(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2021002649
(43)【公開日】20210107
(54)【発明の名称】有機電界発光素子及び有機電界発光素子用化合物
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/50 20060101AFI20201204BHJP
   H05B 33/26 20060101ALI20201204BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20201204BHJP
【FI】
   !H05B33/14 B
   !H05B33/26 Z
   !C09K11/06 660
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】57
(21)【出願番号】2020080662
(22)【出願日】20200430
(31)【優先権主張番号】10-2019-0074027
(32)【優先日】20190621
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所】大韓民国京畿道龍仁市器興区三星路1
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】特許業務法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】山谷 昭徳
【住所又は居所】神奈川県横浜市鶴見区菅沢町2−7 株式会社サムスン日本研究所内
【テーマコード(参考)】
3K107
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC04
3K107CC21
3K107DD44X
3K107DD44Y
3K107DD45X
3K107DD45Y
3K107DD53
3K107DD59
3K107DD66
3K107DD69
3K107EE46
3K107FF13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】良好な寿命特性と優れた発光効率を示す有機電界発光素子を提供する。
【解決手段】発光層EMLが、下記化学式で表される化合物を含む有機電界発光素子。M及びMの置換基のうちいずれか一つは、特定の構造を有する多環ヘテロ基に置換される。

【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
前記第1電極の上に配置される第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に配置される発光層と、を備え、
前記第1電極と前記第2電極は、それぞれ独立して、Ag、Mg、Cu、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Mo、Ti、In、Sn及びZnからなる群から選択されるいずれか一つ、これらの中から選択される複数を含む化合物、これらの中から選択される複数を含む混合物、またはこれらの中から選択される1つ以上の酸化物を含み、
前記発光層は、下記化学式1で表される化合物を含む有機電界発光素子:
【化1】

前記化学式1において、
及びMはそれぞれ独立して、置換若しくは無置換の環形成炭素数5以上30以下の炭化水素環、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロ環であり、
は、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルケニル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルキニル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基、置換若しくは無置換のシリル基、置換若しくは無置換のカルボニル基、置換若しくは無置換のオキシ基、置換若しくは無置換のチオ基、置換若しくは無置換のボリル基、置換若しくは無置換のホスフィニル基、置換若しくは無置換のホスフィンオキシ基、置換若しくは無置換のホスフィンスルフィド基、置換若しくは無置換のスルホニル基、または置換若しくは無置換のスルフィニル基であり、
は、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルケニル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルキニル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基、置換若しくは無置換のオキシ基、置換若しくは無置換のチオ基、または置換若しくは無置換のアミノ基であり、
及びRはMまたはMと結合して環を形成するか、環を形成せず、
及びMの置換基のうちいずれか一つは、下記化学式2で表される多環ヘテロ基に置換される:
【化2】

前記化学式2において、
XはSiまたはGeであり、
及びMはそれぞれ独立して、置換若しくは無置換の環形成炭素数5以上30以下の炭化水素環、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロ環であり、
Lは単結合、置換若しくは無置換の炭素数6以上30以下のアリーレン基、または置換若しくは無置換の炭素数2以上30以下のヘテロアリーレン基であり、
及びRはそれぞれ独立して、置換若しくは無置換の炭素数3以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルケニル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルキニル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基、置換若しくは無置換のオキシ基、置換若しくは無置換のチオ基、または置換若しくは無置換のアミノ基であるか、
または、R及びRは互いに結合して置換若しくは無置換の環形成炭素数5以上30以下の炭化水素環、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロ環を形成する。
【請求項2】
前記化学式1は、下記化学式1−1または化学式1−2で表される請求項1に記載の有機電界発光素子:
【化3】

【化4】

前記化学式1−2において、
はBでYはNRであるか、YはNでYはBRであり、
Zは単結合、O、S、C=O、BR、NR、CR、SiR、GeR、POR、PSR、SO、またはSOであり、
〜Rはそれぞれ独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルケニル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルキニル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、
前記化学式1−1及び化学式1−2において、
11〜R18、及びR21〜R31はそれぞれ独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルケニル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルキニル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のシリル基、置換若しくは無置換のカルボニル基、置換若しくは無置換のオキシ基、または置換若しくは無置換のチオ基の置換基であるか、または隣接する基と互いに結合して縮合環を形成し、
11〜R18の前記置換基のうちいずれか一つ、またはR11〜R18から形成される前記縮合環は、前記化学式2で表される多環ヘテロ基に置換され、
21〜R31の前記置換基のうちいずれか一つ、またはR21〜R31から形成される前記縮合環は、前記化学式2で表される多環ヘテロ基に置換され、
及びRは前記化学式1で定義した通りである。
【請求項3】
前記化学式2は、下記化学式2−1または2−2で表される請求項1に記載の有機電界発光素子:
【化5】

【化6】

前記化学式2−1及び化学式2−2において、
41〜R48はそれぞれ独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルケニル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルキニル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のシリル基、置換若しくは無置換のカルボニル基、置換若しくは無置換のオキシ基、若しくは無置換のチオ基の置換基であり、
L、R、及びRは前記化学式2で定義した通りである。
【請求項4】
前記化学式1−1は、
下記化学式1−1Aまたは化学式1−1Bで表される請求項2に記載の有機電界発光素子:
【化7】

【化8】

化学式1−1Bにおいて、Mは、置換若しくは無置換の環形成炭素数5以上30以下の炭化水素環、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロ環であり、
前記化学式1−1A及び化学式1−1Bにおいて、R及びRは前記化学式1で定義した通りであり、X、L、M、M、R、及びRは前記化学式2で定義した通りである。
【請求項5】
前記化学式1−2は、下記1−2A〜1−2Cのうちいずれか一つで表される請求項2に記載の有機電界発光素子:
【化9】

【化10】

【化11】

前記化学式1−2Cにおいて、
Qは単結合、O、S、C=O、BR、またはNRであり、
及びRはそれぞれ独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルケニル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルキニル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、
前記化学式1−2A及び化学式1−2Cにおいて、
、R、Y、Y、Z、及びR21〜R31は前記化学式1−2で定義した通りである。
【請求項6】
前記化学式1−2は、下記1−2D〜化学式1−2Fのうちいずれか一つで表される請求項2に記載の有機電界発光素子:
【化12】

【化13】

【化14】

前記化学式1−2Fにおいて、
は、置換若しくは無置換の環形成炭素数5以上30以下の炭化水素環、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロ環であり、
前記化学式1−2D〜化学式1−2Fにおいて、R21〜R31、、Y、Zは前記化学式1−2で定義した通りであり、X、L、M、M、R、及びRは前記化学式2で定義した通りである。
【請求項7】
及びMは、それぞれ独立して置換若しくは無置換のベンゼン環、置換若しくは無置換のナフタレン環、または置換若しくは無置換のジベンゾチオフェン環である請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項8】
及びMは置換若しくは無置換のベンゼン環である請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項9】
前記化学式1で表される化合物は、熱活性遅延蛍光発光材料である請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項10】
前記化学式1は、下記第1化合物群に示した化合物のうちいずれか一つである請求項1に記載の有機電界発光素子。
[第1化合物群]
【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】
【請求項11】
前記第2電極の上に配置されるキャッピング層をさらに備える請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項12】
前記発光層は、遅延蛍光を放出する請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項13】
前記発光層はホスト及びドーパントを含む遅延蛍光発光層であり、
前記ドーパントは前記化学式1の化合物を含む請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項14】
前記発光層は、中心波長が430nm以上490nm以下の青色光を放出する請求項1に記載の有機電界発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機電界発光素子及びそれに使用される化合物に関し、より詳しくは、発光材料として使用される化合及びそれを含む有機電界発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、映像表示装置として、有機電界発光表示装置(Organic Electroluminescence Display)の開発が盛んに行われている。有機電界発光表示装置は液晶表示装置などとは異なって、第1電極及び第2電極から注入された正孔及び電子を発光層において再結合させることで、発光層において有機化合物を含む発光材料を発光させて表示を実現するいわゆる自発光型表示装置である。
【0003】
有機電界発光素子を表示装置に応用するに当たっては、有機電界発光素子の低駆動電圧化、高発光効率化及び長寿命化が要求されており、これを安定的に実現し得る有機電界発光素子用材料の開発が持続的に要求されている。
【0004】
特に、最近は高効率の有機電界発光素子を実現するために三重項状態のエネルギーを利用するりん光発光や、三重項励起子の衝突によって一重項励起子が生成される現象(Triplet−triplet annihilation、TTA)を利用した遅延蛍光発光に関する技術が開発されており、遅延蛍光現象を利用した熱活性遅延蛍光(Thermally Activated Delayed Fluorescence、TADF)材料に関する開発が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2018−0127918号公報
【特許文献2】韓国公開特許第10−2013−0109006号公報
【特許文献3】韓国公開特許第10−2016−0134881号公報
【特許文献4】韓国公開特許第10−2018−0007727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、良好な寿命特性と優れた発光効率を示す有機電界発光素子を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、高効率且つ長寿命の特性を有する有機電界発光素子用材料である化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態は、第1電極と、前記第1電極の上に配置される第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配置される発光層と、を備え、前記第1電極と前記第2電極は、それぞれ独立して、Ag、Mg、Cu、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Mo、Ti、In、Sn及びZnからなる群から選択されるいずれか一つ、これらの中から選択される複数を含む化合物、これらの中から選択される複数を含む混合物、またはこれらの中から選択される1つ以上の酸化物を含み、前記発光層は、下記化学式1で表される化合物を含む有機電界発光素子を提供する。
【化1】

化学式1において、M及びMはそれぞれ独立して、置換若しくは無置換の環形成炭素数5以上30以下の炭化水素環、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロ環である。Rは、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルケニル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルキニル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基、置換若しくは無置換のシリル基、置換若しくは無置換のカルボニル基、置換若しくは無置換のオキシ基、置換若しくは無置換のチオ基、置換若しくは無置換のボリル基、置換若しくは無置換のホスフィニル基、置換若しくは無置換のホスフィンオキシ基、置換若しくは無置換のホスフィンスルフィド基、置換若しくは無置換のスルホニル基、または置換若しくは無置換のスルフィニル基である。Rは、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルケニル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルキニル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基、置換若しくは無置換のオキシ基、置換若しくは無置換のチオ基、または置換若しくは無置換のアミノ基であり、R及びRはMまたはMと結合して環を形成してもよい。M及びMの置換基のうちいずれか一つは、下記化学式2で表される多環ヘテロ基に置換される:
【化2】


