(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2019145727
(43)【公開日】20190829
(54)【発明の名称】有機半導体インキ、それを用いた有機薄膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/40 20060101AFI20190802BHJP
   C09D 11/52 20140101ALI20190802BHJP
   H01L 51/05 20060101ALI20190802BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20190802BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20190802BHJP
【FI】
   !H01L29/28 310J
   !C09D11/52
   !H01L29/28 100A
   !H01L29/78 618A
   !H01L29/78 618B
   !H01L21/368 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】2018030496
(22)【出願日】20180223
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
【住所又は居所】山口県周南市開成町4560番地
(71)【出願人】
【識別番号】000173762
【氏名又は名称】公益財団法人相模中央化学研究所
【住所又は居所】神奈川県綾瀬市早川2743番地1
(72)【発明者】
【氏名】相原 秀典
【住所又は居所】神奈川県綾瀬市早川2743番地1 公益財団法人相模中央化学研究所内
(72)【発明者】
【氏名】中野 健央
【住所又は居所】神奈川県綾瀬市早川2743番地1 公益財団法人相模中央化学研究所内
(72)【発明者】
【氏名】福田 貴
【住所又は居所】三重県四日市市霞1丁目8番地 東ソー株式会社 四日市事業所内
(72)【発明者】
【氏名】上田 さおり
【住所又は居所】三重県四日市市霞1丁目8番地 東ソー株式会社 四日市事業所内
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 真人
【住所又は居所】三重県四日市市霞1丁目8番地 東ソー株式会社 四日市事業所内
【テーマコード(参考)】
4J039
5F053
5F110
【Fターム(参考)】
4J039BC03
4J039BC07
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(57)【要約】
【課題】湿式法に用いることで、有機半導体の板状晶から成る結晶性薄膜を形成することの出来る有機半導体インキを提供する。
【解決手段】π共役化合物、1種類以上の芳香族化合物、及び1種類以上の脂肪族アルコールから成る有機半導体インキ。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
π共役化合物、1種類以上の芳香族化合物、及び1種類以上の脂肪族アルコールから成る有機半導体インキ。
【請求項2】
芳香族化合物が、芳香族炭化水素である、請求項1に記載の有機半導体インキ。
【請求項3】
芳香族炭化水素の沸点が、80℃以上220℃以下である、請求項1又は2に記載の有機半導体インキ。
【請求項4】
芳香族炭化水素が一般式(1)
【化1】
(式中、R、R、R、R、R及びRは、各々独立に、水素原子、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルキルオキシ基、塩素原子、シアノ基、ニトロ基を表す。R及びRは、一体となってそれぞれが結合する炭素原子を含んで6員環を形成することもできる。)で示されるベンゼン化合物であることを特徴とする、請求項3に記載の有機半導体インキ。
【請求項5】
芳香族炭化水素が、トルエン、キシレン、クロロベンゼン又はニトロベンゼンであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の有機半導体インキ。
【請求項6】
50重量%から98重量%の芳香族化合物を含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の有機半導体インキ。
【請求項7】
脂肪族アルコールの表面張力が、30mN/m以下であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の有機半導体インキ。
【請求項8】
脂肪族アルコールが、炭素数4から12の第一級脂肪族アルコールであることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の有機半導体インキ。
【請求項9】
脂肪族アルコールが、1−オクタノールであることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の有機半導体インキ。
【請求項10】
2重量%から50重量%の脂肪族アルコールを含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の有機半導体インキ。
【請求項11】
0.01重量%から10重量%のπ共役化合物を含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれかに記載の有機半導体インキ。
【請求項12】
π共役化合物が、ポリアセン化合物であることを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載の有機半導体インキ。
【請求項13】
ポリアセン化合物が一般式(2)
【化2】
(式中、R〜R10は、各々独立に、水素原子;炭素数1から20のアルキル基;炭素数1から20のハロアルキル基;又は炭素数1から12のアルキル基で置換されていてもよい炭素数6から14の芳香族炭化水素基を表す。2つのXは、同一又は相異なって、C−H又は窒素原子を表す。2つのXは、同一又は相異なって、炭素数1から20のアルキル基で置換されていてもよい窒素原子;又は硫黄原子を表す。nは1から4の整数を表す。)で示されるヘテロアセン化合物であることを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項に記載の有機半導体インキ。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の有機半導体インキを用いて製膜することを特徴とする有機薄膜。
