(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2019145713
(43)【公開日】20190829
(54)【発明の名称】サーバ冷却システム及びサーバ冷却方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20190802BHJP
   H05K 7/18 20060101ALI20190802BHJP
   G06F 1/20 20060101ALI20190802BHJP
【FI】
   !H05K7/20 G
   !H05K7/18 K
   !H05K7/20 H
   !G06F1/20 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】2018029862
(22)【出願日】20180222
(71)【出願人】
【識別番号】000169499
【氏名又は名称】高砂熱学工業株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区新宿六丁目27番30号
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(72)【発明者】
【氏名】相澤 直樹
【住所又は居所】東京都新宿区新宿六丁目27番30号 高砂熱学工業株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】村田 敏夫
【住所又は居所】東京都多摩市落合2−38−1408
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322AA11
5E322AB11
5E322BA01
5E322BA03
5E322BB03
5E322BB05
5E322EA06
(57)【要約】
【課題】異なった特性を有する冷却ファンを有する異なった種類のサーバ機器をラック等に搭載した場合に、これらのサーバ機器を適切に冷却する。
【解決手段】最下段のホストマシン11のホットアイルHL側と、ストレージキャビネット21のホットアイルHL側との間に遮蔽板41を設け、ホストマシン11とストレージキャビネット21との間に空隙Dを設ける。ホストマシン11からの排気EAHは、空隙Dを通ってコールドアイルCLに流入して拡散する。ホストマシン11の有する冷却ファンによって十分な冷却風量が確保できる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ファンを冷却ファンとして有する第1サーバ機器と、前記第1ファンよりも小さい風量特性を有する第2のファンを冷却ファンとして有する第2サーバ機器とが設けられるラックと、
前記ラックの上部または側部に配置され、前記第1サーバ機器および第2サーバ機器の冷却に使用される熱交換機器と、
前記第1サーバ機器および第2サーバ機器の吸込側に形成される第1空間と、
前記第1サーバ機器および第2サーバ機器の吹出側に形成される第2空間と、を有するサーバ冷却システムであって、
前記第2サーバ機器から吹き出された空気を、前記第1サーバ機器の吸込側へ導く流路を有することを特徴とする、サーバ冷却システム。
【請求項2】
前記第2空間には、前記第1サーバ機器の吹出側領域と、前記第2サーバ機器の吹出側領域とを区画する遮蔽板を有することを特徴とする、請求項1に記載のサーバ冷却システム。
【請求項3】
前記第2サーバ機器の上部、下部または側部には、前記第2サーバ機器から吹出した前記空気が通るための空隙が気密に確保されていることを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載のサーバ冷却システム。
【請求項4】
前記第1空間における前記空隙の上部に、当該空隙の高さ以上の奥行を持ち、且つ前記第2サーバ機器の幅以上の幅を有する対流抑止板を有することを特徴とする、請求項3に記載のサーバ冷却システム。
【請求項5】
前記第1サーバ機器の吸い込み面の位置は、前記対流抑止板の端から、前記空隙の高さ以上の距離をオフセットして設置されることを特徴とする、請求項4に記載のサーバ冷却システム。
【請求項6】
前記第1空間の幅は、前記第1サーバ機器、第2サーバ機器の各幅と等しいかそれより狭いことを特徴とする、請求項4または5のいずれか一項に記載のサーバ冷却システム。
【請求項7】
前記第2空間側に、前記第2サーバ機器からの空気の吹出しを補助する吹出し補助ファンを有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のサーバ冷却システム。
【請求項8】
