第1面と、前記第1面と反対側の第2面と、前記第1面及び前記第2面と繋がる第3面と、を備える透光性部材と、前記透光性部材の第2面と対向して配置される蛍光体層と、を備える第1部材を準備する工程と、
第1誘電体多層膜が少なくとも1つの側面に配置された発光素子を基台に実装する工程と、
前記発光素子と、前記第1部材と、を接合する工程と、
前記蛍光体層の側面及び前記透光性部材の第3面の少なくとも一部を覆うように、反射部材を設ける工程と、を含む発光装置の製造方法。
第1面と、前記第1面と反対側の第2面と、前記第1面及び前記第2面と繋がる第3面と、を備える透光性部材と、前記透光性部材の前記第2面と対向して配置される蛍光体層と、前記蛍光体層と対向して配置される発光素子と、前記発光素子の少なくとも1つの側面に配置された第1誘電体多層膜と、を備える第2部材を準備する工程と、
前記第2部材の前記発光素子を基台に実装する工程と、
前記蛍光体層の側面及び前記透光性部材の前記第3面の少なくとも一部を覆うように、反射部材を設ける工程と、を含む発光装置の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】第1実施形態に係る発光装置の構成を示す平面図である。
【図1B】第1実施形態に係る発光装置の図1AにおけるIB−IB線での断面図である。
【図2A】第1実施形態に係る発光装置の変形例の構成を示す断面図である。
【図2B】第1実施形態に係る発光装置の変形例の構成を示す断面図である。
【図2C】第1実施形態に係る発光装置の変形例の構成を示す断面図である。
【図3】第1実施形態に係る発光装置の製造方法の手順を示すフローチャートである。
【図4A】第1実施形態に係る発光装置の製造方法における第2誘電体多層膜形成工程を示す断面図である。
【図4B】第1実施形態に係る発光装置の製造方法における蛍光体層形成工程を示す断面図である。
【図4C】第1実施形態に係る発光装置の製造方法における透光性部材個片化工程を示す断面図である。
【図5A】第1実施形態に係る発光装置の製造方法における発光素子実装工程を示す断面図である。
【図5B】第1実施形態に係る発光装置の製造方法における第1部材接合工程を示す断面図である。
【図5C】第1実施形態に係る発光装置の製造方法における反射部材配置工程を示す断面図である。
【図6】第1実施形態に係る発光装置の製造方法の変形例を示すフローチャートである。
【図7A】第1実施形態に係る発光装置の製造方法の変形例における第2誘電体多層膜形成工程を示す断面図である。
【図7B】第1実施形態に係る発光装置の製造方法の変形例における蛍光体層形成工程を示す断面図である。
【図7C】第1実施形態に係る発光装置の製造方法の変形例における発光素子載置工程を示す断面図である。
【図7D】第1実施形態に係る発光装置の製造方法の変形例における透光性部材個片化工程を示す断面図である。
【図8A】第1実施形態に係る発光装置の製造方法の変形例における発光素子実装工程を示す断面図である。
【図8B】第1実施形態に係る発光装置の製造方法の変形例における反射部材配置工程を示す断面図である。
【図9A】第2実施形態に係る発光装置の構成を示す平面図である。
【図9B】第2実施形態に係る発光装置の図9AにおけるIXB−IXB線での断面図である。
【図10A】第3実施形態に係る発光装置の構成を示す平面図である。
【図10B】第3実施形態に係る発光装置の図10AにおけるXB−XB線での断面図である。
【図11】第3実施形態に係る発光装置の製造方法の手順を示すフローチャートである。
【図12A】第4実施形態に係る発光装置の構成を示す断面図である。
【図12B】第4実施形態に係る発光装置の変形例の構成を示す断面図である。
【図12C】第4実施形態に係る発光装置の変形例の構成を示す断面図である。
【図13】発光波長と光強度との関係を示す図である。
【図14A】実施例1の上面図である。
【図14B】指向角とx座標の変位との関係を示す図である。
【図14C】指向角とy座標の変位との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態に係る発光装置、及びその製造方法について説明する。なお、以下の説明において参照する図面は、実施形態を概略的に示したものであるため、各部材のスケールや間隔、位置関係などが誇張、あるいは、部材の一部の図示が省略されている場合がある。また、平面図とその断面図において、各部材のスケールや間隔が一致しない場合もある。また、以下の説明では、同一の名称及び符号については原則として同一又は同質の部材を示しており、詳細な説明を適宜省略することとする。また、本明細書において、「上」、「下」などは構成要素間の相対的な位置を示すものであって、絶対的な位置を示すことを意図したものではない。なお、本明細書において、反対側とは、第1面を表面とした場合に、表面に対する裏面である第2面を指すものとする。
【0016】
第1実施形態
発光装置の構成
まず、図1A及び図1Bを参照して、第1実施形態に係る発光装置100の構成について説明する。図1Aは、第1実施形態に係る発光装置の構成を示す平面図であり、図1Bは、図1AのIB−IB線における第1実施形態に係る発光装置の構成を示す断面図である。なお、図1Aは、図1Bの断面図において各部材に施したハッチングに対応させて、同じハッチングを記載している。
【0017】
発光装置100は、第1面と、第1面と反対側の第2面と、第1面及び第2面と繋がる第3面と、を備える透光性部材3と、透光性部材3の第2面と対向して配置される蛍光体層4と、蛍光体層4の側面及び透光性部材3の第3面と対向して配置される反射部材6と、蛍光体層4と対向して配置される発光素子1と、発光素子1の少なくとも1つの側面に配置される第1誘電体多層膜7aと、を備える。発光装置100は、発光素子1と対向する蛍光体層4の接合面には、第1誘電体多層膜7aが形成されていない。発光素子1は例えば基台2に配置される。
【0018】
発光素子1は、第1面と、第1面と反対側の第2面と、第1面及び第2面と繋がる第3面と、を備える。発光素子1は、ここでは、第1面が上面であり、第2面が下面であり、第3面が側面である。発光素子1の第1面は、蛍光体層4と対向して配置され、発光素子1の第2面は、基台2における凹部23aの底面23b上に配置され、発光素子1の第3面は、第1誘電体多層膜7aが配置される。この発光素子1は、基台2に配置される配線と電気的に接続されて、近紫外線乃至青色光を出射する。ここで、近紫外線乃至青色光とは、近紫外から青色までの波長範囲の色の光である。
