(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2019146410
(43)【公開日】20190829
(54)【発明の名称】引込装置および引込線の張力確認方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 7/02 20060101AFI20190802BHJP
   H02G 1/02 20060101ALI20190802BHJP
   H02G 7/00 20060101ALI20190802BHJP
【FI】
   !H02G7/02
   !H02G1/02
   !H02G7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】2018029897
(22)【出願日】20180222
(71)【出願人】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区内幸町一丁目1番3号
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】110000349
【氏名又は名称】特許業務法人 アクア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩岡 智則
【住所又は居所】東京都千代田区内幸町1丁目1番3号 東京電力パワーグリッド株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】白石 智規
【住所又は居所】東京都千代田区内幸町1丁目1番3号 東京電力パワーグリッド株式会社内
【テーマコード(参考)】
5G352
5G367
【Fターム(参考)】
5G352AB07
5G352AC02
5G352AM01
5G367BA02
5G367DA01
5G367DB13
5G367DC02
(57)【要約】
【課題】張架時の引込線の張力を高い精度で調整することができ、且つ張架後の張力を長期的に管理することが可能な引込装置および引込線の張力確認方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明にかかる引込装置100の構成は、鉄塔10からの引込線12を架台20に引き留める引込装置であって、引込線の端部に取り付けられた固定部110と、固定部110を架台20に固定する2つ以上の張力調整部120とを備え、固定部110は、軸心Aに張力測定用架線(架線30)の取付部(架線取付部114)を有し、軸心Aを避けた位置に張力調整部120の取付部(調整取付部116)を有することを特徴とする。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄塔からの引込線を架台に引き留める引込装置であって、
前記引込線の端部に取り付けられた固定部と、
前記固定部を架台に固定する2つ以上の張力調整部とを備え、
前記固定部は、
軸心に張力測定用架線の取付部を有し、
軸心を避けた位置に前記張力調整部の取付部を有することを特徴とする引込装置。
【請求項2】
前記張力調整部を3つ備え、前記固定部の軸心の周囲に均等に配置されることを特徴とする請求項1に記載の引込装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の引込装置を用いて、
前記引込装置が既設である状態において、
前記固定部の軸心の取付部と架台の間に張力測定用架線を張り、
前記2つ以上の張力調整部を緩めることで、
前記引込線の現在の張力を測定することを特徴とする引込線の張力確認方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の引込装置を用いて、
前記引込装置を新設する場合において、
引込線に前記固定部を取り付け、
前記固定部の軸心の取付部と架台の間に張力測定用架線を張り、
前記引込線の張力を測定および確認した状態で前記2以上の張力調整部を張り、
その後に前記張力測定用架線を撤去することを特徴とする引込線の張力確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄塔からの引込線を架台に引き留める引込装置、およびかかる引込装置を用いた引込線の張力確認方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄塔からの引込線は、例えば特許文献1に例示するような電線引留具等によって設備に引き留められる。引き留められた引込線の張力は、通常径間の場合には弛度観測によって管理をすることができる。これに対し、変電所への引込時等のように短径間の場合、弛度が数cm程度であるため弛度観測による張力管理が困難である。したがって、短径間の場合には支持点張力による管理が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−60880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
短径間における引込線の張力を確認する方法としては、スプリング式ターンバックルを組み込む手法や張力計を用いる手法が採用されている。スプリング式ターンバックルを組み込む手法では、まずスプリング式ターンバックルをがいし連装置に組み込み、軸力方向の張力を張力メータで確認しながら引込線を張架する。しかしながら、スプリング式ターンバックルは目安程度の張力しか調整できないため、張力の調整精度が不十分となるおそれがある。また設置期間が長期になるにしたがってスプリングの劣化が生じ、張力の表示精度が低下してしまうことが懸念される。