【請求項15】
請求項14に記載の有機薄膜を活性層に含むことを特徴とする有機トランジスタ素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、π共役化合物と混合溶媒から成る有機半導体インキ、該インキを用いて作製する有機薄膜、及び有機トランジスタ素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機半導体を用いた有機電子素子が軽量性や可撓性の点から注目されている。有機電子素子の作成においては、真空蒸着により有機半導体層を形成する方法が一般的であるが、溶媒を用いて有機半導体を液状のインキとし、これを基板等へ塗布、乾燥することで有機半導体層を形成する湿式法が、生産性の点からより好ましい。形成される有機半導体層は、キャリア伝導の点から有機半導体の結晶から成る結晶性薄膜であることが望ましい。また、有機半導体の結晶形は、ピンホールのない平滑な結晶性薄膜となる点で板状晶が好ましい。
【0003】
湿式法のうち、有機半導体を含むインキを直接基板へ滴下し、溶媒の蒸発によって有機半導体層を形成するドロップキャスト法やインクジェット法は簡便な方法ではあるが、液滴外縁部に多くの有機半導体が析出し、外縁部の膜厚が厚い不均一な膜が形成される、いわゆるコーヒーリング現象が起こる。
【0004】
特許文献1及び2には、インクジェット機を用いて有機半導体を含むインキを滴下した後、同液滴上に有機半導体の溶解性が劣る別の溶媒を滴下し、結晶性薄膜を形成する方法が開示されている。
【0005】
また非特許文献1には、予め混合したクロロベンゼン及びドデカンを溶媒とし、有機半導体として6,13−ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセンを含むインキを用いて、インクジェット法にて製膜することで、結晶性薄膜が得られることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015−92585号公報
【特許文献2】特開2015−173210号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Advanced Functional Materials 2008年,18巻,229頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1及び2にかかる方法では、基板上で有機半導体を含むインキと別の溶媒の2液を混合するため、特殊なインクジェット機が必要であった。また、非特許文献1にかかる方法では、有機物の溶解性が著しく低いドデカンを用いるため、利用できる有機半導体は溶解度の高いものである必要があることがわかった。
【0009】
そこで、本発明の一態様は、有機半導体の板状晶から成る結晶性薄膜を、湿式法で形成するに好適な有機半導体インキを提供することに向けたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
即ち本発明の一態様は、下記[1]から[10]である。
[1]π共役化合物、1種類以上の芳香族化合物、及び1種類以上の脂肪族アルコールから成る有機半導体インキ。
[2]芳香族化合物が、芳香族炭化水素である、前記[1]に記載の有機半導体インキ。
[3]芳香族炭化水素の沸点が、80℃以上220℃以下である、前記[1]又は[2]に記載の有機半導体インキ。
[4]芳香族炭化水素が一般式(1)
【0011】
【化1】
【0012】
(式中、R、R、R、R、R及びRは、各々独立に、水素原子、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルキルオキシ基、塩素原子、シアノ基、ニトロ基を表す。R及びRは、一体となってそれぞれが結合する炭素原子を含んで6員環を形成することもできる。)で示されるベンゼン化合物であることを特徴とする、前記[3]に記載の有機半導体インキ。
[5]芳香族炭化水素が、トルエン、キシレン、クロロベンゼン又はニトロベンゼンであることを特徴とする、前記[1]から[4]のいずれかに記載の有機半導体インキ。
[6]50重量%から98重量%の芳香族化合物を含むことを特徴とする、前記[1]から[5]のいずれかに記載の有機半導体インキ。
[7]脂肪族アルコールの表面張力が、30mN/m以下であることを特徴とする、前記[1]から[6]のいずれかに記載の有機半導体インキ。
[8]脂肪族アルコールが、炭素数4から12の第一級脂肪族アルコールであることを特徴とする、前記[1]から[7]のいずれかに記載の有機半導体インキ。
[9]脂肪族アルコールが、1−オクタノールであることを特徴とする、前記[1]から[8]のいずれかに記載の有機半導体インキ。
[10]2重量%から50重量%の脂肪族アルコールを含むことを特徴とする、前記[1]から[9]のいずれかに記載の有機半導体インキ。
[11]0.01重量%から10重量%のπ共役化合物を含むことを特徴とする、前記[1]から[10]のいずれかに記載の有機半導体インキ。
[12]π共役化合物が、ポリアセン化合物であることを特徴とする、前記[1]から[11]のいずれかに記載の有機半導体インキ。
[13]ポリアセン化合物が一般式(2)
【0013】
【化2】
【0014】
(式中、R〜R10は、各々独立に、水素原子;炭素数1から20のアルキル基;炭素数1から20のハロアルキル基;又は炭素数1から12のアルキル基で置換されていてもよい炭素数6から14の芳香族炭化水素基を表す。2つのXは、同一又は相異なって、C−H又は窒素原子を表す。2つのXは、同一又は相異なって、炭素数1から20のアルキル基で置換されていてもよい窒素原子;又は硫黄原子を表す。nは1から4の整数を表す。)で示されるヘテロアセン化合物であることを特徴とする、前記[1]から[12]のいずれかに記載の有機半導体インキ。
[14]前記[1]から[13]のいずれかに記載の有機半導体インキを用いて製膜することを特徴とする有機薄膜。
