(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2019145729
(43)【公開日】20190829
(54)【発明の名称】プラズマ処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20190802BHJP
【FI】
   !H01L21/302 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】2018030501
(22)【出願日】20180223
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
【住所又は居所】東京都港区赤坂五丁目3番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(72)【発明者】
【氏名】永岩 利文
【住所又は居所】宮城県黒川郡大和町テクノヒルズ1番 東京エレクトロン宮城株式会社内
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004AA01
5F004BA09
5F004BB12
5F004BB13
5F004BB22
5F004BB23
5F004CA06
5F004CB20
(57)【要約】
【課題】基板のエッジ領域に対するイオンの入射方向を、垂直方向に対して内向きに傾斜した方向と垂直方向に対して外向きに傾斜した方向との間で所望の方向に制御することが可能なプラズマ処理方法を提供する。
【解決手段】一態様に係るプラズマ処理方法では、プラズマ処理装置のチャンバの中で支持台上に載置された基板のエッジを囲むフォーカスリングの上面の高さ方向の位置が、支持台上に載置された基板の上面の高さ方向の位置よりも低くなるように、設定される。そして、設定されたフォーカスリングの上面の高さ方向の位置が維持された状態で、プラズマの生成中に、フォーカスリングに負極性の直流電圧が印加される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理装置のチャンバの中で支持台上に載置された基板のエッジを囲むフォーカスリングの上面の高さ方向の位置を設定する工程と、
設定された前記フォーカスリングの前記上面の前記高さ方向の前記位置を維持した状態で、前記基板に対してプラズマ処理を行うために前記チャンバの中でプラズマを生成する工程と、
前記プラズマの生成中に、設定された前記フォーカスリングの前記上面の前記高さ方向の前記位置を維持した前記状態において、前記フォーカスリングに負極性の直流電圧を印加する工程と、
を含み、
設定する前記工程では、前記支持台上の搭載領域上に搭載された前記フォーカスリングの前記上面の前記高さ方向の位置が前記支持台上に載置された前記基板の上面の前記高さ方向の位置である基準位置よりも低くなるように設定された厚みを有する該フォーカスリングを、前記チャンバの中に運び入れて、前記基板のエッジを囲むように前記搭載領域上に載置するか、又は、前記フォーカスリングの前記上面の前記高さ方向の前記位置が前記基準位置よりも低くなるように前記チャンバの中でフォーカスリングを移動させる、
プラズマ処理方法。
【請求項2】
前記基板は、膜及び該膜上に設けられたマスクを有し、
該プラズマ処理方法は、
前記膜及び前記マスクを有する別の基板に対して前記プラズマ処理を行う工程と、
前記プラズマ処理によって前記別の基板のエッジ領域内で前記膜に形成された開口の傾斜量を測定する工程と、
を更に含み、
前記負極性の直流電圧の電圧値は前記傾斜量に応じて決定される、
請求項1に記載のプラズマ処理方法。
【請求項3】
前記基板は、膜及び該膜上に設けられたマスクを有し、
該プラズマ処理方法は、前記基板のエッジ領域における前記マスクの開口の傾斜量を測定する工程を更に含み、
前記負極性の直流電圧の電圧値は前記傾斜量に応じて決定される、
請求項1に記載のプラズマ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、プラズマ処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスの製造においては、プラズマ処理装置を用いて基板に対してプラズマ処理が実行される。プラズマ処理装置は、チャンバ及び支持台を備える。支持台はチャンバの中に設けられている。プラズマ処理装置では、基板は、支持台上、且つ、フォーカスリングによって囲まれた領域内に配置される。フォーカスリングは、プラズマ処理の面内均一性を確保するために利用される。具体的に、フォーカスリングは、プラズマからのイオンを基板のエッジ領域に垂直に入射させるようシースの形状を調整するために、利用される。
【0003】
