【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態の構成を、図面を参照して説明する。
【0010】
図3および図4において、11は電動送風機を示す。この電動送風機11は、電動機13を備える。また、この電動送風機11は、ファンである遠心ファン14を備える。さらに、この電動送風機11は、整流体(整流板)であるディフューザ15を備える。また、この電動送風機11は、ファンカバー16を備える。そして、この電動送風機11(電動機13)は、図示されない制御回路により駆動が制御される。
【0011】
電動機13は、整流子モータでもブラシレスモータでもよいが、本実施形態においては、単相4極のブラシレスモータである。そして、この電動機13は、ロータ21を備えている。また、この電動機13は、ステータ22を備えている。さらに、この電動機13は、センサ基板23を備えている。また、この電動機13は、フレーム24を備えている。なお、以下、図1に示す上下方向および左右方向を、電動送風機11(電動機13)の上下方向および左右方向とし、電動送風機11の軸方向の電動機13側を後方向(図4などに示す矢印RR側)、遠心ファン14側を前方向(図4などに示す矢印FR側)として説明する。
【0012】
ロータ21は、回転磁極を形成するものである。このロータ21は、本実施形態では永久磁石型ロータであるが、電動機13が整流子モータである場合には巻線型ロータでもよい。このロータ21は、シャフト26を備えている。また、このロータ21は、磁石部27を備えている。さらに、このロータ21は、少なくとも1つのスリーブ28を備えていてもよい。そして、このロータ21は、一対のベアリング30を介してフレーム24に対して回転自在に保持されている。
【0013】
シャフト26は、電動機13の出力軸となる回転軸である。このシャフト26には、遠心ファン14が接続されている。具体的に、このシャフト26には、フレーム24から突出した前端側に遠心ファン14が接続されている。
【0014】
磁石部27は、円筒状に形成され、中央部にシャフト26が固着されている。この磁石部27には、回転方向(周方向)に互いに異なる極性を有する磁極(回転磁極)が隣接して形成されている。したがって、この磁石部27には、回転方向にN極とS極とが順次交互に配置されて対をなしている。
【0015】
スリーブ28は、本実施形態では一対備えられ、磁石部27の前端部および後端部に隣接してシャフト26に固定されている。なお、このスリーブ28は、必須の構成ではない。
【0016】
ベアリング30は、シャフト26の一端側および他端側に取り付けられており、フレーム24にそれぞれ固定されて、ロータ21をフレーム24に対して回転自在に保持するようになっている。
【0017】
図2ないし図4に示すステータ22は、ロータ21を回転させる固定磁極を構成するものである。このステータ22は、ステータコア33を備えている。また、このステータ22は、絶縁体であるステータ絶縁34を備えている。さらに、このステータ22は、コイル35を備えている。また、このステータ22は、端子36を備えている。
【0018】
ステータコア33は、電磁鋼板などの薄板状の磁性体が積層されて略一定の厚みを有する板状に形成されている。このステータコア33は、ヨーク部としての円環状(円筒状)のバックヨーク41を備えている。また、このステータコア33は、4以上の偶数、本実施形態では4つ配置されたティース42を備えている。さらに、このステータコア33は、フレーム取付部43を備えている。また、このステータコア33は、本実施形態では分割部44によって略半円弧状ずつに上下に2分割されている。
【0019】
バックヨーク41は、ティース42間を互いに連結し、対をなすティース42,42に巻回されたコイル35,35によって生じる固定磁極間を磁気的に(磁束で)結合する磁路が形成されるものである。このバックヨーク41は、円弧状に形成されている。
【0020】