【0019】
発光素子1は、平面視において、略正方形である。なお、平面視において、透光性部材3や蛍光体層4も例えば大きさが異なるが発光素子1と同様の形状である。発光素子1は、平面視において、蛍光体層4と同じ面積あってもよいし、蛍光体層4より小さい面積であってもよい。なお、発光素子1は、平面視において、四角形に形成されているが、三角形、六角形、等の多角形であってもよいし、円形、楕円形、等であってもよい。
【0020】
基台2は、第1壁部21〜第4壁部24により囲まれて凹部23aを有し、平面視において、凹部23aの内側となる内部形状が略正方形に形成されている。基台2は、平面視において、外部形状も四角形に形成されている。基台2の第1壁部21、第2壁部22、第3壁部23は、第4壁部24よりも薄く形成されている。なお、平面視において、発光素子1は、発光素子1の各側面が基台2の角部分に対向するように配置されているが、各壁部に対向するように配置されてもよい。発光素子1の側面を凹部23aの角部分に対向させることにより、側面から基台2までの距離を長くすることができ、反射部材6で反射する光の割合を高めることができる。
基台2は、例えば、セラミックス、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、等の材料によって形成される。なお、基台2は、凹部23aを有さない平板状であってもよい。
【0021】
透光性部材3は、平板状であり、第1面と、第1面と反対側の第2面と、第1面及び第2面と繋がる第3面と、を備える。透光性部材3は、第1面が上面であり、第2面が下面であり、第3面が側面である。透光性部材3の第2面は、蛍光体層4と対向して配置され、透光性部材3の第3面には、反射部材6が対向して形成されている。また、透光性部材3の第2面と蛍光体層4との間には、第2誘電体多層膜7bが配置されている。第2誘電体多層膜7bを設けることで蛍光体層4を透過した発光素子1からの光を外部に略漏らすことなく、蛍光体層4に戻すことができ、発光素子1からの光を効率良く蛍光体層4で波長変換することができる。
なお、誘電体多層膜は角度や波長によって光を透過することもある。そのため、透光性部材や蛍光体層の全てを誘電体多層膜で被覆するよりも、所定の箇所を誘電体多層膜で覆わない構成とする方が、誘電体多層膜を透過した光を有効に活用することができる。
透光性部材3は、良好な透光性(光透過率が60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上)を有する材料によって形成されることが好ましく、当該材料としては、例えば、ガラス、セラミックス、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、等が挙げられる。
【0022】
蛍光体層4は、例えば、接合部材8を介して発光素子1と接合され、発光素子1が出射する近紫外線乃至青色光の少なくとも一部を吸収して青緑乃至赤色光を出射する。ここで、青緑乃至赤色光とは、青緑色から赤色までの波長範囲の色の光である。発光素子1が出射する近紫外線乃至青色光が、蛍光体層4に多く入射する程、蛍光体層4は、蛍光体を効率良く励起させて、青緑乃至赤色光を、多く出射することができる。ただし、発光装置から出射される光において、発光素子からの光を少なくし、蛍光体層からの光を多くした、黄赤色乃至赤色光が好ましい。発光装置から出射される青色光を極力低減し、黄赤乃至赤色光とすることで視認性を高めることができる。発光素子からの光を少なくする点においては、発光装置の発光スペクトルにおいて、発光素子に起因する光の積分値が、蛍光体層に起因する光の積分値に対して10%以下、好ましくは5%以下である。なお、発光素子の発光ピーク波長が420nmより短波長側であると、発光素子からの光を視認しづらいため、発光装置の発光スペクトルにおいて、発光素子に起因する光の積分値が、蛍光体層に起因する光の積分値に対して20%以下であってもよい。
【0023】
蛍光体層4の母材は、良好な透光性を有する材料であることが好ましく、当該材料としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、これらの変性樹脂、これらのハイブリッド樹脂、等が挙げられる。特に、シリコーン樹脂は、耐候性、耐熱性及び耐光性に優れるため、蛍光体層4の母材として用いられることが好ましい。なお、蛍光体層4は、蛍光体と母材とを混合することで形成されてもよいし、蛍光体のみで形成されてもよい。
【0024】
蛍光体層4が含有する蛍光体は、発光素子1が出射する近紫外線乃至青色光の少なくとも一部を吸収して青緑乃至赤色光を出射する材料である。蛍光体の材料としては、例えば、CaAlSiN
3:Eu蛍光体(「CASN蛍光体」)、(Sr,Ca)AlSiN
3:Eu蛍光体(「SCASN蛍光体」)、K
2SiF
6:Mn蛍光体(「KSF蛍光体」)、等、又は、これらの組合せ等が挙げられる。
また、青色発光素子と組み合わせて白色発光とする場合、蛍光体の材料としては、セリウムで付括されたYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)の蛍光体及びLAG(ルテチウム・アルミニウム・ガーネット)の蛍光体、シリケート蛍光体等が挙げられる。
【0025】
反射部材6は、蛍光体層4の側面及び透光性部材3の第3面と対向して配置される。反射部材6は、蛍光体層4及び透光性部材3に隣接しており、発光素子1からの上方への光量を増やすことができる。基台2が凹部23aを有する場合には、反射部材6は、基台2の凹部23aに充填され、第1誘電体多層膜7aを覆うことが、さらに好ましい。このようにすることで、反射部材6は、第1誘電体多層膜7aから漏れる光を、効率的に反射し、発光装置100の光取り出し効率を高めることができる。
【0026】
反射部材6の母材は、良好な透光性を有する材料であることが好ましく、当該材料としては、例えば、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、シリコーンハイブリッド樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ変性樹脂、ユリア樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、等が挙げられる。
