(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2019145932
(43)【公開日】20190829
(54)【発明の名称】無線通信装置、電子機器、及び無線通信装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/14 20090101AFI20190802BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20190802BHJP
   H04W 36/02 20090101ALI20190802BHJP
   H04W 36/06 20090101ALI20190802BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20190802BHJP
【FI】
   !H04W16/14
   !H04W84/12
   !H04W36/02
   !H04W36/06
   !H04W72/04 132
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】2018026695
(22)【出願日】20180219
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】クラリオン株式会社
【住所又は居所】埼玉県さいたま市中央区新都心7番地2
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】臼井 章郎
【住所又は居所】埼玉県さいたま市中央区新都心7番地2 クラリオン株式会社内
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067EE02
5K067EE10
5K067JJ12
5K067JJ38
(57)【要約】
【課題】ユーザの快適性の向上を図る。
【解決手段】2.4GHz帯域、及び5GHz帯域を選択的に用いて無線通信する無線通信部22と、5GHz帯域を優先使用するレーダー波の有無を検出する電波検出制御部30と、前記レーダー波の有無に応じて、前記無線通信に用いる周波数帯を切り替る切替部34と、前記無線通信部22が受信したデータを転送するデータ転送部24と、を有した無線通信装置12において、前記データを蓄積するデータ蓄積部26と、を備え、前記データ蓄積部26は、前記電波検出制御部30の検出の間に前記データ転送部24が転送する分のデータを前記電波検出制御部30による検出に先立って予め蓄積する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1周波数帯域、及び第2周波数帯域を選択的に用いて無線通信する無線通信部と、
前記第1周波数帯域を優先使用する他の電波の有無を検出する電波検出部と、
前記他の電波の有無に応じて、前記無線通信に用いる周波数帯を切り替る切替部と、
前記無線通信部が受信したデータを転送するデータ転送部と、
を有した無線通信装置において、
前記データを蓄積するデータ蓄積部と、を備え、
前記データ蓄積部は、
前記電波検出部の検出の間に前記データ転送部が転送する分のデータを前記電波検出部の検出に先立って予め蓄積する
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記無線通信部が前記第2周波数帯域を用いて無線通信を開始した後、前記他の電波が存在しなくなった蓋然性が高くなったことを示す所定条件の成立を判定する条件判定部を備え、
前記データ蓄積部は、前記所定条件が成立した場合に前記データの蓄積を開始し、
前記電波検出部は、前記データの蓄積の完了後に、前記他の電波の検出を開始する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記データ蓄積部が蓄積するデータは、ストリーミング再生に供されるストリーミングデータ、又は、音声通話の音声データである
ことを特徴とする請求項1または2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記電波検出部は、
前記無線通信部の無線通信が停止された状態で所定時間に亘り前記他のデータの有無を検出する、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の無線通信装置と、
前記データ転送部によって転送されるデータを利用するアプリケーションプログラムを実行するアプリケーション実行部と、を備える
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