[15]前記[14]に記載の有機薄膜を活性層に含むことを特徴とする有機トランジスタ素子。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様によれば、板状晶から成る結晶性の有機薄膜を湿式法で簡便に得ることができる有機半導体インキを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明の有機半導体インキは、芳香族化合物、脂肪族アルコールの混合溶媒、及びπ共役化合物を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明の有機半導体インキに含まれる芳香族化合物は、常温で液体であり、本発明の有機半導体インキに含まれるπ共役化合物を溶解するものであればよく、含ヘテロ芳香族化合物、芳香族炭化水素等を例示することができる。含ヘテロ芳香族化合物としては、ピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2,3−ルチジン、2,4−ルチジン、2,5−ルチジン、2,6−ルチジン、2−クロロピリジン、3−クロロピリジン、4−クロロピリジン、2−シアノピリジン、3−シアノピリジン、4−シアノピリジン、キノリン、2−メチルキノリン、3−メチルキノリン、4−メチルキノリン、6−メチルキノリン、7−メチルキノリン、8−メチルキノリン、2,4−ジメチルキノリン、2,6−ジメチルキノリン、イソキノリン、5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン等の含窒素芳香族化合物、フラン、チオフェン、N−メチルピロール等の含ヘテロ五員芳香族化合物等を例示することができる。芳香族化合物としては、溶解性に優れる点で、芳香族炭化水素が好ましい。
【0019】
芳香族炭化水素としては、下記一般式(1)で示されるベンゼン化合物が好ましい。
【0020】
【化3】
【0021】
(式中、R、R、R、R、R及びRは、前記と同じ意味を表す。)
、R、R、R、R及びRで表される炭素数1から4のアルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状アルキル基のいずれでもよく、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、2−メチルプロピル基、ブチル基、2−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基などを例示することができ、ベンゼン化合物(1)が適切な沸点を示す点で、メチル基が好ましい。
【0022】
、R、R、R、R及びRで表される炭素数1から4のアルキルオキシ基は、直鎖状、分岐状又は環状アルキルオキシ基のいずれでもよく、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、1−メチルエチルオキシ基、1,1−ジメチルエチルオキシ基、プロピルオキシ基、1−メチルプロピルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、シクロブチルオキシ基等を例示することができ、π共役化合物に対する溶解性が良い点で、メトキシ基が好ましい。
【0023】
ベンゼン化合物(1)として具体的には、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、キシレン、o−キシレン、ジエチルベンゼン、1,3−ジエチルベンゼン、アニソール、エトキシベンゼン、プロピルオキシベンゼン、ブチルオキシベンゼン、ジメトキシベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、クロロトルエン2−クロロトルエン、クロロキシレン、3−クロロ−o−キシレン、ベンゾニトリル、トルニトリル、ニトロベンゼン、ニトロトルエン、クロロナフタレン、メチルナフタレン、テトラリン等を例示することができ、π共役化合物に対する溶解性が良い点で、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ニトロベンゼンが好ましい。
【0024】
本発明の有機半導体インキに含まれる芳香族化合物は、インキの乾燥に要する時間が適切である点で、80℃以上220℃以下の沸点を持つものが好ましく、110℃以上180℃以下の沸点を持つものがさらに好ましい。
【0025】
本発明の有機半導体インキに含まれる脂肪族アルコールは、常温で液体であり、本発明の有機半導体インキに含まれる芳香族化合物と混和するものであればよく、第一級、第二級又は第三級脂肪族アルコール溶媒のいずれでもよい。該脂肪族アルコール溶媒としては、具体的には、メタノール、エタノール、2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、ブタノール、2−ブタノール、tert−ブチルアルコール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−ペンチルアルコール、2−ペンチルアルコール、3−ペンチルアルコール、シクロペンチルアルコール、1−ヘキシルアルコール、2−ヘキシルアルコール、3−ヘキシルアルコール、シクロヘキシルアルコール、2−エチル−1−ヘキシルアルコール、1−ヘプタノール、2−ヘプチルアルコール、3−ヘプチルアルコール、4−ヘプチルアルコール、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノール、1−ウンデシルアルコール、1−ドデシルアルコール、ベンジルアルコール、2,2,2−トリフルオロエタノール等を例示することができ、中でも、本発明の有機半導体インキにより得られる有機薄膜の結晶性が良い点で、第一級脂肪族アルコール溶媒が好ましく、炭素数4から12の第一級脂肪族アルコール溶媒がさらに好ましく、1−オクタノールが殊更好ましい。
【0026】
本発明の有機半導体インキに含まれる脂肪族アルコールは、本発明の有機半導体インキが適切な粘度を示す点で、本発明の有機半導体インキに含まれる芳香族化合物よりも小さな表面張力を持つことが好ましい。本発明の有機半導体インキに含まれる脂肪族アルコールの表面張力は、具体的には、35mN/m以下が好ましく、30mN/m以下がさらに好ましい。
【0027】