前記第1空間側に、前記第1サーバ機器の吸い込みを補助する吸い込み補助ファンを有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のサーバ冷却システム。
【請求項9】
第1ファンを冷却ファンとして有する第1サーバ機器と、前記第1ファンよりも小さい風量特性を有する第2のファンを冷却ファンとして有する第2サーバ機器とが設けられるラックと、
前記ラックの上部または側部に配置され、前記第1サーバ機器および第2サーバ機器の冷却に使用される熱交換機器と、
前記第1サーバ機器および第2サーバ機器の吸込側に形成される第1空間と、
前記第1サーバ機器および第2サーバ機器の吹出側に形成される第2空間と、を有するサーバ冷却システムであって、
前記第2サーバ機器から吹き出された空気を前記第1サーバ機器の吹出側へ送り込む補助ファンを有することを特徴とする、サーバ冷却システム。
【請求項10】
前記第1空間側に、前記第2サーバ機器の吸い込みを補助する吸い込み補助ファンを有することを特徴とする、請求項9に記載のサーバ冷却システム。
【請求項11】
前記第2空間には、前記第1サーバ機器の吹出側領域と、前記第2サーバ機器の吹出側領域とを区画する遮蔽板を有し、
前記第1空間には、前記第1サーバ機器の吸い込み側領域と、前記第2サーバ機器の吸い込み領域とを区画する他の遮蔽板を有し、
前記補助ファンは前記遮蔽板に設けられ、
前記吸い込み補助ファンは、前記他の遮蔽板に設けられていることを特徴とする、請求項10に記載のサーバ冷却システム。
【請求項12】
前記第1ファンは遠心式のファンであり、前記第2のファンは軸流ファンであることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載のサーバ冷却システム。
【請求項13】
第1ファンを冷却ファンとして有する第1サーバ機器と、前記第1ファンよりも小さい風量特性を有する第2のファンを冷却ファンとして有する第2サーバ機器とが設けられるラックと、
前記ラックの上部または側部に配置され、前記第1サーバ機器および第2サーバ機器の冷却に使用される熱交換機器と、
前記第1サーバ機器および第2サーバ機器の吸込側に形成される第1空間と、
前記第1サーバ機器および第2サーバ機器の吹出側に形成される第2空間と、を有する、サーバの冷却方法であって、
前記第2サーバ機器から吹き出された空気を前記第1サーバ機器の吸込側へ導くことを特徴とする、サーバ冷却方法。
【請求項14】
第1ファンを冷却ファンとして有する第1サーバ機器と、前記第1ファンよりも小さい風量特性を有する第2のファンを冷却ファンとして有する第2サーバ機器とが設けられるラックと、
前記ラックの上部または側部に配置され、前記第1サーバ機器および第2サーバ機器の冷却に使用される熱交換機器と、
前記第1サーバ機器および第2サーバ機器の吸込側に形成される第1空間と、
前記第1サーバ機器および第2サーバ機器の吹出側に形成される第2空間と、を有する、サーバの冷却方法であって、
前記第2サーバ機器から吹き出された空気を、補助ファンによって前記第1サーバ機器の吹出側へ送り込むことを特徴とするサーバ冷却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラック等に整列して搭載されたサーバ等を冷却するサーバ冷却システム及びサーバ冷却方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば従来から、データセンターなどにおいては、各種のサーバが、サーバラックと呼ばれるラックに整列して複数台搭載されて室内に収容されているが、サーバからの発熱に対処してこれらサーバの適切な動作を保証するため、従来からこれらサーバの機器類(情報技術、測定システム、通信システムなどの電子機器を含む。以下、「サーバ機器」ということがある。)には冷却ファンが設けられている。そして空調機、冷却コイルなどからの供給される例えば常温より低い給気を、この冷却ファンによって吸い込んでサーバを冷却し、冷却した後の昇温した空気をサーバ機器から排気している。
【0003】
このようなサーバ機器に組み込まれた冷却ファンの機外静圧を利用して、ラック内上部に設置した冷却コイルからの給気を冷却ファンで吸い込み、昇温した空気を冷却コイルへと通風させるサーバ冷却システムとしては、特許文献1に開示されているものがある。より詳述すれば、特許文献1に記載の技術においては、ラックに搭載されている複数のサーバ機器がすべて並列に配置され、各サーバ機器の前面側に供給された給気を、各サーバ機器が並行して吸い込み、冷却後の昇温した空気については、各サーバ機器の背面側で並行して排気し、これら各サーバ機器からの排気を集合させて、冷却コイルへと通風させ、一様な気流を形成するようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−117475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところでサーバにはいくつかの種類があり、サーバ用オペーレティングシステムをインストールした演算装置を収納するホストマシンと、ハードディスク等の記憶装置を収納するストレージキャビネットが1つのラックに搭載されていることがある。