第1周波数帯域、及び第2周波数帯域を選択的に用いて無線通信する無線通信部と、
前記第1周波数帯域を優先使用する他の電波の有無を検出する電波検出部と、
前記他の電波の有無に応じて、前記無線通信に用いる周波数帯を切り替る切替部と、
前記無線通信が受信したデータを転送するデータ転送部と、
を有した無線通信装置の制御方法において、
前記電波検出部の検出の間に前記データ転送部が転送する分のデータを前記電波検出部の検出に先立って予め蓄積するステップと、
前記電波検出部の検出の間は、前記データ転送部が前記予め蓄積されたデータを転送するステップと、を備える
ことを特徴とする無線通信装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置、電子機器、及び無線通信装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線LAN(Local Area Network)の無線通信では、2.4GHz、及び5GHzの周波数帯域の電波が用いられている。一方、日本国内では、気象レーダーや軍事レーダー、航空レーダーなどの各種のレーダーシステムが5GHz帯域をレーダーに用いている。そこで、無線LANとレーダーシステムとの電波干渉を避け、かつ、各種のレーダーシステムが5GHz帯域を優先的に使用可能にするために、無線LAN用の無線通信装置には、DFS(Dynamic Frequency Selection)と呼ばれるレーダー検出機能の搭載が義務づけられている。
【0003】
DFSは、一般に、レーダー波の有無をモニタリングするモニタリング機能と、モニタリングによってレーダー波が検出された時に通信チャネルを移行する通信チャネル移行機能と、を含んでいる。
【0004】
レーダー波のモニタリングでは、運用前モニタリング(Channel Availability Check)、及び運用中モニタリング(In-Service Monitoring)が行われる。
運用前モニタリングは、無線通信装置が5GHz帯域内の通信チャネルを使用して無線通信を開始する前に行われるモニタリング動作である。この運用前モニタリングにおいては、無線通信装置は、データの送信を行わない状態で、5GHz帯域における使用予定の通信チャネルを所定時間(例えば、約60秒間)に亘ってモニタリングし、その通信チャネルについてレーダー波の有無をチェックする。
運用中モニタリングは、無線通信装置が5GHz帯域の通信チャネルを使って無線通信している場合に行われるモニタリング動作である。この運用中モニタリングでは、無線通信装置は、無線通信しながら継続的に当該通信チャネルにおけるレーダー波を検出し、レーダー波を検出した場合には、チャネル立ち退き時間(Channel Move Time)内(例えば10秒以下)に当該通信チャネルでの無線通信を停止するか、干渉がない別の通信チャネルへ切り替える。
【0005】
レーダー波が検出された通信チャネルについては、無線通信装置は一定時間(例えば30分)以上通信を行わない取り決めとなっている。このため、無線通信装置が5GHz帯域の複数の通信チャネルを無線通信に使用可能な場合、使用中、又は使用予定の通信チャネルにおいてレーダー波が検出されたときには、当該レーダー波と干渉しない別の通信チャネルを見つけるために、運用中モニタリングによって他の通信チャネルを順次に検索するため、検索に時間を要することとなる。したがって、無線通信装置が例えば映像データなどのストリーミング再生されるデータの伝送中に、DFSによって通信チャネルの切替の必要性が生じると、検索の間、データ伝送が中断し、ストリーミング再生に不具合が生じ得る。
【0006】
そこで、従来、無線通信装置がデータのデータ伝送に先立って5GHz帯域の中でレーダー波との電波干渉を生じない通信チャネルを選択し、又は、データ伝送に先立って2.4GHz帯域の通信チャネルに予め切り替えておくことで、ストリーミング再生時の不具合を回避する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2013/179397号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、5GHz帯域の無線通信は、2.4GHz帯域の無線通信に比べて高速通信が可能であり、ストリーミング再生に供されるデータのような大容量のデータを伝送する状況においては、2.4GHz帯域よりも5GHz帯域の無線通信を用いることで快適性が高められる。
しかしながら、特許文献1の技術では、積極的に5GHz帯域を通信に用いておらず、ユーザの快適性を十分には得られていなかった。
