(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2019204800
(43)【公開日】20191128
(54)【発明の名称】全固体二次電池用固体電解質、及びその製造方法、並びに全固体二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0562 20100101AFI20191101BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20191101BHJP
【FI】
   !H01M10/0562
   !H01M10/052
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】2019161035
(22)【出願日】20190904
(62)【分割の表示】2018047660の分割
【原出願日】20180315
(31)【優先権主張番号】2017051281
(32)【優先日】20170316
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000240
【氏名又は名称】太平洋セメント株式会社
【住所又は居所】東京都港区台場二丁目3番5号
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 弘樹
【住所又は居所】千葉県佐倉市大作二丁目4番地2 太平洋セメント株式会社中央研究所内
(72)【発明者】
【氏名】大神 剛章
【住所又は居所】千葉県佐倉市大作二丁目4番地2 太平洋セメント株式会社中央研究所内
【テーマコード(参考)】
5H029
【Fターム(参考)】
5H029AJ06
5H029AJ14
5H029AK01
5H029AL12
5H029AM12
5H029HJ01
5H029HJ02
5H029HJ05
(57)【要約】
【課題】継続的な二次電池の使用においても電極活物質との界面抵抗が有効に低減される、全固体二次電池用固体電解質、及びその製造方法、並びに全固体二次電池を提供する。
【解決手段】平均繊維径が50nm以下のセルロースナノファイバー由来の炭素鎖に複数の固体電解質ナノ粒子(a)が線状に担持してなる固体電解質ナノ粒子集合体(b)が、固体電解質粒子(A)の表面に担持されてなる、全固体二次電池用固体電解質。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均繊維径が50nm以下のセルロースナノファイバー由来の炭素鎖に複数の固体電解質ナノ粒子(a)が線状に担持してなる固体電解質ナノ粒子集合体(b)が、固体電解質粒子(A)の表面に担持されてなる、全固体二次電池用固体電解質。
【請求項2】
平均繊維径が50nm以下のセルロースナノファイバーに誘導されて固体電解質ナノ粒子(a)が線状に連続して配列した固体電解質ナノ粒子列(c)が、固体電解質粒子(A)の表面に担持されてなる、全固体二次電池用固体電解質。
【請求項3】
前記固体電解質粒子(A)の平均粒子径が、10nm〜50μmである、請求項1又は2に記載の全固体二次電池用固体電解質。
【請求項4】
前記固体電解質ナノ粒子(a)の平均粒子径が、0.5nm〜100nmである請求項1〜3のいずれか1項に記載の全固体二次電池用固体電解質。
【請求項5】
前記固体電解質粒子(A)と、前記固体電解質ナノ粒子集合体(b)、前記固体電解質ナノ粒子列(c)、又はその両方を含む場合にはその合計量、との質量割合が、99.9:0.1〜70:30である請求項1〜4のいずれか1項に記載の全固体二次電池用固体電解質。
【請求項6】
前記固体電解質粒子(A)が、LiPO‐LiSiO、Li7−xLaZr2−xTa12、La0.51Li0.34TiO2.94、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO、LiLaZr12、及び50LiSiO・50LiBOからなる群のうち少なくとも1種以上を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の全固体二次電池用固体電解質。
【請求項7】
前記固体電解質ナノ粒子(a)が、LiPO‐LiSiO、Li7−xLaZr2−xTa12、La0.51Li0.34TiO2.94、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO、LiLaZr12、及び50LiSiO・50LiBOからなる群のうち少なくとも1種以上を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の全固体二次電池用固体電解質。
【請求項8】
前記線状が、直線状、又は略直線状である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の全固体二次電池用固体電解質。
【請求項9】
全固体リチウムイオン二次電池用である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の全固体二次電池用固体電解質。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の全固体二次電池用固体電解質を備える、全固体二次電池。
【請求項11】
前記二次電池が、全固体リチウムイオン二次電池である、請求項10に記載の全固体二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極活物質との界面抵抗が低減された全固体二次電池用固体電解質、特に全固体リチウムイオン二次電池用固体電解質、及びそれらの製造方法、並びにそれらを用いた全固体二次電池ないし全固体リチウムイオン二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
現在市販されているリチウムイオン二次電池等の二次電池は、電解液に可燃性の有機溶媒が使用されているため、短絡防止のための構造や、短絡が生じた場合の温度上昇を抑える安全装置が必要となる。これに対し、LiLaZr12などの酸化物系の固体電解質や、75LiS・25Pなどの硫化物系の固体電解質を備えた全固体リチウムイオン二次電池は、エネルギー密度の高さと共に、可燃物を用いないことから安全装置の簡素化を図ることができ、製造コストや生産性にも優れるリチウムイオン二次電池として期待されている。
【0003】
全固体リチウムイオン二次電池は、アルミ箔等の正極集電体、正極活物質、固体電解質、負極活物質、及び銅箔等の負極集電体といった、構成材料のすべてが固体物質で構成されている。上記全固体リチウムイオン二次電池の製造では、一般的に、これらの構成材料を積層してプレスする工程が含まれるが、これは、固体材料間の固−固界面の接触を改良して界面抵抗を低減し、得られるリチウムイオン二次電池の性能を向上させるためである。
【0004】
また、非特許文献1には、175℃で5時間の加熱処理を行うことによって、固体電解質Li7−xLaZr2−xTa12(LLZT)と金属リチウムからなる負極材料とが良好な接合界面を形成し、界面抵抗が効果的に低減できることが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】稲田亮史外;第58回電池討論会講演要旨、1C07、2017