【0005】
一方、張力計を用いる手法では、引込線を仮上げし、がいし連装置に一時的に張力計を取り付ける。そして、張力計を使用して張力を確認しながら引込線に支持位置をマーキングする。その後、張力計を取り外して引込線を張架する。この手法であれば、上述したスプリング式ターンバックルを組み込む手法よりも高い精度で張架時の張力を調整することができる。しかしながら、張力計は張架時(緊線時)に取り外されるため、その後の長期的な張力の変動を測定することができない。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、張架時の引込線の張力を高い精度で調整することができ、且つ張架後の張力を長期的に管理することが可能な引込装置および引込線の張力確認方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかる引込装置の代表的な構成は、鉄塔からの引込線を架台に引き留める引込装置であって、引込線の端部に取り付けられた固定部と、固定部を架台に固定する2つ以上の張力調整部とを備え、固定部は、軸心に張力測定用架線の取付部を有し、軸心を避けた位置に張力調整部の取付部を有することを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、固定部において、張力調整部が張力測定用架線の取付部を避けた位置に配置される。まず引込線を張架する際には、固定部の取付部に張力測定用架線を取り付け、かかる張力測定用架線に張力計を取り付けて張力を測定する。これにより、張架時の引込線の張力を高い精度で調整することができる。そして、張力調整部によって固定部を架台に固定して張力測定用架線を取り外すことにより、張力の高い精度を維持した状態で引込線を張架することが可能となる。
【0009】
一方、張架後は、張力調整部によって固定部ひいてはそれに取り付けられた引込線を架台に固定した状態で、固定部の取付部に張力測定用架線を取り付ける。そして、張力調整部を取り外すことにより、固定部ひいては引込線が張力測定用架線に支持される。したがって、張架後であっても引込線の張力を適宜測定することができ、張力を長期的に管理することが可能となる。
【0010】
当該引込装置は、張力調整部を3つ備え、固定部の軸心の周囲に均等に配置されるとよい。これにより、固定部ひいては引込線をバランスよく支持することが可能となる。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明にかかる引込線の張力確認方法の代表的な構成は、上記引込装置を用いて、引込装置が既設である状態において、固定部の軸心の取付部と架台の間に張力測定用架線を張り、2つ以上の張力調整部を緩めることで、引込線の現在の張力を測定することを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明にかかる引込線の張力確認方法の他の構成は、上記引込装置を用いて、引込装置を新設する場合において、引込線に固定部を取り付け、固定部の軸心の取付部と架台の間に張力測定用架線を張り、引込線の張力を測定および確認した状態で2以上の張力調整部を張り、その後に張力測定用架線を撤去することを特徴とする。
【0013】
上述した引込装置における技術的思想に対応する構成要素やその説明は、当該引込線の張力確認方法にも適用可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、張架時の引込線の張力を高い精度で調整することができ、且つ張架後の張力を長期的に管理することが可能な引込装置および引込線の張力確認方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】鉄塔および引込線について説明する図である。
【図2】本実施形態にかかる引込装置を説明する図である。
【図3】図2に示す引込装置の詳細図である。
【図4】固定部を測定用架線で支持した状態を説明する図である。
【図5】本実施形態の引込装置を用いた引込線の張力確認方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。係る実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0017】
図1は、鉄塔10および引込線12について説明する図である。変電設備や、ビル、工場等の大型施設(不図示)では、図1に示す鉄塔10に保持されている高圧線(不図示)を引込線12によって引き込むことがある。このとき、引込線12は、地上に設置された架台20や、建物の壁面に設置された架台に引き留められる。
【0018】
図2は、本実施形態にかかる引込装置100を説明する図である。図3は、図2に示す引込装置100の詳細図である。以下、図2および図3に示す引込装置100について詳述しながら、かかる引込装置100を用いた引込線12の張力確認方法についても併せて説明する。
【0019】
図2に示す本実施形態の引込装置100は、鉄塔10(図1参照)からの引込線12を架台22に引き留める。詳細には、鉄塔10からの引込線12は、クランプ14に接続される。かかるクランプ14にはワイヤ16が接続されていて、ワイヤ16は碍子18を通過した後に引込装置100に固定される。引込装置100は、本実施形態では3つの張力調整部120によって架台上枠24に固定される。これにより、引込線12は、引込装置100を介して架台22に固定される。
【0020】
図3に示すように、本実施形態の引込装置100は、固定部110および3つの張力調整部120を含んで構成される。
