(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2019146476
(43)【公開日】20190829
(54)【発明の名称】回転電気機械のためのロータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/27 20060101AFI20190802BHJP
   H02K 1/28 20060101ALI20190802BHJP
【FI】
   !H02K1/27 501C
   !H02K1/27 501A
   !H02K1/28 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】2019025515
(22)【出願日】20190215
(31)【優先権主張番号】1851343
(32)【優先日】20180216
(33)【優先権主張国】FR
(71)【出願人】
【識別番号】506390465
【氏名又は名称】モトゥール・ルロワ−ソマー
【住所又は居所】フランス・アンゴレーム・16000・ブールヴァール・マルセラン・ルロワ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー・シャマン
【住所又は居所】フランス・69360・サン・シンフォリアン・ドゾン・リュ・ドゥ・ラ・ピシーヌ・1・1・レジドンス・ボワ・ドゾン
(72)【発明者】
【氏名】ガエタン・アドリアン
【住所又は居所】フランス・69970・シャポネ・リュ・ドゥ・ボールガール・9
【テーマコード(参考)】
5H601
5H622
【Fターム(参考)】
5H601AA08
5H601AA09
5H601CC15
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601EE18
5H601FF02
5H601JJ05
5H601KK17
5H622CA01
5H622CA05
5H622CA10
5H622PP01
5H622PP04
(57)【要約】
【課題】本発明は、回転電気機械のためのロータ(1)に関する。
【解決手段】本発明にけるロータ(1)は、シャフト(2)と、シャフト(2)に係止されている少なくとも1つの環状に形成されている磁石(10)と、ラジアル方向においてシャフト(2)と磁石(10)との間に挿置されている少なくとも1つの弾性変形可能な構成要素(9)と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電気機械のためのロータ(1)であって、
シャフト(2)と、
前記シャフト(2)に係止されている少なくとも1つの環状に形成されている磁石(10)と、
ラジアル方向において前記シャフト(2)と前記磁石(10)との間に挿置されている少なくとも1つの弾性変形可能な構成要素(9)と、
を備えている前記ロータ(1)において、
前記シャフト(2)が、複数の溝(7;17)と、前記溝(7;17)それぞれに配置されているシール(9)とを備えており、
少なくとも1つの前記磁石(10)が、ラジアル方向において少なくとも1つの前記シール(9)を押圧しているか、又は少なくとも1つの前記弾性変形可能な構成要素(9)が、前記シャフト(2)に挿入されている管状のスリーブとされることを特徴とするロータ(1)。
【請求項2】
前記溝(7)が、前記シール(9)と同様に環状とされることを特徴とする請求項1に記載のロータ(1)。
【請求項3】
前記シール(9)が、Oリングとされるか、又は矩形状の断面若しくは複数のローブを有する断面を有していることを特徴とする請求項2に記載のロータ(1)。
【請求項4】
前記シャフト(2)が、2本〜40本の前記溝(7;17)を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のロータ(1)。
【請求項5】
前記ロータ(1)が、1個〜20個の前記磁石(10)を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のロータ(1)。
【請求項6】
前記磁石(10)それぞれが、少なくとも2つの前記シール(9)に載置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のロータ(1)。
【請求項7】
前記溝(7)が、前記シャフト(2)に2つ一組で配置されており、前記溝(7)から成る溝ペア(8)それぞれが、前記磁石(10)を支持するようになっている2つの前記シール(9)を受容しており、
一の前記溝ペア(8)の2つの前記溝(7)の間の間隔(t)が、隣り合う前記溝ペア(8)の隣接する溝(7)同士の間の間隔(u)より大きいことを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載のロータ(1)。
【請求項8】
前記磁石(10)が、回転円筒形状を有しており、前記回転円筒形状のラジアル方向内面及びラジアル方向外面が、回転円筒状とされることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のロータ(1)。
【請求項9】
sが0.01〜0.9であり、Dintが前記磁石(10)の内径であり、Dextが前記磁石(10)が取付羅列前記ロータ(1)の本体部分(3)の直径であり、dが前記シャフト(2)の表面に対する前記シール(9)の突出量である場合に、Dint=Dext+s×2dが成立することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のロータ(1)。
【請求項10】
前記溝(17)が、アキシアル方向に延在しており、