【0027】
反射部材6が含有する光反射性物質は、母材との屈折率差が大きい材料であることが好ましく、例えば、酸化チタン、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、等が挙げられる。発光素子1が青色光を発光する場合は、特に、酸化チタンは、水分等に対して安定性が高く、熱伝導性にも優れるため、光反射性物質として用いられることが好ましい。発光素子1が近紫外線光を発光する場合は、二酸化ジルコニウムは近紫外での反射率が高く、光反射性物質として用いられることが好ましい。なお、光反射性物質の平均粒径は、0.001μm以上10μm以下であることが好ましく、0.1μm以上1μm以下であることがより好ましい。平均粒径を当該範囲とすることで、光散乱効果を高め、発光装置100の光取り出し効率を高めることができる。
【0028】
第1誘電体多層膜7aは、発光素子1の少なくとも1つの側面に配置される。第1誘電体多層膜7aは、発光素子1の2つの側面、あるいは、発光素子1の3つの側面、さらに、発光素子1のすべての側面に配置されることが好ましい。第1誘電体多層膜7aは、発光素子1が出射する近紫外線乃至青色光を、効率良く蛍光体層4へと入射させる。すなわち、第1誘電体多層膜7aは、発光素子1が出射する近紫外線乃至青色光に対しては、高い反射率を有し、蛍光体層4が出射する青緑乃至赤色光、特に黄赤乃至赤色光に対しては、高い透過率を有する。第1誘電体多層膜7aの近紫外線乃至青色光に対する反射率は、近紫外線乃至青色光の入射角が、0°以上30°以下の範囲で、90%以上であることが好ましく、近紫外線乃至青色光の入射角が、0°以上30°以下の範囲で、95%以上であることがより好ましい。
【0029】
第1誘電体多層膜(Distributed Bragg Reflector:DBR膜)7aは、少なくとも2種類以上の誘電体層が、交互に積層されることによって形成される。誘電体層に用いられる材料としては、例えば、SiO
2、TiO
2、Nb
2O
5、等が挙げられる。なお、誘電体層の積層数は、特に限定されるものではない。
【0030】
発光装置100は、透光性部材3と蛍光体層4との間に、第2誘電体多層膜7bを備えてもよい。第2誘電体多層膜7bは、第1誘電体多層膜7aと同様に、発光素子1が出射する近紫外線乃至青色光に対しては、高い反射率を有し、蛍光体層4が出射する青緑乃至赤色光に対しては、高い透過率を有する。第2誘電体多層膜7bは、発光素子1が出射する近紫外線乃至青色光を、効率良く蛍光体層4へと入射させる。
【0031】
接合部材8は、発光素子1と蛍光体層4とを接合する部材である。接合部材8の屈折率は、発光素子1と蛍光体層4の中間の屈折率であることが好ましい。これにより、発光素子1と接合部材8、及び接合部材8と蛍光体層4との屈折率差を小さくすることができるので、発光素子1が出射する近紫外線乃至青色光を、蛍光体層4へ多く入射させることができる。また、接合部材8は、良好な透光性を有する材料によって形成されることが好ましい。当該材料としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、等が挙げられる。
【0032】
第1実施形態に係る発光装置100によれば、第1誘電体多層膜7aが、発光素子1の少なくとも1つの側面に対面して配置される。これにより、発光素子1の側面に対向して配置される部材を薄くしても発光素子1の側面から漏れる光を低減することができる。また、第1誘電体多層膜7aを設けず、発光素子1の側面を直接、反射部材6で覆うと、発光素子1の側面と反射部材6との界面付近から、発光素子1の光が外部に漏れる。それに対して、発光素子1の側面に第1誘電体多層膜7aを設けることにより、発光素子1の側面から漏れる光を低減することができる。したがって、第1誘電体多層膜7aを備える発光装置100は、発光色の色純度を向上させることができる。
【0033】
変形例
次に、図2A、図2B、及び図2Cを参照して、第1実施形態に係る発光装置100における変形例について説明する。第1変形例では、図1に示した発光装置100において、発光素子1と蛍光体層4との接合方法を変形させた発光装置100Aについて説明する。第2変形例では、図1に示した発光装置100において、接合部材8の形状を変形させた発光装置100Bについて説明する。第3変形例では、図1に示した発光装置100において、被覆層5を備える発光装置100Cについて説明する。
【0034】
第1変形例
図2Aは、第1実施形態に係る発光装置100の変形例の構成を示す断面図である。第1変形例に係る発光装置100Aについて、図2Aを参照して説明する。
本変形例における発光装置100Aは、接合部材8を用いることなく、発光素子1と蛍光体層4とが直接接合される。なお、発光素子1の側面の少なくとも1つに第1誘電体多層膜7aが設けられている。発光素子1と蛍光体層4との間に、接合部材8を配置しないことで、発光素子1が出射する青色光が、蛍光体層4に直接入射するため、発光装置100Aにおける発光むらを低減させることができる。また、接合部材の劣化による光束低下を低減することができる。
【0035】
直接接合の方法としては、例えば、表面活性化結合法、水酸基結合法、原子拡散結合法、等が挙げられる。表面活性化結合法は、接合面を真空中で処理することで化学結合し易い状態とし、各接合面を結合する方法である。水酸基結合法は、原子層堆積法等により接合面に水酸基を形成し、各接合面の水酸基を結合させる方法である。原子拡散結合法は、各接合面に、1原子層相当の膜厚の金属膜を形成し、真空中や不活性ガス雰囲気で各接合面を接触させることで金属原子を結合させる方法である。このような直接接合により、常温に近い環境下で、発光素子1と蛍光体層4とを一体化することができる。
【0036】
なお、実施形態に係る発光装置において、蛍光体層4の下面(接合面)に第1誘電体多層膜7aが形成されていないとは、蛍光体層4の下面に第1誘電体多層膜7aの膜面が接合していないことをいう。図2Aのように蛍光体層4の下面に第1誘電体多層膜7aの上面が接触していても第1誘電体多層膜7aの本来の機能を果たすことができない状態であれば、第1誘電体多層膜7aが形成されていないことと等価である。
【0037】
第2変形例
図2Bは、第1実施形態に係る発光装置100の変形例の構成を示す断面図である。第2変形例に係る発光装置100Bについて、図2Bを参照して説明する。