前記化学式2において、XはSiまたはGeであり、M及びMはそれぞれ独立して置換若しくは無置換の環形成炭素数5以上30以下の炭化水素環、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロ環である。Lは単結合、置換若しくは無置換の炭素数6以上30以下のアリーレン基、または置換若しくは無置換の炭素数2以上30以下のヘテロアリーレン基であり、R及びRはそれぞれ独立して、置換若しくは無置換の炭素数3以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルケニル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルキニル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基、置換若しくは無置換のオキシ基、置換若しくは無置換のチオ基、または置換若しくは無置換のアミノ基であるか、またはR及びRは互いに結合して置換若しくは無置換の環形成炭素数5以上30以下の炭化水素環、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロ環を形成する。
【0009】
前記化学式1は、下記化学式1−1または化学式1−2で表される。
【化3】

【化4】

前記化学式1−2において、YはBでYはNRであるか、YはNでYはBRであり、Zは単結合、O、S、C=O、BR、NR、CR、SiR、GeR、POR、PSR、SO、またはSOであり、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルケニル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルキニル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。前記化学式1−1及び化学式1−2において、R11〜R18、及びR21〜R31はそれぞれ独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルケニル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルキニル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のボリル基、置換若しくは無置換のシリル基、置換若しくは無置換のカルボニル基、または置換若しくは無置換のオキシ基、置換若しくは無置換のチオ基の置換基であるか、または隣接する基と互いに結合して縮合環を形成する。R11〜R18の前記置換基のうちいずれか一つ、またはR11〜R18から形成される前記縮合環は、前記化学式2で表される多環ヘテロ環に置換され、R21〜R31の前記置換基のうちいずれか一つ、またはR21〜R31から形成される前記縮合環は、前記化学式2で表される多環ヘテロ環に置換され、R及びRは前記化学式1で定義した通りである。
【0010】
前記化学式2は、下記化学式2−1または化学式2−2で表される。
【化5】

【化6】

前記化学式2−1及び化学式2−2において、R41〜R48はそれぞれ独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルケニル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルキニル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のシリル基、置換若しくは無置換のカルボニル基、置換若しくは無置換のオキシ基、または置換若しくは無置換のチオ基であり、L、R、及びRは前記化学式2で定義した通りである。
【0011】
前記化学式1−1は、下記化学式1−1Aまたは化学式1−1Bで表される。
【化7】

【化8】

前記化学式1−1Bにおいて、Mは置換若しくは無置換の環形成炭素数5以上30以下の炭化水素環、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロ環であり、前記化学式1−1A及び化学式1−1Bにおいて、R及びRは前記化学式1で定義した通りであり、X、L、M、M、R、及びRは前記化学式2で定義した通りである。
【0012】
前記化学式1−2は、下記化学式1−2A〜1−2Cのうちいずれか一つで表される。
【化9】

【化10】

【化11】

前記化学式1−2Cにおいて、Qは単結合、O、S、C=O、BR、またはNRであり、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルケニル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルキニル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、前記化学式1−2A〜化学式1−2Cにおいて、R、R、Y、Y、Z、及びR21〜R31は前記化学式1−2で定義した通りである。
【0013】
前記化学式1−2は、下記化学式1−2D〜化学式1−2Fのうちいずれか一つで表される。
【化12】

