(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2021003682
(43)【公開日】20210114
(54)【発明の名称】廃石膏ボードの処理方法及び処理装置
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/00 20060101AFI20201211BHJP
   C01F 11/46 20060101ALI20201211BHJP
   C04B 11/036 20060101ALI20201211BHJP
   F27B 7/36 20060101ALI20201211BHJP
   F27B 7/08 20060101ALI20201211BHJP
   F27B 7/30 20060101ALI20201211BHJP
【FI】
   !B09B3/00 303A
   !C01F11/46 D
   !C04B11/036
   !F27B7/36
   !F27B7/08
   !F27B7/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】2019119581
(22)【出願日】20190627
(71)【出願人】
【識別番号】000000240
【氏名又は名称】太平洋セメント株式会社
【住所又は居所】東京都文京区小石川一丁目1番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100106563
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】岡村 聰一郎
【住所又は居所】東京都港区台場二丁目3番5号 太平洋セメント株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】大桐 哲雄
【住所又は居所】東京都港区台場二丁目3番5号 太平洋セメント株式会社内
【テーマコード(参考)】
4D004
4G076
4K061
【Fターム(参考)】
4D004AA16
4D004AA31
4D004AB10
4D004BA02
4D004CA04
4D004CA15
4D004CA28
4D004CA30
4D004CB09
4D004CB13
4D004CB34
4D004DA03
4D004DA06
4G076AA14
4G076AB26
4G076BA38
4G076BD02
4G076BH01
4G076DA30
4K061AA08
4K061BA12
4K061CA02
4K061CA16
4K061CA29
4K061DA01
4K061DA03
4K061DA05
4K061DA10
4K061EA06
4K061FA02
4K061FA06
(57)【要約】
【課題】破砕・選別工程での居着きトラブルを解消させ、焼成炉の排ガス処理に過剰な負担を掛けずに廃石膏ボードから無水石膏を生成する。
【解決手段】内部に破砕用ボール3を充填した外熱式ロータリキルン2であって、投入された廃石膏ボードWを乾燥させながら破砕し、廃石膏ボードに含まれる有機分を燃焼除去した後、焼成して無水石膏Aを生成する外熱式ロータリキルンを備える廃石膏ボードの処理装置1。外熱式ロータリキルンの内部に、外熱式ロータリキルンの横断面の中央部に外熱式ロータリキルンの軸線方向に延在する供給管4であって、常温空気もしくは常温酸素、又は過熱空気もしくは過熱酸素NAを外熱式ロータリキルン内を移動する廃石膏ボードに向けて吹き込むことにより、廃石膏ボードに付着する有機分の燃焼除去を促進させる供給管を設けることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に破砕用ボールを充填した外熱式ロータリキルンに廃石膏ボードを投入し、該外熱式ロータリキルンの内部で前記廃石膏ボードを乾燥させながら破砕し、前記廃石膏ボードに含まれる有機分を燃焼除去した後、焼成して無水石膏を生成することを特徴とする廃石膏ボードの処理方法。
【請求項2】
前記外熱式ロータリキルンの内部温度を400℃以上として前記廃石膏ボードに付着する有機分を燃焼除去することを特徴とする請求項1に記載の廃石膏ボードの処理方法。
【請求項3】
前記外熱式ロータリキルンの横断面の中央部に該外熱式ロータリキルンの軸線方向に延在する供給管を設置し、常温空気もしくは常温酸素、又は過熱空気もしくは過熱酸素を、該外熱式ロータリキルン内を移動する廃石膏ボードに向けて吹き込むことにより、該廃石膏ボードに付着する有機分の燃焼除去を促進させることを特徴とする請求項1又は2に記載の廃石膏ボードの処理方法。
【請求項4】
内部に破砕用ボールを充填した外熱式ロータリキルンであって、投入された廃石膏ボードを乾燥させながら破砕し、該廃石膏ボードに含まれる有機分を燃焼除去した後、焼成して無水石膏を生成する外熱式ロータリキルンを備えることを特徴とする廃石膏ボードの処理装置。
【請求項5】
前記外熱式ロータリキルンの横断面の中央部に該外熱式ロータリキルンの軸線方向に延在する供給管であって、常温空気もしくは常温酸素、又は過熱空気もしくは過熱酸素を、該外熱式ロータリキルン内を移動する廃石膏ボードに向けて吹き込むことにより、該廃石膏ボードに付着する有機分の燃焼除去を促進させる供給管を備えることを特徴とする請求項4に記載の廃石膏ボードの処理装置。
【請求項6】
前記外熱式ロータリキルンの内部における前記廃石膏ボードを投入する側の領域に前記破砕用ボールを滞留させる仕切板を備えることを特徴とする請求項4又は5に記載の廃石膏ボードの処理装置。
【請求項7】
前記外熱式ロータリキルン内で前記破砕用ボールを持ち上げて落下させるリフタを備えることを特徴とする請求項6に記載の廃石膏ボードの処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃石膏ボードの処理方法及び処理装置に関し、特に、リフォームや家屋解体で発生する解体系の廃石膏ボードから無水石膏を生成し、土壌固化材、用地改良材等として有効利用する方法及び処理に関する。
