(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2021003399
(43)【公開日】20210114
(54)【発明の名称】おしぼり又はウェットティシューの保存剤
(51)【国際特許分類】
   A47K 7/00 20060101AFI20201211BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20201211BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20201211BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20201211BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20201211BHJP
【FI】
   !A47K7/00 G
   !A61K8/37
   !A61K8/41
   !A61Q1/14
   !A47K7/00 101
   !A61K8/39
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】2019119206
(22)【出願日】20190627
(71)【出願人】
【識別番号】000208260
【氏名又は名称】大和化学工業株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市東淀川区上新庄3丁目1番11号
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(74)【代理人】
【識別番号】100214363
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】堀 俊宣
【住所又は居所】東京都江戸川区中央4丁目17番19号 大和化学工業株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】村松 高広
【住所又は居所】東京都江戸川区中央4丁目17番19号 大和化学工業株式会社内 大和化学工業株式会社内
【テーマコード(参考)】
2D134
4C083
【Fターム(参考)】
2D134AD00
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC691
4C083AC692
4C083AD042
4C083AD262
4C083BB48
4C083CC24
4C083DD12
4C083EE01
(57)【要約】
【課題】輸出向けのおしぼり・ウェットティシューを製造するにあたり、皮膚に対する安全性を確保するため、各国の化粧品基準に準拠し、かつ化粧品に配合可能な成分であって、保存効果のある物質のみで保存剤を構成する。
【解決手段】本発明は、グリセリン脂肪酸エステルと第4級アンモニウム塩を含む保存剤及び原反に保存剤を含浸させてなるおしぼり又はウェットティシューを提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)グリセリン脂肪酸エステル及び(B)第4級アンモニウム塩を含有することを特徴とするおしぼり又はウェットティシューの保存剤。
【請求項2】
前記(A)グリセリン脂肪酸エステルが、オレイン酸グリセリル、カプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ジメチロールプロピオン酸ヘキシル、ステアリン酸グリセリル、ヤシ脂肪酸グリセリル、ラウリン酸グリセリル、ラウリン酸ポリグリセリル、ラノリン酸グリセリル、リノール酸グリセリル、リノレン酸グリセリルから選ばれる1種以上のグリセリン脂肪酸エステルであることを特徴とする請求項1に記載のおしぼり又はウェットティシューの保存剤。
【請求項3】
前記(B)第4級アンモニウム塩が、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウムから選ばれる1種以上の第四級アンモニウム塩であることを特徴とする請求項1又は2に記載のおしぼり又はウェットティシューの保存剤。
【請求項4】
個別に包装されているか又は容器に収納されている、おしぼり又はウェットティシューであって、前記請求項1〜3のいずれかに記載の保存剤が含侵されていることを特徴とするおしぼり又はウェットティシュー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おしぼりやウェットティシューの保存剤の成分を化粧品に用いられる物質のみで構成した保存剤に関するものである。詳しくは、前記保存剤の成分としてグリセリン脂肪酸エステルを採用するとともに、さらに、他の成分として、特定の第4級アンモニウム塩を併用した保存剤に関するものである。また、それらの保存剤が含浸され、個別に包装されているか又は容器に収納されている、おしぼり又はウェットティシューに関するものである。
【背景技術】
【0002】
おしぼりやウェットティシューの分野では、化粧品基準に従って保存剤の組成を構成することが一般的に行われている。これは、おしぼりやウェットティシューが手指の拭き取りを目的としているため、人体に直接触れることから、安全性を考慮してのことである。
【0003】
しかしながら、海外へ紙おしぼりやお手ふきを輸出しようとした場合、当該輸出先の国の化粧品における基準が、日本とは制限物質や配合制限の値が異なる場合があり、各国の基準に対応しようとした場合には使用可能な成分が限られ、現在使用している成分の中だけでは十分な防腐効果を発揮できないケースが生じてきている現状がある。
【0004】
例えば、現在使用されている保存剤の中では、特許文献1および特許文献2で提案されているブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル等を含む保存剤が十分な効果を有しているが、前述の各国の基準との関係で、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルを含有しない保存剤についても要望が多くなってきているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−119433号公報
【特許文献2】特開2008−302165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前述の現状に鑑み、各国の化粧品基準に準拠し、かつブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルを含有せず、さらに化粧品に配合可能な成分であって、保存効果を有する物質を選択することにより、これらの課題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記の課題を解決する為、安全性を考慮し、化粧品に配合できる成分の中から、長期間にわたり細菌類・真菌類・酵母類の増殖を抑制する保存剤の配合組成を見出し、本発明を完成するに至った。
