(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2019146431
(43)【公開日】20190829
(54)【発明の名称】電子部品収容構造体
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20190802BHJP
   H02M 3/00 20060101ALI20190802BHJP
【FI】
   !H02M7/48 ZZHV
   !H02M3/00 Y
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】2018030339
(22)【出願日】20180223
(11)【特許番号】6452871
(45)【特許公報発行日】20190116
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番3号
(74)【代理人】
【識別番号】100073759
【弁理士】
【氏名又は名称】大岩 増雄
(74)【代理人】
【識別番号】100088199
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 岑生
(74)【代理人】
【識別番号】100094916
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 啓吾
(74)【代理人】
【識別番号】100127672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 憲治
(72)【発明者】
【氏名】石橋 誠司
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番3号 三菱電機株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】蔵本 祐司
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番3号 三菱電機株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 俊夫
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番3号 三菱電機株式会社内
【テーマコード(参考)】
5H730
5H770
【Fターム(参考)】
5H730AS04
5H730AS13
5H730BB14
5H730DD03
5H730DD41
5H730EE57
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD11
5H730FD41
5H730ZZ01
5H730ZZ07
5H730ZZ11
5H770BA02
5H770CA01
5H770DA03
5H770DA22
5H770DA30
5H770DA41
5H770HA02W
5H770HA02Y
5H770HA03W
5H770PA12
5H770PA21
5H770PA42
5H770PA44
5H770QA01
5H770QA02
5H770QA06
5H770QA21
5H770QA24
5H770QA27
5H770QA37
(57)【要約】
【課題】冷却水を挿通させる冷媒流路を備えた電子部品収容構造体において、電子部品の被水を防止する被水防止構造を得る。
【解決手段】電力変換装置100を、冷媒流路24となる凹部が上面側に設けられた冷却器基部22と、その凹部に被せられた冷却器上板23とを含み、冷却器上板23の外周部に設けられた流路シール26により冷媒流路24が封止された冷却器20、その冷却器20の上面側に被せられた上部筐体30、冷却器20の下面側に被せられた下部筐体40、上部筐体30の内部空間30aにおいて、冷却器上板23の上面に搭載されたパワーモジュール53と、流路シール26との間に、冷却器上板23の上面から突出してパワーモジュール53を取り囲むように設けられた被水防止壁を備えてなる構成とする。被水防止壁となる端子台52は、シール部材81とその上に配設された壁面部52aを含む構成とする。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒流路となる凹部が上面側に設けられた冷却器基部と、上記冷却器基部の上記凹部に被せられた冷却器上板とを含み、上記冷却器上板の外周部に設けられたシール部により上記冷媒流路が封止された冷却器、
上記冷却器の上面側に被せられた上部筐体、
上記上部筐体の内部空間において、上記冷却器上板の上面に搭載された電子部品と、上記シール部との間に、上記冷却器上板の上面から突出して上記電子部品を取り囲むように設けられた被水防止壁を備えたことを特徴とする電子部品収容構造体。
【請求項2】