プラズマ処理はフォーカスリングの消耗をもたらす。プラズマ処理に起因する消耗によって、フォーカスリングの厚みは減少する。フォーカスリングの厚みが減少すると、シースの形状が変化して、プラズマからのイオンの基板のエッジ領域に対する入射方向が垂直方向に対して内向きに傾斜する。その結果、プラズマ処理の面内均一性が損なわれる。特許文献1には、フォーカスリングの厚みの減少に起因して変化したシースの形状を補正するために、負極性の直流電圧をフォーカスリングに印加することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−258417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板のエッジ領域に対するイオンの入射方向は、必ずしも垂直方向であることが望まれるわけではない。例えば、基板の膜上に設けられたマスクが垂直方向に対して外向きの傾斜を有する開口を基板のエッジ領域において提供している場合に、プラズマエッチングによってエッジ領域において当該膜に垂直に延びる開口を形成するためには、垂直方向に対して内向きに傾斜した方向でイオンを基板のエッジ領域に入射させる必要がある。逆の場合には、垂直方向に対して外向きに傾斜した方向でイオンを基板のエッジ領域に入射させる必要がある。したがって、基板のエッジ領域に対するイオンの入射方向を、垂直方向に対して内向きに傾斜した方向と垂直方向に対して外向きに傾斜した方向との間で所望の方向に制御することが可能であることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様においては、プラズマ処理方法が提供される。一態様に係るプラズマ処理方法は、(i)プラズマ処理装置のチャンバの中で支持台上に載置された基板のエッジを囲むフォーカスリングの上面の高さ方向の位置を設定する工程と、(ii)設定されたフォーカスリングの上面の高さ方向の位置を維持した状態で、基板に対してプラズマ処理を行うためにチャンバの中でプラズマを生成する工程と、(iii)プラズマの生成中に、設定されたフォーカスリングの上面の高さ方向の位置を維持した状態において、フォーカスリングに負極性の直流電圧を印加する工程と、を含む。設定する工程では、支持台上の搭載領域上に搭載されたフォーカスリングの上面の高さ方向の位置が支持台上に載置された基板の上面の高さ方向の位置である基準位置よりも低くなるように設定された厚みを有するフォーカスリングが、チャンバの中に運び入れられて、基板のエッジを囲むように搭載領域上に載置される。或いは、設定する工程では、フォーカスリングの上面の高さ方向の位置が基準位置よりも低くなるようにチャンバの中でフォーカスリングが移動される。
【0007】
フォーカスリングの上面の高さ方向の位置が基板の上面の高さ方向の位置よりも低く、且つ、フォーカスリングに負極性の直流電圧が印加されていない状態では、プラズマからのイオンの基板のエッジ領域に対する入射方向は、垂直方向に対して内向きに傾斜した方向である。一態様に係るプラズマ処理方法では、フォーカスリングの上面の高さ方向の位置が、基板の上面の高さ方向の位置(即ち、基準位置)よりも低くなるように設定された状態で、フォーカスリングに負極性の直流電圧が印加される。この直流電圧の絶対値が、基板のエッジ領域に対して垂直にイオンを入射させるためにフォーカスリングに印加されるべき負極性の直流電圧の絶対値よりも小さい場合には、プラズマからのイオンの基板のエッジ領域に対する入射方向は、垂直方向に対して内向きに傾斜した方向である。フォーカスリングに印加される負極性の直流電圧の絶対値が、基板のエッジ領域に対して垂直にイオンを入射させるためにフォーカスリングに印加されるべき負極性の直流電圧の絶対値よりも大きい場合には、プラズマからのイオンの基板のエッジ領域に対する入射方向は、垂直方向に対して外側に傾斜した方向である。したがって、一態様に係るプラズマ処理方法によれば、フォーカスリングに印加される負極性の直流電圧の絶対値を調整することにより、基板のエッジ領域に対するイオンの入射方向を、垂直方向に対して内向きに傾斜した方向と垂直方向に対して外向きに傾斜した方向との間で所望の方向に制御することが可能である。
【0008】
一実施形態において、基板は、膜及び該膜上に設けられたマスクを有する。プラズマ処理方法は、当該膜及び当該マスクを有する別の基板に対してプラズマ処理を行う工程と、プラズマ処理によって別の基板のエッジ領域内で膜に形成された開口の傾斜量を測定する工程と、を更に含む。フォーカスリングに印加される負極性の直流電圧の電圧値は、測定された傾斜量に応じて決定される。
【0009】
一実施形態において、基板は、膜及び該膜上に設けられたマスクを有する。プラズマ処理方法は、基板のエッジ領域におけるマスクの開口の傾斜量を測定する工程を更に含む。フォーカスリングに印加される負極性の直流電圧の電圧値は、測定された傾斜量に応じて決定される。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、基板のエッジ領域に対するイオンの入射方向を、垂直方向に対して内向きに傾斜した方向と垂直方向に対して外向きに傾斜した方向との間で所望の方向に制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施形態に係るプラズマ処理方法を示す流れ図である。
【図2】種々の実施形態に係るプラズマ処理方法において用いることが可能なプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
【図3】図2に示すプラズマ処理装置の支持台とフォーカスリングの一部拡大断面図である。
【図4】図4は、シースの形状と基板のエッジ領域に対するイオンの入射方向との関係を示す図である。