前記回転電気機械が、アキシアル方向に延在している前記溝(17)に係止されている複数の前記シール(9)を備えていることを特徴とする請求項1に記載のロータ(1)。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のロータ(1)を備えていることを特徴とする回転電気機械(20)。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の回転電気機械のためのロータ(1)を製造するための方法において、
前記シャフト(2)が、溝(7;17)を形成するために機械加工されており、環状に形成されている永久磁石(10)が、前記シャフト(2)に取り付けられており、これにより前記永久磁石(10)が、前記シール(9)によって前記シャフト(2)に摩擦保持されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電気機械に関し、より具体的には電気モータのロータに関する。
【背景技術】
【0002】
環状に形成された永久磁石をロータのシャフトに接合によって組み付けることが知られている。
【0003】
しかしながら、接着剤の利用は、揮発性溶剤の存在に起因して、作業者にとって限定的な条件下において進行させる必要がある。さらに、電気機械の運転に関連して生じる熱応力、特にシャフトの材料と磁石の材料との間における熱膨張差、及び、幾つかの利用分野において比較的攻撃的な環境に曝露されることとは無関係に、接着剤は、当該接着剤が長期に亘り接着機能を維持するように選定される必要がある。最後に、磁石と当該磁石の集合体のためのシャフトとの間には、間隙が必然的に生じるが、これにより同心度について誤差が発生する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
結論として、現行の解決手段の上述の欠点を克服するために、回転電気機械のためのロータの構成をさらに改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
当該目的を達成するために、本発明は、
シャフトと、
シャフトに係止されている少なくとも1つの環状に形成されている磁石と、
ラジアル方向においてシャフトと磁石との間に挿置されている少なくとも1つの弾性変形可能な構成要素と、
を備えている回転電気のためのロータを提供する。
【0006】
本発明では、1つ以上の弾性変形可能な構成要素と1つ以上の磁石とを摩擦接触させると共に、1つ以上の弾性変形可能な構成要素をシャフトに摩擦接触させることによって、接着剤を利用しないで、1つ以上の磁石をシャフトに固定することができる。
【0007】
1つ以上の弾性変形可能な構成要素は、磁石をシャフトの中心に配置させることを補助するが、これにより同心度の誤差を非常に容易に解消させることができる。さらに、1つ以上の弾性変形可能な構成要素によって、シャフトの材料と磁石の材料との間における膨張差を緩和することができる。
【0008】
好ましくは、少なくとも1つの環状に形成された磁石は、少なくとも1つの弾性変形可能な要素を挿入した後に所定位置に配置される。
【0009】
弾性変形可能な構成要素又は弾性変形可能な構成要素それぞれが、好ましくはシールであって、優位には環状とされる。
【0010】
変形例では、弾性変形可能な構成要素は、シャフトに係止されているスリーブ又はソケットの形態とされる。他の変形例では、弾性変形可能な構成要素それぞれが、シャフトに沿って延在している桿体状のシールの形態とされる。
【0011】
好ましくは、シャフトは、複数の溝を備えており、溝それぞれが、シールを受容するようになっている。
【0012】
より好ましくは、溝は、環状に形成されており、シールとされる。
【0013】
一の変形例では、シャフトは、複数のアキシアル方向溝を備えており、アキシアル方向溝それぞれが、シャフトに沿って延在している桿体状のシールを受容するようになっている。
【0014】
シールの材料及び硬度は、運転条件に従って選定される。例えばFKM(フッ素ゴム)から作られているシールは、耐温度性を考慮して利用される。
【0015】
シールのショアA硬度又はショアD硬度は、例えば70〜90の範囲とされる。
【0016】
好ましくは、利用されるシールは、Oリング、又は多角形断面、特に矩形状断面若しくは幾つかある形状の中でも特に4つのローブを有する断面のような複数のローブを有する断面を有するシールとされる。
【0017】
シールの硬度と同様に、溝の数量又はシールの圧縮度は、シャフトに組み付けるべき磁石の数量、及び、磁石それぞれに作用するトルクに従って選定される。例えばトルクが大きくなるに従って、シールの数量も多くなる。
【0018】
好ましくは、シャフトは、1本〜40本の溝を備えており、ロータは、1つ〜20つの磁石を備えている。シールの数量は、例えば磁石の数量の少なくとも2倍とされ、磁石それぞれが、少なくとも2つのシールに載置されている。溝は、シャフトに2本一組で配置されており、溝ペアそれぞれが、磁石を受容するようになっている2つのシールを受容しており、溝ペアの2つの溝の間に形成された間隙は、隣り合う溝ペアそれぞれの隣接する溝同士の間に形成された溝より大きい。
【0019】
シャフトは、好ましくは例えば軟鋼のような磁性材料から、機械加工によって一体的に製造されている。
【0020】
好ましくは、磁石は、回転円筒体を有しており、ラジアル方向内側表面及びラジアル方向外側表面は、回転円筒状に形成されている。
【0021】
溝は、シャフトの回転円筒状表面に機械加工されており、溝の外径は、例えば10mm〜100mmとされる。
【0022】
磁石それぞれが、複数の極を有している。2つの連続的な磁石の極は、角度的にオフセットされていても、角度的にオフセットされていなくても良い。
【0023】
本発明のさらなる目的は、このようなロータを具備する回転電気機械を提供することである。
【0024】
本発明のさらなる実施形態は、回転電気機械のための、特に上述の機械のためのロータを製造するための方法であって、シャフトが、特に環状の溝を形成するために機械加工され、シール、特に環状のシールが、溝に配置されており、環状に形成された永久磁石が、シャフトに取り付けられており、これにより永久磁石が、シールによってシャフトに摩擦保持される、方法を提供する。
