(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2019145696
(43)【公開日】20190829
(54)【発明の名称】電解コンデンサ
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/052 20060101AFI20190802BHJP
   H01G 9/08 20060101ALI20190802BHJP
   H01G 9/035 20060101ALI20190802BHJP
   H01G 9/10 20060101ALI20190802BHJP
【FI】
   !H01G9/05 K
   !H01G9/08 F
   !H01G9/02 311
   !H01G9/10 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】2018029386
(22)【出願日】20180222
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区城見2丁目1番61号
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】特許業務法人河崎・橋本特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柏原 正典
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 パナソニック株式会社内
(57)【要約】
【課題】電解コンデンサのESRを低下させる。
【解決手段】多孔質焼結体である陽極体と、前記陽極体上に形成された誘電体層と、前記誘電体層上に形成された固体電解質層と、を備えるコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子の植立面から植立する陽極ワイヤと、電解液と、開口を有する有底の金属ケースと、前記開口を塞ぐ絶縁性の封口部材と、を備え、前記金属ケースは、前記植立面を前記開口側に向けて配置された前記コンデンサ素子と、前記電解液と、を収容し、前記陽極ワイヤは、前記封口部材を貫通して、前記開口から導出している、電解コンデンサ。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質焼結体である陽極体と、前記陽極体上に形成された誘電体層と、前記誘電体層上に形成された固体電解質層と、を備えるコンデンサ素子と、
前記コンデンサ素子の植立面から植立する陽極ワイヤと、
電解液と、
開口を有する有底の金属ケースと、
前記開口を塞ぐ絶縁性の封口部材と、を備え、
前記金属ケースは、前記植立面を前記開口側に向けて配置された前記コンデンサ素子と、前記電解液と、を収容し、
前記陽極ワイヤは、前記封口部材を貫通して、前記開口から導出している、電解コンデンサ。
【請求項2】
前記封口部材は、前記植立面に接触している、請求項1に記載の電解コンデンサ。
【請求項3】
前記封口部材は、熱硬化性樹脂の硬化物を含む、請求項1または2に記載の電解コンデンサ。
【請求項4】
前記封口部材は、前記開口とともに、前記開口の端面の少なくとも一部を覆う、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電解コンデンサ。
【請求項5】
前記封口部材は、前記開口とともに、前記開口の端部における外表面の少なくとも一部を覆う、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電解コンデンサ。
【請求項6】
前記開口の形状は矩形である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電解コンデンサ。
【請求項7】
前記固体電解質層と前記金属ケースの内表面との間に導電層を備える、請求項1〜6のいずれか一項に記載の電解コンデンサ。
【請求項8】