上記被水防止壁は、上記冷却器上板の上面に接して設けられたシール部材と、上記シール部材から上側に伸びるように設けられた壁面部を含む構成であることを特徴とする請求項1記載の電子部品収容構造体。
【請求項3】
上記壁面部は、上記上部筐体の内部空間天井部に配設される電子部品に干渉しない高さに設けられ、上記壁面部の外側面上部から外側に突出する被水防止庇を備えたことを特徴とする請求項2記載の電子部品収容構造体。
【請求項4】
上記壁面部の外側面部には導電性の配線部が設けられ、上記配線部は、上記被水防止庇よりも高い位置に配設されたことを特徴とする請求項3記載の電子部品収容構造体。
【請求項5】
上記冷却器の下面側に被せられた下部筐体、
上記被水防止壁の外側に位置し、上記冷却器基部を上下方向に貫通して設けられ、上記上部筐体と上記下部筐体の内部空間を連結する連結孔部を備え、
上記被水防止壁の外側において、上記冷却器上板の上面に搭載される電子部品に印加される電圧よりも低い電圧が印加される低電圧電子部品が、上記連結孔部に近接する位置に搭載されたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の電子部品収容構造体。
【請求項6】
上記冷却器の下面側に被せられた下部筐体、
上記被水防止壁の外側に位置し、上記冷却器基部を上下方向に貫通して設けられ、上記上部筐体と上記下部筐体の内部空間を連結する連結孔部を備え、
上記被水防止壁の外側において、上記冷却器上板の上面に搭載される電子部品に印加される電圧よりも低い電圧が印加される低電圧電子部品が、上記連結孔部よりも低い位置に搭載されたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の電子部品収容構造体。
【請求項7】
上記低電圧電子部品は、上記下部筐体の底面部に配設されたことを特徴とする請求項6記載の電子部品収容構造体。
【請求項8】
上記シール部は、上記冷却器上板の外周部を一重に取り巻くように配設されたことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載の電子部品収容構造体。
【請求項9】
上記シール部は、3mm以下の幅となるように設けられたことを特徴とする請求項8記載の電子部品収容構造体。
【請求項10】
上記冷却器基部は、上記凹部の内部底面から突出し、上記冷却器上板の上記冷媒流路の形成面に接する支柱部を備えたことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項記載の電子部品収容構造体。
【請求項11】
電力変換装置に適用されることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項記載の電子部品収容構造体。
【請求項12】
上記上部筐体の内部空間天井部に配設される電子部品は、上記電力変換装置を構成する平滑コンデンサまたは放電抵抗であることを特徴とする請求項11記載の電子部品収容構造体。
【請求項13】
上記冷却器の下面側に被せられた下部筐体の内部空間底面部よりも高い位置には、上記下部筐体の内部空間底面部に配置される低電圧電子部品よりも高電圧が印加される電子部品が配設されたことを特徴とする請求項12記載の電子部品収容構造体。
【請求項14】
上記下部筐体の内部空間底面部よりも高い位置は、上記下部筐体の内部空間天井部となる上記冷却器基部の下面に設けられた凹部、または上記内部空間底面部から上側に突出して設けられた段差部に相当することを特徴とする請求項13記載の電子部品収容構造体。
【請求項15】
上記下部筐体の内部空間底面部よりも高い位置に配置される上記電子部品は、上記電力変換装置を構成する直流入力端子または三相出力端子、リアクトル、降圧コンバータであることを特徴とする請求項13または請求項14記載の電子部品収容構造体。
【請求項16】
上記下部筐体の内部空間底面部に配設される上記低電圧電子部品は、制御基板、制御信号コネクタであることを特徴とする請求項13から15のいずれか一項記載の電子部品収容構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、冷媒流路を備えてなる電子部品収容構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品収容構造体の一例として、車両搭載用の電力変換装置がある。
従来の電力変換装置においては、筐体内に配設された電子部品の冷却のために冷却器が用いられている。そして、冷却器の冷媒流路を流れる冷媒は、冷媒流路のシール機能欠陥に伴って、電子部品を収容する筐体の内部に漏れ出す場合があった。
また、電力変換装置を含む電源制御装置の例として、変速機の上に電源制御装置が搭載され、冷却器の上面および下面に電子部品が配置される技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