【0009】
本発明は、ユーザの快適性を向上させることができる無線通信装置、電子機器、及び無線通信装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、第1周波数帯域、及び第2周波数帯域を選択的に用いて無線通信する無線通信部と、前記第1周波数帯域を優先使用する他の電波の有無を検出する電波検出部と、前記他の電波の有無に応じて、前記無線通信に用いる周波数帯を切り替る切替部と、前記無線通信部が受信したデータを転送するデータ転送部と、を有した無線通信装置において、前記データを蓄積するデータ蓄積部と、を備え、前記データ蓄積部は、前記電波検出部の検出の間に前記データ転送部が転送する分のデータを前記電波検出部の検出に先立って予め蓄積することを特徴とする。
【0011】
本発明は、上述の無線通信装置において、前記無線通信部が前記第2周波数帯域を用いて無線通信を開始した後、前記他の電波が存在しない蓋然性が高くなったことを示す所定条件の成立を判定する条件判定部を備え、前記データ蓄積部は、前記所定条件が成立した場合に前記データの蓄積を開始し、前記電波検出部は、前記データの蓄積の完了後に、前記他の電波の検出を開始することを特徴とする。
【0012】
本発明は、上述の無線通信装置において、前記データ蓄積部が蓄積するデータは、ストリーミング再生に供されるストリーミングデータ、又は、音声通話の音声データであることを特徴とする。
【0013】
本発明は、上述の無線通信装置において、前記電波検出部は、前記無線通信部の無線通信が停止された状態で所定時間に亘り前記他のデータの有無を検出する、ことを特徴とする。
【0014】
本発明は、上記のいずれかの無線通信装置と、前記データ転送部によって転送されるデータを利用するアプリケーションプログラムを実行するアプリケーション実行部と、を備えることを特徴とする電子機器を提供する。
【0015】
本発明は、第1周波数帯域、及び第2周波数帯域を選択的に用いて無線通信する無線通信部と、前記第1周波数帯域を優先使用する他の電波の有無を検出する電波検出部と、前記他の電波の有無に応じて、前記無線通信に用いる周波数帯を切り替る切替部と、前記無線通信が受信したデータを転送するデータ転送部と、を有した無線通信装置の制御方法において、前記電波検出部の検出の間に前記データ転送部が転送する分のデータを前記電波検出部の検出に先立って予め蓄積するステップと、前記電波検出部の検出の間は、前記データ転送部が前記予め蓄積されたデータを転送するステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ユーザの快適性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る無線通信システムの構成を模式的に示す図である。
【図2】車載機の構成を示すブロック図である。
【図3】車載機における通信チャネルの切替処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る無線通信システム1の構成を模式的に示す図である。
無線通信システム1は、車両2に搭載される車載機4と、車両2の乗員が所持するモバイル端末6と、を備え、これらが相互に無線LANによって無線通信し、当該無線通信を通じてデータを送受する。
【0019】
車載機4は、各種のアプリケーションを実行可能な機器であり、このアプリケーションには、モバイル端末6から無線LANによる無線通信7を通じてデータを受信してストリーミング再生するプログラムが含まれている。
【0020】
モバイル端末6は、例えばスマートフォンや、携帯電話、タブレット型PC、ノート型PC、モバイルミュージックプレイヤー、スマートウォッチなどのモバイル型の電子機器である。またモバイル端末6は、車載機4からの要求に応じて、当該車載機4でのストリーミング再生に供されるデータを無線通信7により順次に送信する機能を有し、具体的には、制御部40と、無線通信部42と、データソース44と、を備えている。
【0021】
制御部40は、モバイル端末6の各部を制御するものであり、CPUやMPUなどのプロセッサなどによって構成されている。
無線通信部42は、制御部40の制御の下、車載機4との間で、無線LANを用いて無線接続し、無線通信7する無線通信デバイスを備えている。