【0006】
ホストマシンは熱集積密度の高い中央演算装置を内蔵しており、中央演算装置からの発熱を処理するため熱が拡散できるように、当該中央演算装置の周囲に空間を設けていることが一般的である。従って冷却ための通風抵抗は後述のストレージキャビネットに比べて少ない。そのため、静圧に対して風量が大きく得られる軸流式の冷却ファンが主に使用されている。
【0007】
これに対し、ストレージキャビネットは直方体のハードディスクを複数近接させて内蔵しているので、冷却のための通風抵抗は前述のホストマシンと比べて大きい。そのため、風量に対して高い静圧が得られる遠心式の冷却ファンが主に使用されている。
【0008】
遠心式のファンは、遠心力により羽根車の吸込口径と吐出口径の比の2乗で圧力上昇を得られるのに対して、軸流式のファンは、遠心力を主として利用しないため、遠心式の方が軸流式よりも高い圧力を得やすいという特性を有している。
【0009】
図1は、サーバ機器の機外静圧と風量の関係を示したものであるが、サーバ機器単体の前後に短管を取り付け、短管の端に取り付けた抵抗板で空気抵抗を変化させ、異なる抵抗での風量と機外静圧を測定し、グラフ上にプロットしたものである。さらにホストマシン、ストレージキャビネットの各単体の特性からホストマシン×1台とストレージキャビネット×6台を並列運転した状態を計算で求めプロットした。グラフ中、冷却コイル及び特許文献1におけるシステムにおいて形成されているサーバと上部の熱交換器との間の風路における抵抗を仮定して、各風量における圧力損失として抵抗曲線として示した。
【0010】
このグラフから分かるように、ホストマシン×1台とストレージキャビネット×6台を並列運転した状態では、単体運転ではa1にあった動作点がa2に移動するため、高い圧力が得られ難い軸流式の冷却ファンを使用したホストマシンは、風量が大幅に減少してしまう。風量の減少は冷却能力の不足となり、機器内部の発熱を適切に排除することができず、機器内部の温度上昇が生じ、機器の動作不良及び耐久性の劣化という状態を招き、さらに所定温度を超えると保護装置により機器の運転が停止してしまうおそれがある。なお同グラフ中、b1はストレージキャビネット単体運転時の動作点、b2は並列運転時のストレージキャビネットの動作点、cは、ホストマシン×1台とストレージキャビネット×6台の動作点を示している。
【0011】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、例えばホストマシンとストレージキャビネットを組み合わせてラックに搭載している場合の軸流式の冷却ファンと遠心式の冷却ファンのように、異なった特性を有する冷却ファンの特性を考慮してサーバ機器からの吹き出し気流を適切に形成するようにして、各サーバ機器の冷却を好適に行うことを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するため、本発明は、第1ファンを冷却ファンとして有する第1サーバ機器と、前記第1ファンよりも小さい風量特性を有する第2のファンを冷却ファンとして有する第2サーバ機器とが設けられるラックと、前記ラックの上部または側部に配置され、前記第1サーバ機器および第2サーバ機器の冷却に使用される熱交換機器と、前記第1サーバ機器および第2サーバ機器の吸込側に形成される第1空間と、前記第1サーバ機器および第2サーバ機器の吹出側に形成される第2空間と、を有するサーバ冷却システムであって、前記第2サーバ機器から吹き出された空気を、前記第1サーバ機器の吸込側へ導く流路を有することを特徴としている。
【0013】
本発明によれば、前記第1空間はコールドアイルを構成し、第2空間はホットアイルを構成し、前記熱交換器からの冷たい空気は、前記第1空間に導入される。そして第2サーバ機器の第2ファンは、第1サーバ機器の第1ファンより大きい風量が得やすい特性を有し、かつ前記第2サーバ機器から吹き出された空気を、前記第1サーバ機器の吸込側へ導く流路を有しているので、第1サーバ機器、第2サーバ機器に対して適切な通風量を確保することができ、各々好適な冷却を実現することができる。
【0014】