さらに、二つのハウジングを組み合わせて電子部品を収容する二つの収容室と、それら収容室の間をシール部材で封止して冷媒流路を設ける技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
また、筐体内に漏れ出した冷媒を排出するための溝を設ける技術が開示されている(例えば、特許文献3、4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5508639号公報
【特許文献2】特許第4365338号公報
【特許文献3】特開2014-35071号公報
【特許文献4】特開2005-33140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の冷媒流路を備えた電子部品収容構造体においては、電子部品を収容する筐体内に冷媒が漏れ出さないように、冷媒流路を封止するシール部材を広幅に設ける(二重のシール構造とする場合を含む)などの封止機能を向上させるための対策が必要であった。しかし、シール部材を広幅にした分だけ、シール部材配置のための実装面積が必要となり、装置の大型化に至る場合があった。
また、冷媒流路のシール機能に欠陥が生じた場合、筐体内部に冷媒が漏れ、冷媒が冷却水である場合においては、高電圧が印加される電子部品が被水し、漏電に至る場合があった。
【0005】
本願は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、電子部品を搭載した電気装置の大型化を伴うことなく、筐体内に冷媒の漏れが生じた場合においても、高電圧部の漏電を防止することが可能な被水防止構造を持つ電子部品収容構造体を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係わる電子部品収容構造体は、冷媒流路となる凹部が上面側に設けられた冷却器基部と、上記冷却器基部の上記凹部に被せられた冷却器上板とを含み、上記冷却器上板の外周部に設けられたシール部により上記冷媒流路が封止された冷却器、上記冷却器の上面側に被せられた上部筐体、上記上部筐体の内部空間において、上記冷却器上板の上面に搭載された電子部品と、上記シール部との間に、上記冷却器上板の上面から突出して上記電子部品を取り囲むように設けられた被水防止壁を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本願の電子部品収容構造体によれば、被水防止壁を冷媒流路のシール部より内側に設けることで、実装面積を増大させることなく、冷却器上板の上面に搭載された高電圧が印加される電子部品への被水を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態1による電子部品収容構造体に相当する電力変換装置を組み込んだ電気装置の構成図である。
【図2】図1の電気装置を構成する電力変換装置と駆動装置の要部断面側面図である。
【図3】図2の電力変換装置の要部断面図である。
【図4】実施の形態1による電力変換装置の構成図である。
【図5】実施の形態1による電力変換装置の構成図である。
【図6】実施の形態1による電力変換装置の構成図である。
【図7】実施の形態1による電力変換装置の要部断面図である。
【図8】図7の上部筐体を取り去った電力変換装置の上面図である。
【図9】実施の形態2による電力変換装置の要部断面図である。
【図10】実施の形態3による電力変換装置の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
実施の形態1による電子部品収容構造体について、図1から図8を用いて説明する。電子部品収容構造体は、例えば、車両用の電力変換装置100として用いられる。図1は、実施の形態1による電子部品収容構造体に相当する車両用の電力変換装置100を組み込んだ電気装置の構成図である。例えば、この電力変換装置100には、電流センサ等の比較的低い電圧が印加される低電圧電子部品と、より高電圧が印加される高電圧部品とが、同一の装置内に搭載されている。
図1において、電力変換装置100は、車両駆動用のモータ1を制御する第一のインバータ2と、エンジン3に接続された発電機4を制御する第二のインバータ5と、高電圧二次電池6の電圧を昇圧する昇圧コンバータ7と、高電圧二次電池6の電圧を降圧するとともに絶縁し、補機8に用いられる低電圧二次電池9に電力を供給する降圧コンバータ10とを備えている。
【0010】
この電力変換装置100は、例えば、車両駆動用のモータ1は50から200kW程度、エンジン3に接続された発電機4は50から150kW程度、高電圧二次電池6は100から400V程度、補機8に用いられる低電圧二次電池9は12から48V程度のものが組み合わされて用いられる。