【図5】図5の(a)は、種々の実施形態に係るプラズマ処理方法が適用され得る一例の基板の一部拡大断面図であり、図5の(b)は、プラズマ処理後の別の基板の状態を示す一部拡大断面図である。
【図6】負極性の直流電圧をフォーカスリングに印加しているときのイオンの入射方向の一例を示す図である。
【図7】負極性の直流電圧をフォーカスリングに印加しているときのイオンの入射方向の別の一例を示す図である。
【図8】別の実施形態に係るプラズマ処理方法を示す流れ図である。
【図9】種々の実施形態に係るプラズマ処理方法において用いることが可能な別のプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0013】
図1は、一実施形態に係るプラズマ処理方法を示す流れ図である。図1に示すプラズマ処理方法(以下、「方法MT1」)という)は、フォーカスリングに直流電圧を印加可能なプラズマ処理装置を用いて実行される。一実施形態において、方法MT1は、図2に示すプラズマ処理装置を用いて実行することができる。図2は、種々の実施形態に係るプラズマ処理方法において用いることが可能なプラズマ処理装置を概略的に示す図である。図2に示すプラズマ処理装置1は、容量結合型のプラズマ処理装置である。
【0014】
プラズマ処理装置1は、チャンバ10を備えている。チャンバ10は、その中に内部空間10sを提供している。一実施形態において、チャンバ10は、チャンバ本体12を含んでいる。チャンバ本体12は、略円筒形状を有している。内部空間10sは、チャンバ本体12の中に提供されている。チャンバ本体12は、例えばアルミニウムから構成されている。チャンバ本体12は電気的に接地されている。チャンバ本体12の内壁面、即ち、内部空間10sを画成する壁面には、耐プラズマ性を有する膜が形成されている。この膜は、陽極酸化処理によって形成された膜又は酸化イットリウムから形成された膜といったセラミック製の膜であり得る。
【0015】
チャンバ本体12の側壁には通路12pが形成されている。基板Wは、内部空間10sとチャンバ10の外部との間で搬送されるときに、通路12pを通過する。この通路12pの開閉のために、ゲートバルブ12gがチャンバ本体12の側壁に沿って設けられている。
【0016】
内部空間10sの中には、支持台16が設けられている。支持台16は、その上に載置された基板Wを支持するように構成されている。支持台16は、支持部15によって支持されている。支持部15は、チャンバ本体12の底部から上方に延在している。支持部15は、略円筒形状を有している。支持部15は、石英といった絶縁材料から形成されている。
【0017】
支持台16は、下部電極18及び静電チャック20を有し得る。支持台16は、電極プレート21を更に有していてもよい。電極プレート21は、アルミニウムといった導電性材料から形成されており、略円盤形状を有している。下部電極18は、電極プレート21上に設けられている。下部電極18は、アルミニウムといった導電性材料から形成されており、略円盤形状を有している。下部電極18は、電極プレート21に電気的に接続されている。
【0018】
下部電極18内には、流路18fが形成されている。流路18fは、熱交換媒体用の流路である。熱交換媒体としては、液状の冷媒、或いは、その気化によって下部電極18を冷却する冷媒(例えば、フロン)が用いられる。流路18fには、熱交換媒体の循環装置(例えば、チラーユニット)が接続されている。この循環装置は、チャンバ10の外部に設けられている。流路18fには、循環装置から配管23aを介して熱交換媒体が供給される。流路18fに供給された熱交換媒体は、配管23bを介して循環装置に戻される。
【0019】
静電チャック20は、下部電極18上に設けられている。基板Wは、内部空間10sの中で処理されるときには、静電チャック20上に載置され、静電チャック20によって保持される。静電チャック20は、本体及び電極を有している。静電チャック20の本体は、絶縁体から形成されている。静電チャック20の電極は、膜状の電極であり、静電チャック20の本体内に設けられている。静電チャック20の電極には、直流電源が電気的に接続されている。直流電源から静電チャック20の電極に電圧が印加されると、静電チャック20と基板Wとの間で静電引力が発生する。発生した静電引力により、基板Wは、静電チャック20に引き付けられ、静電チャック20によって保持される。
【0020】
プラズマ処理装置1は、ガス供給ライン25を更に備え得る。ガス供給ライン25は、ガス供給機構からの伝熱ガス、例えばHeガスを、静電チャック20の上面と基板Wの裏面(下面)との間に供給する。
【0021】
プラズマ処理装置1は、筒状部28及び絶縁部29を更に備え得る。筒状部28は、チャンバ本体12の底部から上方に延在している。筒状部28は、支持部15の外周に沿って延在している。筒状部28は、導電性材料から形成されており、略円筒形状を有している。筒状部28は、電気的に接地されている。絶縁部29は、筒状部28上に設けられている。絶縁部29は、絶縁性を有する材料から形成されている。絶縁部29は、例えば石英といったセラミックから形成されている。絶縁部29は、略円筒形状を有している。絶縁部29は、電極プレート21の外周、下部電極18の外周、及び静電チャック20の外周に沿って延在している。
