(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2019145728
(43)【公開日】20190829
(54)【発明の名称】コイル装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/10 20060101AFI20190802BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20190802BHJP
   H01F 38/14 20060101ALI20190802BHJP
   H01F 27/36 20060101ALI20190802BHJP
【FI】
   !H01F27/10
   !H02J50/12
   !H01F38/14
   !H01F27/36 150
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】2018030500
(22)【出願日】20180223
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
【住所又は居所】東京都江東区豊洲三丁目1番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】上田 章雄
【住所又は居所】東京都江東区豊洲三丁目1番1号 株式会社IHI内
【テーマコード(参考)】
5E050
5E058
【Fターム(参考)】
5E050AA01
5E050CA03
5E058BB19
5E058CC12
(57)【要約】
【課題】コイル部を効率よく冷却しつつコイル特性を変更する。
【解決手段】コイル装置1は、コイル21を有するコイル部20と、コイル部20を収容するケース10と、ケース10内に収容された冷却液Wと、ケース10内に冷却液Wを供給又はケース10内から冷却液Wを排出するポンプユニット30とを備える。コイル部20は、冷却液Wに浮いている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルを有するコイル部と、
前記コイル部を収容するケースと、
前記ケース内に収容された冷却液と、
前記ケース内に前記冷却液を供給又は前記ケース内から前記冷却液を排出する液量調整部と、
を備え、
前記コイル部は、前記冷却液に浮いている、コイル装置。
【請求項2】
前記ケースの外面に取り付けられた液化パイプをさらに備え、
前記液化パイプの一方の端部は、前記ケースの内部空間に連通し、
前記液化パイプの他方の端部は、前記液化パイプの前記一方の端部よりも上方に位置している、請求項1に記載のコイル装置。
【請求項3】
コイルを有するコイル部と、
前記コイル部を収容するケースと、
前記ケース内に収容された冷却液と、
前記ケース内に前記冷却液を供給又は前記ケース内から前記冷却液を排出する液量調整部と、
を備え、
前記コイル部は、前記ケースの内部空間を第1室と第2室とに区画するとともに、前記第1室と前記第2室との並び方向に沿って前記ケース内を移動可能であり、
前記冷却液は前記第1室内に収容され、
前記液量調整部は、前記第1室内に前記冷却液を供給又は前記第1室内から前記冷却液を排出する、コイル装置。
【請求項4】
前記コイル部に取り付けられたパッキンをさらに備え、
前記パッキンは、前記コイル部の外面と前記ケースの内面とに挟まれて前記コイル部の外面及び前記ケースの内面のそれぞれに当接し、
前記コイル部及び前記パッキンによって、前記ケースの内部空間が前記第1室と前記第2室とに区画されている、請求項3に記載のコイル装置。
【請求項5】
前記コイル部に対向するように配置されたシールド板をさらに備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載のコイル装置。
【請求項6】
前記コイルに流れる電流値を計測する計測部をさらに備え、
前記液量調整部は、前記計測部によって計測される前記電流値が小さくなるように前記冷却液を供給又は排出する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のコイル装置。
【請求項7】