この場合、例えば、この電力変換装置100は、2モータ式のハイブリッド電気自動車、または、プラグイン式のハイブリッド電気自動車等の電動車両に用いられる。
なお、この電力変換装置100の用途および構成は、ここに記載した内容に限定されるものではなく、また、一部の機能を抽出して他方式へ転用して用いることも可能であることは言うまでもない。
【0011】
図2は、図1の電気装置を構成する電力変換装置100と駆動装置200の要部断面図であり、電力変換装置100は、変速機等の駆動装置200に支持される下部筐体40と、その下部筐体40に支持される冷却器20と、冷却器20に支持される上部筐体30とを備えた構成となっている。そして、冷却器20は、上部筐体30の内部空間30aと下部筐体40の内部空間40aとを接続する連結孔部21を有している。
【0012】
図3は、電力変換装置100の要部断面図であり、図2とは異なる断面を示している。図3に示すように、冷却器20は、冷却水が流れる冷媒流路24を内部に設けられ、冷媒流路24となる凹部が設けられた冷却器基部22と、その凹部を塞ぐように冷媒流路24に被せられた冷却器上板23とを含む構成となっている。冷却器20の外周部は、上部筐体30および下部筐体40と締結される筐体締結部25となっている。
【0013】
冷却器20の上側に搭載された発熱体30bは、その載置面となる冷却器上板23の上面(上側放熱部)に直接的に接合され、冷却器上板23へ放熱し、冷却器20の下側に搭載された発熱体40bは、その載置面となる冷却器基部22の底面(下側放熱部)に直接的に接合され、冷却器基部22へ放熱するように構成されている。
【0014】
次に、電力変換装置100の内部構成について、より詳細に説明する。
図1において示した第一のインバータ2または第二のインバータ5は、図4に示す電力変換装置100の構成図に含まれるインバータ50と同様の構成である。
図4に示すように、インバータ50は、モータ1(または発電機4)と接続される三相出力端子51と、端子台52とパワーモジュール53と駆動・保護基板54を有するIPM55(Intelligent Power Module)と、IPM55を冷却する冷却器20と、IPM55のスイッチングタイミングを制御する制御基板56と、三相出力の電流を検出する三相電流センサ57とを備える構成となっている。
【0015】
なお、制御基板56には、制御ハーネス59を介して外部制御基板58が接続されており、制御ハーネス59の先端部には制御信号コネクタ59aが設けられている。また、制御基板56と駆動・保護基板54の接続にも制御ハーネス59が用いられる。
【0016】
ここで端子台52は、上部筐体30の内部空間30aに冷媒流路24の封止(流路シール26)が部分的に破れるようなシール機能欠陥によって生じる漏水が、パワーモジュール53側に浸入しないように設けられた被水防止用の被水防止壁に相当する構成である。なお、被水防止壁となる端子台52の具体的な構成については後述する。
【0017】
図5は、電力変換装置100の構成図であり、昇圧コンバータ7を要部とする図である。図5に示すように、昇圧コンバータ7は、高電圧二次電池6に接続される直流入力端子61と、直流入力端子61に接続された1次側平滑コンデンサ62と、インバータ50に接続された2次側平滑コンデンサ63と、昇圧に用いるリアクトル64と、端子台52とパワーモジュール53と駆動・保護基板54を有するIPM55と、このIPM55とリアクトル64を冷却する冷却器20と、IPM55のスイッチングタイミングを制御する制御基板56と、リアクトル64の電流を検出するリアクトル電流センサ65と、1次側平滑コンデンサ62の電圧を検出する1次側電圧センサ66と、2次側平滑コンデンサ63の電圧を検出する2次側電圧センサ67とを備える構成となっている。
【0018】
図6は、電力変換装置100の構成図であり、降圧コンバータ10を要部とする図である。図6に示すように、降圧コンバータ10は、トランス71に交流電力を供給する1次側Hブリッジ回路72と、降圧と絶縁を行うトランス71と、トランス71の交流出力を整流する2次側整流回路73と、入力を平滑化する入力平滑回路74、出力を平滑化する出力平滑回路75と、補機8に用いられる低電圧二次電池9と接続される補機電源出力端子76と、1次側Hブリッジ回路72および2次側整流回路73等を冷却する冷却器20と、1次側Hブリッジ回路72のスイッチングタイミングを制御する制御基板56と、入力電流または出力電流を検出する電流センサ77と、出力電圧を検出する電圧センサ78とを備える構成となっている。
【0019】
次に、本願の実施の形態1による電力変換装置100の要部断面図を図7に示し、被水防止壁となる端子台52等について詳細に説明する。
