(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2021003675
(43)【公開日】20210114
(54)【発明の名称】イオン交換装置、水処理装置及び水処理方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/42 20060101AFI20201211BHJP
   B01J 39/05 20170101ALI20201211BHJP
   B01J 39/07 20170101ALI20201211BHJP
   B01J 47/02 20170101ALI20201211BHJP
   B01J 49/53 20170101ALI20201211BHJP
【FI】
   !C02F1/42 A
   !C02F1/42 B
   !B01J39/05
   !B01J39/07
   !B01J47/02
   !B01J49/53
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】2019118855
(22)【出願日】20190626
(71)【出願人】
【識別番号】000245531
【氏名又は名称】野村マイクロ・サイエンス株式会社
【住所又は居所】神奈川県厚木市岡田二丁目9番8号
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】特許業務法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永田 しおり
【住所又は居所】神奈川県厚木市岡田2丁目9番8号 野村マイクロ・サイエンス株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】野口 幸男
【住所又は居所】神奈川県厚木市岡田2丁目9番8号 野村マイクロ・サイエンス株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】松井 恭則
【住所又は居所】神奈川県厚木市岡田2丁目9番8号 野村マイクロ・サイエンス株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】中村 清一
【住所又は居所】神奈川県厚木市岡田2丁目9番8号 野村マイクロ・サイエンス株式会社内
【テーマコード(参考)】
4D025
【Fターム(参考)】
4D025AA02
4D025AB19
4D025BA09
4D025BA10
4D025BB03
4D025BB07
4D025CA01
4D025DA01
4D025DA05
4D025DA06
(57)【要約】
【課題】低コストで、イオン交換装置の再生・交換のタイミングを検知可能で、かつ、硬度成分のリーク前に再生・交換の判断を行うことができるイオン交換装置、それを用いた水処理装置及び水処理方法を提供する。
【解決手段】Na型の弱酸性カチオン交換樹脂を含むカチオン交換樹脂12を収容するイオン交換容器11と、カチオン交換樹脂12のイオン交換前後の体積変動が所定の割合以上となったことを確認できる体積確認手段13と、を有するイオン交換装置10、このイオン交換装置10を用いた水処理装置及び水処理方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Na型の弱酸性カチオン交換樹脂を含むカチオン交換樹脂を収容するイオン交換容器と、
前記カチオン交換樹脂のイオン交換前後の体積変動が所定の割合以上となったことを確認できる体積確認手段と、
を有することを特徴とするイオン交換装置。
【請求項2】
前記体積確認手段が、前記イオン交換容器の側面に設けられ、前記カチオン交換樹脂の高さを確認できる除き窓である請求項1に記載のイオン交換装置。
【請求項3】
前記体積確認手段が、前記カチオン交換樹脂の高さを検知するレベルセンサである請求項1に記載のイオン交換装置。
【請求項4】
前記所定の割合が、前記Na型の弱酸性カチオン交換樹脂のイオン交換前の体積に対するイオン交換後の体積の変動割合が15〜35%である請求項1〜3のいずれか1項に記載のイオン交換装置。
【請求項5】
前記カチオン交換樹脂が、前記Na型の弱酸性カチオン交換樹脂の他、Na型の強酸性カチオン交換樹脂を収容する複床式である請求項1〜4のいずれか1項に記載のイオン交換装置。
【請求項6】
前記Na型の弱酸性カチオン交換樹脂が、前記Na型の強酸性カチオン交換樹脂の上に積層されてなる請求項5に記載のイオン交換装置。
【請求項7】
前記Na型の強酸性カチオン交換樹脂が、前記Na型の弱酸性カチオン交換樹脂の上に積層されてなる請求項5に記載のイオン交換装置。
【請求項8】
前記Na型の弱酸性カチオン交換樹脂の層高HWCと前記Na型の強酸性カチオン交換樹脂の層高HSCとの比が、次の式(1)
WC/(HWC+HSC)≧0.5 …(1)
を満たす請求項1〜7のいずれか1項に記載のイオン交換装置。
【請求項9】