本変形例における発光装置100Bは、発光素子1及び第1誘電体多層膜7aを合わせた大きさよりも、透光性部材3、第2誘電体多層膜7b、蛍光体層4が大きく形成されている。また、発光装置100Bは、接合部材8Bが、発光素子1の第1面及び第1誘電体多層膜7aの外側を覆うように配置される。接合部材8Bは、その外縁から第1誘電体多層膜7aの外側を覆うようにフィレット8Baを形成することで、発光素子1が出射する近紫外線乃至青色光を、蛍光体層4へと入射させ易くすることができる。また、接合部材8Bは、平面視において、発光素子1の面積が蛍光体層4の面積より小さい場合であっても、発光素子1が出射する青色光を、効率良く蛍光体層4又は被覆層5へと入射させることが可能になる。
【0038】
また、第1誘電体多層膜7aに配置される接合部材8Bは、フィレット8Baの部分が断面視において、略三角形である。当該形状とすることで、発光素子1が出射する青色光を、接合部材8Bと反射部材6との界面で、多く反射させることが可能になる。これにより、発光装置100Bにおける発光効率を高め、発光輝度を向上させることができる。なお、接合部材8Bは、フィレット8Baの部分の大きさが、接合部材の量に応じて調整可能であり、発光素子1と、蛍光体層4との接合面の濡れ性や粘度に応じて、適宜定められる。
特に、蛍光体層4の下面に誘電体多層膜を設けないことにより、発光素子1の側面からの光や蛍光体層4からの光を反射部材6で反射させ、再び蛍光体層4に戻すことができ、発光素子1からの光を効率良く波長変換することができる。
【0039】
第3変形例
図2Cは、第1実施形態に係る発光装置100の変形例の構成を示す断面図である。第3変形例に係る発光装置100Cについて、図2Cを参照して説明する。
本変形例における発光装置100Cは、蛍光体層4の側面、第2誘電体多層膜7bの側面及び透光性部材3の第3面と、反射部材6と、の間に被覆層5が設けられる。被覆層5は、蛍光体層4の側面、第2誘電体多層膜7bの側面、及び透光性部材3の第3面に四角形環状に配置され、発光素子1が出射する近紫外線乃至青色光の少なくとも一部を吸収して青緑乃至赤色光を出射若しくは呈する。
【0040】
被覆層5は、蛍光体層4と同等の部材であってもよいし、顔料層であってもよい。被覆層5が蛍光体層4と同等の部材である場合には、蛍光体は、近紫外線乃至青色光の少なくとも一部を吸収して青緑乃至赤色光を出射する。一方、被覆層5が顔料層である場合には、顔料は、近紫外線乃至青色光の少なくとも一部を吸収して青緑乃至赤色光を呈し、顔料自身は発光しない。なお、被覆層5に蛍光体が含有されている場合、蛍光体層4における蛍光体の密度は、被覆層5における蛍光体の密度より高いことが好ましい。
【0041】
被覆層5の母材は、良好な透光性を有する材料であることが好ましく、当該材料としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、これらの変性樹脂、これらのハイブリッド樹脂、等が挙げられる。特に、シリコーン樹脂は、耐候性、耐熱性及び耐光性に優れるため、被覆層5の母材として用いられることが好ましい。
【0042】
被覆層5が含有する蛍光体に用いられる材料としては、例えば、CASN蛍光体、SCASN蛍光体、KSF蛍光体、YAG蛍光体、LAG蛍光体、シリケート蛍光体等、又は、これらの組合せ等が挙げられる。また、被覆層5が含有する顔料に用いられる材料としては、例えば、ペリレン系顔料、チタンニッケルアンチモン系酸化物、これらの組合せ、等が挙げられる。
【0043】
発光装置の製造方法
次に、図3〜図5Cを参照して、第1実施形態に係る発光装置の製造方法について説明する。なお、一部の工程は、順序が限定されるものではなく、順序が前後してもよい。
【0044】
第1実施形態に係る発光装置の製造方法は、第1部材準備工程(S21)と、発光素子実装工程(S22)と、第1部材接合工程(S23)と、反射部材配置工程(S24)と、を含む。第1部材準備工程(S21)は、第2誘電体多層膜形成工程(S201)と、蛍光体層形成工程(S202)と、透光性部材個片化工程(S203)と、を含む。
【0045】
第1部材準備工程(S21)は、第1面と、第1面と反対側の第2面と、第1面及び第2面と繋がる第3面と、を備える透光性部材3と、透光性部材3の第2面と対向して配置される蛍光体層4と、を備える第1部材を準備する工程である。
【0046】
以下、第1部材準備工程(S21)について、具体的に説明する。
図4Aに示すように、第2誘電体多層膜形成工程(S201)は、透光性部材3の上に、第2誘電体多層膜7bを形成する工程である。第2誘電体多層膜形成工程(S201)では、第2誘電体多層膜7bは、透光性部材3の上に、少なくとも2種類以上の誘電体層として、原子層堆積法(Atomic Layer Deposition:ALD法)やスパッタリング法等で成膜されることにより形成される。
【0047】
図4Bに示すように、蛍光体層形成工程(S202)は、第2誘電体多層膜7bの上に、蛍光体層4を形成する工程である。蛍光体層形成工程(S202)では、蛍光体層4は、第2誘電体多層膜7bの上に、赤色蛍光体が添加された樹脂が、例えばスクリーン印刷法等で塗布されることにより形成される。
【0048】
図4Cに示すように、透光性部材個片化工程(S203)は、第2誘電体多層膜7b及び蛍光体層4が形成された透光性部材3を個片化する工程である。透光性部材個片化工程(S203)では、第2誘電体多層膜7b及び蛍光体層4が形成された透光性部材3は、ブレードダイシング法やレーザダイシング法等で、個片化予定線BD1に沿って個片化される。これにより、第1部材211が形成される。
【0049】
図5Aに示すように、発光素子実装工程(S22)は、凹部23aを有する基台2に、第1誘電体多層膜7aが少なくとも1つの側面に配置された発光素子1を実装する工程である。発光素子実装工程(S22)では、発光素子1の実装方法は、リフロー法を用いた半田によるフリップチップ実装が好ましい。なお、第1誘電体多層膜7aは、原子層堆積法やスパッタリング法等で発光素子1の側面に形成される。また、発光素子実装工程(S22)は、第1部材準備工程(S21)と並行して行われてもよいし、どちらかが先に行われてもよい。
【0050】