【化13】

【化14】

前記化学式1−2Fにおいて、Mは置換若しくは無置換の環形成炭素数5以上30以下の炭化水素環、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロ環であり、前記化学式1−2D〜化学式1−2Fにおいて、R21〜R31、、Y、Zは前記化学式1−2で定義した通りであり、X、L、M、M、R、及びRは前記化学式2で定義した通りである。
【0014】
及びMは、それぞれ独立して置換若しくは無置換のベンゼン環、置換若しくは無置換のナフタレン環、または置換若しくは無置換のジベンゾチオフェン環である。
【0015】
及びMは置換若しくは無置換のベンゼン環である。
【0016】
前記化学式1で表される化合物は、熱活性遅延蛍光発光材料である。
【0017】
他の実施形態は、第1電極と、前記第1電極の上に配置される第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配置される発光層と、を含み、前記発光層は上述した一実施形態の化合物を含む有機電界発光素子を提供する。
【0018】
有機電界発光素子は、前記第2電極の上に配置されるキャッピング層をさらに備える。
【0019】
前記発光層は、遅延蛍光を放出する。
【0020】
前記発光層はホスト及びドーパントを含む遅延蛍光発光層であり、前記ドーパントは前記一実施形態の化合物を含む。
【0021】
前記発光層は、中心波長が430nm以上490nm以下の青色光を放出する。
【発明の効果】
【0022】
一実施形態の有機電界発光素子は、長寿命及び高効率の改善された素子特性を示す。
【0023】
一実施形態の化合物は、有機電界発光素子の発光層に含まれて有機電界発光素子の長寿命及び高効率化に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態による有機電界発光素子を概略的に示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態による有機電界発光素子を概略的に示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態による有機電界発光素子を概略的に示す断面図である。
【図4】本発明の一実施形態による有機電界発光素子を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、多様な変更を加えることができ、多様な形態を有することができるゆえ、特定の実施形態を図面に例示し、本文に詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするのではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物又は代替物を含むと理解すべきである。
【0026】
本明細書において、ある構成要素(または領域、層、部分など)が他の構成要素の「上にある」、「連結される」、または「結合される」と記載されると、それは他の構成要素の上に直接配置・連結・結合されるか、またはそれらの間に第3の構成要素が配置されることを意味する。
【0027】
同じ図面符号は同じ構成要素を指す。また、図面において、構成要素の厚さ、割合、及び寸法は技術的内容の効果的な説明のために誇張されている。
【0028】
「及び/または」は、関連する構成が定義する一つ以上の組み合わせを全て含む。
【0029】
第1、第2などの用語は多様な構成要素を説明するのに使用されるが、構成要素は用語によって限定されない。用語は一つの構造要素を他の構成要素から区別する目的にのみ使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しないながらも第1構成要素は第2構成要素と命名されてもよく、類似して第2構成要素も第1構成要素と命名されてもよい。単数の表現は、文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。
【0030】
また、「下に」、「下側に」、「上に」、「上側に」などの用語は、図面に示した構成の連関関係を説明するために使用される。用語は相対的な概念であって、図面に示した方向を基準に説明される。
【0031】
異なるように定義されない限り、本明細書で使用された全ての用語(技術的及び科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるようなものと同じ意味を有する。また、一般的に使用される辞書に定義されている用語のような用語は、関連技術の脈絡での意味と一致する意味を有すると解釈すべきであり、理想的な、または過度に形式的な意味に解釈されない限り、明示的にここで定義される。
【0032】
「含む」または「有する」などの用語は明細書の上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないと理解すべきである。
【0033】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による有機電界発光素子及びそれに含まれる一実施形態の化合物について説明する。
【0034】
図1〜図4は、本発明の一実施形態による有機電界発光素子を概略的に示す断面図である。図1〜図4を参照すると、一実施形態の有機電界発光素子10において、第1電極EL1及び第2電極EL2は互いに向かい合って配置され、第1電極EL1と第2電極EL2との間には発光層EMLが配置される。
【0035】
また、一実施形態の有機電界発光素子10は、第1電極EL1と第2電極EL2との間に発光層EMLの他、複数の機能層を更に含む。複数の機能層は、正孔輸送領域HTR及び電子輸送領域ETRを含む。つまり、本発明の一実施形態による有機電界発光素子10は、順次に積層される第1電極EL1、正孔輸送領域HTR、発光層EML、電子輸送領域ETR、及び第2電極EL2を含む。また、一実施形態の有機電界発光素子10は、第2電極EL2の上に配置されるキャッピング層CPLを含む。
【0036】
一実施形態の有機電界発光素子10は、第1電極EL1と第2電極EL2との間に配置される発光層EMLに後述する一実施形態による化合物を含む。しかし、実施形態はこれに限らず、一実施形態の有機電界発光素子10は、発光層EML以外に、第1電極EL1と第2電極EL2との間に配置される複数の機能層である正孔輸送領域HTRまたは電子輸送領域ETRに後述する一実施形態の化合物を含むか、または第2電極EL2の上に配置されるキャッピング層CPLに後述する一実施形態の化合物を含んでもよい。
【0037】
一方、図2は図1に比べ、正孔輸送領域HTRが正孔注入層HIL及び正孔輸送層HTLを含み、電子輸送領域ETRが電子注入層EIL及び電子輸送層ETLを含む一実施形態の有機電界発光素子10の断面図を示す。また、図3は図1に比べ、正孔輸送領域HTRが正孔注入層HIL、正孔輸送層HTL、及び電子阻止層EBLを含み、電子輸送領域ETRが電子注入層EIL、電子輸送層ETL、及び正孔阻止層HBLを含む一実施形態の有機電界発光素子10の断面図を示す。図4は図2に比べ、第2電極EL2の上に配置されるキャッピング層CPLを含む一実施形態の有機電界発光素子10の断面図を示す。
【0038】
第1電極EL1は導電性を有する。第1電極EL1は、金属合金または導電性化合物からなる。第1電極EL1は陽極(アノード)である。また、第1電極EL1は画素電極である。第1電極EL1は、透過型電極、半透過型電極、または反射型電極である。第1電極EL1が透過型電極であれば、第1電極EL1は透明金属酸化物、例えば、ITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、ZnO(zinc oxide)、ITZO(indium tin zinc oxide)などを含む。第1電極EL1が半透過型電極または反射型電極であれば、第1電極EL1はAg、Mg、Cu、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Mo、Ti、またはこれらの化合物や混合物(例えば、AgとMgの混合物)を含む。または、物質からなる反射膜や半透過膜、及びITO、IZO、ZnO、ITZOなどからなる透明導電膜を含む複数の層構造である。例えば、第1電極EL1はITO/Ag/ITOの3層構造を有してもよいが、これに限らない。第1電極EL1の厚さは、約100nm〜約1000nm、例えば、約100nm〜約300nmである。
【0039】
正孔輸送領域HTRは第1電極EL1の上に提供される。正孔輸送領域HTRは、正孔注入層HIL、正孔輸送層HTL、正孔バッファ層(図示せず)、及び電子阻止層EBLのうち少なくとも一つを含む。正孔輸送領域HTRの厚さは、例えば、約5nm〜約150nmであってもよい。
【0040】
正孔輸送領域HTRは、単一の物質からなる単一層、複数の互いに異なる物質からなる単一層、または複数の互いに異なる物質からなる複数の層を有する多層構造を有する。
【0041】
例えば、正孔輸送領域HTRは正孔注入層HILまたは正孔輸送層HTLの単一層の構造を有してもよく、正孔注入物質及び正孔輸送物質からなる単一層の構造を有してもよい。また、正孔輸送領域HTRは、複数の互いに異なる物質からなる単一層の構造を有するか、第1電極EL1から順番に積層される正孔注入層HIL/正孔輸送層HTL、正孔注入層HIL/正孔輸送層HTL/正孔バッファ層(図示せず)、正孔注入層HIL/正孔バッファ層(図示せず)、正孔輸送層HTL/正孔バッファ層、または正孔注入層HIL/正孔輸送層HTL/電子阻止層EBLの構造を有してもよいが、本実施形態はこれらに限らない。
【0042】
正孔輸送領域HTRは、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法(Langmuir−Blodgett)、インクジェットプリント法、レーザプリント法、レーザ熱転写法(Laser Induced Thermal Imaging、LITI)などのような多様な方法を利用して形成される。
【0043】
正孔注入層HTLは、例えば、銅フタロシアニンなどのフタロシアニン化合物、DNTPD(N,N’−ジフェニル−N、N’−ビス−[4−(フェニル−m−トリル−アミノ)−フェニル]−ビフェニル−4,4’−ジアミン)、m−MTDATA(4,4’,4”−[トリス(3−メチルフェニル)フェニルアミノ]トリフェニルアミン)、TDATA(4,4’,4”−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン)、2−TNATA(4,4’,4”−トリス{N,−(2−ナフチル)−N−フェニルアミノ}−トリフェニルアミン)、PEDOT/PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルフォナート))、PANI/DBSA(ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸)、PANI/CSA(ポリアニリン/カンファースルホン酸)、PANI/PSS(ポリアニリン/ポリ(4−スチレンスルフォナート))、NPB(N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン)、トリフェニルアミンを含むポリエテールケトン(TPAPEK)、4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウム[テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート]、HAT−CN(ジピラジノ[2,3−f:2’,3’−h]キノキサリン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリル)などが挙げられる。
【0044】
正孔輸送層HTLは、例えば、N−フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなどのカルバゾール系誘導体、フルオレン系誘導体、TPD(N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン)、TCTA(4,4’,4”−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン)などのようなトリフェニルアミン系誘導体、NPB(N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン)、TAPC(4,4’−シクロへキシリデンビス[N,N−ビス(4−メチルフェニル)ベンゼンアミン])、HMTPD(4,4’−ビス[N,N’−(3−トリル)アミノ]−3,3’−ジメチルビフェニル)、mCP(1,3−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼン)などを更に含んでもよい。
【0045】
正孔輸送領域HTRの厚さは、約5nm〜約1000nm、例えば約10nm〜約500nmであってもよい。正孔注入層HILの厚さは、例えば約3nm〜約100nmであり、正孔輸送層HTLの厚さは、約3nm〜約100nmであってもよい。例えば、電子阻止層EBLの厚さは、約1nm〜約100nmであってもよい。正孔輸送領域HTR、正孔注入層HIL、正孔輸送層HTL、及び電子阻止層EBLの厚さが上述したような範囲を満足すれば、実質的な駆動電圧の上昇なしに満足できる程度の正孔輸送特性が得られる。
【0046】
正孔輸送領域HTRは、上述した物質以外に、導電性を向上するために電荷生成物質を更に含む。電荷発生物質は、正孔輸送領域HTR内に均一にまたは不均一に分散されている。電荷発生物質は、例えば、p−ドーパントである。p−ドーパントはキノン誘導体、金属酸化物及びシアノ基含有化合物のうち一つであるが、これに限らない。例えば、p−ドーパントの非制限的な例としては、TCNQ(テトラシアノキノジメタン)及びF4−TCNQ(2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7’,8,8’−テトラシアノキノジメタン)などのようなキノン誘導体、タングステン酸化物及びモリブデン酸化物などのような金属酸化物などが挙げられるが、これに限らない。
【0047】
上述したように、正孔輸送領域HTRは、正孔輸送層HTL及び正孔注入層HIL以外に、正孔バッファ層(図示せず)及び電子阻止層EBLのうち少なくとも一つを更に含む。正孔バッファ層(図示せず)は、発光層EMLから放出される光の波長による共振距離を補償して光放出効率を増加させる。正孔バッファ層(図示せず)に含まれる物質としては、正孔輸送領域HTRに含まれる物質を使用する。電子阻止層EBLは、電子輸送領域ETRから正孔輸送領域HTRへの電子の注入を防止する役割をする層である。
【0048】
発光層EMLは正孔輸送領域HTRの上に提供される。発光層EMLは、例えば、約10nm〜約100nm、または約10nm〜約30nmの厚さを有する。発光層EMLは、単一の物質からなる単一層、複数の互いに異なる物質からなる単一層、または複数の互いに異なる物質からなる複数の層を有する多層構造を有する。
【0049】
一実施形態の有機電界発光素子10において、発光層EMLは一実施形態の化合物を含む。
【0050】
一方、本明細書において、「置換若しくは無置換の」とは、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、シリル基、オキシ基、チオ基、スルフィニル基、スルホニル基、カルボニル基、ホウ素基、ホスフィンオキシド基、ホスフィンスルフィド基、ゲルミル基、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、炭化水素環基、アリール基、及びヘテロ環基からなる群より選択される一つ以上の置換基に置換若しくは無置換されることを意味する。また、例示された置換基それぞれは、置換若しくは無置換される。例えば、ビフェニリル基はアリール基と解釈されてもよく、フェニル基に置換されたフェニル基と解釈されてもよい。
【0051】
本明細書において、「隣接する基と互いに結合して環を形成」するとは、隣接する基と互いに結合して置換若しくは無置換の炭化水素環、または置換若しくは無置換のヘテロ環を形成することを意味する。炭化水素環は、脂肪族炭化水素環及び芳香族炭化水素環を含む。ヘテロ環は、脂肪族ヘテロ環、及び芳香族ヘテロ環を含む。隣接する基と互いに結合して形成された環は、単環または多環である。また、互いに結合して形成された環は、他の環と連結されてスピロ構造を形成してもよい。
【0052】
本明細書において、「隣接する基」とは該当する置換基が置換された原子と直接連結された原子に置換された置換基、該当する置換基が置換された原子に置換された他の置換基、または該当する置換基と立体構造的に最も隣接した置換基を意味する。例えば、1,2−ジメチルベンゼンにおける2つのメチル基は互いに「隣接する基」と解釈され、1,1−ジエチルシクロペンテンにおける2つのエチル基は互いに「隣接する基」と解釈される。
【0053】
本明細書において、ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子がある。
【0054】
本明細書において、アルキル基は直鎖、分枝鎖、または環状である。アルキル基の炭素数は、1以上50以下、1以上30以下、1以上20以下、1以上10以下、または1以上6以下である。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、i−ブチル基、2−エチルブチル基、3、3−ジメチルブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、シクロペンチル基、1−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−エチルペンチル基、4−メチル−2−ペンチル基、n−ヘキシル基、1−メチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−ブチルヘキシル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、4−t−ブチルシクロヘキシル基、n−ヘプチル基、1−メチルペプチル基、2、2−ジメチルヘプチル基、2−エチルヘプチル基、2−ブチルヘプチル基、n−オクチル基、tーオクチル基、2−エチルオクチル基、2−ブチルオクチル基、2−ヘキシルオクチル基、3、7−ジメチルオクチル基、シクロオクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、アダマンチル基、2−エチルデシル基、2−ブチルデシル基、2−ヘキシルデシル基、2−オクチルデシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、2−エチルドデシル基、2−ブチルドデシル基、2−ヘキシルドデシル基、2−オクチルデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、2−エチルヘキサデシル基、2−ブチルヘキサデシル基、2−ヘキシルヘキサデシル基、2−オクチルヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−イコシル基、2−エチルイコシル基、2−ブチルイコシル基、2−ヘキシルイコシル基、2−オクチルイコシル基、n−ヘンイコシル基、n−ドコシル基、n−トリコシル基、n−テトラコシル基、n−ペンタコシル基、n−ヘキサコシル基、n−ヘプタコシル基、n−オクタコシル基、n−ノナコシル基、及びn−トリアコンチル基などが挙げられるが、これに限らない。
【0055】
本明細書において、アルケニル基は、炭素数2以上のアルキル基の中間または末端に一つ以上の炭素二重結合を含む炭化水素基を意味する。アルケニル基は直鎖または分枝鎖である。炭素数は特に限らないが、2以上30以下、2以上20以下、または2以上10以下である。アルケニル基の例としては、ビニル基、1−ブテニル基、1−ペンテニル基、1,3−ブタジエニルアリール基、スチレニル基、スチリルビニル基などが挙げられるが、これに限らない。
【0056】
本明細書において、アルキニル基は、炭素数2以上のアルキル基の中間または末端に一つ以上の炭素三重結合を含む炭化水素基を意味する。アルキニル基は直鎖または分枝鎖である。炭素数は特に限らないが、2以上30以下、2以上20以下、または2以上10以下である。アルキニル基の具体的な例としては、エチニル基、プロピニル基などが挙げられるが、これに限らない。
【0057】
本明細書において、炭化水素環基は、脂肪族炭化水素環から誘導される任意の官能基または置換基、または芳香族炭化水素環から誘導される任意の官能基または置換基である。炭化水素環基の環形成炭素数は、5以上60以下、5以上30以下、または5以上20以下である。
【0058】
本明細書において、アリール基は芳香族炭化水素環から誘導される任意の官能基または置換基を意味する。アリール基は、単環式アリール基または多環式アリール基である。アリール基の環形成炭素数は、6以上30以下、6以上20以下、または6以上15以下である。アリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ビフェニリル基、テルフェニリル基、クォーターフェニリル基、クインクフェニリル基、セクシフェニリル基、トリフェニルエニル基、ピレニル基、ベンゾフルオランテニル基、クリセニル基などが挙げられるが、これに限らない。
【0059】
本明細書において、ヘテロ環基はヘテロ原子としてB、O、N、P、Si、及びSのうち一つ以上を含む環から誘導される任意の官能基または置換基を意味する。ヘテロ環基は、脂肪族ヘテロ環基及び芳香族ヘテロ環基を含む。芳香族ヘテロ環基はヘテロアリール基である。脂肪族ヘテロ環基及び芳香族ヘテロ環基は単環または多環である。ヘテロ環基がヘテロ原子を2つ以上含めば、2つ以上のヘテロ原子は互いに同じであってもよく、異なってもよい。ヘテロ環基の環形成炭素数は、2以上30以下、2以上20以下、または2以上10以下である。
【0060】
本明細書において、脂肪族ヘテロ環基はヘテロ原子としてB、O、N、P、Si、及びSのうち一つ以上を含む。脂肪族ヘテロ環基の環形成炭素数は、2以上30以下、2以上20以下、または2以上10以下である。脂肪族ヘテロ環基の例としては、オキシラニル基、チイラニル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオフェニル基、チアニル基、テトラヒドロピラニル基、1,4−ジオキサニル基などが挙げられるが、これに限らない。
【0061】
本明細書において、ヘテロアリール基はヘテロ原子としてB、O、N、P、Si、及びSのうち一つ以上を含む。ヘテロアリール基がヘテロ原子を2つ以上含めば、2つ以上のヘテロ原子は互いに同じであってもよく、異なってもよい。ヘテロアリール基は、単環式ヘテロ環基または多環式ヘテロ環基であってもよい。ヘテロアリール基の環形成炭素数は、2以上30以下、2以上20以下、または2以上10以下である。ヘテロアリール基の例としては、チオフェニル基、フラニル基、ピロニル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、ピリジニル基、ビピリジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、アクリジニル基、ピリダジニル基、ピラジニニル基、キノリニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、フェノキサジニル基、フタラジニル基、ピリドピリミジニル基、ピリドピラジニル基、ピラジノピラジニル基、イソキノリニル基、インドリル基、カルバゾリル基、N−アリールカルバゾリル基、N−ヘテロアリールカルバゾリル基、N−アルキルカルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾチオフェニル基、チエノチオフェニル基、ベンゾフラニル基、フェナントロリニル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、フェノチアジニル基、ジベンゾシロリル基、及びジベンゾフラニル基などが挙げられるが、これに限らない。
【0062】
本明細書において、アリーレン基は2価基であることを除いては、上述したアリール基に関する説明が適用される。ヘテロアリーレン基は2価基であることを除いては、上述したヘテロアリール基に関する説明が適用される。
【0063】
本明細書において、シリル基はアルキルシリル基及びアリールシリル基を含む。シリル基の例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基などが挙げられるが、これに限らない。
【0064】
本明細書において、ボリル基はアルキルボリリル基及びアリールボリリル基を含む。ボリル基の例としては、トリメチルボリル基、トリエチルボリル基、t−ブチルジメチルボリル基、トリフェニルボリル基、ジフェニルボリル基、フェニルボリル基などが挙げられるが、これに限らない。
【0065】
本明細書において、アミノ基の炭素数は特に限らないが、1以上30以下である。アミノ基は、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、またはヘテロアリールアミノ基を含む。アミノ基の例としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、9−メチル−アントラセニルアミノ基、トリフェニルアミノ基などが挙げられるが、これに限らない。
【0066】
本明細書において、カルボニル基の炭素数は特に限らないが、炭素数1〜40以下、1以上30以下、または1〜20以下であってもよい。例えば、下記構造を有してもよいが、これに限らない。
【化15】
【0067】
本明細書において、スルフィニル基及びするスルホニル基の炭素数は特に限らないが、1以上30以下であってもよい。スルフィニル基は、アルキルスルフィニル基及びアリールスルフィニル基を含む。スルホニル基は、アルキルスルホニル基及びアリールスルホニル基を含む。
【0068】
本明細書において、チオ基はアルキルチオ基及びアリールチオ基を含む。
【0069】
本明細書において、オキシ基はアルコキシオキシ基及びアリールオキシ基を含む。アルコキシ基は直鎖、分枝鎖、または環状であってもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限らないが、例えば、1以上20以下、または1以上10以下であってもよい。オキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ベンジルオキシなどが挙げられるが、これに限らない。
【0070】
本明細書において、アルキルチオ基、アルキルスルホキシ基、アルキルアリール基、アルキルアミノ基、アルキルホウ素基、アルキルシリル基のうちのアルキル基は上述したアルキル基の例示のようである。
【0071】
本明細書において、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールスルホキシ基、アリールアミノ基、アリールホウ素基、アリールシリル基のうちのアリール基は上述したアルキル基の例示のようである。
【0072】
【0073】
一実施形態の有機電界発光素子10の発光層EMLは、下記化学式1で表される一実施形態の化合物を含む。
【化16】

