複数の第1の電極を表面に有する第1の電子部品本体と、前記第1の電極に面接触した状態で配置されたはんだ部と、前記第1の電子部品本体の前記第1の電極側の表面上に配置された接着剤層とを備え、
前記はんだ部の外表面が、前記接着剤層により覆われており、
前記接着剤層の硬化温度が、前記はんだ部の融点よりも高く、
前記接着剤層が、160℃及び30秒間の条件で加熱したときに硬化する性質を有する、電子部品。
複数の第1の電極を表面に有する第1の電子部品本体と、前記第1の電極に面接触した状態で配置されたはんだ部と、前記第1の電子部品本体の前記第1の電極側の表面上に配置された接着剤中間層と、前記接着剤中間層の前記第1の電子部品本体側とは反対側の表面上に配置された接着剤層とを備え、
前記はんだ部の外表面が、前記接着剤中間層又は前記接着剤層により覆われており、
前記接着剤層の硬化温度が、前記接着剤中間層の硬化温度よりも低い、電子部品。
複数の第1の電極を表面に有する第1の電子部品本体と、はんだ粒子及びバインダーを含む導電材料とを用いて、前記第1の電子部品本体の前記第1の電極側の表面上に、前記導電材料を配置する工程と、
前記導電材料を前記はんだ粒子の融点以上に加熱することで、前記バインダーを除去し、かつ、前記はんだ粒子を前記第1の電極上に寄せ集めてかつ前記はんだ粒子を溶融させた後に固化させて、前記第1の電極に面接触した状態のはんだ部を形成する工程と、
前記第1の電子部品本体の前記第1の電極側の表面上に接着剤を配置することで、該接着剤により接着剤層を形成して、前記はんだ部の外表面が前記接着剤層により覆われている電子部品を得る工程とを備える、電子部品の製造方法。
複数の第1の電極を表面に有する第1の電子部品本体と、はんだ粒子及び接着剤を含む導電材料とを用いて、前記第1の電子部品本体の前記第1の電極側の表面上に、前記導電材料を配置する工程と、
前記導電材料を前記はんだ粒子の融点以上に加熱することで、前記はんだ粒子を前記第1の電極上に寄せ集めてかつ前記はんだ粒子を溶融させた後に固化させて、前記第1の電極に面接触した状態のはんだ部を形成し、かつ、前記導電材料に含まれる前記接着剤により接着剤層を形成して、前記はんだ部の外表面が前記接着剤層により覆われている電子部品を得る工程とを備える、電子部品の製造方法。
複数の第1の電極を表面に有する第1の電子部品本体と、はんだ粒子及び接着剤を含む導電材料とを用いて、前記第1の電子部品本体の前記第1の電極側の表面上に、前記導電材料を配置する工程と、
前記導電材料を前記はんだ粒子の融点以上に加熱することで、前記はんだ粒子を前記第1の電極上に寄せ集めてかつ前記はんだ粒子を溶融させた後に固化させて、前記第1の電極に面接触した状態のはんだ部を形成し、かつ、前記導電材料に含まれる前記接着剤により接着剤中間層を形成する工程と、
前記接着剤中間層の前記第1の電子部品本体側とは反対側の表面上に接着剤を配置することで、該接着剤により接着剤層を形成して、前記はんだ部の外表面が前記接着剤中間層又は前記接着剤層により覆われている電子部品を得る工程とを備える、電子部品の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明に係る電子部品は、複数の第1の電極を表面に有する第1の電子部品本体と、上記第1の電極に面接触した状態で配置されたはんだ部と、上記第1の電子部品本体の上記第1の電極側の表面上に配置された接着剤層とを備える。本発明に係る電子部品では、上記はんだ部の外表面が、上記接着剤層により覆われている。本発明に係る電子部品では、上記接着剤層の硬化温度が、上記はんだ部の融点よりも高い。本発明に係る電子部品では、上記接着剤層が、160℃及び30秒間の条件で加熱したときに硬化する性質を有する。
【0037】
本発明に係る電子部品は、複数の第1の電極を表面に有する第1の電子部品本体と、上記第1の電極に面接触した状態で配置されたはんだ部と、上記第1の電子部品本体の上記第1の電極側の表面上に配置された接着剤中間層と、上記接着剤中間層の上記第1の電子部品本体側とは反対側の表面上に配置された接着剤層とを備える。本発明に係る電子部品では、上記はんだ部の外表面が、上記接着剤中間層又は上記接着剤層により覆われている。本発明に係る電子部品では、上記接着剤層の硬化温度が、上記接着剤中間層の硬化温度よりも低い。
【0038】
本発明に係る電子部品では、第2の電子部品本体の接着前に、上記第1の電極に面接触した状態で配置されたはんだ部が既に形成されている。本発明に係る電子部品では、上記の構成が備えられているので、電子部品を用いて接続構造体を得る際に、タクトタイムを効果的に短くすることができる。また、予めはんだ部が形成されているため、第2の電子部品本体の積層工程以降に、凝集不良に起因する導通不良が生じない。このため、接続構造体及び第2の電子部品の廃棄量を少なくすることができる。
【0039】
本発明に係る電子部品の製造方法は、複数の第1の電極を表面に有する第1の電子部品本体と、はんだ粒子及びバインダーを含む導電材料とを用いて、上記第1の電子部品本体の上記第1の電極側の表面上に、上記導電材料を配置する工程を備える。本発明に係る電子部品の製造方法は、上記導電材料を上記はんだ粒子の融点以上に加熱することで、上記バインダーを除去し、かつ、上記はんだ粒子を上記第1の電極上に寄せ集めてかつ上記はんだ粒子を溶融させた後に固化させて、上記第1の電極に面接触した状態のはんだ部を形成する工程を備える。本発明に係る電子部品の製造方法は、上記第1の電子部品本体の上記第1の電極側の表面上に接着剤を配置することで、該接着剤により接着剤層を形成して、上記はんだ部の外表面が上記接着剤層により覆われている電子部品を得る工程を備える。
【0040】
本発明に係る電子部品の製造方法は、複数の第1の電極を表面に有する第1の電子部品本体と、はんだ粒子及び接着剤を含む導電材料とを用いて、上記第1の電子部品本体の上記第1の電極側の表面上に、上記導電材料を配置する工程を備える。本発明に係る電子部品の製造方法は、上記導電材料を上記はんだ粒子の融点以上に加熱することで、上記はんだ粒子を上記第1の電極上に寄せ集めてかつ上記はんだ粒子を溶融させた後に固化させて、上記第1の電極に面接触した状態のはんだ部を形成する工程を備える。この工程において、本発明に係る電子部品の製造方法では、上記導電材料に含まれる上記接着剤により接着剤層を形成して、上記はんだ部の外表面が上記接着剤層により覆われている電子部品を得る。
【0041】
本発明に係る電子部品の製造方法は、複数の第1の電極を表面に有する第1の電子部品本体と、はんだ粒子及び接着剤を含む導電材料とを用いて、上記第1の電子部品本体の上記第1の電極側の表面上に、上記導電材料を配置する工程を備える。本発明に係る電子部品の製造方法は、上記導電材料を上記はんだ粒子の融点以上に加熱することで、上記はんだ粒子を上記第1の電極上に寄せ集めてかつ上記はんだ粒子を溶融させた後に固化させて、上記第1の電極に面接触した状態のはんだ部を形成し、かつ、上記導電材料に含まれる上記接着剤により接着剤中間層を形成する工程を備える。本発明に係る電子部品の製造方法は、上記接着剤中間層の上記第1の電子部品本体側とは反対側の表面上に接着剤を配置することで、該接着剤により接着剤層を形成して、上記はんだ部の外表面が上記接着剤中間層又は上記接着剤層により覆われている電子部品を得る工程を備える。
【0042】
本発明に係る電子部品の製造方法では、第2の電子部品本体の接着前に、上記第1の電極に面接触した状態で配置されたはんだ部が既に形成されている。本発明に係る電子部品の製造方法では、上記の構成が備えられているので、電子部品を用いて接続構造体を得る際に、タクトタイムを効果的に短くすることができる。また、予めはんだ部が形成されているため、第2の電子部品本体の積層工程以降に、凝集不良に起因する導通不良が生じない。このため、接続構造体及び第2の電子部品の廃棄量を少なくすることができる。
【0043】
はんだ粒子と樹脂成分とを含む従来の異方性導電材料を用いた接続構造体の製造では、2つの電子部品本体の間に異方性導電材料を配置した後、異方性導電材料を加熱し、溶融したはんだ粒子を電極上へ凝集させる工程(凝集工程)が行われ、続いて、樹脂成分を加熱により硬化させる工程(硬化工程)が行われる。凝集工程では、はんだ粒子を電極上に凝集させるために、異方性導電材料の粘度を低くする必要がある。凝集工程において、異方性導電材料の粘度を低くするために、凝集工程の加熱温度や樹脂成分の配合等を調節することにより、樹脂成分の硬化を抑制する必要がある。従来の異方性導電材料を用いた接続構造体の製造では、凝集工程が十分に終了した後でなければ、硬化工程を開始することができず、タクトタイムが長くなることがある。
【0044】
本発明では、第2の電子部品本体の接着前に、上記第1の電極に面接触した状態で配置されたはんだ部が既に形成されている。本発明では、上記の構成が備えられているので、接続構造体の製造の際に、凝集工程を省略することができる。本発明では、2つの電子部品本体を接着剤により接着し、はんだ部を再溶融させて電極間をはんだにより電気的に接続することで、接続構造体を得ることができる。結果として、接続構造体を得る際に、タクトタイムを効果的に短くすることができる。
【0045】
また、本発明では、上記の構成が備えられているので、電極間を電気的に接続する場合に、はんだ部を介して上下の対向した電極間を接続すればよいので、電極間の導通信頼性を効果的に高めることができる。また、本発明では、はんだ部を形成する際に、複数のはんだ粒子の一部が、接続されてはならない横方向の電極間に配置され難く、接続されてはならない横方向の電極間に配置されるはんだ粒子の量をかなり少なくすることができる。結果として、本発明では、接続されてはならない横方向の電極間において、はんだの残存量を少なくすることができる。結果として、接続されてはならない隣接する横方向の電極間の絶縁信頼性を効果的に高めることができる。
【0046】
上記電子部品では、上記接着剤層の外側の表面は、露出しているか、又は、上記接着剤層の外側の表面に保護フィルムが積層されていることが好ましい。上記電子部品では、上記接着剤層の外側の表面は、露出していてもよい。上記電子部品では、上記接着剤層の外側の表面に保護フィルムが積層されていることがより好ましい。上記保護フィルムとしては、樹脂フィルム等が挙げられる。
【0047】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。
【0048】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電子部品を模式的に示す断面図である。
【0049】
図1に示す電子部品1は、第1の電子部品本体2と、はんだ部11と、接着剤層12とを備える。第1の電子部品本体2は、表面上(上面)に、複数の第1の電極2aを有する。はんだ部11は、第1の電極2aに面接触した状態で配置されている。接着剤層12は、第1の電子部品本体2の第1の電極2a側の表面上に配置されている。接着剤層12は、第1の電子部品本体2の第1の電極2aがない表面上に配置されている。はんだ部11の外表面が、接着剤層12により覆われている。
【0050】
上記接着剤層は、上記はんだ部の外表面だけではなく、上記第1の電極の外表面を覆っていてもよい。上記接着剤層は、上記はんだ部の外表面の全部を覆っていてもよく、上記はんだ部の外表面の一部を覆っていてもよい。上記はんだ部は、上記接着剤層から突出している部分を有していてもよく、上記接着剤層から突出している部分を有していなくてもよい。
【0051】