前記Na型の強酸性カチオン交換樹脂の層高が100mm以上である請求項5〜8のいずれか1項に記載のイオン交換装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のイオン交換装置を有することを特徴とする水処理装置。
【請求項11】
被処理水を、請求項1〜9のいずれか1項に記載のイオン交換装置に通水してイオン交換処理を行うイオン交換工程と、
前記イオン交換工程により前記イオン交換装置に収容された前記カチオン交換樹脂のイオン交換前後の体積変動を確認する体積確認工程と、
前記体積確認工程において、前記カチオン交換樹脂の体積変動が前記所定の割合以上となった際に、前記イオン交換装置を再生又は交換する再生・交換工程と、
を有することを特徴とする水処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理水中の硬度成分の除去に用いられるイオン交換装置、このイオン交換装置を用いた水処理装置及び水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水処理においては、各種イオン成分の除去のため、樹脂塔(容器)内にイオン交換樹脂を収容したイオン交換装置が広く利用されている。このイオン交換装置に供給される被処理水は、樹脂塔内のイオン交換樹脂と接触することで、被処理水に含まれる対象のイオン成分がイオン交換樹脂に吸着、除去され、純度が高められる。
【0003】
この種のイオン交換装置による水処理は、長期間継続させると、イオン交換樹脂におけるイオン成分の吸着性能が徐々に低下する。そのため、イオン成分の吸着性能が低下したイオン交換装置は、収容されるイオン交換樹脂の再生又はイオン交換装置自体を交換する。このようにして、イオン交換装置を、十分なイオン成分の吸着性能(交換能力)を有するものとした後、水処理を継続する。
【0004】
例えば、水処理においてカルシウムイオン(Ca2+)やマグネシウムイオン(Mg2+)等の硬度成分を除去するイオン交換装置は、硬度成分がスケールの原因となることから、通常、水処理の前段で使用される。このような硬度成分を除去するためのイオン交換装置としては、例えば、効果的に脱イオンするために、逆浸透膜装置、Na型のカチオン交換樹脂を用いたイオン交換装置、電気式脱イオン装置の順に水処理を行う装置(例えば、特許文献1参照。)やpH調整を行いながら水処理を行う装置(例えば、特許文献2参照。)等が知られている。
【0005】
そして、このようなイオン交換装置においては、その再生や交換時期を判断する方法として、一般に、その処理水に含まれる硬度成分の有無を測定する方法が用いられている。このような測定方法は、より具体的には、所定の時間間隔でイオン交換装置の処理水をサンプリングして硬度成分を確認する方法と、イオン交換装置の処理水に対する硬度成分モニターを導入して硬度成分を常時確認する方法(例えば、特許文献3参照。)と、がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−42498号公報
【特許文献2】特表2000−511109号公報
【特許文献3】特開2001−056323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、硬度成分に関し、上記サンプリングする方法では、サンプリングのタイミングによって水質が大きく変動するおそれがある。すなわち、硬度成分がリークしてからサンプリングするまでの時間が短ければ、それほど大きな問題とはならないが、逆に、サンプリングした後にすぐ硬度成分がリークした場合、次のサンプリングまでの比較的長い時間、硬度成分がリークしたまま水処理が継続されてしまうこととなる。
【0008】
また、硬度成分モニターを用いる方法では、硬度成分の存在がリーク初期に検出できるため、上記サンプリングする方法の欠点は解消され好ましいものである。ところが、この方法では、専用の装置を用意する必要があるため導入コストが嵩んでしまう課題がある。
【0009】
さらに、上記したいずれの方法でも、硬度成分がイオン交換装置からリークして初めて再生・交換時期を判断するため、リーク初期の処理水の水質が悪化することは避けられない。
【0010】
そこで、本発明は、イオン交換装置を用いた水処理において、低コストで、イオン交換装置の再生・交換のタイミングを、簡便に検知でき、かつ、硬度成分のリーク前に再生・交換の判断を行うことができるイオン交換装置、それを用いた水処理装置及び水処理方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のイオン交換装置は、Na型の弱酸性カチオン交換樹脂を含むカチオン交換樹脂を収容するイオン交換容器と、前記カチオン交換樹脂のイオン交換前後の体積変動が所定の割合以上となったことを確認できる体積確認手段と、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の水処理装置は、本発明のイオン交換装置を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の水処理方法は、被処理水を、本発明のイオン交換装置に通水してイオン交換処理を行うイオン交換工程と、前記イオン交換工程により前記イオン交換装置に収容された前記カチオン交換樹脂の体積の変動を確認する体積確認工程と、前記体積確認工程において、前記カチオン交換樹脂のイオン交換前後の体積変動が所定の割合以上となった際に、前記イオン交換装置を再生又は交換する再生・交換工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のイオン交換装置によれば、低コストで、イオン交換装置の再生・交換のタイミングを検知可能で、かつ、硬度成分のリーク前に再生・交換の判断を行うことができる。