前記冷却液が供給又は排出されたときの前記コイル部の移動方向に交差する方向における前記コイル部の移動を規制する規制部をさらに備える、請求項1〜6のいずれか一項に記載のコイル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コイル部を備えるコイル装置が、例えば、非接触給電システム等に用いられている。このような非接触給電システムでは、例えば、特許文献1に記載されているように、送電側のコイル装置から受電側のコイル装置に対し、コイル間の磁気結合を利用して給電される。給電時には、コイル部が発熱する。給電効率を向上させるため、特許文献1に記載されたシステムは、ファンを用いてコイル部を冷却している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−216569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、本技術分野においては、コイル部をさらに効率よく冷却することが求められている。また、例えば、非接触給電システムにおいては給電効率を向上させる等のために、コイル装置のコイル特性を変更できることが求められている。
【0005】
そこで、本発明は、コイル部を効率よく冷却しつつコイル特性を変更可能なコイル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係るコイル装置は、コイルを有するコイル部と、コイル部を収容するケースと、ケース内に収容された冷却液と、ケース内に冷却液を供給又はケース内から冷却液を排出する液量調整部と、を備え、コイル部は、冷却液に浮いている。
【0007】
このコイル装置では、コイル部が冷却液に接しているため、コイル部で発生した熱を効率よく冷却液に伝達することができる。また、液量調整部が冷却液を供給又は排出することにより、冷却液の増加に伴ってコイル部が上昇する又は冷却液の減少に伴ってコイル部が降下する。このように、コイル装置は、冷却液を供給又は排出することによって、コイル部の位置を変化させることができる。すなわち、コイル装置は、冷却液を供給又は排出するだけでコイル装置のコイル特性を変化させることができる。以上のように、コイル装置は、コイル部を効率よく冷却しつつコイル特性を変更できる。
【0008】
上記のコイル装置は、ケースの外面に取り付けられた液化パイプをさらに備え、液化パイプの一方の端部は、ケースの内部空間に連通し、液化パイプの他方の端部は、液化パイプの一方の端部よりも上方に位置してもよい。コイル部の発熱によって冷却液が沸騰した場合、気化した冷却液の気体が液化パイプ内に入り込み、液化パイプ内で気体が冷やされて液体に戻る。液体に戻った冷却液は、液化パイプの他方の端部が一方の端部よりも上方に位置していることにより、液化パイプ内を通って再びケース内に戻される。このように、コイル装置は、冷却液を気化させることによってコイル部を効率よく冷却できる。また、コイル装置は、液化パイプによって液体に戻った冷却液をケース内に戻すことができるため、冷却液の減少を抑制できる。
【0009】
本発明の他の一側面に係るコイル装置は、コイルを有するコイル部と、コイル部を収容するケースと、ケース内に収容された冷却液と、ケース内に冷却液を供給又はケース内から冷却液を排出する液量調整部と、を備え、コイル部は、ケースの内部空間を第1室と第2室とに区画するとともに、第1室と第2室との並び方向に沿ってケース内を移動可能であり、冷却液は第1室内に収容され、液量調整部は、第1室内に冷却液を供給又は第1室内から冷却液を排出する。
【0010】
このコイル装置では、コイル部が冷却液に接しているため、コイル部で発生した熱を効率よく冷却液に伝達することができる。また、液量調整部が第1室内に冷却液を供給することにより、第1室内の冷却液の圧力が高まり、冷却液に押されてコイル部が第1室側から第2室側に向かう方向に移動する。また、第1室が第2室に対して下側となるようにコイル装置が配置されている場合、液量調整部が第1室内から冷却液を排出することにより、第1室内の冷却液の圧力が低くなり、コイル部の自重によってコイル部が第2室側から第1室側に向かう方向に移動する。このように、コイル装置は、冷却液を供給又は排出することによって、コイル部の位置を変化させることができる。すなわち、コイル装置は、冷却液を供給又は排出するだけでコイル装置のコイル特性を変化させることができる。以上のように、コイル装置は、コイル部を効率よく冷却しつつコイル特性を変更できる。
【0011】
上記のコイル装置は、コイル部に取り付けられたパッキンをさらに備え、パッキンは、コイル部の外面とケースの内面とに挟まれてコイル部の外面及びケースの内面のそれぞれに当接し、コイル部及びパッキンによって、ケースの内部空間が第1室と第2室とに区画されてもよい。この場合、コイル装置は、冷却液を供給又は排出することによって、コイル部を効率よく移動させることができる。