なお、第1の電子部品本体2の第1の電極2aが無い領域では、はんだは存在しない。第1の電子部品本体2の第1の電極2aに面接触した状態で配置されているはんだ部11以外に、第1の電子部品本体2の第1の電極2aに接していないはんだは存在しない。なお、少量であれば、第1の電子部品本体2の第1の電極2aがない領域に、はんだが存在していてもよく、第1の電子部品本体2の第1の電極2aに面接触した状態で配置されているはんだ部11以外に、第1の電子部品本体2の第1の電極2aに接していないはんだが存在していてもよい。
【0052】
本発明では、接着剤層12の硬化温度は、はんだ部11の融点よりも高い。接着剤層12の硬化温度がはんだ部11の融点よりも高いことで、接続構造体を得る際に、はんだ部11が溶融する前に接着剤層12が硬化することを抑制し、はんだ部11を介して上下の対向した電極間を電気的に接続することができ、電極間の導通信頼性を効果的に高めることができる。
【0053】
電極間の導通信頼性を効果的に高める観点からは、上記接着剤層の硬化温度と上記はんだ部の融点との差の絶対値は、30℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましい。
【0054】
電極間の導通信頼性を効果的に高める観点からは、上記はんだ部の融点は、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上であり、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下である。
【0055】
上記接着剤層の硬化温度は、接着剤(上記接着剤層の材料)を示差走査熱量測定(DSC)で測定し、得られた結果における発熱ピークの立ち上がり開始の温度を意味する。上記はんだ部の融点は、示差走査熱量測定(DSC)により求めることができる。示差走査熱量測定(DSC)装置としては、SII社製「EXSTAR DSC7020」等が挙げられる。
【0056】
本発明では、接着剤層12は、160℃及び30秒間の条件で加熱したときに硬化する性質を有する。接着剤層12が上記の性質を有することで、接続構造体を得る際に、接着剤層12の硬化時間を短縮することができる。結果として、接続構造体を得る際に、タクトタイムを効果的に短くすることができる。
【0057】
接続構造体を得る際に、タクトタイムを効果的に短くする観点からは、上記接着剤層は、160℃及び10秒間の条件で加熱したときに硬化する性質を有することが好ましく、160℃及び5秒間の条件で加熱したときに硬化する性質を有することがより好ましい。
【0058】
上記接着剤層が、上述した条件で硬化する性質を有しているか否かを評価する方法としては、接着剤(上記接着剤層の材料)を上述した条件で加熱した評価用サンプルを作製した後、上記評価用サンプルを示差走査熱量測定(DSC)で測定し、発熱ピークの有無で判断する方法等が挙げられる。
【0059】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る電子部品を模式的に示す断面図である。
【0060】
図2に示す電子部品1Aは、第1の電子部品本体2と、はんだ部11と、接着剤層12Aと、接着剤中間層13Aとを備える。第1の電子部品本体2は、表面上(上面)に、複数の第1の電極2aを有する。はんだ部11は、第1の電極2aに面接触した状態で配置されている。接着剤中間層13Aは、第1の電子部品本体2の第1の電極2a側の表面上に配置されている。接着剤中間層13Aは、第1の電子部品本体2の第1の電極2aがない表面上に配置されている。接着剤層12Aは、接着剤中間層13Aの第1の電子部品本体2側とは反対側の表面上に配置されている。はんだ部11の外表面が、接着剤中間層13A又は接着剤層12Aにより覆われている。
【0061】
上記接着剤中間層は、上記第1の電極の外表面を覆っていてもよく、上記はんだ部の外表面を覆っていてもよい。上記接着剤中間層は、上記はんだ部の外表面の全部を覆っていてもよく、上記はんだ部の外表面の一部を覆っていてもよい。上記接着剤中間層は、上記はんだ部の外表面を覆っていなくてもよい。上記はんだ部は、上記接着剤中間層から突出している部分を有していてもよく、上記接着剤中間層から突出している部分を有していなくてもよい。上記接着剤層は、上記第1の電極の外表面を覆っていてもよく、上記はんだ部の外表面を覆っていてもよい。上記接着剤層は、上記はんだ部の外表面の全部を覆っていてもよく、上記はんだ部の外表面の一部を覆っていてもよい。上記接着剤層は、上記はんだ部の外表面を覆っていなくてもよい。上記はんだ部は、上記接着剤層から突出している部分を有していてもよく、上記接着剤層から突出している部分を有していなくてもよい。
【0062】
なお、第1の電子部品本体2の第1の電極2aが無い領域では、はんだは存在しない。第1の電子部品本体2の第1の電極2aに面接触した状態で配置されているはんだ部11以外に、第1の電子部品本体2の第1の電極2aに接していないはんだは存在しない。なお、少量であれば、第1の電子部品本体2の第1の電極2aがない領域に、はんだが存在していてもよく、第1の電子部品本体2の第1の電極2aに面接触した状態で配置されているはんだ部11以外に、第1の電子部品本体2の第1の電極2aに接していないはんだが存在していてもよい。
【0063】
本発明では、接着剤層12Aの硬化温度は、接着剤中間層13Aの硬化温度よりも低い。接着剤層12Aの硬化温度が接着剤中間層13Aの硬化温度よりも低いことで、接続構造体を得る際に、接着剤層12Aの硬化時間を短縮することができる。結果として、接続構造体を得る際に、タクトタイムを効果的に短くすることができる。
【0064】
接続構造体を得る際に、タクトタイムを効果的に短くする観点からは、上記接着剤層の硬化温度は上記接着剤中間層の硬化温度よりも40℃以上低いことが好ましく、上記接着剤層の硬化温度は上記接着剤中間層の硬化温度よりも20℃以上低いことがより好ましい。
【0065】
上記接着剤層の硬化温度及び上記接着剤中間層の硬化温度は、上記接着剤層の材料又は上記接着剤中間層の材料を示差走査熱量測定(DSC)で測定し、得られた結果における発熱ピークの立ち上がり開始の温度を意味する。示差走査熱量測定(DSC)装置としては、SII社製「EXSTAR DSC7020」等が挙げられる。
【0066】
次に本発明の第1の実施形態に係る電子部品を製造する方法について説明する。
【0067】
図3(a)〜(c)は、本発明の第1の実施形態に係る電子部品を製造する方法の一例の各工程を説明するための断面図である。
【0068】
複数の第1の電極2aを表面(上面)に有する第1の電子部品本体2を用意する。図3(a)に示すように、第1の電子部品本体2の表面上に、複数のはんだ粒子22とバインダー23とを含む導電材料21を配置する(第1Aの工程)。導電材料21の配置の後に、はんだ粒子22は、第1の電極2a(ライン)上と、第1の電極2aが形成されていない領域(スペース)上との双方に配置されている。本実施形態では、導電材料21として、導電ペーストが用いられている。
【0069】
導電材料21の配置方法は特に限定されない。導電材料21の配置方法としては、ディスペンサーによる塗布、スクリーン印刷、及びインクジェット装置による吐出等が挙げられる。
【0070】
次に、はんだ粒子22の融点以上に導電材料21を加熱する。この加熱によって、図3(b)に示すように、バインダー23を除去し、かつ、はんだ粒子22を第1の電極2a上に寄せ集めてかつはんだ粒子22を溶融させた後に固化させて、第1の電極2aに面接触した状態のはんだ部11を形成する(第2Aの工程)。はんだ部11は、はんだ粒子22が凝集し、溶融したはんだ粒子22が互いに接合して形成される。この加熱時には、電極が形成されていない領域に存在していたはんだ粒子22は、第1の電極2a上に集まる(自己凝集効果)。導電フィルムではなく、導電ペーストを用いた場合には、はんだ粒子22が、第1の電極2a上により一層効果的に集まる。
【0071】
上記第2Aの工程において、上記バインダーは、除去されることが好ましい。上記バインダーは、加熱により除去されることが好ましい。また、上記第2Aの工程では、上記はんだ部を形成した後に、上記バインダーを除去するバインダー除去工程を備えていてもよい。上記バインダー除去工程としては、乾燥工程及び真空乾燥工程等が挙げられる。なお、上記バインダーは、上記第1の電子部品本体の表面や上記はんだ部の表面に存在していてもよい。
【0072】
次に、図3(c)に示すように、第1の電子部品本体2の第1の電極2a側の表面上に接着剤を配置することで、該接着剤により接着剤層12を形成する(第3Aの工程)。はんだ部11の外表面は、接着剤層12により覆われている。上記接着剤の配置方法は特に限定されない。上記接着剤の配置方法としては、ディスペンサーによる塗布、スクリーン印刷、及びインクジェット装置による吐出等が挙げられる。
【0073】
上記接着剤層の硬化温度は、上記はんだ部の融点よりも高いことが好ましい。上記接着剤層の硬化温度が上記はんだ部の融点よりも高いことで、接続構造体を得る際に、上記はんだ部が溶融する前に上記接着剤層が硬化することを抑制し、上記はんだ部を介して上下の対向した電極間を電気的に接続することができ、電極間の導通信頼性を効果的に高めることができる。
【0074】
上記接着剤層は、160℃及び30秒間の条件で加熱したときに硬化する性質を有することが好ましい。上記接着剤層が上記の性質を有することで、接続構造体を得る際に、上記接着剤層の硬化時間を短縮することができる。結果として、接続構造体を得る際に、タクトタイムを効果的に短くすることができる。
【0075】
上記第2Aの工程の加熱時に上記導電材料の上記第1の電子部品本体側とは反対の表面は、露出していてもよく、保護フィルムが積層されていてもよい。上記第2Aの工程の加熱時に上記導電材料の上記第1の電子部品本体側とは反対の表面は、露出していることが好ましい。また、上記第3Aの工程後に、上記接着剤層の上記第1の電子部品本体側とは反対の表面に保護フィルムを積層してもよい。上記保護フィルムは、接続構造体の作製時に、第2の電子部品本体を積層する前に剥離することが好ましい。上記保護フィルムとしては、樹脂フィルム等が挙げられる。
【0076】
上記のようにして、図1に示す電子部品1を得ることができる。
【0077】
図4(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態に係る電子部品を製造する方法の他の一例(変形例)の各工程を説明するための断面図である。
【0078】
複数の第1の電極2aを表面(上面)に有する第1の電子部品本体2を用意する。図4(a)に示すように、第1の電子部品本体2の表面上に、複数のはんだ粒子22と接着剤23Aとを含む導電材料21Aを配置する(第1Bの工程)。導電材料21Aの配置の後に、はんだ粒子22は、第1の電極2a(ライン)上と、第1の電極2aが形成されていない領域(スペース)上との双方に配置されている。本実施形態では、導電材料21Aとして、導電ペーストが用いられている。
【0079】
導電材料21Aの配置方法は特に限定されない。導電材料21Aの配置方法としては、ディスペンサーによる塗布、スクリーン印刷、及びインクジェット装置による吐出等が挙げられる。
【0080】