図5Bに示すように、第1部材接合工程(S23)は、発光素子1と、第1部材211と、を接合する工程である。第1部材接合工程(S23)では、接合部材8が、発光素子1の接合面及び/又は第1部材211の接合面に、塗布法等で形成され、各接合面は、接合部材8を介して接合される。ここでは、第1部材211の蛍光体層4が、発光素子1の第1面と対向するように、第1部材211と発光素子1とが接合される。
【0051】
図5Cに示すように、反射部材配置工程(S24)は、蛍光体層4の側面の少なくとも一部を覆うまで、あるいは、透光性部材3の第3面の少なくとも一部を覆うように、基台2の凹部23aに反射部材6を設ける工程である。なお、反射部材配置工程(S24)では、透光性部材3の上面と同一平面になるように反射部材6を設けている。反射部材配置工程(S24)では、まず、基台2の凹部23aが、ディスペンサを用いたポッティング法等によって、光反射性物質を分散させた未硬化の樹脂で充填される。その後、当該充填された樹脂が、ヒーターやリフロー炉等の加熱装置によって、所定温度で所定時間加熱されることにより反射部材6が形成される。なお、反射部材6は、透光性部材3の上には形成されない。
【0052】
なお、基台2が凹部23aを有さず、平板状である場合には、まず、発光素子1を囲むように配置された枠体の内部が、光反射性物質を分散させた未硬化の樹脂で充填される。その後、当該充填された樹脂が所定温度で所定時間加熱された後、枠体が除去されることにより、反射部材6が形成される。
以上、説明したように前記した各工程を行うことにより、発光装置100が製造される。なお、各工程は、必ずしも前記した順序で実施する必要はなく、例えば、発光素子実装工程(S22)を実施した後に、第1部材準備工程(S21)を実施してもよい。
【0053】
変形例
次に、図6〜図8Bを参照して、第1実施形態に係る発光装置の製造方法の変形例について説明する。第1実施形態に係る発光装置の製造方法では、発光素子1を基台2に実装した後に発光素子1に第1部材211を接合しているが、第1実施形態に係る発光装置の製造方法の変形例では、後記する第2部材が備える発光素子1を基台2に実装している。なお、一部の工程は、順序が限定されるものではなく、順序が前後してもよい。
【0054】
第1実施形態に係る発光装置の製造方法の変形例は、第2部材準備工程(S31)と、発光素子実装工程(S32)と、反射部材配置工程(S33)と、を含む。第2部材準備工程(S31)は、第2誘電体多層膜形成工程(S301)と、蛍光体層形成工程(S302)と、発光素子載置工程(S303)と、透光性部材個片化工程(S304)と、を含む。
【0055】
第2部材準備工程(S31)は、第1面と、第1面と反対側の第2面と、第1面及び第2面と繋がる第3面と、を備える透光性部材3と、透光性部材3の第2面と対向して配置される蛍光体層4と、蛍光体層4と対向して配置される発光素子1と、発光素子1の少なくとも1つの側面に配置された第1誘電体多層膜7aと、を備える第2部材を準備する工程である。
【0056】
以下、第2部材準備工程(S31)について、具体的に説明する。なお、第1実施形態に係る発光装置の製造方法と、共通する部分については、重複した説明を省略する。
図7A〜図7Bに示す工程(S301〜S302)は、図4A〜図4Bに示す工程(S201〜S202)と同じであるため説明を省略する。
【0057】
図7Cに示すように、発光素子載置工程(S303)は、蛍光体層4の上に、第1誘電体多層膜7aが少なくとも1つの側面(ここでは一例として全側面)に配置された発光素子1を載置する工程である。発光素子載置工程(S303)では、接合部材8が、発光素子1の接合面及び/又は蛍光体層4の接合面に、塗布法等で形成され、各接合面が、接合部材8を介して、接合されることにより、発光素子1及び第1誘電体多層膜7aは、蛍光体層4と対向するように配置される。
【0058】
図7Dに示すように、透光性部材個片化工程(S304)は、第2誘電体多層膜7b及び蛍光体層4が形成された透光性部材3を個片化する工程である。透光性部材個片化工程(S304)では、第2誘電体多層膜7b及び蛍光体層4が形成された透光性部材3は、ブレードダイシング法やレーザダイシング法等で、発光素子1に設けた第1誘電体多層膜7aの間から切断されることで、個片化予定線BD1に沿って個片化される。これにより、第2部材311が形成される。なお、平面視において個片化予定線BD1は、第1誘電体多層膜7a間に露出している接合部材8の中央に設定されることが好ましい。
【0059】
図8Aに示すように、発光素子実装工程(S32)は、凹部23aを有する基台2に、第2部材311の発光素子1を実装する工程である。発光素子実装工程(S32)では、第2部材311は、発光素子1を下向きにして、基台2の凹部23aの底面23bに、直接実装される。
【0060】
図8Bに示すように、反射部材配置工程(S33)は、蛍光体層4の側面の少なくとも一部を覆うまで、あるいは、透光性部材3の第3面の少なくとも一部を覆うように、基台2の凹部23aに反射部材6を設ける工程である。なお、反射部材配置工程(S33)は、前記した反射部材配置工程(S24)と同様なので、これ以上の説明を省略する。
以上、説明したように前記した各工程を行うことでも、発光装置100が製造される。
【0061】
第2実施形態
発光装置の構成
次に、第2実施形態について、図9A及び図9Bを参照して、発光装置200の構成について説明する。図9Aは、第2実施形態に係る発光装置の構成を示す平面図であり、図9Bは、図9AのIXB−IXB線における第2実施形態に係る発光装置の構成を示す断面図である。なお、第1実施形態と共通する部分については、重複した説明を省略する。
【0062】
発光装置200は、第1面と、第1面と反対側の第2面と、第1面及び第2面と繋がる第3面と、を備える透光性部材3と、透光性部材3の第1面と対向して配置される蛍光体層4と、蛍光体層4の側面及び透光性部材3の第3面と対向して配置される反射部材6と、透光性部材3と対向して配置される発光素子1と、発光素子1の少なくとも1つの側面に配置される第1誘電体多層膜7aと、を備える。発光装置200は、発光素子1と対向する蛍光体層4の接合面には、第1誘電体多層膜7aが形成されていない。
【0063】
発光装置200は、透光性部材3と蛍光体層4との間に、第2誘電体多層膜7bを備えてもよい。