本願の実施の形態1の電力変換装置100においては、冷却器20の構造が、冷媒流路24となる凹部が上面側に設けられるとともに、凹部を塞ぐように平板状の冷却器上板23が被せられたものとなっている。そして、冷媒流路24となる凹部の周囲には、冷却器上板23の縁部を嵌め込む切り欠き部が設けられたている。冷却器上板23は、冷却器基部22の凹部を覆った状態で、凹部の周囲の切り欠き部に流路シール26(シール部に相当する)が形成されて冷却器基部22に接合され、これにより、冷媒流路24が形成される。
【0020】
ここで、冷却器上板23の面積は、冷却器基部22よりも小さく構成され、冷却器基部22の上面側の切り欠き部に冷却器上板23がぴったりと嵌め込まれた状態となり、冷却器基部22と冷却器上板23の上面が面一に、つまり連続した平坦面となるように構成されている。また、必要に応じて、冷却器上板23の厚さ、または切り欠き部の深さを調整し、冷却器20の上面に段差を付けるように構成することも可能である。
【0021】
本構造においては、冷却器上板23が冷却器基部22よりも小さい面積であるため、流路シール26は、冷却器20の上面側に設けられ、流路シール26のシール機能欠陥が生じた場合には、冷却水は、上部筐体30の内部空間30a側に漏れ、漏水が下部筐体40側に直接的に漏れ出さない構成となっている。
【0022】
なお、冷却器上板23と冷却器基部22との嵌合状態は、上述したように、冷却器基部22の切り欠き部に冷却器上板23を嵌め込むように配置する以外に、冷却器基部22に切り欠き部を設けることなく、冷却器基部22の上面であり冷媒流路24の外周部となる部分に冷却器上板23の端部を重ね合わせるように配置し、両者の上面が面一となるのではなく、冷却器上板23の上面の方が冷却器基部22の上面より高くなるように構成することも可能である。流路シール26は、冷却器基部22と冷却器上板23とが重ね合わされた部分、あるいは、突き合わせとなる位置に形成される。
【0023】
冷却器基部22と冷却器上板23とを接合することで冷媒流路24を封止する場合、図7に示す流路シール26が接合部となっており、同部では、FSW(Friction Stir Molding)または電子ビーム溶接などの溶接がなされている。
【0024】
被水防止壁となる端子台52は、主にパワーモジュール53を取り囲む壁面部52aによって構成される。そして、IPM55のパワーモジュール53と、この流路シール26との間の領域に、壁面部52aの下端と冷却器上板23の上面を封止するために、両者に介在させるシール部材81(パワーモジュール高電圧部シール手段となるシール部材)を備えている。
【0025】
このシール部材81は、IPM55の端子台52の壁面部52aの下端面と、冷却器20の上面との間に、例えば、シール材(例えば、封止樹脂よりなる)を途切れなく塗布すること、O形状の封止部材を配設すること等により設けられる。
そして、端子台52は、内部空間30aの天井部に配設された電子部品に接することなく、電気的にも影響を及ぼさない、干渉しない高さとなるように、シール部材81上に設けられる。
また、端子台52の壁面部52aの厚さについては、壁面部52aの内側面がパワーモジュール53に接することなく、かつ、外側面が流路シール26よりも内側に配置されていれば、付加的に端子台52を設けたことによって実装面積が大きくならず、装置が大型化することはない。
【0026】
図7においては、端子台52の壁面部52aは、電子部品の載置面に直立する断面部分のみが示されているが、図示しない部分から載置面に沿って延出する冷却器上板23との固定のための締結部等が設けられ、端子台52は、冷却器20側に固定されている。
また、端子台52の壁面部52aは、例えば、絶縁性の物質にて構成することができる。
【0027】
IPM55の端子台52において、パワーモジュール53と、1次側平滑コンデンサ62および2次側平滑コンデンサ63とを接続する配線部52bは、壁面部52aの外側面部にも配設されており、配線部52bの下方に、壁面部52aの外側面から外側へ突出する樹脂製の被水防止庇82(水除け部)が設けられている。
この被水防止庇82と冷却器20との間には、一定の空間が設けられており、車両用の電力変換装置100が、走行中に振動したとしても、流路シール26から内部空間30aに浸入した冷却水を、被水防止庇82の下部の空間に溜めるとともに、被水防止壁となる端子台52と被水防止庇82によって、パワーモジュール53が配設されたIPM55の内部への被水を抑制している。なお、被水防止庇82の大きさは、装置の大型化を伴わない程度のものとすることは言うまでもない。
【0028】
ここで、図8に、図7の上部筐体30を取り去った電力変換装置100の上面図を示す。図8のように、端子台52の下端部に配設されるシール部材81は、パワーモジュール53の外周を取り囲むようにO形状となるように設けられ、その外側に流路シール26が設けられている。よって、流路シール26の欠陥が生じたとしても、漏水がパワーモジュール53側に浸入することを、シール部材81とその上部の壁面部52aによって防止することができる。
