フィン4の直下において、折曲部5の長手方向とフィン4の延伸方向とが一致するように配置されている。折曲部5をこのように配置することにより、発熱素子11から発せられた熱を効率的にフィン4へと拡散させ、放熱筐体構造1の放熱性を向上させることができる。
【0018】
折曲部6は、図1及び図4に示すように、曲げ形状が図3に示した折曲部5とは異なり、発熱素子12及び14の上面と、発熱素子12の1つの側面(図1における左側の側面)とを覆うように曲げ加工されている。また、折曲部6は、フィン4の直下において、お6の長手方向がフィン4の延伸方向と一致するように配置されている。この折曲部6の配置により、発熱素子12の熱を、折曲部6を介して効率的にフィン4へと拡散させることができる。図4に示した折曲部6は、発熱素子12及び14が基板10の外周部分に配置されている場合や、発熱素子12または14に隣接して障害物がある場合に有効である。
【0019】
折曲部7は、図1及び図5に示すように、折曲部7の配置が図1に示した折曲部5とは異なる。基板10上に実装された発熱素子13は、発熱素子11と比べてサイズが小さく、かつ、筐体3の形状の設計上の制約により、フィン4の直下に配置することができない。
【0020】
そこで、折曲部7の長手方向がフィン4の延伸方向と直交するように折曲部7を配置している。この折曲部7の配置により、発熱素子13の熱を、折曲部7を介してフィン4へと効率的に拡散させることができる。
【0021】
発熱素子11〜14の表面と放熱筐体構造1との間は、放熱グリス等の熱伝導材9により熱的に接続され、発熱素子11〜14から放熱筐体構造1への熱伝導が促進されている。
【0022】
図6は、曲げ加工した金属板と絞り加工した金属板の肉厚の差を示す図である。図6において、実線は曲げ加工した金属板の断面形状を示し、破線は絞り加工した金属板の断面形状を示す。
【0023】
図6に破線で示すように、板厚tの金属板を絞り加工すると、絞り部の肉厚は曲げ加工した場合の0.75〜0.85倍に減少してしまう。本実施形態では、曲げ加工により折曲部5〜7を形成しているので、折曲部5〜7の肉厚減少を低減し、熱伝導性の低下を抑制することができる。
【0024】
(効果等)
以上説明したように、本実施形態に係る放熱筐体構造1では、発熱素子11〜14から筐体3への熱拡散を促進するための金属板8が筐体と一体化されており、金属板8に設けられた折曲部5〜7が、筐体3の凹部15〜17に沿うように配置されている。金属板8は折り曲げ加工により形成できるため、絞り加工により金属板を形成できないような発熱素子11〜14の形状や配置の制約がある場合でも、曲げ形状や配置を工夫することにより、発熱素子11〜14からの熱拡散を促進するための金属板8を形成できる。また、金属板8の折曲部5〜7を曲げ加工で形成するため、絞り加工した場合に生じる肉厚減少が抑制される。したがって、本発明によれば、発熱素子の形状や配置にかかわらず、発熱素子11〜14の熱を金属板8を介して効率的に放熱可能な放熱筐体構造1を提供できる。
【0025】
また、筐体3の形状の制約からフィン4の直下に発熱素子13を配置できない場合でも、折曲部7の配置を工夫することにより、金属板7から筐体3のフィン4へと効率的に熱を拡散させることができる。
【0026】
(その他の変形例)
上記の実施形態に係る放熱筐体構造では、1枚の金属板が基板のほぼ全面を覆うように構成されているが、発熱素子の部位毎に金属板を分割して配置した放熱筐体構造を構成してもよい。また、1枚の金属板に設ける折曲部の数は任意である。
【0027】
また、実施形態に係る放熱筐体構造では、切り起こしによって折曲部が形成されているが、基板上の発熱素子に対応した形状を形成することができれば、切り起こし以外の手法で金属板を曲げ加工しても良い。
【0028】
また、筐体のサイズに対して発熱素子の発熱量が大きい場合は、放熱筐体構造に強制空冷ファンを設けても良い。この場合、放熱フィンに最も効果的に熱拡散できるように金属板(折曲部)の曲げ形状や配置を工夫することにより、強制空冷ファンの冷却風を用いた放熱効果を最大限活用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、発熱素子が実装された基板を格納するために用いられる放熱筐体構造として利用できる。
【符号の説明】
【0030】
1 放熱筐体構造
3 筐体
4 フィン
5、6、7 折曲部
8 金属板
9 熱伝導材
10 基板
11、12、13、14 発熱素子
15、16、17 凹部
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】