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のようにプレスして製造された全固体リチウムイオン二次電池等では、充放電によって繰り返される電極活物質の膨張、収縮や、使用中の振動等によって、二次電池内の材料の積層構造の破壊が生じ、正極活物質と負極活物質とが接触して電池が内部短絡する恐れがある。また、非特許文献1の方法では、金属リチウム以外の電極活物質への適用が困難という問題がある。
【0007】
したがって、本発明の課題は、継続的な二次電池の使用においても電極活物質との界面抵抗が有効に低減される、全固体二次電池用固体電解質、特に全固体リチウムイオン二次電池用固体電解質、及びその製造方法、並びにそれらを用いた全固体二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、以下に示す全固体二次電池用固体電解質、及びその製造方法、並びにそれらを用いた全固体二次電池により、上記目的を達成できることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の全固体二次電池用固体電解質は、平均繊維径が50nm以下のセルロースナノファイバー由来の炭素鎖に複数の固体電解質ナノ粒子(a)が線状に担持してなる固体電解質ナノ粒子集合体(b)が、固体電解質粒子(A)の表面に担持されてなることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の他の全固体二次電池用固体電解質は、平均繊維径が50nm以下のセルロースナノファイバーに誘導されて固体電解質ナノ粒子(a)が線状に連続して配列した固体電解質ナノ粒子列(c)が、固体電解質粒子(A)の表面に担持されてなることを特徴とする。
【0011】
本発明の全固体二次電池用固体電解質によると、上述のように、セルロースナノファイバー由来の炭素鎖を軸又は基材として、これに特定の固体電解質のナノ粒子が複数連なって担持又は配列してなる特異な形状を呈する固体電解質ナノ粒子集合体(b)、又は固体電解質のナノ粒子を用いて得られる線状に配列した複数の固体電解質のナノ粒子列(c)を、たとえば、電極活物質層と固体電解質の界面部に存在させることによって、電極活物質と固体電解質との有効な接合が十分に確保されて界面抵抗が低減され、さらには、電極活物質が充放電による膨張、収縮を繰り返しても電極活物質と固体電解質との有効な接合が継続され得ることが可能となる。
【0012】
また、本発明の全固体二次電池用固体電解質において、上記固体電解質粒子(A)の平均粒子径が、10nm〜50μmとすることができる。上記構成とすることにより、電極活物質(粒子)や電解質(粒子)等との空隙率の小さい良好なパッキング状態を構成することができ、全固体二次電池用固体電解質としてより好適なものとなりうる。
【0013】
また、本発明の全固体二次電池用固体電解質において、上記固体電解質ナノ粒子(a)の平均粒子径が、0.5nm〜100nmとすることができる。上記構成とすることにより、電極活物質(粒子)や電解質(粒子)等と空隙率の小さい良好なパッキング状態を構成することができ、全固体二次電池用固体電解質としてより好適なものとなりうる。
【0014】
また、本発明の全固体二次電池用固体電解質において、上記固体電解質粒子(A)と、上記固体電解質ナノ粒子集合体(b)、上記固体電解質ナノ粒子列(c)、又はその両方を含む場合にはその合計量、との質量割合((A):固体電解質ナノ粒子集合体(b)+固体電解質ナノ粒子列(c)(ただし、固体電解質ナノ粒子集合体(b)と固体電解質ナノ粒子列(c)は、いずれか一方しか含まない場合は、その一方のみ。))が、99.9:0.1〜70:30とすることができる。上記構成とすることにより、全固体二次電池用固体電解質としてより好適なものとなりうる。
【0015】
また、本発明の全固体二次電池用固体電解質において、上記固体電解質粒子(A)が、LiPO‐LiSiO、Li7−xLaZr2−xTa12、La0.51Li0.34TiO2.94、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO、LiLaZr12、及び50LiSiO・50LiBOからなる群のうち少なくとも1種以上を含むものであっても構わない。上記構成とすることにより、全固体二次電池用固体電解質、特に全固体リチウムイオン二次電池用固体電解質としてより好適なものとなりうる。
【0016】
また、本発明の全固体二次電池用固体電解質において、上記固体電解質ナノ粒子(a)が、LiPO‐LiSiO、Li7−xLaZr2−xTa12、La0.51Li0.34TiO2.94、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO、LiLaZr12、及び50LiSiO・50LiBOからなる群のうち少なくとも1種以上を含むものであっても構わない。上記構成とすることにより、全固体二次電池用固体電解質、特に全固体リチウムイオン二次電池用固体電解質としてより好適なものとなりうる。
【0017】
また、本発明の全固体二次電池用固体電解質において、上記線状が、直線状、又は略直線状であるとすることができる。上記構成とすることにより、全固体二次電池用固体電解質として好適なものとなりうる。
【0018】
また、本発明の全固体二次電池用固体電解質において、上記全固体リチウムイオン二次電池用であるとすることができる。本発明の全固体二次電池用固体電解質は、上記特徴を有しているため、特に全固体リチウムイオン二次電池用として用いられることが好ましい。
【0019】
一方、本発明の全固体二次電池用固体電解質の製造方法は、
次の工程(II)〜(III):
少なくとも1種の固体電解質の原料化合物、アルカリ溶液、及び原料となるセルロースナノファイバー(以下、「CNF」と称することもある。)を含有するスラリーを、温度が100℃以上、圧力が0.3MPa〜0.9MPaの水熱反応に付して、原料CNFの一部、又は全部を内包する固体電解質ナノ粒子集合体(d)、原料CNFの一部、又は全部を内包する上記固体電解質の前駆体からなるナノ粒子集合体(e)、又はその両方、を製造する工程(II)、及び、
少なくとも、工程(II)で得られた上記原料CNFの一部、又は全部を内包する固体電解質ナノ粒子集合体(d)、原料CNFの一部、又は全部を内包する上記固体電解質の前駆体からなるナノ粒子集合体(e)及び上記原料CNFの一部、又は全部を内包する上記固体電解質の前駆体からなるナノ粒子集合体(e)と反応して固体電解質ナノ粒子集合体(b)若しくは固体電解質ナノ粒子列(c)を生成するための残余の原料化合物、又はその両方を焼成する工程(III)、
を含むことを特徴とする。
【0020】
また、他の本発明の全固体二次電池用固体電解質の製造方法は、
次の工程(II)〜(III’):
少なくとも1種の固体電解質の原料化合物、アルカリ溶液、及び原料となるセルロースナノファイバーを含有するスラリーを、温度が100℃以上、圧力が0.3MPa〜0.9MPaの水熱反応に付して、原料CNFの一部、又は全部を内包する固体電解質ナノ粒子集合体(d)、原料CNFの一部、又は全部を内包する上記固体電解質の前駆体からなるナノ粒子集合体(e)、又はその両方、を製造する工程(II)、及び、