化学式1において、M及びMはそれぞれ独立して、置換若しくは無置換の炭素数5以上30以下の環形成、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロ環である。
【0074】
化学式1において、Rは、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルケニル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルキニル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基、置換若しくは無置換のシリル基、置換若しくは無置換のカルボニル基、置換若しくは無置換のオキシ基、置換若しくは無置換のチオ基、置換若しくは無置換のボリル基、置換若しくは無置換のホスフィニル基、置換若しくは無置換のホスフィンオキシ基、置換若しくは無置換のホスフィンスルフィド基、置換若しくは無置換のスルホニル基、または置換若しくは無置換のスルフィニル基である。
【0075】
また、Rは、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルケニル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルキニル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基、置換若しくは無置換のオキシ基、置換若しくは無置換のチオ基、または置換若しくは無置換のアミノ基である。
【0076】
及びRはMまたはMと結合して環を形成してもよい。例えば、R及びRはMまたはMと結合して縮合環を形成してもよい。
【0077】
化学式1において、M及びMのうちいずれか一つは、下記化学式2で表される多環ヘテロ基に置換される:
【化17】
【0078】
化学式2において、XはSiまたはGeである。また、化学式2において、M及びMはそれぞれ独立して、置換若しくは無置換の環形成炭素数5以上30以下の炭化水素環、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロ環である。
【0079】
Lは単結合、置換若しくは無置換の炭素数6以上30以下のアリーレン基、または置換若しくは無置換の炭素数2以上30以下のヘテロアリーレン基である。
【0080】
及びRはそれぞれ独立して、置換若しくは無置換の炭素数3以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルケニル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルキニル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基、置換若しくは無置換のオキシ基、置換若しくは無置換のチオ基、または置換若しくは無置換のアミノ基である。または、R及びRは互いに結合して置換若しくは無置換の環形成炭素数5以上30以下の炭化水素環、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロ環を形成する。
【0081】
【0082】
一実施形態の化合物は、アザボリン部位を含む化学式1で表されるコア部、及びコア部に置換される多環ヘテロ基として化学式2で表されるアザシリン基またはアザゲルミン基を含む。一実施形態の化合物は、重原子を含む多環ヘテロ基を置換基で含んでアザボリン部位のみを含むか、重原子を含まない置換基で置換されている場合に比べ、優秀な寿命特性及び改善された効率特性を示す。
【0083】
例えば、化学式1で表される一実施形態の化合物において、M及びMはそれぞれ独立して、置換若しくは無置換のベンゼン環、置換若しくは無置換のナフタレン環、置換若しくは無置換のフェナントレン環、置換若しくは無置換のフルオレン環、置換若しくは無置換のベンゾチオフェン環、置換若しくは無置換のジベンゾチオフェン環、置換若しくは無置換のベンゾフラン環、置換若しくは無置換のジベンゾフラン環、置換若しくは無置換のカルバゾール環、置換若しくは無置換のピリジン環であってもよい。しかし、本実施形態はこれらに限らない。
【0084】
また、例えば、化学式2において、M及びMはそれぞれ独立して、置換若しくは無置換のベンゼン環、置換若しくは無置換のナフタレン環、置換若しくは無置換のフェナントレン環、置換若しくは無置換のフルオレン環、置換若しくは無置換のベンゾチオフェン環、置換若しくは無置換のジベンゾチオフェン環、置換若しくは無置換のベンゾフラン環、置換若しくは無置換のジベンゾフラン環、置換若しくは無置換のカルバゾール環、置換若しくは無置換のピリジン環であってもよい。しかし、本実施形態はこれらに限らない。
【0085】
化学式1は、下記化学式1−1または化学式1−2で表される。
【化18】

【化19】
【0086】
化学式1−1において、R11〜R18はそれぞれ独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルケニル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルキニル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のボリル基、置換若しくは無置換のシリル基、置換若しくは無置換のカルボニル基、置換若しくは無置換のオキシ基、または置換若しくは無置換のチオ基であるか、または隣接する基と互いに結合して環を形成する。
【0087】
また、化学式1−1において、R11〜R18の置換基のうちいずれか一つ、またはR11〜R18が隣接する基と互いに結合して形成される縮合環は、上述した化学式2で表される多環ヘテロ基に置換される。
【0088】
化学式1−1において、R及びRについては、上述した化学式1で説明した内容と同じ内容が適用される。
【0089】
化学式1−2において、YはBでYはNRであるか、YはNでYはBRである。R及びRについては、上述した化学式1で説明した内容と同じ内容が適用される。
化学式1−2において、Zは単結合、O、S、C=O、BR、NR、CR、SiR、GeR、POR、PSR、SO、またはSOである。
【0090】
〜Rはそれぞれ独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルケニル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルキニル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。
【0091】
化学式1−2において、R21〜R31はそれぞれ独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルケニル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルキニル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のシリル基、置換若しくは無置換のカルボニル基、置換若しくは無置換のオキシ基、または置換若しくは無置換のチオ基の置換基であるか、または隣接する基と互いに結合して縮合環を形成する。
【0092】
また、R21〜R31の置換基のうちいずれか一つ、またはR21〜R31が隣接する基と互いに結合して形成される縮合環は、上述した化学式2で表される多環ヘテロ基に置換される。
【0093】
化学式2は、下記化学式2−1または2−2で表される。
【化20】