前記金属ケースに収容された前記コンデンサ素子と前記陽極ワイヤと前記封口部材とを覆う、樹脂外装体を備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載の電解コンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質焼結体である陽極体を備える電解コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化および軽量化に伴って、小型かつ大容量の高周波用コンデンサが求められている。このようなコンデンサには、例えば、多孔質焼結体を陽極体として備えるコンデンサ素子が用いられる。コンデンサ素子は、例えば、陽極体としての多孔質焼結体と、陽極体の表面に形成された誘電体層と、誘電体層の表面に形成された固体電解質層とを具備する。陽極体には陽極ワイヤが植設されている(特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−79357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
固体電解質層を備えるコンデンサの等価直列抵抗(ESR)を、さらに低減させることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一の局面は、多孔質焼結体である陽極体と、前記陽極体上に形成された誘電体層と、前記誘電体層上に形成された固体電解質層と、を備えるコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子の植立面から植立する陽極ワイヤと、電解液と、開口を有する有底の金属ケースと、前記開口を塞ぐ絶縁性の封口部材と、を備え、前記金属ケースは、前記植立面を前記開口側に向けて配置された前記コンデンサ素子と、前記電解液と、を収容し、前記陽極ワイヤは、前記封口部材を貫通して、前記開口から導出している、電解コンデンサに関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、電解コンデンサのESRが低下する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態に係る電解コンデンサの斜視図である。
【図2】図1に示す電解コンデンサをX−X線で切断した断面図である。
【図3】本発明の他の一実施形態に係る電解コンデンサの断面図である。
【図4】本発明のさらに他の一実施形態に係る電解コンデンサの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施形態に係る電解コンデンサは、コンデンサ素子と、コンデンサ素子の植立面から植立する陽極ワイヤと、電解液と、開口を有する有底の金属ケースと、開口を塞ぐ絶縁性の封口部材と、を備える。コンデンサ素子は、多孔質焼結体である陽極体と、陽極体上に形成された誘電体層と、誘電体層上に形成された固体電解質層と、を備える。コンデンサ素子は、電解液とともに金属ケースに収容される。コンデンサ素子の植立面は、封口部材で封止された金属ケースの開口に向くように配置されている。植立面から植立する陽極ワイヤは、封口部材を貫通して開口から導出している。
【0009】
電解コンデンサは、電解質として固体電解質層に加えて電解液を備えている。そのため、従来の固体電解質層のみを備える固体電解コンデンサと比較して、本実施形態の電解コンデンサ(以下、併用型電解コンデンサと称す。)のESRは低い。さらに、電解液は、コンデンサ素子とともに金属ケースに収容されるため、漏洩は抑制される。
【0010】
電解液は、実質上、陰極として機能するため、これを収容する金属ケースは、陰極を外部に引き出す端子として機能する。そのため、電子機器への実装が容易となる。封口部材は絶縁性であるため、金属ケースと陽極ワイヤとの短絡は抑制される。
【0011】
併用型電解コンデンサのサイズは、金属ケースおよび封口部材を備えるにもかかわらず、従来の焼結形の固体電解コンデンサに用いられるコンデンサ素子と比較して、大きくは異ならない。これは、陽極体として多孔質焼結体を用いるためである。例えば、電解液の多くは、コンデンサ素子の内部であって、多孔質焼結体が備える孔に由来する隙間に浸透することができる。そのため、コンデンサ素子の周囲を電解液で満たすことを要しない。加えて、多孔質焼結体は硬度に優れる。そのため、金属ケースの開口を塞ぐ封口部材を、コンデンサ素子の植立面に接触させて配置することができる。つまり、併用型電解コンデンサによれば、固体電解コンデンサと比較して、サイズを過度に大きくすることなく同等の容量を確保しながら、低いESRを実現できる。