次に、はんだ粒子22の融点以上に導電材料21Aを加熱する。この加熱によって、図4(b)に示すように、はんだ粒子22を第1の電極2a上に寄せ集めてかつはんだ粒子22を溶融させた後に固化させて、第1の電極2aに面接触した状態のはんだ部11を形成し、かつ、導電材料21Aに含まれる接着剤23Aにより接着剤層12Aを形成する(第2Bの工程)。はんだ部11の外表面は、接着剤層12Aにより覆われている。はんだ部11は、はんだ粒子22が凝集し、溶融したはんだ粒子22が互いに接合して形成される。接着剤層12Aは、接着剤23Aにより形成される。この加熱時には、電極が形成されていない領域に存在していたはんだ粒子22は、第1の電極2a上に集まる(自己凝集効果)。導電フィルムではなく、導電ペーストを用いた場合には、はんだ粒子22が、第1の電極2a上により一層効果的に集まる。上記接着剤層は、上記接着剤を硬化させることで形成されることが好ましい。上記接着剤層は、上記接着剤の硬化を進行させることで、Bステージ化していることが好ましい。
【0081】
上記接着剤層の硬化温度は、上記はんだ部の融点よりも高いことが好ましい。上記接着剤層の硬化温度が上記はんだ部の融点よりも高いことで、接続構造体を得る際に、上記はんだ部が溶融する前に上記接着剤層が硬化することを抑制し、上記はんだ部を介して上下の対向した電極間を電気的に接続することができ、電極間の導通信頼性を効果的に高めることができる。
【0082】
上記接着剤層は、160℃及び30秒間の条件で加熱したときに硬化する性質を有することが好ましい。上記接着剤層が上記の性質を有することで、接続構造体を得る際に、上記接着剤層の硬化時間を短縮することができる。結果として、接続構造体を得る際に、タクトタイムを効果的に短くすることができる。
【0083】
上記第2Bの工程の加熱時に上記導電材料の上記第1の電子部品本体側とは反対の表面は、露出していてもよく、保護フィルムが積層されていてもよい。上記第2Bの工程の加熱時に上記導電材料の上記第1の電子部品本体側とは反対の表面は、露出していることが好ましい。また、上記第2Bの工程後に、上記接着剤層の上記第1の電子部品本体側とは反対の表面に保護フィルムを積層してもよい。上記保護フィルムは、接続構造体の作製時に、第2の電子部品本体を積層する前に剥離することが好ましい。上記保護フィルムとしては、樹脂フィルム等が挙げられる。
【0084】
上記のようにして、図1に示す電子部品1を得ることができる。
【0085】
図5(a)〜(c)は、本発明の第2の実施形態に係る電子部品を製造する方法の一例の各工程を説明するための断面図である。
【0086】
複数の第1の電極2aを表面(上面)に有する第1の電子部品本体2を用意する。図5(a)に示すように、第1の電子部品本体2の表面上に、複数のはんだ粒子22と接着剤23Bとを含む導電材料21Bを配置する(第1Cの工程)。導電材料21Bの配置の後に、はんだ粒子22は、第1の電極2a(ライン)上と、第1の電極2aが形成されていない領域(スペース)上との双方に配置されている。本実施形態では、導電材料21Bとして、導電ペーストが用いられている。
【0087】
導電材料21Bの配置方法は特に限定されない。導電材料21Bの配置方法としては、ディスペンサーによる塗布、スクリーン印刷、及びインクジェット装置による吐出等が挙げられる。
【0088】
次に、はんだ粒子22の融点以上に導電材料21Bを加熱する。この加熱によって、図5(b)に示すように、はんだ粒子22を第1の電極2a上に寄せ集めてかつはんだ粒子22を溶融させた後に固化させて、第1の電極2aに面接触した状態のはんだ部11を形成し、かつ、導電材料21Bに含まれる接着剤23Bにより接着剤中間層13Bを形成する(第2Cの工程)。はんだ部11は、はんだ粒子22が凝集し、溶融したはんだ粒子22が互いに接合して形成される。接着剤中間層13Bは、接着剤23Bにより形成される。この加熱時には、電極が形成されていない領域に存在していたはんだ粒子22は、第1の電極2a上に集まる(自己凝集効果)。導電フィルムではなく、導電ペーストを用いた場合には、はんだ粒子22が、第1の電極2a上により一層効果的に集まる。上記接着剤中間層は、上記接着剤を硬化させることで形成されることが好ましい。上記接着剤中間層は、上記接着剤の硬化を進行させることで、Bステージ化していることが好ましい。上記接着剤中間層は、半硬化している状態であってもよく、完全に硬化している状態であってもよい。
【0089】
次に、図5(c)に示すように、接着剤中間層13Bの第1の電子部品本体2側とは反対側の表面上に接着剤を配置することで、該接着剤により接着剤層12Bを形成する(第3Cの工程)。はんだ部11の外表面は、接着剤中間層13B又は接着剤層12Bにより覆われている。上記接着剤の配置方法は特に限定されない。上記接着剤の配置方法としては、ディスペンサーによる塗布、スクリーン印刷、及びインクジェット装置による吐出等が挙げられる。
【0090】
上記接着剤層の硬化温度は、上記接着剤中間層の硬化温度よりも低いことが好ましい。上記接着剤層の硬化温度が上記接着剤中間層の硬化温度よりも低いことで、接続構造体を得る際に、上記接着剤層の硬化時間を短縮することができる。結果として、接続構造体を得る際に、タクトタイムを効果的に短くすることができる。
【0091】
上記接着剤層の硬化温度は、上記はんだ部の融点よりも高いことが好ましい。上記接着剤層の硬化温度が上記はんだ部の融点よりも高いことで、接続構造体を得る際に、上記はんだ部が溶融する前に上記接着剤層が硬化することを抑制し、上記はんだ部を介して上下の対向した電極間を電気的に接続することができ、電極間の導通信頼性を効果的に高めることができる。
【0092】
上記接着剤層は、160℃及び30秒間の条件で加熱したときに硬化する性質を有することが好ましい。上記接着剤層が上記の性質を有することで、接続構造体を得る際に、上記接着剤層の硬化時間を短縮することができる。結果として、接続構造体を得る際に、タクトタイムを効果的に短くすることができる。
【0093】
上記第2Cの工程の加熱時に上記導電材料の上記第1の電子部品本体側とは反対の表面は、露出していてもよく、保護フィルムが積層されていてもよい。上記第2Cの工程の加熱時に上記導電材料の上記第1の電子部品本体側とは反対の表面は、露出していることが好ましい。また、上記第3Cの工程後に、上記接着剤層の上記第1の電子部品本体側とは反対の表面に保護フィルムを積層してもよい。上記保護フィルムは、接続構造体の作製時に、第2の電子部品本体を積層する前に剥離することが好ましい。上記保護フィルムとしては、樹脂フィルム等が挙げられる。
【0094】
上記のようにして、図2に示す電子部品1Aを得ることができる。
【0095】
本発明に係る電子部品及び本発明に係る電子部品の製造方法により得られる電子部品は、接続構造体を得るために用いられることが好ましい。上記電子部品は、複数の第2の電極を表面に有する第2の電子部品本体を、上記接着剤層を介して接着し、かつ、上記第1の電極と上記第2の電極とを電気的に接続させるために用いられることが好ましい。
【0096】
次に、本発明の第1の実施形態に係る電子部品を用いて得られる接続構造体及び接続構造体の製造方法について説明する。
【0097】
図6は、本発明の第1の実施形態に係る電子部品を用いて得られる接続構造体を模式的に示す断面図である。
【0098】
図6に示す接続構造体31は、第1の電子部品本体2と、第2の電子部品本体3と、第1の電子部品本体2と第2の電子部品本体3とを接続している接続部4とを備える。接続部4は、はんだ部11に由来するはんだ電極4Aと、接着剤層12に由来する接着部4Bとを有する。はんだ電極4Aは、はんだ部11が再溶融した後に、固化して形成されていることが好ましい。接着部4Bは、接着剤層12が硬化されて形成されていることが好ましい。
【0099】
第1の電子部品本体2は表面(上面)に、複数の第1の電極2aを有する。第2の電子部品本体3は表面(下面)に、複数の第2の電極3aを有する。第1の電極2aと第2の電極3aとが、はんだ電極4Aにより電気的に接続されている。従って、第1の電子部品本体2と第2の電子部品本体3とが、はんだ電極4Aにより電気的に接続されている。なお、接続部4において、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に集まったはんだ電極4Aとは異なる領域(接着部4B部分)では、はんだは存在しない。はんだ電極4Aとは異なる領域(接着部4B部分)では、はんだ電極4Aと離れたはんだは存在しない。なお、少量であれば、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に集まったはんだ電極4Aとは異なる領域(接着部4B部分)に、はんだが存在していてもよい。
【0100】
図6に示すように、接続構造体31では、第1の電極2aと第2の電極3aとの間で、はんだ部11が再溶融し、はんだ電極4Aが形成されている。このため、はんだ電極4Aと第1の電極2a、並びにはんだ電極4Aと第2の電極3aとの接続面積が大きくなる。このため、接続構造体31における導通信頼性及び接続信頼性が高くなる。
【0101】
なお、図6に示す接続構造体31では、はんだ電極4A(はんだ)の全てが、第1の電極2a及び第2の電極3a間の対向している領域に位置している。図8に示す変形例の接続構造体31Xは、接続部4Xのみが、図6に示す接続構造体31と異なる。接続部4Xは、はんだ電極4XAと接着部4XBとを有する。接続構造体31Xのように、はんだ電極4XA(はんだ)の多くが、第1の電極2a及び第2の電極3aの対向している領域に位置しており、はんだ電極4XA(はんだ)の一部が第1の電極2a及び第2の電極3aの対向している領域から側方にはみ出していてもよい。第1の電極2a及び第2の電極3aの対向している領域から側方にはみ出しているはんだ電極4XA(はんだ)は、はんだ電極4XAの一部であり、はんだ電極4XAから離れたはんだではない。なお、本実施形態では、はんだ電極から離れたはんだの量を少なくすることができるが、はんだ電極から離れたはんだが接着部中に存在していてもよい。
【0102】
はんだ粒子の使用量を少なくすれば、接続構造体31を得ることが容易になる。はんだ粒子の使用量を多くすれば、接続構造体31Xを得ることが容易になる。
【0103】
接続構造体31,31Xでは、第1の電極2aと接続部4,4Xと第2の電極3aとの積層方向に第1の電極2aと第2の電極3aとの対向し合う部分をみたときに、第1の電極2aと第2の電極3aとの対向し合う部分の面積100%中の50%以上に、接続部4,4X中のはんだ電極4A,4XA(はんだ)が配置されていることが好ましい。接続部4,4X中のはんだ電極4A,4XA(はんだ)が、上記の好ましい態様を満足することで、導通信頼性をより一層高めることができる。
【0104】
上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の50%以上に、上記接続部中のはんだ電極(はんだ)が配置されていることが好ましい。上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の60%以上に、上記接続部中のはんだ電極(はんだ)が配置されていることがより好ましい。上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の70%以上に、上記接続部中のはんだ電極(はんだ)が配置されていることがさらに好ましい。上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の80%以上に、上記接続部中のはんだ電極(はんだ)が配置されていることが特に好ましい。上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の90%以上に、上記接続部中のはんだ電極(はんだ)が配置されていることが最も好ましい。上記接続部中のはんだ電極(はんだ)が、上記の好ましい態様を満足することで、導通信頼性をより一層高めることができる。