【0022】
以下、図2と共に図3を参照する。図3は、図2に示すプラズマ処理装置の支持台とフォーカスリングの一部拡大断面図である。支持台16は、搭載領域20rを有している。搭載領域20r上には、フォーカスリングFRが搭載される。搭載領域20rは、一例では、静電チャック20の外周領域である。フォーカスリングFRは、略環状板形状を有している。フォーカスリングFRは、導電性を有する。フォーカスリングFRは、例えばシリコン又は炭化ケイ素(SiC)から形成されている。基板Wは、円形の平面形状を有し、静電チャック20上、且つ、フォーカスリングFRによって囲まれた領域内に、配置される。即ち、フォーカスリングFRは、支持台16上に載置された基板Wのエッジを囲む。
【0023】
プラズマ処理装置1を用いて種々の実施形態に係るプラズマ処理方法が実行される場合には、フォーカスリングFRが、チャンバ10の中に運び入れられて、基板のエッジを囲むように搭載領域20r上に載置される。チャンバ10の中に運び入れられるフォーカスリングFRは、支持台16上、即ち静電チャック20上に載置される基板Wの上面の高さ方向の位置(以下、「基準位置RH」という)よりも、搭載領域20r上に搭載されたフォーカスリングFRの上面の高さ方向の位置FHが低くなるように設定された厚みを有する。
【0024】
図2に示すように、プラズマ処理装置1は、上部電極30を更に備えている。上部電極30は、支持台16の上方に設けられている。上部電極30は、部材32と共にチャンバ本体12の上部開口を閉じている。部材32は、絶縁性を有している。上部電極30は、この部材32を介してチャンバ本体12の上部に支持されている。
【0025】
上部電極30は、天板34及び支持体36を含んでいる。天板34の下面は、内部空間10sを画成している。天板34には、複数のガス吐出孔34aが形成されている。複数のガス吐出孔34aの各々は、天板34を板厚方向(鉛直方向)に貫通している。この天板34は、限定されるものではないが、例えばシリコンから形成されている。或いは、天板34は、アルミニウム製の母材の表面に耐プラズマ性の膜を設けた構造を有し得る。この膜は、陽極酸化処理によって形成された膜又は酸化イットリウムから形成された膜といったセラミック製の膜であり得る。
【0026】
支持体36は、天板34を着脱自在に支持している。支持体36は、例えばアルミニウムといった導電性材料から形成されている。支持体36の内部には、ガス拡散室36aが設けられている。ガス拡散室36aからは、複数のガス孔36bが下方に延びている。複数のガス孔36bは、複数のガス吐出孔34aにそれぞれ連通している。支持体36には、ガス導入ポート36cが形成されている。ガス導入ポート36cは、ガス拡散室36aに接続している。ガス導入ポート36cには、ガス供給管38が接続されている。
【0027】
ガス供給管38には、バルブ群41、流量制御器群42、及びバルブ群43を介して、ガスソース群40が接続されている。ガスソース群40は、複数のガスソースを含んでいる。バルブ群41及びバルブ群43の各々は、複数のバルブ(例えば開閉バルブ)を含んでいる。流量制御器群42は、複数の流量制御器を含んでいる。流量制御器群42の複数の流量制御器の各々は、マスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器である。ガスソース群40の複数のガスソースの各々は、バルブ群41の対応のバルブ、流量制御器群42の対応の流量制御器、及びバルブ群43の対応のバルブを介して、ガス供給管38に接続されている。プラズマ処理装置1は、ガスソース群40の複数のガスソースのうち選択された一以上のガスソースからのガスを、個別に調整された流量で、内部空間10sに供給することが可能である。
【0028】
筒状部28とチャンバ本体12の側壁との間には、バッフルプレート48が設けられている。バッフルプレート48は、例えば、アルミニウム製の母材に酸化イットリウム等のセラミックを被覆することにより構成され得る。このバッフルプレート48には、多数の貫通孔が形成されている。バッフルプレート48の下方においては、排気管52がチャンバ本体12の底部に接続されている。この排気管52には、排気装置50が接続されている。排気装置50は、自動圧力制御弁といった圧力制御器、及び、ターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有しており、内部空間10sの中の圧力を減圧することができる。
【0029】
プラズマ処理装置1は、第1の高周波電源61を更に備えている。第1の高周波電源61は、プラズマ生成用の第1の高周波電力を発生する電源である。第1の高周波電力は、27〜100MHzの範囲内の周波数、例えば40MHz又は60MHzの周波数を有する。第1の高周波電源61は、第1の高周波電力を下部電極18に供給するために、第1の整合器63及び電極プレート21を介して下部電極18に接続されている。第1の整合器63は、第1の高周波電源61の出力インピーダンスと負荷側(下部電極18側)のインピーダンスを整合させるための整合回路を有している。なお、第1の高周波電源61は、下部電極18に電気的に接続されていなくてもよく、第1の整合器63を介して上部電極30に接続されていてもよい。
