(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2019145810
(43)【公開日】20190829
(54)【発明の名称】レーザドーピング装置及びレーザドーピング方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/228 20060101AFI20190802BHJP
   H01L 21/22 20060101ALI20190802BHJP
   H01L 21/268 20060101ALI20190802BHJP
【FI】
   !H01L21/228
   !H01L21/22 E
   !H01L21/268 J
   !H01L21/268 T
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【全頁数】42
(21)【出願番号】2019069773
(22)【出願日】20190401
(62)【分割の表示】2017507186の分割
【原出願日】20150323
(71)【出願人】
【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
【住所又は居所】福岡県福岡市西区元岡744
(71)【出願人】
【識別番号】300073919
【氏名又は名称】ギガフォトン株式会社
【住所又は居所】栃木県小山市大字横倉新田400番地
(74)【代理人】
【識別番号】100105212
【弁理士】
【氏名又は名称】保坂 延寿
(72)【発明者】
【氏名】大久保 智幸
【住所又は居所】福岡県福岡市東区箱崎六丁目10番1号 国立大学法人九州大学内
(72)【発明者】
【氏名】池上 浩
【住所又は居所】福岡県福岡市東区箱崎六丁目10番1号 国立大学法人九州大学内
(72)【発明者】
【氏名】池田 晃裕
【住所又は居所】福岡県福岡市東区箱崎六丁目10番1号 国立大学法人九州大学内
(72)【発明者】
【氏名】浅野 種正
【住所又は居所】福岡県福岡市東区箱崎六丁目10番1号 国立大学法人九州大学内
(72)【発明者】
【氏名】若林 理
【住所又は居所】栃木県小山市大字横倉新田400番地 ギガフォトン株式会社内
(57)【要約】      (修正有)
【課題】SiC、ダイヤモンド、GaN等のようなパワーデバイスに使用される半導体材料に電気的特性の低下を抑制し、充分なドーピング深さを達成する。
【解決手段】半導体材料の所定領域にパルスレーザ光を照射してドーピングを行うレーザドーピング装置において、所定領域に、ドーパントを含む溶液を供給する溶液供給システム46と、ドーパントを含む溶液を透過するパルスレーザ光を出力する少なくとも1つのレーザ装置2と、パルスレーザ光のパルス時間波形を調節するパルス時間波形調節装置と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体材料の所定領域にパルスレーザ光を照射してドーピングを行うレーザドーピング装置において、
前記所定領域に、ドーパントを含む溶液を供給する溶液供給システムと、
前記ドーパントを含む溶液を透過するパルスレーザ光を出力する少なくとも1つのレーザ装置と、前記パルスレーザ光のパルス時間波形を調節するパルス時間波形調節装置と、を含むレーザシステムと、
を備えるレーザドーピング装置。
【請求項2】
前記溶液供給システムは、前記所定領域に沿って前記ドーパントを含む溶液の流れを形成するためのポンプを含む、請求項1記載のレーザドーピング装置。
【請求項3】
前記パルス時間波形調節装置は、光学パルスストレッチャーを含む、請求項1記載のレーザドーピング装置。
【請求項4】
前記レーザシステムは、複数のレーザ装置を含み、
前記パルス時間波形調節装置は、前記複数のレーザ装置から出力されるそれぞれのパルスレーザ光のタイミングを調節する遅延回路を含み、
前記複数のレーザ装置から出力されたそれぞれのパルスレーザ光を重ね合わせて、前記半導体材料の所定領域に照射する光学系をさらに備える、
請求項1記載のレーザドーピング装置。
【請求項5】
前記複数のレーザ装置が互いに異なるパルス時間波形を有する前記パルスレーザ光をそれぞれ出力するように、前記複数のレーザ装置を制御する制御部
をさらに備える、請求項4記載のレーザドーピング装置。
【請求項6】
前記半導体材料は、SiC、ダイヤモンド、GaNのいずれかである、請求項1記載のレーザドーピング装置。
【請求項7】
前記レーザシステムから出力されるパルスレーザ光の時間波形の時刻tにおける光強度をI(t)としたとき、ΔTTIS=[∫I(t)dt]/∫I(t)dtで定義されるパルス幅は、80ns以上である、請求項1記載のレーザドーピング装置。
【請求項8】
前記ドーパントを含む溶液は、塩化アルミニウム水溶液である、請求項1記載のレーザドーピング装置。
【請求項9】
前記ドーパントを含む溶液は、ホウ酸水溶液である、請求項1記載のレーザドーピング装置。
【請求項10】
前記パルスレーザ光の波長は、248nm以上、308nm以下である、請求項1記載のレーザドーピング装置。
【請求項11】
半導体材料の所定領域にパルスレーザ光を照射してドーピングを行うレーザドーピング装置において、
前記所定領域に、ホウ素を含む溶液を供給する溶液供給システムと、
前記ホウ素を含む溶液を透過するパルスレーザ光を出力する少なくとも1つのレーザ装置と、
を備えるレーザドーピング装置。
【請求項12】
前記ホウ素を含む溶液は、ホウ酸水溶液であり、
前記パルスレーザ光の波長は、248nm以上、308nm以下である、請求項11記載のレーザドーピング装置。
【請求項13】
半導体材料の所定領域にパルスレーザ光を照射してドーピングを行うレーザドーピング方法において、
前記所定領域に、ドーパントを含む溶液を供給することと、
前記ドーパントを含む溶液を透過する前記パルスレーザ光を出力することと、
前記パルスレーザ光のパルス時間波形を調節することと、
を備えるレーザドーピング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザドーピング装置及びレーザドーピング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンカーバイド(SiC)は次世代パワーデバイス材料として、開発が進められている。SiCは、半導体材料として従来使用されているシリコン(Si)と比較して、大きいバンドギャップ、高い絶縁破壊電界(Siのおよそ10倍)、優れた熱伝導率などを有し、また熱化学的に安定していることが特徴となっている。
【0003】
SiCを用いてトランジスタを構成するためには、SiCに不純物をドーピングすることが必要であり得る。Siに不純物をドーピングする場合には、不純物のイオンビームをSiに照射し、高温により活性化することが従来行われている。しかし、このような従来の方法でSiCに不純物をドーピングしようとすると、SiCに熱ダメージが加わり、欠陥が形成され、電気特性が低下する場合があった。
【0004】
下記の非特許文献1〜5においては、ドーパントを含む溶液中でSiCにパルスレーザ光を照射することによる不純物のドーピングが検討されている。しかし、これらの非特許文献1〜5においては、以下のように、十分なドーピング深さが得られない場合があった。
(1)n型ドーパントについては、窒素(N)のドーピング深さが100〜200nmを達成できた例が報告されているが、リン(P)のドーピング深さは、約30nmしか達成できていない。
(2)p型ドーパントについては、アルミニウム(Al)のドーピング深さが約40nmを達成した例が報告されているが、それ以上のドーピング深さを達成できた例は報告されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Akihiro Ikeda, Koji Nishi, Hiroshi Ikenoue, Tanemasa Asano, Phosphorus doping of 4H SiC by liquid immersion excimer laser irradiation, APPLIED PHYSICS LETTERS 102, 052104 (2013)
【非特許文献2】Koji Nishi, Akihiro Ikeda, Hiroshi Ikenoue, and Tanemasa Asano, Phosphorus doping into 4H-SiC by Irradiation of Excimer Laser in Phosphoric Solution, Japanese Journal of Applied Physics 52 (2013)
【非特許文献3】Daichi Marui, Akihiro Ikeda, Koji Nishi, Hiroshi Ikenoue, Tanemasa Asano, Aluminum doping of 4H-SiC by irradiation of excimer laser in aluminum chloride solution, Japanese Journal of Applied Physics 53(2014)
【非特許文献4】Akihiro Ikeda, Daichi Marui, Hiroshi Ikenoue, Tanemasa Asano, Nitrogen doping of 4H-SiC by KrF excimer laser irradiation in liquid nitrogen, Japanese Journal of Applied Physics 54(2015)
【非特許文献5】井上祐樹,池上浩,池田晃裕,中村大輔,岡田龍雄,浅野種正,薬液中レーザー照射による4H-SiCのn形化と不純物の拡散特性,第61回応用物理学会春季学術講演会(2014)
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4387091号公報
【特許文献2】特許第4409231号公報
【特許文献3】特表2010−525554号公報
【特許文献4】国際公開第2014/156818号
【概要】
【0007】
本開示の1つの観点に係るレーザドーピング装置は、半導体材料の所定領域にパルスレーザ光を照射してドーピングを行うレーザドーピング装置において、所定領域に、ドーパントを含む溶液を供給する溶液供給システムと、ドーパントを含む溶液を透過するパルスレーザ光を出力する少なくとも1つのレーザ装置と、パルスレーザ光のパルス時間波形を調節するパルス時間波形調節装置と、を含むレーザシステムと、を備えてもよい。
【0008】
本開示の他の1つの観点に係るレーザドーピング装置は、半導体材料の所定領域にパルスレーザ光を照射してドーピングを行うレーザドーピング装置において、所定領域に、ホウ素を含む溶液を供給する溶液供給システムと、ホウ素を含む溶液を透過するパルスレーザ光を出力する少なくとも1つのレーザ装置と、を備えてもよい。
【0009】
本開示の他の1つの観点に係るレーザドーピング方法は、半導体材料の所定領域にパルスレーザ光を照射してドーピングを行うレーザドーピング方法において、所定領域に、ドーパントを含む溶液を供給することと、ドーパントを含む溶液を透過するパルスレーザ光を出力することと、パルスレーザ光のパルス時間波形を調節することと、を備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して以下に説明する。
【図1】図1は、比較例に係るレーザドーピング装置の構成を概略的に示す。
【図2】図2は、本開示の第1の実施形態に係るレーザドーピング装置の構成を概略的に示す。
【図3A】図3Aは、図2に示される光学パルスストレッチャーの構成を示す。
【図3B】図3Bは、光学パルスストレッチャーを用いない場合と、光学パルスストレッチャーを用いた場合のパルスレーザ光のパルス時間波形を示すグラフである。
【図4A】図4Aは、4H−SiCにドーピングされたアルミニウムの濃度とドーピング深さの関係を示すグラフである。
【図4B】図4Bは、n型4H−SiC基板の一部に、アルミニウムをドーピングしてp型層を形成した場合のダイオード特性を示すグラフである。
【図5】図5は、本開示の第2の実施形態に係るレーザドーピング装置の構成を概略的に示す。
【図6A】図6Aは、図5に示される光学パルスストレッチャーの構成を示す。
【図6B】図6Bは、ビームスプリッタを図6Aと異なる位置に移動させ、且つ、凹面ミラーの姿勢が図6Aと異なる状態を示す。
【図6C】図6Cは、凹面ミラーの姿勢が図6Bと異なる状態を示す。
【図6D】図6Dは、ビームスプリッタ、ホルダ、アーム、移動テーブル及び1軸ステージを、ビームスプリッタの反射面に垂直な方向から見た図である。
【図6E】図6Eは、ビームスプリッタを図6Dと異なる位置に移動させた状態を示す。
【図7】図7は、図5に示されるドーピング制御部によるドーピング制御の処理を示すフローチャートである。
【図8A】図8Aは、図7に示されるパルス時間波形生成パラメータを読み込む処理の詳細を示すフローチャートである。
【図8B】図8Bは、図7に示されるパルス時間波形生成パラメータに設定する処理の詳細を示すフローチャートである。
【図8C】図8Cは、図7に示される目標パルスエネルギーを設定する処理の詳細を示すフローチャートである。
【図9】図9は、図5に示されるドーピング制御部によるドーピング制御の処理の変形例を示すフローチャートである。
【図10A】図10Aは、図9に示される照射条件パラメータを読み込む処理の詳細を示すフローチャートである。