データソース44は、車載機4によってストリーミング再生に供されるデータの源であり、当該データを予め格納するデータ格納手段、或いは外部からデータを取得するデータ取得手段を備えている。データ格納手段には、例えば半導体メモリやHDDディスク等のデータ記憶デバイスが挙げられる。データ取得手段には、インターネットや携帯電話網、近距離無線通信などの電気通信回線を通じて他の電子機器からデータを取得する通信デバイス、又は、有線接続された他の電子機器からデータを取得する有線接続インターフェースデバイスが挙げられる。
【0022】
制御部40は、ストリーミング再生に供するデータの送信要求を車載機4から無線通信7を通じて受けると、データソース44のデータを当該データの送信が完了するまで、又は、車載機4の側からの送信要求がなくなるまで、継続的に車載機4に送信する。
【0023】
図2は、車載機4の構成を示すブロック図である。
車載機4は、制御部10と、無線通信装置12と、現在位置検出部14と、車速取得部16と、を備えている。
制御部10は、車載機4の各部を制御するものであり、CPUやMPU等のプロセッサ、及びROMやRAMなどの記憶デバイスを備えたコンピュータやマイクロコンピュータなどによって構成されている。この制御部10は、各種のアプリケーションプログラム(以下、単に「アプリケーション」と言う)を実行するアプリケーション実行部18としても機能する。
【0024】
アプリケーションは、車載機4にプリインストールされ、或いは、ユーザによってインストールされたアプリケーションプログラムである。アプリケーションには、上述の通り、データソースとしてモバイル端末6を利用するものが含まれており、その例としては、オーディオ再生プログラムや映像再生プログラム、ハンズフリー通話プログラムなどが挙げられる。例えば、音声再生プログラムや映像再生プログラムの実行時には、モバイル端末6から車載機4へ、マルチメディアデータ(音楽データや映像データなど)が無線通信7によって送信される。またハンズフリー通話プログラムの実行中には、携帯電話網を通じてモバイル端末6が取得する通話音声のデータが無線通信7によってモバイル端末6から車載機4へ送信される。
【0025】
現在位置検出部14は、車両2の現在位置を検出し、当該現在位置を制御部10に出力するものであり、例えばGPSやジャイロセンサなどの位置検出センサを備えている。車速取得部16は、車両2の車速を当該車両2のECU等から取得し、当該車速を制御部10に出力する。なお、車速取得部16を通じて制御部10が車両2の車速センサの検出信号を取得し、当該検出信号に基づいて車速を算出してもよい。
【0026】
無線通信装置12は、制御部10の要求に応じて、モバイル端末6との間で、無線LANを用いて無線接続し、無線通信する装置である。
本実施形態において、無線LANの通信方式には、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)のLAN/MAN標準化委員会が規格化したIEEE 802.11シリーズ(IEEE 802.11a/b/g/n/ac)、或いはWi−Fi(登録商標)が用いられており、5GHz帯域(第1周波数帯域)、及び2.4GHz帯域(第2周波数帯域)の2つの周波数帯域が無線通信7に用いられる。車載機4とモバイル端末6とは、相互に無線通信するときには、これらの5GHz帯域、及び2.4GHz帯域を選択的に用いて無線通信する。なお、少なくとも日本国においては、上述の通り、気象レーダーや軍事レーダー、航空レーダーといったレーダーシステムがレーダー波の送受に5GHz帯域を優先使用するように決められている。
【0027】
本実施形態の無線通信装置12は、制御部20と、無線通信部22と、データ転送部24と、データ蓄積部26と、を備え、また、5GHz帯域の使用をレーダー波に優先させるための上述したDFSの機能を備えている。
制御部20は、無線通信装置12の各部を制御するものであり、CPUやMPU等のプロセッサ、及びROMやRAMなどの記憶デバイスを備えたコンピュータやマイクロコンピュータなどによって構成されている。この制御部20は、記憶デバイスに格納されている制御プログラムを実行することで、後述する電波検出制御部30、無線判定部32、切替部34、及び移行条件判定部36として機能する。
【0028】
無線通信部22は、制御部20の制御の下、2.4GHz帯域、及び5GHz帯域の各々に設定されている複数の通信チャネルのいずれかを選択的に使用し、モバイル端末6との間で無線LANにより無線通信する無線通信デバイスを備えている。
【0029】
データ転送部24は、制御部20の制御の下、車載機4とモバイル端末6の間で送受されるデータを、当該車載機4の制御部10と無線通信装置12の無線通信部22の間で転送する。