【0105】
上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向と直交する方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分に、上記接続部中のはんだ電極(はんだ)の60%以上が配置されていることが好ましい。上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向と直交する方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分に、上記接続部中のはんだ電極(はんだ)の70%以上が配置されていることがより好ましい。上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向と直交する方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分に、上記接続部中のはんだ電極(はんだ)の90%以上が配置されていることがさらに好ましい。上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向と直交する方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分に、上記接続部中のはんだ電極(はんだ)の95%以上が配置されていることが特に好ましい。上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向と直交する方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分に、上記接続部中のはんだ電極(はんだ)の99%以上が配置されていることが最も好ましい。上記接続部中のはんだ電極(はんだ)が、上記の好ましい態様を満足することで、導通信頼性をより一層高めることができる。
【0106】
次に、本発明の第1の実施形態に係る電子部品を用いて、接続構造体を製造する方法について説明する。
【0107】
図7(a)〜(c)は、本発明の第1の実施形態に係る電子部品を用いて、接続構造体を製造する方法の一例の各工程を説明するための断面図である。
【0108】
まず、図7(a)に示すように、図1に示す電子部品1を用意する。また、複数の第2の電極3aを表面(下面)に有する第2の電子部品本体3を用意する。
【0109】
次に、図7(b)に示すように、接着剤層12の第1の電子部品本体2側とは反対側の表面上に、第2の電極3a側から、第2の電子部品本体3を配置して、積層体を得る(積層工程)。このとき、第1の電極2aと第2の電極3aとを対向させる。即ち、はんだ部11と第2の電極3aとを対向させる。
【0110】
次に、得られた積層体をはんだ部11の融点以上に加熱し、加圧することで、第1の電子部品本体2と第2の電子部品本体3とを接着剤層により接着し、かつ、第1の電極2aと第2の電極3aとを、はんだにより電気的に接続する(熱圧着工程)。
【0111】
この結果、図7(c)に示すように、第1の電子部品本体2と第2の電子部品本体3とを接続している接続部4を、はんだ部11及び接着剤層12により形成する。第1の電極2aと第2の電極3aとが、接続部4中のはんだにより電気的に接続されている。上記はんだ部が再溶融した後に固化することで、上記はんだ電極が形成されることが好ましい。上記接着剤層が硬化されることで、上記接着部が形成されることが好ましい。上記熱圧着工程において、上記接着剤層が熱硬化性を有する場合には、上記接着剤層の硬化温度以上に加熱することが好ましい。
【0112】
上記のようにして、図6に示す接続構造体31が得られる。なお、上記積層工程と上記熱圧着工程とは連続して行われてもよい。また、上記積層工程を行った後に、得られる第1の電子部品本体2と、はんだ部11及び接着剤層12と、第2の電子部品本体3との積層体を、加熱部に移動させて、上記熱圧着工程を行ってもよい。上記加熱を行うために、加熱部材上に上記積層体を配置してもよく、加熱された空間内に上記積層体を配置してもよい。
【0113】
上記熱圧着工程における加熱温度は、好ましくは140℃以上、より好ましくは160℃以上であり、好ましくは450℃以下、より好ましくは250℃以下、さらに好ましくは200℃以下である。
【0114】
上記熱圧着工程における加熱方法としては、加圧加熱接合装置等を用いて、加熱しながら加圧する方法、はんだ部の融点以上に、接続構造体全体を、リフロー炉又はオーブンを用いて加熱する方法、及び接続構造体の接続部のみを局所的に加熱する方法が挙げられる。
【0115】
局所的に加熱する方法に用いる器具としては、ホットプレート、熱風を付与するヒートガン、はんだゴテ、及び赤外線ヒーター等が挙げられる。
【0116】
また、ホットプレートにて局所的に加熱する際、接続部直下は、熱伝導性の高い金属にて、その他の加熱することが好ましくない個所は、フッ素樹脂等の熱伝導性の低い材質にて、ホットプレート上面を形成することが好ましい。
【0117】
上記熱圧着工程における加圧圧力は、好ましくは2MPa以上、より好ましくは4MPa以上であり、好ましくは15MPa以下、より好ましくは10MPa以下である。
【0118】
上記熱圧着工程における加圧方法としては、加圧加熱接合装置等を用いて、加熱しながら加圧する方法等が挙げられる。
【0119】
上記第1の電子部品本体及び第2の電子部品本体は、特に限定されない。上記第1の電子部品本体及び第2の電子部品本体としては、具体的には、半導体チップ、半導体パッケージ、LEDチップ、LEDパッケージ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びに樹脂フィルム、プリント基板、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル、リジッドフレキシブル基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板等の電子部品等が挙げられる。上記第1の電子部品本体及び第2の電子部品本体は、電子部品であることが好ましい。
【0120】
上記第1の電子部品本体及び上記第2の電子部品本体の内の少なくとも一方が、樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板であることが好ましい。上記第2の電子部品本体が、樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板であることが好ましい。樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル及びリジッドフレキシブル基板は、柔軟性が高く、比較的軽量であるという性質を有する。このような基板の接続に従来の導電材料を用いた場合には、はんだ粒子が電極上に集まりにくい傾向がある。これに対して、本発明では、予め上記第1の電子部品本体の上記第1の電極上に上記はんだ部が形成されているので、樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板を用いたとしても、電極間の導通信頼性を十分に高めることができる。
【0121】
上記電子部品本体に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極、銀電極、SUS電極、及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記電子部品本体がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極、銀電極又は銅電極であることが好ましい。上記電子部品本体がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極、銀電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
【0122】
本発明に係る接続構造体では、上記第1の電極及び上記第2の電極は、エリアアレイ又はペリフェラルにて配置されていることが好ましい。上記第1の電極及び上記第2の電極が、エリアアレイ又はペリフェラルにて配置されている場合において、本発明の効果がより一層効果的に発揮される。上記エリアアレイとは、電子部品本体の電極が配置されている面にて、格子状に電極が配置されている構造のことである。上記ペリフェラルとは、電子部品本体の外周部に電極が配置されている構造のことである。従来の導電材料を用いた導電接続において、電極が櫛型に並んでいる構造の場合は、櫛に垂直な方向に沿ってはんだ粒子が凝集すればよいのに対して、上記エリアアレイ又はペリフェラル構造では電極が配置されている面において、全面にて均一にはんだ粒子が凝集する必要がある。そのため、従来の方法では、はんだ量が不均一になりやすいのに対して、本発明の方法では、はんだ量を均一にすることができ、電極間の導通信頼性を十分に高めることができる。
【0123】
上記導電材料としては、導電ペースト及び導電フィルム等が挙げられる。上記導電ペーストは異方性導電ペーストであることが好ましく、上記導電フィルムは異方性導電フィルムであることが好ましい。電極上にはんだをより一層効率的に配置する観点からは、上記導電材料は、導電ペーストであることが好ましい。
【0124】
電極上にはんだをより一層効率的に配置する観点からは、上記導電材料の25℃での粘度(η25)は、好ましくは0.1Pa・s以上、より好ましくは30Pa・s以上、さらに好ましくは50Pa・s以上であり、好ましくは400Pa・s以下、より好ましくは300Pa・s以下である。上記粘度(η25)は、配合成分の種類及び配合量により適宜調整することができる。
【0125】
上記粘度(η25)は、例えば、E型粘度計(東機産業社製「TVE22L」)等を用いて、25℃及び5rpmの条件で測定することができる。
【0126】
以下、上記導電材料に含まれる各成分及び接着剤層の材料(接着剤)を説明する。
【0127】
(はんだ粒子)
上記導電材料は、はんだ粒子を含む。上記はんだ粒子は、中心部分及び外表面のいずれもがはんだにより形成されている。上記はんだ粒子は、中心部分及び外表面のいずれもがはんだである粒子である。
【0128】
上記はんだは、融点が450℃以下である金属(低融点金属)であることが好ましい。上記はんだ粒子は、融点が450℃以下である金属粒子(低融点金属粒子)であることが好ましい。上記低融点金属粒子は、低融点金属を含む粒子である。該低融点金属とは、融点が450℃以下の金属を示す。低融点金属の融点は好ましくは300℃以下、より好ましくは160℃以下である。上記はんだは、融点が150℃未満の低融点はんだであることが好ましい。上記はんだ粒子の融点は、150℃未満であることが好ましい。
【0129】
電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置する観点からは、上記はんだ粒子の融点は、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上であり、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下である。