少なくとも、工程(II)で得られた上記原料CNFの一部、又は全部を内包する固体電解質ナノ粒子集合体(d)、原料CNFの一部、又は全部を内包する上記固体電解質の前駆体からなるナノ粒子集合体(e)及び上記原料CNFの一部、又は全部を内包する上記固体電解質の前駆体からなるナノ粒子集合体(e)と反応して固体電解質ナノ粒子集合体(b)を生成するための残余の原料化合物、又はその両方を、還元雰囲気下で焼成する工程(III’)、
を含むことを特徴とする。
【0021】
また、他の本発明の全固体二次電池用固体電解質の製造方法は、
次の工程(II)〜(III’’):
少なくとも1種の固体電解質の原料化合物、アルカリ溶液、及び原料となるセルロースナノファイバーを含有するスラリーを、温度が100℃以上、圧力が0.3MPa〜0.9MPaの水熱反応に付して、原料CNFの一部、又は全部を内包する固体電解質ナノ粒子集合体(d)、原料CNFの一部、又は全部を内包する上記固体電解質の前駆体からなるナノ粒子集合体(e)、又はその両方、を製造する工程(II)、及び、
少なくとも、工程(II)で得られた上記原料CNFの一部、又は全部を内包する固体電解質ナノ粒子集合体(d)、原料CNFの一部、又は全部を内包する上記固体電解質の前駆体からなるナノ粒子集合体(e)及び上記原料CNFの一部、又は全部を内包する上記固体電解質の前駆体からなるナノ粒子集合体(e)と反応して固体電解質ナノ粒子列(c)を生成するための残余の原料化合物、又はその両方を、酸化雰囲気下で焼成する工程(III’’)、
を含むことを特徴とする。
【0022】
本発明の全固体二次電池用固体電解質の製造方法は、上記構成を有することにより、上述の全固体二次電池用固体電解質をより簡便に製造することが可能となる。さらには、上述のように、工程(III’)、又は工程(III’’)を有することにより、セルロースナノファイバー由来の炭素鎖に複数の固体電解質ナノ粒子(a)が線状に担持してなる上記固体電解質ナノ粒子集合体(b)を備える固体電解質、及びセルロースナノファイバーに誘導されて固体電解質ナノ粒子(a)が線状に連続して配列した上記固体電解質ナノ粒子列(c)を備える固体電解質について、各々所望のものを簡便に得ることが可能となる。
【0023】
また、本発明の全固体二次電池用固体電解質の製造方法において、工程(III)、(III’)、又は(III’’)において、焼成する際に、さらに固体電解質粒子(A)を含むことができる。たとえば、焼成前の原料混合物に、事前に、固体電解質粒子(A)を含めておくことで、上記固体電解質ナノ粒子集合体(b)、又は固体電解質ナノ粒子列(c)のいずれか一方を、固体電解質粒子(A)の表面に担持した全固体二次電池用固体電解質をより簡便に得ることが可能となりうる。
【0024】
また、本発明の全固体二次電池用固体電解質の製造方法において、さらに、工程(III)、(III’)、又は(III’’)に先立ち、上記固体電解質粒子(A)を製造する工程(I)、を含むことができる。
【0025】
また、本発明の全固体二次電池用固体電解質の製造方法において、工程(II)のスラリー中におけるセルロースナノファイバーの含有量が、スラリー中の水100質量部に対し、炭素原子換算量で0.01質量部〜10質量部であるとすることができる。上記構成とすることにより、より確実に、原料CNFの一部、又は全部を内包する固体電解質ナノ粒子集合体(d)、原料CNFの一部、又は全部を内包する上記固体電解質の前駆体からなるナノ粒子集合体(e)、又はその両方へと変換させ、上記全固体二次電池用固体電解質を得ることができうる。
【0026】
また、本発明の全固体二次電池用固体電解質の製造方法において、工程(II)における水熱反応が、温度が100℃以上、圧力が0.3MPa〜0.9MPa、反応時間が0.5時間〜24時間であるとすることができる。上記構成とすることにより、より確実に、原料CNFの一部、又は全部を内包する固体電解質ナノ粒子集合体(d)、原料CNFの一部、又は全部を内包する上記固体電解質の前駆体からなるナノ粒子集合体(e)、又はその両方へと変換させ、上記全固体二次電池用固体電解質を得ることができうる。
【0027】
また、本発明の全固体二次電池用固体電解質の製造方法において、工程(III)、(III’)、又は(III’’)における焼成の温度が、500℃〜1200℃であるとすることができる。上記構成とすることにより、より確実に、上記セルロースナノファイバーを炭化または焼失させるとともに、原料CNFの一部、又は全部を内包する上記固体電解質の前駆体からなるナノ粒子集合体(e)が含まれる場合にはそれを固体電解質ナノ粒子集合体(b)、又は固体電解質ナノ粒子列(c)へと変換させ、上記全固体二次電池用固体電解質を得ることができうる。
【0028】
他方、本発明の全固体二次電池は、上記全固体二次電池用固体電解質を備えることを特徴とする。
【0029】
上記全固体二次電池は、上記特性を有する全固体二次電池用固体電解質を構成要素として備えるため、充放電容量や充放電の繰り返しに伴う耐久性等をより一層高めうることができる。
【0030】
また、本発明の全固体二次電池は、全固体リチウムイオン二次電池であることが好ましい。上記特性を備えるため、充放電容量や充放電の繰り返しに伴う耐久性等をより一層高めた全固体リチウムイオン二次電池となりうる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の全固体二次電池用固体電解質によれば、固体電解質粒子(A)の表面に固体電解質ナノ粒子集合体(b)、又は固体電解質粒子のナノ粒子列(c)が担持されているため、それを用いた全固体二次電池、特に全固体リチウムイオン二次電池における電極活物質粒子と上記固体電解質粒子間の界面抵抗が十分に低減され、上記二次電池の充放電容量をより一層高めることができうる。
【0032】
また、本発明の全固体二次電池用固体電解質の製造方法によれば、上述の固体電解質粒子(A)の表面に固体電解質ナノ粒子集合体(b)、又は固体電解質粒子のナノ粒子列(c)が担持されている所望の各固体電解質を簡便に得ることが可能となる。
【0033】
また、本発明の全固体二次電池、ないし全固体リチウムイオン二次電池によれば、上記特性を有する全固体二次電池用固体電解質を備えるため、電極活物質粒子と上記固体電解質粒子間の界面抵抗が十分に低減され、上記二次電池の充放電容量や充放電の繰り返しに伴う耐久性をより一層高めた全固体二次電池、ないし全固体リチウムイオン二次電池とすることができうる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施例1で得られた固体電解質粒子の表面構造を示すTEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0036】
〔全固体二次電池用固体電解質〕
本発明の全固体リチウムイオン二次電池用固体電解質は、平均粒子径が10nm〜50μmの固体電解質粒子(A)の表面に、平均繊維径が50nm以下のセルロースナノファイバー由来の炭素鎖に、平均粒径が0.5nm〜100nmの複数の固体電解質ナノ粒子(a)が線状に担持してなる固体電解質ナノ粒子集合体(b)(以後、「固体電解質ナノアレイ(b)」と称することもある。)か、又は上記セルロースナノファイバーに誘導されて固体電解質ナノ粒子(a)が線状に連続して配列した固体電解質ナノ粒子列(c)が、固体電解質粒子(A)の表面に担持されてなる。