詳述すると、車載機4のアプリケーション実行部18によって、モバイル端末6のデータをストリーミング再生するアプリケーションが実行されている場合、モバイル端末6から車載機4へ、ストリーミング再生に供されるデータが無線送信される。このデータは、無線通信装置12の無線通信部22によって受信され、データ転送部24によって車載機4の制御部10(アプリケーション実行部18)に転送され、アプリケーション実行部18によってストリーミング再生される。
【0030】
データ蓄積部26は、制御部20の制御の下、データ転送部24の転送に供されるデータをバッファリングするメモリデバイスを備えている。データ蓄積部26が作動すると、無線通信部22によって受信されたデータはデータ蓄積部26に蓄積され、データ転送部24は当該データ蓄積部26に蓄積されているデータを転送する。
【0031】
また、車載機4は、電波検出制御部30と、無線判定部32と、切替部34と、移行条件判定部36と、を備え、これらによって上述のDFS機能が実現されている。
【0032】
電波検出制御部30は、運用前モニタリング、及び運用中モニタリングに際し、無線通信部22を制御して、5GHz帯域を優先使用するレーダー波を検出する。このレーダー波の検出は、電波の電界強度を検出することで行われ、無線通信部22には、電界強度を検出するための電界強度検出器が設けられている。
【0033】
無線判定部32は、レーダー波の検出結果に基づいて、5GHz帯域におけるレーダー波の有無を判定する。レーダー波の有無の判定は、例えば受信電界強度の検出値と所定閾値との比較によって行われる。
【0034】
切替部34は、使用予定又は使用中の通信チャネルにおけるレーダー波の有無に応じて、無線通信に使用する通信チャネル(すなわち周波数帯域)を、5GHz帯域、及び2.4GHz帯域の中で切り替えるものである。具体的には、切替部34は、5GHz帯域の中にレーダー波が存在しない通信チャネルがある場合には、その通信チャネルに切り替え、5GHz帯域の使用可能な全ての通信チャネルにレーダー波が存在する場合には、2.4GHz帯域の適宜の通信チャネルに切り替える。
【0035】
移行条件判定部36は、レーダー波が存在する等して2.4GHz帯域の通信チャネルが無線通信に使用されている場合に、所定移行条件の成立を判定する。この所定移行条件は、レーダー波が存在しない蓋然性が高くなったことを示す条件であり、例えば、車載機4(無線通信装置12)の移動距離や、前回のレーダー波検出動作からの経過時間などが条件に設定される。
所定移行条件が成立すると、レーダー波が存在しない蓋然性が高いため、電波検出制御部30が無線通信部22を制御して運用前モニタリングを行い、5GHz帯域におけるレーダー波の検出を開始する。これにより、レーダー波が存在しなくなったときに、速やかに5GHz帯域の通信チャネルに切り替えられる。
【0036】
ただし、運用前モニタリングが行われると、所定時間に亘り、データの送信を行わない状態(すなわち無線通信7を停止した状態)で、レーダー波の検出が実行されるため、車載機4がモバイル端末6のデータを無線通信7によって受信し、ストリーミング再生していた場合には、何ら対策を施さなければ、データ受信が中断し、ストリーミング再生に不都合が生じてしまう。
そこで、本実施形態では、係るストリーミング再生時に運用前モニタリングが行われる場合には、無線通信装置12のデータ蓄積部26に、運用前モニタリングに要する所定時間分のデータが当該運用前モニタリングの開始に先だって予め蓄積される。これにより、ストリーミング再生時に運用前モニタリングが開始されたとしても、運用前モニタリングに影響されずに、データのストリーミング再生が継続できるようになる。
【0037】
図3は、車載機4における通信チャネルの切替処理を示したフローチャートである。
同図に示すように、無線通信部22が5GHz帯域を使用して無線通信している場合(ステップS1)、電波検出制御部30は、運用中モニタリングを実行し、レーダー波を検出する(ステップS2)。運用中モニタリングによりレーダー波が見つかった場合(ステップS2:YES)、無線判定部32は、無線通信7で使用中の通信チャネルとレーダー波の帯域とが同じ(一部重複を含む)であるか否かを判定する(ステップS3)。
【0038】
無線通信7の通信チャネルとレーダー波の帯域が同じでない場合(ステップS3:NO)、通信チャネルを変更する必要がないため、車載機4は切替処理を終了する。