図9Bに示した発光装置200は、発光素子1の側から、透光性部材3、第2誘電体多層膜7b、及び、蛍光体層4の順に配置されている。一方、図1Bに示した発光装置100は、発光素子1の側から、蛍光体層4、第2誘電体多層膜7b、及び、透光性部材3の順に配置されている。つまり、発光装置200は、透光性部材3と蛍光体層4の配置が、発光装置100における配置と相違している。発光装置200は、その他の構成が発光装置100と同様なので、これ以上の説明を省略する。
【0064】
第2実施形態に係る発光装置200は、第1実施形態に係る発光装置100と同様に発光素子1の側面から漏れる光を低減することができる。また、発光装置200は、発光装置100と比べて、蛍光体層4が発光素子1からより離れた構造なので、発光素子1からの熱が蛍光体層4に伝わり難く蛍光体層4の劣化を抑制することができる。また、蛍光体層4を最表面とすることで蛍光体層4の放熱を促進し、蛍光体層4の熱劣化を抑制することができる。
【0065】
発光装置の製造方法
第2実施形態に係る発光装置の製造方法は、第1実施形態に係る発光装置の製造方法と同様である。ただし、図5Bに示す第1部材接合工程(S23)において、第1部材211の透光性部材3が、発光素子1の第1面と対向するように、第1部材211と発光素子1とが接合される点が相違する。
【0066】
また、第2実施形態に係る発光装置の製造方法の変形例は、第1実施形態に係る発光装置の製造方法の変形例と同様である。ただし、図7Cに示す発光素子載置工程(S303)において、透光性部材3の一面側に第2誘電体多層膜7b及び蛍光体層4が形成された後に、透光性部材3の他面側に発光素子1を接合する点が相違する。
以上、説明したように前記した各工程を行うことにより、発光装置200が製造される。
【0067】
第3実施形態
発光装置の構成
次に、第3実施形態について、図10A及び図10Bを参照して、発光装置300の構成について説明する。なお、第1実施形態と共通する部分については、重複した説明を省略する。図10Aは、第3実施形態に係る発光装置の構成を示す平面図であり、図10Bは、図10AのXB−XB線における第3実施形態に係る発光装置の構成を示す断面図である。
【0068】
発光装置300は、蛍光体ブロック31と、蛍光体ブロック31の側面に配置される反射部材6と、蛍光体ブロック31の下面に配置される発光素子1と、発光素子1の少なくとも1つの側面に配置される第1誘電体多層膜7aと、を備える。
【0069】
発光素子1の第1面は、蛍光体ブロック31と対向して配置され、発光素子1の第2面は、基台2Bに配置され、発光素子1の第3面は、第1誘電体多層膜7aが配置される。
基台2Bは、平板状であり、平面視において外部形状が四角形である。
【0070】
蛍光体ブロック31は、蛍光体を備える。蛍光体ブロック31は、発光素子1が出射する近紫外線乃至青色光の少なくとも一部を吸収して青緑乃至赤色光を出射する。蛍光体の材料としては、蛍光体層4が含有する蛍光体と同様に、例えば、CASN蛍光体、SCASN蛍光体、KSF蛍光体等、YAG蛍光体、LAG蛍光体、シリケート蛍光体、又は、これらの組合せ等が挙げられる。
【0071】
蛍光体ブロック31は、第1面と、第1面と反対側の第2面と、第1面及び第2面と繋がる第3面と、を備える。第1面は上面であり、第2面は下面であり、第3面は側面である。透光性部材3の第2面は、発光素子1と対向して配置され、透光性部材3の第3面には、反射部材6が配置される。
【0072】
蛍光体ブロック31としては、例えば、蛍光体の焼結体や、樹脂、ガラス、他の無機物等に蛍光体粉末を含有させたものが挙げられる。蛍光体の焼結体としては、蛍光体だけを焼結して形成したものでもよいし、蛍光体と焼結助剤との混合物を焼結して形成したものでもよい。蛍光体と焼結助剤との混合物を焼結する場合、焼結助剤としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、又は酸化チタン等の無機材料を用いることが好ましい。これにより、発光素子1が高出力であったとしても、光や熱による焼結助剤の変色や変形を抑制することができる。なお、蛍光体ブロック31は、図1Bに示した蛍光体層4と同様の機能を有するが、透光性部材3と共に用いることをしない点が相違している。
【0073】
反射部材6は、蛍光体ブロック31の側面に配置される。また、反射部材6は、第1誘電体多層膜7aと対向して配置されており、第1誘電体多層膜7aから漏れる光を、効率的に反射し、発光装置300の光取り出し効率を高めることができる。
反射部材6は、平面視において、外部形状が四角形である。反射部材6の第1壁部61、第2壁部62、第3壁部63は、第4壁部64よりも薄い。なお、平面視において、発光素子1は、発光素子1の各側面が反射部材6の各壁部に対して対向するように配置されている。
【0074】
第1誘電体多層膜7aは、発光素子1の少なくとも1つの側面に配置される。第1誘電体多層膜7aは、発光素子1のすべての側面に配置されることが好ましい。反射部材6の壁部のうち第4壁部64は最も厚いので、第1誘電体多層膜7aは、発光素子1の側面のうち、例えば、第4壁部64に対向する側面に配置しなくてもよい。第1誘電体多層膜7aは、発光素子1が出射する近紫外線乃至青色光を、効率良く蛍光体ブロック31へと入射させる。すなわち、第1誘電体多層膜7aは、発光素子1が出射する近紫外線乃至青色光に対しては、高い反射率を有し、蛍光体ブロック31が出射する青緑乃至赤色光に対しては、高い透過率を有する。
【0075】
接合部材8Bは、発光素子1と蛍光体ブロック31とを接合する。接合部材8Bは、発光素子1の第1面及び第1誘電体多層膜7aに配置される。接合部材8Bは、第1誘電体多層膜7aにも設けられ、フィレット8Baを形成することで、発光素子1が出射する光を、蛍光体ブロック31へと入射させ易くすることができる。
【0076】
第3実施形態に係る発光装置300によれば、第1誘電体多層膜7aが、発光素子1の少なくとも1つの側面に配置される。これにより、発光素子1の側面から漏れる光を低減することができる。
【0077】
発光装置の製造方法
次に、図11を参照して、第3実施形態に係る発光装置の製造方法について説明する。
第3実施形態に係る発光装置の製造方法は、発光素子実装工程(S41)と、蛍光体ブロック接合工程(S42)と、反射部材配置工程(S43)と、を含む。
【0078】
発光素子実装工程(S41)は、第1誘電体多層膜7aが少なくとも1つの側面に配置された発光素子1を基台2Bに実装する工程である。