【0037】
ここで、本発明における固体電解質ナノ粒子集合体(b)とは、ナノスケールの構造体である平均繊維径が50nm以下のセルロースナノファイバー由来の炭素鎖に、もう一方のナノスケールの構造体である平均粒径が0.5nm〜100nmの複数の固体電解質ナノ粒子が線状に、連続して、又は断続的に、担持してなる、特異な形状を呈している。そして、上記固体電解質ナノ粒子集合体(b)は、構成材料の分離が生じ難いため、上記特異な形状を保持しつつ、固体電解質粒子(A)の表面に担持することが可能である。
【0038】
本発明における固体電解質ナノアレイ(b)、又は固体電解質ナノ粒子列(c)が表面に担持された全固体二次電池用固体電解質、特に全固体リチウムイオン二次電池用固体電解質は、本発明の範囲が当該推測のメカニズムに限定されるものではないが、その表面の固体電解質ナノアレイ(b)、又は固体電解質ナノ粒子列(c)の担持による微小な凹凸構造によって、たとえば、充放電によって電極活物質の膨張、収縮が繰り返し生じた場合であっても、電極活物質粒子と固体電解質粒子との間に常に多量の有効な接合点が存在しうる状態を保持できることにより、これらを用いて得られる全固体二次電池、特に全固体リチウムイオン二次電池は、電極活物質粒子と固体電解質粒子間の界面抵抗が十分に低減されて、良好な充放電容量を発現しうると推測している。
【0039】
なお、上記固体電解質粒子(A)の表面上の上記固体電解質ナノアレイ(b)、又は上記固体電解質粒子(A)の表面上の上記固体電解質ナノ粒子列(c)の担持状態は、必ずしも物理的、又は化学的に強固である必要はない。なぜなら、たとえば、全固体リチウムイオン二次電池の製造では、正極活物質層、固体電解質層、及び負極活物質層の積層構造をプレスして電池とするため、かかる圧縮力によって固体電解質ナノアレイ(b)を介して固体電解質粒子(A)と電極活物質粒子との間、又は固体電解質ナノ粒子列(c)を介して固体電解質粒子(A)と電極活物質粒子との間には、良好な接触状態が形成されうるからである。
【0040】
また、本発明に用いる固体電解質粒子(A)は、全固体二次電池、特に全固体リチウムイオン二次電池に用いることができるものであって、かつ、後述する製造方法における焼成工程において熱分解を生じ難いものであれば、その種類に制限はない。具体的には、酸化物系固体電解質等を用いることができ、たとえば、LiPO‐LiSiO、Li7−xLaZr2−xTa12、La0.51Li0.34TiO2.94、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO、LiLaZr12、50LiSiO・50LiBO等をあげることができる。また、本発明の固体電解質粒子(A)は、LiPO‐LiSiO、Li7−xLaZr2−xTa12、La0.51Li0.34TiO2.94、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO、LiLaZr12、及び50LiSiO・50LiBOからなる群のうち少なくとも1種以上を含むものであってもよい。
【0041】
上記固体電解質粒子(A)の平均粒径は、好ましくは10nm〜50μmであり、より好ましくは10nm〜25μmである。固体電解質粒子(A)の平均粒径が上記範囲とすることにより、得られる全固体二次電池の内部において電極活物質粒子と空隙率の小さい良好なパッキング状態を構成することができうる。
【0042】
ここで、本発明における平均粒径とは、SEM、又はTEMの電子顕微鏡を用いた観察における、数十個の粒子の粒径(長軸の長さ)の測定値の平均値を意味する。また、上記平均値の算出は、たとえば、10個の粒子の測定値を用いて行う。
【0043】
本発明の固体電解質ナノアレイ(b)を構成するセルロースナノファイバー由来の炭素鎖の原料となるセルロースナノファイバーとは、全ての植物細胞壁の約5割を占める骨格成分であって、上記細胞壁を構成する植物繊維をナノサイズまで解繊等することにより得ることができる軽量高強度繊維であり、水への良好な分散性も有している。また、セルロースナノファイバーを構成するセルロース分子鎖は、炭素による周期的構造が形成されていることから、還元条件下での焼成などして得られるセルロースナノファイバーが炭化されて形成される鎖状の炭素は、良好な導電パスとして、固体電解質粒子(A)の表面に担持される固体電解質ナノアレイ(b)中に一部または全部が内包されうる。
【0044】
また、当然のことながら、酸素雰囲気下の焼成においては、上記セルロースナノファイバーは二酸化炭素ならびに水となって焼失するので、原料CNFの一部、又は全部を内包する固体電解質ナノ粒子集合体(d)(以後、「CNF内包固体電解質ナノ粒子集合体(d)」と称す場合もある。)、又は原料CNFの一部、又は全部を内包する上記固体電解質の前駆体からなるナノ粒子集合体(e)(以後、「CNF内包前駆体ナノ粒子集合体(e)」と称す場合もある。)を酸素雰囲気焼成することによって、CNF内包固体電解質ナノ粒子集合体(d)、又はCNF内包前駆体ナノ粒子集合体(e)からセルロースナノファイバーが除去されて得られるナノアレイでの整列状態を保持した固体電解質ナノ粒子列(c)のみを、固体電解質粒子(A)の表面に担持させることが可能である。
【0045】
なお、本発明において、「内包」とは、対象物の一部、又は全部を、断片的に、又は連続的に、覆っている状態を意味する。本発明においては、たとえば、上記CNF内包固体電解質ナノ粒子集合体(d)とは、原料CNFの一部、又は全部を、少なくとも固体電解質ナノ粒子(a)が線状、又は塊状に、連続して、又は断続的に覆っている状態にあり、また、上記CNF内包前駆体ナノ粒子集合体(e)とは、原料CNFの一部、又は全部を、少なくとも上記固体電解質の前駆体からなるナノ粒子が線状、又は塊状に、連続して、又は断続的に覆っている状態にある。
【0046】
本発明に用いるセルロースナノファイバーの平均長さは、固体電解質ナノ粒子(a)が線状に、連続して、又は断続的な、担持されることを可能としつつ、固体電解質粒子(A)との良好な担持を確保する観点から、好ましくは50nm〜200μmであり、より好ましくは50nm〜150μmであり、さらに好ましくは50nm〜100μmである。また、同様の観点から、用いるセルロースナノファイバーの平均繊維径は、好ましくは5nm〜50nm、より好ましくは5nm〜30nmであり、さらに好ましくは5nm〜20nmである。
【0047】
また、上記セルロースナノファイバーが炭化されてなる、セルロースナノファイバー由来の炭素鎖の平均長さは、固体電解質ナノ粒子(a)が線状に、連続して、又は断続的な、担持されることを可能としつつ、効果的に充放電容量を高め得る形状を呈するのを確保する観点から、好ましくは50nm〜10μmであり、より好ましくは50nm〜5μmであり、さらに好ましくは50nm〜1μmである。
【0048】
また、上記セルロースナノファイバー由来の炭素鎖の平均繊維径は、50nm以下であって、好ましくは40nm以下であり、より好ましくは30nm以下である。セルロースナノファイバー由来の炭素鎖の平均繊維径の下限値については特に制限はないが、通常、5nm以上である。