そして、図8の例では、冷却器上板23の外周が流路シール26よりも外側に配設された状態を示しているが、流路シール26は、冷媒流路24の封止が可能となる位置であれば、冷却器上板23の外周端部に沿って設けることも可能であることは言うまでもない。
【0029】
そして、図8のように平面形状がO形状となるように設けられたシール部材81の上部には、被水防止壁を構成する壁面部52aが設けられているが、被水防止庇82を設けた部分よりも、壁の高さを高くでき、その部分に配設する導電部を、被水防止庇82の高さよりも高く設けることができるような場合には、被水防止庇82を設けることなく、冷却器上板23の上面から上に十分な広さの空間を確保することによって、IPM55への被水を防止することが可能となる。
【0030】
例えば、図7の紙面右側に位置する壁面部52a断面部分に示すように、パワーモジュール53と、一部が樹脂で封止された三相出力端子51とを接続する配線部52cは、例えば、IPM55の配設高さいっぱいに高く突出して設けられた端子台52の壁面部52aの外側面に配設されるが、この配線部52cの下方に水除けとなる被水防止庇82は設けず、配線部52cと冷却器20の上面との間に、被水を防止できるだけの、十分に大きな空間を確保するような構成としている。
【0031】
さらに、図7に例示するように、冷却器20の上側に設けられた、上部筐体30の内部空間30aの天井部には、高電圧が印加される電子部品、つまり、1次側平滑コンデンサ62と、2次側平滑コンデンサ63と、これらの平滑コンデンサの電荷を放電する放電抵抗83と配設されている。これらの高電圧部品は被水を避けるために、冷却器20の上面から十分な高さを確保できるように、内部空間30a内に浮かせて配置されている。
【0032】
また、冷却器20の上側には、高電圧が印加されるIPM55と、IPM55の駆動・保護基板54に搭載され、高電圧が印加される1次側および2次側電圧センサ(図示せず)と、非接触式の三相電流センサ57(高電圧が印加される三相出力端子51とは接触しない)とが配設されている。
【0033】
ここで、三相電流センサ57を含む比較的低電圧が印加される部品である電流センサは、筐体内の漏水を検知する故障検知部として活用することができる。図7に示すように、三相電流センサ57は、内部空間30aに配設された水除け部となる被水防止庇82より低い位置に配置され、連結孔部21に近接して、つまり、連結孔部21の上端に接するか上端の周囲に配置され、漏水が発生した場合に、天井部に配設された高電圧部品あるいは被水防止壁で囲まれた高電圧部品よりも先に被水する。よって、それら電流センサを故障検知センサとして用いることで、電力変換装置100に故障検知機能を持たせることができ、漏水等の故障が生じた場合には、故障検知センサの出力を受けて速やかに装置を停止させることができ、より安全に装置を稼働させ、電気装置の保護機能を向上させることが可能となる。
【0034】
この実施の形態1の電子部品収容構造体によれば、流路シール26とパワーモジュール53の間に、被水防止壁となるシール部材81を配設し、その上に壁面部52aを築くことで端子台52を設けたため、電気装置自体の大きさを変えることなく、高電圧部への被水を防止することができる。そして、このような被水防止対策を講じているため、流路シール26自体は、一重の構造とし、そのシール幅を3mm以下の狭幅とするFSWまたは電子ビーム溶接等の封止方法を採用することができる(なお、一般的なロウ付けの場合、シール幅は6mm程度である)。よって、冷媒流路24の封止特性を向上させるためのシール幅拡張、あるいは、二重シールとするなどの対策は不要となる。
また、ここで、電力変換装置100は、上部筐体30側に全ての電子部品が配置され、下部筐体40を備えない構成とすることもでき、その場合においても、上述した被水防止壁等を適用することが可能であることは言うまでもない。
【0035】
実施の形態2.
上述の実施の形態1では、上部筐体30の内部空間30aへの部品の配設について、主に図7を用いて説明したが、この実施の形態2では、下部筐体40の内部空間40aへの各構成部品の配設について、図9を用いて説明する。
図9は、電力変換装置100の要部断面図であり、冷却器20の冷却器基部22の下面側から上側に向かって形成された凹部40c、つまり、内部空間40aの天井部には、高電圧が印加されるリアクトル64および降圧コンバータ10が配置されるとともに、連結孔部21下端に繋がる凹部には、低電圧電子部品(高電圧が印加されない電子部品)であるリアクトル電流センサ65が、連結孔部21の下端に接するか、あるいは、その周囲に位置するように、近接して配設されている。