そのため、本発明の水処理装置及び水処理方法は、本発明のイオン交換装置において硬度成分をリークさせずに運転でき、後段に配置される装置に対する余計な負荷を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るイオン交換装置の概略構成を示した図である。
【図2】カチオン交換樹脂のイオン型と体積との関係を示した相関図である。
【図3】図1に示したイオン交換装置の変形例を示した図である。
【図4】図1に示したイオン交換装置の他の変形例を示した図である。
【図5】本発明の他の実施形態におけるイオン交換装置の構成を概略的に示した図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る水処理装置の構成を概略的に示した図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る水処理装置の構成を概略的に示した図である。
【図8】実施例1における、水処理時間に対するカチオン交換樹脂の高さの変化を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
[イオン交換装置]
図1は、本発明の一実施形態に係るイオン交換装置の構成を概略的に示した図である。 この図1に示したイオン交換装置10は、イオン交換容器11と、カチオン交換樹脂12と、体積確認手段13と、を有して構成されている。以下、これらの各構成について詳細に説明する。
【0018】
ここで用いられるイオン交換容器11は、カチオン交換樹脂を収容するイオン交換容器であり、被処理水を導入する導入口と、イオン交換処理を行った処理水を排出する排出口を有する容器である。このイオン交換容器11は、公知のイオン交換容器を、特に制限されずに用いることができる。
【0019】
このイオン交換容器11は、内部にカチオン交換樹脂を安定して収容することができるものであればよく、例えば、樹脂塔と呼ばれる円筒状の縦型の容器が典型的な容器として挙げられる。
【0020】
ここで用いられるカチオン交換樹脂12は、Na型の弱酸性カチオン交換樹脂(Na型WC)を必須成分として含むものである。このNa型の弱酸性カチオン交換樹脂としては、公知の弱酸性カチオン交換樹脂のイオン交換基をNa型としたものであればよく、例えば、高分子基体にCOONa基を結合したものが挙げられる。また、Na型の強酸性カチオン交換樹脂(Na型SC)を併用することもできる。Na型の強酸性カチオン交換樹脂としては、公知の強酸性カチオン交換樹脂のイオン交換基をNa型にしたものであればよく、例えば、高分子基体にSONa基を結合したものが挙げられる。
【0021】
このNa型の弱酸性カチオン交換樹脂を含むカチオン交換樹脂12により、被処理水中に含まれるCa2+やMg2+等の硬度成分とカチオン交換樹脂12のNaとがイオン交換され、被処理水から硬度成分が除去される。そのため、このカチオン交換樹脂12から不純成分が除去され、水質が向上した処理水を得ることができる。
【0022】
なお、ここでNa型の弱酸性カチオン交換樹脂を必須とするのは、このカチオン交換樹脂が硬度成分を除去することで、その末端のNaはCa2+又はMg2+に交換され、このとき弱酸性カチオン交換樹脂の樹脂体積が大きく減少することを見出したことに基づくものである。
【0023】
一般に、カチオン交換樹脂は、H型とNa型で体積が大きく変化することはよく知られている。例えば、弱酸性カチオン交換樹脂の場合は、H型のカチオン交換樹脂をイオン交換によりNa型としたとき、体積が大きく増大する。この体積の変動により、イオン交換装置内の圧力等も変動するため、イオン交換装置の設計にあたってこの体積の変動を考慮することは重要であり、これまでも検討されている。しかしながら、Na型のカチオン交換樹脂を用い、これを硬度成分とイオン交換(軟化)したとき、どのような体積変動が起こるかはこれまで十分に検討されていなかった。
【0024】
そこで、本発明者らは、カチオン交換樹脂の末端のNaが硬度成分とイオン交換したときの樹脂の体積の変動を調べたところ、図2に示すような挙動となることを確かめた。すなわち、強酸性カチオン交換樹脂においては、NaがCa2+やMg2+となったとき、わずかに体積が減少する(−2〜−3%程度)のに対し、弱酸性カチオン交換樹脂においては、NaがCa2+やMg2+となったとき、大きく体積が減少する(−20〜−40%程度)ことがわかった。
