(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2019146063
(43)【公開日】20190829
(54)【発明の名称】増幅器
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/52 20060101AFI20190802BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20190802BHJP
【FI】
   !H03F1/52
   !H04R3/00 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】2018029571
(22)【出願日】20180222
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目12番地
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 健司
【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目12番地
【テーマコード(参考)】
5D220
5J500
【Fターム(参考)】
5D220AA21
5D220AB08
5J500AA02
5J500AA41
5J500AC56
5J500AC86
5J500AF01
5J500AF20
5J500AK20
5J500AK55
5J500AK65
5J500AS05
5J500AT01
5J500AT07
5J500PF09
5J500PG01
5J500PG07
(57)【要約】
【課題】増幅器の発熱による機能停止を防止する。
【解決手段】高周波帯域に音響透かし信号が重畳された音声信号を入力して増幅するアンプ1が、増幅部12の発熱を抑制する冷却ファン14又は音声信号レベルを所定の基準値以下に抑える可変リミッタ/コンプレッサ15と、音響透かし信号を検出し、音響透かし信号の検出結果に応じて冷却ファン14及び可変リミッタ/コンプレッサ15を動作させる音響透かし信号検出部13を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の周波数帯域に変調信号が重畳される音声信号を入力する入力部と、
前記音声信号を増幅する増幅部と、
前記増幅部の発熱を抑制する発熱抑制部と、
前記音声信号から前記変調信号を検出した場合、前記発熱抑制部を動作させる検出部と、
を備えることを特徴とする増幅器。
【請求項2】
前記発熱抑制部は、前記増幅部を冷却する冷却ファンを備え、
前記検出部は、前記変調信号を検出した場合、前記冷却ファンの回転を開始する又は回転数を上げ、前記変調信号を検出しなくなった場合、前記冷却ファンの回転を停止する又は回転数を下げることを特徴とする請求項1に記載の増幅器。
【請求項3】
前記発熱抑制部は、前記増幅部に入力される前記音声信号の前記所定の周波数帯域のレベルを所定の基準値以下に抑えるリミッタ又はコンプレッサを備え、
前記検出部は、前記変調信号を検出した場合、前記リミッタのリミッタ値を下げる又は前記コンプレッサを動作させ、前記変調信号を検出しなくなった場合、前記リミッタのリミッタ値を上げる又は前記コンプレッサの動作を停止することを特徴とする請求項1に記載の増幅器。
【請求項4】
前記発熱抑制部は、前記増幅部を冷却する冷却ファンを備え、
前記検出部は、前記変調信号を検出した場合であって、前記増幅部の温度又は周囲の温度が所定の基準値よりも上昇した場合に、前記冷却ファンの回転を開始する又は回転数を上げ、前記変調信号を検出しなくなった場合であって、前記増幅部の温度又は周囲の温度が所定の基準値以下に低下した場合に、前記冷却ファンの回転を停止する又は回転数を下げることを特徴とする請求項3に記載の増幅器。
【請求項5】
前記検出部は、前記変調信号を検出しなくなってから所定の時間経過後に、前記発熱抑制部の動作を停止することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の増幅器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声信号を増幅する増幅器の発熱を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
音声信号に音響透かし信号を重畳し、音声とともにデータを送信する技術が知られている。音響透かし信号が重畳された音声信号は、アンプ(増幅器)で増幅されてスピーカから出力される。スマートフォンなどの携帯端末を用い、携帯端末のマイクで音声信号を受信し、音声信号に重畳された音響透かし信号を復調することで、データを表示できる。例えば、駅構内の日本語のアナウンス放送に、アナウンスの内容を多言語に翻訳した文字データを重畳することで、訪日客などにアナウンスの内容を知らせることができる。
【0003】
音声信号を増幅するアンプでは、出力信号のレベルに応じて冷却ファンの回転数を制御したり(特許文献1,2)、入力信号のレベルが基準値を超えたときに入力信号をリミッタ処理又はコンプレッサ処理したりする(特許文献3−6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭58−088418号公報
【特許文献2】特開2001−168646号公報
【特許文献3】特許第3921733号公報
【特許文献4】特開2001−298338号公報
【特許文献5】特許第3011959号公報
【特許文献6】特開2011−217067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