【0030】
プラズマ処理装置1は、第2の高周波電源62を更に備えている。第2の高周波電源62は、基板Wにイオンを引き込むためのバイアス用の第2の高周波電力を発生する電源である。第2の高周波電力の周波数は、第1の高周波電力の周波数よりも低い。第2の高周波電力の周波数は、400kHz〜13.56MHzの範囲内の周波数であり、例えば、400kHzである。第2の高周波電源62は、第2の高周波電力を下部電極18に供給するために、第2の整合器64及び電極プレート21を介して下部電極18に接続されている。第2の整合器64は、第2の高周波電源62の出力インピーダンスと負荷側(下部電極18側)のインピーダンスを整合させるための整合回路を有している。
【0031】
このプラズマ処理装置1では、内部空間10sにガスが供給される。そして、第1の高周波電力及び/又は第2の高周波電力が供給されることにより、内部空間10sの中でガスが励起される。その結果、内部空間10sの中でプラズマが生成される。生成されたプラズマからのイオン及び/又はラジカルにより、基板Wが処理される。
【0032】
プラズマ処理装置1は、直流電源70を更に備えている。直流電源70は、フォーカスリングFRに電気的に接続されている。直流電源70は、内部空間10sの中で生成されるプラズマの状態を調整するために、フォーカスリングFRに印加される負極性の直流電圧を発生する。図3に示すように、一実施形態では、フォーカスリングFRは、導体22を介して下部電極18に電気的に接続されている。導体22は、静電チャック20を貫通している。直流電源70は、電極プレート21、下部電極18、及び導体22を介してフォーカスリングFRに電気的に接続されている。なお、直流電源70は、電極プレート21、下部電極18、及び導体22を介さずに、別の電気的パスを介してフォーカスリングFRに電気的に接続されていてもよい。
【0033】
プラズマ処理装置1は、制御部MCを更に備え得る。制御部MCは、プロセッサ、記憶装置、入力装置、表示装置等を備えるコンピュータであり、プラズマ処理装置1の各部を制御する。具体的に、制御部MCは、記憶装置に記憶されている制御プログラムを実行し、当該記憶装置に記憶されているレシピデータに基づいてプラズマ処理装置1の各部を制御する。制御部MCによる制御により、プラズマ処理装置1は、レシピデータによって指定されたプロセスを実行することができる。また、制御部MCによる制御により、プラズマ処理装置1は、種々の実施形態に係るプラズマ処理方法を実行することができる。
【0034】
以下、プラズマ処理装置1を用いて実行される場合を例として、方法MT1について詳細に説明する。図1に示すように、方法MT1では、まず、工程ST11が実行される。工程ST11では、フォーカスリングFRの上面の高さ方向の位置FHが設定される。上述したように、プラズマ処理装置1が用いられる場合には、フォーカスリングFRが、チャンバ10の中に運び入れられて、基板のエッジを囲むように搭載領域20r上に載置される。チャンバ10の中に運び入れられるフォーカスリングFRは、基準位置RHよりも、搭載領域20r上に搭載されたフォーカスリングFRの上面の高さ方向の位置FHが低くなるように設定された厚みを有する(図3参照)。
【0035】
方法MT1は、工程ST15及び工程ST16を更に含んでいる。方法MT1では、工程ST11の実行後、工程ST15の実行前に、基板Wが、内部空間10sに搬入されて、支持台16(静電チャック20)上、且つ、フォーカスリングFRによって囲まれた領域内に載置される。工程ST15及び工程ST16は、基板Wが支持台16上、且つ、フォーカスリングFRによって囲まれた領域内に載置されており、工程ST11において設定された位置FHが維持された状態で実行される。
【0036】
工程ST15では、基板Wに対してプラズマ処理を行うために、チャンバ10の中でプラズマが生成される。具体的には、ガスソース群40の複数のガスソースのうち選択された一以上のガスソースからのガスが内部空間10sに供給されるよう、バルブ群41、流量制御器群42、及びバルブ群43が制御される。工程ST15では、内部空間10sの中の圧力が指定された圧力に設定されるよう、排気装置50が制御される。工程ST15では、内部空間10sの中のガスを励起させるために、第1の高周波電力及び/又は第2の高周波電力が供給されるよう、第1の高周波電源61及び/又は第2の高周波電源62が制御される。
【0037】
工程ST16は、工程ST15の実行中、即ち、プラズマの生成中に実行される。工程ST16では、フォーカスリングFRに負極性の直流電圧を印加するよう、直流電源70が制御される。
【0038】
図4は、シースの形状と基板のエッジ領域に対するイオンの入射方向との関係を示す図である。図4において、文字「+」がその中に記載された円形の図形はイオンを示している。フォーカスリングFRの上面の高さ方向の位置FHが基板Wの上面の高さ方向の位置、即ち基準位置RHよりも低く、且つ、フォーカスリングFRに負極性の直流電圧が印加されていない状態では、シースSHは、図4において、実線で示す形状(シースSHとプラズマとの境界の形状)を有する。即ち、フォーカスリングFRの上面の高さ方向の位置FHが基準位置RHよりも低く、且つ、フォーカスリングFRに負極性の直流電圧が印加されていない状態では、基板Wの中央領域CRの上方でのシースSHの高さ方向の位置よりも、フォーカスリングFRの上方でのシースSHの高さ方向の位置が低く、基板Wのエッジ領域ERの上方では、シースSHの高さ方向の位置が基板Wの中心からの距離の増加につれて低くなる。したがって、フォーカスリングFRの上面の高さ方向の位置FHが基準位置RHよりも低く、且つ、フォーカスリングFRに負極性の直流電圧が印加されていない状態では、プラズマからのイオンの基板Wのエッジ領域に対する入射方向は、垂直方向に対して内向きに傾斜した方向である。