【0025】
本発明については、添付図面を参照しつつ、本発明の非限定的な実施例に関する以下の詳細な説明を読むことによって良好に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明における電気機械のためのロータの一例を表わす。
【図2】非組立状態における図1に表わすロータの構成要素を表わす。
【図3】シール組立体を装着したシャフトを表わす。
【図4】シールを省略した図3に表わすシャフトを表わす。
【図5】様々な寸法関係を示す。
【図6】本発明における回転電気機械の一例についての長手方向断面図である。
【図7】本発明におけるロータの変形例を表わす。
【図8】図7の断面VIII−VIIIを表わす。
【図9】本発明におけるロータの変形例についての長手方向断面図である。
【図10】シールの断面の例示的な変形例を表わす。
【図11】シールの断面の例示的な変形例を表わす。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1〜図5に表わすロータ1は、永久磁石式電気モータのためのロータである。
【0028】
ロータ1は、例えば軟鋼から作られているシャフト2を備えており、シャフト2は、本体部分3と、図示しない軸受に係止されるようになっている端部分4とを有している。
【0029】
本体部分3は、回転円筒状表面5を有しており、特に図2から理解されるように、回転円筒状表面5には、環状の溝7が、機械加工によって製造されている。溝7それぞれは、好ましくは矩形状断面を有している。
【0030】
図示の実施例では、8本の溝7が、2本一組の溝ペア8単位で設けられている。溝ペア8の2つの溝7の軸線同士の間隔tは、図5に表わすように、例えば隣り合う組の2つの溝7の間隔uより大きい。例えば、tは10mm〜15mmとされ、uは2mm〜15mmとされるので、uはtの0.2倍〜1倍となっている。Oリング9が、溝7に配置されている。シール9の断面は、ロータ1の本体部分3の外側表面から突出するように選定される。
【0031】
本体部分3の外径Dextが27mmである場合には、例えば、溝7の深さは1.76mmであり、溝7の直径は23.48mmであるので、Oリング9は、シャフト2の回転円筒状表面5に対して0.825mmの距離dで突出している。
【0032】
環状に形成された永久磁石10が、シャフト2に取り付けられている。
【0033】
シール9は、環状に形成された永久磁石10とシャフト2とに直接接触している。
【0034】
永久磁石10の内径Dintは、Dext+2dより小さいので、永久磁石10はシール9に擦り付けられており、シャフト2に摩擦固定されている。
【0035】
好ましくは、Dint=Dext+s×2dである。ここで、sは0.01〜0.9である。好ましくはシールが20%圧縮されると、シールを損傷させることなく、すなわち永久磁石の取り付けを過度に困難にすることなく、永久磁石を良好に保持することができる。
【0036】
永久磁石10それぞれが、溝ペア8に対する2つのシール9に載置されている。
【0037】
永久磁石10それぞれが、ラジアル方向に磁化されている2つの極すなわちN極及びS極を、又は3つ以上の極を、例えば2つのN極及び2つのS極を有している。
【0038】
一の実施例では、本体部分3の外径Dextは38.18mmであり、Oリング9の断面直径は1.76mmであり、永久磁石10の内径Dintは38.45mmである。
【0039】
ロータを組み立てるために、シール9は、シール9を構成する材料の弾性によって溝7に配置され、永久磁石10は、順々にシール9に装着される。
【0040】
本発明におけるロータ1は、一例として図6に概略的に表わす回転機械20を形成するために、ステータ21に収容されている。ステータ21は任意のタイプであって良い。好ましくは、電気機械20は、例えば同期モータのような電気モータとされる。
【0041】
図6は、2つの永久磁石10を具備するロータ1を表わす。
【0042】
図7及び図8は、ロータ1の変形例を表わす。当該図面では、シール9は、ロータ1の長手方向軸線に対して平行に延在しているストリップの形態とされ、シール9それぞれが、回転軸線に対して平行とされるスロットの形態とされる溝17に配置されている。
【0043】
溝17は、ロータ1の長手方向軸線を中心として等間隔で配置されており、例えば図示の如く8本である。永久磁石10は、シール9に装着されている。
【0044】
図9は、ロータ1の変形例を表わす。1つ以上の磁石10が、シャフト2に挿入されている弾性材料から作られている管状のスリーブ9に取り付けられている。
【0045】
好ましくは、スリーブ9は、図示の如く、永久磁石10の累積的な幅より大きい距離に亘って延在している。
【0046】
スリーブ9は、永久磁石10及びシャフト2に直接接触している。
【0047】
モータはサーボモータとされる場合がある。言うまでもなく、本発明は、上述の実施例に限定される訳では無い。例えば、溝7又は図17の本数とシール9の数量と永久磁石10の数量とは異なる場合がある。
【0048】
シール9は、リングであって、円状の断面を有している場合や、図10に表わすように矩形状の断面を有する環状に形成されている場合や、図11に表わすように4つのローブを有する断面形状とされる場合がある。
【符号の説明】
【0049】
1 ロータ
2 シャフト
3 (シャフト2の)本体部分
4 (シャフト2の)端部分
5 (本体部分3の)回転円筒状表面
7 溝
8 溝ペア
9 シール(Oリング)
10 永久磁石
17 溝
20 電気機械
21 ステータ
t 溝ペア8の2つの溝7の間隔
u 隣り合う溝ペア8の隣接する2つの溝7の間隔
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【外国語明細書】
2019146476000001.pdf