【0049】
本発明の、固体電解質ナノアレイ(b)、又は固体電解質ナノ粒子列(c)を構成する固体電解質ナノ粒子(a)は、全固体二次電池、特に全固体リチウムイオン二次電池に用いることができるものであり、かつ、後述する製造方法における焼成工程において熱分解を生じ難いものであれば、その種類に制限はない。さらに、担持の基材となる固体電解質粒子(A)と必ずしも同じである必要はない。具体的には、酸化物系固体電解質を用いることができ、たとえば、LiPO‐LiSiO、Li7−xLaZr2−xTa12、La0.51Li0.34TiO2.94、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO、LiLaZr12、50LiSiO・50LiBO等をあげることができる。また、本発明における固体電解質ナノアレイ(b)、又は固体電解質ナノ粒子列(c)を構成する固体電解質として、LiPO‐LiSiO、Li7−xLaZr2−xTa12、La0.51Li0.34TiO2.94、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO、LiLaZr12、及び50LiSiO・50LiBOからなる群のうち少なくとも1種以上を含むものであってもよい。
【0050】
上記固体電解質ナノアレイ(b)、又は固体電解質ナノ粒子列(c)を構成する固体電解質ナノ粒子(a)の平均粒径は、電極活物質等との良好な界面を形成する観点、及びセルロースナノファイバー由来の炭素鎖に良好に担持する観点から、0.5nm〜100nmが好ましく、1nm〜80nmがより好ましく、1nm〜50nmが特に好ましい。
【0051】
また、上記固体電解質ナノアレイ(b)、又は固体電解質ナノ粒子列(c)を構成する固体電解質のナノ粒子の形状(晶癖)としては、特に限定されないが、板状、針状、立方体、直方体、六角柱状等をあげることができる。なかでも、セルロースナノファイバー由来の炭素鎖への担持をより強固にする観点からは、上記炭素鎖の軸長方向に伸延した直方体粒子が好ましい。
【0052】
上記セルロースナノファイバー由来の炭素鎖と上記固体電解質ナノ粒子(a)から構成される固体電解質ナノアレイ(b)の平均長さは、特異な形状を呈することによる充放電容量の効果的な向上を確保する観点から、好ましくは50nm〜10μmであり、より好ましくは50nm〜5μmであり、さらに好ましくは50nm〜1μmである。
【0053】
本発明の全固体二次電池用固体電解質における、上記固体電解質粒子(A)と、上記固体電解質ナノ粒子集合体(b)、上記固体電解質ナノ粒子列(c)、又はその両方を含む場合にはその合計量、との質量割合は、全固体二次電池内で電極活物質粒子と固体電解質粒子とのパッキング構造において界面抵抗が十分に低減された良好な界面を形成する観点、及び全固体二次電池のエネルギー密度を高める観点から、固体電解質粒子:(固体電解質ナノアレイ(b)+固体電解質ナノ粒子列(c)(ただし、固体電解質ナノアレイ(b)と固体電解質ナノ粒子列(c)は、いずれか一方しか含まない場合は、その一方のみ。))(質量比)=99.9:0.1〜70:30であるのが好ましく、99:1〜80:20であるのがより好ましい。
【0054】
また、本発明の全固体二次電池用固体電解質において、上記線状とは、直線状、又は略直線状であるとすることができる。なお、線状とは、細長く線形のものをいい、直線的なもののみならず、曲線状や鎖状のものも含む。また、直線状とは、上記固体電解質ナノ粒子(a)の集合体(b)又は列(c)の(概)長軸方向において、直線部分が長さ比で概ね70%以上であるものであってもよく、80%以上であるものであってもよく、90%以上であるものであってもよい。また、略直線状とは、上記固体電解質ナノ粒子(a)の集合体(b)又は列(c)の(概)軸長方向において、多少の湾曲や近似計算上の誤差のある線状を含む。
【0055】
また、本発明の全固体二次電池用固体電解質において、上記全固体リチウムイオン二次電池用であるとすることができる。また、本明細書中における全固体二次電池用固体電解質に関する各構成成分や固体電解質等は、特にリチウムイオンに関する特記をしていないものでも、適宜、全固体リチウムイオン二次電池用として用いられうる。
【0056】
〔全固体二次電池用固体電解質の製造方法〕
一方、本発明の全固体二次電池用固体電解質は、次の工程(II)〜(III):
少なくとも1種の固体電解質の原料化合物、アルカリ溶液、及びセルロースナノファイバーを含有するスラリーを、温度が100℃以上、圧力が0.3MPa〜0.9MPaの水熱反応に付して、CNF内包固体電解質ナノ粒子集合体(d)、CNF内包前駆体ナノ粒子集合体(e)、又はその両方、を製造する工程(II)、並びに、
少なくとも、工程(II)で得られた上記CNF内包固体電解質ナノ粒子集合体(d)、上記CNF内包前駆体ナノ粒子集合体(e)及び上記CNF内包前駆体ナノ粒子集合体(e)と反応して固体電解質ナノ粒子集合体(b)若しくは固体電解質ナノ粒子列(c)を生成するための残余の原料化合物、又はその両方を焼成する工程(III)、
を含む製造方法により、得ることができうる。
【0057】
また、他の本発明の全固体二次電池用固体電解質の製造方法として、
次の工程(II)〜(III’):
少なくとも1種の固体電解質の原料化合物、アルカリ溶液、及びセルロースナノファイバーを含有するスラリーを、温度が100℃以上、圧力が0.3MPa〜0.9MPaの水熱反応に付して、CNF内包固体電解質ナノ粒子集合体(d)、CNF内包前駆体ナノ粒子集合体(e)、又はその両方、を製造する工程(II)、並びに、
少なくとも、工程(II)で得られた上記CNF内包固体電解質ナノ粒子集合体(d)、上記CNF内包前駆体ナノ粒子集合体(e)及び上記CNF内包前駆体ナノ粒子集合体(e)と反応して固体電解質ナノ粒子集合体(b)を生成するための残余の原料化合物、又はその両方を、還元雰囲気下で焼成する工程(III’)、
を含む製造方法を適宜用いることができうる。
【0058】
さらに、他の本発明の全固体二次電池用固体電解質の製造方法として、
次の工程(II)〜(III’’):
少なくとも1種の固体電解質の原料化合物、アルカリ溶液、及びセルロースナノファイバーを含有するスラリーを、温度が100℃以上、圧力が0.3MPa〜0.9MPaの水熱反応に付して、CNF内包固体電解質ナノ粒子集合体(d)、CNF内包前駆体ナノ粒子集合体(e)、又はその両方、を製造する工程(II)、並びに、
少なくとも、工程(II)で得られた上記CNF内包固体電解質ナノ粒子集合体(d)、上記CNF内包前駆体ナノ粒子集合体(e)及び上記CNF内包前駆体ナノ粒子集合体(e)と反応して固体電解質ナノ粒子列(c)を生成するための残余の原料化合物、又はその両方を、酸化雰囲気下で焼成する工程(III’’)、
を含む製造方法を適宜用いることができうる。
【0059】
また、本発明の全固体二次電池用固体電解質の製造方法において、
さらに、工程(III)、(III’)、又は(III’’)に先立ち、上記固体電解質粒子(A)を製造する工程(I)、を含む製造方法を適宜用いることができうる。
【0060】