【0012】
コイル装置は、コイル部に対向するように配置されたシールド板をさらに備えていてもよい。この場合、コイル装置は、コイル部を移動させることによって、コイル部とシールド板との距離を変化させることができる。このように、コイル装置は、コイル部とシールド板との距離を変化させることによって、コイル装置のコイル特性を変化させることができる。
【0013】
コイル装置は、コイルに流れる電流値を計測する計測部をさらに備え、液量調整部は、計測部によって計測される電流値が小さくなるように冷却液を供給又は排出してもよい。この場合、コイル装置は、コイルで発生する熱量を低減することができる。これにより、コイル装置は、コイルで発生する熱量を低減しつつ、効率よくコイル部を冷却できる。
【0014】
コイル装置は、冷却液が供給又は排出されたときのコイル部の移動方向に交差する方向におけるコイル部の移動を規制する規制部をさらに備えていてもよい。この場合、コイル装置は、規制部によってコイル部の位置ずれを防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の種々の一側面によれば、コイル部を効率よく冷却しつつコイル特性を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態に係るコイル装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】図1のパッドを示す分解斜視図である。
【図3】図1の冷却液供給システムの構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態に係るコイル装置の変形例の概略構成を示す断面図である。
【図5】第2実施形態に係るコイル装置の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について説明する。図1に示されるコイル装置1は、例えば、非接触給電システムにおける受電装置又は送電装置に用いられる。非接触給電システムは、例えば電気自動車やハイブリッド自動車等の車両に搭載されたバッテリを充電するためのシステムである。コイル装置1は、受電装置及び送電装置の両方に用いられてもよい。
【0019】
コイル装置1が送電装置に用いられる場合、送電コイル装置としてのコイル装置1は、例えば路面等の地上に設置される。コイル装置1には、送電回路及び整流回路などを介して、外部電源が接続される。コイル装置1が受電装置に用いられる場合、受電コイル装置としてのコイル装置1は、例えば車両のシャシー等に固定される。コイル装置1には、受電回路及び充電回路等を介して、バッテリが接続される。
【0020】
送電コイル装置と受電コイル装置とが上下方向において対面し、内部のコイル同士が電磁気的に結合して電磁結合回路を形成することにより、送電コイル装置のコイルから受電コイル装置のコイルへと非接触給電が行われる。言い換えれば、受電コイル装置は、送電コイル装置から非接触で電力を受け取る。電磁結合回路は、「電磁誘導方式」で給電を行う回路であってもよく、「磁界共鳴方式」で給電を行う回路であってもよい。
【0021】
以下、コイル装置1が非接触給電システムの送電コイル装置として用いられる場合を例に説明する。図1及び図2に示されるように、コイル装置1は、パッド2、及び冷却液供給システム3を備える。パッド2は、路面等に固定される。
【0022】
(パッドの構成)
まず、パッド2について説明する。パッド2は、例えば扁平な形状をなす。パッド2は、ケース10、シールド板13、位置決めピン(規制部)14、コイル部20、及び冷却液Wを備えている。ケース10は、ベース11、及びベース11の上面を覆うカバー12を有している。
【0023】
ベース11は、コイル部20の裏面側に配置された板状部材である。カバー12は、コイル部20の表面側に配置された箱体であり、コイル部20を含む内装部品を保護する。ベース11及びカバー12は、例えば、エンジニアプラスチック、FRP(Fiber-Reinforced Plastics)等からなる。ベース11及びカバー12によって、コイル部20等を収容する収容空間(内部空間)Rが形成される。コイル部20、シールド板13、位置決めピン14、及び冷却液Wは、ケース10の収容空間R内に収容されている。ケース10は、冷却液Wが外部に漏れ出ないように形成されている。なお、図2では、冷却液Wの図示が省略されている。パッド2は、ベース11が下側となるように設置される。