【0025】
なお、この図2は、H型の弱酸性カチオン交換樹脂及びH型の強酸性カチオン交換樹脂について、それぞれイオン交換容器に250mL収容し、最初に5% NaOHをSV=3[1/hr]で1L通水し、イオン交換により完全にNa型とした後、次いで、水道水をSV=60[1/hr]で約1週間通水し、イオン交換により完全にCa、Mg型としたときの、それぞれのイオン型における体積(樹脂高さ)を、H型を基準としてその変化率を確認することにより得たものである。
【0026】
そこで、本発明者らは、この弱酸性カチオン交換樹脂の体積変動に着目して、これを利用することによって硬度成分の除去に用いられるカチオン交換樹脂の再生・交換の時期を、簡便かつ確実に知ることができるイオン交換装置を見出した。
【0027】
このイオン交換装置10は、Na型の弱酸性カチオン交換樹脂を含むカチオン交換樹脂12が充填され、被処理水中より、硬度成分であるCa2+やMg2+等のイオンを除去するように用いられるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、再生型又は非再生型の単床式イオン交換装置とすることができる。また、上記したように、Na型の弱酸性カチオン交換樹脂に加え、Na型の強酸性カチオン交換樹脂を併用した再生型又は非再生型の複床式イオン交換装置とすることもできる。複床式のイオン交換装置については、さらに後で説明する。
【0028】
体積確認手段13は、カチオン交換樹脂12の体積変動が所定の割合以上となったことを確認できるものであればよく、特に限定されるものではない。この体積確認手段13としては、カチオン交換樹脂12を収容するイオン交換容器が、通常、円筒状の容器を縦型に載置するものであり、その内部に収容されるカチオン交換樹脂は、この容器内に所定の高さを有して充填されたものとなる。そのため、その体積の変動と高さの変動が相関したものとなり、カチオン交換樹脂の高さを検知できるものでもよい。
【0029】
この体積確認手段13としては、例えば、イオン交換容器11内に設けられ、内部に充填されたカチオン交換樹脂12の樹脂高さを検出することができるセンサを用いることができる。このセンサにより、樹脂高さが所定の割合以上に低下したときに、イオン交換装置12が再生・交換の時期であることを外部に知らせるようにする。
【0030】
ここで用いるセンサとしては、上記のように体積の変動を検知できるものであれば特に限定されずに用いることができ、樹脂高さの変動を検知できるものでもよい。このようなセンサとしては、例えば、センサと樹脂の上部表面との距離を測定する距離センサ、樹脂内に一部が埋没され、樹脂外に完全に露出したときに振動状態が変化することで樹脂高さの変動を検知する棒状の振動式センサ、イオン交換容器上部に接続されたフロート部材をカチオン交換樹脂上に載置し、該フロート部材とイオン交換容器上部との距離が所定の距離以上となったときに樹脂層高の変動を検知するフロート式センサ、等が挙げられる。
【0031】
なお、図1では、カチオン交換樹脂12として全てがNa型の弱酸性カチオン交換樹脂である場合を例示しているが、このとき樹脂高さの変動は、イオン交換前の樹脂高さを100としたとき、完全に硬度成分に交換されたときの樹脂高さは約80〜60(変動割合が約20〜40%)となる。イオン交換装置の再生・交換は、この樹脂高さの変動が、任意の割合以上となったときに行えばよく、例えば、硬度成分のリーク前に確実に行うには、完全に硬度成分に交換される前で、例えば、樹脂高さが85〜65(変動割合が15〜35%)となったとき外部に知らせることが好ましく、83〜70(低減割合が17〜30%)がより好ましい。
【0032】
(変形例)
なお、カチオン交換樹脂としては、上記したようにNa型の弱酸性カチオン交換樹脂に加えて、Na型の強酸性カチオン交換樹脂を併用することもできる。この併用する形態においては、樹脂高さの変動はNa型の弱酸性カチオン交換樹脂に概ね依存するため、イオン交換前のNa型の弱酸性カチオン交換樹脂の体積(VWC)とNa型の強酸性カチオン交換樹脂の体積(VSC)に基づく割合(体積比)が、次の式 VWC/(VWC+VSC)≧0.5 を満たすようにすることが好ましい。
【0033】
この体積の関係は、塔形状のイオン交換容器においては上記のようにそのまま高さの関係となるため、この割合を樹脂高さとして同じ関係式を満たすものとみなすことができる。すなわち、カチオン交換樹脂12において、Na型の弱酸性カチオン交換樹脂の層高HWCとNa型の強酸性カチオン交換樹脂の層高HSCとの比が、次の式(1)を満たすことが好ましい。
WC/(HWC+HSC)≧0.5 …(1)
【0034】
この式(1)を満たすことで、イオン交換前のNa型の弱酸性カチオン交換樹脂の高さを十分に確保でき、イオン交換による高さの変動の確認が容易となり、効果的なタイミングでの体積変動の検知が可能となる。
【0035】