蛍光体ブロック接合工程(S42)は、発光素子1と、蛍光体ブロック31と、を接合する工程である。蛍光体ブロック接合工程(S42)では、接合部材8Bが、発光素子1の接合面及び/又は蛍光体ブロック31の接合面に、塗布法等で形成され、各接合面は、接合部材8Bを介して接合される。
【0079】
反射部材配置工程(S43)は、蛍光体ブロック31の側面の少なくとも一部を覆うように、反射部材6を設ける工程である。この工程では、まず、発光素子1を囲むように配置された枠体の内部が、ディスペンサを用いたポッティング法等によって、光反射性物質を分散させた未硬化の樹脂で充填される。その後、当該充填された樹脂が、ヒーターやリフロー炉等の加熱装置によって、所定温度で所定時間加熱された後、枠体が除去されることにより、反射部材6が形成される。
以上、説明したように前記した各工程を行うことにより、発光装置300が製造される。
【0080】
第4実施形態
次に、第4実施形態について、図12Aを参照して、発光装置400の構成について説明する。なお、第1実施形態と共通する部分については、重複した説明を省略する。図12Aは、第4実施形態に係る発光装置の構成を示す断面図である。
発光装置400は、図1に示した発光装置100において凹部23aを有さない平板状の基台2Bを採用したものである。基台2Bは、図10Aに示した発光装置300と同じように、平面視において外部形状が四角形である。そのため、発光装置400は、図10Aに示した発光装置300と同じように、反射部材6の第1壁部61、第2壁部62は、他の壁部よりも薄くなっている。さらに、発光装置400は、フィレット8Baの部分が断面視で略三角形の接合部材8Bを採用したものである。この発光装置400は、第1誘電体多層膜7aが、発光素子1の少なくとも1つの側面に配置されているので、発光素子1の側面から漏れる光を低減することができる。
【0081】
第4実施形態に係る発光装置の製造方法は、第1実施形態に係る発光装置の製造方法と同様である。
【0082】
変形例
次に、図12Bを参照して、第4実施形態に係る発光装置400における第1変形例について説明する。発光装置500は、図12Aに示した発光装置400において、さらに、第3誘電体多層膜7cを備えるように構成されている。
第3誘電体多層膜7cは、透光性部材3の側面、第2誘電体多層膜7bの側面、蛍光体層4の側面、及び、接合部材8Bのフィレット8Baの部分の側面に配置される。第3誘電体多層膜7cは、第1誘電体多層膜7aと同様に、発光素子1が出射する近紫外線乃至青色光に対しては、高い反射率を有し、蛍光体層4が出射する青緑乃至赤色光に対しては、高い透過率を有する。第3誘電体多層膜7cは、発光素子1が出射する近紫外線乃至青色光を、効率良く蛍光体層4へと入射させる。
発光装置500は、第3誘電体多層膜7cを備えることで、側方への近紫外線乃至青色光の漏れを一層低減できる。
【0083】
第3誘電体多層膜7cは、例えば、図3の第1部材接合工程(S23)の後で反射部材配置工程(S24)の前に、原子層堆積法で形成することができる。
また、第3誘電体多層膜7cは、発光素子1の第2面において、素子電極を除く部分にも配置されることが好ましい。このように構成することで、発光素子1から素子電極側への光漏れを防止できる。この場合、第3誘電体多層膜7cは、例えば、図6の第2部材準備工程(S31)の後で発光素子実装工程(S32)の前に、原子層堆積法で形成することができる。
【0084】
次に、図12Cを参照して、第4実施形態に係る発光装置400における第2変形例について説明する。発光装置600は、図12Bに示した発光装置500において、さらに、第4誘電体多層膜7dを備えるように構成されている。
第4誘電体多層膜7dは、少なくとも2種類以上の誘電体層が、交互に積層されることによって形成されている。第4誘電体多層膜7dは、透光性部材3の側面、第2誘電体多層膜7bの側面、蛍光体層4の側面、及び、接合部材8Bのフィレット8Baの部分の側面に配置される。第4誘電体多層膜7dは、発光素子1が出射する近紫外線乃至青色光に対しては、高い透過率を有し、蛍光体層4が出射する青緑乃至赤色光に対しては、高い反射率を有する。第4誘電体多層膜7dの蛍光体光に対する反射率は、蛍光体光の入射角が、0°以上30°以下の範囲で、90%以上であることが好ましく、蛍光体光の入射角が、0°以上30°以下の範囲で、95%以上であることがより好ましい。
発光装置600は、第4誘電体多層膜7dを備えることで、側方への青緑乃至赤色光の漏れを低減できる。なお、第4誘電体多層膜7dは、例えば、反射部材配置工程(S24,S33)の前に、原子層堆積法で形成することができる。
【0085】
また、発光装置600において、蛍光体層4を、発光素子1の第2面側から視たときに、発光素子1の陰とならない蛍光体層4の表面部分に、第5誘電体多層膜7eが配置されることが好ましい。言い換えると、蛍光体層4を、発光素子1の第2面側から視たときに、発光素子1から、はみ出る蛍光体層4の表面部分に、第5誘電体多層膜7eが配置されることが好ましい。この第5誘電体多層膜7eは、次のようにして形成することができる。例えば、図3の蛍光体層形成工程(S202)の後、まず、蛍光体層4の表面において、発光素子1の第1面と接合される接合予定領域をマスクする。その後、蛍光体層4の表面においてマスクされていない領域に、例えば原子層堆積法等によって誘電体を成膜する。
【0086】
第5誘電体多層膜7eは、少なくとも2種類以上の誘電体層が、交互に積層されることによって形成されている。この第5誘電体多層膜7eは、第4誘電体多層膜7dと同様に、発光素子1が出射する近紫外線乃至青色光に対しては、高い透過率を有し、蛍光体層4が出射する青緑乃至赤色光に対しては、高い反射率を有する。このように構成した場合、発光装置600において、発光素子1の側方から出た近紫外線乃至青色光は、第1誘電体多層膜7aから漏れたとしても、接合部材8Bのフィレット8Baの部分又は反射部材6で反射する。この反射光(近紫外線乃至青色光)が、上方に出射されて第5誘電体多層膜7eに到達した場合、第5誘電体多層膜7eは、近紫外線乃至青色光を透過するので、近紫外線乃至青色光を蛍光体層4へと入射させる際に実質的な妨げになるものではない。また、蛍光体層4から下方向へ漏れる青緑乃至赤色光が、第5誘電体多層膜7eに到達した場合、第5誘電体多層膜7eは、青緑乃至赤色光を反射するので、上方向への青緑乃至赤色光の光取り出しを向上させることができる。
【0087】
<実施例>
本開示に係る発光装置の性能を確かめるために、以下の実験を行った。