工程(I)は、全固体二次電池用固体電解質粒子(A)を得る工程である。上記固体電解質粒子(A)について、得られる固体電解質粒子(A)の平均粒径が50nm〜50μmとなるような、既存の、任意の製造方法を用いて製造すればよい。
【0061】
工程(II)は、少なくとも1種の固体電解質の原料化合物、アルカリ溶液、及びセルロースナノファイバーを含有するスラリーを、温度が100℃以上、圧力が0.3MPa〜0.9MPaの水熱反応に付して、固体電解質ナノ粒子集合体(d)、又は固体電解質の前駆体からなるナノ粒子集合体(e)、又はその両方、を製造する工程である。
【0062】
この工程(II)で得られる水熱反応物は、製造対象とする固体電解質によってCNF内包固体電解質ナノ粒子集合体(d)、CNF内包前駆体ナノ粒子集合体(e)、又はその両方であったりする。具体的には、たとえば、上記固体電解質において、LiPO‐LiSiO及び50LiSiO・50LiBOは、工程(II)の1回の水熱反応によってCNF内包固体電解質ナノ粒子集合体(d)を得ることができるが、一方、Li7−xLaZr2−xTa12、La0.51Li0.34TiO2.94、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO、及びLiLaZr12は1回の水熱反応でCNF内包固体電解質ナノ粒子集合体(d)を得ることが困難なので、工程(II)の水熱反応ではCNF内包前駆体ナノ粒子集合体(e)を得うる。
【0063】
ここで、固体電解質の前駆体とは、たとえば、Li7−xLaZr2−xTa12では、LiTaO、La0.51Li0.34TiO2.94では、TiO、Li1.3Al0.3Ti1.7(POでは、LiPO、また、LiLaZr12では、ZrOである。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0064】
工程(II)における、少なくとも1種の固体電解質の原料化合物の使用量は、製造対象とする固体電解質、又は固体電解質の前駆体に応じて所定割合の原料化合物を準備することができる。
【0065】
この固体電解質の原料化合物としては、具体的には、たとえば、ジルコニウム化合物、チタン化合物、アルミニウム化合物、ケイ素化合物等をあげることができる。なかでも、これら元素の硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物等を好適に使用することができる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0066】
上記原料化合物、及びセルロースナノファイバーを混合してスラリーを調製する際、通常、水を用いる。上記水の使用量は、各原料化合物の溶解性、又は分散性、撹拌の容易性、及び水熱反応の効率等の点から、上記原料化合物の金属元素1モルに対して、10モル〜300モルであることが好ましく、さらに50モル〜200モルであることが好ましい。
【0067】
工程(II)で用いられるアルカリ溶液としては、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア等の水溶液をあげることができる。なかでも、水熱反応の効率を高める観点、及び得られるCNF内包固体電解質ナノ粒子集合体(d)、又はCNF内包前駆体ナノ粒子集合体(e)を微小にする観点から、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム又はそれらの混合溶液を用いるのが好ましい。また、スラリーへのアルカリ溶液の使用量は、上記スラリーのpHを7〜12に保持するのに充分な量を滴下する量を用いればよい。また、これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0068】
また、スラリー中におけるセルロースナノファイバーの含有量は、スラリー中の水100質量部に対し、炭素原子換算量で、好ましくは0.01質量部〜10質量部であり、より好ましくは0.05質量部〜8質量部である。
【0069】
これらの原料の添加順序は、特に限定されない。添加した後、混合する時間は、好ましくは1分間〜12時間であり、より好ましくは5分間〜6時間である。また、混合する温度は、好ましくは5℃〜60℃であり、より好ましくは5℃〜50℃である。
【0070】
なお、上記スラリーの混合では、セルロースナノファイバーを充分に分散させる観点から、分散機(ホモジナイザー)を用いた処理により、凝集しているセルロースナノファイバーを解砕することが好ましい。上記分散機としては、たとえば、離解機、叩解機、低圧ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、カッターミル、ボールミル、ジェットミル、短軸押出機、2軸押出機、超音波攪拌機、家庭用ジューサーミキサー等をあげることができる。なかでも、分散効率の観点から、超音波攪拌機が好ましい。得られたスラリーの分散均一性の程度は、たとえば、UV・可視光分光装置を使用した光線透過率や、E型粘度計を使用した粘度で定量的に評価することもでき、また目視によって白濁度が均一であることを確認することによっても、簡便に評価することができる。分散機で処理する時間は、好ましくは30秒間〜6分間であり、より好ましくは2分間〜5分間である。
【0071】
上記スラリーは、未だ凝集状態にあるセルロースナノファイバーを有効に取り除く観点から、さらに、湿式分級することが好ましい。湿式分級には、篩や市販の湿式分級機を使用することができる。篩の目開きは、用いるセルロースナノファイバーの繊維長により変動し得るが、作業効率の観点から、25μm〜160μmであるのが好ましい。
【0072】
次に、得られたスラリーを、水熱反応に付す。水熱反応は、100℃以上であればよく、130℃〜180℃が好ましい。水熱反応は耐圧容器中で行うのが好ましく、130℃〜180℃で反応を行う場合、この時の圧力は0.3MPa〜0.9MPaであるのが好ましく、140℃〜160℃で反応を行う場合の圧力は0.3MPa〜0.6MPaであるのが好ましい。水熱反応時間は0.5時間〜24時間が好ましく、さらに0.5時間〜15時間が好ましい。
【0073】
得られた水熱反応物は、セルロースナノファイバーと固体電解質、又はセルロースナノファイバーと固体電解質の前駆体からなる複合体であり、ろ過後、水で洗浄し、リパルプ(再懸濁)する。なお、ろ過手段には、減圧ろ過、加圧ろ過、遠心ろ過等を用いることができるが、操作の簡便性等からフィルタープレス等の加圧ろ過が好ましい。
【0074】
ろ過後の複合体を水で洗浄する際、複合体1質量部に対し、水を5質量部〜100質量部用いるのが好ましい。
【0075】
次に、水洗された複合体をリパルプする。次工程の工程(III)、(III’)、又は(III’’)で均一な固体電解質ナノ粒子からなる固体電解質ナノアレイ(b)、又は固体電解質ナノ粒子列(c)を生成させる観点から、リパルプして得られるスラリー中の複合体の含有率は0.5質量%〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは1質量%〜15質量%であり、さらに好ましくは1.5質量%〜12質量%である。
【0076】