一方、無線通信7の通信チャネルとレーダー波の帯域とが同じである場合(ステップS3:YES)、無線判定部32は、無線通信7で使用可能な通信チャネルが5GHz帯域にあるか否かを運用中モニタリングの結果に基づいて判定する(ステップS4)。使用可能な通信チャネルがある場合(ステップS4:YES)、切替部34は、無線通信7に使用する通信チャネルを、その通信チャネルに切り替える(ステップS5)。一方、5GHz帯域に使用可能な通信チャネルが無い場合(ステップS4:NO)、切替部34は、無線通信7に使用中の通信チャネルを2.4GHz帯域の通信チャネルに切替え(ステップS6)、無線通信部22は当該2.4GHz帯域の通信チャネルを使用して無線通信7を継続する(ステップS7)。
【0039】
次いで、2.4GHz帯域の通信チャネルが無線通信7に使用されている間、移行条件判定部36が所定移行条件の成立を間欠的に判断する(ステップS8)。
所定移行条件は、上述の通り、レーダー波が存在しない蓋然性が高くなったことを示す条件であり、本実施形態では、次の2つの条件が設定されている。すなわち、第1の条件は、最後にレーダー波が見つかったときの車両2の位置から一定距離以上に亘って車両2が移動した場合であり、第2の条件は、最後にレーダー波が見つかったタイミングからの走行時間が一定時間以上に達した場合である。車載機4が取得している位置情報や、車速情報は適宜のタイミングで無線通信装置12に入力されており、移行条件判定部36は、これら位置情報、及び車速情報に基づいて移動距離や走行時間を特定し、所定移行条件の成立を判断する。
【0040】
所定移行条件が成立した場合(ステップS8:YES)、無線通信装置12では、必要に応じてデータ蓄積部26がバッファリングを実行し、当該バッファリングが完了した後(ステップS9、S10)、5GHz帯域の通信チャネルを無線通信7に使用するために、運用前モニタリングを実行することでレーダー波の検出を開始する(ステップS11)。
【0041】
バッファリングの実行について詳細には、先ず、無線通信7を所定時間に亘って停止してもよいか否かが判断され(ステップS9)、無線通信7の停止によって不都合が生じる場合には(ステップS9:NO)、制御部20の制御によってデータ蓄積部26がデータのバッファリングを開始する(ステップS10)。本実施形態において、無線通信7の停止の可否は、車載機4の制御部10が決定しており、無線通信装置12の制御部20は、この決定にしたがってステップS9、S10の処理を実行している。また車載機4の制御部10は、少なくとも、アプリケーション実行部18がモバイル端末6のデータをストリーミング再生している場合は、無線通信7の停止を禁止する。この結果、ストリーミング再生時に運用前モニタリングが開始されるときには、ステップS9、S10により、ストリーミング再生に供されるデータがデータ蓄積部26にバッファリングされることとなる。
【0042】
このバッファリングでは、所定時間の間にデータ転送部24によって転送されると予想されるデータ量のデータ、すなわち、所定時間以上、無線通信7を停止しても支障が無い程度のデータ量のデータがデータ蓄積部26に蓄積される。この所定時間は、運用前モニタリングにおけるレーダー波の検出時間(検出開始から検出終了までの時間)である。所定時間には、運用前モニタリングにおけるモニタリング時間を下回らない限り、任意の時間を設定できる。
また、予想されるデータ量は、バッファリング開始時のデータ転送部24から制御部10への平均データ転送速度(より正確には、ストリーミング再生に供されているデータの平均転送速度)と、所定時間とに基づいて、無線通信装置12の制御部20、又は、車載機4の制御部10によって算出される。予想されるデータ量の算出機能を、アプリケーション実行部18で実行されているアプリケーションプログラムが備えることもできる。
【0043】
さて、データ蓄積部26へのデータ蓄積(バッファリング)が完了すると、ステップS11において運用前モニタリングによってレーダー波の検出が開始される。当該運用前モニタリングのモニタリング中は、制御部20は、無線通信部22を制御して無線通信7を停止し、データ転送部24を制御してデータ蓄積部26にバッファリングされているデータを車載機4の制御部10(アプリケーション実行部18)に転送する。これにより、運用前モニタリングによって無線通信7(データの送受信)が停止しても、ストリーミング再生が停止することなく継続される。
【0044】
そして、ステップS11における運用前モニタリングの結果、無線通信7に利用可能な通信チャネルが5GHz帯域に見つからなかった場合(ステップS12:NO)、上述したステップS7〜ステップS12の処理が繰り返し実行される。一方、利用可能な5GHz帯域の通信チャネルが見つかった場合には(ステップS12:YES)、切替部34は、無線通信7に使用する通信チャネルを、その利用可能な通信チャネルに切り替える(ステップS5)。この結果、5GHzを利用した無線通信7が行われることとなる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態によれば、次のような効果を奏する。