【0039】
方法MT1では、位置FHが基準位置RHよりも低くなるように設定された状態で、フォーカスリングFRに負極性の直流電圧が印加される。この直流電圧の絶対値が基板Wのエッジ領域ERに対して垂直にイオンを入射させるためにフォーカスリングFRに印加されるべき負極性の直流電圧の絶対値よりも小さい場合には、プラズマからのイオンの基板Wのエッジ領域に対する入射方向は、垂直方向に対して内向きに傾斜した方向である。なお、フォーカスリングFRに印加される負極性の直流電圧の絶対値が調整されて、基板Wのエッジ領域ERに対して垂直にイオンが入射する場合には、シースSHは、図4において一点鎖線で示す形状を有する。即ち、基板Wのエッジ領域ERに対して垂直にイオンが入射する場合には、シースSHの高さ方向の位置は、基板Wの中央領域からフォーカスリングFRの上方まで、一定である。
【0040】
フォーカスリングFRに印加される負極性の直流電圧の絶対値が、基板Wのエッジ領域ERに対して垂直にイオンを入射させるためにフォーカスリングFRに印加されるべき負極性の直流電圧の絶対値よりも大きい場合には、シースSHは、図4において破線で示す形状(シースSHとプラズマとの境界の形状)を有する。即ち、フォーカスリングFRに印加される負極性の直流電圧の絶対値が、基板Wのエッジ領域ERに対して垂直にイオンを入射させるためにフォーカスリングFRに印加されるべき負極性の直流電圧の絶対値よりも大きい場合には、基板Wの中央領域CRの上方でのシースSHの高さ方向の位置よりも、フォーカスリングFRの上方でのシースSHの高さ方向の位置が高く、基板Wのエッジ領域ERの上方では、シースSHの高さ方向の位置が基板Wの中心からの距離の増加につれて高くなる。したがって、フォーカスリングFRに印加される負極性の直流電圧の絶対値が、基板Wのエッジ領域ERに対して垂直にイオンを入射させるためにフォーカスリングFRに印加されるべき負極性の直流電圧の絶対値よりも大きい場合には、プラズマからのイオンの基板Wのエッジ領域ERに対する入射方向は、垂直方向に対して外側に傾斜した方向である。
【0041】
したがって、方法MT1によれば、フォーカスリングFRに印加される負極性の直流電圧の絶対値を調整することにより、基板Wのエッジ領域ERに対するイオンの入射方向を、垂直方向に対して内向きに傾斜した方向と垂直方向に対して外向きに傾斜した方向との間で所望の方向に制御することが可能である。なお、「内向きに傾斜した方向」とは、基板からの距離の減少に伴い基板の中心に近付く方向である。また、「外側に傾斜した方向」とは、基板からの距離の減少に伴い基板の中心から遠ざかる方向である。
【0042】
図1に示すように、方法MT1は、工程ST12、工程ST13、及び工程ST14を更に含んでいてもよい。工程ST12、工程ST13、及び工程ST14は、工程ST11と工程ST15との間で実行される。図5の(a)は、種々の実施形態に係るプラズマ処理方法が適用され得る一例の基板の一部拡大断面図である。図5の(a)に示す基板Wは、中央領域CR及びエッジ領域ERを有する。中央領域CRは、エッジ領域ERに対して基板Wの径方向内側の領域である。図5の(a)に示す基板Wは、膜TF及びマスクMKを有している。膜TFは、下地領域UR上に設けられている。マスクMKは、膜TF上に設けられている。マスクMKは、パターニングされており、中央領域CR及びエッジ領域ERの各々において開口MKOを提供している。マスクMKは、例えばレジストマスクである。
【0043】
図1に示す方法MT1では、工程ST11の実行後、工程ST12の実行前に、基板AWが、内部空間10sに搬入されて、支持台16(静電チャック20)上、且つ、フォーカスリングFRによって囲まれた領域内に載置される。基板AWは、工程ST15においてプラズマ処理が適用される基板Wと同じ構成を有する。即ち、基板AWは、膜TF及びマスクMKを有する。工程ST12では、工程ST11において設定されたフォーカスリングFRの位置FHが維持された状態で、プラズマ処理が基板AWに対して実行される。工程ST12において基板AWに対して実行されるプラズマ処理は、工程ST15において基板Wに対して実行されるプラズマ処理と同じである。図5の(b)は、プラズマ処理後の別の基板の状態を示す一部拡大断面図である。工程ST12が実行されると、図5の(b)に示すように、別の基板AWの膜TFに開口TFOが形成される。即ち、工程ST12及び工程ST15のプラズマ処理は、プラズマエッチングである。
【0044】