なお、この併用タイプにおいては、イオン交換によるNa型の強酸性カチオン交換樹脂の体積変動は考慮せず、Na型の弱酸性カチオン交換樹脂の体積変動のみ考慮して、樹脂高さの評価を行えばよい。例えば、HWC/(HWC+HSC)=0.5の場合には、イオン交換前の樹脂高さを100としたとき、Na型の弱酸性カチオン交換樹脂の層高は50となる。したがって、Na型の弱酸性カチオン交換樹脂が完全に硬度成分とイオン交換した後の層高は約40〜30(変動割合が20〜40%)となる一方、Na型の強酸性カチオン交換樹脂の層高はイオン交換後も変わらないものとし、完全にイオン交換した後の全体の樹脂高さは90〜80(変動割合が10〜20%)となる。イオン交換装置の再生・交換は、この樹脂高さが、変動により設定した任意の高さになったときに行えばよく、例えば、硬度成分のリーク前に確実に行うには、完全にイオン交換が行われる前、例えば、樹脂高さが92.5〜82.5(変動割合が7.5〜17.5%)となったとき外部に再生・交換時期であることを知らせることが好ましく、91.5〜85(変動割合が8.5〜15%)がより好ましい。
【0036】
以上より、体積確認手段13におけるカチオン交換樹脂の高さの判定は、イオン交換前のNa型の弱酸性カチオン交換樹脂の体積に応じて設定すればよい。なお、Na型の強酸性カチオン交換樹脂を用いる場合には、その層高が100mm以上となるように構成することが好ましい。
【0037】
このようにNa型の弱酸性カチオン交換樹脂とNa型の強酸性カチオン交換樹脂とを併用する場合、図3に示したように、Na型の強酸性カチオン交換樹脂12bが、Na型の弱酸性カチオン交換樹脂12aの上に積層されてなる複床型のイオン交換装置10Aとしてもよいし、図4に示したように、Na型の弱酸性カチオン交換樹脂12aが、Na型の強酸性カチオン交換樹脂12bの上に積層されてなる複床型のイオン交換装置10Bとしてもよい。
【0038】
図3のイオン交換装置10Aとした場合は、被処理水が最初に接触するのがNa型の強酸性カチオン交換樹脂12bであり、初期の水処理においてはNa型の強酸性カチオン交換樹脂12bにより硬度成分が十分に除去される。次いで、Na型の強酸性カチオン交換樹脂12bのほぼ全てがイオン交換されるとNa型の弱酸性カチオン交換樹脂12aにより硬度成分が除去される。Na型の弱酸性カチオン交換樹脂12aでの硬度成分除去が進行していくと、Na型の弱酸性カチオン交換樹脂12aの体積が減少していき樹脂高さが徐々に低くなる。そして、Na型の弱酸性カチオン交換樹脂12aとNa型の強酸性カチオン交換樹脂12bとを合わせた全てのカチオン交換樹脂の樹脂高さが所定の高さ以下となったとき、体積確認手段13によりイオン交換装置の再生又は交換の時期であることを外部に知らせるようにする。
【0039】
図4のイオン交換装置10Bとした場合は、被処理水が最初に接触するのがNa型の弱酸性カチオン交換樹脂12aであり、初期の水処理においてはNa型の弱酸性カチオン交換樹脂12aにより硬度成分が除去される。Na型の弱酸性カチオン交換樹脂12aでの硬度成分除去が進行していくと、Na型の弱酸性カチオン交換樹脂12aの体積が低下していき樹脂高さが徐々に低下する。なお、Na型の弱酸性カチオン交換樹脂12aは全てがイオン交換される前でも硬度成分がリークする場合があるが、図4のように、Na型の強酸性カチオン交換樹脂12bが下層にあるため、処理水中に硬度成分がリークするおそれはない。そして、Na型の弱酸性カチオン交換樹脂12aとNa型の強酸性カチオン交換樹脂12bとを合わせた全てのカチオン交換樹脂の樹脂高さが所定の高さ以下となったとき、体積確認手段13によりイオン交換装置の再生又は交換の時期であることを外部に知らせるようにする。
【0040】
また、図4の構成とした場合、Na型の弱酸性カチオン交換樹脂の全てをイオン交換したことを確認してからイオン交換装置の再生又は交換を行ってもよい。すなわち、Na型の弱酸性カチオン交換樹脂の体積変動が20〜40%のときを体積確認手段13により指標として用いてもよい。
【0041】
(他の変形例)
また、上記説明においては、体積確認手段13として、高さセンサについて具体的に例示して説明しているが、図5に示したように、イオン交換容器11の側面に設けた樹脂高さの確認できる覗き窓13aとしてもよい。
【0042】
この除き窓13aは、上記した樹脂高さの変動が所定の割合以上となったか否かを確認できる位置に設けられていればよい。そのため、所定の割合の位置付近のみが確認できるような小さな幅(高さ)としてもよいし、所定の割合の位置を含め、イオン交換前の樹脂高さも確認できるような大きな幅(高さ)としてもよい。また、この覗き窓13aは、1つでもよいし、異なる位置に複数設置してもよい。さらに、このとき、所定の割合の位置を示す水平線が覗き窓13aに設けられていることが変動割合の確認が容易で好ましい。
【0043】
除き窓13aが設けられていることで、その外部から樹脂高さの変動が確認でき、カチオン交換樹脂12の再生・交換時期を判断することができる。この判断は、操作者が目視で行ってもよいし、樹脂高さを確認するセンサをイオン交換装置10の外部に設けてもよい。
【0044】
[水処理装置]