ティース42は、コイル35により固定磁極が形成されるものである。これらティース42は、左右に位置するティース42,42が磁気的に対をなしている。また、これらティース42は、バックヨーク41の内周部から中心方向、すなわちロータ21側に向けてそれぞれ突設されている。すなわち、このティース42は、バックヨーク41(ステータコア33)の径方向に沿って長手状に形成されており、基端部がバックヨーク41と連結され、先端部がステータコア33の中央側(中心側)に向かって自由端状に突出する角柱状となっている。このため、ティース42は、放射状に配置され、ティース42とバックヨーク41との間に扇形状のスペースSが形成されている。また、各ティース42の先端部には、ロータ21の磁石部27の外周面に対向する磁気作用面42cが構成されている。この磁気作用面42cは、コイル35により各ティース42に形成される固定磁極をロータ21の磁石部27に作用させるもので、ロータ21の磁石部27の外周面に対して僅かな間隙を介して離間されている。
【0021】
フレーム取付部43は、ステータコア33(ステータ22)をフレーム24に対して固定するものである。このフレーム取付部43は、バックヨーク41の外側(外周側)に四角形状に突設され、各ティース42のそれぞれの基端部近傍に配置されている。したがって、このフレーム取付部43は、本実施形態ではバックヨーク41の周方向に互いに離間されてティース42に対応する数である4つ設定されている。そして、各フレーム取付部43には、軸方向(前後方向)に貫通する取付孔43aが設けられている。この取付孔43aには、取付部材であるねじ49が挿入され、このねじ49がフレーム24側に螺合されることでステータコア33(ステータ22)がフレーム24に固定されるようになっている。
【0022】
ステータ絶縁34は、ステータコア33に対してコイル35および端子36などを絶縁するものである。このステータ絶縁34は、絶縁性の合成樹脂などにより形成されている。そして、このステータ絶縁34は、コイル35を保持する巻線保持部51を備えている。また、このステータ絶縁34は、端子36を保持する端子保持部52を備えている。さらに、このステータ絶縁34は、バックヨーク41の上下に重ねられる絶縁本体部53を備えている。また、このステータ絶縁34は、預け部54を備えている。
【0023】
巻線保持部51は、角筒状(ボビン状)に形成されており、中心軸に沿って各ティース42が挿通されている。したがって、これら巻線保持部51は、絶縁本体部53の内周側に位置して径方向に沿って突出し、各ティース42の周囲に位置している。また、本実施形態では、左右に位置する巻線保持部51が対をなしている。さらに、これら巻線保持部51には、巻線58が巻回されてコイル35が構成されている。巻線58は、導電体の表面を絶縁皮膜で覆って形成され、各巻線保持部51の周囲、すなわち各ティース42の長手方向を軸とする筒状に巻回されている。
【0024】
端子保持部52は、後側が開口した四角形箱状に形成されており、端子36の数に対応して本実施形態では4つ設けられている。端子保持部52は、左右に位置するティース42,42間の位置にてバックヨーク41にそれぞれ一対ずつ配置されている。本実施形態では、左右に位置する端子保持部52,52が対をなしている。また、各端子保持部52は、絶縁本体部53に位置している。各端子保持部52は、ステータ絶縁34の後側に突出している。すなわち、各端子保持部52は、ティース42とは交差(直交)する方向、すなわちティース42に対して軸直方向に沿って突出し、前後方向にて預け部54と同側に位置している。換言すれば、各端子保持部52は、ステータコア33の厚み方向に突出している。さらに、各端子保持部52は、ティース42の中心線に対して、預け部54側に位置している。すなわち、左側の巻線保持部51に対応する左側の端子保持部52は、左側のティース42の中心線に対して右側に位置し、右側の巻線保持部51に対応する右側の端子保持部52は、右側のティース42の中心線に対して左側に位置している。
【0025】
絶縁本体部53は、半円弧状に形成されており、左右に位置するティース42,42間のバックヨーク41に重なるように配置される。
【0026】