【化21】
【0094】
化学式2−1及び化学式2−2において、R41〜R48はそれぞれ独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルケニル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルキニル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のシリル基、置換若しくは無置換のカルボニル基、置換若しくは無置換のオキシ基、または置換若しくは無置換のチオ基である。
【0095】
化学式2−1及び化学式2−2において、L、R及びRは化学式2で定義したとおりである。
【0096】
例えば、R41〜R48は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基であってもよい。Lは単結合、または置換若しくは無置換のフェニレン基である。
【0097】
化学式1−1で表される一実施形態の化合物において、R11〜R18は水素原子であり、R11〜R18のうちいずれか一つは上述した化学式2で表される多環ヘテロ基に置換される。また、化学式1−1において、R11〜R18のうちから選択される2つの隣接した置換基を互いに結合して縮合環を形成するが、縮合環は上述した化学式2で表される多環ヘテロ基に置換される。
【0098】
化学式1−1は、下記化学式1−1Aまたは化学式1−1Bで表される。
【化22】

【化23】

化学式1−1A及び化学式1−1Bにおいて、R及びRについては、上述した化学式1で説明した内容と同じ内容が適用される。化学式1−1A及び化学式1−1Bにおいて、M、M、X、R、及びRについては、上述した化学式2で説明した内容と同じ内容が適用される。
【0099】
化学式1−1Bにおいて、Mは、置換若しくは無置換の環形成炭素数5以上30以下の炭化水素環、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロ環である。
【0100】
例えば、化学式1−1Bにおいて、Mは、置換若しくは無置換のベンゼン環、置換若しくは無置換のナフタレン環、置換若しくは無置換のフェナントレン環、置換若しくは無置換のフルオレン環、置換若しくは無置換のベンゾチオフェン環、置換若しくは無置換のジベンゾチオフェン環、置換若しくは無置換のベンゾフラン環、置換若しくは無置換のジベンゾフラン環、置換若しくは無置換のカルバゾール環、置換若しくは無置換のピリジン環であってもよい。しかし、実施形態はこれに限らない。
【0101】
化学式1−2で表される一実施形態の化合物は、下記化学式1−2A〜化学式1−2Cのうちいずれか一つで表される。
【化24】

【化25】

【化26】
【0102】
化学式1−2A〜化学式1−2Cにおいて、Y、Y、Z、及びR21〜R31については、上述した化学式1及び化学式1−2で説明した内容と同じ内容が適用される。
【0103】
化学式1−2Cにおいて、Qは単結合、O、S、C=O、BR、またはNRである。また、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルケニル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルキニル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。
【0104】
化学式1−2は、下記化学式1−2D〜化学式1−2Fのうちいずれか一つで表される。
【化27】

【化28】

【化29】
【0105】
化学式1−2Fにおいて、Mは、置換若しくは無置換の環形成炭素数5以上30以下の炭化水素環、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロ環である。
【0106】
例えば、化学式1−2Fにおいて、Mは、置換若しくは無置換のベンゼン環、置換若しくは無置換のナフタレン環、置換若しくは無置換のフェナントレン環、置換若しくは無置換のフルオレン環、置換若しくは無置換のベンゾチオフェン環、置換若しくは無置換のジベンゾチオフェン環、置換若しくは無置換のベンゾフラン環、置換若しくは無置換のジベンゾフラン環、置換若しくは無置換のカルバゾール環、置換若しくは無置換のピリジン環であってもよい。しかし、実施形態はこれに限らない。
【0107】
化学式1−2D〜化学式1−2Fにおいて、R21〜R31、Y、Y、Zについては、上述した化学式1−2で説明した内容と同じ内容が適用される。また、化学式1−2D〜化学式1−2Fにおいて、X、L、M、M、R、及びRについては、上述した化学式2で説明した内容と同じ内容が適用される。
【0108】
一実施形態の化合物は、下記第1化合物群に示した化合物のうちいずれか一つである。一実施形態の有機電界発光素子10は、第1化合物群に示した化合物のうち少なくとも一つの化合物を発光層EMLに含む。
【0109】
下記第1化合物群に示した化合物において、iPrはイソプロピル基であり、phはフェニル基を示す。
[第1化合物群]
【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【化36】