【0036】
下部筐体40の内部空間40aに繋がる冷却器基部22の凹部40c(内部空間40aの天井部)は段差によって形成することができ、内部空間40aの中で最も被水しにくい凹部40cには、漏電を避けるため、リアクトル64および降圧コンバータ10などの高電圧部品が配置されている。
電流センサの一つであるリアクトル電流センサ65は、高電圧部品より連結孔部21に近く、あるいは接して、内部空間40a内の高電圧が印加される高電圧部品よりも先に被水する位置に配設されており、この電流センサを故障検知センサとして用いることにより故障検知機能を得ることができ、電力変換装置100の安全な稼動、漏水時の速やかな機能停止を可能となる。
【0037】
また、図9に示すように、冷却器20の下側に設けられた下部筐体40には、高電圧が印加される直流入力端子(図示せず)と、三相出力端子51と、高電圧が印加されない低電圧電子部品である制御基板56および制御信号コネクタ59aが配設されている。
【0038】
この下部筐体40は、その内部空間40aの底面部に凹部40dとなる段差部分を有しており、この凹部40dには、制御基板56と制御信号コネクタ59aなどの低電圧部品が配置される。
また、下部筐体40は、内部空間40aの底面部となる凹部40dよりも一段高い位置に段差部40eを備えている。この段差部40eは、連結孔部21から離れた位置に設けられており、同部には、三相出力端子51、あるいは直流入力端子(図示せず)が配置されている。
【0039】
このように、内部空間40aに各構成部を配設することにより、シール機能欠陥等には、まず、連結孔部21に漏水が流れ込んでリアクトル電流センサ65が被水する。さらに、制御基板56および制御信号コネクタ59aなどの低電圧部品が、高電圧部品(例えば、降圧コンバータ10、リアクトル64)より連結孔部21に近く、低く配置されているため、それら高電圧部品よりも先に被水する構成となっている。
【0040】
このように、本願の実施の形態2の電力変換装置100によれば、リアクトル電流センサ65等の低電圧電子部品の被水によって故障を検知する故障検知機能を有しているため、低電圧電子部品よりも高い電圧が印加される高電圧電子部品が被水する前に、電力変換装置100を安全に停止させることが可能となる。
よって、より安全性の高い電力変換装置100を得ることができる。
【0041】
実施の形態3.
この実施の形態3では、図10の電力変換装置100の要部断面図を用いて、冷却器20の冷却器基部22と冷却器上板23との締結箇所を増やし、冷媒流路24内にも締結箇
所を設けることで、流路シール26にかかる振動を抑制して、流路シール26の封止力劣化防止を図ることについて説明する。
図10に示すように、この実施の形態3による冷却器20は冷媒流路24の略中央部分に、冷却器基部22の凹部底面から突出して冷却器上板23の裏面に到達する形状の柱状体27を設け、冷却器上板23と冷却器基部22の柱状体27を上下締結部28により締結する構成となっている。図10の例では、冷却器基部22の上面から、冷却器上板23の厚さだけ下がった高さ(切り欠き部底面と同じ高さ)となるように、冷却器基部22の凹部底面から突出するように柱状体27が形成されている。
【0042】
この柱状体27と上下締結部28を、上述の実施の形態1および2の電力変換装置100に対して付加的に設けることによって、冷却器20の構成部の上下の締結力を強化することができる。
なお、冷媒流路24の中央部に柱状体27を配置することで、冷却器上板23上に搭載した発熱体30b、30c等の部品が振動を受けた場合においても、冷却器上板23と冷却器基部22とを固定する流路シール26に振動が伝わることを効率よく抑制し、耐振性を向上させることができる。また、冷媒流路24の耐圧性も向上させることができ、冷媒の水圧が上がってもシール機能欠陥に至ることを抑制することができ、流路シール26による冷媒流路24の封止状態を安定的に保つことが可能となる。
【0043】
この上下締結部28は、冷却器上板23と、冷却器基部22より突出した柱状体27とを、FSWまたは電子ビーム溶接等の溶接により接合することによって得ることができる。
なお、この柱状体27は、一つの電力変換装置100の冷媒流路24に、互いに離間して複数を配置することができ、放熱効率を考慮し、各発熱体の中央部から離れた位置に配設することも可能である。
【0044】
例えば、図10に示すように、発熱体30b、30c、40bと冷却器20の接合信頼性がそれぞれ異なる場合、接合信頼性が最も低い部品の中央部が柱状体27から最も離れた配置となるように位置を調整できる。