前記第2空間には、前記第1サーバ機器の吹出側領域と、前記第2サーバ機器の吹出側領域とを区画する遮蔽板を有するようにしてもよい。
【0015】
前記第2サーバ機器の上部、下部または側部には、前記第2サーバ機器から吹出した前記空気が通るための空隙が気密に確保されていてもよい。
【0016】
前記第1空間における前記空隙の上部に、当該空隙の高さ以上の奥行を持ち、且つ前記第2サーバ機器の幅以上の幅を有する対流抑止板を有するようにしてもよい。
【0017】
前記第1サーバ機器の吸い込み面の位置は、前記対流抑止板の端から、前記空隙の高さ以上の距離をオフセットして設置されるように構成してもよい。
【0018】
前記第1空間の幅は、前記第1サーバ機器、第2サーバ機器の各幅と等しいかそれより狭いものであってもよい。
【0019】
前記第2空間側に、前記第2サーバ機器からの空気の吹出しを補助する吹出し補助ファンを有するように構成してもよい。
【0020】
前記第1空間側に、前記第1サーバ機器の吸い込みを補助する吸い込み補助ファンを有する構成としてもよい。
【0021】
別な観点による本発明は、第1ファンを冷却ファンとして有する第1サーバ機器と、前記第1ファンよりも小さい風量特性を有する第2のファンを冷却ファンとして有する第2サーバ機器とが設けられるラックと、前記ラックの上部または側部に配置され、前記第1サーバ機器および第2サーバ機器の冷却に使用される熱交換機器と、前記第1サーバ機器および第2サーバ機器の吸込側に形成される第1空間と、前記第1サーバ機器および第2サーバ機器の吹出側に形成される第2空間と、を有するサーバ冷却システムであって、前記第2サーバ機器から吹き出された空気を前記第1サーバ機器の吹出側へ送り込む補助ファンを有することを特徴としている。
【0022】
この場合、前記第1空間側に、前記第2サーバ機器の吸い込みを補助する吸い込み補助ファンを有する構成としてもよい。
【0023】
前記第2空間には、前記第1サーバ機器の吹出側領域と、前記第2サーバ機器の吹出側領域とを区画する遮蔽板を有し、前記第1空間には、前記第1サーバ機器の吸い込み側領域と、前記第2サーバ機器の吸い込み領域とを区画する他の遮蔽板を有し、前記補助ファンは前記遮蔽板に設けられ、前記吸い込み補助ファンは、前記他の遮蔽板に設けられていてもよい。
【0024】
たとえば前記第1ファンは遠心式のファンであり、また前記第2ファンはたとえば軸流ファンであってもよい。
【0025】
さらに別な観点による本発明は、第1ファンを冷却ファンとして有する第1サーバ機器と、前記第1ファンよりも小さい風量特性を有する第2のファンを冷却ファンとして有する第2サーバ機器とが設けられるラックと、前記ラックの上部または側部に配置され、前記第1サーバ機器および第2サーバ機器の冷却に使用される熱交換機器と、前記第1サーバ機器および第2サーバ機器の吸込側に形成される第1空間と、前記第1サーバ機器および第2サーバ機器の吹出側に形成される第2空間と、を有する、サーバの冷却方法であって、前記第2サーバ機器から吹き出された空気を前記第1サーバ機器の吸込側へ導くことを特徴としている。
【0026】
さらに別な観点による本発明は、第1ファンを冷却ファンとして有する第1サーバ機器と、前記第1ファンよりも小さい風量特性を有する第2のファンを冷却ファンとして有する第2サーバ機器とが設けられるラックと、前記ラックの上部または側部に配置され、前記第1サーバ機器および第2サーバ機器の冷却に使用される熱交換機器と、前記第1サーバ機器および第2サーバ機器の吸込側に形成される第1空間と、前記第1サーバ機器および第2サーバ機器の吹出側に形成される第2空間と、を有する、サーバの冷却方法であって、前記第2サーバ機器から吹き出された空気を、補助ファンによって前記第1サーバ機器の吹出側へ送り込むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、サーバ機器に使用される異なった冷却ファンの特性を考慮してサーバ機器からの吹き出された空気の気流を適切に形成するようにしたので、各サーバ機器の冷却を好適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】ホストマシンとストレージキャビネットの動作点を示す風量−機外静圧特性を示すグラフである。
【図2】本発明の実施の形態にかかる冷却システムの構成の概略を示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかる冷却システムの斜視図である。
【図4】ホットアイル側に遮蔽板を有する冷却システムの構成を模式的に示した説明図である。
【図5】ホットアイル側に遮蔽板、コールドアイル側に対流抑止板を有する冷却システムの構成を模式的に示した説明図である。