本実施形態に係る水処理装置は、本実施形態のイオン交換装置を有することを特徴とする。この水処理装置は、特に限定されるものではなく、硬度成分除去のためにイオン交換装置を用いている従来の水処理装置に対して、従来用いていたイオン交換装置の代わりに本発明のイオン交換装置を用いたものとして構成すればよい。
【0045】
より具体的には、例えば、次のような構成の水処理装置が例示できる。ただし、これらに限定されないことは言うまでもない。
【0046】
(第1の水処理装置)
図6に示したように、被処理水を、逆浸透膜装置(RO)51、イオン交換装置(IE)10、電気式脱イオン装置(EDI)52の順に処理する水処理装置50が例示できる。この水処理装置50は、従来公知の、逆浸透膜装置、イオン交換装置、電気式脱イオン装置の順に被処理水を処理する水処理装置と同等の構成を有しているもので、イオン交換装置として本発明のイオン交換装置10を用いている点に特徴を有している。
【0047】
このような構成の水処理装置50は、脱イオン水の生成に、電気式脱イオン装置52を用いているが、この電気式脱イオン装置52は、導入する被処理水中に、硬度成分であるCa2+やMg2+等のイオンが存在すると、イオン交換膜において硬度成分の析出によるスケールが発生してしまい、場合によっては、処理水の水質の悪化を招くこともある。そのため、電気式脱イオン装置52の処理水の水質を安定させるために、その前段にイオン交換装置10を設けている。
【0048】
この水処理装置50によれば、電気式脱イオン装置52の前段に弱酸性カチオン交換樹脂を充填したイオン交換装置10を配置することにより、逆浸透膜装置51において除去できなかった硬度成分であるCa2+やMg2+等の微量なイオンがほぼ除去された被処理水が電気式脱イオン装置に導入されるので、電気式脱イオン装置に装備されたイオン交換膜におけるスケールの発生をほぼ確実に防止することが可能となる。
【0049】
この水処理装置においては、電気式脱イオン装置52に導入する被処理水から硬度成分であるCa2+やMg2+等のイオンを予めほぼ除去するために弱酸性カチオン交換樹脂10を適用している。弱酸性カチオン樹脂は、Ca2+やMg2+等の硬度成分に対して選択性が大きく、一般的に強酸性カチオン交換樹脂より交換容量が大きいことから、強酸性カチオン交換樹脂を使用する場合の再生頻度の高さに起因する水処理装置のランニングコストの上昇を抑制でき、また、電気式脱イオン装置に導入する被処理水に対し、硬度成分であるCa2+やMg2+等のイオンのリーク量を0.05ppm以下に到達させることができる。さらに、弱酸性カチオン交換樹脂は、化学当量的に僅かに過剰の再生レベルにより容易に再生することが可能であることから、再生コストを安価にすることができるという利点をも有している。
【0050】
イオン交換装置10の後段に配置された電気式脱イオン装置52としては、アニオン交換膜およびカチオン交換膜で形成される間隙にアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とを充填して脱塩室とし、該脱塩室内に被処理水を通過させ、アニオン交換膜およびカチオン交換膜を介して、被処理水の流れに対し垂直となる方向に直流電流を作用させて、アニオン交換膜およびカチオン交換膜の外側に流れている濃縮水中に、被処理水に含まれているイオンを電気的に排除しながら脱イオン水を生成する構成をとるものであれば、いずれの装置を適用してもよい。
【0051】
さらに、本例においては、イオン交換装置10の前段に、さらに逆浸透膜装置51を配置している。逆浸透膜装置51は、被処理水より、硬度成分であるCa2+やMg2+等のイオン状物質、溶存有機物、微粒子および生菌等の大部分を除去することが可能であることから、後段に配置したイオン交換装置10及び電気式脱イオン装置52への負荷を低減でき、該イオン交換装置10及び電気式脱イオン装置52に対し、その機能を十分に発揮させることができる。
【0052】
逆浸透膜装置51に使用される逆浸透膜としては、例えば、酢酸セルロース、脂肪族ポリアミド系或いは芳香族ポリアミド系又はこれらの複合系からなる各種有機高分子膜或いはセラミック膜等が使用でき、低圧又は中圧逆浸透膜のいずれも適用することができるが、透過流速の向上に伴う低圧操作が可能なことから、低圧逆浸透膜を適用することが好ましい。また、膜モジュールの形式としては、中空糸型モジュール、管状型モジュール、スパイラル型モジュール、平膜型モジュール等が適用でき、単位容積あたりの膜面積が大きくとれるスパイラル型モジュールが好ましい。
【0053】
なお、逆浸透膜装置51における被処理水の濃縮度は、被処理水中に含まれる、例えばシリカ、炭酸カルシウム等の難溶性物質が濃縮により析出しないように、被処理水中に含まれる難溶性物質の濃度、被処理水の温度及びpH等から難溶性物質の飽和溶解度に基づいて適宜決定できる。なお、本発明においては、逆浸透膜装置51とイオン交換装置10、及びイオン交換装置10と電気式脱イオン装置52との間に、必要に応じて他の機器を配置するようにしてもよい。また、本例は、市水、工業用水および河川水等を原水とした脱塩工程に適用できるのはもちろん、各種の酸や塩を含有する工業排水と前記原水との合併脱塩工程にも適用できる。