【0130】
上記はんだ粒子の融点は、示差走査熱量測定(DSC)により求めることができる。示差走査熱量測定(DSC)装置としては、SII社製「EXSTAR DSC7020」等が挙げられる。
【0131】
また、上記はんだ粒子は錫を含むことが好ましい。上記はんだ粒子に含まれる金属100重量%中、錫の含有量は、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。上記はんだ粒子における錫の含有量が、上記下限以上であると、はんだ部と電極との導通信頼性及び接続信頼性がより一層高くなる。
【0132】
なお、上記錫の含有量は、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置(堀場製作所社製「ICP−AES」)、又は蛍光X線分析装置(島津製作所社製「EDX−800HS」)等を用いて測定することができる。
【0133】
上記はんだ粒子を用いることで、はんだが溶融して電極に接合し、はんだ部が電極間を導通させる。例えば、はんだ部と電極とが点接触ではなく面接触しやすいため、接続抵抗が低くなる。また、上記はんだ粒子の使用により、はんだ部と電極との接合強度が高くなる結果、はんだ部と電極との剥離がより一層生じ難くなり、導通信頼性及び接続信頼性がより一層高くなる。
【0134】
上記はんだ粒子を構成する低融点金属は特に限定されない。該低融点金属は、錫、又は錫を含む合金であることが好ましい。該合金は、錫−銀合金、錫−銅合金、錫−銀−銅合金、錫−ビスマス合金、錫−亜鉛合金及び錫−インジウム合金等が挙げられる。電極に対する濡れ性に優れることから、上記低融点金属は、錫、錫−銀合金、錫−銀−銅合金、錫−ビスマス合金又は錫−インジウム合金であることが好ましい。上記低融点金属は、錫−ビスマス合金又は錫−インジウム合金であることがより好ましい。
【0135】
上記はんだ粒子は、JIS Z3001:溶接用語に基づき、液相線が450℃以下である溶加材であることが好ましい。上記はんだ粒子の組成としては、例えば亜鉛、金、銀、鉛、銅、錫、ビスマス及びインジウム等を含む金属組成が挙げられる。低融点で鉛フリーである錫−インジウム系(117℃共晶)、又は錫−ビスマス系(139℃共晶)が好ましい。すなわち、上記はんだ粒子は、鉛を含まないことが好ましく、錫とインジウムとを含むか、又は錫とビスマスとを含むことが好ましい。
【0136】
はんだ部と電極との接合強度をより一層高めるために、上記はんだ粒子は、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム、亜鉛、鉄、金、チタン、リン、ゲルマニウム、テルル、コバルト、ビスマス、マンガン、クロム、モリブデン、及びパラジウム等の金属を含んでいてもよい。また、はんだ部と電極との接合強度をさらに一層高める観点からは、上記はんだ粒子は、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム又は亜鉛を含むことが好ましい。はんだ部と電極との接合強度をより一層高める観点からは、接合強度を高めるためのこれらの金属の含有量は、はんだ粒子に含まれる金属100重量%中、好ましくは0.0001重量%以上、好ましくは1重量%以下である。
【0137】
上記はんだ粒子の粒子径は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは2μm以上、特に好ましくは5μm以上であり、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。上記はんだ粒子の粒子径が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極上にはんだ粒子より一層効率的に配置することができる。上記はんだ粒子の粒子径は、1μm以上50μm以下であることが特に好ましい。
【0138】
上記はんだ粒子の粒子径は、平均粒子径であることが好ましく、数平均粒子径であることがより好ましい。はんだ粒子の粒子径は、例えば、任意のはんだ粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、各はんだ粒子の粒子径の平均値を算出することや、レーザー回折式粒度分布測定を行うことにより求められる。電子顕微鏡又は光学顕微鏡での観察では、1個当たりのはんだ粒子の粒子径は、円相当径での粒子径として求められる。電子顕微鏡又は光学顕微鏡での観察において、任意の50個のはんだ粒子の円相当径での平均粒子径は、球相当径での平均粒子径とほぼ等しくなる。レーザー回折式粒度分布測定では、1個当たりのはんだ粒子の粒子径は、球相当径での粒子径として求められる。上記はんだ粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定により算出することが好ましい。
【0139】
上記はんだ粒子の粒子径の変動係数(CV値)は、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上であり、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下である。上記はんだ粒子の粒子径の変動係数が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極上にはんだをより一層効率的に配置することができる。但し、上記はんだ粒子の粒子径のCV値は、5%未満であってもよい。
【0140】
上記変動係数(CV値)は、以下のようにして測定できる。
【0141】
CV値(%)=(ρ/Dn)×100
ρ:はんだ粒子の粒子径の標準偏差
Dn:はんだ粒子の粒子径の平均値
【0142】
上記はんだ粒子の形状は特に限定されない。上記はんだ粒子の形状は、球状であってもよく、扁平状等の球形状以外の形状であってもよい。
【0143】
上記導電材料100重量%中、上記はんだ粒子の含有量は、好ましくは35重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは45重量%以上であり、好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以下、さらに好ましくは60重量%以下である。上記はんだ粒子の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置することができ、電極間にはんだを多く配置することが容易であり、導通信頼性がより一層高くなる。導通信頼性をより一層高める観点からは、上記はんだ粒子の含有量は多い方が好ましい。
【0144】
(バインダー)
上記導電材料は、バインダーを含む。上記バインダーは特に限定されない。上記バインダーは、上記第2Aの工程において除去されることが好ましい。上記バインダーは、上記バインダー除去工程において除去されることが好ましい。上記バインダーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0145】
上記バインダーとしては、溶媒等が挙げられる。上記溶媒としては、脂肪族系溶媒、ケトン系溶媒、芳香族系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、パラフィン系溶媒及び石油系溶媒等が挙げられる。
【0146】
上記脂肪族系溶媒としては、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン及びエチルシクロヘキサン等が挙げられる。上記ケトン系溶媒としては、アセトン及びメチルエチルケトン等が挙げられる。上記芳香族系溶媒としては、トルエン及びキシレン等が挙げられる。上記エステル系溶媒としては、酢酸エチル、酢酸ブチル及び酢酸イソプロピル等が挙げられる。上記エーテル系溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)、及びジオキサン等が挙げられる。上記アルコール系溶媒としては、エタノール及びブタノール等が挙げられる。上記パラフィン系溶媒としては、パラフィン油及びナフテン油等が挙げられる。上記石油系溶媒としては、ミネラルターペン及びナフサ等が挙げられる。
【0147】
上記バインダーの融点は、上記導電材料に含まれるはんだ粒子の融点未満であることが好ましい。
【0148】
上記バインダーには、後述するフラックスが含まれていてもよい。上記バインダーがフラックスを含むことで、電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置することができる。
【0149】
上記導電材料100重量%中、上記バインダーの含有量は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上であり、好ましくは65重量%以下である。上記バインダーの含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置することができ、電極間にはんだを多く配置することが容易であり、導通信頼性がより一層高くなる。
【0150】
(接着剤)
上記導電材料は、接着剤を含む。上記導電材料に含まれる上記接着剤により、上記接着剤中間層が形成される。上記導電材料に含まれる上記接着剤は、上記接着剤中間層の材料である。上記接着剤は、上記接着剤層の材料としても用いられる。上記接着剤により、上記接着剤層が形成される。上記接着剤中間層の材料と上記接着剤層の材料とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0151】
上記接着剤は、硬化性成分を含むことが好ましい。上記硬化成分としては、熱硬化性成分及び光硬化性成分等が挙げられる。上記熱硬化性成分は、熱硬化性化合物と熱硬化剤とを含むことが好ましい。上記熱硬化性成分は、硬化促進剤を含んでいてもよい。上記接着剤は、熱硬化性成分を含むことが好ましい。上記接着剤が熱硬化性成分を含む場合には、上記接着剤中間層又は上記接着剤層をより一層良好に硬化させるために、上記接着剤は、熱硬化性化合物と熱硬化剤とを含むことが好ましい。上記接着剤中間層又は上記接着剤層をより一層良好に硬化させるために、上記接着剤は硬化促進剤を含んでいてもよい。
【0152】
(硬化性成分:熱硬化性化合物)
上記熱硬化性化合物は特に限定されない。上記熱硬化性化合物としては、オキセタン化合物、エポキシ化合物、エピスルフィド化合物、(メタ)アクリル化合物、フェノール化合物、アミノ化合物、不飽和ポリエステル化合物、ポリウレタン化合物、シリコーン化合物及びポリイミド化合物等が挙げられる。上記接着剤中間層又は上記接着剤層の硬化性及び粘度をより一層良好にする観点、導通信頼性をより一層効果的に高める観点、及び絶縁信頼性をより一層効果的に高める観点からは、エポキシ化合物又はエピスルフィド化合物が好ましく、エポキシ化合物がより好ましい。上記熱硬化性化合物は、エポキシ化合物を含むことが好ましい。上記熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0153】