このような柱状体27の配置調整は、上側の発熱体30b、30cが、冷却器20とはんだ付等により接合信頼性が高く接合されたIPM55のパワーモジュール53等であり、下側の発熱体40bが、冷却器20に放熱グリス等を介して接合信頼性が低く締結されたリアクトル64等である場合、発熱体40bと冷却器20との接合部が最も接合信頼性が低く、放熱の優先順位がより低いものとみなされ、冷却器20との接合信頼性が高い発熱体30b、30cの放熱を優先するよう、放熱を妨げる柱状体27を、発熱体30b、30cの直下(あるいは各発熱体の中央部)から外して配置するためになされる。
【0045】
なお、発熱体30b、30c、40bの全てを、放熱面となる冷却器20の冷媒流路24形成範囲内に配置することにより、一定の冷却性を確保することは言うまでもない。
このように、柱状体27は、冷却器20に接合される電子部品に応じて、その電子部品の信頼性を考慮し、柱状体27の冷媒流路24内における配置を検討すればよく、適宜、その配置および形状を変更して用いることができる。
【0046】
上述したように、上下締結部28は、FSWまたは電子ビーム溶接等の溶接により形成される。FSWは、金属同士を接合する高い接合信頼性が得られる接合手段であり、材質がゴムであるもの、あるいはFIPG(Formed in Place Gasket)にて得られるシール材等を用いた場合に、締結箇所に生じる樹脂劣化、振動・熱衝撃等による弾性変形への対策が不要であり、本構成に適している。
なお、上述したように、流路シール26も、このFSWにて設けることができ、同部の封止特性を向上させるために二重シール構造とすること、および、シール機能欠陥が発生した場合の漏水を筐体外部に排出するための排水経路が不要となる。
【0047】
ここで、FSWまたは電子ビーム溶接等の溶接以外にも、金属同士を接合する高い接合信頼性が得られる接合手段としてロウ付けという方法もあるが、このロウ付けの手法を用いた場合、接合部を、冷却器20を構成する材料の融点付近まで昇温させるため、同部にて材料強度が低下し、これにより耐振性が低下する、または、耐振性確保に必要な剛性を得るために厚肉化が必要となる。これに対し、FSWは、冷却器20の材料の融点付近まで昇温させる必要がないため、材料強度が低下せず、耐振性が低下しないため、厚肉化が不要で、装置の大型化を伴わない。
【0048】
なお、上述の実施の形態1から3に記載の技術では、電子部品収容構造体が車両用の電力変換装置100として用いられることを示していたが、これに限らず、別の用途にも適用させることは言うまでもない。本願の実施の形態1の基本的な構造、つまり、冷却器基部22の凹部を冷却器上板23で覆い、その周囲を封止してなる冷媒流路24に冷却水を挿通させる構造であり、冷却器上板23上に発熱体となる電子部品を搭載する電子部品収容構造体であれば、被水防止壁となる端子台52の壁面部52a、シール部材81、および被水防止庇82を用いることで、被水防止壁で囲まれた高電圧電子部品への被水を防止することが可能となる。また、冷媒流路24の流路シール26に欠陥が生じ、上部筐体30の内部空間30aに冷却水が沁み出したとしても、連結孔部21に近接して、あるいは下部筐体40の内部空間40aの底面部に配置された低電圧電子部品が冷却水を被って出力が変化する現象を利用して被水検知を行うことも可能であり、安全に装置を利用することができる。
【0049】
なお、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 モータ、 2 第一のインバータ、 3 エンジン、 4 発電機、 5 第二のインバータ、 6 高電圧二次電池、 7 昇圧コンバータ、 8 補機、 9 低電圧二次電池、 10 降圧コンバータ、 20 冷却器、 21 連結孔部、 22 冷却器基部、 23 冷却器上板、 24 冷媒流路、 25 筐体締結部、26 流路シール、 27 柱状体、 28 上下締結部、 30 上部筐体、 30a、40a 内部空間、 30b、30c、40b 発熱体、 40 下部筐体、40c、40d 凹部、 40e 段差部、 50 インバータ、 51 三相出力端子、 52 端子台、 52a 壁面部、 52b、52c 配線部、 53 パワーモジュール、 54 駆動・保護基板、 55 IPM、 56 制御基板、 57 三相電流センサ、 58 外部制御基板、 59 制御ハーネス、 59a 制御信号コネクタ、 61 直流入力端子、 62 1次側平滑コンデンサ、 63 2次側平滑コンデンサ、 64 リアクトル、 65 リアクトル電流センサ、 66 1次側電圧センサ、 67 2次側電圧センサ、 71 トランス、 72 1次側Hブリッジ回路、 73 2次側整流回路、 74 入力平滑回路、 75 出力平滑回路、 76 補機電源出力端子、 77 電流センサ、 78 電圧センサ、 81 シール部材、 82 被水防止庇、 83 放電抵抗、 100 電力変換装置、 200 駆動装置
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】