工程(III)、(III’)、及び(III’’)は、各々、固体電解質粒子(A)(工程(I)を含む場合には工程(I)で得られた固体電解質粒子(A))、上記CNF内包前駆体ナノ粒子集合体(e)、及び上記CNF内包前駆体ナノ粒子集合体(e)と反応して固体電解質ナノ粒子集合体(b)若しくは固体電解質ナノ粒子列(c)を生成するための残余の原料化合物、又はその両方、を所定量混合して焼成する工程である。
【0077】
上記工程(III)、(III’)、又は(III’’)により、上記固体電解質ナノアレイ(b)、又は直線的に配列した複数の固体電解質のナノ粒子列(c)が、上記全固体二次電池用固体電解質粒子(A)の表面に担持されることとなる。さらに、この焼成により、全固体二次電池用固体電解質粒子(b)、及び固体電解質のナノ粒子列(c)の双方の結晶性を向上させることができるため、得られる全固体二次電池用固体電解質における充放電特性を有効に高めることができる。
【0078】
ここで、上記全固体二次電池用固体電解質粒子(A)の表面に担持される固体電解質が、セルロースナノファイバー由来の炭素鎖を軸又は基材として、これに特定の固体電解質ナノ粒子(a)が複数連なって線状に担持又は配列してなる特異な形状を呈する固体電解質ナノ粒子集合体(固体電解質ナノアレイ)(b)であるか、又は線状に連続して配列した複数の固体電解質ナノ粒子列(c)であるかは、上記焼成における焼成雰囲気で決まる。不活性雰囲気下や還元雰囲気下で焼成される場合には、工程(II)で得られたCNF内包固体電解質ナノ粒子集合体(d)又はCNF内包前駆体ナノ粒子集合体(e)が担持するセルロースナノファイバーが、炭化してセルロースナノファイバー由来の炭素鎖となって固体電解質ナノアレイ(b)が得られうる。これに対し、酸素雰囲気下で焼成される場合には、上記セルロースナノファイバーが焼失して特異な配列をした複数の固体電解質ナノ粒子列(c)が得られうる。なお、本発明の固体電解質として、得られた固体電解質ナノ粒子集合体(固体電解質ナノアレイ)(b)と固体電解質ナノ粒子列(c)とを適宜組み合わせて用いてもよい。
【0079】
上記焼成における雰囲気は、本発明の全固体二次電池用固体電解質として酸化物系固体電解質を用いる限り制限はなく、必要に応じて使い分ければよい。具体的には、たとえば、電子伝導性に乏しいオリビン系正極活物質を含む全固体リチウムイオン二次電池に本発明の全固体二次電池用固体電解質を使用する場合は、不活性雰囲気焼成による固体電解質ナノアレイ(b)を担持した電子伝導性に優れた固体電解質が好ましく、電子伝導性に問題を有しない電極活物質を含む全固体リチウムイオン二次電池の場合は、簡便な焼成方法である酸素雰囲気焼成を用いた固体電解質のナノ粒子列(c)を担持した固体電解質が好ましい。
【0080】
工程(III)は、より詳細には、次の工程(III−1)〜(III−3):
上記固体電解質粒子(A)(工程(I)を含む場合には工程(I)で得られた固体電解質粒子(A))、及び工程(II)で得られたCNF内包固体電解質ナノ粒子集合体(d)を混合するか、
上記固体電解質粒子(A)(工程(I)を含む場合には工程(I)で得られた固体電解質粒子(A))、工程(II)で得られたCNF内包前駆体ナノ粒子集合体(e)を含むスラリー及び固体電解質の残りの原料化合物を混合するか、又は、
上記固体電解質粒子(A)(工程(I)を含む場合には工程(I)で得られた固体電解質粒子(A))、並びに、工程(II)で得られたCNF内包固体電解質ナノ粒子集合体(d)、CNF内包前駆体ナノ粒子集合体(e)を含むスラリー及び固体電解質の残りの原料化合物を混合して、スラリーとする工程(III−1)、
工程(III−1)で得られたスラリーを乾燥して、全固体二次電池用固体電解質粒子(A)及びCNF内包固体電解質ナノ粒子集合体(d)からなる混合物か、
全固体二次電池用固体電解質粒子(A)、CNF内包前駆体ナノ粒子集合体(e)及び固体電解質の残りの原料化合物からなる混合物か、又は、
全固体二次電池用固体電解質粒子(A)、CNF内包固体電解質ナノ粒子集合体(d)、並びにCNF内包前駆体ナノ粒子集合体(e)及び固体電解質の残りの原料化合物からなる混合物を得る工程(III−2)、並びに、
工程(III−2)で得られた混合物を焼成して、全固体二次電池用固体電解質を得る工程(III−3)、を含む。
【0081】
工程(III−1)は、具体的には、工程(II)で得られたスラリーに、固体電解質粒子(A)(工程(I)を含む場合には工程(I)で得られた固体電解質粒子(A))を、又はさらに固体電解質の残りの原料化合物を混合して、スラリーとすればよい。また、上記スラリーには固体電解質粒子(A)を含む場合の全固体二次電池用固体電解質の製造方法例が記載されているが、固体電解質粒子(A)以外の成分で、固体電解質ナノアレイ(b)、又は固体電解質ナノ粒子列(c)を製造した上で、適宜、公知の手法を組み合わせて、それらのいずれか一方、又は両方、を固体電解質粒子(A)の表面に担持して全固体二次電池用固体電解質を得てもよい。
【0082】
また、工程(II)で得られたスラリーと全固体二次電池用固体電解質粒子(A)の混合割合は、最終的に得られる全固体二次電池用固体電解質中の固体電解質粒子(A)と、上記固体電解質ナノ粒子集合体(b)、上記固体電解質ナノ粒子列(c)、又はその両方を含む場合にはその合計量、との質量割合(固体電解質粒子(A):固体電解質ナノ粒子集合体(b)+固体電解質ナノ粒子列(c)(ただし、固体電解質ナノ粒子集合体(b)と固体電解質ナノ粒子列(c)は、いずれか一方しか含まない場合は、その一方のみ。))が、99.9:0.1〜70:30であるようにすることが好ましい。
【0083】
上記CNF内包前駆体ナノ粒子集合体(e)と共に工程(II)で得られたスラリーに混合される固体電解質の残りの原料化合物は、所定の元素の硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、酸化物、水酸化物等を好適に使用することができる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0084】
これらの原料の工程(II)で得られたスラリーへの添加順序は、特に限定されない。添加した後、混合する時間は、好ましくは1分間〜12時間であり、より好ましくは5分間〜6時間である。また、混合する温度は、好ましくは5℃〜60℃であり、より好ましくは5℃〜50℃である。
【0085】
続く工程(III−2)では、工程(III−1)で得られたスラリーを、乾燥して、全固体二次電池用固体電解質粒子(A)及びCNF内包固体電解質ナノ粒子集合体(d)からなる混合物か、
全固体二次電池用固体電解質粒子(A)、CNF内包前駆体ナノ粒子集合体(e)及び固体電解質の残りの原料化合物からなる混合物か、又は、
全固体二次電池用固体電解質粒子(A)、CNF内包固体電解質ナノ粒子集合体(d)、並びにCNF内包前駆体ナノ粒子集合体(e)及び固体電解質の残りの原料化合物からなる混合物を得る。
【0086】
乾燥により得られる混合物の粒径は、レーザー回折・散乱法に基づく粒度分布におけるD50値で、好ましくは5nm〜50μmであり、より好ましくは50nm〜25μmである。ここで、粒度分布測定におけるD50値とは、レーザー回折・散乱法に基づく体積基準の粒度分布により得られる値であり、D50値は累積50%での粒径(メジアン径)を意味する。
【0087】