預け部54は、巻線58の一部が引っ掛けられる部分である。この預け部54は、対をなす端子保持部52,52間にそれぞれ配置されている。すなわち、預け部54は、左右に隣接して配置された端子保持部52,52間に位置している。このため、各預け部54は、それぞれ絶縁本体部53に配置されている。また、各預け部54は、略円柱状に形成され、端子保持部52と同側であるステータ絶縁34の後側に突出している。すなわち、各預け部54は、ティース42とは交差(直交)する方向、すなわちティース42に対して軸直方向に沿って突出している。換言すれば、各預け部54は、ステータコア33の厚み方向に突出している。
【0027】
ここで、巻線保持部51、端子保持部52および預け部54の位置関係は、巻線保持部51のティース42の基端側の位置を通る預け部54の接線Lに対して、端子保持部52が預け部54とは反対側である外側(ロータ21に対して離れている(遠い)側)に位置している(図1)。
【0028】
コイル35は、各ティース42に固定磁極を形成するものである。本実施形態では、例えばステータコア33の中心に対して互いに反対側に位置する(ステータコア33の中心に対して上下左右が反対となる)ティース42,42に配置されたコイル35,35が同極(例えばN極、またはS極)をこれらティース42,42に形成し、左右に位置するティース42,42に配置されたコイル35,35が互いに異極をティース42,42に形成する。すなわち、本実施形態では、ステータコア33の右上および左下に位置するティース42,42が互いに同極(N極またはS極)で、ステータコア33の左上および右下に位置するティース42,42が互いに同極でかつステータコア33の右上および左下に位置するティース42,42と異極(S極またはN極)となるようにコイル35が配置されている。換言すれば、本実施形態では、ステータ22(ステータコア33)の周方向に交互に異極が生じるようにコイル35が配置されている。したがって、本実施形態における「対をなすコイル35,35」とは、互いに異極が生じるように配置されたコイル35,35(図1中の左右に配置されたコイル35,35)をいい、「対をなすティース42,42」とは、それらコイル35,35に対応する、互いに異極となるティース42,42(図1中の左右に位置するティース42,42)をいうものとする。
【0029】
ここで、対をなすコイル35,35、すなわち互いに異極となり左右に配置されるコイル35,35は、共通の1本の巻線58により形成されている。すなわち、この巻線58は、一端部58a側が対をなす巻線保持部51の一方に巻回された状態に配置されてこの巻線保持部51の基端側から導出され、中間部58bが預け部54に引っ掛けられて、他端部58c側が対をなす巻線保持部51の他方にこの巻線保持部51の基端側から巻回された状態に配置されている。したがって、この巻線58は、一方のコイル35から他方のコイル35へと連続する位置が、ステータ絶縁34の絶縁本体部53に重ねられ、預け部54の周囲を迂回している(図2)。このため、この巻線58の中間部58bは、ステータコア33のバックヨーク41上に位置し、スペースS内に突出しないようになっている。また、この巻線58は、各コイル35において、各ティース42の基端部側の位置と各ティース42の先端部側との位置で巻き層数が異なるように設定されている。具体的に、各コイル35は、各ティース42の基端部側の位置での巻線58の巻き層数に対して先端部側の位置での巻線58の巻き層数が少なくなるように形成されている。このため、各コイル35は、各ティース42の基端部側から先端部側へと段差状に細くなるように形成されている。そして、この巻線58は、一方の巻線保持部51の基端側から導出された一端部58aが対をなす端子保持部52の一方に挿入されて端子36と電気的に接続され、他方の巻線保持部51の基端側から導出された他端部58cが対をなす端子保持部52の他方に挿入されて端子36と電気的に接続されている。したがって、この巻線58は、一端部58aから他端部58cへと、一方の端子36(一方の端子保持部52)、一方のコイル35(一方の巻線保持部51)、預け部54、他方のコイル35(他方の巻線保持部51)、他方の端子36(他方の端子保持部52)と連続している。
【0030】