【0024】
位置決めピン14は、ベース11の上面に取り付けられている。位置決めピン14は、冷却液Wが供給又は排出されたときのコイル部20の移動方向に交差する方向におけるコイル部20の移動を規制する。具体的には、位置決めピン14は、ベース11の上面から上方に向かって延在する円柱状の部材である。本実施形態において、位置決めピン14は、2本設けられている。2本の位置決めピン14は、図2に示されるように、ベース11の上面の中央位置付近において、互いに所定距離離間した状態で設けられている。
【0025】
シールド板13は、ベース11の上面に固定された板状部材である。シールド板13は、コイル部20の下面に対向するように配置されている。シールド板13は、漏えい磁束の外部流出を遮蔽する磁気シールド特性を有する。シールド板13は、例えば、アルミニウム等の透磁率の低い材料からなる。なお、シールド板13の中央位置付近には、断面円形の孔13aが2つ設けられている。シールド板13の孔13aには、位置決めピン14が通されている。
【0026】
コイル部20は、シールド板13の上方の位置に設けられている。コイル部20は、コイル21、ボビン22、及びフェライトコア23を有している。コイル21は、例えば同一平面内で略矩形の渦巻状に巻回された導線によって形成される。コイル21は、磁束を発生させる。コイル21は、例えばサーキュラー型のコイルである。コイル21を形成する導線としては、例えば、互いに絶縁された複数の導体素線が撚り合わされたリッツ線が用いられる。但し、コイル21を形成する導線としては、銅もしくはアルミニウムの単線が用いられてもよい。なお、コイル21は、サーキュラー型のコイルに限定されず、例えば、ソレノイド型のコイルであってもよい。さらに、コイル部20は、フェライトコア23を有さない空芯コイルであってもよい。
【0027】
ボビン22は、コイル21を保持する。ボビン22は、ボビン22に対して導線が巻回されることで導線(コイル21)を保持する平板状の部材である。ボビン22の表面には、溝22bが形成されている。この溝22b内に導線が配置されることで、ボビン22は導線を保持する。ボビン22は、非磁性かつ非導電性の材料(例えばシリコーン又はポリフェニレンサルファイド樹脂等)からなる。なお、ボビン22の中央位置付近には、断面円形の孔22aが2つ設けられている。ボビン22の孔22aには、位置決めピン14が通されている。位置決めピン14は、コイル21の導線が通っていない部分に設けられている。
【0028】
フェライトコア23は、磁性体であるフェライトからなる。フェライトコア23は、例えば、高透磁率を有する磁性材である。フェライトコア23は、板状部材である。フェライトコア23は、コイル21から発生した磁束の方向付け及び対向するコイルとの間の空間以外に磁束が広がることを抑制する役割を担う。なお、フェライトコア23の中央位置付近には、断面円形の孔23aが2つ設けられている。フェライトコア23の孔23aには、位置決めピン14が通されている。
【0029】
コイル21を保持するボビン22と、フェライトコア23とは互いに固定されている。すなわち、コイル21、ボビン22、及びフェライトコア23は、一体となっている。但し、コイル21を保持するボビン22と、フェライトコア23とがコイルケース等に収容されることによって一体とされてもよい。コイル部20は、フェライトコア23がシールド板13側を向くように配置されている。すなわち、コイル21が、フェライトコア23よりも上方に位置している。これにより、コイル21は、パッド2の上方に位置する受電コイル装置のコイルに対して送電する。
【0030】
コイル部20は、位置決めピン14の延在方向に沿って、上下方向に移動することができる。コイル部20は、浮体構造となっており、ケース10内の冷却液Wに浮いている。すなわち、コイル部20は、少なくとも下側の面が冷却液Wに触れている。コイル部20は、ケース10内の冷却液Wの量(液面の高さ)によって、上下方向の高さ位置が決定される。
【0031】
なお、図1では、フェライトコア23が冷却液Wに浸漬し、コイル21(ボビン22)が冷却液Wに浸漬していない状態が示されている。但し、コイル部20をどの程度浸漬させるかは、例えば、コイル部20に生じる浮力の大きさを調整することによって設定され得る。例えば、浮力は、コイル部20の大きさ及び重さを調整する等、周知の方法によって調整され得る。浮力の大きさを調整することによって、コイル21まで、コイル部20が冷却液Wに浸漬していてもよい。