【図6】排気補助ファンを有する冷却システムの構成を模式的に示した説明図である。
【図7】ホットアイル側の遮蔽板に排気補助ファンを有し、コールドアイル側の遮蔽板に吸い込み補助ファンを有する冷却システムの構成を模式的に示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図2は、実施の形態にかかる冷却システム1の構成の概略を示しており、この図は、主として低温の給気SAと排気EA、還気RAの流れを示しており、ラック、外側ケーシング等の図示は省略している。
【0030】
この例では、最下段に第2サーバ機器としてのホストマシン11、その上に6台の第1サーバ機器としてのストレージキャビネット21〜26が上下方向に配置されている。この例では、ホストマシン11には軸流ファンが冷却ファンとして設けられており、ストレージキャビネット21〜26には遠心式のファンが冷却ファンとして設けられている。そして最上段のストレージキャビネット26の上に、例えば冷却コイルなどの熱交換部2が設置されている。
【0031】
ホストマシン11、各ストレージキャビネット21〜26の吸い込み面11a、21a〜26aは、例えば前面側(図2中の右側)に向けられ、ホストマシン11、各ストレージキャビネット21〜26の吹出し面となる排気面11b、21b〜26bは、例えば背面側(図2中の左側)に向けられている。
【0032】
そして外側ケーシング(図示せず)内における、ホストマシン11、各ストレージキャビネット21〜26の各吸い込み面11a、21a〜26a側の空間が第1空間としてのコールドアイルCLを形成し、ホストマシン11、各ストレージキャビネット21〜26の各排気面11b、21b〜26b側の空間が第2空間としてのホットアイルHLを形成している。
【0033】
そしてこの冷却システム1においては、最下段のホストマシン11の排気面11bから排気EAHは、ホットアイルHLへは流れず、たとえばホストマシン11とストレージキャビネット21との間の空隙を経て、コールドアイルCL側に流れるようになっている。すなわち、この例では、ホストマシン11とストレージキャビネット21〜26を並列に設置するのではなく、ホストマシン11のみをストレージキャビネット21〜26の上流に設置し、気流の流れ的には直列に配置されている。
【0034】
このように構成することで、ホストマシン11の冷却ファンの動作点は、図1のグラフのa1側に移行することとなり、ホストマシン11では所定の風量を得ることが可能となる。これによって、各サーバ機器、すなわちホストマシン11とストレージキャビネット21〜26の冷却をいずれも好適に行うことが可能になる。シミュレーションで確認したところ、従来技術ではホストマシンの冷却ファンの気流が逆流となることが予想されるのに対し、前記した例では正常な気流方向となることが予想された。
【0035】
このように実施の形態によれば、ホストマシン11とストレージキャビネット21〜26に設けられている各冷却ファンの風量特性に鑑みて、ホストマシン11からホットアイルHLに吹出された暖かい空気をコールドアイルCLに導くようにしたので、ホストマシン11においても適切な風量を取り入れてこれを冷却可能にしている。すなわち、ホストマシン11に設けられた冷却ファンは、ストレージキャビネット21〜26に設けられた冷却ファンよりも風量特性が小さく、機外静圧が低いため、ホストマシン11から吹出される空気をコールドアイルCL側に導き、それによってホストマシン11の吸い込み面11aからコールドアイルCL側の冷たい空気を吸い込むことができるためである。
【0036】
したがって、本発明でいう風量特性とは、機外静圧の影響の大小を示す能力特性をいう。したがって風量特性が小さいとは、大きい風量は容易に得やすいものの、機外静圧の影響を受けやすい特性である。別な観点から言えば、ホストマシン11に設けられた冷却ファンは、ストレージキャビネット21〜26に設けられた冷却ファンよりも大きい風量が得やすい特性、構造を有し、一方ストレージキャビネット21〜26に設けられた冷却ファンは、ホストマシン11に設けられた冷却ファンより高い静圧が得やすい特性、構造を有している。
【0037】
次に他の実施の形態について説明する。図3は、以下に説明する種々の実施の形態にかかる冷却システムを説明するための冷却システム1の斜視図を示している。
【0038】
この冷却システム1は、サーバラック3に、下から順にホストマシン11、ストレージキャビネット21〜26が搭載されている。このサーバラック3は、例えば日本工業規格JIS C6010−2:1998「電子機器用ラック及びユニットシャシのモジュラオーダー」のレベル4「きょう体」に準拠している。