続く工程ST13では、別の基板AWのエッジ領域ER内で膜TFに形成された開口TFOの傾斜量が測定される。傾斜量は、例えば光学的に取得された別の基板AWの画像から求められる。傾斜量は、別の基板AWのエッジ領域ER内で膜TFに形成された開口TFOの垂直方向に対する傾斜の程度を表す量であれば任意の量であることができる。傾斜量は、例えば別の基板AWのエッジ領域ER内で膜TFに形成された開口TFOの垂直方向に対する傾斜角であってもよい。或いは、傾斜量は、別の基板AWのエッジ領域ER内で膜TFに形成された開口TFOの上端の中心位置と下端の中心位置との間の水平方向におけるずれ量であってもよい。なお、傾斜量は、プラズマ処理装置1に設けられた測定器によって測定されてもよく、プラズマ処理装置1の外部に存在する測定器によって測定されてもよい。
【0045】
工程ST14では、工程ST16においてフォーカスリングFRに印加される負極性の直流電圧の電圧値が決定される。負極性の直流電圧の電圧値は、工程ST13において測定された傾斜量に応じて決定される。例えば、制御部MCが、傾斜量と負極性の直流電圧の電圧値との間の関係を予め定めたテーブル又は関数を用いて、測定された傾斜量に応じた負極性の直流電圧の電圧値を特定する。
【0046】
工程ST14では、例えば基板Wのエッジ領域ER内の膜TFに垂直に延びる開口が形成されるよう、負極性の直流電圧の電圧値が、測定された傾斜量に応じて決定される。図6は、負極性の直流電圧をフォーカスリングに印加しているときのイオンの入射方向の一例を示す図である。図7は、負極性の直流電圧をフォーカスリングに印加しているときのイオンの入射方向の別の一例を示す図である。図6及び図7において、文字「+」がその中に記載された円形の図形はイオンを表しており、当該図形から延びる矢印はイオンの入射方向を表している。
【0047】
一例では、別の基板AWのエッジ領域ER内で膜TFに形成された開口TFOが垂直方向に対して内向きに傾斜した方向に延びている場合に、基板Wのエッジ領域ERに対するイオンの入射方向が、図6に示すように外向きに傾斜した方向となるように、工程ST13において測定された傾斜量から負極性の直流電圧の電圧値が決定される。その結果、工程ST15のプラズマ処理によって基板Wのエッジ領域ER内で膜TFに略垂直に延びる開口が形成される。図6に示すイオンの入射方向を得るために、負極性の直流電圧の絶対値は、基板Wのエッジ領域ERに対して垂直にイオンを入射させるためにフォーカスリングFRに印加されるべき負極性の直流電圧の絶対値よりも大きい値に設定される。
【0048】
別の一例では、別の基板AWのエッジ領域ER内で膜TFに形成された開口TFOが垂直方向に対して外向きに傾斜した方向に延びている場合に、基板Wのエッジ領域ERに対するイオンの入射方向が、図7に示すように内向きに傾斜した方向となるように、工程ST13において測定された傾斜量から負極性の直流電圧の電圧値が決定される。その結果、工程ST15のプラズマ処理によって基板Wのエッジ領域ER内で膜TFに略垂直に延びる開口が形成される。図7に示すイオンの入射方向を得るためには、負極性の直流電圧の絶対値は、基板Wのエッジ領域ERに対して垂直にイオンを入射させるためにフォーカスリングFRに印加されるべき負極性の直流電圧の絶対値よりも小さい値に設定される。
【0049】
なお、工程ST14では、基板Wのエッジ領域ER内で膜TFに形成される開口の傾斜量が指定された量になるように、負極性の直流電圧の電圧値が決定されてもよい。
【0050】
方法MT1では、工程ST15の実行前に、工程ST14において決定された電圧値を有する直流電圧をフォーカスリングFRに印加した状態で工程ST12のプラズマ処理、即ちエッチングが更に別の基板に対して実行されてもよい。そして、更に別の基板に対して実行されたエッチングの特性が所望の特性になっている場合に、工程ST15が基板Wに対して実行されてもよい。なお、エッチングの特性は、上述した傾斜量によって表されてもよい。或いは、エッチングの特性は、更に別の基板に対して実行されたエッチングの状態を表す特性であって、シースの状態を表す特性であれば、任意の特性であってもよい。そのような特性としては、エッチングの面内均一性を表す特性が例示される。
【0051】
以下、別の実施形態に係るプラズマ処理方法について説明する。図8は、別の実施形態に係るプラズマ処理方法を示す流れ図である。図8に示すプラズマ処理方法(以下、「方法MT2」という)も、フォーカスリングに直流電圧を印加可能なプラズマ処理装置、例えばプラズマ処理装置1を用いて実行される。方法MT2は、工程ST11と同様の工程ST21、工程ST15と同様の工程ST25、及び工程ST16と同様の工程ST26を含んでいる。工程ST21、工程ST25、及び工程ST26についての詳細については、工程ST11、工程ST15、及び工程ST16の説明を参照されたい。
【0052】
方法MT2は、図5の(a)に示した基板Wに対して適用され得る。方法MT2は、工程ST23及び工程ST24を更に含んでいる。工程ST23及び工程ST24は、工程ST21と工程ST25との間で実行される。工程ST23は、工程ST21の前に実行されてもよい。
【0053】