【0032】
冷却液Wには、コイル部20で発生した熱が伝達される。すなわち、冷却液Wは、コイル部20から熱を奪うことによって、コイル部20を冷却する。冷却液Wとしては、例えば、水、油(絶縁油が好ましい)、電気絶縁性を有する不活性な冷却液等が用いられる。なお、本実施形態においてケース10の収容空間Rは、密閉された空間となっている。この場合、冷却液Wとして、例えば、コイル部20で発生した熱では沸騰しない高沸点タイプの冷却液が用いられてもよい。
【0033】
(冷却液供給システムの構成)
次に、冷却液供給システム3の構成について説明する。図1及び図3に示されるように、冷却液供給システム3は、ケース10内の冷却液Wの量を調節する。冷却液供給システム3は、ポンプユニット(液量調整部)30、及び電流センサ(計測部)33を備えている。
【0034】
電流センサ33は、コイル装置1による送電時に、コイル21に流れる電流値を計測する。なお、コイル21に流れる電流値を計測できれば、電流センサ33が設けられる位置は限定されない。電流センサ33は、周知の方法によってコイル21に流れる電流値を計測する。
【0035】
ポンプユニット30は、ケース10の収容空間R内に冷却液Wを供給する。また、ポンプユニット30は、ケース10の収容空間R内から冷却液Wを排出する。これにより、ポンプユニット30は、ケース10内の冷却液Wの量を調整することができる。具体的には、ポンプユニット30は、図1に示されるように、冷却液Wが貯留されたタンクTとケース10の内部とをつなぐパイプ35に設けられている。
【0036】
ポンプユニット30は、ポンプ31、及び制御部32を備えている。ポンプ31は、タンクT内の冷却液Wをパイプ35を介してケース10内に供給する。また、ポンプ31は、ケース10内の冷却液Wをパイプ35を介してタンクTに排出する。ポンプ31としては、冷却液Wを供給及び排出が可能であれば種々のポンプが用いられ得る。
【0037】
制御部32は、ポンプ31の動作を制御する。制御部32は、コイル装置1による送電時に、電流センサ33によって計測される電流値が小さくなるように、ポンプ31によってケース10内に冷却液Wを供給する又はケース10内から冷却液Wを排出する。制御部32は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ等を有する電子制御ユニット(制御器)である。
【0038】
冷却液供給システム3によってケース10内の冷却液Wの量が調整されることにより、冷却液Wの液面の高さが変化する。この冷却液Wの液面の高さの変化に伴って、冷却液Wに浮くコイル部20の高さ位置が変化する。
【0039】
以上のように本実施形態のコイル装置1では、コイル部20が冷却液に接しているため、コイル装置1が送電を行う際にコイル21及びフェライトコア23で発生した熱を効率よく冷却液Wに伝達することができる。また、冷却液供給システム3が冷却液Wをケース10内に供給することにより、冷却液Wの増加に伴ってコイル部20が上昇する。また、冷却液供給システム3が冷却液Wをケース10内から排出することにより、冷却液Wの減少に伴ってコイル部20が降下する。このように、コイル装置1は、冷却液Wを供給又は排出することによって、コイル部20の高さ位置を変化させることができる。これにより、コイル装置1は、パッド2の上面に対向するように受電コイル装置が配置されたときに、コイル部20と受電コイルとの間隔を変化させることができる。すなわち、コイル装置1は、冷却液Wを供給又は排出するだけでコイル装置1のコイル特性を変化させることができる。以上のように、コイル装置1は、コイル部20を効率よく冷却しつつコイル特性を変更できる。
【0040】
コイル装置1は、コイル部20の下面に対向する位置に配置されたシールド板13を備えている。シールド板13は、ベース11に固定されている。この場合、コイル装置1は、コイル部20を移動させることによって、コイル部20とシールド板13との距離を変化させることができる。このように、コイル装置1は、コイル部20とシールド板13との距離を変化させることによって、コイル装置1のコイル特性を変化させることができる。また、コイル装置1は、シールド板13を備えることにより、漏えい磁束の外部流出を遮蔽することができる。