端子36は、制御回路と各コイル35とを電気的に接続するためのものである。この端子36は、端子保持部52に保持されており、この端子保持部52から後側に突出している。したがって、この端子36は、ステータコア33の左右に位置するティース42,42間の位置にてそれぞれ一対ずつ配置されている。そして、左右に位置する端子36,36が対をなしている。
【0031】
センサ基板23は、ロータ21(磁石部27)の磁極の極性を検出することによってロータ21の回転位置(回転角度)を検出するもので、例えばホールICなどを備えている。このセンサ基板23は、例えばC字状に形成され、ロータ21の磁石部27の外周に沿って配置されている。また、このセンサ基板23は、例えばステータ22の後側に重ねられ、例えばねじなどの基板固定部材59によりステータ絶縁34に固定されている。
【0032】
フレーム24は、例えばアルミニウム、あるいはマグネシウムなどの、軽量で、かつ、導電性を有する金属部材により形成されている。このフレーム24は、例えば一のフレーム体61と、他のフレーム体62とを備えている。そして、このフレーム24は、これら一および他のフレーム体61,62がねじ49により互いに前後に固定されることにより、ロータ21、ステータ22およびセンサ基板23を前後から挟み込んで収容するように構成されている。そして、一のフレーム体61は、ロータ21、ステータ22およびセンサ基板23に対して前側に位置するものである。一のフレーム体61は、ディフューザ15に対向して開口されたフレーム吸気開口部69を備えている。また、この一のフレーム体61は、電動機13とディフューザ15とを前後方向に固定するためのねじなどの固定体71が螺合される丸孔状の螺合孔72が設けられている。また、他のフレーム体62には、フレーム排気開口部75がそれぞれ区画される。これらフレーム排気開口部75は、電動機13内に流入した空気を外部へと排気するものである。
【0033】
遠心ファン14は、シャフト26に接続されて電動機13により回転されることで空気を中心側から外周側へと押し出す(吹き出す)ものである。この遠心ファン14は、中央部に、シャフト26が挿通されるシャフト挿通孔77を備えている。また、この遠心ファン14は、複数のファン翼78を備えている。そして、シャフト挿通孔77に挿通された電動機13のシャフト26の前端部に固定部材としてのナット79が螺合されることにより、遠心ファン14がシャフト26に一体的に固定される。
【0034】
ディフューザ15は、遠心ファン14により押し出された空気を整流して電動機13の内部へと流し込むものである。このディフューザ15は、取付開口部82を中央部に備えている。また、このディフューザ15は、固定孔部である通孔83を取付開口部82の両側に備えている。さらに、このディフューザ15は、整流翼84を外縁近傍に備えている。そして、このディフューザ15は、整流翼84,84間に、ディフューザ15を前後方向に貫通する風路部85を備えている。
【0035】
ファンカバー16は、遠心ファン14の一部を覆ってディフューザ15に取り付けられている。このファンカバー16には、遠心ファン14の中央部を露出させる吸気口87が開口されている。
【0036】
制御回路は、例えばインバータ回路を含むドライバと、このドライバをPWM制御する制御部とを備え、各端子36およびセンサ基板23と電気的に接続されている。そして、この制御回路は、ドライバによってコイル35の巻線58に流れる電流の向きや通電時間を制御することで、各コイル35を介してステータ22のステータコア33の各ティース42にそれぞれ生じさせる磁極を時間毎に切り換えるように構成されている。
【0037】
そして、上記の電動送風機11および制御回路は、本実施形態において図5に示す電気掃除機91に備えられる。電気掃除機91は、掃除機本体92と、集塵部93とを備えている。電気掃除機91としては、本実施形態では、例えば長手状の掃除機本体92に対して着脱可能な風路体94を備える長尺状のスティック型(ハンディ型)の電気掃除機とするが、例えばキャニスタ型などでもよいし、自律走行可能な自走式の電気掃除機でも好適に用いることができる。また、電気掃除機91は、塵埃を吸い込む吸引型の電気掃除機に限らず、塵埃を吹き飛ばすブロワなどでもよい。