まず、第4実施形態に係る発光装置400と同様の発光装置(以下、実施例1という)を以下の条件で製造した。
【0088】
発光素子1
個数:1個
種類:約450nmに発光ピーク波長を有する青色LED(GaN系半導体発光素子)
平面視における外形寸法:1辺が1.00mmの正方形
【0089】
基台2B
材料:リードフレーム
形状:平板状
【0090】
透光性部材3
材料:ガラス
平面視における外形寸法:1辺が1.15mmの正方形
形状:平板状
厚さ:148μm
【0091】
蛍光体層4
母材:シリコーン樹脂
蛍光体:CASN(含有量65質量%)
平面視における外形寸法:1辺が1.15mmの正方形
厚さ:68μm
【0092】
反射部材6
母材:シリコーン樹脂
光反射性物質:TiO
2(含有量45質量部)
【0093】
第1誘電体多層膜7a
層数:7層
材料:SiO
2/TiO
2/SiO
2/TiO
2/SiO
2/TiO
2/SiO
2
配置:発光素子の全側面、発光素子の素子電極を除く電極面
【0094】
接合部材8B
材料:シリコーン樹脂
平面視における外形寸法:1辺が1.15mmの正方形
【0095】
第2誘電体多層膜7b
層数:31層
材料:SiO
2/TiO
2/SiO
2/TiO
2/・・・/SiO
2
配置:透光部材3と蛍光体層4との間
【0096】
比較例
実施例に係る発光装置と比較するため、比較例に係る発光装置を作製した。第1誘電体多層膜7aを有さない発光装置を、比較例1とした。比較例1における構成要素(発光素子1、基台2B、透光性部材3、蛍光体層4、反射部材6、第2誘電体多層膜7b、接合部材8B)は、実施例1と同様である。
【0097】
実験では、比較例1として8サンプルを製造した。各サンプルは、色度座標xの値が概ね0.683〜0.687の範囲に分布していた。これら各サンプルについて、それぞれの光束を測定した。
また、実施例1として10サンプルを製造した。各サンプルは、色度座標xの値が概ね0.687〜0.688の範囲に分布していた。これら各サンプルについて、それぞれの光束を測定した。
【0098】
比較例1と実施例1では色度座標xの値が異なるので、光束の測定値を単純に比較することができない。そこで、実施例1の各サンプルから、色度座標xに対する光束の回帰直線を求め、この回帰直線上でx=0.688のときに得られる光束を、あらためて実施例1の光束とした。同様に、比較例1の各サンプルから、色度座標xに対する光束の回帰直線を求め、この回帰直線の延長線上でx=0.688のときに得られる光束を、あらためて比較例1の光束とした。このときに得られた、比較例1の光束は17.87[lm]、実施例1の光束は17.80[lm]であった。すなわち、比較例1の光束を100[%]とすると、実施例1の相対的な光束は99.6[%]となる。この結果によると、実施例1は、光束が、やや低下するものの、比較的高い値を維持できることが分かった。
【0099】
実施例1及び比較例1における各サンプルのxy色度座標を、xy色度図上に実際にプロットしたところ、実施例1は、比較例1と比べて色調が長波長側にシフトしていた。これにより、色純度は、比較例1(95.5%)に対し、実施例1(96.6%)の方が大きくなった。したがって、発光素子1の側面に第1誘電体多層膜7aを配置することで、発光装置における赤色光の色純度を高められることが分かった。
【0100】
図13は、実施例1及び比較例1における発光波長と光強度との関係を示すグラフである。縦軸は光強度[a.u.(arbitrary unit)]を示し、横軸は波長[nm]を示している。図13において、実線は実施例1を示し、二点鎖線は比較例1を示している。なお、波長400〜800nmの範囲で光強度を測定したが、図13には、波長420〜480nmの範囲の測定結果を示している。図13に示すように、実施例1は、比較例1に比べて、450nm付近のスペクトルが低くなっている。450nm付近のスペクトルは、青色光のスペクトルに相当する。つまり、比較例1の青色光の強度は、実施例1の青色光の強度よりも大きかった。したがって、発光素子1の側面に第1誘電体多層膜7aを配置することで、発光装置における青色光の漏れを低減できることが分かった。
【0101】
実施例1の配光特性を測定した結果について図14A〜図14Cを参照して説明する。
図14Aは、実施例1の上面図である。図14Bは、指向角とx座標の変位との関係を示す図である。図14Cは、指向角とy座標の変位との関係を示す図である。
図14Aに示す発光装置では、反射部材6の壁は、長手方向(φ=90°)よりも短手方向(φ=0°)の方が薄い。ここでは、図14Aに示す発光装置の短手方向(φ=0°)において、指向角が−90°〜+90°の範囲で測定したx座標の変位を図14Bに示す。縦軸はxy色度図上におけるx座標の変位(Δx)を示し、横軸は指向角[°]を示している。同様に、図14Aに示す発光装置の短手方向(φ=0°)において、指向角が−90°〜+90°の範囲で測定したy座標の変位(Δy)を図14Cに示す。縦軸はxy色度図上におけるy座標の変位(Δy)を示し、横軸は指向角[°]を示している。これら図14B及び図14Cにおいて、実線は実施例1を示し、二点鎖線は比較例1を示している。
【0102】
図14B及び図14Cに示すように、実施例1及び比較例1において、指向角の絶対値が大きくなる程、Δx及びΔyの絶対値は大きくなる。ここで、Δx及びΔyは、符号がマイナスである場合、絶対値が大きいほど色純度は低くなる。つまり、指向角の絶対値が大きくなるほど、色純度は低くなる傾向にある。
また、指向角の絶対値が0°から30°付近までは、実施例1と比較例1との差は、ほとんどなかった。一方、指向角の絶対値が30°付近から90°までは、比較例1におけるΔx及びΔyの絶対値が、実施例1におけるΔx及びΔyの絶対値よりも大きくなった。特に、指向角の絶対値が85°以上のとき、比較例1と実施例1との差は、非常に大きくなる。したがって、発光素子1の側面に第1誘電体多層膜7aを配置することで、発光装置における側面からの青色光の漏れを低減し、発光装置における赤色光の色純度を高められることが分かった。
【0103】
以上、発明を実施するための形態により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変などしたものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。