本発明の有機半導体インキに含まれるπ共役化合物は、互いに結合する芳香族炭化水素環又は芳香族ヘテロ環を有するものであればよく、該芳香族炭化水素環又は芳香族ヘテロ環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ボロール環、シロール環、ピロール環、ホスホロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、フラン環、チオフェン環、セレノフェン環、テルロフェン環、チアジアゾール環等を例示することができ、例えば、Chemical Reviews 2006年,106巻,5029頁及びChemical Reviews 2015年,115巻,3036頁に記載されたものや、下記3−1から3−11に示す構造の化合物を具体的に例示することができる。
【0028】
【化4】
【0029】
【化5】
【0030】
【化6】
【0031】
【化7】
【0032】

本発明の有機半導体インキに含まれるπ共役化合物としては、半導体特性に優れる点で、前記芳香族炭化水素環又は芳香族ヘテロ環を3から20有することが好ましく、4から10有することがさらに好ましい。本発明の有機半導体インキに含まれるπ共役化合物においては、該芳香族炭化水素環又は芳香族ヘテロ環同士が単結合や二重結合、ビニレン基若しくはエチニレン基による結合、縮環等により結合している。本発明の有機半導体インキに含まれるπ共役化合物としては、半導体特性に優れる点で、縮環により互いに結合した芳香族炭化水素環又は芳香族ヘテロ環を有するポリアセン化合物が好ましく、下記3−12から3−24に示す構造の化合物を具体的に例示することができる。
【0033】
【化8】
【0034】
【化9】
【0035】
【化10】
【0036】
【化11】
【0037】
【化12】
【0038】
該ポリアセン化合物としては、中でも、下記一般式(2)で示されるヘテロアセン化合物がさらに好ましい。
【0039】
【化13】
【0040】
(式中、R〜R10は、各々独立に、水素原子;炭素数1から20のアルキル基;炭素数1から20のハロアルキル基;又は炭素数1から12のアルキル基で置換されていてもよい炭素数6から14の芳香族炭化水素基を表す。2つのXは、同一又は相異なって、C−H又は窒素原子を表す。2つのXは、同一又は相異なって、炭素数1から20のアルキル基で置換されていてもよい窒素原子;又は硫黄原子を表す。nは1から4の整数を表す。)
〜R10で表される炭素数1から20のアルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状アルキル基のいずれでもよく、具体的には、メチル基、シクロヘキシルメチル基、エチル基、2−シクロペンチルエチル基、プロピル基、2−メチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、3−シクロプロピルプロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、2−ブチル基、3−メチルブタン−2−イル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、2−メチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、2−ペンチル基、2−メチルペンタン−2−イル基、4,4−ジメチルペンタン−2−イル基、3−ペンチル基、3−エチルペンタン−3−イル基、シクロペンチル基、2,5−ジメチルシクロペンチル基、3−エチルシクロペンチル基、ヘキシル基、2−メチルヘキシル基、3,3−ジメチルヘキシル基、4−エチルヘキシル基、2−ヘキシル基、2−メチルヘキサン−2−イル基、5,5−ジメチルヘキサン−2−イル基、3−ヘキシル基、2,4−ジメチルヘキサン−3−イル基、シクロヘキシル基、4−エチルシクロヘキシル基、4−プロピルシクロヘキシル基、4,4−ジメチルシクロヘキシル基、ヘプチル基、2−ヘプチル基、3−ヘプチル基、4−ヘプチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、オクチル基、2−オクチル基、3−オクチル基、4−オクチル基、シクロオクチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、ノニル基、5−ノニル基、デシル基、2−デシル基、5−デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等を例示することができる。
【0041】
〜R10で表される炭素数1から20のハロアルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状ハロアルキル基のいずれでもよく、具体的には、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1−ジフルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、1,1−ジフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル基、ペルフルオロシクロプロピル基、2,2,3,3−テトラフルオロシクロプロピル基、ペルフルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル基、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル基、4,4,4−トリフルオロブチル基、1,2,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−(トリフルオロメチル)プロピル基、1−(トリフルオロメチル)プロピル基、1−メチル−3,3,3−トリフルオロプロピル基、ペルフルオロシクロブチル基、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロシクロブチル基、ペルフルオロペンチル基、2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル基、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロペンチル基、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチル基、5,5,5−トリフルオロペンチル基、1,2,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−(ペルフルオロエチル)プロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−(ペルフルオロエチル)プロピル基、ペルフルオロシクロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル基、4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロヘキシル基、5,5,6,6,6−ペンプタフルオロヘキシル基、6,6,6−トリフルオロヘキシル基、ペルフルオロシクロヘキシル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、2−クロロエチル基、3−ブロモプロピル基等を例示することができる。