【0054】
(第2の水処理装置)
図7に示したように、被処理水を、イオン交換装置10、脱炭酸装置61、逆浸透膜装置62で順に処理する水処理装置60が例示できる。この水処理装置60は、従来公知の、イオン交換装置、脱炭酸装置、逆浸透膜装置の順に被処理水を処理する水処理装置と同等の構成を有するもので、イオン交換装置として本発明のイオン交換装置10を用いている点に特徴を有している。この処理水について、さらに他のイオン交換樹脂を組み合わせることで、純水の製造を、長期間のサイクルにわたって確実に連続的に可能とする水処理装置とできる。
【0055】
ここで、イオン交換装置10は、上記した通りの構成を有するもので、イオン交換容器11内に収容されたNa型の弱酸性カチオン交換樹脂を含むカチオン交換樹脂12が収容されており、ここで主として被処理水中の硬度成分が除去される。
【0056】
次いで、硬度成分が除去された被処理水は、脱炭酸装置61に供給され、被処理水中に溶解する炭酸成分が除去される。脱炭酸装置61は、本分野で公知の脱炭酸装置を用いることができる。
【0057】
そして、逆浸透膜装置62は、イオン交換装置10及び脱炭酸装置61で処理された被処理水中に残存する不純物や塩類を除去する。この逆浸透膜装置62は、上記と同様に公知の逆浸透膜を特に制限されずに使用できる。本例においては、その前段で、Ca2+やMg2+等のイオン状物質や炭酸成分が除去されているため、この逆浸透膜装置62にかかる負荷を低減しつつ、被処理水中に残存するイオン状物質、溶存有機物、微粒子および生菌等の大部分を効果的に除去することができる。
【0058】
さらに負荷を低減するために、逆浸透膜装置62の前段において、活性炭装置、アニオン交換樹脂を収容したイオン交換装置等を設けてもよい。さらに、逆浸透膜装置62の後段において、単床式や混床式のイオン交換装置、紫外線酸化装置、脱気装置等を設けて、さらに純度の高い処理水(純水)を得ることもできる。
【0059】
なお、この水処理装置60においては、逆浸透膜装置62の前段に配置されたイオン交換装置10で硬度成分を十分に除去でき、また、硬度成分のリーク前にそのイオン交換装置10の再生、交換時期がわかるため、逆浸透膜装置62に硬度成分がリークするのを確実に防止できる。そのため、特表2000−511109に記載されているように、被処理水のpHを10以上、さらにはpHを11以上にして逆浸透膜処理を行うこともできる。なお、この場合、逆浸透膜装置として耐アルカリ性の材料で膜を構成する必要がある。
【0060】
このようにして得られた処理水を、さらに、熱交換器、紫外線酸化装置(TOC−UV)、過酸化水素除去装置、脱気膜装置、ポリッシャ(非再生型混床式イオン交換樹脂装置)、限外ろ過膜装置等を有する二次純水システムにより処理すれば、超純水を製造できる。
【0061】
[水処理方法]
本実施形態の水処理方法は、被処理水を、本発明のイオン交換装置に通水してイオン交換処理を行うイオン交換工程と、該イオン交換工程によりイオン交換装置に収容されたカチオン交換樹脂のイオン交換前後の体積変動を確認する体積確認工程と、該体積確認工程において、カチオン交換樹脂の体積変動が所定の割合以上となった際に、イオン交換装置を再生又は交換する再生・交換工程と、を有することを特徴とする。
【0062】
以下、本実施形態の水処理方法について、図1に示したイオン交換装置10を用いる場合を例に説明する。
【0063】
まず、被処理水をイオン交換装置10に供給して、イオン交換装置10に収容されたカチオン交換樹脂12に接触させてイオン交換処理を行う(イオン交換工程)。このイオン交換工程は、イオン交換装置10に被処理水を通水させ、イオン交換された処理水を取得すればよい。
【0064】
次いで、イオン交換処理を継続することで、イオン交換処理前のカチオン交換樹脂12の体積に対するその体積の変動を確認する(体積確認工程)。上記説明したように、Na型の弱酸性カチオン交換樹脂12aは、Ca2+やMg2+の硬度成分とイオン交換することで、その体積は大きく低減するため、この体積の変動を確認すれば、イオン交換処理における交換割合を判別することができる。
【0065】
この体積変動については、予め所定の割合以上となったか否かを判断するための閾値を設定しておき、この閾値を下回ったときに、イオン交換処理を一旦停止し、次に説明する再生・交換工程を行うようにする。この閾値としては、上記説明したように、イオン交換前のNa型の弱酸性カチオン交換樹脂の体積変動を考慮し、硬度成分のリーク直前となる任意の割合を所定の割合として設定できる。
【0066】
そして、イオン交換処理を一旦停止した後、イオン交換装置10の再生・交換を行う(再生・交換工程)。イオン交換装置10の再生は、通常、再生式のイオン交換装置において行うもので、公知の再生方法により行えばよい。すなわち、この工程においては、弱酸性カチオン交換樹脂が、Ca又はMg型にイオン交換されているため、これをNa型に戻す操作を行う。