【化37】

【化38】

【化39】

【化40】

【化41】

【化42】

【化43】
【0110】
一実施形態の化合物は、熱活性遅延蛍光発光材料である。一実施形態の化合物は、化学式1で表される電子受容部と、化学式2で表される電子供与部を含む。
【0111】
一実施形態の化合物において、化学式1で表される電子受容部は、環形成原子としてホウ素原子(B)及び窒素原子(N)をいずれも有するアザボリン部位を含むことで、優秀な発光効率及び長寿命特性を示す。
【0112】
また、一実施形態の化合物は、化学式2で表される多環ヘテロ基を電子供与部として含むことで、優秀な発光効率及び改善された長寿命特性を示す。
【0113】
一実施形態の化合物は、最低三重項励起エネルギー準位(T1 level)と最低一重項励起エネルギー準位(S1 level)の差(ΔEST)が0.25eV以下である熱活性遅延蛍光ドーパントである。しかし、本実施形態はこれらに限らない。
【0114】
【0115】
一実施形態の有機電界発光素子10において、発光層EMLは遅延蛍光を放出する。例えば、発光層EMLは熱活性遅延蛍(TADF)を発光してもよい。
【0116】
一方、図示していないが、一実施形態の有機電界発光素子10は複数の発光層を含んでもよい。複数の発光層は順次に積層されて提供されるが、例えば、複数の発光層を含む有機電界発光素子10は白色光を放出してもよい。複数の発光層を含む有機電界発光素子10は、タンデム構造の有機電界発光素子である。有機電界発光素子10が複数の発光層を含む場合、少なくとも一つの発光層EMLは、上述した一実施形態の化合物を含む。
【0117】
一実施形態において、発光層EMLはホスト及びドーパントを含み、上述した一実施形態の化合物をドーパントとして含む。例えば、一実施形態の有機電界発光素子10において、発光層EMLは遅延蛍光発光用ホスト及び遅延蛍光発光用ドーパントを含むが、上述した一実施形態の化合物を遅延蛍光発光用ドーパントとして含んでもよい。発光層EMLは、上述した第1化合物群に示した化合物のうち少なくとも一つを熱活性遅延蛍光ドーパントとして含む。
【0118】
一実施形態において、発光層EMLは遅延蛍光発光層であり、発光層EMLは公知のホスト材料、及び上述した一実施形態の化合物を含む。例えば、一実施形態において、化合物はTADFドーパントとして使用されてもよい。
【0119】
一方、一実施形態において、発光層EMLは公知のホスト材料を含む。例えば、一実施形態において、発光層EMLはホスト材料として、Alq(トリス(8−ヒドロキシキノリノ)アルミニウム)、CBP(4,4’−ビス(N−カルバゾリル)−1,1’−ビフェニル)、PVK(ポリ(n−ビニルカルバゾール)、ADN(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン)、TCTA(4,4’,4”−トリス(カルバゾール−9−イル)−トリフェニルアミン)、TPBi(1,3,5−トリス(N−フェニルベンズイミダゾール−2−イル)ベンゼン)、TBADN(3−tert−ブチル−9,10−ジ(ナフト−2−イル)アントラセン)、DSA(ジスチリルアリレン)、CDBP(4,4’−ビス(9−カルバゾリル)−2,2”−ジメチル−ビフェニル)、MADN(2−メチル−9,10−ビス(ナフタレン−2−イル)アントラセン)、DPEPO(ビス[2−(ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテルオキシド)、CP1(ヘキサフェニルシクロトリホスファゼン)、UGH2(1、4−ビス(トリフェニルシリル)ベンゼン)、DPSiO(ヘキサフェニルシクロトリシロキサン)、DPSiO(オクタフェニルシクロテトラシロキサン)、またはPPF(2、8−ビス(ジフェニルホスフォリル)ジゼンゾフラン)、MmCBP(3,3’−ビス(N−カルバゾリル)−1,1’−ビフェニル)、mmCP(1,3−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼン)などを含んでもよい。しかし、本実施形態はこれに限らず、提示されたホスト材料以外にも公知の遅延蛍光発光ホスト材料が含まれてもよい。
【0120】
一方、一実施形態の有機電界発光素子10において、発光層EMLは公知のドーパント材料を更に含む。一実施形態において、発光層EMLはドーパントとして、スチリル誘導体(例えば、1,4−ビス[2−(3−N−エチルカルバゾリル)ビニル]ベンゼン(BCzVB)、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4’−[(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]スチルベン(DPAVB)、N−(4−((E)−2−(6−((E)−4−(ジフェニルアミノ)スチリル)ナフタレン−2−イル)ビニル)フェニル)−N−フェニルベンゼンアミン(N−BDAVBi)、ペリレン及びその誘導体(例えば、2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン(TBP))、ピレン及びその誘導体(例えば、1,1−ジピレン、1,4−ジピレニルベンゼン、1,4−ビス(N、N−ジフェニルアミノ)ピレン)などの2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン(TBP))などを更に含んでもよい。
【0121】
図1〜図3に示した一実施形態の有機電界発光素子10において、電子輸送領域ETRは発光層EMLの上に提供される。電子輸送領域ETRは、正孔阻止層HBL、電子輸送層ETL、及び電子注入層のEILうち少なくとも一つを含むが、本実施形態はこれに限らない。
【0122】
電子輸送領域ETRは、単一物質からなる単一層、複数の互いに異なる物質からなる単一層、または複数の互いに異なる物質からなる複数の層を有する多層構造を有する。
【0123】
例えば、電子輸送領域ETRは電子注入層EILまたは電子輸送層ETLの単一層構造を有してもよく、電子注入物質と電子輸送物質からなる単一層構造を有してもよい。また、電子輸送領域ETRは、複数の互いに異なる物質からなる単一層の構造を有するか、発光層EMLから順番に積層される電子輸送層ETL/電子注入層EIL、正孔阻止層HBL/電子輸送層ETL/電子注入層EILの構造を有してもよいが、これに限らない。電子輸送領域ETRの厚さは、例えば、約100nm〜約150nmであってもよい。
【0124】
電子輸送領域ETRは、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェットプリント法、レーザプリント法、レーザ熱転写法(LITI)などのような多様な方法を利用して形成される。
【0125】
電子輸送領域ETRが電子輸送層ETLを含む場合、電子輸送領域ETRはアントラセン系化合物を含む。但し、これに限らず、電子輸送領域は、例えば、Alq(トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム)、1,3,5−トリ[(3−ピリジル)−フェン−3−イル]ベンゼン、2,4,6−トリス(3’−ピリジン−3−イル)ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−(N−フェニルベンゾイミダゾリル−1−イルフェニル)−9,10−ジナフチルアントラセン、TPBi(1,3,5−トリ(1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)フェニル)、BCP(2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)、Bphen(4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)、TAZ(3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5−テルト−ブチルフェニル−1,2,4−トリアゾール)、NTAZ(4−(ナフタレン−1−イル)−3,5−ジフェニル−4H−1,2,4−トリアゾール)、tBu−PBD(2−(4−ビフェニルイル)−5−(4−テルト−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール)、BAlq(ビス(2−メチル−8−キノリノラト−N1,O8)−(1,1’−ビフェニル−4−オラート)アルミニウム)、Bebq(ベリリウムビス(ベンゾキノリン−10−オラート)、ADN(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン)、BmPyPhB(1,3−ビス[3,5−ジ(ピリジン−3−イル)フェニル]ベンゼン)、及びこれらの混合物を含んでもよい。電子輸送層ETLの厚さは、約10nm〜約100nm、例えば、約15nm〜約50nmである。電子輸送層HTLの厚さが上述したような範囲を満足すれば、実質的な駆動電圧の上昇なしに満足できる程度の電子輸送特性が得られる。
【0126】
電子輸送領域ETRが電子注入層EILを含めば、電子輸送領域ETRは、LiF、NaCl、CsF、RbCl、RbIのようなハロゲン化金属、Ybのようなランタン族金属、LiO、BaOのような金属酸化物、またはLiQ(リチウムキノラート)などが使用されるが、これに限らない。電子注入層EILはまた、電子輸送物質と絶縁性の有機金属塩(organo Metal salt)が混合された物質からなる。有機金属塩は、エネルギーバンドギャップ(energy band gap)が約4eV以上の物質である。詳しくは、例えば、有機金属塩は、酢酸金属塩、安息香酸金属塩、アセト酢酸金属塩、金属アセチルアセトネート、またはステアリン酸金属塩を含む。電子注入層EILの厚さは、約0.1nm〜約10nm、約0.3nm〜約9nmである。電子注入層EILの厚さが上述したような範囲を満足すれば、実質的な駆動電圧の上昇なしに満足できる程度の電子注入特性が得られる。
【0127】
電子輸送領域ETRは、上述したように、正孔阻止層HBLを含む。正孔阻止層HBLは、例えば、BCP(2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)、及びBphen(4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)のうち少なくとも一つを含んでもよいが、これに限らない。
【0128】
第2電極EL2は、電子輸送領域ETRの上に提供される。第2電極EL2は、共通電極または負極である。第2電極EL2は、透過型電極、半透過型電極、または反射型電極である。第2電極EL2が透過型電極であれば、第2電極EL2は透明金属酸化物、例えば、ITO、IZO、ZnO、ITZOなどからなる。
【0129】
第2電極EL2が半透過型電極または反射型電極であれば、第2電極EL2はAg、Mg、Cu、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Mo、Ti、またはこれらを含む化合物や混合物(例えば、AgとMgの混合物)を含む。または、物質からなる反射膜や半透過膜、及びITO、IZO、ZnO、ITZOなどからなる透明導電膜を含む複数の層構造である。
【0130】
図示していないが、第2電極EL2は補助電極と連結される。第2電極EL2が補助電極と連結されれば、第2電極EL2の抵抗を減少させることができる。
【0131】
一方、一実施形態の有機電界発光素子10の第2電極EL2の上には、キャッピング層CPL更に配置される。キャッピング層CPLは、例えば、α−NPD、NPB、TPD、m−MTDATA、Alq3、CuPc、TPD15(N4,N4,N4’,N4’−テトラ(ビフェニル−4−イル)ビフェニル−4,4’−ジアミン)、TCTA(4,4’,4”−トリス(カルバゾール ソル−9−イル)トリフェニルアミン)、N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)などを含んでもよい。
【0132】
本発明の一実施形態による有機電界発光素子10は、上述した一実施形態の化合物を第1電極EL1と第2電極EL2との間に配置される発光層EMLに含むことで、改善された寿命特性と優秀な発光効率を示し、発光波長領域で狭い半値幅を示す。また、一実施形態による化合物は熱活性遅延蛍光ドーパントであり、発光層EMLは一実施形態の化合物を含んで熱活性遅延蛍光発光することで、良好な発光効率特性を示す。
【0133】
一方、上述した一実施形態の化合物は、発光層EML以外の有機層で有機電界発光素子10用材料として含まれる。例えば、本発明の一実施形態による有機電界発光素子10は、上述した化合物を第1電極EL1と第2電極EL2との間に配置される少なくとも一つの機能層、または第2電極EL2の上に配置されるキャッピング層CPLに含んでもよい。
【0134】
上述した一実施形態の化合物は、N及びBをいずれも環形成ヘテロ原子として含むアザボリン部位を含み、アザボリン部位に置換されて重原子を有するアザシリン基またはアザゲルミン基を含むことで、有機電界発光素子の材料として使用される場合、有機電界発光素子の効率及び寿命特性をより改善することができる。
【実施例】
【0135】
以下では実施例及び比較例を参照し、本発明の一実施形態による化合物及び一実施例の有機電界発光素子について詳しく説明する。また、以下に示す実施例は本発明の理解を助けるための一例示であって、本発明の範囲はこれに限らない。
【0136】
1.一実施例の化合物の合成