【0012】
好ましい態様では、封口部材をコンデンサ素子の植立面に接触させて配置する。これにより、金属ケース内部でのコンデンサ素子の移動が抑制される。そのため、陽極ワイヤの損傷が抑制される。また、コンデンサ素子の移動に伴う電解液の移動も抑制されるため、漏洩抑制の効果も向上する。さらに、植立面に封口部材を接触させるため、コンデンサ素子の内部への大気の流入が抑制され易くなる。よって、固体電解質層の酸化に起因するESRの増大は抑制される。通常、陽極ワイヤと多孔質焼結体との間には隙間が生じ易く、当該隙間からコンデンサ素子の内部に大気が流入する場合がある。大気中の酸素が固体電解質層に接触すると、酸化されて劣化し、ESRは大きくなり易い。
【0013】
他の好ましい態様では、封口部材は、熱硬化性樹脂の硬化物により形成される。この場合、封口部材は、例えば、熱硬化性樹脂を含む封止材料を直接、植立面に塗布あるいはポッティングした後、硬化させることにより形成することができる。そのため、工程が極めて簡便であるとともに、金属ケースの開口の形状に関わらず、容易に封口できる。さらに、封口部材と陽極ワイヤとの間を隙間なく埋めることができる。よって、電解液の漏洩はさらに抑制され易くなるとともに、大気のコンデンサ素子内部への流入も抑制され易くなる。
【0014】
陽極体として使用される多孔質焼結体は、通常、直方体であり、植立面は矩形である。得られる電解コンデンサのサイズを考慮すると、コンデンサ素子を収容する金属ケースの外形も直方体であることが好ましい。この場合、金属ケースの開口は当然矩形である。ここで、電解液を使用する電解コンデンサには、通常、シート状の陽極と陰極とを巻回して得られる巻回型のコンデンサ素子が使用される。巻回型のコンデンサ素子を収容する金属ケースは円筒形であり、開口の形状は円形である。この場合、封口部材は、金属ケースの開口端部にかしめられることにより固定される。しかし、開口が矩形である場合、かしめにより封口部材を金属ケースに固定することは困難である。本実施形態によれば、開口が矩形であっても、封口部材を金属ケースに容易に固定することができる。
【0015】
なお、巻回型のコンデンサ素子は、巻回軸が開口から延出するような方向に金属ケースに収容される。そのため、開口側から外的負荷がかかると、陽極および陰極が折れ曲がる場合がある。よって、巻回型のコンデンサ素子は、通常、特に開口側に余裕を持たせた状態でケースに収容され、封口部材がコンデンサ素子に接触しないように封口される。
【0016】
他の好ましい態様では、封口部材は、金属ケースの開口とともに、その端面の少なくとも一部を覆う。電解液は、金属ケースの内表面と封口部材との間の隙間を通って漏洩し得る。封口部材によって、開口端面の少なくとも一部を覆うことにより、電解液が漏洩する際に通る漏洩ルートが長くなる。さらに、漏洩ルートは、金属ケースの内表面から開口の端面へと屈曲する部分を含むため、電解液の漏洩はさらに抑制され易くなる。
【0017】
他の好ましい態様では、封口部材は、開口とともに、その端部における外表面の少なくとも一部を覆う。これにより、漏洩ルートがさらに長くなる。加えて、封口部材は、金属ケースにより強く固定される。さらに、封口部材と金属ケースとの熱膨張率が異なる場合であっても、製造工程中あるいは使用中に封口部材が金属ケースから外れることが抑制される。漏洩ルートがさらに長くなる点で、封口部材は、植立面に接触するとともに、開口端面の少なくとも一部および開口端部における外表面の少なくとも一部を覆うことが好ましい。
【0018】
他の好ましい態様では、金属ケースに収容されたコンデンサ素子と陽極ワイヤと封口部材とは、樹脂外装体により覆われる。
【0019】
一般に固体電解質層を備える固体電解コンデンサは、樹脂外装体により封止(樹脂封止)されている。ただし、電解質として電解液を併用する場合、樹脂封止では電解液の漏洩を防止することは困難である。本実施形態では、コンデンサ素子および電解液を収容し、かつ、封口された金属ケースごと樹脂封止するため、電解液の漏洩は防止される。さらに、上記の通り、金属ケースおよび封口部材によって、コンデンサ素子のサイズは大きく変化しない。よって、本実施形態の併用型電解コンデンサは、従来の固体電解コンデンサに置き換えて使用することができる。