本発明が解決しようとする課題は、下記の手段により解決することができる。
(1)(A)グリセリン脂肪酸エステル及び(B)第4級アンモニウム塩を含有することを特徴とするおしぼり又はウェットティシューの保存剤、
(2)前記グリセリン脂肪酸エステルが、オレイン酸グリセリル、カプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ジメチロールプロピオン酸ヘキシル、ステアリン酸グリセリル、ヤシ脂肪酸グリセリル、ラウリン酸グリセリル、ラウリン酸ポリグリセリル、ラノリン酸グリセリル、リノール酸グリセリル、リノレン酸グリセリルから選ばれる1種以上のグリセリン脂肪酸エステルであることを特徴とする(1)に記載のおしぼり又はウェットティシューの保存剤、
(3)前記第4級アンモニウム塩が、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウムから選ばれる1種以上の第四級アンモニウム塩であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のおしぼり又はウェットティシュー保存剤、
(4)個別に包装されているか又は容器に収納されている、おしぼり又はウェットティシューであって、(1)〜(3)のいずれかに記載の保存剤が含侵されていることを特徴とするおしぼり又はウェットティシュー。
【発明の効果】
【0008】
本発明のおしぼり又はウェットティシューの保存剤は、化粧品に添加可能な薬剤のうち、一成分では十分な効果が得られないもの、また、配合制限がありその範囲内では十分な効果が得られないものであっても、それらの成分を複数組み合わせて配合することにより相乗効果を発揮し、十分な保存効果を得ることができるものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明で使用するグリセリン脂肪酸エステルは、化粧品への配合用途としては、一般に乳化剤やエモリエント剤として用いられるものであるが、その一部は、抗菌物質としても知られているものでもある。
【0010】
本発明で使用するグリセリン脂肪酸エステルは、具体的には、オレイン酸グリセリル、カプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ジメチロールプロピオン酸ヘキシル、ステアリン酸グリセリル、ヤシ脂肪酸グリセリル、ラウリン酸グリセリル、ラウリン酸ポリグリセリル、ラノリン酸グリセリル、リノール酸グリセリル、リノレン酸グリセリルから選ばれる1種以上のグリセリン脂肪酸エステルを含有することが好ましく、該グリセリン脂肪酸エステルは保存剤中に0.001〜1.0重量%を含有することが好ましい。
【0011】
さらに、本発明で使用する第四級アンモニウム塩は、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウムから選ばれる1種以上の第四級アンモニウム塩を含有することが好ましく、該第四級アンモニウム塩の配合量は保存剤中に0.01〜5.0重量%を含有することが好ましい。さらに好ましくは、0.01〜各成分の化粧品基準における配合上限までを含有することが好ましい。
【0012】
おしぼり又はウェットティシューの材料としては、紙、不織布等のおしぼりやウェットティシューに通常使用されているものを採用することができる。おしぼり又はウェットティシューに保存剤を含浸させる方法は、含浸対象の紙、不織布等( 以下、原反とも称する。)の重量に対し、150〜300%の薬液をスプレー塗布または浸漬等の方法で原反に含浸することができる。ただし、含浸する原反によって適切な含浸量は異なる。
【実施例】
【0013】
以下、実施例により詳細説明する。しかし、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0014】
[実施例及び比較例]
本発明に使用するグリセリン脂肪酸エステルおよび第四級アンモニウム塩の配合例を表1に記載する。
【0015】
原反(ここではパルプを使用)に表1に記した成分を含む保存剤を、原反重量に対し200%ムラなく含浸により処理した。比較として、例1,2に配合成分としてグリセリン脂肪酸エステルのみを含む保存剤を含浸したもの、例9に保存効果のある成分を含まない処理液を含浸したものを作成した。
【0016】
【表1】
【0017】
成分
A;カプリル酸グリセリル、エチルヘキシルグリセリン混合物
B;カプリン酸グリセリル、ラウリン酸ポリグリセリル混合物
C;塩化ベンザルコニウム
D;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム
E;塩化ベンゼトニウム
F;PEG200
G;精製水
【0018】
(試験1:抗菌・防カビ試験)
試験方法
抗菌試験:JIS L−1902繊維製品の抗菌性試験に準じた。
供試細菌
A:Escherichia coli NBRC 3301(大腸菌)
B:Staphylococcus aureus NBRC 12732(黄色ブドウ球菌)
防カビ試験:JIS Z−2911カビ抵抗性試験 繊維試験指定繊維カビ
A:Aspergillus niger FERM S-1
B:Penicillium citrinum FERM S-5
Chaetomium globosum FERM S-11
Myrothecium verrucaria FERM S-13 以上3種の混合
【0019】
判定方法
抗菌試験 細菌・・・効果有り (−)
効果なし (+)
防カビ試験・・・JIS Z−2911 カビ抵抗性試験 表示方法による
0・・・試料上にカビの発育なし
右側の数値は発育阻止mm数
1・・・試料上のカビの発育面積が全体の1/3以下
2・・・試料上のカビの発育面積が全体の1/3以上
【0020】
抗菌防カビ試験の結果を表2に示す。
【0021】
【表2】
【0022】
また、上記試験例で使用したカプリル酸グリセリル、ラウリン酸ポリグリセリル以外のグリセリン脂肪酸エステル及び塩化ベンザルコニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンゼトニウム以外の第4級アンモニウム塩を用いた場合も、上記試験例と同等の抗菌・防カビ効果を有していた。
【産業上の利用可能性】
【0023】
以上のごとく、グリセリン脂肪酸エステル及び第四級アンモニウム塩を配合した保存剤は優れた抗菌・防カビ効果を有しており、おしぼり又はウェットティシューの保存剤とし
て優れた性能を有するものである。