【0038】
掃除機本体92には、電動送風機11および制御回路が収容されている。また、この掃除機本体92には集塵部93が着脱可能となっている。
【0039】
集塵部93は、電動送風機11の駆動により生じる負圧を利用して空気とともに吸い込んだ塵埃を空気から捕集する部分である。この集塵部93は、本実施形態において例えば塵埃を遠心分離するサイクロン集塵部が用いられるが、例えばフィルタにより塵埃を濾過捕集するものや、慣性を利用して塵埃を捕集するものなど、任意の構成とすることができる。電気掃除機91がブロワである場合、この集塵部93は不要となる。
【0040】
風路体94は、電動送風機11の駆動により生じる負圧を床面などに作用させるものである。この風路体94は、必須の構成ではない。
【0041】
次に、上記一実施形態の電動送風機11の組み立て手順を説明する。
【0042】
この電動送風機11の組み立て手順は、概略として、ディフューザ15に一のフレーム体61を組み付け、この一のフレーム体61に、それぞれ組み立てたステータ22およびロータ21を組み付け、センサ基板23をステータ22に組み付け、他のフレーム体62を一のフレーム体61およびディフューザ15に組み付けて、一および他のフレーム体61,62によりロータ21、ステータ22およびセンサ基板23を挟み込み、ロータ21に遠心ファン14を接続した後、ファンカバー16により遠心ファン14を覆う。
【0043】
具体的に、ステータ22の組み立ての際には、まず、予め成形したステータコア33に対してステータ絶縁34をインサート成形などにより一体成形した後、ステータ絶縁34の巻線保持部51にそれぞれ巻線58を巻き付けてコイル35を形成する。
【0044】
このとき、ステータコア33が分割部44側で開口されていることで、図示しない自動巻線機のノズルを分割部44側からバックヨーク41側(中心側から外周側)に向かって挿入し、各ティース42の長手方向を軸として回転させることができるので、各ティース42の基端側から先端側へと巻線58を巻線保持部51に対して自動巻線機によって自動巻き付けできる。自動巻線機は、巻線58を一方の端子保持部52に導入した後、一方の巻線保持部51に対して巻線58を、所定方向に巻回しながら一方の巻線保持部51の基端側の位置と先端側の位置とを行き来し、一方の巻線保持部51の基端側から導出した巻線58を預け部54に引っ掛け、他方の巻線保持部51に対して巻線58を、所定方向とは反対方向に巻回しながら他方の巻線保持部51の基端側の位置と先端側の位置とを行き来し、他方の巻線保持部51の基端側から導出した巻線58を他方の端子保持部52に導入する。このとき、巻線保持部51のティース42の基端部側の位置を通る預け部54の接線Lに対して端子保持部52,52が預け部54とは反対側に位置することで、一方の巻線保持部51から端子保持部52、および、端子保持部52から他方の巻線保持部51へと巻線58を配置する際に、端子保持部52が巻線58の進路上に位置せず、配置の邪魔にならない。また、各巻線保持部51の位置では、各ティース42の基端側よりも先端側の位置で細くなるように巻線58の巻き層数を各ティース42の基端側より先端側で少なくすることで、巻線作業のスペースを左右に隣接するティース42,42間の基端側から先端側に亘って確保できる。
【0045】
この後、端子保持部52,52に端子36,36を取り付けて端子36,36と巻線58の両端部とを導通させ、端子36,36とコイル35,35とを電気的に接続する。
【0046】
次いで、ディフューザ15に対して、予め成形したフレーム24の一のフレーム体61を位置合わせし、通孔83に挿入した固定体71を螺合孔72に螺合させることで一のフレーム体61とディフューザ15とを互いに固定する。この後、一のフレーム体61に対して、ステータ22を、一のフレーム体61に対して位置決めするとともに、センサ基板23を、基板固定部材59によりステータ22に対して固定する。次いで、ステータ22のコイル35,35間からシャフト26の前端側を一のフレーム体61に挿通しつつ、このロータ21のシャフト26の前端側に取り付けた一方のベアリング30を一のフレーム体61に保持する。