【0020】
本発明の一実施形態に係る併用型電解コンデンサについて、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る併用型電解コンデンサの斜視図である。図2は、図1に示す電解コンデンサをX−X線で切断した断面図である。
【0021】
<電解コンデンサ>
併用型電解コンデンサ100は、コンデンサ素子10(図2参照)と、コンデンサ素子10および電解液を収容する金属ケース30と、金属ケース30の開口を塞ぐ封口部材40と、陽極ワイヤ20と、を備えている。陽極ワイヤ20は、コンデンサ素子10から植立しており、封口部材40を貫通し、金属ケース30の開口側から導出している。
【0022】
コンデンサ素子10は、図2に示すように、多孔質焼結体である陽極体1と、陽極体1上に形成された誘電体層3と、誘電体層3上に形成された固体電解質層4と、を備える。コンデンサ素子10と金属ケース30の内表面とは接触していてもよいし、接触していなくてもよい。いずれの場合にも、金属ケース30には電解液が収容されているため、電解液によってコンデンサ素子10と金属ケース30とは導通し、金属ケース30は、陰極を外部に引き出す端子として機能し得る。
【0023】
(金属ケース)
金属ケース30の材料としては、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、鉄、真鍮、ニッケル、チタンなどの金属、あるいはこれらの合金を用いることができる。
【0024】
金属ケース30の厚みは特に限定されない。電解液の漏洩抑制および小型化の観点から、金属ケース30の厚みは、0.05mm〜0.5mmであってもよい。金属ケース30の形状も特に限定されないが、小型化の観点から、コンデンサ素子10の外形と同形状(相似形)であることが好ましい。金属ケース30の開口は、矩形であってもよい。
【0025】
(封口部材)
封口部材40は、金属ケース30の開口を塞ぐ。封口部材40は絶縁性の材料から構成されている。封口部材40によって、陽極ワイヤ20と金属ケース30とは電気的に絶縁される。
【0026】
封口部材40は、樹脂材料を含んでいてもよい。樹脂材料としては、例えば、熱硬化性樹脂の硬化物が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、不飽和ポリエステル等が挙げられる
【0027】
封口部材40は、例えば、コンデンサ素子10の植立面10Xに接触するように配置される。漏洩抑制の観点から、封口部材40は、植立面10Xから開口端面30aまでの空間を埋めるように配置されてもよい。封口部材40は、金属ケース30の開口端面30aの少なくとも一部を覆っていることが好ましい。これにより、電解液の漏洩はより抑制され易くなる。封口部材40は、さらに、金属ケース30の開口端部30bにおける外表面の少なくとも一部を覆っていてもよい。これにより、封口部材40は金属ケース30に強固に固定される。よって、封口部材40と金属ケース30との熱膨張率が異なる場合であっても、製造工程中あるいは使用中に封口部材40が金属ケース30から外れることが抑制される。
【0028】
金属ケース30の開口端部30bとは、開口端面30aと、開口端面30aの近傍とを含む領域である。開口端面30aは、金属ケース30の内表面と外表面とを繋ぐ領域である。開口端部30bにおける外表面とは、例えば、外表面側の開口端から金属ケース30の当該外表面の面積の10%を占める領域である。封口部材40は、この領域の少なくとも一部を覆っていることが好ましい。開口端は、開口端面30aと内表面あるいは外表面との境界(エッジ)である。封口部材40の厚みは一定でなくてもよい。
【0029】
(陽極ワイヤ)
陽極ワイヤ20は、導電性材料から構成されている。陽極ワイヤ20の材料は特に限定されず、例えば、上記弁作用金属の他、銅、アルミニウム、アルミニウム合金等が挙げられる。陽極体1および陽極ワイヤ20を構成する材料は、同種であってもよいし、異種であってもよい。陽極ワイヤ20の断面形状は特に限定されず、円形、円形を押しつぶしたような形状(互いに平行な直線とこれら直線の端部同士を繋ぐ2本の曲線とからなる形状。以下、トラック形と称す。)、楕円形、矩形、多角形等が挙げられる。陽極ワイヤ20の直径(トラック形および楕円形の場合は長径)も特に限定されないが、例えば、0.1mm〜1.0mmである。