【図10B】図10Bは、図9に示されるパルス時間波形生成パラメータに設定する処理の詳細を示すフローチャートである。
【図10C】図10Cは、図9に示される目標パルスエネルギーを設定する処理の詳細を示すフローチャートである。
【図11】図11は、図9及び図10A〜図10Cに示される変形例において作製可能な半導体の深さ方向に対するドーパント濃度分布の例を示す。
【図12】図12は、本開示の第3の実施形態に係るレーザドーピング装置の構成を概略的に示す
【図13】図13は、図12に示されるドーピング制御部によるドーピング制御の処理を示すフローチャートである。
【図14A】図14Aは、図13に示される照射条件パラメータを読み込む処理の詳細を示すフローチャートである。
【図14B】図14Bは、図13に示される可変スリット42aを制御する処理の詳細を示すフローチャートである。
【図15A】図15Aは、第3の実施形態において作製可能な半導体素子を模式的に示す。
【図15B】図15Bは、図15Aに示されるXVB−XVB線における断面図である。
【図16A】図16Aは、本開示の第4の実施形態に係るレーザドーピング装置において用いられる光学パルスストレッチャーの構成を示す。
【図16B】図16Bは、図16Aに示される光学パルスストレッチャーにおいて用いられる複数のビームスプリッタを、これらのビームスプリッタの反射面に垂直な方向から見た図である。
【図17】図17は、本開示の第5の実施形態に係るレーザドーピング装置の構成を概略的に示す。
【図18】図18は、図17に示されるレーザドーピング装置におけるトリガ信号とパルスレーザ光のタイミングチャートを示す。
【図19】図19は、図17に示されるドーピング制御部によるドーピング制御の処理を示すフローチャートである。
【図20A】図20Aは、図19に示される照射条件パラメータを読み込む処理の詳細を示すフローチャートである。
【図20B】図20Bは、図19に示されるパルス時間波形生成パラメータに設定する処理の詳細を示すフローチャートである。
【図21】図21は、本開示の第6の実施形態に係るレーザドーピング装置において、ドーパントを含む溶液としてホウ素を含む溶液を用いた場合に、4H−SiCにドーピングされたホウ素の濃度とドーピング深さとの関係を示すグラフである。
【図22】図22は、上述のレーザ装置の具体的構成を示す。
【図23】図23は、図22に示されるレーザチャンバの内部構成と、パルスパワーモジュールの構成とを示す。
【図24】図24は、上述のビームホモジナイザ41に含まれるフライアイレンズ41aの例を示す斜視図である。
【図25】図25は、上述のビームホモジナイザ41に含まれるフライアイレンズの変形例を示す斜視図である。
【図26】図26は、制御部の概略構成を示すブロック図である。
【実施形態】
【0011】
<内容>
1.概要
2.比較例に係るレーザドーピング装置
2.1 レーザドーピング装置の構成
2.2 レーザドーピング装置の動作
2.3 課題
3.光学パルスストレッチャーを含むレーザドーピング装置(第1の実施形態)
3.1 構成
3.2 動作
3.3 光学パルスストレッチャーの詳細
3.4 第1の実施形態の作用
4.パルス時間波形を可変するレーザドーピング装置(第2の実施形態)
4.1 構成
4.2 光学パルスストレッチャーの詳細
4.3 ドーピング制御部の処理
4.3.1 メインフロー
4.3.2 S110の詳細
4.3.3 S140の詳細
4.3.4 S170の詳細
4.4 ドーピング制御部の処理の変形例
4.4.1 メインフロー
4.4.2 S110aの詳細
4.4.3 S140aの詳細
4.4.4 S170aの詳細
5.照射領域の形状及び大きさを可変するレーザドーピング装置(第3の実施形態)
5.1 構成
5.2 ドーピング制御部の処理
5.2.1 メインフロー
5.2.2 S110bの詳細
5.2.3 S180の詳細
6.ビームスプリッタのバリエーション(第4の実施形態)
7.複数のレーザ部を含むレーザドーピング装置(第5の実施形態)
7.1 構成及び動作
7.2 ドーピング制御部の処理
7.2.1 メインフロー
7.2.2 S110cの詳細
7.2.3 S140cの詳細
7.3 作用
8.ホウ素を含む溶液を用いたレーザドーピング装置(第6の実施形態)
9.その他
9.1 レーザ装置の詳細
9.2 フライアイレンズの構成
9.3 制御部の構成
【0012】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。以下に説明される実施形態は、本開示のいくつかの例を示すものであって、本開示の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成及び動作の全てが本開示の構成及び動作として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0013】
1.概要
本開示は、ドーパントを含む溶液中で紫外領域のパルスレーザ光を半導体材料に照射することによって、半導体材料へのドーピングを行うレーザドーピング装置又はレーザドーピング方法に関する。
【0014】
2.比較例に係るレーザドーピング装置
2.1 レーザドーピング装置の構成
図1は、比較例に係るレーザドーピング装置の構成を概略的に示す。レーザドーピング装置は、レーザシステム3と、ドーピング装置4とを備えていてもよい。
【0015】
レーザシステム3は、レーザ装置2と、アッテネータ18とを含んでもよい。レーザ装置2は、紫外領域のパルスレーザ光を出力するエキシマレーザ装置であってもよい。パルスレーザ光の波長は、ドーピング装置4において用いられるドーパントを含む溶液を高い透過率で透過する波長であって、被照射物となる半導体材料の損傷が少ない波長であることが望ましい。例えば、レーザ装置2は、KrFまたはXeClをレーザ媒質とするレーザ装置であってもよい。出力されるパルスレーザ光のパルス幅は約50nsであってもよい。KrFエキシマレーザ装置の場合、パルスレーザ光の波長は約248.4nmでもよい。XeClエキシマレーザ装置の場合、パルスレーザ光の波長は約308nmでもよい。
【0016】
アッテネータ18は、レーザ装置2から出力されるパルスレーザ光の光路に配置され、2枚の部分反射ミラー18a及び18bと、これらの部分反射ミラーの回転ステージ18c及び18dと、を含んでいてもよい。2枚の部分反射ミラー18a及び18bは、パルスレーザ光の入射角度によって、透過率が変化する光学素子であってもよい。
【0017】
ドーピング装置4は、スリット42と、高反射ミラー43aと、転写光学系43dと、テーブル43fと、XYZステージ43gと、容器43hと、溶液供給システム46と、モニタ装置44と、を含んでいてもよい。スリット42は、アッテネータ18を通過したパルスレーザ光の光路に配置されていてもよい。スリット42は、互いに略直交する2軸を有するスリットであってもよい。スリット42は、パルスレーザ光のビーム断面のうちの光強度分布が均一な領域が通過するように配置されていてもよい。
【0018】
高反射ミラー43aは、レーザ装置2から出力された紫外領域のパルスレーザ光を高い反射率で反射し、可視光を透過させるダイクロイックミラーであってもよい。高反射ミラー43aは、スリット42を通過したパルスレーザ光を反射して転写光学系43dに入射させるように配置されていてもよい。転写光学系43dは、1つ又は複数の凸レンズを含む光学系でもよいし、1つ又は複数の凸レンズと1つ又は複数の凹レンズとを含む光学系であってもよい。また、転写光学系43dは、可視光と紫外領域の光の波長に対して、色収差補正をしたレンズであってもよい。たとえば、転写光学系43dは合成石英とフッ化カルシウムの材料で構成された複数のレンズを含んでいてもよい。
【0019】
テーブル43fは、容器43hを支持していてもよい。容器43hは、ドーパントを含む溶液を内部に溜めることができるように構成されてもよい。この溶液は、例えば、ドーパントとしてアルミニウムを含む塩化アルミニウム水溶液、ドーパントとして窒素を含むアンモニア水溶液、ドーパントとしてリンを含むリン酸水溶液、あるいはその他のドーパントを含む溶液であってもよい。
【0020】
被照射物43eは、SiC、ダイヤモンド、GaN等のようなパワーデバイスに使用される半導体材料であってもよい。SiCの結晶構造は特に限定されないが、例えば、被照射物43eは4H−SiCであってもよい。4H−SiCは、4層で1周期となる六方晶構造を有するSiCであってもよい。被照射物43eは、容器43hに溜められた溶液に浸るように、容器43hの底に収容されてもよい。被照射物43eに対するパルスレーザ光の照射領域の表面は、容器43hに溜められた溶液の液面と略平行でもよい。少なくとも、被照射物43eのパルスレーザ光が照射される領域が、容器43hに溜められた溶液の液面より下方に位置してもよい。
【0021】
溶液供給システム46は、ポンプ46aと、溶液供給配管46bと、プレート46cと、ウインドウ46dと、溶液排出配管46eと、を含んでいてもよい。ポンプ46aの出力は、プレート46cに固定された溶液供給配管46bに接続されてもよい。溶液供給配管46bは、被照射物43eのパルスレーザ光が照射される領域に沿って溶液が流れるように、液面に対して傾斜した状態でプレート46cに固定されていてもよい。溶液供給配管46bは、溶液供給配管46bの出口が被照射物43eのパルスレーザ光が照射される領域に向けられていてもよい。プレート46cには、さらに、溶液の一部を排出する溶液排出配管46eが固定されていてもよい。溶液排出配管46eを介して排出された溶液は、必要に応じて精製された後、図示しないタンクに貯蔵されてもよい。このタンクは、ポンプ46aの入力に接続されてもよい。
XYZステージ43gは、テーブル43fを支持していてもよい。XYZステージ43gは、テーブル43fの位置を調整することにより、容器43hに収容された被照射物43eの位置を調整可能であってもよい。
【0022】
ウインドウ46dは、プレート46cに固定され、被照射物43eを照射するパルスレーザ光の光路に配置されていてもよい。ウインドウ46dの材料は、エキシマレーザ光を透過する合成石英であってもよい。ウインドウ46dの下面は溶液に接してもよい。ウインドウ46dの上面は溶液の液面より上に位置してもよい。あるいは、ウインドウ46dの周囲をプレート46cが囲って、このプレート46cの上面が溶液の液面より上に位置することにより、ウインドウ46dの上面に溶液が流れ込まないようになっていてもよい。
【0023】
モニタ装置44は、ビームスプリッタ44aと、照明装置44bと、2次元センサ44cと、を含んでいてもよい。ビームスプリッタ44aは、可視光を約50%透過させ、約50%反射させるハーフミラーであってもよい。照明装置44bは、可視光を発光するランプでもよい。
【0024】
転写光学系43dは、紫外領域の光によるスリット42の転写像が、ウインドウ46dとドーパントを含む溶液とを介して、第1の所定位置に結像されるように構成されていてもよい。転写光学系43dは、第1の所定位置に被照射物43eの表面の位置が略一致する場合に、可視光による被照射物43eの表面の転写像が、高反射ミラー43a及びビームスプリッタ44aを介して、第2の所定位置に結像されるように構成されていてもよい。第2の所定位置に2次元センサ44cの受光面の位置が略一致するように、2次元センサ44cが配置されていてもよい。
【0025】
2.2 レーザドーピング装置の動作
アッテネータ18に含まれる2枚の部分反射ミラー18a及び18bは、パルスレーザ光の入射角度が互いに略等しくなるように、且つパルスレーザ光の透過率が所望の透過率となるように、回転ステージ18c及び18dによって姿勢を制御されてもよい。これにより、レーザ装置2から出力されたパルスレーザ光は、所望のパルスエネルギーに減光されてアッテネータ18を通過し得る。
【0026】
アッテネータ18を通過したパルスレーザ光は、直交する2軸のスリット42を通過し、高反射ミラー43aを経由して、転写光学系43dに入射してもよい。
一方、照明装置44bから出力された可視光の少なくとも一部は、ビームスプリッタ44aによって反射され、高反射ミラー43aを透過して、転写光学系43d、ウインドウ46d及びドーパントを含む溶液を介して、被照射物43eの表面を照明してもよい。
【0027】
転写光学系43dが、可視光による被照射物43eの表面の転写像を、2次元センサ44cの受光面の位置に結像するように、XYZステージ43gが、テーブル43fの位置を調整してもよい。このような調整がなされた場合には、転写光学系43dは、紫外領域の光によるスリット42の転写像を、被照射物43eの表面に結像し得る。すなわち、パルスレーザ光がウインドウ46dとドーパントを含む溶液とを透過し、被照射物43eの表面に照射され得る。その結果、スリット42の像が転写された領域で、ドーパントが、被照射物43eの表面から深さ方向に拡散し得る。
【0028】
上述のように、ウインドウ46dの下面は溶液に接しており、ウインドウ46dの上面は溶液に接していなくてもよい。これにより、溶液供給システム46が生じさせる溶液の流れによって液面が揺れて、転写光学系43dによる転写像がゆがんだり転写位置が変化したりすることが、抑制され得る。
また、ポンプ46aは、容器43hの内部で溶液の流れが形成されるように、流量を制御されてもよい。パルスレーザ光のエネルギーによって溶液中に気泡が生じた場合でも、溶液の流れにより、パルスレーザ光の照射領域から気泡を除去し得る。これにより、転写光学系43dの結像性能が気泡により低下することが抑制され得る。
【0029】
2.3 課題