上記エポキシ化合物は、少なくとも1個のエポキシ基を有する化合物である。上記エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物、ビフェノール型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、フルオレン型エポキシ化合物、フェノールアラルキル型エポキシ化合物、ナフトールアラルキル型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、アントラセン型エポキシ化合物、アダマンタン骨格を有するエポキシ化合物、トリシクロデカン骨格を有するエポキシ化合物、ナフチレンエーテル型エポキシ化合物、及びトリアジン核を骨格に有するエポキシ化合物等が挙げられる。上記エポキシ化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0154】
上記エポキシ化合物は、常温(23℃)で液状又は固体であり、上記エポキシ化合物が常温で固体である場合には、上記エポキシ化合物の溶融温度は、上記はんだ粒子の融点以下であることが好ましい。上記の好ましいエポキシ化合物を用いることで、硬化時の熱により、導電材料の粘度を大きく低下させることができ、はんだ粒子の凝集を効率よく進行させることができる。
【0155】
絶縁信頼性をより一層効果的に高める観点、及び導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記熱硬化性化合物は、エポキシ化合物を含むことが好ましい。
【0156】
電極上にはんだ粒子をより一層効果的に配置する観点からは、上記熱硬化性化合物は、ポリエーテル骨格を有する熱硬化性化合物を含むことが好ましい。
【0157】
上記ポリエーテル骨格を有する熱硬化性化合物としては、炭素数3〜12のアルキル鎖の両末端にグリシジルエーテル基を有する化合物、並びに炭素数2〜4のポリエーテル骨格を有し、該ポリエーテル骨格2〜10個が連続して結合した構造単位を有するポリエーテル型エポキシ化合物等が挙げられる。
【0158】
硬化物の耐熱性をより一層効果的に高める観点からは、上記熱硬化性化合物は、イソシアヌル骨格を有する熱硬化性化合物を含むことが好ましい。
【0159】
上記イソシアヌル骨格を有する熱硬化性化合物としてはトリイソシアヌレート型エポキシ化合物等が挙げられ、日産化学工業社製TEPICシリーズ(TEPIC−G、TEPIC−S、TEPIC−SS、TEPIC−HP、TEPIC−L、TEPIC−PAS、TEPIC−VL、TEPIC−UC)等が挙げられる。
【0160】
上記導電材料100重量%中、上記熱硬化性化合物の含有量は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上であり、好ましくは99重量%以下、より好ましくは98重量%以下、さらに好ましくは90重量%以下、特に好ましくは80重量%以下である。上記熱硬化性化合物の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置し、電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高めることができ、電極間の導通信頼性をより一層効果的に高めることができる。耐衝撃性をより一層効果的に高める観点からは、上記熱硬化性化合物の含有量は多い方が好ましい。
【0161】
上記導電材料100重量%中、上記エポキシ化合物の含有量は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上であり、好ましくは99重量%以下、より好ましくは98重量%以下、さらに好ましくは90重量%以下、特に好ましくは80重量%以下である。上記エポキシ化合物の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置し、電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高めることができ、電極間の導通信頼性をより一層効果的に高めることができる。耐衝撃性をより一層高める観点からは、上記エポキシ化合物の含有量は多い方が好ましい。
【0162】
上記接着剤100重量%中、上記熱硬化性化合物の含有量は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上であり、好ましくは99重量%以下、より好ましくは98重量%以下、さらに好ましくは90重量%以下、特に好ましくは80重量%以下である。上記熱硬化性化合物の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、接続構造体を得る際に、タクトタイムを効果的に短くすることができ、電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高めることができ、電極間の導通信頼性をより一層効果的に高めることができる。耐衝撃性をより一層効果的に高める観点からは、上記熱硬化性化合物の含有量は多い方が好ましい。
【0163】
上記接着剤100重量%中、上記エポキシ化合物の含有量は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上であり、好ましくは99重量%以下、より好ましくは98重量%以下、さらに好ましくは90重量%以下、特に好ましくは80重量%以下である。上記エポキシ化合物の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、接続構造体を得る際に、タクトタイムを効果的に短くすることができ、電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高めることができ、電極間の導通信頼性をより一層効果的に高めることができる。耐衝撃性をより一層効果的に高める観点からは、上記エポキシ化合物の含有量は多い方が好ましい。
【0164】
(硬化性成分:熱硬化剤)
上記熱硬化剤は特に限定されない。上記熱硬化剤は、上記熱硬化性化合物を熱硬化させる。上記熱硬化剤としては、イミダゾール硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、ポリチオール硬化剤等のチオール硬化剤、酸無水物硬化剤、熱カチオン開始剤(熱カチオン硬化剤)及び熱ラジカル発生剤等が挙げられる。上記熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0165】
上記接着剤中間層又は上記接着剤層を低温でより一層速やかに硬化可能とする観点からは、上記熱硬化剤は、イミダゾール硬化剤、チオール硬化剤、又はアミン硬化剤であることが好ましい。また、上記熱硬化性化合物と上記熱硬化剤とを混合したときの保存安定性を高める観点からは、上記熱硬化剤は、潜在性の硬化剤であることが好ましい。潜在性の硬化剤は、潜在性イミダゾール硬化剤、潜在性チオール硬化剤又は潜在性アミン硬化剤であることが好ましい。なお、上記熱硬化剤は、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂等の高分子物質で被覆されていてもよい。
【0166】
上記イミダゾール硬化剤は特に限定されない。上記イミダゾール硬化剤としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン及び2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ベンジル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−パラトルイル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−メタトルイル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−メタトルイル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−パラトルイル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等における1H−イミダゾールの5位の水素をヒドロキシメチル基で、かつ、2位の水素をフェニル基またはトルイル基で置換したイミダゾール化合物等が挙げられる。
【0167】
上記チオール硬化剤は特に限定されない。上記チオール硬化剤としては、トリメチロールプロパントリス−3−メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート及びジペンタエリスリトールヘキサ−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
【0168】
上記アミン硬化剤は特に限定されない。上記アミン硬化剤としては、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、メタフェニレンジアミン及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
【0169】
上記酸無水物硬化剤は特に限定されず、エポキシ化合物等の熱硬化性化合物の硬化剤として用いられる酸無水物であれば広く用いることができる。上記酸無水物硬化剤としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルブテニルテトラヒドロ無水フタル酸、フタル酸誘導体の無水物、無水マレイン酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、無水グルタル酸、無水コハク酸、グリセリンビス無水トリメリット酸モノアセテート、及びエチレングリコールビス無水トリメリット酸等の2官能の酸無水物硬化剤、無水トリメリット酸等の3官能の酸無水物硬化剤、並びに、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、及びポリアゼライン酸無水物等の4官能以上の酸無水物硬化剤等が挙げられる。
【0170】
上記熱カチオン開始剤は特に限定されない。上記熱カチオン開始剤としては、ヨードニウム系カチオン硬化剤、オキソニウム系カチオン硬化剤及びスルホニウム系カチオン硬化剤等が挙げられる。上記ヨードニウム系カチオン硬化剤としては、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。上記オキソニウム系カチオン硬化剤としては、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボラート等が挙げられる。上記スルホニウム系カチオン硬化剤としては、トリ−p−トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。
【0171】
上記熱ラジカル発生剤は特に限定されない。上記熱ラジカル発生剤としては、アゾ化合物及び有機過酸化物等が挙げられる。上記アゾ化合物としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等が挙げられる。上記有機過酸化物としては、ジ−tert−ブチルペルオキシド及びメチルエチルケトンペルオキシド等が挙げられる。
【0172】
上記熱硬化剤の反応開始温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80℃以上であり、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは150℃以下、特に好ましくは140℃以下である。上記熱硬化剤の反応開始温度が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置される。上記熱硬化剤の反応開始温度は、80℃以上140℃以下であることが特に好ましい。