工程ST23では、基板Wのエッジ領域ERにおけるマスクMKの開口MKOの傾斜量が測定される。傾斜量は、例えば光学的に取得された別の基板AWの画像から求められる。傾斜量は、基板Wのエッジ領域ERにおけるマスクMKの開口MKOの垂直方向に対する傾斜の程度を表す量であれば任意の量であることができる。傾斜量は、例えば基板Wのエッジ領域ERにおけるマスクMKの開口MKOの垂直方向に対する傾斜角であってもよい。或いは、傾斜量は、基板Wのエッジ領域ERにおけるマスクMKの開口MKOの上端の中心位置と下端の中心位置との間の水平方向におけるずれ量であってもよい。
【0054】
工程ST24では、工程ST26においてフォーカスリングFRに印加される負極性の直流電圧の電圧値が決定される。負極性の直流電圧の電圧値は、工程ST23において測定された傾斜量に応じて決定される。例えば、制御部MCが、傾斜量と負極性の直流電圧の電圧値との間の関係を予め定めたテーブル又は関数を用いて、測定された傾斜量に応じた負極性の直流電圧の電圧値を特定する。
【0055】
工程ST24では、例えば基板Wのエッジ領域ER内の膜TFに垂直に延びる開口が形成されるよう、負極性の直流電圧の電圧値が、測定された傾斜量に応じて決定される。一例では、図6に示すように、基板Wのエッジ領域ER内でマスクMKの開口MKOが垂直方向に対して内向きに傾斜した方向に延びている場合に、基板Wのエッジ領域ERに対するイオンの入射方向が、外向きに傾斜した方向となるように、工程ST23において測定された傾斜量から負極性の直流電圧の電圧値が決定される。その結果、工程ST25のプラズマ処理によって基板Wのエッジ領域ER内で膜TFに略垂直に延びる開口が形成される。図6に示すイオンの入射方向を得るためには、負極性の直流電圧の絶対値は、基板Wのエッジ領域ERに対して垂直にイオンを入射させるためにフォーカスリングFRに印加されるべき負極性の直流電圧の絶対値よりも大きい値に設定される。
【0056】
別の一例では、図7に示すように、基板Wのエッジ領域ER内でマスクMKの開口MKOが垂直方向に対して外向きに傾斜した方向に延びている場合に、基板Wのエッジ領域ERに対するイオンの入射方向が、内向きに傾斜した方向となるように、工程ST23において測定された傾斜量から負極性の直流電圧の電圧値が決定される。その結果、工程ST25のプラズマ処理によって基板Wのエッジ領域ER内で膜TFに略垂直に延びる開口が形成される。図7に示すイオンの入射方向を得るためには、負極性の直流電圧の絶対値は、基板Wのエッジ領域ERに対して垂直にイオンを入射させるためにフォーカスリングFRに印加されるべき負極性の直流電圧の絶対値よりも小さい値に設定される。
【0057】
なお、工程ST24では、基板Wのエッジ領域ER内で膜TFに形成される開口の傾斜量が指定された量になるように、負極性の直流電圧の絶対値が決定されてもよい。
【0058】
以下、方法MT1及び方法MT2の双方においてプラズマ処理装置1の代わりに用いることが可能な別のプラズマ処理装置について説明する。図9は、種々の実施形態に係るプラズマ処理方法において用いることが可能な別のプラズマ処理装置を概略的に示す図である。図9に示すプラズマ処理装置1Bは、フォーカスリングFRの昇降機構を有する点で、プラズマ処理装置1と異なっている。
【0059】
プラズマ処理装置1BにおけるフォーカスリングFRの昇降機構は、支持体80及び駆動部82を有している。支持体80は、支持台16の上方でフォーカスリングFRを支持するように構成されている。支持体80は、一つ以上の柱状体から構成され得る。支持体80は、支持台16の下方から、支持台16を垂直方向に貫通する貫通孔を通って、支持台16の上方まで延びている。支持台16の下方では、支持体80は駆動部82に接続されている。駆動部82は、支持体80を介してフォーカスリングFRを昇降させるための動力を発生する。駆動部82は、例えばモータから構成される。或いは、駆動部82は、エアシリンダであり得る。
【0060】
プラズマ処理装置1Bを用いて方法MT1が実行される場合には、工程ST11において、フォーカスリングFRの上面の高さ方向の位置FHが基準位置RHよりも低くなるようにチャンバ10の中でフォーカスリングFRが移動される。工程ST11では、プラズマ処理装置1BにおけるフォーカスリングFRの昇降機構により、フォーカスリングFRが移動される。プラズマ処理装置1Bを用いて方法MT2が実行される場合には、工程ST21において、フォーカスリングFRの上面の高さ方向の位置FHが基準位置RHよりも低くなるようにチャンバ10の中でフォーカスリングFRが移動される。工程ST21では、プラズマ処理装置1BにおけるフォーカスリングFRの昇降機構により、フォーカスリングFRが移動される。
【0061】
以上、種々の実施形態について説明してきたが、上述した実施形態に限定されることなく種々の変形態様を構成可能である。例えば、方法MT1及び方法MT2の各々において用いることが可能なプラズマ処理装置は、容量結合型のプラズマ処理装置に限定されない。方法MT1及び方法MT2の各々において用いることが可能なプラズマ処理装置は、誘導結合型のプラズマ処理装置又はマイクロ波といった表面波を用いるプラズマ処理装置であってもよい。
【符号の説明】
【0062】
1,1B…プラズマ処理装置、10…チャンバ、16…支持台、20r…搭載領域、70…直流電源、FR…フォーカスリング、W…基板。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】