SiCを用いてパワーデバイスを構成する場合、不純物のドーピング深さは100nm以上が望ましい。しかしながら、SiCにp型ドーパントを100nm以上の深さにまで拡散させることは困難であり得た。
【0030】
以下に説明される実施形態においては、この課題を解決するために、レーザ装置から出力されるパルスレーザ光の光路に、光学パルスストレッチャーなどのパルス時間波形調節装置を配置してもよい。パルス時間波形調節装置により、例えばパルス時間幅の長いパルスレーザ光を生成し、溶液中の被照射物43eの表面に照射してもよい。
【0031】
3.光学パルスストレッチャーを含むレーザドーピング装置(第1の実施形態)
3.1 構成
図2は、本開示の第1の実施形態に係るレーザドーピング装置の構成を概略的に示す。第1の実施形態に係るレーザドーピング装置において、レーザシステム3aは、図1を参照しながら説明したレーザシステムの構成に加えて、光学パルスストレッチャー16と、パルス時間波形計測部19と、レーザシステム制御部31と、を備えていてもよい。また、第1の実施形態に係るレーザドーピング装置において、ドーピング装置4aは、図1を参照しながら説明したドーピング装置の構成に加えて、ドーピング制御部45を備えていてもよい。
【0032】
光学パルスストレッチャー16は、レーザ装置2とアッテネータ18との間のパルスレーザ光の光路に配置されてもよい。光学パルスストレッチャー16は、ビームスプリッタと、遅延光学系と、を含んでもよい。光学パルスストレッチャー16は、本開示におけるパルス時間波形調節装置に相当し得る。
【0033】
パルス時間波形計測部19は、アッテネータ18とドーピング装置4aとの間のパルスレーザ光の光路に配置されてもよい。パルス時間波形計測部19は、ビームスプリッタ19aと、集光光学系19bと、光センサ19cとを含んでもよい。ビームスプリッタ19aは、アッテネータ18を通過したパルスレーザ光を高い透過率で透過させるとともに、パルスレーザ光の一部を集光光学系19bに向けて反射してもよい。集光光学系19bは、ビームスプリッタ19aによって反射された光を光センサ19cの感光面に集光してもよい。光センサ19cは、高速のフォトダイオード又はバイプラナ管であってもよい。
【0034】
3.2 動作
ドーピング制御部45は、モニタ装置44の2次元センサ44cから画像データを受信し、この画像データのコントラストが大きくなるように、XYZステージ43gを制御してもよい。画像データのコントラストが最大となるようにXYZステージ43gが制御されたとき、被照射物43eの表面の像が転写光学系43dによって2次元センサ44cの受光面に転写されていてもよい。このようにXYZステージ43gが制御されたとき、スリット42の像が転写光学系43dによって被照射物43eの表面に転写され得る。
ドーピング制御部45は、被照射物43eにおけるパルスレーザ光のフルーエンスが所定の値となるように、アッテネータ18を通過したパルスレーザ光の目標パルスエネルギーEtのデータをレーザシステム制御部31に送信してもよい。
【0035】
レーザシステム制御部31は、レーザ装置2に、レーザ装置2から出力されるパルスレーザ光の目標パルスエネルギーEL1を送信してもよい。次に、レーザシステム制御部31は、アッテネータ18を通過したパルスレーザ光の目標パルスエネルギーEtが以下の式で得られる値となるように、アッテネータ18の透過率T2を制御する信号を送信してもよい。
Et=T1・T2・EL1
ここで、T1は光学パルスストレッチャー16の透過率であってもよい。
【0036】
ドーピング制御部45は、被照射物43eに対するパルスレーザ光の照射領域とウインドウ46dとの間を溶液が流れるように、ポンプ46aを駆動してもよい。
ドーピング制御部45は、レーザシステム制御部31を介して、レーザ装置2に発光トリガ信号を送信してもよい。レーザ装置2に発光トリガ信号が入力されると、レーザ装置2から目標パルスエネルギーEL1付近のパルスエネルギーを有するパルスレーザ光が出力され得る。この出力されたパルスレーザ光は、光学パルスストレッチャー16に入射し、パルスストレッチされ得る。
【0037】
パルスストレッチされたパルスレーザ光は、アッテネータ18によって目標パルスエネルギーEt付近のパルスエネルギーとなるように減光されてもよい。その後、パルスレーザ光は、パルス時間波形計測部19のビームスプリッタ19aによって、一部反射され、集光光学系19bを介して、光センサ19cに入射し得る。
【0038】
レーザシステム制御部31は、光センサ19cからの信号を受信して、パルスレーザ光のパルス時間波形を計測してもよい。また、このパルス時間波形を積分して、パルスエネルギーを計算して、目標パルスエネルギーEt付近のパルスエネルギーとなっているか確認してもよい。また、計測されたパルス時間波形のデータは、ドーピング制御部45に送信されてもよい。
【0039】
パルス時間波形計測部19を通過したパルスレーザ光は、ドーピング装置4aのスリット42に入射し得る。スリット42を通過したパルスレーザ光は、高反射ミラー43aによって反射され、転写光学系43dと、ウインドウ46dと、溶液とを介して被照射物43eに入射してもよい。これにより、溶液中のドーパントが、被照射物43eの照射領域にドーピングされ得る。
【0040】
3.3 光学パルスストレッチャーの詳細
図3Aは、図2に示される光学パルスストレッチャーの構成を示す。光学パルスストレッチャー16は、ビームスプリッタ16yと、凹面ミラー16a〜16hとを含んでいてもよい。
【0041】
ビームスプリッタ16yは、パルスレーザ光を高い透過率で透過させる基板を含んでもよい。この基板の第1の面161には減反射膜がコートされ、この基板の第2の面162には、部分反射膜がコートされていてもよい。ビームスプリッタ16yは、ホルダ16oに支持されてもよい。
凹面ミラー16a〜16hは、遅延光学系を構成し得る。凹面ミラー16a〜16hの各々は、互いに略等しい焦点距離Fを有する凹面ミラーであってもよい。焦点距離Fは、例えば、ビームスプリッタ16yから凹面ミラー16aまでの距離に相当してもよい。
【0042】
図中の左側からビームスプリッタ16yに入射するパルスレーザ光は、第1の面161を高い透過率で透過し、第2の面162の部分反射膜に入射し得る。第2の面162に入射したパルスレーザ光は、第1の光路と第2の光路に分岐され得る。すなわち、図中の左側からビームスプリッタ16yに入射したパルスレーザ光の一部は透過し、第1の光路に進んで、第1の出力パルスP1となり得る。図中の左側からビームスプリッタ16yに入射したパルスレーザ光の他の一部は反射され、第2の光路に進んで、凹面ミラー16aによって反射され得る。
【0043】
凹面ミラー16aによって反射されたパルスレーザ光は、凹面ミラー16d、16e、16h、16g、16f、16c、16bの順で反射されて、ビームスプリッタ16yに図中の上側から入射してもよい。図中の上側からビームスプリッタ16yに入射したパルスレーザ光の一部は反射され、上記第1の光路に進んで第2の出力パルスP2となり得る。図中の上側からビームスプリッタ16yに入射したパルスレーザ光の他の一部はビームスプリッタ16yを透過して再び上記第2の光路に進み得る。
【0044】
図中の左側からビームスプリッタ16yに入射して透過した第1の出力パルスP1と、図中の上側からビームスプリッタ16yに入射して反射された第2の出力パルスP2とが略同一の光路軸で、光学パルスストレッチャー16から図中の右側に向けて出力され得る。凹面ミラー16a〜16hを経由した遅延光路の光路長は、凹面ミラー16a〜16hの各々の焦点距離Fの16倍に相当し得る。この場合、第1の出力パルスP1に対する第2の出力パルスP2の遅延時間は、光速をcとしたとき、16F/cとなり得る。また、ビームスプリッタ16yの第2の面162におけるパルスレーザ光のビーム断面の像が、遅延光路を通って再び第2の面162に入射するときに、第2の面に正転して結像し得る。
【0045】
図中の上側からビームスプリッタ16yに入射して透過したパルスレーザ光は、再び凹面ミラー16aによって反射され、上述と同じ遅延光路を通って、再びビームスプリッタ16yに図中の上側から入射してもよい。再びビームスプリッタ16yに図中の上側から入射したパルスレーザ光の一部は反射されて、光学パルスストレッチャー16から図中の右側に向けて出力され得る。これを繰り返すことにより、第1及び第2の出力パルスP1及びP2と略同一の光路軸で、図示しない第3及び第4の出力パルスが出力され、パルスレーザ光がパルスストレッチされてもよい。
【0046】
なお、図3Aにおいては、8枚の凹面ミラーを用いる例を示したが、本開示はこの例に限定されることなく、さらに多い数の凹面ミラーが同様に配置されてもよい。あるいは、8枚より少ない数たとえば4枚の凹面ミラーが配置されてもよい。
【0047】
図3Bは、光学パルスストレッチャーを用いない場合と、光学パルスストレッチャーを用いた場合のパルスレーザ光のパルス時間波形を示すグラフである。光学パルスストレッチャーの遅延光路の光路長は7mとし、ビームスプリッタ16yの反射率は62%とした。光学パルスストレッチャーを用いない場合、パルスレーザ光のパルス時間幅ΔTTISは約50nsであった。光学パルスストレッチャーを用いた場合、パルスレーザ光のパルス時間幅ΔTTISは約80nsとなった。ここで、パルスレーザ光のパルス時間幅ΔTTISは以下の式で算出されるものでもよい。
ΔTTIS=[∫I(t)dt]/∫I(t)dt
【0048】
3.4 第1の実施形態の作用
以上のように、パルスストレッチされたパルスレーザ光を、ドーパントを含む溶液中で半導体材料の被照射物43eに照射することにより、パルスストレッチしない場合よりもドーピング深さを大きくし得る。
【0049】
図4Aは、4H−SiCにドーピングされたアルミニウムの濃度とドーピング深さの関係を示すグラフである。ドーパントを含む溶液としては、飽和濃度の塩化アルミニウム水溶液を用いた。パルスレーザ光としては、KrFエキシマレーザ光を用い、1パルスあたりのフルーエンスは4.5J/cmであり、繰り返し周波数は100Hzであり、1箇所への照射ショット数は10パルスであった。パルス時間波形及びパルス時間幅は、光学パルスストレッチャーを用いない場合と、光学パルスストレッチャーを用いた場合のいずれも、図3Bを参照しながら説明した通りである。
【0050】
4H−SiCにドーピングされたアルミニウムの濃度の測定は、二次イオン質量分析法(SIMS)で実施した。
図4Aに示されるように、光学パルスストレッチャーを用いて、パルスレーザ光のパルス時間幅を50nsから80nsに伸長したことにより、アルミニウムのドーピング深さが40nmから120nmに改善した。
図4Aにおいては、4H−SiCにアルミニウムをドーピングした場合について説明したが、本開示はこれに限定されない。ダイヤモンドやGaNへのドーピングであっても、塩化アルミニウム水溶液中で照射するパルスレーザ光のパルス時間幅を伸長することによって、ドーピング深さが大きくなることが期待できる。
【0051】
図4Bは、4H−SiCのn型基板の一部に、アルミニウムをドーピングしてp型層を形成した場合のダイオード特性を示すグラフである。横軸は、p型層に印加した電圧からn型基板に印加した電圧を減算した値を示す。縦軸は電流を示す。横軸の値が0以上であるので、図4Bは、順方向バイアスの特性を示す。
【0052】
図4Bに示されるように、光学パルスストレッチャーを用いないでドーピングした場合、順方向の電流が流れ始める電圧であるオン電圧は、約1Vであった。これに対し、光学パルスストレッチャーを用いてドーピングした場合、オン電圧は約2Vとなった。一般にSiCを用いてpn接合を形成した場合、オン電圧が2V〜3Vとなることが知られている。従って、図4Bに示される結果は、光学パルスストレッチャーを用いてp型層を形成することにより、pn接合が形成され、半導体素子として使用可能であることを証明し得る。
【0053】
4.パルス時間波形を可変するレーザドーピング装置(第2の実施形態)
4.1 構成
図5は、本開示の第2の実施形態に係るレーザドーピング装置の構成を概略的に示す。第2の実施形態に係るレーザドーピング装置において、レーザシステム3bは、図2を参照しながら説明した光学パルスストレッチャー16の代わりに、光学パルスストレッチャー16αを備えていてもよい。また、第2の実施形態に係るレーザドーピング装置において、ドーピング装置4bは、図2を参照しながら説明したドーピング装置の構成に加えて、ビームホモジナイザ41を備えていてもよい。
【0054】
ビームホモジナイザ41は、パルス時間波形計測部19とスリット42との間のパルスレーザ光の光路に配置されてもよい。ビームホモジナイザ41は、フライアイレンズ41aと、コンデンサ光学系41bと、を含んでもよい。コンデンサ光学系41bは、その後側焦点の位置がスリット42の位置と略一致するように配置されてもよい。フライアイレンズ41aは、フライアイレンズ41aに含まれる複数のレンズの前側焦点を含む焦点面の位置とコンデンサ光学系41bの前側焦点面の位置とが略一致するように配置されてもよい。
【0055】
ドーピング装置4bに入射したパルスレーザ光は、ビームホモジナイザ41によって、スリット42をケーラー照明し得る。その結果、パルスレーザ光の光強度分布が均一化され得る。
【0056】
4.2 光学パルスストレッチャーの詳細
図6Aは、図5に示される光学パルスストレッチャーの構成を示す。この光学パルスストレッチャー16αは、図3Aを参照しながら説明したビームスプリッタ16yの代わりに、ビームスプリッタ16nを含んでもよい。また、凹面ミラー16a〜16hのうち、凹面ミラー16c、16d、16e、16fは、それぞれ、回転ステージ16i、16j、16k、16mに支持されてもよい。