音声信号の非可聴域に音響透かし信号を重畳する方式では、過大な音響透かし信号がアンプに入力された場合に、アンプが異常に発熱し、停止あるいは故障に至ってしまうという問題があった。音響透かし信号は人に聞こえないため、アンプの音量設定を大きくし過ぎる、あるいは人為的な誤配線などで過大な音響透かし信号をアンプに入力してしまう場合がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、増幅器の発熱による機能停止を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る増幅器は、所定の周波数帯域に変調信号が重畳される音声信号を入力する入力部と、前記音声信号を増幅する増幅部と、前記増幅部の発熱を抑制する発熱抑制部と、前記音声信号から前記変調信号を検出した場合、前記発熱抑制部を動作させる検出部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、増幅器の発熱による機能停止を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施の形態におけるアンプの構成を示す機能ブロック図である。
【図2】第1の実施の形態におけるアンプの処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】第2の実施の形態におけるアンプの構成を示す機能ブロック図である。
【図4】第2の実施の形態におけるアンプの処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】第3の実施の形態におけるアンプの構成を示す機能ブロック図である。
【図6】第3の実施の形態におけるアンプの処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施の形態]
図1を参照し、第1の実施の形態におけるアンプ1の構成について説明する。
【0011】
第1の実施の形態のアンプ1は、入力部11、増幅部12、音響透かし信号検出部13、及び冷却ファン14を備える。アンプ1は、入力した音声信号を増幅してスピーカ2を駆動する増幅器である。
【0012】
入力部11は、音響透かし信号が重畳された音声信号を入力する。音響透かし信号は、送信するデータに基づいて変調された変調信号であり、音声信号の高周波帯域、例えば非可聴域である18kHz〜20kHzに重畳される。音響透かし信号は、音声信号の高周波帯域であれば、可聴域に重畳されてもよい。
【0013】
増幅部12は、音声信号を増幅し、スピーカ2を駆動する。増幅部12の出力が大きければ、増幅部12に電流が多く流れて発熱量が大きくなる。
【0014】
音響透かし信号検出部13は、音声信号に重畳された音響透かし信号を検出し、音響透かし信号の検出結果に応じて冷却ファン14を制御する。音響透かし信号検出部13は、音響透かし信号を復調できた場合は、音響透かし信号を検出したと判定する。音響透かし信号検出部13は、音響透かし信号を検出すると、冷却ファン14を動作させたり、回転数を上げたりする。音響透かし信号を検出しなくなったときは、冷却ファン14の回転数を下げたり、停止させたりする。
【0015】
冷却ファン14は、外気を送風して増幅部12を冷却する発熱抑制手段である。冷却ファン14は、回転数が上がると冷却能力が増加し、回転数が下がると冷却能力が減少する。
【0016】
図2を参照し、第1の実施の形態におけるアンプ1の動作について説明する。
【0017】
入力部11が音声信号を入力すると、音響透かし信号検出部13は、音声信号に重畳された音響透かし信号の検出を試みる(ステップS11)。
【0018】
音響透かし信号を検出した場合(ステップS11のYES)、音響透かし信号検出部13は、冷却ファン14の回転を開始する、又は冷却ファン14の回転数を上げて、増幅部12の発熱を抑制する(ステップS12)。
【0019】
音響透かし信号を検出しなかった場合(ステップS11のNO)、音響透かし信号検出部13は、冷却ファン14を停止する、又は冷却ファン14の回転数を下げる(ステップS13)。音響透かし信号検出部13は、音響透かし信号を検出しなくなってから所定の時間が経過したときに、ステップS13の処理を実行してもよい。所定の時間が経過するまでに音響透かし信号を検出した場合、音響透かし信号検出部13は、ステップS13の処理を実行しない。音響透かし信号を検出しなくなってから冷却ファン14を制御するまでにインターバルを設けることで、断続的に受信する音響透かし信号を考慮して冷却ファン14を制御できる。
【0020】
音響透かし信号検出部13は、音声信号の入力が続く限りステップS11〜S13の処理を繰り返し、音声信号を入力しなくなると処理を終える(ステップS14)。ステップS11〜S13の処理を繰り返す際、音響透かし信号の検出状態の変化をトリガーとしてステップS12,S13の処理を行う。
【0021】
[第2の実施の形態]
図3を参照し、第2の実施の形態におけるアンプ1の構成について説明する。第2の実施の形態のアンプ1は、増幅部12の発熱抑制手段として、冷却ファン14の代わりに可変リミッタ/コンプレッサ15を備えた。以下、第1の実施の形態と異なる点を説明する。
【0022】
可変リミッタ/コンプレッサ15は、所定のリミッタ値を超える音声信号レベルをそのリミッタ値を超えないように減少させるリミッタ回路、又は音声信号レベルが所定のレベルを超えないように音声信号レベルを圧縮するコンプレッサ回路のいずれかで構成される。可変リミッタ/コンプレッサ15は、リミッタ処理又はコンプレッサ処理により、音響透かし信号が重畳される高周波帯域の音声信号レベルを所定のレベル以下に抑える。可変リミッタ/コンプレッサ15が動作することで、増幅部12に過大なレベルの音声信号が入力されないので、増幅部12の発熱を抑制できる。