【0041】
ポンプユニット30は、コイル21に流れる電流値が小さくなるように冷却液Wを供給又は排出する。この場合、コイル装置1は、コイル21で発生する熱量を低減することができる。これにより、コイル装置1は、コイル21で発生する熱量を低減しつつ、効率よくコイル部20を冷却できる。
【0042】
位置決めピン14は、上下方向、すなわち、冷却液Wが供給又は排出されたときのコイル部20の移動方向に沿って延在している。位置決めピン14は、位置決めピン14の延在方向に沿ってコイル部20が移動可能なように、コイル部20に設けられた孔22a及び23aに通されている。これにより、コイル装置1は、位置決めピン14によって、コイル部20の移動方向(上下方向)に交差する方向におけるコイル部20の移動を規制することができる。ここでは、コイル装置1は、コイル部20の移動方向(上下方向)に交差する方向として、コイル部20の水平方向における移動を規制する。また、本実施形態において、位置決めピン14は、2本設けられている。2本の位置決めピン14は、所定距離離間している。これにより、コイル装置1は、2本の位置決めピン14によって、上下方向に沿った軸を回転軸とするコイル部20の回転を規制できる。
【0043】
(第1実施形態の変形例)
次に、第1実施形態の変形例について説明する。本変形例の説明において、第1実施形態のコイル装置1と同様の構成要素については同一符合を付して詳細な説明を省略する。図4に示されるように、本変形例に係るコイル装置1Aは、第1実施形態のコイル装置1に対して、冷却パイプユニット5が追加されている。コイル装置1Aは、パッド2、冷却液供給システム3、及び冷却パイプユニット5を備えている。
【0044】
冷却パイプユニット5は、液化パイプ51、フィン52、及びリリーフバルブ53を備えている。液化パイプ51は、ケース10のカバー12の外面に取り付けられている。液化パイプ51の一方の端部51aは、カバー12に設けられた孔12aを介してケース10の収容空間Rに連通している。液化パイプ51の他方の端部51bは、一方の端部51aよりも上方に位置している。液化パイプ51は、例えば、金属などの熱伝導性のよい材料によって形成される。
【0045】
なお、液化パイプ51の一方の端部51aは、冷却液Wの液面よりも上方の位置で収容空間Rに連通している。すなわち、カバー12の孔12aは、冷却液Wの液面よりも上方の位置に設けられている。これにより、液化パイプ51は、冷却液Wが沸騰した場合、気化した冷却液Wの気体を液化パイプ51内に導くことができる。
【0046】
フィン52は、液化パイプ51の外面に取り付けられている。フィン52は、複数設けられている。フィン52は、例えば、金属などの熱伝導性のよい材料によって形成される。
【0047】
リリーフバルブ53は、液化パイプ51の他方の端部51bに取り付けられている。リリーフバルブ53は、液化パイプ51内、すなわちケース10内の圧力が予め定められた圧力以上となった場合にケース10内の気体を外部に逃がす。
【0048】
本変形例では、冷却液Wとして、コイル部20で発生した熱によって沸騰する低沸点タイプの冷却液が用いられる。
【0049】
以上のように、本変形例におけるコイル装置1Aでは、コイル部20の発熱によって冷却液Wが沸騰した場合、気化した冷却液Wの気体が液化パイプ51内に入り込む。液化パイプ51内に入り込んだ気体は、液化パイプ51及びフィン52を介して外気と熱交換を行う。すなわち、気化した冷却液Wの気体は、液化パイプ51内で冷やされて液体に戻る。液体に戻った冷却液Wは、液化パイプ51の他方の端部51bが一方の端部51aよりも上方に位置していることにより、液化パイプ51内を通って再びケース10内に戻される。このように、コイル装置1Aは、冷却液Wを気化させることによってコイル部20を効率よく冷却できる。また、コイル装置1Aは、液化パイプ51によって液体に戻った冷却液Wをケース10内に戻すことができるため、冷却液Wの減少を抑制できる。
【0050】
液化パイプ51にフィン52が設けられていることにより、冷却パイプユニット5は、気化した冷却液Wの気体を効率よく冷やすことができる。また、液化パイプ51にリリーフバルブ53が設けられていることにより、コイル装置1Aは、ケース10内の圧力が予め設定された圧力以上となることを防止できる。