【0057】
ビームスプリッタ16nの第1の面161には減反射膜がコートされ、第2の面162には、矢印B方向に反射率分布を有する部分反射膜がコートされていてもよい。ビームスプリッタ16nは、ホルダ16oを介してアーム16pに支持されてもよい。アーム16pは、移動テーブル16qに支持され、移動テーブル16qは、1軸ステージ16rに支持されてもよい。
【0058】
図6D及び図6Eは、ビームスプリッタ16n、ホルダ16o、アーム16p、移動テーブル16q及び1軸ステージ16rを、ビームスプリッタ16nの反射面に垂直な方向から見た図である。図6B、図6C及び図6Eは、ビームスプリッタ16n等を図6A及び図6Dと異なる位置に移動させた状態を示す。1軸ステージ16rは、ビームスプリッタ16n、ホルダ16o、アーム16p及び移動テーブル16qを、矢印B方向に往復移動できるように構成されてもよい。1軸ステージ16rは、レーザシステム制御部31(図5)によって制御されてもよい。これにより、ビームスプリッタ16nは、パルスレーザ光の入射角度を維持した状態で、矢印B方向に往復移動できるように構成されてもよい。
【0059】
図6Aを再び参照し、回転ステージ16i、16j、16k、16mは、それぞれ凹面ミラー16c、16d、16e、16fを紙面の面内で回転させ、それぞれの姿勢を制御できるように構成されてもよい。回転ステージ16i、16j、16k、16mは、レーザシステム制御部31(図5)によって制御されてもよい。
【0060】
凹面ミラー16c、16d、16e、16fの姿勢が図6Aに示される状態のとき、光学パルスストレッチャー16αにパルスレーザ光が入射したときのパルスレーザ光の光路は、図3Aを参照しながら説明したものと同様でよい。
【0061】
図6Bは、凹面ミラー16c、16d、16e、16fの姿勢が図6Aと異なる状態を示す。凹面ミラー16c、16d、16e、16fの姿勢が図6Bに示される状態のとき、凹面ミラー16aによって反射されたパルスレーザ光は、凹面ミラー16d、16e、16f、16c、16bの順で反射されてもよい。すなわち、凹面ミラー16h及び16gをスキップしてもよい。この場合の遅延光路の光路長は、凹面ミラー16a〜16hの各々の焦点距離Fの約12倍に相当し得る。
【0062】
図6Cは、凹面ミラー16c、16d、16e、16fの姿勢が図6A及び図6Bと異なる状態を示す。凹面ミラー16c、16d、16e、16fの姿勢が図6Cに示される状態のとき、凹面ミラー16aによって反射されたパルスレーザ光は、凹面ミラー16d、16c、16bの順で反射されてもよい。すなわち、凹面ミラー16e、16h、16g及び16fをスキップしてもよい。この場合の遅延光路の光路長は、凹面ミラー16a〜16hの各々の焦点距離Fの約8倍に相当し得る。
【0063】
このように、凹面ミラー16c、16d、16e、16fの姿勢によって、遅延光路の光路長を、8F、12F及び16Fと可変することができる。これらの場合のいずれにおいても、ビームスプリッタ16nの第2の面162に入射するパルスレーザ光のビーム断面の転写像が、ビームスプリッタ16nの第2の面162に結像し得る。遅延光路の光路長を変更することにより、第1の出力パルスP1に対する第2の出力パルスP2や上述の第3、第4の出力パルスの遅延時間を変更できるので、光学パルスストレッチャー16αから出力されるパルスレーザ光の時間波形を変更し得る。
【0064】
ビームスプリッタ16nの位置を1軸ステージ16rが矢印B方向に往復移動させることによって、ビームスプリッタ16nにおけるパルスレーザ光の反射率を変更することができる。ビームスプリッタ16nにおけるパルスレーザ光の反射率を変更することにより、第1の出力パルスP1に対する第2の出力パルスP2や第3、第4の出力パルスの強度比を変更できるので、光学パルスストレッチャー16αから出力されるパルスレーザ光のパルス時間波形を変更し得る。
【0065】
以上のように、光学パルスストレッチャー16αに含まれるビームスプリッタの反射率と遅延光路の光路長とを変化させることによって、第1〜第4の出力パルスのパルス時間間隔や、第1〜第4の出力パルスの光強度比を変更し得る。
他の点については、図2及び図3Aを参照しながら説明したレーザドーピング装置と同様でよい。
【0066】
4.3 ドーピング制御部の処理
4.3.1 メインフロー
図7は、図5に示されるドーピング制御部によるドーピング制御の処理を示すフローチャートである。ドーピング制御部45は、以下の処理により、所望のパルス時間波形を有するパルスレーザ光を用いてドーピングを行ってもよい。
【0067】
まず、S100において、ドーピング制御部45は、パルス時間波形生成パラメータのデータを受信したか否かを判定してもよい。パルス時間波形生成パラメータのデータは、例えば、オペレータが入力したものを受信してもよいし、図示しないコンピュータシステムからネットワークを通じて受信してもよい。パルス時間波形生成パラメータは、パルス時間波形を生成するために必要なパラメータであって、この場合は、ビームスプリッタ16nの反射率の目標値と、光学パルスストレッチャー16αの遅延光路の光路長の目標値と、を含んでいてもよい。
【0068】
パルス時間波形生成パラメータのデータを受信した場合は、ドーピング制御部45は、処理をS110に進めてもよい。パルス時間波形生成パラメータのデータを受信していない場合は、ドーピング制御部45は、パルス時間波形生成パラメータのデータを受信するまで待機してもよい。
【0069】
パルス時間波形生成パラメータのデータを受信した場合(S100;YES)、S110において、ドーピング制御部45は、受信したパルス時間波形生成パラメータを読み込んでもよい。この処理の詳細については、図8Aを参照しながら後述する。
【0070】
次に、S120において、ドーピング制御部45は、ドーパントを含む溶液を被照射物の表面に供給開始するように、ポンプ46a(図5)を制御してもよい。
【0071】
次に、S130において、ドーピング制御部45は、2次元センサ44c(図5)の画像を参照し、所望の照射領域に位置決めするようにXYZステージ43gを制御してもよい。
次に、S140において、ドーピング制御部45は、受信したパルス時間波形生成パラメータにレーザシステム3bを設定してもよい。すなわち、ドーピング制御部45は、光学パルスストレッチャー16αの遅延光路の光路長の目標値と、ビームスプリッタ16nの反射率の目標値とを、レーザシステム制御部31に送信してもよい。この処理の詳細については、図8Bを参照しながら後述する。
【0072】
次に、S150において、ドーピング制御部45は、フルーエンスの目標値Fとショット数Sのデータを受信したか否かを判定してもよい。フルーエンスの目標値Fとショット数Sのデータは、例えば、オペレータが入力したものを受信してもよいし、図示しないコンピュータシステムからネットワークを通じて受信してもよい。
【0073】
フルーエンスの目標値Fとショット数Sのデータを受信した場合は、ドーピング制御部45は、処理をS160に進めてもよい。フルーエンスの目標値Fとショット数Sのデータを受信していない場合は、ドーピング制御部45は、フルーエンスの目標値Fとショット数Sのデータを受信するまで待機してもよい。
【0074】
フルーエンスの目標値Fとショット数Sのデータを受信した場合(S150;YES)、S160において、ドーピング制御部45は、受信したフルーエンスの目標値Fとショット数Sのデータを読み込んでもよい。
【0075】
次に、S170において、ドーピング制御部45は、フルーエンスが目標値Fに近づくように、目標パルスエネルギーを設定してもよい。ドーピング制御部45は、この目標パルスエネルギーのデータを、レーザシステム制御部31に送信してもよい。この処理の詳細については、図8Cを参照しながら後述する。
【0076】
次に、S190において、ドーピング制御部45は、S個の発光トリガ信号をレーザシステム制御部31に出力してもよい。これにより、レーザシステム3bから、S個のパルスを含むパルスレーザ光が生成されてもよい。これらのパルスレーザ光は、被照射物43eに照射されてもよい。
【0077】
次に、S200において、ドーピング制御部45は、パルス時間波形生成パラメータのデータが変更されたか否かを判定してもよい。パルス時間波形生成パラメータのデータが変更された場合(S200;YES)、ドーピング制御部45は、処理を上述のS100に戻して、パルス時間波形生成パラメータのデータを再度受信してもよい。
【0078】
パルス時間波形生成パラメータのデータが変更されない場合(S200;NO)、ドーピング制御部45は、処理をS210に進めてもよい。S210において、ドーピング制御部45は、レーザ照射を中止するか否かを判定してもよい。レーザ照射を中止しない場合(S210;NO)、ドーピング制御部45は、処理を上述のS130に戻してXYZステージ43gの制御や発光トリガ信号の出力等を行ってもよい。レーザ照射を中止する場合(S210;YES)、ドーピング制御部45は、本フローチャートの処理を終了してもよい。
【0079】
4.3.2 S110の詳細
図8Aは、図7に示されるパルス時間波形生成パラメータを読み込む処理の詳細を示すフローチャートである。図8Aに示される処理は、図7に示されるS110のサブルーチンとして、ドーピング制御部45によって行われてもよい。
【0080】
S112において、ドーピング制御部45は、ビームスプリッタ16nの反射率の目標値Rと、遅延光路の光路長の目標値Lとを読み込んでもよい。
S112の後、ドーピング制御部45は、本フローチャートの処理を終了して、メインフローに戻ってもよい。
【0081】
4.3.3 S140の詳細
図8Bは、図7に示されるパルス時間波形生成パラメータに設定する処理の詳細を示すフローチャートである。図8Bに示される処理は、図7に示されるS140のサブルーチンとして、ドーピング制御部45によって行われてもよい。
【0082】
まず、S141において、ドーピング制御部45は、ビームスプリッタ16nの反射率の目標値Rをレーザシステム制御部31に送信してもよい。これにより、レーザシステム制御部31は、ビームスプリッタ16nの反射率が目標値に近づくように、ビームスプリッタ16nを移動させる1軸ステージ16rを制御してもよい。
【0083】
次に、S142において、ドーピング制御部45は、遅延光路の光路長の目標値Lをレーザシステム制御部31に送信してもよい。これにより、レーザシステム制御部31は、光学パルスストレッチャー16αの遅延光路の光路長が目標値に近づくように、光学パルスストレッチャー16αの凹面ミラー16c、16d、16e、16fをそれぞれ回転させる回転ステージ16i、16j、16k、16mを制御してもよい。
S142の後、ドーピング制御部45は、本フローチャートの処理を終了して、メインフローに戻ってもよい。
【0084】
4.3.4 S170の詳細
図8Cは、図7に示される目標パルスエネルギーを設定する処理の詳細を示すフローチャートである。図8Cに示される処理は、図7に示されるS170のサブルーチンとして、ドーピング制御部45によって行われてもよい。
【0085】
まず、S171において、ドーピング制御部45は、受信したフルーエンスの目標値Fに基づいて、目標パルスエネルギーEtを計算してもよい。目標パルスエネルギーEtは、以下のように計算されてもよい。
Et=F・A/Tt
ここで、Aは、被照射物43eに結像されるスリット42の像の面積でもよい。Ttは、パルス時間波形計測部19を介してレーザシステム3bから出力されるパルスレーザ光の、被照射物43eに照射されるまでの光路における透過率でもよい。
【0086】
次に、S172において、ドーピング制御部45は、レーザシステム制御部31に目標パルスエネルギーEtを送信してもよい。これにより、レーザシステム制御部31は、レーザ装置2が出力すべきパルスレーザ光の目標パルスエネルギーEL1を計算し、この計算結果に基づいてレーザ装置2を制御してもよい。さらに、レーザシステム制御部31は、目標パルスエネルギーEtに基づいて、アッテネータ18の透過率T2の目標値を計算してもよい。この目標値は、アッテネータ18の透過率T2に関して以下の式が成り立つように、計算されてもよい。
T2=Et/(T1・EL1)
ここで、T1は光学パルスストレッチャー16αの透過率でもよい。レーザシステム制御部31は、アッテネータ18の透過率T2の目標値の計算結果に基づいて、アッテネータ18を制御してもよい。これにより、レーザシステム3bから出力されるパルスレーザ光のパルスエネルギーは、目標パルスエネルギーEtに近づき得る。
【0087】
S172の後、ドーピング制御部45は、本フローチャートの処理を終了して、メインフローに戻ってもよい。
【0088】
4.4 ドーピング制御部の処理の変形例
4.4.1 メインフロー
図9は、図5に示されるドーピング制御部によるドーピング制御の処理の変形例を示すフローチャートである。ドーピング制御部45は、以下の処理により、複数の照射条件によるドーピングを行ってもよい。
【0089】
ドーピング制御部45は、S100a及びS110aにおいて、複数の組み合わせの照射条件パラメータを受信し、読み込んでもよい。ドーピング制御部45は、Nmax通りの組み合わせの照射条件パラメータを受信し、読み込んでもよい。照射条件パラメータは、上述のパルス時間波形生成パラメータの他に、フルーエンスの目標値と、ショット数とを含んでもよい。