【0047】
そして、他のフレーム体62を一のフレーム体61に位置合わせし、ねじ49によりステータコア33を介して他のフレーム体62を一のフレーム体61にねじ止めすることで、他のフレーム体62によりロータ21のシャフト26の後端側に取り付けた他方のベアリング30を保持し、一および他のフレーム本体61,62によりステータ22、センサ基板23およびロータ21を挟み込むように固定する。
【0048】
次いで、ディフューザ15の取付開口部82から前側に突出する電動機13のシャフト26を遠心ファン14のシャフト挿通孔77に挿通してナット79により固定し、この遠心ファン14を覆ってファンカバー16をディフューザ15の前側に圧入あるいは接着固定することで、電動送風機11が完成する。
【0049】
このように組み立てた電動送風機11は、センサ基板23によりロータ21の回転位置を検出しつつ、この回転位置に応じて、制御回路により各コイル35の巻線58に流れる電流の向きおよび通電時間を制御することで、各ティース42に順次磁極を形成し、これら磁極とロータ21の磁極との反発・吸引によってロータ21を回転させる。そこで、電動送風機11の遠心ファン14の回転により発生した負圧により、空気が吸気口87から電動送風機11に吸い込まれる。そして、この吸い込まれた空気は、遠心ファン14のファン翼78によりこの遠心ファン14の周囲へと整流され、ディフューザ15の整流翼84により整流されて風路部85からフレーム吸気開口部69を介して電動機13へと流し込まれ、電動機13のステータ22のスペースSを通過することで、ステータ22およびロータ21を冷却しながらこの電動機13のフレーム24内を通過して各コイル35(巻線58)および各端子36を冷却しつつフレーム排気開口部75から排気される。
【0050】
以上説明した一実施形態によれば、ステータコア33の中央側に向かって突出して放射状に配置された対をなすティース42,42が挿通された巻線保持部51,51にそれぞれに形成される対をなすコイル35,35を、共通の1本の巻線58により形成する電動機13を備えた電動送風機11において、巻線58の一端側を対をなす巻線保持部51の一方に巻回された状態に配置し、中間部58bがスペースS内に浮いたブリッジとならないように預け部54に引っ掛け、他端側を対をなす巻線保持部51の他方に巻回された状態に配置する場合、端子保持部52,52を、巻線保持部51のティース42の基端部側の位置を通る預け部54の接線Lに対して預け部54とは反対側に位置させる。これにより、省スペースでステータ22の極数を増加させて、電動機13を、大型化を抑制しつつ高出力化し、かつ、対をなす巻線保持部51の一方から預け部54、および、預け部54から対をなす巻線保持部51の他方へと配置する際に、端子保持部52,52が邪魔にならず、巻線58が端子保持部52,52に引っ掛かって巻線不良や破損を生じることなどがなく、対をなす巻線保持部51,51に巻線58を容易に巻回でき、自動巻線機による自動巻きに対応できる。
【0051】
特に、ステータコア33が4以上の偶数のティース42を備えることで、電動機13をより高出力化できるとともに、放射状に配置され互いに隣接する対をなすティース42,42をペアとして、これらの周囲に位置する巻線保持部51,51に巻線58を容易に巻回できる。
【0052】
また、バックヨーク41を円弧状とすることで、すべてのティース42の長さを一定としつつ、これらティース42を効率よく配置してステータ22の大型化を最も効果的に抑制できる。しかも、ティース42の基端部の位置のスペースSを、大型化を抑制しつつより広く取ることができ、巻線保持部51に巻線58をより容易に巻回できる。
【0053】
そして、上記の電動送風機11を掃除機本体92に備える電気掃除機91は、大型化を抑制しつつ高出力化した電動機13により、小型でハイパワーを実現できるとともに、コイル35,35を自動巻線機によって効率的に形成でき、より安価に製造できる。
【0054】
本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。