【0042】
〜R10で表される炭素数1から12のアルキル基で置換されていてもよい炭素数6から14の芳香族炭化水素基としては、炭素数1から12のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、炭素数1から12のアルキル基で置換されていてもよいナフチル基、炭素数1から12のアルキル基で置換されていてもよいビフェニリル基、炭素数1から12のアルキル基で置換されていてもよいアントリル基等を例示することができる。
【0043】
炭素数1から12のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基として、具体的にはフェニル基、p−トリル基、m−トリル基、o−トリル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、メシチル基、2−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2,4−ジエチルフェニル基、3,5−ジエチルフェニル基、2−プロピルフェニル基、3−プロピルフェニル基、4−プロピルフェニル基、2,4−ジプロピルフェニル基、3,5−ジプロピルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、2,4−ジイソプロピルフェニル基、3,5−ジイソプロピルフェニル基、4−(1−メチルプロピル)フェニル基、4−(2−メチルプロピル)フェニル基、4−(1−エチルプロピル)フェニル基、シクロプロピルフェニル基、2−ブチルフェニル基、3−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、2,4−ジブチルフェニル基、3,5−ジブチルフェニル基、2−tert−ブチルフェニル基、3−tert−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル基、3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、4−(1−メチルブチル)フェニル基、4−(2−メチルブチル)フェニル基、4−(3−メチルブチル)フェニル基、4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル基、4−(2−エチルブチル)フェニル基、4−(1−プロピルブチル)フェニル基、2−ペンチルフェニル基、3−ペンチルフェニル基、4−ペンチルフェニル基、3,4−ジペンチルフェニル基、4−(4−メチルペンチル)フェニル基、4−(3−エチルペンチル)フェニル基、4−シクロペンチルフェニル基、4−(3−エチルシクロペンチル)フェニル基、2−ヘキシルフェニル基、3−ヘキシルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−(4−エチルシクロヘキシル)フェニル基、4−(4−プロピルシクロヘキシル)フェニル基、4−(4−ブチルシクロヘキシル)フェニル基、2−ヘプチルフェニル基、3−ヘプチルフェニル基、4−ヘプチルフェニル基、2−オクチルフェニル基、3−オクチルフェニル基、4−オクチルフェニル基、3,5−ジオクチルフェニル基、4−シクロオクチルフェニル基、4−ノニルフェニル基、4−デシルフェニル基、4−ウンデシルフェニル基、4−ドデシルフェニル基等を例示することができる。
【0044】
炭素数1から12のアルキル基で置換されていてもよいナフチル基として、具体的には1−ナフチル基、4−メチルナフタレン−1−イル基、5−メチルナフタレン−1−イル基、4−エチルナフタレン−1−イル基、5−エチルナフタレン−1−イル基、4−プロピルナフタレン−1−イル基、5−プロピルナフタレン−1−イル基、4−ブチルナフタレン−1−イル基、4−tert−ブチルナフタレン−1−イル基、5−ブチルナフタレン−1−イル基、5−tert−ブチルナフタレン−1−イル基、4−ペンチルナフタレン−1−イル基、5−ヘキシルナフタレン−1−イル基、8−ヘプチルナフタレン−1−イル基、5−オクチルナフタレン−1−イル基、7−ノニルナフタレン−1−イル基、4−デシルナフタレン−1−イル基、5−ドデシルナフタレン−1−イル基、2−ナフチル基、4−メチルナフタレン−2−イル基、5−メチルナフタレン−2−イル基、4−エチルナフタレン−2−イル基、5−エチルナフタレン−2−イル基、4−プロピルナフタレン−2−イル基、5−プロピルナフタレン−2−イル基、4−ブチルナフタレン−2−イル基、4−tert−ブチルナフタレン−2−イル基、5−ブチルナフタレン−2−イル基、5−tert−ブチルナフタレン−2−イル基、4−ペンチルナフタレン−2−イル基、5−ヘキシルナフタレン−2−イル基、8−ヘプチルナフタレン−2−イル基、5−オクチルナフタレン−2−イル基、7−ノニルナフタレン−2−イル基、4−デシルナフタレン−2−イル基、5−ドデシルナフタレン−2−イル基等を例示することができる。
【0045】