【0030】
(電解液)
電解液は、非水溶媒であってもよく、非水溶媒とこれに溶解させたイオン性物質(溶質)との混合物であってもよい。非水溶媒は、有機溶媒でもよく、イオン性液体でもよい。非水溶媒としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、スルホラン、γ−ブチロラクトン、N−メチルアセトアミドなどを用いることができる。
【0031】
溶質としては、例えば、アニオンおよびカチオンの少なくとも一方が有機物を含む有機塩が挙げられる。有機塩としては、例えば、マレイン酸モノ(トリメチルアミン)、ボロジサリチル酸モノ(トリエチルアミン)、フタル酸モノ(エチルジメチルアミン)、フタル酸モノ(1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム)、フタル酸モノ(1,3−ジメチル−2−エチルイミダゾリニウム)などを用いてもよい。
【0032】
(コンデンサ素子)
コンデンサ素子10は、陽極体1と、陽極体1上に形成された誘電体層3と、誘電体層3上に形成された固体電解質層4と、を備える。
【0033】
陽極体1は、金属粒子を焼結して得られる多孔質焼結体である。陽極体1の形状は特に限定されないが、例えば、直方体である。金属粒子として、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)などの弁作用金属の粒子が用いられる。陽極体1には、1種または2種以上の金属粒子が用いられる。金属粒子は、2種以上の金属からなる合金であってもよい。例えば、弁作用金属と、ケイ素、バナジウム、ホウ素等とを含む合金を用いることができる。また、弁作用金属と窒素等の典型元素とを含む化合物を用いてもよい。弁作用金属の合金は、弁作用金属を主成分とし、弁作用金属を50原子%以上含むことが好ましい。
【0034】
陽極体1の表面には、誘電体層3が形成されている。誘電体層3は、例えば、金属酸化物から構成されている。陽極体1の表面に金属酸化物を含む層を形成する方法として、例えば、化成液中に陽極体1を浸漬して陽極体1の表面を陽極酸化する方法や、陽極体1を、酸素を含む雰囲気下で加熱する方法が挙げられる。誘電体層3は、上記金属酸化物を含む層に限定されず、絶縁性を有していればよい。
【0035】
固体電解質層4は、誘電体層3の少なくとも一部を覆うように形成される。
固体電解質層4には、例えば、マンガン化合物や導電性高分子が用いられる。導電性高分子としては、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリチオフェンビニレン、ポリフルオレン、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルフェノール、ポリピリジン、あるいは、これらの高分子の誘導体などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。また、導電性高分子は、2種以上のモノマーの共重合体でもよい。これらのうちでは、導電性に優れる点で、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールなどが好ましい。なかでも、撥水性に優れる点で、ポリピロールが好ましい。
【0036】
固体電解質層4は、2層以上の固体電解質層から構成されてもよい。この場合、各層に用いられる導電性高分子の組成や形成方法等は異なっていてもよい。
【0037】
固体電解質層4と金属ケース30の内表面との間に、導電層5が形成されてもよい(図3参照)。導電層5は、金属ケース30とともに、陰極を外部に引き出す役割を果たす。導電層5により抵抗が低下する。導電層5は、固体電解質層4と金属ケース30の内表面との間の少なくとも一部に介在していればよい。図3は、本実施形態に係る電解コンデンサの断面図である。
【0038】