【0039】
ホストマシン11を最下段以外の高さ位置に設置すると、一般的にホストマシン11の奥行は、ストレージキャビネット21〜26の奥行よりも長いので、例えばホストマシン11の背面側をホットアイルHL側に突出させてしまい、排気が還気として熱交換部2に戻る際の流路が狭くなって空気抵抗が増加してしまう。その結果冷却風量が低下し、冷却能力が減少する。したがって、ホストマシン11は最下段に設置することがよい。
【0040】
このサーバラック3の外側には、サーバラック3及び上部の熱交換部2の六面全体を覆う気密性のあるパネル材からなる外側ケーシング5によって囲まれている。この例ではホストマシン11の下面側には基台12が設置されている。そしてホストマシン11の上面側には、ストレージキャビネット21の下面側との間に空隙Dが形成されている。
【0041】
ホストマシン11、ストレージキャビネット21〜26の両側部には、各々シール材31、32が設けられており、これらサーバ機器の前面(手前側)のコールドアイルCLと背面側のホットアイルHLとの間の気密性が高められている。このような基本構成を有する冷却システム1において、以下のような部材の付加や構成等を単一あるいは複数組み合わせることができる。
【0042】
[遮蔽板]
ホストマシン11のホットアイルHL側と、ストレージキャビネット21のホットアイルHL側との間に、当該ホットアイルHLの領域を上下に気密に区画して仕切る水平方向に渡された遮蔽板41を設けてもよい。すなわち、遮蔽板41は、ホットアイルHLにおけるストレージキャビネット21の吹出側領域と、ホストマシン11の吹出側領域とを区画して遮蔽するように設置される。したがって、吹出側領域とは、ストレージキャビネット21、ホストマシン11から吹出される暖かい空気が吹出される領域である。通常のこの種のサーバー機器から吹出される暖かい空気は、水平方向に吹出されるので、吹出側領域とは、ホットアイルHLにおけるストレージキャビネット21、ホストマシン11の各排気面21b、11bと水平方向に対応する領域(空間)となる。
【0043】
このような遮蔽板41を設けることにより、シール材31、32の気密性と相俟って、ホストマシン11からの排気EAHに伴う暖かい空気は、ホストマシン11とストレージキャビネット21との間の気密性を有する空隙Dを経て、コールドアイルCL側に好適に流すことができる。また一方で、ストレージキャビネット21からホットアイルHLに吹出された暖かい空気が、ホストマシン11のホットアイルHLに回り込むことも防止できる。これによって、図4に示したような気流の形成を適切に形成して、ホストマシン11においては、十分な風量の給気を取り入れることができ、またストレージキャビネット21〜26の冷却も適切に行うことができる。
【0044】
[空隙]
前記した空隙Dは、ホストマシン11からの排気EAHがコールドアイルCLに流すための流路となるが、ホストマシン11から排出された排気EAHがホットアイルHL側からコールドアイルCL側に流入させるにあたっては、そのようにホストマシン11の上部からのみ通風させることで、ホストマシン11の吸い込み面11aへの当該排気EAHの還流を少なくさせる効果がある。
【0045】
そして空隙Dの大きさ、すなわち空隙Dの高さは、ホストマシン11の高さhの0.5倍を超える高さを確保することが好ましい。空隙Dの高さが不十分な場合、流路の圧力損失が上昇し、ホストマシン11の冷却風量が十分に得られないおそれがある。したがって空隙Dの高さの下限値は、ホストマシン11の高さhの0.5倍が適切であり、開口率を50%と仮定した場合のホストマシン11の吸い込み面11aの空気取り入れ口の有効面積と、同等以上の断面積を空隙Dが有することが望ましい。
【0046】
[対流抑止板]
図3に再び戻って示すように、コールドアイルCL側における空隙Dの上部に、空隙Dの高さ以上の奥行を持ち、かつストレージキャビネット21の幅と等しいかそれ以上の幅を有する対流抑止板51を設けてもよい。この対流抑止板51は、ストレージキャビネット21、ホストマシン11の各吸い込み面21a、11aに対応する吸い込み側領域、すなわちコールドアイルCLにおける各吸い込み面21a、11aに対応する領域を遮蔽するものではなく、仕切るものである。
【0047】