S110aの処理の詳細については図10Aを参照しながら後述するが、その他の点は図7を参照しながら説明したS100及びS110と同様でよい。次のS120及びS130の処理は、図7を参照しながら説明したものと同様でよい。
【0090】
次に、S135において、ドーピング制御部45は、番号Nの値を1にセットしてもよい。
次に、S140aにおいて、ドーピング制御部45は、N番目のパルス時間波形生成パラメータにレーザシステム3bを設定してもよい。すなわち、ドーピング制御部45は、光学パルスストレッチャー16αの遅延光路の光路長のN番目の目標値Lと、ビームスプリッタ16nの反射率のN番目の目標値Rとを、レーザシステム制御部31に送信してもよい。この処理の詳細については、図10Bを参照しながら後述する。
【0091】
次に、S170aにおいて、ドーピング制御部45は、フルーエンスがN番目の目標値Fに近づくように、目標パルスエネルギーを設定してもよい。ドーピング制御部45は、この目標パルスエネルギーのデータを、レーザシステム制御部31に送信してもよい。この処理の詳細については、図10Cを参照しながら後述する。
次に、S190aにおいて、ドーピング制御部45は、S個の発光トリガ信号をレーザシステム制御部31に出力してもよい。これにより、レーザシステム3bから、S個のパルスを含むパルスレーザ光が生成されてもよい。これらのパルスレーザ光は、被照射物43eの表面に照射されてもよい。
【0092】
次に、S195において、ドーピング制御部45は、番号Nの値がNmax以上であるか否かを判定してもよい。
番号Nの値がNmax以上ではない場合(S195;NO)ドーピング制御部45は、S196において、番号Nの値に1を加えて、番号Nの値を更新してもよい。S196の後、ドーピング制御部45は、処理を上述のS140aに戻してもよい。
番号Nの値がNmax以上である場合(S195;YES)ドーピング制御部45は、番号N=1から番号N=Nmaxまでのすべての照射条件パラメータについて発光トリガ信号を出力したことになるので、処理をS200aに進めてもよい。
【0093】
次に、S200aにおいて、ドーピング制御部45は、複数通りの照射条件パラメータのデータが変更されたか否かを判定してもよい。複数通りの照射条件パラメータのデータが変更された場合(S200a;YES)、ドーピング制御部45は、処理を上述のS100aに戻して、複数通りの照射条件パラメータのデータを再度受信してもよい。
複数通りの照射条件パラメータのデータが変更されない場合(S200a;NO)、ドーピング制御部45は、処理をS210に進めてもよい。
S210及びその後の処理は、図7を参照しながら説明したものと同様でよい。
【0094】
4.4.2 S110aの詳細
図10Aは、図9に示される照射条件パラメータを読み込む処理の詳細を示すフローチャートである。図10Aに示される処理は、図9に示されるS110aのサブルーチンとして、ドーピング制御部45によって行われてもよい。
【0095】
まず、S111aにおいて、ドーピング制御部45は、番号Nの値を1にセットしてもよい。
次に、S112aにおいて、ドーピング制御部45は、ビームスプリッタ16nの反射率のN番目の目標値Rと、光学パルスストレッチャー16αの遅延光路の光路長のN番目の目標値Lとを読み込んでもよい。
次に、S113aにおいて、ドーピング制御部45は、フルーエンスのN番目の目標値Fと、N番目のショット数Sと、を読み込んでもよい。
【0096】
次に、S115aにおいて、ドーピング制御部45は、番号Nの値がNmax以上であるか否かを判定してもよい。
番号Nの値がNmax以上ではない場合(S115a;NO)、ドーピング制御部45は、S116aにおいて、番号Nの値に1を加えて、番号Nの値を更新してもよい。S116aの後、ドーピング制御部45は、処理を上述のS112aに戻してもよい。
番号Nの値がNmax以上である場合(S115a;YES)、ドーピング制御部45は、番号N=1から番号N=Nmaxまでのすべての照射条件パラメータを受信したことになるので、本フローチャートの処理を終了して、メインフローに戻ってもよい。
図10Aに示される処理に限らず、ドーピング制御部45は、Nmax通りの照射条件パラメータをテーブルデータとして一度に読み込んでもよい。
【0097】
4.4.3 S140aの詳細
図10Bは、図9に示されるパルス時間波形生成パラメータに設定する処理の詳細を示すフローチャートである。図10Bに示される処理は、図9に示されるS140aのサブルーチンとして、ドーピング制御部45によって行われてもよい。
【0098】
まず、S141aにおいて、ドーピング制御部45は、ビームスプリッタ16nの反射率のN番目の目標値Rをレーザシステム制御部31に送信してもよい。これにより、レーザシステム制御部31は、ビームスプリッタ16nの反射率がN番目の目標値Rに近づくように、ビームスプリッタ16nを移動させる1軸ステージ16rを制御してもよい。
【0099】
次に、S142aにおいて、ドーピング制御部45は、遅延光路の光路長のN番目の目標値Lをレーザシステム制御部31に送信してもよい。これにより、レーザシステム制御部31は、光学パルスストレッチャー16αの遅延光路の光路長がN番目の目標値Lに近づくように、光学パルスストレッチャー16αの凹面ミラー16c、16d、16e、16fをそれぞれ回転させる回転ステージ16i、16j、16k、16mを制御してもよい。
S142aの後、ドーピング制御部45は、本フローチャートの処理を終了して、メインフローに戻ってもよい。
【0100】
4.4.4 S170aの詳細
図10Cは、図9に示される目標パルスエネルギーを設定する処理の詳細を示すフローチャートである。図10Cに示される処理は、図9に示されるS170aのサブルーチンとして、ドーピング制御部45によって行われてもよい。
【0101】
まず、S171aにおいて、ドーピング制御部45は、受信したフルーエンスのN番目の目標値Fに基づいて、N番目の目標パルスエネルギーEtを計算してもよい。N番目の目標パルスエネルギーEtの計算は、図8Cを参照しながら説明したものと同様でよい。
【0102】
次に、S172aにおいて、ドーピング制御部45は、レーザシステム制御部31にN番目の目標パルスエネルギーEtを送信してもよい。N番目の目標パルスエネルギーEtを受信したレーザシステム制御部31の動作は、図8Cを参照しながら説明したものと同様でよい。
【0103】
S172aの後、ドーピング制御部45は、本フローチャートの処理を終了して、メインフローに戻ってもよい。
【0104】
図11は、図9及び図10A〜図10Cに示される変形例において作製可能な半導体の深さ方向に対するドーパント濃度分布の例を示す。この変形例においては、同じ照射領域に、異なるパルス波形で異なるフルーエンス及びショット数の照射を行うことにより、深さ方向に異なるドーパント濃度分布を有する半導体を作製し得る。例えば、番号N=1の照射条件パラメータは、ドーピング深さが浅く、ドーパント濃度が高くなるような条件であってもよい。反対に、番号N=3の照射条件パラメータは、ドーピング深さが深く、ドーパント濃度が低くなるような条件であってもよい。番号N=2の照射条件パラメータは、ドーピング深さとドーパント濃度がそれぞれ番号N=1及び番号N=3の照射条件パラメータの中間であってもよい。ドーピング深さは、パルス時間幅によって主に制御されてもよい。ドーパント濃度は、フルーエンスやショット数によって主に制御されてもよい。
【0105】
5.照射領域の形状及び大きさを可変するレーザドーピング装置(第3の実施形態)
5.1 構成
図12は、本開示の第3の実施形態に係るレーザドーピング装置の構成を概略的に示す。第3の実施形態に係るレーザドーピング装置において、ドーピング装置4cは、図5を参照しながら説明したスリット42の代わりに、可変スリット42aを備えていてもよい。レーザシステム3b及びその他の構成は、図5を参照しながら説明したものと同様でよい。
【0106】
可変スリット42aは、互いに略直交する2軸を有するスリットであり、この2軸のスリット幅をそれぞれ変更可能に構成されていてもよい。スリット幅は、ドーピング制御部45から出力される制御信号によって制御されてもよい。ビームホモジナイザ41による均一照明の範囲は、可変スリット42aの2軸の最大幅で規定される領域よりも大きいことが望ましい。
【0107】
5.2 ドーピング制御部の処理
5.2.1 メインフロー
図13は、図12に示されるドーピング制御部によるドーピング制御の処理を示すフローチャートである。図13に示される処理は、照射条件パラメータとして、パルス時間波形生成パラメータと、フルーエンスと、ショット数だけでなく、可変スリット42aのスリット幅を含む点で、図9を参照しながら説明した処理と異なってもよい。
【0108】
ドーピング制御部45は、図9を参照しながら説明したS110aの代わりに、S110bに従って、複数の組み合わせの照射条件パラメータを読み込んでもよい。この処理の詳細については、図14Aを参照しながら後述するが、S110bにおいて、照射条件パラメータは、可変スリット42aのスリット幅の目標値を含んでもよい。可変スリット42aのスリット幅は、互いに略直交する2軸のそれぞれのスリット幅であってもよい。
【0109】
また、ドーピング制御部45は、図9を参照しながら説明したS170aとS190aとの間において、可変スリット42aのスリット幅がN番目の目標値Dに近づくように、可変スリット42aを制御してもよい(S180)。この処理の詳細については、図14Bを参照しながら後述する。
その他の処理は、図9を参照しながら説明したものと同様でよい。
【0110】
5.2.2 S110bの詳細
図14Aは、図13に示される照射条件パラメータを読み込む処理の詳細を示すフローチャートである。図14Aに示される処理は、図13に示されるS110bのサブルーチンとして、ドーピング制御部45によって行われてもよい。
【0111】
まず、S111aからS113aまでの処理は、図10Aを参照しながら説明したものと同様でよい。
次に、S114bにおいて、ドーピング制御部45は、可変スリット42aのスリット幅のN番目の目標値Dを読み込んでもよい。
その後の処理は、図10Aを参照しながら説明したものと同様でよい。
【0112】
5.2.3 S180の詳細
図14Bは、図13に示される可変スリット42aを制御する処理の詳細を示すフローチャートである。図14Bに示される処理は、図13に示されるS180のサブルーチンとして、ドーピング制御部45によって行われてもよい。
S181において、ドーピング制御部45は、可変スリット42aのスリット幅がN番目の目標値Dに近づくように、可変スリット42aを制御してもよい。
S181の後、ドーピング制御部45は、本フローチャートの処理を終了して、メインフローに戻ってもよい。
【0113】
図15Aは、第3の実施形態において作製可能な半導体素子を模式的に示す。図15Bは、図15Aに示されるXVB−XVB線における断面図である。これらの図において、各種コンタクト電極、絶縁膜、配線等の図示は省略されている。これらの図に示される被照射物43eは、4H−SiCのn型基板の一部に、アルミニウムをドーピングして複数のp型層431及び432を形成したものであってもよい。p型層431は比較的濃度が低く、ドーピング深さが深く、ドーピング領域が狭いp型層であってもよい。p型層432は比較的濃度が高く、ドーピング深さが浅く、ドーピング領域が広いp型層であってもよい。
【0114】
このように、第3の実施形態によれば、パルス時間波形生成パラメータと、フルーエンスの目標値と、ショット数と、スリット幅の目標値とを別々に制御することにより、ドーパント濃度と、ドーピング深さと、ドーピング領域とを別々に制御し得る。
【0115】
第3の実施形態においては、可変スリット42aを制御することによってドーピング領域を可変したが、本開示はこれに限定されない。可変スリット42aの代わりに、所望のパターンが形成されたマスクを配置し、このマスクを交換可能としてもよい。そして、マスクの交換と照射条件パラメータの制御とをそれぞれ行うことにより、被照射物の深さ方向と面方向の両方で所望の濃度分布を有する半導体素子を作製することができる。
【0116】
6.ビームスプリッタのバリエーション(第4の実施形態)
図16Aは、本開示の第4の実施形態に係るレーザドーピング装置において用いられる光学パルスストレッチャーの構成を示す。図16Bは、図16Aに示される光学パルスストレッチャーにおいて用いられる複数のビームスプリッタを、これらのビームスプリッタの反射面に垂直な方向から見た図である。
【0117】
第4の実施形態において用いられる光学パルスストレッチャー16zは、複数のビームスプリッタ16s、16t、16u、16vを含んでもよい。複数のビームスプリッタ16s、16t、16u、16vは、互いに異なる反射率を有していてもよい。複数のビームスプリッタ16s、16t、16u、16vは、ホルダ16wに支持され、ホルダ16wは、ステップモータ16xによって回転可能に支持されていてもよい。
【0118】
レーザシステム制御部31(図2)は、ステップモータ16xを制御することにより、パルスレーザ光の光路にビームスプリッタ16s、16t、16u、16vを選択的に配置することができてもよい。パルスレーザ光の光路にビームスプリッタ16s、16t、16u、16vのいずれが位置する場合でも、パルスレーザ光の入射角度は一定であって、反射率だけが互いに異なってもよい。これにより、光学パルスストレッチャー16zから出力されるパルスレーザ光の時間波形を変更し得る。