まず、本実施形態による化合物の合成方法について、化合物1、9、12、30、31、65、及び67の合成方法を例示して具体的に説明する。また、以下で説明する化合物の合成法は一実施例であって、本発明の実施形態による化合物の合成法は下記実施例に限らない。
【0137】
(1)化合物1の合成
一実施例による化合物1は、例えば、下記反応式1によって合成される。
[反応式1]
【化44】
【0138】
<中間体化合物Aの合成>
アルゴン(Ar)雰囲気下、1000mLの三口フラスコに、ジフェニルアミン16.9g(100mmol)と1,3−ジブロモ−2,5−ジクロロベンゼン15.2g(50mmol)、(Amphos)PdCl 1.42g(2.0mmol)、NaOBu10.6g(110mmol)を加え、500mLトルエン溶媒の中で、100℃で2時間攪拌した。空冷後、水を加えて有機層を分取し、溶媒留去した。獲得した粗生成物をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル)で精製した後、白色固体の化合物である中間体Aを20.46g(収率85%)得た。FAB−MS測定によって測定された化合物Aの分子量は481であった。
【0139】
<中間体化合物Bの合成>
アルゴン雰囲気下、500mLの三口フラスコに、中間体化合物A20.22g(42mmol)の脱水t−ブチルベンゼン溶液200mLを加え、−78℃で攪拌した。ここに、1.9Mのt−BuLiのペンタン溶液44mL(84mmol)を滴下した。滴下終了後、60℃まで昇温して2時間攪拌した後、t−ブチルベンゼンより低沸点の成分を減圧留去した。−30℃まで冷却し、BBr 8.0mL(84mmol)を滴下した。滴下終了後、室温まで昇温して2時間攪拌した。次に、更に0℃まで冷却し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン15mL(84mmol)を滴下した。滴下終了後、室温まで昇温して1時間攪拌した後、120℃まで昇温して8時間加熱攪拌した。反応液を室温まで冷却し、氷浴(ice bath)で冷却したNaOAc水溶液、トルエンを加えて分液した。次に、シリカゲルショートカラムクロマトグラフィ(Short Column chromatography)で精製した後、トルエン/ヘキサン溶媒による再結晶を行って、黄色固体の中間体化合物Bを5.54g(収率29%)得た。FAB−MS測定によって測定された中間体化合物Bの分子量は454であった。
【0140】
<化合物1の合成>
アルゴン雰囲気下、100mLの三口フラスコに中間体化合物B2.73(6.0mmol)と10,10−ジフェニル−5,10−ジヒドロジベンゾ[b,e][1,4]アザシリン2.10g(6.0mmol)、Pd(dba) 0.055g(0.06mmol)、Ruphos0.11g(0.24mmol)、KPO 3.82g(18.0mmol)を加え、30mLトルエン溶媒の中で、110℃で8時間攪拌した。空冷後、水を加えて有機層を分取し、溶媒留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製した後、黄色固体の化合物1を3.32g(収率72%)得た。FAB−MS測定によって測定された化合物1の分子量は、767であった。また、H−NMR(CDCl)測定で測定された化合物1のδ(ケミカルシフト値)は、[7.71(2H)、7.50−7.16(24H)、7.10−6.98(10H)、6.49(2H)]であった。
【0141】
(2)化合物9の合成
一実施例による化合物9は、例えば、下記反応式2によって合成される。
[反応式2]
【化45】
【0142】
<中間体化合物Cの合成>
アルゴン雰囲気下、200mLの三口フラスコに、2,3−ジクロロ−N,N−ジフェニルアニリン7.86g(25mmol)と2,4,6−トリメチルアニリン3.8mL(27mmol)、(Amphos)PdCl 0.35g(0.5mmol)、NaOBu2.59g(27mmol)を加え、50mLキシレン溶媒の中で、120℃で8時間攪拌した。空冷後、水を加えて有機層を分取し、溶媒留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製した後、白色固体の中間体化合物Cを9.09g(収率88%)得た。FAB−MS測定によって測定された中間体化合物Cの分子量は、412であった。
【0143】
<中間体化合物Dの合成>
アルゴン雰囲気下、200mL三口フラスコに、中間体化合物C5.97g(22mmol)と1−ブロモ−3−クロロベンゼン2.8mL(24mmol)、Pd(dba) 0.20g(0.22mmol)、PBu3 0.18g(0.88mmol)、NaOBu2.31g(24mmol)を加え、50mLトルエン溶媒の中で、100℃で2時間攪拌した。空冷後、水を加えて有機層を分取し、溶媒留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製した後、白色固体の中間体化合物Dを10.6g(収率92%)得た。FAB−MS測定によって測定された中間体化合物Dの分子量は523であった。
【0144】
<中間体化合物Eの合成>
アルゴン雰囲気下、300mLの三口フラスコに、中間体化合物D6.78g(20mmol)の脱水t−ブチルベンゼン溶液100mLを加え、78℃で攪拌した。ここに、1.9Mのt−BuLiのペンタン溶液21mL(40mmol)を滴下した。滴下終了後、60℃まで昇温して2時間攪拌した後、t−ブチルベンゼンより低沸点の成分を減圧留去した。−30℃まで冷却し、BBr 3.8mL(40mmol)を滴下した。滴下終了後、室温まで昇温して2時間攪拌した。次に、更に0℃まで冷却し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン7.0mL(40mmol)を滴下した。滴下終了後、室温まで昇温して1時間攪拌した後、120℃まで昇温して8時間加熱攪拌した。反応液を室温まで冷却し、氷浴で冷却したNaOAc水溶液、トルエンを加えて分液した。次に、シリカゲルショートカラムクロマトグラフィで精製した後、トルエン/ヘキサン溶媒による再結晶を行って、黄色固体の中間体化合物Eを3.18g(収率32%)得た。FAB−MS測定によって測定された中間体化合物Eの分子量は496であった。
【0145】
<化合物9の合成>
アルゴン雰囲気下、200mLの三口フラスコに中間体化合物E3.13(6.3mmol)と10,10−ジフェニル−5,10−ジヒドロジベンゾ[b,e][1,4]アザシリン2.30g(6.3mmol)、Pd(dba) 0.060g(0.06mmol)、Ruphos0.12g(0.13mmol)、KPO 4.01g(18.9mmol)を加え、30mLトルエン溶媒の中で、110℃で8時間攪拌した。空冷後、水を加えて有機層を分取し、溶媒留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製した後、黄色固体の化合物9を3.52g(収率69%)得た。FAB−MS測定によって測定された化合物9の分子量は809であった。また、H−NMR(CDCl)測定で測定された化合物9のδは、[7.73−7.65(2H)、7.48−7.16(21H)、7.10−6.98(6H)、6.86−6.81(4H)、6.77(2H),2.26(3H)、2.12(6H)]であった。
【0146】
(3)化合物30の合成
一実施例による化合物30は、例えば、下記反応式3によって合成される。
[反応式3]
【化46】
【0147】
<中間体化合物Fの合成>
アルゴン雰囲気下、500mLの三口フラスコに、N−フェニル−3−ジベンゾチオフェンアミン9.86g(50mmol)と1,3−ジブロモ−2,5−ジクロロベンゼン10.65g(25mmol)、(Amphos)PdCl 0.71g(1.0mmol)、NaOBu5.29g(55mmol)を加え、250mLトルエン溶媒の中で、100℃で2時間攪拌した。空冷後、水を加えて有機層を分取し、溶媒留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製した後、白色固体の中間体化合物Fを16.13g(収率93%)得た。FAB−MS測定によって測定された中間体化合物Fの分子量は693であった。
【0148】
<中間体化合物Gの合成>
アルゴン雰囲気下、300mLの三口フラスコに、中間体化合物F16.0g(23mmol)の脱水t−ブチルベンゼン溶液120mLを加え、78℃で攪拌した。ここに、1.9Mのt−BuLiのペンタン溶液24mL(46mmol)を滴下した。滴下終了後、60℃まで昇温して2時間攪拌した後、t−ブチルベンゼンより低沸点の成分を減圧留去した。−30℃まで冷却し、BBr 4.4mL(46mmol)を滴下した。滴下終了後、室温まで昇温して2時間攪拌した。次に、更に0℃まで冷却し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン8.0mL(46mmol)を滴下した。滴下終了後、室温まで昇温して1時間攪拌した後、120℃まで昇温して8時間加熱攪拌した。反応液を室温まで冷却し、氷浴で冷却したNaOAc水溶液、トルエンを加えて分液した。次に、シリカゲルショートカラムクロマトグラフィで精製した後、トルエン/ヘキサン溶媒による再結晶を行って、黄色固体の中間体化合物Gを3.38g(収率22%)得た。FAB−MS測定によって測定された中間体化合物Gの分子量は667であった。
【0149】
<化合物30の合成>
アルゴン雰囲気下、200mLの三口フラスコに中間体化合物G3.34g(5.0mmol)と10,10−ジフェニル−3,6−ジメチル−5,10−ジヒドロジベンゾ[b,e][1,4]アザシリン1.89g(5.0mmol)、Pd(dba) 0.055g(0.05mmol)、Ruphos0.093g(0.20mmol)、KPO 3.18g(15.0mmol)を加え、25mLトルエン溶媒の中で、110℃で8時間攪拌した。空冷後、水を加えて有機層を分取し、溶媒留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製した後、黄色固体の化合物30を2.97g(収率59%)得た。FAB−MS測定によって測定された化合物30の分子量は、1008であった。また、H−NMR(CDCl)測定で測定された化合物30のδ値は、[8.45(2H)、7.95−7.85(4H)、7.77(2H)、7.58−7.36(16H)、7.27−7.21(8H)、7.10−6.98(6H)、6.49(2H)、2.36(2H)]であった。
【0150】
(4)化合物31の合成
一実施例による化合物31は、例えば、下記反応式4によって合成される。
[反応式4]
【化47】
【0151】
<中間体化合物Hの合成>
アルゴン雰囲気下、300mL三口フラスコに、N−フェニル−3−ジベンゾチオフェンアミン8.26g(30mmol)と1−ブロモ−2,3−ジクロロベンゼン6.78g(30mmol)、Pd(dba) 0.27g(0.30mmol)、キサントホス0.69g(1.2mmol)、NaOBu3.17g(33mmol)を加え、150mLトルエン溶媒の中で、100℃で2時間攪拌した。空冷後、水を加えて有機層を分取し、溶媒留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製した後、白色固体の中間体化合物Hを11.35g(収率90%)得た。FAB−MS測定によって測定された中間体化合物Hの分子量は420であった。
【0152】
<中間体化合物Iの合成>
アルゴン雰囲気下、300mLの三口フラスコに、中間体化合物H11.34g(27mmol)と2,4,6−トリメチルアニリン4.2mL(30mmol)、(Amphos)PdCl 0.38g(0.54mmol)、NaOBu2.88g(30mmol)を加え、50mLキシレン溶媒の中で、120℃で8時間攪拌した。空冷後、水を加えて有機層を分取し、溶媒留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製した後、白色固体の中間体化合物Iを11.35g(収率81%)得た。FAB−MS測定によって測定された中間体化合物Iの分子量は519であった。
【0153】
<中間体化合物Jの合成>
アルゴン雰囲気下、300mL三口フラスコに、中間体化合物I11.0g(21mmol)と1−ブロモ−3−クロロベンゼン2.6mL(22mmol)、Pd(dba) 0.19g(0.21mmol)、PBu3 0.17g(0.84mmol)、NaOBu2.12g(22mmol)を加え、85mLトルエン溶媒の中で、100℃で3時間攪拌した。空冷後、水を加えて有機層を分取し、溶媒留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製した後、白色固体の中間体化合物Jを10.31g(収率78%)得た。FAB−MS測定によって測定された中間体化合物Jの分子量は629であった。
【0154】
<中間体化合物Kの合成>