【0067】
Na型に戻すには、イオン交換容器11内に塩化ナトリウム等のナトリウム塩、水酸化ナトリウム等を供給して、カチオン交換樹脂12と接触させればよい。また、Na型に戻すには、イオン交換容器11内に塩酸、硫酸等の強酸を供給して、カチオン交換樹脂12と接触させてH型とした後、次いで、塩化ナトリウム等のナトリウム塩、水酸化ナトリウム等を供給してNa型としてもよい。再生効率や使用する薬液の量が少なくて済むことから、一旦H型とした後、Na型とする方法が好ましい。
【0068】
なお、再生にあたっては、再生薬液をイオン交換装置10の被処理水の流れと同一方向に流す並流、再生薬液をイオン交換装置10の被処理水の流れと反対方向に流す向流、のいずれかで行うことができるが、再生効率が高いことから向流が好ましい。
【0069】
また、イオン交換装置10の交換は、通常、非再生式のイオン交換装置において行うもので、イオン交換装置10ごと、Na型の弱酸性カチオン交換樹脂を含むカチオン交換樹脂12を収容する新品のイオン交換装置10と入れ替えればよい。
【0070】
このように再生・交換工程を行った後、再度イオン交換処理により水処理を継続して行うことができる。なお、再生・交換工程後においては、初期の水質が所望の処理水が得られるまで立ち上げ操作を行うことが好ましい。
【0071】
以上、本発明を実施の形態により具体的に説明したが、本発明は、この実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよいし、上記実施形態に開示した複数の構成要素を適宜組み合わせることも可能である。
【実施例】
【0072】
以下、本発明について実施例を参照しながら説明する。
(実施例1)
まず、Na型の弱酸性カチオン交換樹脂とNa型の強酸性カチオン交換樹脂を次のように調製した。
【0073】
直径25mmの円筒形上のカラムに250mLの弱酸性イオン交換樹脂(三菱化学製、商品名:WK60L)または強酸性カチオン交換樹脂(三菱化学製、商品名:SKT10L)をそれぞれ充填し、NaOH 5%溶液をSV=3[1/hr]で1L通水し、各々のカチオン交換樹脂をNa型とした。
【0074】
別に用意した直径25mmの円筒形状のカラムに、得られたNa型の弱酸性カチオン交換樹脂200mLを下層に、Na型の強酸性カチオン交換樹脂200mLを上層に充填し、イオン交換装置を得た。なお、ここで用いたカラムは、その側面が透明で各層の層高が確認できるようになっている。
【0075】
このイオン交換装置に、硬度成分(Ca2+、Mg2+)を含有する水道水をSV=60[1/hr]で通水させながら、各層の層高の変動を測定した。この測定した結果を図8に示す。図8は、通水開始からの通水時間に対するカチオン交換樹脂の各層の層高及び全体の樹脂高さの変動並びに処理水中への硬度成分のリークの有無との関係を示したものである。
【0076】
なお、カチオン交換樹脂の各層の層高及び全体の樹脂高さは、カラムの側面において測定し、硬度成分のリークの有無は、処理水をサンプリングして硬度指示薬(三浦工業(株)製、商品名:IB 023HL)を添加することで確認した。
【0077】
以上の結果から、次のようなことがわかる。
まず、通水初期においては、主として上層であるNa型の強酸性カチオン交換樹脂が硬度成分とイオン交換することにより、硬度成分の除去された処理水が得られている。これは、弱酸性カチオン交換樹脂の層高があまり変化せず、全体の樹脂高さもその変動は非常に小さいことから理解できる。
【0078】
次に、通水時間が27時間程度経過すると、強酸性カチオン交換樹脂におけるイオン交換がほぼ完了し、主として下層であるNa型の弱酸性カチオン交換樹脂が硬度成分とイオン交換をすることにより、硬度成分の除去された処理水が得られている。これは、弱酸性カチオン交換樹脂の層高が通水時間の経過と共に、体積が減少することによりその層高も減少していることから理解できる。このとき、全体の樹脂高さは、その層高の減少に応じて同様の傾向で減少している。
【0079】
そして、通水時間が46時間を経過した後、処理水中に硬度成分がリークした。通水前の層高の38cmに対して、リーク直前の弱酸性カチオン交換樹脂の層高は約31cmであり、その変動割合は約18.4%であり、全体の樹脂高さでは、通水前の樹脂高さ76cmに対して、リーク直前の樹脂高さは69cmであり、その変動割合は約9.2%であった。
【0080】
したがって、Na型の弱酸性カチオン交換樹脂が硬度成分とイオン交換することにより、その体積変動を確認することで、硬度成分のリーク前に再生・交換の時期を知ることができる。
【符号の説明】
【0081】
10…イオン交換装置、11…イオン交換容器、12…カチオン交換樹脂12a…Na型の弱酸性カチオン交換樹脂、12b…Na型の強酸性カチオン交換樹脂、13…体積確認手段、50…水処理装置、51…逆浸透膜装置、52…電気式脱イオン装置、60…水処理装置、61…脱炭酸装置、62…逆浸透膜装置
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】