他の点については、第1の実施形態と同様でよい。また、第2または第3の実施形態において、図16A及び図16Bに示される光学パルスストレッチャー16zが用いられてもよい。
【0119】
7.複数のレーザ部を含むレーザドーピング装置(第5の実施形態)
7.1 構成及び動作
図17は、本開示の第5の実施形態に係るレーザドーピング装置の構成を概略的に示す。第5の実施形態に係るレーザドーピング装置において、レーザシステム3cは、第1、第2、第3のレーザ部2a、2b、2cと、遅延回路5と、高反射ミラー6a、6bと、ナイフエッジミラー6c、6dと、を備えていてもよい。また、第5の実施形態に係るレーザドーピング装置において、レーザシステム3cは、光学パルスストレッチャーを備えていなくてもよい。
他の点については、第1〜第3の実施形態の構成と同様でよい。
【0120】
第1、第2、第3のレーザ部2a、2b、2cの各々は、上述のレーザ装置2と同様の構成を備えていてもよい。それぞれのレーザ部は、レーザシステム制御部31から目標パルスエネルギーのデータを受信してもよい。目標パルスエネルギーのデータは、第1、第2、第3のレーザ部2a、2b、2cで互いに異なっていてもよい。それぞれのレーザ部において、受信した目標パルスエネルギーのデータに基づいて、充電コンデンサ(後述)の充電電圧が設定されてもよい。
【0121】
遅延回路5は、レーザシステム制御部31から遅延時間の設定データを受信してもよい。遅延回路5は、ドーピング制御部45から出力された発光トリガ信号を、レーザシステム制御部31を介して受信してもよい。遅延回路5は、この発光トリガ信号を受信したときから、設定された遅延時間が経過したタイミングで、第1、第2、第3のレーザ部2a、2b、2cのそれぞれに、この順で第1、第2、第3のトリガ信号を出力してもよい。
【0122】
高反射ミラー6a及びナイフエッジミラー6cは、第1のレーザ部2aから出力されたパルスレーザ光を高い反射率で反射することにより光路を変更してもよい。第1のレーザ部2aから出力されて光路を変更されたパルスレーザ光は、第2のレーザ部2bから出力されたパルスレーザ光と略平行に且つ近接してアッテネータ18に向けて出力されてもよい。
【0123】
高反射ミラー6b及びナイフエッジミラー6dは、第3のレーザ部2cから出力されたパルスレーザ光を高い反射率で反射することにより光路を変更してもよい。第3のレーザ部2cから出力されて光路を変更されたパルスレーザ光は、第2のレーザ部2bから出力されたパルスレーザ光と略平行に且つ近接してアッテネータ18に向けて出力されてもよい。
【0124】
第1、第2、第3のレーザ部2a、2b、2cからそれぞれ出力されたパルスレーザ光は、アッテネータ18及びパルス時間波形計測部19を介してビームホモジナイザ41に入射してもよい。ビームホモジナイザ41により、スリット42がケーラー照明されることにより、これらのパルスレーザ光の光路がスリット42において重なり合って、スリット42の開口部におけるビームの光強度プロファイルが均一化され得る。
【0125】
図18は、図17に示されるレーザドーピング装置におけるトリガ信号とパルスレーザ光のタイミングチャートを示す。第5の実施形態においては、第1、第2、第3のレーザ部2a、2b、2cから出力されるパルスレーザ光を重ね合わせることにより、所望のパルス時間波形を有するパルスレーザ光を被照射物に照射してもよい。
【0126】
遅延回路5から第1のレーザ部2aに出力される第1のトリガ信号は、レーザシステム制御部31から遅延回路5に出力される発光トリガ信号に対して遅延時間Tr1を有していてもよい。
遅延回路5から第2のレーザ部2bに出力される第2のトリガ信号は、レーザシステム制御部31から遅延回路5に出力される発光トリガ信号に対して遅延時間Tr2を有していてもよい。
遅延回路5から第3のレーザ部2cに出力される第3のトリガ信号は、レーザシステム制御部31から遅延回路5に出力される発光トリガ信号に対して遅延時間Tr3を有していてもよい。
【0127】
第1のレーザ部2aは、第1のトリガ信号を受信すると、パルスレーザ光である第1パルスを出力してもよい。第1のトリガ信号の受信タイミングと、第1パルスの立ち上がりのタイミングとは、ほぼ一致していてもよい。
【0128】
第2のレーザ部2bは、第2のトリガ信号を受信すると、パルスレーザ光である第2パルスを出力してもよい。第2のトリガ信号の受信タイミングと、第2パルスの立ち上がりのタイミングとは、ほぼ一致していてもよい。従って、第1パルスに対する第2パルスのパルス時間間隔Td2は、第1のトリガ信号の遅延時間Tr1と第2のトリガ信号の遅延時間Tr2との差にほぼ相当し得る。
【0129】
第3のレーザ部2cは、第3のトリガ信号を受信すると、パルスレーザ光である第3パルスを出力してもよい。第3のトリガ信号の受信タイミングと、第3パルスの立ち上がりのタイミングとは、ほぼ一致していてもよい。従って、第1パルスに対する第3パルスのパルス時間間隔Td3は、第1のトリガ信号の遅延時間Tr1と第3のトリガ信号の遅延時間Tr3との差にほぼ相当し得る。
【0130】
第1〜第3のレーザ部2a〜2cからそれぞれ出力される第1〜第3パルスは、互いに異なるパルス時間波形を有してもよい。特に、第1〜第3のレーザ部2a〜2cは、それぞれ設定された目標パルスエネルギーに応じて、充電コンデンサの充電電圧を設定されていてもよい。例えば、第1のレーザ部2aから出力される第1パルスの光強度I1のピーク値に対して、第2のレーザ部2bから出力される第2パルスの光強度I2のピーク値が、1未満である光強度比Er2を有するように設定されてもよい。また、第1のレーザ部2aから出力される第1パルスの光強度I1のピーク値に対して、第3のレーザ部2cから出力される第3パルスの光強度I3のピーク値が、上記Er2より小さい光強度比Er3を有するように設定されてもよい。
【0131】
これらの第1〜第3パルスを、高反射ミラー6a、6bとナイフエッジミラー6c、6dとで近接させ、さらに、ビームホモジナイザ41によって重ね合わせてもよい。これにより、被照射物43eには、互いに異なる遅延時間を有する第1〜第3パルスの波形を重ね合わせることによりパルス時間幅が伸長したパルスレーザ光が照射されてもよい。遅延回路5は、本開示におけるパルス時間波形調節装置に相当し得る。
【0132】
7.2 ドーピング制御部の処理
7.2.1 メインフロー
図19は、図17に示されるドーピング制御部によるドーピング制御の処理を示すフローチャートである。ドーピング制御部45は、以下の処理により、所望のパルス時間波形を有するパルスレーザ光によるドーピングを行ってもよい。
【0133】
ドーピング制御部45は、S100c及びS110cにおいて、パルス時間波形生成パラメータを受信し、読み込んでもよい。ここで、パルス時間波形生成パラメータは、第1、第2、第3のレーザ部2a、2b、2cから出力されるパルスレーザ光のパルス時間間隔の目標値と、第1、第2、第3のレーザ部2a、2b、2cから出力されるパルスレーザ光の光強度比の目標値と、を含んでもよい。
S110cの処理の詳細については図20Aを参照しながら後述するが、その他の点は図7を参照しながら説明したS100及びS110と同様でよい。次のS120及びS130の処理は、図7を参照しながら説明したものと同様でよい。
【0134】
次に、S140cにおいて、ドーピング制御部45は、読み込んだパルス時間波形生成パラメータにレーザシステム3cを設定してもよい。すなわち、ドーピング制御部45は、第1、第2、第3のレーザ部2a、2b、2cから出力されるパルスレーザ光のパルス時間間隔の目標値と、第1、第2、第3のレーザ部2a、2b、2cから出力されるパルスレーザ光の光強度比の目標値とを、レーザシステム制御部31に送信してもよい。この処理の詳細については、図20Bを参照しながら後述する。
その後の処理は、図7を参照しながら説明したものと同様でよい。
【0135】
7.2.2 S110cの詳細
図20Aは、図19に示される照射条件パラメータを読み込む処理の詳細を示すフローチャートである。図20Aに示される処理は、図19に示されるS110cのサブルーチンとして、ドーピング制御部45によって行われてもよい。
【0136】
まず、S111cにおいて、ドーピング制御部45は、第1のレーザ部2aから出力される第1パルスに対する第2のレーザ部2bから出力される第2パルスの光強度比Er2の目標値を読み込んでもよい。
次に、S112cにおいて、ドーピング制御部45は、第1のレーザ部2aから出力される第1パルスに対する第3のレーザ部2cから出力される第3パルスの光強度比Er3の目標値を読み込んでもよい。
【0137】
次に、S113cにおいて、ドーピング制御部45は、第1のレーザ部2aから出力される第1パルスに対する第2のレーザ部2bから出力される第2パルスのパルス時間間隔Td2の目標値を読み込んでもよい。
次に、S114cにおいて、ドーピング制御部45は、第1のレーザ部2aから出力される第1パルスに対する第3のレーザ部2cから出力される第3パルスのパルス時間間隔Td3の目標値を読み込んでもよい。
S114cの後、ドーピング制御部45は、本フローチャートの処理を終了して、メインフローに戻ってもよい。
【0138】
7.2.3 S140cの詳細
図20Bは、図19に示されるパルス時間波形生成パラメータに設定する処理の詳細を示すフローチャートである。図20Bに示される処理は、図19に示されるS140cのサブルーチンとして、ドーピング制御部45によって行われてもよい。
【0139】
まず、S141cにおいて、ドーピング制御部45は、第1のレーザ部2aの目標パルスエネルギーEL1をレーザシステム制御部31に送信してもよい。これにより、レーザシステム制御部31は、第1パルスのパルスエネルギーが目標パルスエネルギーEL1に近づくように、第1のレーザ部2aを制御してもよい。
【0140】
次に、S142cにおいて、ドーピング制御部45は、第2のレーザ部2bの目標パルスエネルギーEL2をレーザシステム制御部31に送信してもよい。第2のレーザ部2bの目標パルスエネルギーEL2は、以下のように算出されてもよい。
EL2=EL1×Er2
これにより、レーザシステム制御部31は、第2パルスのパルスエネルギーが目標パルスエネルギーEL2に近づくように、第2のレーザ部2bを制御してもよい。
【0141】
次に、S143cにおいて、ドーピング制御部45は、第3のレーザ部2cの目標パルスエネルギーEL3をレーザシステム制御部31に送信してもよい。第3のレーザ部2cの目標パルスエネルギーEL3は、以下のように算出されてもよい。
EL3=EL1×Er3
これにより、レーザシステム制御部31は、第3パルスのパルスエネルギーが目標パルスエネルギーEL3に近づくように、第3のレーザ部2cを制御してもよい。
【0142】
それぞれのレーザ部において、それぞれのレーザ部から出力されるパルスレーザ光のパルスエネルギーがそれぞれの目標パルスエネルギーに近づくように、それぞれの充電コンデンサの充電電圧が設定されてもよい。このようにして充電電圧が設定される結果、それぞれのレーザ部から出力されるパルスレーザ光の光強度比が、上記光強度比の目標値に近づいてもよい。もし、ここで、充電電圧の設定範囲内で、パルスレーザ光のパルスエネルギーを目標パルスエネルギーに近づけることができない場合は、レーザチャンバ内のレーザガスの圧力を制御することによって、目標パルスエネルギーに近づけてもよい。
【0143】
次に、S144cにおいて、ドーピング制御部45は、第1のレーザ部2aから出力される第1パルスの遅延時間Tr1の目標値を、レーザシステム制御部31に送信してもよい。これにより、レーザシステム制御部31は、第1パルスの遅延時間Tr1が設定された目標値となるように、遅延回路5を制御してもよい。
【0144】
次に、S145cにおいて、ドーピング制御部45は、第2のレーザ部2bから出力される第2パルスの遅延時間Tr2の目標値を、レーザシステム制御部31に送信してもよい。第2パルスの遅延時間Tr2の目標値は、以下のように算出されてもよい。
Tr2=Tr1+Td2
これにより、レーザシステム制御部31は、第2パルスの遅延時間Tr2が設定された目標値となるように、遅延回路5を制御してもよい。
【0145】
次に、S146cにおいて、ドーピング制御部45は、第3のレーザ部2cから出力される第3パルスの遅延時間Tr3の目標値を、レーザシステム制御部31に送信してもよい。第3パルスの遅延時間Tr3の目標値は、以下のように算出されてもよい。
Tr3=Tr1+Td3
これにより、レーザシステム制御部31は、第3パルスの遅延時間Tr3が設定された目標値となるように、遅延回路5を制御してもよい。
S146cの後、ドーピング制御部45は、本フローチャートの処理を終了して、メインフローに戻ってもよい。
【0146】
7.3 作用
以上のように、第5の実施形態においては、複数のレーザ部によるパルスレーザ光の出力タイミングは、遅延回路5によって設定され得る。また、複数のレーザ部によるパルスレーザ光の光強度比は、それぞれのレーザ部の充電コンデンサの充電電圧によって設定され得る。
【0147】
第5の実施形態においては、第1〜第3パルスの光強度比を制御するために、第1〜第3のレーザ部2a〜2cに対する目標パルスエネルギーを設定している。これとは別に、被照射物に対して照射されるパルスレーザ光のフルーエンスを制御するために、アッテネータ18が別途制御されてもよい。
【0148】