【0023】
音響透かし信号検出部13は、音声信号に重畳された音響透かし信号を検出し、音響透かし信号の検出をトリガーとして、可変リミッタ/コンプレッサ15を動作させ、音響透かし信号が検出されなくなると、可変リミッタ/コンプレッサ15の動作を停止する。
【0024】
図4を参照し、第2の実施の形態におけるアンプ1の動作について説明する。
【0025】
入力部11が音声信号を入力すると、音響透かし信号検出部13は、音声信号に重畳された音響透かし信号の検出を試みる(ステップS21)。
【0026】
音響透かし信号を検出した場合(ステップS21のYES)、音響透かし信号検出部13は、可変リミッタ/コンプレッサ15のリミッタ値を下げる、またはコンプレッサ動作を開始する(ステップS22)。
【0027】
音響透かし信号を検出しなかった場合(ステップS21のNO)、音響透かし信号検出部13は、可変リミッタ/コンプレッサ15のリミッタ値を上げる、またはコンプレッサ動作を停止する(ステップS23)。音響透かし信号検出部13は、音響透かし信号を検出しなくなってから所定の時間が経過したときに、ステップS23の処理を実行してもよい。所定の時間が経過するまでに音響透かし信号を検出した場合、音響透かし信号検出部13は、ステップS23の処理を実行しない。
【0028】
音響透かし信号検出部13は、音声信号の入力が続く限りステップS21〜S23の処理を繰り返し、音声信号を入力しなくなると処理を終える(ステップS24)。
【0029】
[第3の実施の形態]
図5を参照し、第3の実施の形態におけるアンプ1の構成について説明する。第3の実施の形態のアンプ1は、増幅部12の発熱抑制手段として、第1の実施の形態の冷却ファン14と第2の実施の形態の可変リミッタ/コンプレッサ15の両方を備えた。
【0030】
音響透かし信号検出部13は、音声信号に重畳された音響透かし信号を検出すると、冷却ファン14と可変リミッタ/コンプレッサ15の両方を動作させる。音響透かし信号検出部13は、音声信号に重畳された音響透かし信号を検出しなくなると、冷却ファン14と可変リミッタ/コンプレッサ15の両方の動作を停止させる。
【0031】
音響透かし信号検出部13は、増幅部12の温度又は周囲の温度を監視し、その温度が基準値を超えて上昇した場合に、冷却ファン14の回転を開始あるいは回転数を上げるように制御してもよい。音響透かし信号検出部13は、増幅部12の温度又は周囲の温度を監視し、その温度が基準値以下に低下した場合に、冷却ファン14の停止あるいは回転数を下げるように制御してもよい。
【0032】
図6を参照し、第3の実施の形態におけるアンプ1の動作について説明する。
【0033】
入力部11が音声信号を入力すると、音響透かし信号検出部13は、音声信号に重畳された音響透かし信号の検出を試みる(ステップS31)。
【0034】
音響透かし信号を検出した場合(ステップS31のYES)、音響透かし信号検出部13は、可変リミッタ/コンプレッサ15のリミッタ値を下げる、またはコンプレッサ動作を開始するとともに(ステップS32)、冷却ファン14の回転を開始する、又は冷却ファン14の回転数を上げる(ステップS33)。増幅部12の温度又は周囲の温度が基準値を超えて上昇した場合に、ステップS33の処理を実行してもよい。
【0035】
音響透かし信号を検出しなかった場合(ステップS31のNO)、音響透かし信号検出部13は、可変リミッタ/コンプレッサ15のリミッタ値を上げる、またはコンプレッサ動作を停止するとともに(ステップS34)、冷却ファン14を停止する、又は冷却ファン14の回転数を下げる(ステップS35)。増幅部12の温度又は周囲の温度が基準値以下に低下した場合に、ステップS35の処理を実行してもよい。
【0036】
音響透かし信号検出部13は、音響透かし信号を検出しなくなってから所定の時間が経過したときに、ステップS34,S35の処理を実行してもよい。所定の時間が経過するまでに音響透かし信号を検出した場合、音響透かし信号検出部13は、ステップS34,S35の処理を実行しない。
【0037】
音響透かし信号検出部13は、音声信号の入力が続く限りステップS31〜S35の処理を繰り返し、音声信号を入力しなくなると処理を終える(ステップS36)。
【0038】
以上説明したように、本実施の形態によれば、高周波帯域に音響透かし信号が重畳された音声信号を入力して増幅するアンプ1が、増幅部12の発熱を抑制する冷却ファン14と、音響透かし信号を検出し、音響透かし信号の検出結果に応じて冷却ファン14の回転数を制御する音響透かし信号検出部13を備えることにより、増幅部12の発熱が抑制され、発熱による機能停止を防止できる。
【0039】
本実施の形態によれば、高周波帯域に音響透かし信号が重畳された音声信号を入力して増幅するアンプ1が、増幅部12に入力される音声信号レベルを所定の基準値以下に抑える可変リミッタ/コンプレッサ15と、音響透かし信号を検出し、音響透かし信号の検出結果に応じて可変リミッタ/コンプレッサ15を動作させる音響透かし信号検出部13を備えることにより、音響透かし信号のレベルの変動に依存することなく、増幅部12への過大な入力が抑制され、発熱による機能停止を防止できる。
【0040】
本実施の形態によれば、音響透かし信号を検出しなくなってから冷却ファン14や可変リミッタ/コンプレッサ15の動作を停止するまでにインターバルを設けることにより、断続的に受信する音響透かし信号を考慮して冷却ファン14や可変リミッタ/コンプレッサ15を制御できる。
【符号の説明】
【0041】
1…アンプ
11…入力部
12…増幅部
13…信号検出部
14…冷却ファン
15…可変リミッタ/コンプレッサ
2…スピーカ
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】