乾燥方法としては、噴霧乾燥、箱型乾燥、流動床乾燥、外熱式乾燥、媒体流動乾燥、凍結乾燥、真空乾燥等をあげることができる。なかでも、得られる混合物の粒子が必要以上に増大するのを有効に制御して微細化を図る観点から、凍結乾燥、凍結乾燥、又は噴霧乾燥が好ましい。
【0088】
続く工程(III−3)では、工程(III−2)で得られた混合物を焼成して、全固体二次電池用固体電解質を得る。この焼成により、複合体に含まれるセルロースナノファーバーを炭化させるか焼失させると共に、複合体にCNF内包前駆体ナノ粒子集合体(e)及び固体電解質の残りの原料化合物を含む場合には、固体電解質ナノ粒子(a)を生成する固相反応も生じて、固体電解質ナノアレイ(b)、又は固体電解質ナノ粒子列(c)が表面に担持された全固体二次電池用固体電解質を得ることができる。
【0089】
焼成は、任意の焼成雰囲気下で行われ、焼成温度は、好ましくは500℃〜1200℃であり、より好ましくは600℃〜1100℃である。また焼成時間は、好ましくは10分間〜12時間であり、より好ましくは30分間〜8時間である。
【0090】
また、工程(III’)、及び工程(III’’)についても、上述の工程(III)を適宜読み替えて行うことができうる。
【0091】
〔全固体二次電池〕
本発明の全固体二次電池ないし全固体リチウムイオン二次電池は、上記全固体二次電池用固体電解質を備える。
【0092】
本発明の全固体二次電池ないし全固体リチウムイオン二次電池においては、上述の全固体二次電池用固体電解質を適宜適用できる。また、本発明の全固体二次電池ないし全固体リチウムイオン二次電池の構成、及び製造方法は、本発明の全固体二次電池用固体電解質を用いる他は、公知の手法を適宜組み合わせることができる。また、本発明の全固体二次電池用固体電解質を適宜適用できる全固体二次電池としては、正極と負極と固体電解質を必須構成とするものであって、正極活物質層、固体電解質層、及び負極活物質層の順に積層配置された積層体が形成されるものであれば特に限定されない。
【0093】
この正極活物質層、固体電解質層、及び負極活物質層の順に積層配置された積層体の製造においては、たとえば、特開2017−10816号公報に記載されるように、正極活物質層、及び負極活物質層に内包される固体電解質粒子として、本発明の全固体二次電池用固体電解質を用い、固体電解質層には本発明以外の固体電解質を用いてもよい。
【0094】
上記の構成を有する全固体二次電池、特に全固体リチウムイオン二次電池の形状としては、特に制限を受けるものではなく、コイン型、円筒型,角型等種々の形状や、ラミネート外装体に封入した不定形状であってもよい。
【実施例】
【0095】
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0096】
[製造例1](LiCoPO正極活物質粒子の製造)
水酸化リチウム一水和物12.72g、及び水40mLを混合して、スラリーA1を得た。得られたスラリーA1を、25℃の温度に保持しながら3分間撹拌しつつ85%のリン酸水溶液11.53gを35mL/分で滴下し、撹拌速度400rpmで1時間撹拌することによりLiPOスラリーB1を得た。次に、得られたLiPOスラリーB1全量に対し、硫酸コバルト七水和物21.08gを添加して、スラリーC1とした後、スラリーC1をオートクレーブに投入し、170℃で1時間の水熱反応を行った。オートクレーブ内の圧力は、0.8MPaであった。生成した水熱反応物をろ過し、次いで、水熱反応物1質量部に対し、12質量部の水により洗浄した。洗浄した水熱反応物を−50℃で12時間凍結乾燥してLiCoPO正極活物質粒子(粒子径100nm)を得た。
【0097】
[製造例2](LiLaZr12固体電解質粒子の製造)
炭酸リチウム5.17g、水酸化ランタン11.40g、及び酸化ジルコニウム4.93gを、遊星ボールミルで200rpmで2時間粉砕混合して混合物A2を得た。得られた混合物A2をペレットに成形した後、空気雰囲気下で900℃で12時間焼成した後、乳鉢で解砕して、LLZ(LiLaZr12)固体電解質粒子を得た。(LLZ固体電解質粒子の平均粒径:1μm)
【0098】
[実施例1](LLZナノアレイを担持したLLZ固体電解質粒子)
硫酸ジルコニウム四水和物1.81g、セルロースナノファイバー19.29g(スギノマシン社製、TMa−10002、含水量98質量%)、及び水55mLを60分間混合してスラリーA3を作製した。得られたスラリーA3に、10質量%濃度のNaOH水溶液12.0gを添加し、5分間混合してスラリーB3を作製した。得られたスラリーB3をオートクレーブに投入し、140℃で1時間水熱反応を行った。得られた水熱反応生成物C3を放冷した後、ろ過、水洗、水でリパルプして、セルロースナノファイバーに複数のZrOナノ粒子が直線的に担持されたZrOナノアレイを10質量%含有したスラリーD3を得た。
【0099】
得られたスラリーD3全量に、硝酸リチウム1.21g、硝酸ランタン六水和物3.25g、及び製造例1で得られたLLZ固体電解質粒子39.7gを混合し、スラリーE3を得た。得られたスラリーE3を凍結乾燥して、原料混合粉末F3を得た。原料混合粉末F3を窒素ガスをパージした電気炉を用い、1100℃で1時間焼成することにより、LLZ固体電解質粒子の表面にLLZ固体電解質ナノアレイが担持してなる全固体リチウムイオン二次電池用電極活物質Aを得た。得られた全固体リチウムイオン二次電池用電極活物質A100質量%中のLLZ固体電解質ナノアレイの含有率は、5質量%であった。
【0100】
得られた全固体リチウムイオン二次電池用電極活物質Aの、表面部のTEM写真を図1に示す。なお、使用したTEMは、日本電子株式会社製JEM−ARM200Fであった。
【0101】
[比較例1](LLZ固体電解質粒子)
製造例2で得たLLZ固体電解質粒子を、そのまま全固体リチウムイオン二次電池用固体電解質として用いた。
【0102】
≪全固体リチウムイオン二次電池における放電容量の評価≫
製造例1で得られたLiCoPO正極活物質粒子と、実施例1又は比較例1で得られた固体電解質粒子を用い、全固体リチウムイオン電池用正極を作製した。より具体的には、正極活物質:固体電解質(質量比)を75:25の配合割合で混合後、プレス用冶具に投入して正極活物質層とし、その上に固体電解質粒子のみをさらに投入して固体電解質層として積層させた後、ハンドプレスを用いて16MPaで2分間プレスして、φ14mmの円盤状の正極を得た。次いで、負極としてリチウム箔を固体電解質層側に取り付けることで、全固体リチウムイオン二次電池を作製した。
【0103】
作製した全固体リチウムイオン二次電池を用いて、充電条件を16mA/g、電圧5.0Vの定電流充電、放電条件を16mA/g、終止電圧3.5Vの定電流放電とした場合の、16mA/gにおける放電容量を求めた。なお、充放電試験は全て45℃で行った。
【0104】
上記評価の結果を表1に示す。
【0105】
【表1】
【0106】
表1から明らかなように、実施例1の、粒子表面に固体電解質ナノ粒子が担持された固体電解質を使用した全固体リチウムイオン二次電池は、比較例1の、固体電解質ナノ粒子を担持していない一般的な固体電解質を使用した全固体リチウムイオン二次電池と比べ、放電容量が非常に大きくなっていることがわかる。
【図1】