導電層5は、例えば、カーボン層および金属(例えば、銀)ペースト層の少なくとも一方を有している。カーボン層は、黒鉛などの導電性炭素材料を含む組成物により構成される。金属ペースト層は、例えば、銀粒子と樹脂とを含む組成物により構成される。導電層5がカーボン層および金属ペースト層の双方を備える場合、例えば、固体電解質層4の少なくとも一部を覆うようにカーボン層を形成した後、カーボン層の少なくとも一部を覆うように金属ペースト層を形成する。なお、導電層5の構成は、これに限られず、導電性を有する構成であればよい。導電層5は、植立面10Xの少なくとも陽極ワイヤ20の周囲には形成されないことが好ましい。短絡を防止するためである。
【0039】
(樹脂外装体)
併用型電解コンデンサ100は、図4に示すように、金属ケース30に収容されたコンデンサ素子10と陽極ワイヤ20と封口部材40とを覆う、樹脂外装体70を備えていてもよい。
【0040】
樹脂外装体70を備える併用型電解コンデンサ100は、陽極ワイヤ20のコンデンサ素子10から導出している部分を介して陽極体1と電気的に接続する陽極リード端子50と、金属ケース30と電気的に接続する陰極リード端子60と、を備える。
【0041】
陽極リード端子50の一部は樹脂外装体70で封止されており、残部は樹脂外装体70の任意の主面から露出している。陰極リード端子60の一部は樹脂外装体70で封止されており、残部は樹脂外装体70の陽極リード端子50と同じ主面から露出している。上記主面における各端子の露出箇所は、併用型電解コンデンサ100を搭載すべき基板(図示せず)との半田接続等に用いられる。
【0042】
樹脂外装体70を備える併用型電解コンデンサ100は、内部に金属ケース30を備えるが、その外観および外形は、従来の電解液を備えない焼結形の固体電解コンデンサと同様である。よって、本実施形態に係る併用型電解コンデンサは、従来品に置き換えて使用することができる。
【0043】
樹脂外装体70は、絶縁性の材料から構成されており、陽極リード端子50と陰極リード端子60とを電気的に絶縁する。樹脂外装体70は、封口部材40と同様に、熱硬化性樹脂の硬化物を含んでもよい。樹脂外装体70および封口部材40は、同じ材料により形成されてもよい。併用型電解コンデンサ100が加熱された場合にも、樹脂外装体70と封口部材40との界面剥離が生じ難いためである。
【0044】
(陽極リード端子)
陽極リード端子50は、陽極ワイヤ20を介して、陽極体1と電気的に接続している。陽極リード端子50の材質は、電気化学的および化学的に安定であり、導電性を有するものであれば特に限定されず、金属であっても非金属であってもよい。その形状も特に限定されず、例えば、平板状である。この場合、陽極リード端子50の厚み(陽極リード端子50の主面間の距離)は、低背化の観点から、25〜200μmが好ましく、25〜100μmがより好ましい。
【0045】
陽極リード端子50は、導電性接着材やはんだにより、陽極ワイヤ20に接合されてもよいし、抵抗溶接やレーザー溶接により、陽極ワイヤ20に接合されてもよい。導電性接着材は、例えば、熱硬化性樹脂と炭素粒子や金属粒子との混合物である。
【0046】
(陰極リード端子)
陰極リード端子60は、金属ケース30と電気的に接続している。陰極リード端子60の材質も、電気化学的および化学的に安定であり、導電性を有するものであれば、特に限定されず、金属であっても非金属であってもよい。その形状も特に限定されず、例えば、平板状である。この場合、陰極リード端子60の厚みは、低背化の観点から、25〜200μmが好ましく、25〜100μmがより好ましい。陰極リード端子60は、例えば、導電性接着材を介して、金属ケース30に接合される。
【0047】
本実施形態に係る電解コンデンサの製造方法の一例を、説明する。
≪電解コンデンサの製造方法≫
(1)陽極体の作製工程
金属粒子と陽極ワイヤ20とを、陽極ワイヤ20の一部が金属粒子に埋め込まれるように型に入れ、加圧成形した後、真空中で焼結することにより、陽極ワイヤ20の一部が多孔質焼結体の内部に埋設された陽極体1が作製される。加圧成形の際の圧力は特に限定されず、例えば、10〜100N程度である。金属粒子には、必要に応じて、ポリアクリルカーボネート等のバインダを混合してもよい。
【0048】
(2)誘電体層の形成工程
陽極体1上に誘電体層3を形成する。具体的には、電解水溶液(例えば、リン酸水溶液)が満たされた化成槽に、陽極体1を浸漬し、陽極ワイヤ20の導出している部分を化成槽の陽極体に接続して、陽極酸化を行うことにより、陽極体1の表面に弁作用金属の酸化被膜からなる誘電体層3を形成することができる。電解水溶液としては、リン酸水溶液に限らず、硝酸、酢酸、硫酸などを用いることができる。