【0046】
本実施形態の車載機4は、データを蓄積するデータ蓄積部26を無線通信装置12が備え、このデータ蓄積部26は、電波検出制御部30による運用前モニタリングの間にデータ転送部24が転送する分のデータを当該運用前モニタリングに先立って予め蓄積(バッファリング)する。
これにより、データの転送に影響を与えることなく、5GHz帯域を使うための運用前モニタリングを積極的に実施できるので、5GHz帯域を用いた無線通信が積極的に行われ、高速通信によるユーザの快適性の向上を図ることができる。
【0047】
本実施形態では、車載機4の無線通信装置12は、レーダー波が存在しない蓋然性が高いことを示す所定移行条件の成立を判定する移行条件判定部36を備え、この所定移行条件が成立した場合にデータ蓄積部26がデータの蓄積を開始し、このデータの蓄積の完了後に電波検出制御部30が運用前モニタリングを開始する。
これにより、レーダー波の存在によって2.4GHz帯域を使用して無線通信を行った場合でも、レーダー波が存在しない蓋然性が高くなったタイミングで、速やかに、5GHz帯域を使用した無線通信に切り替えられる。
【0048】
本実施形態では、データ蓄積部26が蓄積するデータは、ストリーミング再生に供されるストリーミングデータ、又は、音声通話の音声データである。これにより、ストリーミング再生や音声通話の音声出力を、運用前モニタリングに阻害されることなく継続できる。
【0049】
また電波検出制御部30は、運用前モニタリングにおいて、無線通信部22の無線通信を停止した状態で所定時間に亘りレーダー波の有無を検出するため、5GHz帯域に存在するレーダー波を正確に検出することができる。これにより、5GHz帯域をレーダー波に確実に優先使用させることができる。
【0050】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様の例示であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲において任意に変形、及び応用が可能である。
【0051】
上述した実施形態において、データ蓄積部26に蓄積されるデータは、ストリーミング再生に供されるストリーミングデータ、又は、音声通話の音声データに限らない。すなわち、無線通信7の停止によって、何らかの支障が生じ得る任意のデータをデータ蓄積部26に蓄積してもよい。
【0052】
上述した実施形態では、車載機4の制御部10が、無線通信7の停止の可否を決定したが(図3、ステップS9)、これに限らない。例えば、無線通信部22によって送受されているデータの内容に基づいて、無線通信装置12が、無線通信7の停止の可否を判断してもよい。
【0053】
上述した実施形態では、車載機4が無線通信装置12を内蔵する構成を例示したが、車載機4と無線通信装置12とが別体であってもよい。
さらに、図2は、本願発明を理解容易にするために、車載機4、及び無線通信装置12の機能構成を主な処理内容に応じて分類して示した概略図である。すなわち、車載機4、及び無線通信装置12の構成は、各々の処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。また、各構成要素の処理は、1つのプログラムで実現されてもよいし、複数のプログラムで実現されてもよい。
【0054】
図3のフローチャートの処理単位は、本願発明に係る処理の理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。すなわち、図3に示す処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。また、フローチャートにおける処理順序も、図示した例に限られるものではない。
【0055】
本発明は、無線通信7によって受信されるデータを利用するアプリケーションプログラムを実行する機器であれば、車載機4に限らず、任意の電子機器に適用できる。
【符号の説明】
【0056】
1 無線通信システム
2 車両
4 車載機(電子機器)
6 モバイル端末(他の電子機器)
7 無線通信
12 無線通信装置
18 アプリケーション実行部
20 制御部
22 無線通信部
24 データ転送部
26 データ蓄積部
30 電波検出制御部(電波検出部)
32 無線判定部
34 切替部
36 移行条件判定部(条件判定部)
【図1】
【図2】
【図3】