【0021】
固定部110は3枚の板(翼)が放射状に120°間隔で広がった形状をしていて、中心の上端にワイヤ16を接続するための引込取付部112を備えている。この中心、すなわちワイヤ16の延長線上を軸心Aとすると、3つの張力調整部120を取り付けるための調整取付部116は、軸心Aを避けた位置にある。具体的には、調整取付部116は、軸心Aを重心とする三角形の頂点(3枚の翼の先端近傍)にある。
【0022】
なお、本発明において張力調整部120の個数は3つに限定するものではなく、2つ以上であればよい。複数の調整取付部116の位置は、軸心Aが重心となるように配置されていることが好ましい。これにより、複数の張力調整部120にかかる荷重を均等にすることができる。例えば張力調整部120が4つであれば、軸心Aが重心となる四角形の頂点に4カ所の調整取付部116を配置することが好ましい。調整取付部116が2つであれば、軸心Aを中央にして両側の等距離の位置に2カ所の調整取付部116を配置することが好ましい。
【0023】
張力調整部120は、固定部110の張力を調整するものであり、すなわち長さを調整することが可能になっている。具体的には図3に示すようにターンバックルを好適に用いることができるが、他のねじ機構やジャッキ機構を用いてもよい。
【0024】
ここで重要な事項として、固定部120の下部の軸心A上には、張力測定用の架線30(図4参照)を取り付けるための架線取付部114が設けられている。
【0025】
図4は固定部110を測定用架線30で支持した状態を説明する図である。測定用架線30は、一端を固定部110の架線取付部114に接続され、他端を架台22の下部枠26に接続される。これにより、固定部110に張力調整部120を取り付けない状態で、引込線12を架台22に引き留めることができる。なお、架台上枠24には、架線30を通すための隙間24aが形成されている。
【0026】
そして架線30には、張力を測定するための張力計32が取り付けられている。張力計32には、具体例として、固定部110と架線30の間に挟まれた金具に歪みゲージ(ピエゾ素子)を取り付けた構成とすることができる。
【0027】
このように、固定部110は、架台22に対して張力調整部120でも張力測定用の架線30でも接続することができると共に、両方を同時に接続することも可能になっている。したがって、引込線12を張った状態で、張力調整部120による支持から架線30による支持に移行することが可能であり、またその逆も可能である。
【0028】
図5は、本実施形態の引込装置100を用いた引込線12の張力確認方法を説明する図である。まず引込装置100を新設する場合、すなわち引込線12を張架する場合について説明する。引込線12を張架する際には、図5(c)に示すように、引込取付部112にワイヤ16を取り付け、固定部110に引込線12を支持させる。次に固定部110の架線取付部114に架線30を取り付けて、架台22の下部枠26との間に張り渡し、架線30に取り付けられた張力計32によって引込線12の張力を測定および確認する。
【0029】
そして、図5(b)に示すように、固定部110の調整取付部116に張力調整部120を取り付け、張力調整部120を架台22に固定する。その後、図5(a)に示すように、架線30を架線取付部114から取り外す。
【0030】
このように、本実施形態の引込装置100では架線取付部114と調整取付部116とが軸心Aに対して異なる位置に配置されている。これにより、張力計32によって確認した正確な張力を維持した状態で引込線12を張架することができる。したがって、張架時の引込線12の張力の精度を高めることが可能となる。
【0031】
次に、引込装置100が既設の場合、すなわち引込線12を張架した後の場合について説明する。張架後の引込線12の張力を確認する場合には、まず図5(a)に示す固定部110の架線取付部114に架線30を取り付ける。そして、図5(b)に示すように、固定部110と架台22の下部枠26との間に架線30を張り渡す。
【0032】
その後、図5(c)に示すように、張力調整部120を固定部110および架台22から取り外す。これにより、引込線12が架線30に支持される。そして、引込線12の現在の張力を測定および確認したら、引込線12を新設する場合と同様に、張力調整部120を固定部110および架台22に取り付け、架線30および張力計32を取り外す。
【0033】
このように、本実施形態の引込装置100では架線取付部114と調整取付部116とが軸心Aに対して異なる位置に配置されている。これにより、張架後においても、張力調整部120によって固定部110ひいてはそれに取り付けられた引込線12を架台22に固定した状態で、固定部110に張力測定用架線30を取り付けることができる。したがって、張架後であっても引込線12の張力を適宜測定することができ、張力を長期的に管理することが可能となる。
【0034】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、鉄塔からの引込線を架台に引き留める引込装置、およびかかる引込装置を用いた引込線の張力確認方法として利用することができる。
【符号の説明】
【0036】
10…鉄塔、12…引込線、14…クランプ、16…ワイヤ、18…碍子、20…架台、22…架台、30…架線、32…張力計、100…引込装置、110…固定部、112…引込取付部、114…架線取付部、116…調整取付部、120…張力調整部、A…軸心
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】