【0049】
(3)固体電解質層の形成工程
本実施形態では、導電性高分子を含む固体電解質層4の形成工程を説明する。
導電性高分子を含む固体電解質層4は、例えば、誘電体層3が形成された陽極体1に、モノマーやオリゴマーを含浸させ、その後、化学重合や電解重合によりモノマーやオリゴマーを重合させる方法、あるいは、誘電体層3が形成された陽極体1に、導電性高分子の溶液または分散液を含浸し、乾燥させることにより、誘電体層3上の少なくとも一部に形成される。
【0050】
(4)導電層の形成工程
固体電解質層4の表面に、カーボンペーストおよび金属ペーストを順次、塗布することにより、カーボン層と金属ペースト層とで構成される導電層5を形成する。
これにより、陽極ワイヤ20を備えるコンデンサ素子10が得られる。
【0051】
(5)金属ケースへの収容工程
コンデンサ素子10を、電解液とともに金属ケース30に収容する。
予め電解液を金属ケース30に収容しておき、そこにコンデンサ素子10を収容してもよいし、予めコンデンサ素子10を金属ケース30に収容しておき、電解液を滴下してもよい。あるいは、金属ケース30に収容する前に、コンデンサ素子10に電解液を含浸させておいてもよい。
【0052】
次いで、植立面10Xに、封口部材40の材料樹脂を塗布する。材料樹脂は、金属ケース30からあふれる程度に塗布されてもよい。金属ケース30からあふれた材料樹脂は、植立面10Xとともに開口端部30bの少なくとも一部を覆う。この状態で、材料樹脂を硬化させる。
【0053】
材料樹脂の粘度は特に限定されない。材料樹脂のJIS Z 8803に準拠して測定される20℃における粘度は、例えば、1mPa・s以上であればよい。材料樹脂の粘度がこの範囲であれば、コンデンサ素子10と金属ケース30との間に隙間がある場合にも、材料樹脂が当該隙間に浸入することが抑制される。
【0054】
金属ケース30の開口近傍に、開口端部30bを囲む型を配置して、材料樹脂を当該型に充填させてもよい。この場合も、植立面10Xおよび開口端部30bの少なくとも一部は材料樹脂によって覆われる。この状態で、材料樹脂を硬化させる。
【0055】
金属ペースト層の形成は、コンデンサ素子10が金属ケース30に挿入された後、開口を封口する前に行ってもよい。例えば、誘電体層3、固体電解質層4およびカーボン層が形成されたコンデンサ素子10を、金属ペーストが収容された金属ケース30に挿入する。金属ペーストは、コンデンサ素子10と金属ケース30の内表面との間で押し広げられて、金属ペースト層が形成される。
【0056】
(6)陽極リード端子の接合工程
陽極体1から植立する陽極ワイヤ20を、レーザー溶接や抵抗溶接などにより、陽極リード端子50と接合する。
【0057】
(7)陰極リード端子の接合工程
陰極リード端子60を、導電性接着材を介して金属ケース30に接合する。
【0058】
(8)樹脂外装体による樹脂封止工程
次いで、コンデンサ素子10および電解液を収容し、かつ、封口された金属ケース30と、陽極ワイヤ20と、樹脂(樹脂外装体70の材料。例えば、未硬化の熱硬化性樹脂およびフィラー)とを金型に収容し、トランスファー成型法、圧縮成型法等により、金属ケース30および陽極ワイヤ20を樹脂外装体70で樹脂封止する。このとき、陽極リード端子50および陰極リード端子60の少なくとも一部を金型から露出させる。成型の条件は特に限定されず、使用される熱硬化性樹脂の硬化温度等を考慮して、適宜、時間および温度条件を設定すればよい。
以上の方法により、樹脂外装体70を備える併用型電解コンデンサ100が製造される。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明に係る電解コンデンサは、高い品質を備えるため、様々な用途に利用できる。
【符号の説明】
【0060】
100:併用型電解コンデンサ
10:コンデンサ素子
10X:植立面
1:陽極体
3:誘電体層
4:固体電解質層
5:導電層
20:陽極ワイヤ
30:金属ケース
30a:開口端面
30b:開口端部
40:封口部材
50:陽極リード端子
60:陰極リード端子
70:樹脂外装体
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】