炭素数1から12のアルキル基で置換されていてもよいビフェニリル基として、具体的には、2−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、4−ビフェニリル基、2−メチルビフェニル−4−イル基、3−メチルビフェニル−4−イル基、2’−メチルビフェニル−4−イル基、4’−メチルビフェニル−4−イル基、2,2’−ジメチルビフェニル−4−イル基、2’,4’,6’−トリメチルビフェニル−4−イル基、6−メチルビフェニル−3−イル基、5−メチルビフェニル−3−イル基、2’−メチルビフェニル−3−イル基、4’−メチルビフェニル−3−イル基、6,2’−ジメチルビフェニル−3−イル基、2’,4’,6’−トリメチルビフェニル−3−イル基、5−メチルビフェニル−2−イル基、6−メチルビフェニル−2−イル基、2’−メチルビフェニル−2−イル基、4’−メチルビフェニル−2−イル基、6,2’−ジメチルビフェニル−2−イル基、2’,4’,6’−トリメチルビフェニル−2−イル基、3−エチルビフェニル−4−イル基、4’−エチルビフェニル−4−イル基、2’,4’,6’−トリエチルビフェニル−4−イル基、6−エチルビフェニル−3−イル基、4’−エチルビフェニル−3−イル基、5−エチルビフェニル−2−イル基、4’−エチルビフェニル−2−イル基、2’,4’,6’−トリエチルビフェニル−2−イル基、3−プロピルビフェニル−4−イル基、4’−プロピルビフェニル−4−イル基、2’,4’,6’−トリプロピルビフェニル−4−イル基、6−プロピルビフェニル−3−イル基、4’−プロピルビフェニル−3−イル基、5−プロピルビフェニル−2−イル基、4’−プロピルビフェニル−2−イル基、2’,4’,6’−トリプロピルビフェニル−2−イル基、3−イソプロピルビフェニル−4−イル基、4’−イソプロピルビフェニル−4−イル基、2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル−4−イル基、6−イソプロピルビフェニル−3−イル基、4’−イソプロピルビフェニル−3−イル基、5−イソプロピルビフェニル−2−イル基、4’−イソプロピルビフェニル−2−イル基、2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル−2−イル基、3−ブチルビフェニル−4−イル基、4’−ブチルビフェニル−4−イル基、2’,4’,6’−トリブチルビフェニル−4−イル基、6−ブチルビフェニル−3−イル基、4’−ブチルビフェニル−3−イル基、5−ブチルビフェニル−2−イル基、4’−ブチルビフェニル−2−イル基、2’,4’,6’−トリブチルビフェニル−2−イル基、3−tert−ブチルビフェニル−4−イル基、4’−tert−ブチルビフェニル−4−イル基、2’,4’,6’−トリ−tert−ブチルビフェニル−4−イル基、6−tert−ブチルビフェニル−3−イル基、4’−tert−ブチルビフェニル−3−イル基、5−tert−ブチルビフェニル−2−イル基、4’−tert−ブチルビフェニル−2−イル基、4’−ペンチルビフェニル−4−イル基、4’−シクロペンチルビフェニル−4−イル基、4’−ヘキシルビフェニル−4−イル基、4’−シクロヘキシルビフェニル−4−イル基、4’−オクチルビフェニル−4−イル基、4’−デシルビフェニル−4−イル基、4’−ドデシルビフェニル−4−イル基等を例示することができる。
【0046】
炭素数1から12のアルキル基で置換されていてもよいアントリル基として、具体的には1−アントリル基、4−ブチルアントリル−1−イル基、5−ヘキシルアントリル−1−イル基、6−オクチルアントリル−1−イル基、2−アントリル基、7−ヘキシルアントリル−2−イル基、8−デシルアントリル−2−イル基、1,3−ジメチルアントリル−2−イル基、5−アントリル基、10−ブチルアントリル−5−イル基、10−ドデシルアントリル−5−イル基等を例示することができる。
【0047】
なお、R及びR10は、水素原子、炭素数1から5のアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基がより好ましく、水素原子が殊更好ましい。
【0048】
で表される窒素原子は、炭素数1から20のアルキル基で置換されていてもよく、該炭素数1から20のアルキル基としては、前記R〜R10にて例示した炭素数1から20のアルキル基と同様のものを例示することができる。
【0049】
nは、ヘテロアセン化合物(2)の溶解性が良い点で、1又は2が好ましい。
【0050】
ヘテロアセン化合物(2)としては、例えば、下記2−1から2−46に示す構造の化合物を具体的に例示することができる。
【0051】
【化14】
【0052】
【化15】
【0053】
【化16】
【0054】
【化17】
【0055】
【化18】
【0056】
【化19】
【0057】
【化20】
【0058】
【化21】
【0059】
【化22】
【0060】
【化23】
【0061】
【化24】
【0062】
【化25】
【0063】
【化26】
【0064】
【化27】
【0065】
【化28】
【0066】
【化29】
【0067】
ヘテロアセン化合物(2)は、例えば、特開2017−066069号公報、特開2013−069752号公報に開示された方法に従い、合成することができる。
【0068】
次に、本発明の有機半導体インキの製造方法について説明する。
【0069】
本発明の有機半導体インキは、芳香族化合物及び脂肪族アルコールを混合し、混合溶媒を調製する工程1、及び混合溶媒にπ共役化合物を溶解又は分散する工程2により、調製することができる。
【0070】
工程1に用いる芳香族化合物は、1種類でも良いが、2種類以上を用いてもよい。2種類以上の芳香族化合物を用いる際、その混合比はπ共役化合物を溶解することができれば特に制限は無い。
【0071】
工程1に用いる芳香族化合物が、本発明の有機半導体インキに占める重量比は、50重量%から98重量%の範囲にあることが好ましい。
【0072】
工程1に用いる脂肪族アルコールは、1種類でも良いが、2種類以上を用いてもよい。2種類以上の脂肪族アルコールを用いる際、その混合比に特に制限は無い。
【0073】
工程1に用いる脂肪族アルコールが、本発明の有機半導体インキに占める重量比は、2重量%から50重量%の範囲にあることが好ましい。
【0074】
工程1に用いる芳香族化合物と脂肪族アルコールの重量比は、本発明の有機半導体インキにより得られる有機薄膜の結晶性が良い点で、芳香族化合物:脂肪族アルコールが50:50から99:1の範囲にあることが好ましく、70:30から98:2の範囲にあることがさらに好ましい。
【0075】
工程2に用いるπ共役化合物の使用量は、本発明の有機半導体インキに対して、0.01重量%から30重量%の範囲にあることが好ましく、0.01重量%から10重量%の範囲にあることがさらに好ましい。
【0076】
工程2におけるπ共役化合物の溶解又は分散の方法は、例えば、撹拌、振盪、ボールミル、超音波照射等を用いることができる。この際、加熱を行ってもよい。
【0077】