第5の実施形態によれば、複数のレーザ部によるパルスレーザ光の出力タイミングと光強度比を個別に設定することができる。従って、これらのパルスレーザ光を重ね合わせたパルスレーザ光の時間波形の自由度が、第1〜第4の実施形態と比べて向上し得る。
【0149】
8.ホウ素を含む溶液を用いたレーザドーピング装置(第6の実施形態)
図21は、本開示の第6の実施形態に係るレーザドーピング装置において、ドーパントを含む溶液としてホウ素を含む溶液を用いた場合に、4H−SiCにドーピングされたホウ素の濃度とドーピング深さとの関係を示すグラフである。第6の実施形態に係るレーザドーピング装置の図示は省略するが、ホウ素を含む溶液を用いる他は、図1を参照しながら説明したレーザドーピング装置と同様の装置であってもよい。すなわち、第6の実施形態においては、パルスレーザ光のパルスストレッチをしなくてもよい。
【0150】
ドーパントを含む溶液としては、飽和濃度のホウ酸水溶液を用いた。パルスレーザ光としては、KrFエキシマレーザ光を用い、1パルスあたりのフルーエンスは4.5J/cmであり、1箇所への照射ショット数は1パルスであった。パルス時間幅ΔTTISは、50nsであった。
【0151】
p型ドーパントを含む溶液中でSiCにレーザ光を照射することによる不純物のドーピングにおいては、p型ドーパントとしてアルミニウムが用いられていたが、40nm以上のドーピング深さを達成することができなかった。第6の実施形態によれば、p型ドーパントとしてホウ素を用いたことにより、パルスストレッチしなくても約400nmの深さまでドーピングできることがわかった。
【0152】
図21においては、4H−SiCにホウ素をドーピングした場合について説明したが、本開示はこれに限定されない。ダイヤモンドやGaNへのドーピングであっても、ホウ素を含む溶液中でパルスレーザ光を照射することによって、パルスレーザ光のパルス時間幅を伸長しなくても、ドーピング深さが大きくなることが期待できる。
【0153】
9.その他
9.1 レーザ装置の詳細
図22は、上述のレーザ装置の具体的構成を示す。図22に示されるレーザ装置2は、レーザチャンバ10と、一対の電極11a及び11bと、充電器12と、パルスパワーモジュール(PPM)13と、を含んでもよい。図22においては、レーザ光の進行方向に略垂直な方向から見たレーザチャンバ10の内部構成が示されている。
【0154】
レーザ装置2は、さらに、クロスフローファン21と、モータ22と、を含んでもよい。レーザ装置2は、さらに、高反射ミラー14と、出力結合ミラー15と、パルスエネルギー計測部17と、レーザ制御部30と、レーザガス供給排気装置23と、を含んでもよい。
【0155】
レーザチャンバ10は、上述のレーザ媒質が封入されるチャンバでもよい。圧力センサ24は、レーザチャンバ10内のレーザガスの圧力を計測するように配管を介してレーザチャンバ10に接続されていてもよい。一対の電極11a及び11bは、レーザ媒質を放電により励起するための電極として、レーザチャンバ10内に配置され得る。レーザチャンバ10には開口が形成され、この開口を電気絶縁部20が塞いでいてもよい。電極11aは電気絶縁部20に支持され、電極11bはレーザチャンバ10の内部仕切板10cに支持されていてもよい。電気絶縁部20には、導電部20aが埋め込まれていてもよい。導電部20aは、パルスパワーモジュール13から供給される高電圧を電極11aに印加するように、パルスパワーモジュール13の高電圧端子と電極11aとを電気的に接続してもよい。レーザチャンバ10は、ガス配管によってレーザガス供給排気装置23に接続されてもよい。
【0156】
クロスフローファン21の回転軸は、レーザチャンバ10の外部に配置されたモータ22に接続されていてもよい。モータ22がクロスフローファン21を回転させることにより、レーザガスがレーザチャンバ10の内部で循環してもよい。
【0157】
電源装置は、充電器12と、パルスパワーモジュール13と、を含んでもよい。パルスパワーモジュール13は、充電コンデンサと、スイッチ13aと、を含んでもよい。充電器12の出力は、充電コンデンサと接続され、充電器12は、一対の電極11a及び11b間に高電圧を印加するための電気エネルギーを保持し得る。レーザ制御部30によって制御されるスイッチ13aがOFFからONになると、パルスパワーモジュール13は、充電コンデンサに保持されていた電気エネルギーからパルス状の高電圧を生成し、この高電圧を一対の電極11a及び11b間に印加してもよい。
【0158】
一対の電極11a及び11b間に高電圧が印加されると、一対の電極11a及び11b間に放電が起こり得る。この放電のエネルギーにより、レーザチャンバ10内のレーザ媒質が励起されて高エネルギー準位に移行し得る。励起されたレーザ媒質が、その後低エネルギー準位に移行するとき、そのエネルギー準位差に応じた波長の光を放出し得る。
【0159】
レーザチャンバ10の両端にはウインドウ10a及び10bが設けられてもよい。レーザチャンバ10内で発生した光は、ウインドウ10a及び10bを介してレーザチャンバ10の外部に出射し得る。
【0160】
高反射ミラー14は、レーザチャンバ10のウインドウ10aから出射された光を高い反射率で反射し、レーザチャンバ10内に戻してもよい。
出力結合ミラー15の表面には、部分反射膜がコーティングされていてもよい。従って、出力結合ミラー15は、レーザチャンバ10のウインドウ10bから出力される光のうちの一部を透過させて出力し、他の一部を反射させてレーザチャンバ10内に戻してもよい。
【0161】
高反射ミラー14と出力結合ミラー15とで、光共振器が構成され得る。レーザチャンバ10から出射した光は、高反射ミラー14と出力結合ミラー15との間で往復し、電極11aと電極11bとの間のレーザゲイン空間を通過する度に増幅され得る。増幅された光の一部が、出力結合ミラー15を介して、パルスレーザ光として出力され得る。
【0162】
パルスエネルギー計測部17は、ビームスプリッタ17aと、集光光学系17bと、光センサ17cとを含んでもよい。ビームスプリッタ17aは、出力結合ミラー15を透過したパルスレーザ光を高い透過率で透過させるとともに、パルスレーザ光の一部を集光光学系17bに向けて反射してもよい。集光光学系17bは、ビームスプリッタ17aによって反射された光を光センサ17cの感光面に集光してもよい。光センサ17cは、感光面に集光されたレーザ光のパルスエネルギーを検出し、パルスエネルギーの検出データをレーザ制御部30に出力してもよい。
【0163】
レーザ制御部30は、例えば、充電器12に対して充電電圧の設定信号を送信したり、パルスパワーモジュール13に対してスイッチON又はOFFの発光トリガ信号を送信したりしてもよい。さらに、レーザ制御部30は、レーザチャンバ10内のレーザガスの圧力を制御するために、圧力センサ24の検出値に基づいて、レーザガス供給排気装置23を制御してもよい。
【0164】
レーザ制御部30は、パルスエネルギー計測部17からパルスエネルギーの検出データを受信してもよく、このパルスエネルギーの検出データを参照して充電器12の充電電圧やレーザチャンバ10内のレーザガスの圧力を制御してもよい。充電器12の充電電圧やレーザガスの圧力を制御することにより、パルスレーザ光のパルスエネルギーが制御されてもよい。また、レーザ制御部30は、パルスエネルギー計測部17から受信したデータに基づいて、エキシマレーザ装置の発振パルス数を計数してもよい。
【0165】
図23は、図22に示されるレーザチャンバの内部構成と、パルスパワーモジュールの構成とを示す。図23においては、レーザ光の進行方向に略平行な方向から見たレーザチャンバ10の内部構成が示されている。レーザチャンバ10の内部仕切板10cを含む導電性部材は、接地電位に接続されてもよい。電極11bは内部仕切板10cを介して接地電位に接続されていてもよい。
【0166】
レーザチャンバ10の内部には、一対の電極11a及び11bと、クロスフローファン21との他に、熱交換器26が配置されてもよい。クロスフローファン21が回転することにより、レーザガスは、矢印Aで示されるようにレーザチャンバ10の内部で循環してもよい。熱交換器26は、放電によって高温となったレーザガスの熱エネルギーをレーザチャンバ10の外部に排出してもよい。
【0167】
パルスパワーモジュール13は、充電コンデンサC0と、スイッチ13aと、昇圧トランスTC1と、複数の磁気スイッチSr1〜Sr3と、複数のコンデンサC1、C2、C3と、を含んで構成されてもよい。
【0168】
磁気スイッチSr1〜Sr3は、いずれも、可飽和リアクトルを含んでもよい。磁気スイッチSr1〜Sr3の各々は、その両端に印加された電圧の時間積分値が、各磁気スイッチの特性で決まる所定の値になったときに、低インピーダンスになるようにしてもよい。
【0169】
充電器12には、レーザ制御部30により充電電圧が設定されてもよい。充電器12は、設定された充電電圧に基づいて、充電コンデンサC0を充電してもよい。
パルスパワーモジュール13のスイッチ13aには、レーザ制御部30により発光トリガ信号が入力されてもよい。発光トリガ信号がスイッチ13aに入力されると、スイッチ13aがONになってもよい。スイッチ13aがONになると、充電コンデンサC0から昇圧トランスTC1の1次側に電流が流れ得る。
【0170】
昇圧トランスTC1の1次側に電流が流れると、電磁誘導によって昇圧トランスTC1の2次側に逆方向の電流が流れ得る。昇圧トランスTC1の2次側に電流が流れると、やがて磁気スイッチSr1に印加される電圧の時間積分値が閾値に達し得る。
【0171】
磁気スイッチSr1に印加される電圧の時間積分値が閾値に達すると、磁気スイッチSr1は磁気飽和した状態となり、磁気スイッチSr1は閉じ得る。
磁気スイッチSr1が閉じると、昇圧トランスTC1の2次側からコンデンサC1に電流が流れ、コンデンサC1が充電され得る。
【0172】
コンデンサC1が充電されることにより、やがて磁気スイッチSr2は磁気飽和した状態となり、磁気スイッチSr2は閉じ得る。
磁気スイッチSr2が閉じると、コンデンサC1からコンデンサC2に電流が流れ、コンデンサC2が充電され得る。このとき、コンデンサC1を充電する際の電流のパルス幅よりも短いパルス幅で、コンデンサC2が充電されてもよい。
【0173】
コンデンサC2が充電されることにより、やがて磁気スイッチSr3は磁気飽和した状態となり、磁気スイッチSr3は閉じ得る。
磁気スイッチSr3が閉じると、コンデンサC2からコンデンサC3に電流が流れ、コンデンサC3が充電され得る。このとき、コンデンサC2を充電する際の電流のパルス幅よりも短いパルス幅で、コンデンサC3が充電されてもよい。
【0174】
このように、コンデンサC1からコンデンサC2、コンデンサC2からコンデンサC3へと電流が順次流れることにより、当該電流のパルス幅は圧縮され、高電圧化され得る。
【0175】
コンデンサC3の電圧がレーザガスのブレークダウン電圧に達したときに、一対の電極11a及び11b間のレーザガスに絶縁破壊が生じ得る。これにより、レーザガスが励起され、レーザ発振して、パルスレーザ光が出力され得る。このような放電動作が、スイッチ13aのスイッチング動作によって繰り返されることにより、所定の発振周波数で、パルスレーザ光が出力されてもよい。
【0176】
9.2 フライアイレンズの構成
図24は、上述のビームホモジナイザ41に含まれるフライアイレンズ41aの例を示す斜視図である。フライアイレンズ41aにおいては、紫外領域の光を高い透過率で透過させる基板の第1の面に、複数の凹面のシリンドリカル面411がY方向に配列されていてもよい。当該基板の第1の面と反対側の第2の面に、複数の凹面のシリンドリカル面412がX方向に配列されていてもよい。シリンドリカル面411の前側焦点面の位置と、シリンドリカル面412の前側焦点面の位置とは略一致していてもよい。
【0177】
図25は、上述のビームホモジナイザ41に含まれるフライアイレンズの変形例を示す斜視図である。フライアイレンズは、1枚の基板の2つの面にそれぞれシリンドリカル面が形成されたものに限定されず、2枚の基板41c及び41dにそれぞれシリンドリカル面413及び414が形成されたものでもよい。シリンドリカル面413及び414は凹面である場合に限定されず、凸面であってもよい。その他の点については、図24を参照しながら説明したものと同様でよい。
【0178】
9.3 制御部の構成
図26は、制御部の概略構成を示すブロック図である。
上述した実施の形態におけるドーピング制御部45、レーザシステム制御部31等の制御部は、コンピュータやプログラマブルコントローラ等汎用の制御機器によって構成されてもよい。例えば、以下のように構成されてもよい。
【0179】
(構成)
制御部は、処理部1000と、処理部1000に接続される、ストレージメモリ1005と、ユーザインターフェイス1010と、パラレルI/Oコントローラ1020と、シリアルI/Oコントローラ1030と、A/D、D/Aコンバータ1040とによって構成されてもよい。また、処理部1000は、CPU1001と、CPU1001に接続された、メモリ1002と、タイマー1003と、GPU1004とから構成されてもよい。
【0180】
(動作)
処理部1000は、ストレージメモリ1005に記憶されたプログラムを読出してもよい。また、処理部1000は、読出したプログラムを実行したり、プログラムの実行に従ってストレージメモリ1005からデータを読出したり、ストレージメモリ1005にデータを記憶させたりしてもよい。
【0181】