アルゴン雰囲気下、300mLの三口フラスコに、中間体化合物J10.08g(16mmol)の脱水t−ブチルベンゼン溶液80mLを加え、−78℃で攪拌した。ここに、1.9Mのt−BuLiのペンタン溶液17mL(32mmol)を滴下した。滴下終了後、60℃まで昇温して2時間攪拌した後、t−ブチルベンゼンより低沸点の成分を減圧留去した。−30℃まで冷却し、BBr 3.0mL(32mmol)を滴下した。滴下終了後、室温まで昇温して2時間攪拌した。次に、更に0℃まで冷却し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン5.6mL(32mmol)を滴下した。滴下終了後、室温まで昇温して1時間攪拌した後、120℃まで昇温して8時間加熱攪拌した。反応液を室温まで冷却し、氷浴で冷却したNaOAc水溶液、トルエンを加えて分液した。次に、シリカゲルショートカラムクロマトグラフィで精製した後、トルエン/ヘキサン溶媒による再結晶を行って、黄色固体の中間体化合物Kを3.76g(収率39%)得た。FAB−MS測定によって測定された中間体化合物Jの分子量は602であった。
【0155】
<化合物31の合成>
アルゴン雰囲気下、200mLの三口フラスコに中間体化合物K3.74(6.2mmol)と10,10−ジフェニル−3,6−ジメチル−5,10−ジヒドロジベンゾ[b,e][1,4]アザシリン2.57g(6.8mmol)、Pd(dba) 0.060g(0.06mmol)、Ruphos0.12g(0.13mmol)、KPO 3.95g(18.6mmol)を加え、70mLトルエン溶媒の中で、110℃で8時間攪拌した。空冷後、水を加えて有機層を分取し、溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製した後、黄色固体の化合物31を3.34g(収率57%)得た。FAB−MS測定で測定された化合物31の分子量は944であった。また、H−NMR(CDCl)測定で測定された化合物31のδ値は、[8.45(1H)、7.93(1H)、7.87(1H)、7.77(1H)、7.67(1H)、7.58−7.36(14H)、7.29−7.21(7H)、7.10−6.98(3H)、6.86−6.81(4H)、6.77(2H)、2.36(2H)、2.26(3H)、2.12(6H)]であった。
【0156】
(5)化合物12の合成
一実施例による化合物12は、例えば、下記反応式5によって合成される。
[反応式5]
【化48】
【0157】
アルゴン雰囲気下、100mLの三口フラスコに中間体化合物B1.36(3.0mmol)と10,10−ジフェニル−5,10−ジヒドロジベンゾ[b,e][1,4]アザシリン1.18g(3.0mmol)、Pd(dba) 0.14g(0.15mmol)、Ruphos0.28g(0.6mmol)、KPO 1.91g(9.0mmol)を加え、15mLトルエン溶媒の中で、80℃で24時間攪拌した。空冷後、水を加えて有機層を分取し、溶媒留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製した後、黄色固体の化合物12を1.57g(収率75%)得た。FAB−MS測定によって測定された化合物12の分子量は699であった。また、H−NMR(CDCl)測定で測定された化合物12のδは、[7.71(2H)、7.44−7.37(4H)、7.31−7.16(10H)、7.10−6.98(10H)、6.49(2H)、1.45(2H)、0.97(12H)]であった。
【0158】
(6)化合物65の合成
一実施例による化合物65は、例えば、下記反応式6によって合成される。
[反応式6]
【化49】
【0159】
アルゴン雰囲気下、100mLの三口フラスコに中間体化合物B1.36(3.0mmol)と10,10−ジフェニル−5,10−ジヒドロジイソプロピル[b,e][1,4]アザゲルミン1.18g(3.0mmol)、Pd(dba) 0.14g(0.15mmol)、Ruphos0.28g(0.6mmol)、KPO 1.91g(9.0mmol)を加え、15mLトルエン溶媒の中で、80℃で24時間攪拌した。空冷後、水を加えて有機層を分取し、溶媒留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製した後、黄色固体の化合物65を1.25g(収率51%)得た。FAB−MS測定によって測定された化合物65の分子量は812であった。また、H−NMR(CDCl)測定で測定された化合物65のδは、[7.71(2H)、7.38−7.16(24H)、7.10−6.98(10H)、6.49(2H)]であった。
【0160】
(7)化合物67の合成
一実施例による化合物67は、例えば、下記反応式7によって合成される。
[反応式7]
【化50】
【0161】
アルゴン雰囲気下、100mLの三口フラスコに3−ブロモ−5,10−ジヒドロ−5−フェニル−10−[2,4,6−トリス(1−メチルエチル)フェニル]フェンアザボリン2.68g(5.0mmol)と10,10−ジフェニル−5,10−ジヒドロジベンゾ[b,e][1,4]アザシリン1.75g(5.0mmol)、Pd(dba) 0.046g(0.05mmol)、PBu3 0.040g(0.20mmol)、NaOBu0.48g(5.0mmol)を加え、25mLトルエン溶媒の中で、100℃で2時間攪拌した。空冷後、水を加えて有機層を分取し、溶媒留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製した後、黄色固体の化合物67を3.10g(収率77%)得た。FAB−MS測定によって測定された化合物67の分子量は804であった。また、H−NMR(CDCl)測定で測定された化合物67のδは、[7.73−7.65(2H)、7.48−7.36(14H)、7.31−7.16(8H)、7.10−6.98(6H)、6.86−6.81(2H)、2.90−2.85(3H)、1.22−1.16(18H)]であった。
【0162】
2.有機電界発光素子の製作及び評価
2−1.有機電界発光素子の実施例A
一実施例の化合物を発光層に含む一実施例の有機電界発光素子を下記方法で製造した。上述した化合物1、9、30、31、12、及び65の化合物を発光層のドーパント材料として使用し、実施例1〜実施例6の有機電界発光素子を製作した。比較例1及び比較例2は、比較例化合物C1及びC2を発光層ドーパント材料としてそれぞれ使用して制作された有機電界発光素子である。
【0163】
実施例1〜実施例6、及び比較例1〜比較例2で使用した化合物を表1に示した。
【表1】
【0164】
(有機電界発光素子Aの製作)
ガラス基板の上に厚さ150nmのITOをパターニングした後、超純水で洗浄し、超音波で洗浄した後、30分間UVを照射してから、オゾン処理を行った。次に、10nmの厚さでHAT−CNを蒸着し、α−NPDを厚さ80nmで蒸着し、mCPを5nmの厚さで蒸着して、正孔輸送領域を形成した。
【0165】
次に、発光層を形成する際、一実施例の化合物または比較例化合物とmCBPを1:99の割合で共蒸着し、厚さ20nmの層を形成した。つまり、共蒸着して形成された発光層は、実施例1〜実施例6では、それぞれ化合物1、9、30、31、12、及び65をmCBPと混合して蒸着し、比較例1〜比較例2では、比較例化合物C1及び比較例化合物C2をmCBPと混合して蒸着した。
【0166】
次に、発光層の上にBmPyPhBを利用して厚さ10nmの層を形成し、TPBiで厚さ30nmの層を形成し、Liqで厚さ5nmの層を形成して、電子輸送領域を形成した。次に、アルミニウム(Al)で厚さ100nmの第2電極を形成した。
【0167】
実施例において、正孔輸送領域、発光層、電子輸送領域、及び第2電極は、真空蒸着装置を利用して形成した。
【0168】
(有機電界発光素子Aの特性評価)
表2は、実施例1〜実施例6、及び比較例1〜比較例2に対する有機電界発光素子の評価結果を示している。表2において、製作された有機電界発光素子における発光効率及び半減寿命を比較して示した。表2に示した実施例及び比較例に対する特性評価の結果において、素子効率は電流密度5mA/cmに対する電流効率値を示し、半減寿命は初期輝度100cd/mからの輝度の半減時間を示す半減寿命を示す。
【表2】
【0169】
表2の結果を参照すると、実施例1〜実施例6の有機電界発光素子は、比較例1〜比較例2の有機電界発光素子に比べ、高効率、長寿命特性を示すことが分かる。
【0170】
比較例化合物C1は、実施例に使用された化合物に比べアザシリン基の置換基を含んでおらず、実施例1〜実施例6と比較例1を比べると、発光層材料として使用された化合物においてアザシリンなどの多環ヘテロ基を置換基として含めば、発光効率及び寿命特性が改善されることが分かる。
【0171】
また、比較例化合物C2は、実施例に使用された化合物と同じくアザシリン基の置換基を含んでいるが、Siに置換された置換基がメチル基であり、実施例1〜実施例6に使用された化合物においてSiに置換された置換基がフェニル基またはイソプロピル基であることと差がある。ジフェニルシリレン基がジメチルシリレン基に比べ安定しているため、実施例1〜実施例6は比較例2に比べ長寿命化していると考えられる。
【0172】
実施例のように、発光層に使用された化合物で多環ヘテロ基に置換された置換基に重原子が含まれれば、三重項と一重項との間の逆項間交差(Reverse Inter System Crossing:RISC)現象が起こりやすいため発光効率が改善され、また、重原子を有する置換基の影響で寿命特性も改善されることが分かる。
【0173】
2−2.有機電界発光素子の実施例B
一実施例の化合物を発光層に含む一実施例の有機電界発光素子を下記方法で製造した。上述した化合物67の化合物を発光層のドーパント材料として使用し、実施例7の有機電界発光素子を製作した。比較例3及び比較例6は、比較例化合物C3〜C6を発光層ドーパント材料としてそれぞれ使用して制作された有機電界発光素子である。
【0174】
実施例7、及び比較例3〜比較例6で使用した化合物を表3に示した。
【表3】
【0175】
(有機電界発光素子Bの製作)
ガラス基板の上に厚さ150nmのITOをパターニングした後、超純水で洗浄し、超音波で洗浄した後、30分間UVを照射してから、オゾン処理を行った。次に、10nmの厚さでHAT−CNを蒸着し、α−NPDを厚さ80nmで蒸着し、mCPを50Åの厚さで蒸着して、正孔輸送領域を形成した。
【0176】
次に、発光層を形成する際、一実施例の化合物または比較例化合物とDPEPOを20:80の割合で共蒸着し、厚さ20nmの層を形成した。つまり、共蒸着して形成された発光層は、実施例7に化合物67をDPEPOと混合して蒸着し、比較例3〜比較例6では、比較例化合物C3〜比較例化合物C6をDPEPOと混合して蒸着した。
【0177】
次に、発光層の上にDPEPOを利用して厚さ10nmの層を形成し、TPBiで厚さ30nmの層を形成し、Liqで厚さ5nmの層を形成して、電子輸送領域を形成した。次に、アルミニウム(Al)で厚さ100nmの第2電極を形成した。
【0178】
実施例において、正孔輸送領域、発光層、電子輸送領域、及び第2電極は、真空蒸着装置を利用して形成した。
【0179】
(有機電界発光素子Bの特性評価)
表4は、実施例7、及び比較例3〜比較例6に対する有機電界発光素子の評価結果を示している。表4において、製作された有機電界発光素子における発光効率及び半減寿命を比較して示した。表4に示した実施例及び比較例に対する特性評価の結果において、素子効率は電流密度5mA/cmに対する電流効率値を示し、半減寿命は初期輝度100cd/mからの輝度の半減時間を示す半減寿命を示す。
【表4】
【0180】
表4の結果を参照すると、実施例7の有機電界発光素子は、比較例3〜比較例6の有機電界発光素子に比べ、高効率、長寿命特性を示すことが分かる。
【0181】
比較例化合物C3は、実施例に使用された化合物67に比べ多環ヘテロ基化合物としてアザシリン基の代わりにアクリダン基を含んでおり、比較例3に比べ実施例7で改善された発光効率及び寿命特性を示すことが分かる。
【0182】
また、比較例化合物C4〜比較例化合物C6は、実施例に使用された化合物のようにアザシリン基の置換基を含むが、コア部に当たるアザボリン部位で窒素原子の代わりにO、Si、Bなどが使用されていることに差がある。実施例7と比較例4〜比較例6の結果を参照すると、電子受容部に当たるコア部にアザボリン部位を含めば、ヘテロ原子としてNの代わりにO、Si、Bなどが使用されている場合に比べ、寿命特性が改善されていることが分かる。
【0183】
一実施例の化合物は、アザボリン部位を含むコア部、及び分子量が大きいアザシリン基、またはアザゲルミン基を置換基として含み、逆項間交差が容易に発生するようにすることで、優れた発光効率及び改善された寿命特性を示す。一実施例の有機電界発光素子は、一実施例の化合物を発光層に含むことで、発光波長領域で狭い半値幅を有するようにして優秀な色特性を示し、高い発光効率及び長寿命特性を示す。
【0184】
これまで本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、該当技術分野における熟練した当業者または当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、後述する特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び技術領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更し得ることを理解できるはずである。
【0185】
よって、本発明の技術的範囲は明細書の詳細な説明に記載されている内容に限らず、特許請求の範囲によって決められるべきである。
【符号の説明】
【0186】
10:有機電界発光素子 EL1:第1電極
EL2:第2電極 HTR:正孔輸送領域
EML:発光層 ETR:電子輸送領域
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】