【0051】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態の説明において、第1実施形態のコイル装置1と同様の構成要素については同一符合を付して詳細な説明を省略する。以下では、第1実施形態と同様に、第2実施形態のコイル装置が非接触給電システムの送電コイル装置として用いられる場合を例に説明する。
【0052】
図5に示されるように、コイル装置1Bは、パッド2B、冷却液供給システム3を備える。パッド2Bは、路面等に固定される。
【0053】
(パッドの構成)
パッド2Bは、第1実施形態のパッド2に対して、パッキン25をさらに備えている。
コイル部20は、ケース10の収容空間Rを、第1室R1と、第2室R2とに区画している。ここでは、ケース10の収容空間R内において、コイル部20よりも下側の空間を第1室R1とし、コイル部20よりも上側の空間を第2室R2とする。コイル部20は、第1室R1と第2室R2との並び方向に沿ってケース10内を移動可能である。すなわち、コイル部20は、上下方向に延在する位置決めピン14に沿ってケース10内を移動可能である。
【0054】
本実施形態では、コイル部20の側面(側方を向く外面)にパッキン25が取り付けられている。パッキン25は、ゴム等の弾性を有する材料によって形成されている。パッキン25は、環状に形成され、コイル部20の側面の全周にわたって設けられている。パッキン25は、コイル部20の側面とケース10の内面とに挟まれて、パッキン25の側面とケース10の内面とに当接している。また、パッキン25は、ケース10の内面に対して上下方向にスライド可能に当接している。
【0055】
これにより、コイル部20及びパッキン25によって、ケース10の収容空間Rが第1室R1と第2室R2とに区画される。冷却液Wは、第1室R1内に収容されている。本実施形態では、第1室R1内が冷却液Wによって満たされている。コイル部20の側面とケース10の内面との間にパッキン25が設けられていることで、コイル部20の側面とケース10の内面との隙間を通って、第1室R1から第2室R2へ冷却液Wが漏れ出ることが抑制される。
【0056】
なお、図5では、コイル部20のうち、フェライトコア23の側面にパッキン25が取り付けられているが、パッキン25がボビン22の側面に取り付けられていてもよい。パッキン25の取り付け位置によって、コイル部20をどの程度冷却液Wに浸漬させるかが設定される。
【0057】
冷却液供給システム3は、ケース10内の第1室R1内の冷却液Wの量を調節する。冷却液供給システム3の構成は、図1及び図3を用いて説明した第1実施形態の冷却液供給システム3と同様である。
【0058】
以上のように本実施形態のコイル装置1Bでは、コイル部20が冷却液Wに接しているため、コイル部20で発生した熱を効率よく冷却液Wに伝達することができる。また、冷却液供給システム3が第1室R1内に冷却液Wを供給することにより、第1室R1内の冷却液Wの圧力が高まり、冷却液Wに押されてコイル部20が第1室R1側から第2室R2側に向かう方向(上側方向)に移動する。また、本実施形態では、第1室R1が第2室R2に対して下側となるようにパッド2Bが配置されている。この場合、冷却液供給システム3が第1室R1内から冷却液Wを排出することにより、第1室R1内の冷却液Wの圧力が低くなり、コイル部20の自重によってコイル部20が第2室R2側から第1室R1側に向かう方向(下側方向)に移動する。このように、コイル装置1Bは、冷却液Wを供給又は排出することによって、コイル部20の高さ位置を変化させることができる。これにより、コイル装置1Bは、パッド2Bの上面に対向するように受電コイル装置が配置されたときに、コイル部20と受電コイルとの間隔を変化させることができる。すなわち、コイル装置1Bは、冷却液Wを供給又は排出するだけでコイル装置1Bのコイル特性を変化させることができる。以上のように、コイル装置1Bは、コイル部20を効率よく冷却しつつコイル特性を変更できる。
【0059】
コイル装置1Bは、コイル部20に取り付けられたパッキン25を備えている。これにより、コイル部20の側面とケース10の内面との隙間を通って、第1室R1から第2室R2へ冷却液Wが漏れ出ることが抑制される。従って、コイル装置1Bは、冷却液Wを供給又は排出することによって、コイル部20を効率よく移動させることができる。
【0060】
コイル装置1Bは、コイル部20の下面に対向する位置に配置されたシールド板13を備えている。これにより、コイル装置1Bは、第1実施形態のコイル装置1と同様に、コイル部20とシールド板13との距離を変化させることによって、コイル装置1Bのコイル特性を変化させることができる。また、コイル装置1Bは、シールド板13を備えることにより、漏えい磁束の外部流出を遮蔽することができる。