かかる構成の対流抑止板51を設けることで、空隙DからコールドアイルCL側に流入する排気EAHを、図5に示したように、対流抑止板51の両側から自然対流により上方に流れていくように気流を整流する。こうすることで、空隙Dから流入する排気EAHによる温かい空気と、熱交換部2からの冷たい空気である給気SAの空気密度差で生じる対流を、ストレージキャビネット21の両脇に誘導し、最上段のストレージキャビネット26まで上昇させることができる。また上昇する過程で熱交換部2からの冷たい空気と前記暖かい空気を混合し、徐々に当該混合空気を拡散することでホストマシン11から排出された排気EAHによる温かい空気を、ストレージキャビネット21〜26に均等に振り分けることが可能となる。
【0048】
またホストマシン11および空隙Dの直上に位置するストレージキャビネット21の吸い込み面21aに、空隙Dから流入する排気EAHによる温かい空気が吸込まれることを抑制することができる。その結果、ホストマシン11および空隙Dの直上に位置するストレージキャビネット21の冷却に支障を与えることをも抑制できる。
【0049】
なお対流抑止板51には、パンチング板等を使用してもよく、対流抑止板51に代えて、空隙Dからの暖かい空気を分配する分配ダクトをコールドアイルCLに設置してもよい。
【0050】
[通気口じゃま板]
図3に示したように、コールドアイルCLにおける上方で、熱交換部2からの冷たい空気をコールドアイルCLに導入する際の入口部分となる位置に、開口6aを有する通気口じゃま板6を設けてもよい。この場合、熱交換部2からの冷たい空気は、当該開口6aを通じて降下していくことになる。一方で、対流抑止板51を設置した場合、ホストマシン11の排気面から吹出された暖かい空気は、対流抑止板51の両側から自然対流により上方に流れていく。したがって、熱交換部2からの冷たい空気が、前記した暖かい空気と途中で干渉することは抑えられる。その結果、熱交換部2からの冷たい空気を、ホストマシン11の吸い込み面11a側に好適に導くことが可能である。もちろんストレージキャビネット21〜26の各吸い込み面21a〜26aに対しても効率よく熱交換部2からの冷たい空気を送ることができる。かかる点からすれば、開口6aを有する通気口じゃま板6は、後述のように、コールドアイルCLの幅を実質的に狭くするという効果が得られる。
【0051】
通気口じゃま板6の開口6aの幅は、位置は、そのような作用に鑑みると、寝たとえば対流抑止板51に対応して設定するようにしてもよい。すなわち開口6aの幅を対流抑止板51の幅と同一に設定し、また開口6a自体の位置を、対流抑止板51の前面側端部と外側ケーシング5との間に位置するように設定してもよい。つまり上面からみて、開口6a内に対流抑止板51がかからないように設定してもよい。もちろん上面からみて、開口6a内に対流抑止板51一部がかかっても、冷気と暖気とが途中で干渉することを抑制するという本質的な作用効果は大きく減じられるものではない。また開口6aの幅は、ストレージキャビネット21〜26の各吸い込み面21a〜26a、ホストマシン11aの吸い込み面11aの実質的な幅(実際に冷たい空気が吸い込まれる際の領域の幅)と同一に設定してもよい。
【0052】
[ホストマシンのオフセット配置]
前記したように、対流抑止板51を設置した場合、ホストマシン11の吸い込み面11aの位置は、対流抑止板51の端から、空隙Dの高さと等しいかそれ以上の距離をオフセットして設置することが好ましい。ここでいうオフセットとは、図3に示したように、コールドアイルCL側に、ホストマシン11の吸い込み面11aの位置が、ストレージキャビネット21の吸い込み面21aよりも突出していることをいう。
【0053】
ホストマシン11の吸い込み面11aの位置が、ストレージキャビネット21と同じ位置もしくは対流抑止板51の端と等しい場合、空隙Dから流入する温かい空気をホストマシン11の吸い込み面11aが吸込む割合が多くなってしまい、ホストマシン11での冷却効果が損なわれるおそれがある。したがって、ホストマシン11の吸い込み面11aの位置は、対流抑止板51の端から、空隙Dの高さと等しいかそれ以上の距離をオフセットして設置することで、空隙Dから流入する温かい空気を、ホストマシン11の吸い込み面11aが吸込む割合を少なくすることができる。これによってホストマシン11での冷却効果の低下を抑えることができる。
【0054】
[コールドアイルの幅]
コールドアイルCLの幅は、ホストマシン11及びストレージキャビネット21〜26の各幅と等しいかそれより狭いように設定してもよい。冷却システム1では、例えば図4、5に示したように、熱交換部2からの冷たい空気が、ストレージキャビネット21〜26と、ホストマシン11のコールドアイルCLに落下していく。かかる場合、コールドアイルCLの幅を制限しないと、前記した対流抑止板51の両脇から自然対流によって上昇する気流と熱交換部2から下降する冷たい空気が干渉し、ホストマシン11から排出された温かい空気を、ストレージキャビネット21〜26とホストマシン11に均等に振り分けることができなくなるおそれがある。熱交換部2からの冷たい空気の運動エネルギーは、上昇する温かい空気のそれよりも大きいため、対流が低い位置で押し戻され、下部のサーバ機器となる例えばストレージキャビネット25、26と、ホストマシン11での吸込み空気の温度が高くなる。