本発明の有機半導体インキには製膜性を向上させるためのバインダーを加えてもよい。このようなバインダーとしては、例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ポリビニルナフタレン、ポリ(エチレン−co−ノルボルネン)、ポリメチルメタクリレート、ポリトリアリールアミン、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−co−ジメチルトリフェニルアミン)等のポリマーを例示することができる。該バインダーの濃度に特に制限はないが、塗布性が良い点で該有機半導体インキの0.1から10.0重量%であることが好ましい。
【0078】
本発明の有機半導体インキの粘度は、塗布性が良い点で、0.5から50mPa・sの範囲の粘度にあることが好ましい。
【0079】
次に、本発明の有機半導体インキを用いて製膜する有機薄膜(以下、「本発明の有機薄膜」と称する。)の製膜方法について説明する。
【0080】
本発明の有機薄膜は基板上に製膜することができ、該基板としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、環状ポリオレフィン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ポリ(ジイソプロピルフマレート)、ポリ(ジエチルフマレート)、ポリ(ジイソプロピルマレエート)、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、セルローストリアセテート等のプラスチック基板、ガラス、石英、酸化アルミニウム、シリコン、ハイドープシリコン、酸化シリコン、二酸化タンタル、五酸化タンタル、インジウムスズ酸化物等の無機基板、金、銅、クロム、チタン、アルミニウム等の金属基板等を挙げることができる。
【0081】
本発明の有機半導体インキを用いて、本発明の有機薄膜を形成する際の方法に特に制限はなく、例えば、スピンコート、ドロップキャスト、ディップコート、キャストコート等の簡易塗工法;ディスペンサー、インクジェット、スリットコート、ブレードコート、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷等の印刷法を挙げることができ、中でも容易に効率よく製膜できる点で、ドロップキャスト又はインクジェットが好ましい。
【0082】
本発明の有機薄膜は製膜後、溶媒を乾燥させることで得ることができる。必要に応じて、40℃から200℃の範囲から適宜選択された温度にてアニールを行ってもよい。
【0083】
本発明の有機薄膜の膜厚に特に制限は無いが、キャリア移動度が高い点で1nmから10μmが好ましく、10nmから1μmがさらに好ましい。
【0084】
本発明の有機薄膜の形態は、アモルファス膜又は結晶膜のいずれでもよいが、キャリア移動度が高い点で、結晶膜が好ましい。該結晶膜を形成する結晶の形状としては、針状晶、立方晶、板状晶、柱状晶等を例示することができ、本発明の有機薄膜の平滑性が高い点で、板状晶が好ましい。
【0085】
さらに、本発明の有機薄膜を活性層に含む有機トランジスタ素子(以下、「本発明の有機トランジスタ素子」と称する)の作製方法について説明する。
【0086】
本発明の有機トランジスタ素子は、基板上に絶縁層、及び活性層として本発明の有機薄膜を製膜し、これにソース電極、ドレイン電極及びゲート電極を付設することにより得られる。
【0087】
図1に、本発明の有機トランジスタ素子に含まれる素子の構造を示す。ここで、(A)は、ボトムゲート−トップコンタクト型、(B)は、ボトムゲート−ボトムコンタクト型、(C)は、トップゲート−トップコンタクト型、(D)は、トップゲート−ボトムコンタクト型のトランジスタ素子であり、1は活性層、2は基板、3はゲート電極、4はゲート絶縁層、5はソース電極、6はドレイン電極を示す。
【0088】
基板としては、前記本発明の有機薄膜にて例示した基板と同様のものを例示することができ、中でも、安価なためポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチルメタクリレート、ガラスが好ましい。
【0089】
ゲート電極としては、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、ハイドープシリコン、スズ酸化物、酸化インジウム、インジウムスズ酸化物、クロム、チタン、タンタル、クロム、グラフェン、カーボンナノチューブ等の無機電極、又はドープされた導電性高分子(例えば、PEDOT−PSS)等の有機電極等を挙げることができる。これらのうち、導電性が良い点で無機電極が好ましく、金又は銀がさらに好ましい。
【0090】
絶縁層としては、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、二酸化タンタル、五酸化タンタル、インジウムスズ酸化物、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウム、チタン酸ビスマス等の無機絶縁層、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ポリ(ジイソプロピルフマレート)、ポリ(ジエチルフマレート)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリシクロペンタン、ポリシクロヘキサン、ポリシクロヘキサン−エチレン共重合体、ポリフッ素化シクロペンタン、ポリフッ素化シクロヘキサン、ポリフッ素化シクロヘキサン−エチレン共重合体、BCB樹脂(商品名:サイクロテン、ダウ・ケミカル社製)、Cytop(商標)、Teflon(商標)、パリレンC等のパリレン(商標)類等の有機絶縁層等を挙げることができる。これらのうち、製法が簡便であることから、ポリマー絶縁材料(ポリマーゲート絶縁層)であることが好ましい。また、これらの絶縁層の表面は、例えば、オクタデシルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、デシルトリメトキシシラン、オクチルトリクロロシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、β−フェネチルトリクロロシラン、β−フェネチルトリメトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリメトキシシラン等のシラン、オクタデシルホスホン酸、デシルホスホン酸、オクチルホスホン酸等のホスホン酸、ヘキサメチルジシラザン等のアミンで修飾処理してもよい。これらのうち、本発明の有機トランジスタ素子のキャリア移動度及び電流オン・オフ比が向上し、並びに閾値電圧が低下する点で、オクタデシルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、β−フェネチルトリクロロシラン、オクタデシルホスホン酸、オクチルホスホン酸、ヘキサメチルジシラザンが好ましい。