【0061】
ポンプユニット30は、コイル21に流れる電流値が小さくなるように冷却液Wを供給又は排出する。この場合、コイル装置1Bは、第1実施形態のコイル装置1と同様に、コイル21で発生する熱量を低減することができる。これにより、コイル装置1Bは、コイル21で発生する熱量を低減しつつ、効率よくコイル部20を冷却できる。
【0062】
コイル装置1Bは、位置決めピン14を備えている。これにより、コイル装置1Bは、第1実施形態のコイル装置1と同様に、位置決めピン14によって、コイル部20の移動方向(上下方向)に交差する方向におけるコイル部20の移動を規制することができる。また、コイル装置1Bは、2本の位置決めピン14によって、上下方向に沿った軸を回転軸とするコイル部20の回転を規制できる。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、シールド板13は、ケース10内に設けられていたが、ケース10外に設けられていてもよい。また、ベース11が、シールド板13の機能を兼ねていてもよい。シールド板13が設けられていることは必須ではない。
【0064】
冷却液供給システム3は、ケース10内に冷却液Wを供給することと排出することの両方を行うことに限定されない。例えば、冷却液供給システム3は、ケース10内に冷却液Wを供給することと排出することのいずれか一方のみを行う構成であってもよい。この場合であっても、冷却液供給システム3がコイル部20を移動させることができため、コイル装置1,1A及び1Bは、コイル特性を変化させることができる。
【0065】
冷却液供給システム3は、電流センサ33の計測結果に基づいてポンプ31を動作させることに限定されない。例えば、冷却液供給システム3は、オペレータ等の指示に基づいてポンプ31を動作させてもよい。
【0066】
上記実施形態及び変形例において、位置決めピン14が2本設けられていたが、位置決めピン14が1本のみ設けられていてもよく、位置決めピン14が3本以上設けられていてもよい。また、位置決めピン14の形状は、円柱状以外の形状であってもよい。
【0067】
上記実施形態及び変形例において、ケース10内に送電回路及び整流回路等の回路が収容されていてもよい。そして、送電回路等の回路が冷却液Wに浸漬されていてもよい。この場合、送電回路等の回路も、冷却液Wによって冷却され得る。
【0068】
上記実施形態及び変形例においてコイル装置1,1A及び1Bは、非接触給電装置の送電コイル装置として用いられる場合を例に説明したが、車両に搭載される受電コイル装置として用いられてもよい。この場合、パッド2及び2Bは、ベース11側を上方に向けた状態で、パッド2及び2Bが車両のシャシー等に固定される。例えば、第2実施形態のパッド2Bでは、ベース11側を上方に向けた場合、ケース10の収容空間R内において、コイル部20よりも下側の空間を第1室R1とし、コイル部20よりも上側の空間を第2室R2とする。第1室R1と第2室R2とに区画された収容空間R内おいて、下側に位置する第1室R1に冷却液Wが収容される。
【0069】
上記において非接触給電システムは、地上側から車両側に送電したが、車両側から地上側に送電してもよい。この場合、路面等の地上に受電コイル装置が設置され、車両に送電コイル装置が設置される。
【0070】
水中航走体といった車両以外の移動体のバッテリを充電するための非接触給電システムに、上記のコイル装置1等が適用されてもよい。また、モータやセンサ等の電力を消費する部品に電力を直接的に供給するシステムに、上記のコイル装置1等が適用されてもよい。誘導加熱システムや渦流探傷システムに、上記のコイル装置1等が適用されてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1,1A,1B コイル装置
10 ケース
13 シールド板
14 位置決めピン(規制部)
20 コイル部
21 コイル
25 パッキン
30 ポンプユニット(液量調整部)
33 電流センサ(計測部)
51 液化パイプ
51a 液化パイプの一方の端部
51b 液化パイプの他方の端部
R 収容空間(内部空間)
R1 第1室
R2 第2室
W 冷却液
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】