【0055】
これを抑えるため、冷たい空気の流路であるコールドアイルCLの幅を、ストレージキャビネット21〜26、ホストマシン11の幅と等しいかそれ以上狭くするようにしてもよい。たとえば、対流抑止板51の両脇からの暖かい空気が上昇する部分の直上のコールドアイルCLを狭くすることで、対流抑止板51の両脇から上昇する気流と熱交換部2からの冷たい空気との干渉を抑制することが可能である。
【0056】
[補助ファン]
ホストマシン11のホットアイルHL側に、ホストマシン11からの排気を補助する排気補助ファンを設けて、より円滑に空隙Dから排気EAHが流れて行くようにしてもよい。またホストマシン11のコールドアイルCL側にホストマシン11への給気の吸い込みを補助する吸い込み補助ファンを設けてもよい。もちろん双方の補助ファンを設けてもよい。
【0057】
これによって、積極的にホストマシン11の内部に冷たい空気を通風させて必要な風量を確保することができ、ホストマシン11内部の冷却が支障なく行える。なおかかる場合の風量制御(回転数制御)の方法は汎用的な制御方法を採用することができ、例えば補助ファンの入口側の圧力が0になるように回転数を制御することができる。補助ファンは、ストレージキャビネット21〜26内の冷却ファンまたはホストマシン11内の冷却ファンよりも早く起動させることが望ましい。そうすることで、これらサーバ機器内の冷却ファンの起動によって補助ファンが停止してしまうことを防止できる。
【0058】
なおそのような補助ファンを採用する場合、例えば図6に示した冷却システム1のように、既述したような空隙D、遮蔽板41、対流抑止板51を設けず、最下段のホストマシン11の排気面11bに、排気補助ファン61を設けてもよい。これによって、システム構成を簡素化して、かつホストマシン11の適切な冷却に必要な風量を確保することができる。
【0059】
さらにまた図7に示したように、ホストマシン11の上側のホットアイルHL側に遮蔽板41を設けるだけではなく、コールドアイルCL側にも遮蔽板42を設け、夫々排気補助ファン61、吸い込み補助ファン62を設けてもよい。かかる場合でも、ホストマシン11の適切な冷却に必要な風量を確保することができる。この例でも、排気補助ファン61の入口側の圧力が0になるように回転数を制御し、併せてこれと同じ風量となるようにコールドアイルCL側の吸い込み補助ファン62の回転数を制御するようにしてもよい。
【0060】
なお前記した第1のサーバ機器としてのホストマシン11では、冷却ファンとして一般的に軸流式のファンが使用され、第2のサーバ機器としてのストレージキャビネット21〜26では、通常、遠心式のファンが使用されているが、本発明における第1のサーバ機器、第2のサーバ機器で採用される冷却ファンは、夫々そのような軸流式のファン、遠心式のファンに限られない。すなわち、第1のサーバ機器で使用される冷却ファンは、第2のサーバ機器で採用される冷却ファンより大きい風量が得やすい特性を有するものであればよく、また第2のサーバ機器で使用される冷却ファンは、第1のサーバ機器で採用される冷却ファンより
高い静圧が得やすい特性を有するものであればよい。
【0061】
前記実施の形態では、熱交換部2は、外側ケーシング5内におけるサーバラック3の上部に設けていたが、サーバラック3の側部に設けてもよい。
【0062】
また前記した例では、空隙Dは、ホストマシン11の上面側とストレージキャビネット21の下面側との間に形成していたが、空隙Dは、ホストマシン11からの暖かい空気が流れる通路として確保すればよいので、ホストマシン11の側部や下面側に形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、サーバ等、発熱を伴いその対処手段として冷却ファンを有する各種電子機器をラック等に搭載したシステムの冷却に有用である。
【符号の説明】
【0064】
1 冷却システム
2 熱交換部
3 サーバラック
5 外側ケーシング
11 ホストマシン
11a 吸い込み面
11b 排気面
21〜26 ストレージキャビネット
21a〜26a 吸い込み面
21b〜26b 排気面
31、32 シール材
41、42 遮蔽板
51 対流抑止板
CL コールドアイル
D 空隙
HL ホットアイル
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】