【0173】
電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置する観点からは、上記熱硬化剤の反応開始温度は、上記はんだ粒子の融点よりも、高いことが好ましく、5℃以上高いことがより好ましく、10℃以上高いことがさらに好ましい。
【0174】
上記熱硬化剤の反応開始温度は、DSCでの発熱ピークの立ち上がり開始の温度を意味する。
【0175】
上記熱硬化剤の含有量は特に限定されない。上記導電材料中に含まれる上記熱硬化性化合物100重量部に対して、上記熱硬化剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは1重量部以上であり、好ましくは200重量部以下、より好ましくは100重量部以下、さらに好ましくは75重量部以下である。上記熱硬化剤の含有量が、上記下限以上であると、導電材料を十分に硬化させることが容易である。熱硬化剤の含有量が、上記上限以下であると、硬化後に硬化に関与しなかった余剰の熱硬化剤が残存し難くなり、かつ硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
【0176】
上記熱硬化剤の含有量は特に限定されない。上記接着剤中に含まれる上記熱硬化性化合物100重量部に対して、上記熱硬化剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは1重量部以上であり、好ましくは200重量部以下、より好ましくは100重量部以下、さらに好ましくは75重量部以下である。上記熱硬化剤の含有量が、上記下限以上であると、接着剤を十分に硬化させることが容易である。熱硬化剤の含有量が、上記上限以下であると、硬化後に硬化に関与しなかった余剰の熱硬化剤が残存し難くなり、かつ硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
【0177】
(硬化性成分:硬化促進剤)
上記導電材料は硬化促進剤を含んでいてもよい。上記硬化促進剤は特に限定されない。上記硬化促進剤は、上記熱硬化性化合物と上記熱硬化剤との反応において硬化触媒として作用することが好ましい。上記硬化促進剤は、上記熱硬化性化合物との反応において硬化触媒として作用することが好ましい。上記硬化促進剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0178】
上記硬化促進剤としては、ホスホニウム塩、三級アミン、三級アミン塩、四級オニウム塩、三級ホスフィン、クラウンエーテル錯体、及びホスホニウムイリド等が挙げられる。具体的には、上記硬化促進剤としては、イミダゾール化合物、イミダゾール化合物のイソシアヌル酸塩、ジシアンジアミド、ジシアンジアミドの誘導体、メラミン化合物、メラミン化合物の誘導体、ジアミノマレオニトリル、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエタノールアミン、ジアミノジフェニルメタン、有機酸ジヒドラジド等のアミン化合物、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、三フッ化ホウ素、並びに、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリブチルホスフィン及びメチルジフェニルホスフィン等の有機リン化合物等が挙げられる。
【0179】
上記ホスホニウム塩は特に限定されない。上記ホスホニウム塩としては、テトラノルマルブチルホスホニウムブロマイド、テトラノルマルブチルホスホニウムO,O−ジエチルジチオリン酸、メチルトリブチルホスホニウムジメチルリン酸塩、テトラノルマルブチルホスホニウムベンゾトリアゾール、テトラノルマルブチルホスホニウムテトラフルオロボレート、及びテトラノルマルブチルホスホニウムテトラフェニルボレート等が挙げられる。
【0180】
上記熱硬化性化合物が良好に硬化するように、上記硬化促進剤の含有量は適宜選択される。上記導電材料中に含まれる上記熱硬化性化合物100重量部に対する上記硬化促進剤の含有量は、好ましくは0.5重量部以上、より好ましくは0.8重量部以上であり、好ましくは10重量部以下、より好ましくは8重量部以下である。上記硬化促進剤の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、上記熱硬化性化合物を良好に硬化させることができる。
【0181】
上記熱硬化性化合物が良好に硬化するように、上記硬化促進剤の含有量は適宜選択される。上記接着剤中に含まれる上記熱硬化性化合物100重量部に対する上記硬化促進剤の含有量は、好ましくは0.5重量部以上、より好ましくは0.8重量部以上であり、好ましくは10重量部以下、より好ましくは8重量部以下である。上記硬化促進剤の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、上記熱硬化性化合物を良好に硬化させることができる。
【0182】
(フラックス)
上記導電材料は、フラックスを含んでいてもよい。フラックスを用いることで、電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置することができる。上記フラックスは特に限定されない。上記フラックスとして、はんだ接合等に一般的に用いられているフラックスを用いることができる。また、上記フラックスは、上記バインダーに含まれていてもよい。
【0183】
上記フラックスとしては、塩化亜鉛、塩化亜鉛と無機ハロゲン化物との混合物、塩化亜鉛と無機酸との混合物、溶融塩、リン酸、リン酸の誘導体、有機ハロゲン化物、ヒドラジン、アミン化合物、有機酸及び松脂等が挙げられる。上記フラックスは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0184】
上記溶融塩としては、塩化アンモニウム等が挙げられる。上記有機酸としては、乳酸、クエン酸、ステアリン酸、グルタミン酸及びグルタル酸等が挙げられる。上記松脂としては、活性化松脂及び非活性化松脂等が挙げられる。上記フラックスは、カルボキシル基を2個以上有する有機酸、又は松脂であることが好ましい。上記フラックスは、カルボキシル基を2個以上有する有機酸であってもよく、松脂であってもよい。カルボキシル基を2個以上有する有機酸、松脂の使用により、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
【0185】
上記カルボキシル基を2個以上有する有機酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、及びセバシン酸等が挙げられる。
【0186】
上記アミン化合物としては、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ベンズヒドリルアミン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、フェニルイミダゾール、カルボキシベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、及びカルボキシベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0187】
上記松脂はアビエチン酸を主成分とするロジン類である。上記ロジン類としては、アビエチン酸、及びアクリル変性ロジン等が挙げられる。フラックスはロジン類であることが好ましく、アビエチン酸であることがより好ましい。この好ましいフラックスの使用により、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
【0188】
上記フラックスの活性温度(融点)は、好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80℃以上であり、好ましくは200℃以下、より好ましくは190℃以下、より一層好ましくは160℃以下、さらに好ましくは150℃以下、更に一層好ましくは140℃以下である。上記フラックスの活性温度が、上記下限以上及び上記上限以下であると、フラックス効果がより一層効果的に発揮され、はんだが電極上により一層効率的に配置される。上記フラックスの活性温度(融点)は80℃以上190℃以下であることが好ましい。上記フラックスの活性温度(融点)は80℃以上140℃以下であることが特に好ましい。
【0189】
フラックスの活性温度(融点)が80℃以上190℃以下である上記フラックスとしては、コハク酸(融点186℃)、グルタル酸(融点96℃)、アジピン酸(融点152℃)、ピメリン酸(融点104℃)、スベリン酸(融点142℃)等のジカルボン酸、安息香酸(融点122℃)、及びリンゴ酸(融点130℃)等が挙げられる。
【0190】
また、上記フラックスの沸点は200℃以下であることが好ましい。
【0191】
電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置する観点からは、上記フラックスの融点は、上記はんだ粒子の融点よりも、高いことが好ましく、5℃以上高いことがより好ましく、10℃以上高いことが更に好ましい。
【0192】
電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置する観点からは、上記フラックスの融点は、上記熱硬化剤の反応開始温度よりも、高いことが好ましく、5℃以上高いことがより好ましく、10℃以上高いことが更に好ましい。
【0193】
上記フラックスは、導電材料中に分散されていてもよく、はんだ粒子の表面上に付着していてもよい。
【0194】
フラックスの融点が、はんだ粒子の融点より高いことにより、電極部分にはんだ粒子を効率的に凝集させることができる。これは、接合時に熱を付与した場合、電子部品本体上に形成された電極と、電極周辺の電子部品本体の部分とを比較すると、電極部分の熱伝導率が電極周辺の電子部品本体部分の熱伝導率よりも高いことにより、電極部分の昇温が速いことに起因する。はんだ粒子の融点を超えた段階では、はんだ粒子の内部は溶解するが、表面に形成された酸化被膜は、フラックスの融点(活性温度)に達していないので、除去されない。この状態で、電極部分の温度が先に、フラックスの融点(活性温度)に達するため、優先的に電極上に移動したはんだ粒子の表面の酸化被膜が除去され、はんだ粒子が電極の表面上に濡れ拡がることができる。これにより、電極上に効率的にはんだ粒子を凝集させることができる。
【0195】
上記フラックスは、加熱によりカチオンを放出するフラックスであることが好ましい。加熱によりカチオンを放出するフラックスの使用により、電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置することができる。
【0196】
上記加熱によりカチオンを放出するフラックスとしては、上記熱カチオン開始剤(熱カチオン硬化剤)が挙げられる。
【0197】
電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置する観点、絶縁信頼性をより一層効果的に高める観点、及び導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記フラックスは、酸化合物と塩基化合物との塩であることが好ましい。
【0198】