パラレルI/Oコントローラ1020は、パラレルI/Oポートを介して通信可能な機器1021〜102xに接続されてもよい。パラレルI/Oコントローラ1020は、処理部1000がプログラムを実行する過程で行うパラレルI/Oポートを介した、デジタル信号による通信を制御してもよい。
【0182】
シリアルI/Oコントローラ1030は、シリアルI/Oポートを介して通信可能な機器1031〜103xに接続されてもよい。シリアルI/Oコントローラ1030は、処理部1000がプログラムを実行する過程で行うシリアルI/Oポートを介した、デジタル信号による通信を制御してもよい。
【0183】
A/D、D/Aコンバータ1040は、アナログポートを介して通信可能な機器1041〜104xに接続されてもよい。A/D、D/Aコンバータ1040は、処理部1000がプログラムを実行する過程で行うアナログポートを介した、アナログ信号による通信を制御してもよい。
【0184】
ユーザインターフェイス1010は、オペレータが処理部1000によるプログラムの実行過程を表示したり、オペレータによるプログラム実行の中止や割り込み処理を処理部1000に行わせたりするよう構成されてもよい。
【0185】
処理部1000のCPU1001はプログラムの演算処理を行ってもよい。メモリ1002は、CPU1001がプログラムを実行する過程で、プログラムの一時記憶や、演算過程でのデータの一時記憶を行ってもよい。タイマー1003は、時刻や経過時間を計測し、プログラムの実行に従ってCPU1001に時刻や経過時間を出力してもよい。GPU1004は、処理部1000に画像データが入力された際、プログラムの実行に従って画像データを処理し、その結果をCPU1001に出力してもよい。
【0186】
パラレルI/Oコントローラ1020に接続される、パラレルI/Oポートを介して通信可能な機器1021〜102xは、レーザ装置2、他の制御部等の発光トリガ信号やタイミングを示す信号の受送信に使用してもよい。
シリアルI/Oコントローラ1030に接続される、シリアルI/Oポートを介して通信可能な機器1031〜103xは、レーザ装置2、光学パルスストレッチャー16α、アッテネータ18、XYZステージ43g、他の制御部等のデータの受送信に使用してもよい。A/D、D/Aコンバータ1040に接続される、アナログポートを介して通信可能な機器1041〜104xは、パルス時間波形計測部19、モニタ装置44等の各種センサであってもよい。
以上のように構成されることで、制御部は各実施形態に示された動作を実現可能であってよい。
【0187】
上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図したものである。従って、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本開示の実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
【0188】
本明細書及び添付の特許請求の範囲全体で使用される用語は、「限定的でない」用語と解釈されるべきである。例えば、「含む」又は「含まれる」という用語は、「含まれるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。また、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される修飾句「1つの」は、「少なくとも1つ」又は「1又はそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【手続補正書】
【提出日】20190422
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板にパルスレーザ光を照射して前記半導体基板にドーピングを行うレーザドーピング装置であって、
第1及び第2のパルスレーザ光を出力するレーザ装置と、
前記第1及び第2のパルスレーザ光のパルス時間波形と、フルーエンスと、照射領域と、を制御する制御部と、
を備え
前記制御部は、
第1のパルス時間波形及び第1のフルーエンスを有する前記第1のパルスレーザ光が、前記半導体基板の第1の照射領域に照射され、
前記第1のパルス時間波形と異なる第2のパルス時間波形及び前記第1のフルーエンスと異なる第2のフルーエンスを有する前記第2のパルスレーザ光が、前記半導体基板の第2の照射領域であって前記第1の照射領域と異なる前記第2の照射領域に照射されるように、
前記第1及び第2のパルスレーザ光のパルス時間波形と、フルーエンスと、照射領域と、を制御す
レーザドーピング装置。
【請求項2】
前記制御部は、光学パルスストレッチャーを含み、
前記光学パルスストレッチャーは、前記第1のパルスレーザ光を、第3のパルスレーザ光と第4のパルスレーザ光とに分離させ、前記第3のパルスレーザ光に対して前記第4のパルスレーザ光を遅延させて出力することにより、前記第1のパルスレーザ光のパルス時間波形を制御するように構成された、
請求項1記載のレーザドーピング装置。
【請求項3】
前記光学パルスストレッチャーから出力される前記第3のパルスレーザ光の光強度の最大値は、前記光学パルスストレッチャーから出力される前記第4のパルスレーザ光の光強度の最大値より大きい、
請求項2記載のレーザドーピング装置。
【請求項4】
前記光学パルスストレッチャーから出力される前記第3及び第4のパルスレーザ光の時間波形は互いに一部重なり合っている、
請求項3記載のレーザドーピング装置。
【請求項5】
前記光学パルスストレッチャーは、前記第2のパルスレーザ光を、第5のパルスレーザ光と第6のパルスレーザ光とに分離させ、前記第5のパルスレーザ光に対して前記第6のパルスレーザ光を遅延させて出力することにより、前記第2のパルスレーザ光のパルス時間波形を制御するように構成された、
請求項2記載のレーザドーピング装置。
【請求項6】
前記光学パルスストレッチャーから出力される前記第3のパルスレーザ光の光強度の最大値は、前記光学パルスストレッチャーから出力される前記第4のパルスレーザ光の光強度の最大値より大きく、
前記光学パルスストレッチャーから出力される前記第5のパルスレーザ光の光強度の最大値は、前記光学パルスストレッチャーから出力される前記第6のパルスレーザ光の光強度の最大値より大きい、
請求項5記載のレーザドーピング装置。
【請求項7】
前記光学パルスストレッチャーから出力される前記第3及び第4のパルスレーザ光の時間波形は互いに一部重なり合っており、
前記光学パルスストレッチャーから出力される前記第5及び第6のパルスレーザ光の時間波形は互いに一部重なり合っている、
請求項6記載のレーザドーピング装置。
【請求項8】
前記レーザ装置は、
第7及び第8のパルスレーザ光を出力する第1のレーザ部と、
第9及び第10のパルスレーザ光を出力する第2のレーザ部と、
前記第7のパルスレーザ光と前記第9のパルスレーザ光とを重ね合わせて前記第1のパルスレーザ光を出力し、前記第8のパルスレーザ光と前記第10のパルスレーザ光とを重ね合わせて前記第2のパルスレーザ光を出力する光学系と、
を含む、請求項1記載のレーザドーピング装置。
【請求項9】
前記制御部は、遅延回路を含み、
前記遅延回路は、
前記第1のレーザ部が第1のタイミングで前記第7のパルスレーザ光を出力するように、前記第1のレーザ部に第1のトリガ信号を出力し、
前記第2のレーザ部が前記第1のタイミングより後の第2のタイミングで前記第9のパルスレーザ光を出力するように、前記第2のレーザ部に第2のトリガ信号を出力することにより、
前記第1のパルスレーザ光のパルス時間波形を制御するように構成された、
請求項8記載のレーザドーピング装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記光学系から出力される前記第7のパルスレーザ光の光強度の最大値が、前記光学系から出力される前記第9のパルスレーザ光の光強度の最大値より大きくなるように、前記第1及び第2のレーザ部の目標パルスエネルギーを設定する、
請求項9記載のレーザドーピング装置。
【請求項11】
前記光学系から出力される前記第7及び第9のパルスレーザ光の時間波形は互いに一部重なり合っている、
請求項10記載のレーザドーピング装置。
【請求項12】
前記遅延回路は、
前記第1のレーザ部が第3のタイミングで前記第8のパルスレーザ光を出力するように、前記第1のレーザ部に第3のトリガ信号を出力し、
前記第2のレーザ部が前記第3のタイミングより後の第4のタイミングで前記第10のパルスレーザ光を出力するように、前記第2のレーザ部に第4のトリガ信号を出力することにより、
前記第2のパルスレーザ光のパルス時間波形を制御するように構成された、
請求項9記載のレーザドーピング装置。
【請求項13】
前記制御部は、
前記光学系から出力される前記第7のパルスレーザ光の光強度の最大値が、前記光学系から出力される前記第9のパルスレーザ光の光強度の最大値より大きく、前記光学系から出力される前記第8のパルスレーザ光の光強度の最大値が、前記光学系から出力される前記第10のパルスレーザ光の光強度の最大値より大きくなるように、前記第1及び第2のレーザ部の目標パルスエネルギーを設定する、
請求項12記載のレーザドーピング装置。
【請求項14】
前記光学系から出力される前記第7及び第9のパルスレーザ光の時間波形は互いに一部重なり合っており、
前記光学系から出力される前記第8及び第10のパルスレーザ光の時間波形は互いに一部重なり合っている、
請求項13記載のレーザドーピング装置。
【請求項15】
前記制御部は、アッテネータを含み、
前記アッテネータは、前記第1及び第2のパルスレーザ光のフルーエンスを制御するように構成された、
請求項1〜請求項14のいずれか一項記載のレーザドーピング装置。
【請求項16】
前記制御部は、可変スリットを含み、
前記可変スリットは、前記第1及び第2のパルスレーザ光の照射領域を制御するように構成された、
請求項1〜請求項15のいずれか一項記載のレーザドーピング装置。
【請求項17】
前記制御部は、
前記第1の照射領域のドーパント濃度が前記第2の照射領域のドーパント濃度より高く、
前記第1の照射領域のドーピング深さが前記第2の照射領域のドーピング深さより浅くなるように、
前記第1及び第2のパルスレーザ光のパルス時間波形と、フルーエンスと、照射領域と、を制御する、
請求項1〜請求項16のいずれか一項記載のレーザドーピング装置。
【請求項18】
前記制御部は、
前記第1のフルーエンスが前記第2のフルーエンスより高く、
前記第1のパルス時間波形で示される第1のパルス時間幅が前記第2のパルス時間波形で示される第2のパルス時間幅より短くなるように、
前記第1及び第2のパルスレーザ光のパルス時間波形と、フルーエンスと、照射領域と、を制御する、
請求項1〜請求項17のいずれか一項記載のレーザドーピング装置。
【請求項19】
前記パルスレーザ光の波長は、248nm以上、308nm以下である、請求項1〜請求項18のいずれか一項記載のレーザドーピング装置。
【請求項20】
半導体基板にパルスレーザ光を照射して前記半導体基板にドーピングを行うレーザドーピング方法であって、
第1及び第2のパルスレーザ光を出力することと、
前記第1及び第2のパルスレーザ光のパルス時間波形と、フルーエンスと、照射領域と、を制御することと、
を備え
前記制御は、
第1のパルス時間波形及び第1のフルーエンスを有する前記第1のパルスレーザ光が、前記半導体基板の第1の照射領域に照射され、
前記第1のパルス時間波形と異なる第2のパルス時間波形及び前記第1のフルーエンスと異なる第2のフルーエンスを有する前記第2のパルスレーザ光が、前記半導体基板の第2の照射領域であって前記第1の照射領域と異なる前記第2の照射領域に照射されるように、
前記第1及び第2のパルスレーザ光のパルス時間波形と、フルーエンスと、照射領域と、を制御す
レーザドーピング方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本開示の1つの観点に係るレーザドーピング装置は、半導体基板にパルスレーザ光を照射して半導体基板にドーピングを行うレーザドーピング装置であって、第1及び第2のパルスレーザ光を出力するレーザ装置と、第1及び第2のパルスレーザ光のパルス時間波形と、フルーエンスと、照射領域と、を制御する制御部と、を備え、制御部は、第1のパルス時間波形及び第1のフルーエンスを有する第1のパルスレーザ光が、半導体基板の第1の照射領域に照射され、第1のパルス時間波形と異なる第2のパルス時間波形及び第1のフルーエンスと異なる第2のフルーエンスを有する第2のパルスレーザ光が、半導体基板の第2の照射領域であって第1の照射領域と異なる第2の照射領域に照射されるように、第1及び第2のパルスレーザ光のパルス時間波形と、フルーエンスと、照射領域と、を制御してもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本開示の他の1つの観点に係るレーザドーピング方法は、半導体基板にパルスレーザ光を照射して半導体基板にドーピングを行うレーザドーピング方法であって、第1及び第2のパルスレーザ光を出力することと、第1及び第2のパルスレーザ光のパルス時間波形と、フルーエンスと、照射領域と、を制御することと、を備え、第1のパルス時間波形及び第1のフルーエンスを有する第1のパルスレーザ光が、半導体基板の第1の照射領域に照射され、第1のパルス時間波形と異なる第2のパルス時間波形及び第1のフルーエンスと異なる第2のフルーエンスを有する第2のパルスレーザ光が、半導体基板の第2の照射領域であって第1の照射領域と異なる第2の照射領域に照射されるように、第1及び第2のパルスレーザ光のパルス時間波形と、フルーエンスと、照射領域と、を制御してもよい。