【0091】
ソース電極及びドレイン電極としては、ゲート電極で例示したものと同様の電極を例示することができる。これらのうち、導電性が良い点で無機電極が好ましく、金又は銀がさらに好ましい。また、キャリアの注入効率を上げるために、これらの電極に表面処理剤を用いて表面処理を実施することもできる。このような表面処理剤としては、例えば、ベンゼンチオール、ペンタフルオロベンゼンチオール等を挙げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】;有機トランジスタ素子の断面形状による構造を示す図である。
【図2】;実施例−6で得られた有機薄膜の偏光顕微鏡写真である。
【図3】;実施例−6で得られた有機薄膜の偏光顕微鏡写真である。
【図4】;比較例−1で得られた有機薄膜の偏光顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0093】
(A):ボトムゲート−トップコンタクト型有機薄膜トランジスタ
(B):ボトムゲート−ボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタ
(C):トップゲート−トップコンタクト型有機薄膜トランジスタ
(D):トップゲート−ボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタ
1:有機半導体層
2:基板
3:ゲート電極
4:ゲート絶縁層
5:ソース電極
6:ドレイン電極
【実施例】
【0094】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
【0095】
本発明の有機半導体インキを用いて得られる本発明の有機薄膜の同定には、以下の分析方法を用いた。偏光顕微鏡観察には、OLYMPUS SZX7を用いた。X線回折(XRD,out−of−plane)測定には、Rigaku SmartLabを用い、線源はCuKα線にて実施した。
【0096】
本発明の有機半導体インキの調製に用いたπ共役化合物の構造式及びその略称を以下に示す。
【0097】
【化30】
【0098】
【化31】
【0099】
実施例−1から23
3.5mL−スクリューバイアルにπ共役化合物(2mg)を秤量し、ここに混合溶媒(約400μL)を加えた。このスクリューバイアルを50℃で30分間加温した後、超音波を10分間照射した。透光下に懸濁及び残分が無いことを確認し、有機半導体インキを得た。得られた有機半導体インキの濃度を表1に示した。
【0100】
ホットプレート上に清浄なアルミホイルを敷き、石英製スライドグラス(76×26mm)を付設し、有機半導体インキ(30μL)を滴下した。このスライドグラスを所定の温度及び時間で静置した後、減圧下に80℃で30分間加熱し、溶媒を完全に乾燥させ、有機薄膜を得た。
比較例−1から11
混合溶媒に代え、単一成分の溶媒を用いた以外は、実施例−1から23と同様の操作を行った。その結果を表1に示した。
【0101】
【表1】
【0102】
本発明の有機半導体インキを用いた実施例−1から23では、板状晶から成る結晶性の有機薄膜が得られた。また、液滴外縁部が隆起するコーヒーリング現象もみられず、平坦な膜であった。実施例−1から23のうち、代表的な例として、実施例−6で得られた有機薄膜の偏光顕微鏡写真を図2及び3に示した。図2及び3は、同一の有機薄膜を直行ニコル下、それぞれ異なる角度で撮影したものである。一方、単一成分の溶媒を用いた比較例−1から11では、膜を形成する結晶は塊状又は針状晶であり、またいずれもコーヒーリング現象がみられ、不均一な膜であった。比較例−1から11のうち、代表的な例として、比較例−1で得られた有機薄膜の偏光顕微鏡写真を図4に示した。
実施例−24
(有機トランジスタ素子の作製)
ガラス基板としてイーグルXG(コーニング社製)を真空蒸着装置内に設置し、装置内の真空度が3.0×10−4Pa以下になるまで排気し、抵抗加熱蒸着法によって、アルミニウムの電極、すなわちゲート電極を50nmの厚さに蒸着した。この上にジクロロ−ジ−p−キシリレン(商品名:DPX−C,スペシャリティーコーティングシステムズ社,900mg)をラボコーター(日本パリレン合同会社製,PDS2010)を用いて、膜厚500nmになるよう真空蒸着し、ポリ(クロロ−p−パラキシリレン)(パリレンC)のゲート絶縁膜を形成した。この上に実施例1で調製した有機半導体インキをドロップキャストした後、自然乾燥し、A−C7の薄膜を形成した。次いでこの上に電極作製用シャドウマスクを取り付け、真空蒸着装置内に設置し、装置内の真空度が3.0×10−4Pa以下になるまで排気し、抵抗加熱蒸着法によって、金の電極、すなわちソース電極及びドレイン電極を蒸着し(膜厚=50nm,チャネル長=100nm)、ボトムゲート−トップコンタクト型のp型有機薄膜トランジスタを作製した。
【0103】
作製した有機薄膜トランジスタの電気物性を半導体パラメーターアナライザー(ケースレー4200SCS)を用いて、ドレイン電圧(Vd=−150V)で、ゲート電圧(Vg)を+10〜−150Vまで1V刻みで走査し、伝達特性の評価を行った。正孔のキャリア移動度は0.02cm/V・sであった。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明の一態様にかかる有機半導体インキは、簡便に結晶性の有機薄膜を与えることから、有機トランジスタ素子の他、有機電界発光(有機EL)素子、有機半導体レーザー素子、有機薄膜太陽電池素子、液晶表示素子等の作成に利用できるだけでなく、印刷配線用材料、塗料、付加製造(3Dプリンタ)材料等への利用が期待できる。また、本発明の有機トランジスタ素子は、電子ペーパー、有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ、ICタグ(RFIDタグ)用、圧力センサー等に利用可能である。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】