上記酸化合物は、カルボキシル基を有する有機化合物であることが好ましい。上記酸化合物としては、脂肪族系カルボン酸であるマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、クエン酸、リンゴ酸、環状脂肪族カルボン酸であるシクロヘキシルカルボン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸、芳香族カルボン酸であるイソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、及びエチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置する観点、絶縁信頼性をより一層効果的に高める観点、及び導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記酸化合物は、グルタル酸、シクロヘキシルカルボン酸、又はアジピン酸であることが好ましい。
【0199】
上記塩基化合物は、アミノ基を有する有機化合物であることが好ましい。上記塩基化合物としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ベンズヒドリルアミン、2−メチルベンジルアミン、3−メチルベンジルアミン、4−tert−ブチルベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン、N−エチルベンジルアミン、N−フェニルベンジルアミン、N−tert−ブチルベンジルアミン、N−イソプロピルベンジルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、イミダゾール化合物、及びトリアゾール化合物が挙げられる。電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置する観点、絶縁信頼性をより一層効果的に高める観点、及び導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記塩基化合物は、ベンジルアミンであることが好ましい。
【0200】
導電材料100重量%中、上記フラックスの含有量は、好ましくは0.5重量%以上であり、好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下である。上記導電材料は、フラックスを含んでいなくてもよい。上記フラックスの含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだ及び電極の表面に酸化被膜がより一層形成され難くなり、更に、はんだ及び電極の表面に形成された酸化被膜をより一層効果的に除去できる。
【0201】
(フィラー)
本発明に係る導電材料は、フィラーを含んでいてもよい。フィラーは、有機フィラーであってもよく、無機フィラーであってもよい。上記導電材料がフィラーを含むことにより、基板の全電極上に対して、はんだ粒子を均一に凝集させることができる。
【0202】
上記導電材料は、上記フィラーを含まないか、又は上記フィラーを5重量%以下で含むことが好ましい。上記熱硬化性化合物を用いている場合には、フィラーの含有量が少ないほど、電極上にはんだ粒子が移動しやすくなる。
【0203】
導電材料100重量%中、上記フィラーの含有量は、好ましくは0重量%(未含有)以上であり、好ましくは5重量%以下、より好ましくは2重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下である。上記フィラーの含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだ粒子が電極上により一層均一に配置される。
【0204】
(スペーサ)
上記導電材料はスペーサを含んでいてもよい。上記導電材料中にスペーサが含まれることで、熱圧着工程において多量のはんだが電極間から押し出されることを防ぎ、得られた接続構造体において、接続されてはならない横方向の電極間の絶縁信頼性を高めることができる。上記スペーサは特に限定されない。上記スペーサとしては、無機粒子及び有機粒子等が挙げられる。上記スペーサは絶縁性粒子であることが好ましい。上記スペーサの粒子径は、第1の電子部品におけるはんだ部の高さにより適宜設定すればよく、はんだ部の高さに合わせた粒子径のスペーサを用いることで、はんだの配置精度を高めつつ、絶縁信頼性を高めることができる。なお、第1の電子部品におけるはんだ部の高さ(バンプ高さ)はレーザー顕微鏡等により測定することができる。電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記スペーサの粒子径は、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上であり、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下である。
【0205】
上記スペーサの粒子径は、平均粒子径であることが好ましく、数平均粒子径であることがより好ましい。スペーサの粒子径は、例えば、任意のスペーサ50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、各スペーサの粒子径の平均値を算出することや、レーザー回折式粒度分布測定を行うことにより求められる。電子顕微鏡又は光学顕微鏡での観察では、1個当たりのスペーサの粒子径は、円相当径での粒子径として求められる。電子顕微鏡又は光学顕微鏡での観察において、任意の50個のスペーサの円相当径での平均粒子径は、球相当径での平均粒子径とほぼ等しくなる。レーザー回折式粒度分布測定では、1個当たりのスペーサの粒子径は、球相当径での粒子径として求められる。上記スペーサの平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定により算出することが好ましい。
【0206】
(他の成分)
上記導電材料は、必要に応じて、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、チキソ剤、レベリング剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
【0207】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0208】
硬化性成分(熱硬化性化合物):
熱硬化性化合物1:ビスフェノールA型エポキシ化合物、三菱化学社製「YL980」
【0209】
硬化性成分(熱硬化剤):
熱硬化剤1:メチルブテニルテトラヒドロ無水フタル酸、三菱化学社製「YH306」
【0210】
硬化性成分(硬化促進剤):
硬化促進剤1:変性アミン化合物、T&K TOKA社製「F−7000」
硬化促進剤2:2−エチル―4メチルイミダゾールが1,1,2,2−テトラキス−(4−ヒドロキシフェニル)エタンにより包接された化合物、日本曹達社製「TEP−2E4MZ」
【0211】
フラックス:
フラックス1:グルタル酸、富士フィルム和光純薬工業社製「グルタル酸」
【0212】
はんだ粒子:
はんだ粒子1:SnBiはんだ粒子、三井金属社製「DS−10」、粒子径13μm
【0213】
スペーサ:
スペーサ1:ミクロパール、積水化学工業社製「AU−205」、粒子径5μm
スペーサ2:ミクロパール、積水化学工業社製「AU−210」、粒子径10μm
【0214】
(実施例1)
(1)導電材料(異方性導電ペースト)の作製
下記の表1に示す成分を下記の表1に示す配合量で配合して、導電材料(異方性導電ペースト)を得た。
【0215】
(2)電子部品の作製
L/S=200μm/200μmの銅電極パターン(第1の電極)を上面に有するフレキシブル基板(第1の電子部品本体)を用意した。
【0216】
上記フレキシブル基板の上面に、作製直後の導電材料(異方性導電ペースト)を厚さ20μmとなるように配置した。次に、導電材料(異方性導電ペースト)を140℃及び30秒間の条件で加熱し、上記第1の電極に面接触した状態のはんだ部を形成し、かつ、上記導電材料に含まれる接着剤により接着剤層を形成して、上記はんだ部の外表面が上記接着剤層により覆われている電子部品を得た。
【0217】
(3)接続構造体の作製
L/S=200μm/200μmの銅電極パターン(第2の電極)を下面に有する半導体チップ(第2の電子部品本体)を用意した。
【0218】
得られた電子部品における上記接着剤層の上記フレキシブル基板側とは反対側の表面上に、半導体チップを第2の電極側から電極同士が対向するように配置して、160℃及び0.5MPaの条件で加熱及び加圧することで、上記フレキシブル基板と上記半導体チップとを上記接着剤層により接着し、接続構造体を得た。
【0219】
(実施例2)
導電材料(異方性導電ペースト)の作製の際に、下記の表1に示す成分を下記の表1に示す配合量で配合したこと以外は、実施例1と同様にして、電子部品及び接続構造体を得た。
【0220】
(実施例3)
導電材料(異方性導電ペースト)の作製の際に、下記の表1に示す成分を下記の表1に示す配合量で配合したこと以外は、実施例1と同様にして、電子部品及び接続構造体を得た。
【0221】
(比較例1)
(1)導電材料(異方性導電ペースト)の作製
下記の表1に示す成分を下記の表1に示す配合量で配合して、導電材料(異方性導電ペースト)を得た。
【0222】
(2)接続構造体の作製
L/S=200μm/200μmの銅電極パターン(第1の電極)を上面に有するフレキシブル基板(第1の電子部品本体)を用意した。また、L/S=200μm/200μmの銅電極パターン(第2の電極)を下面に有する半導体チップ(第2の電子部品本体)を用意した。
【0223】
上記フレキシブル基板の上面に、作製直後の導電材料(異方性導電ペースト)を厚さ20μmとなるように配置し、導電材料(異方性導電ペースト)層を形成した。次に、導電材料(異方性導電ペースト)層の上記フレキシブル基板側とは反対側の表面上に、半導体チップを第2の電極側から電極同士が対向するように配置して、160℃及び0.5MPaの条件で加熱及び加圧することで、導電材料(異方性導電ペースト)を硬化させ、接続構造体を得た。
【0224】
(評価)
(1)はんだ部の高さ(バンプ高さ)
得られた電子部品のはんだ部の高さ(バンプ高さ)を、レーザー顕微鏡(キーエンス社製「VK−X200」)を用いて測定した。
【0225】
(2)タクトタイム
得られた導電材料を用いて、タクトタイム(硬化性成分(接着剤層)の硬化が完了するまでの時間)を測定した。具体的には、接続構造体の作製に用いた導電材料(異方性導電ペースト)を用意し、接続構造体を作製する場合と同様の条件で加熱した評価用サンプルを作製した。その後、上記評価用サンプルを示差走査熱量測定(DSC)で測定し、発熱ピークが無いことを確認し、評価用サンプルを作製するために加熱した時間をタクトタイムとした。示差走査熱量測定(DSC)装置は、SII社製「EXSTAR DSC7020」を用いた。
【0226】
(3)電極間の絶縁信頼性
得られた接続構造体において、85℃及び湿度85%の雰囲気中に100時間放置後、隣接する電極間に、5Vを印加し、接続抵抗値を100箇所で測定した。絶縁信頼性を以下の基準で判定した。
【0227】
[絶縁信頼性の判定基準]
○○:100箇所中、接続抵抗値が10
5Ω以上である箇所が、99箇所以上
○:100箇所中、接続抵抗値が10
5Ω以上である箇所が、95箇所以上99箇所未満
×:100箇所中、接続抵抗値が10
5Ω以上である箇所が、95箇所未満