【背景技術】
【0002】
廃石膏ボードは、石膏ボードに付着する紙や接着剤等の有機成分が硫化水素の産生の原因となることから、平成18年以降は安定型処分場への受け入れが禁止されている。再資源化できない廃石膏ボードの行き先は管理型処分場だけであるが、管理型処分場は受入残余年数が少ない状況にある。加えて、石膏ボードの排出量は年々大幅な増加が見込まれており、再資源化促進が急務の課題となっている。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1には、セメント製造設備内から高温ガスを抽気し、そのまま又はさらに加熱したガスで廃石膏ボードを加熱処理してII型無水石膏を製造し、その際に発生する排ガスをセメント製造設備の内部温度300℃以上の箇所に導入して処理する技術が開示される。
【0004】
また、特許文献2には、バーナの燃焼フレームに向かって廃石膏を供給し、並流式ロータリーキルンで加熱することで、SOxの発生を抑制しながら、廃石膏を効率的に無水石膏に改質する技術が開示される。
【0005】
さらに、土壌固化材、用地改良材として再利用するにあたって、1次破砕した後に紙を風力選別機等で除去し、これを流動層炉等で200℃以下の条件のもとで焼成して半水石膏化したり、1000℃以下の温度で無水石膏化とし、土壌固化材、用地改良材の原料とする方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−225200号公報
【特許文献2】特開2017−149620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記従来の技術において、保管状況等に問題があるために性状が悪い廃石膏ボード等については、前処理の破砕・選別工程で粘着性を帯び、居着きトラブルの原因となる。
【0008】
また、半水石膏を生成する場合には、焼成温度が低いため、有機分の除去が不十分となり、最終製品の品質面で課題が残る。
【0009】
一方、無水石膏を生成する場合には、焼成に熱風を用いるのが一般的であるが、局部的に温度が高くなり、硫酸カルシウムから二酸化硫黄が発生する。そのため、焼成炉の排ガス処理に過剰な負担が掛かる。
【0010】
そこで、本発明は上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、破砕・選別工程での居着きトラブルを解消させ、焼成炉の排ガス処理に過剰な負担を掛けずに廃石膏ボードから無水石膏を生成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、廃石膏ボードの処理方法であって、内部に破砕用ボールを充填した外熱式ロータリキルンに廃石膏ボードを投入し、該外熱式ロータリキルンの内部で前記廃石膏ボードを乾燥させながら破砕し、前記廃石膏ボードに含まれる有機分を燃焼除去した後、焼成して無水石膏を生成することを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、解体した廃石膏ボードをそのまま外熱式ロータリキルンへ投入し、キルン内で乾燥、破砕、異物除去(有機分の燃焼除去)、焼成を行うため、キルンの前段で前処理のための設備が不要となり、設備コストを大幅に削減することができる。また、外熱式ロータリキルンを用いるため、キルン内部の温度を安定した状態で維持することができ、投入熱風吹込みや直火で加熱する場合に起こり得る局部過熱を回避することができる。これにより、硫酸カルシウムから二酸化硫黄が発生することを防止することができ、排ガス処理に過剰な負担を掛けることがない。さらに、内部に破砕用ボールを充填した外熱式ロータリキルンを用いることで、乾燥と破砕を同時に行うことができ、居着きトラブルを回避できる。
【0013】
前記廃石膏ボードの処理方法において、前記外熱式ロータリキルンの内部温度を400℃以上として前記廃石膏ボードに付着する有機分を燃焼除去することができる。
【0014】
また、前記外熱式ロータリキルンの横断面の中央部に該外熱式ロータリキルンの軸線方向に延在する供給管を設置し、常温空気もしくは常温酸素、又は過熱空気もしくは過熱酸素を、該外熱式ロータリキルン内を移動する廃石膏ボードに向けて吹き込むことにより、該廃石膏ボードに付着する有機分の燃焼除去を促進させることができる。
【0015】
さらに、本発明の廃石膏ボードの処理装置は、内部に破砕用ボールを充填した外熱式ロータリキルンであって、投入された廃石膏ボードを乾燥させながら破砕し、該廃石膏ボードに含まれる有機分を燃焼除去した後、焼成して無水石膏を生成する外熱式ロータリキルンを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、解体した廃石膏ボードをそのまま外熱式ロータリキルンへ投入し、キルン内で乾燥、破砕、異物除去(有機分の燃焼除去)、焼成を行う。そのため、キルンの前段で前処理のための設備が不要となり、設備コストを大幅に削減することができる。また、外熱式ロータリキルンを用いることで、キルン内部の温度を安定した状態で維持し、投入熱風吹込みや直火で加熱する場合に起こり得る局部過熱を回避することができる。これにより、硫酸カルシウムから二酸化硫黄が発生することを防止することができる。さらに、内部に破砕用ボールを充填した外熱式ロータリキルンを用いることで、乾燥と破砕を同時に行うことができ、居着きトラブルを回避できる。
【0017】
前記外熱式ロータリキルンの横断面の中央部に該外熱式ロータリキルンの軸線方向に延在する供給管であって、常温空気もしくは常温酸素、又は過熱空気もしくは過熱酸素を、該外熱式ロータリキルン内を移動する廃石膏ボードに向けて吹き込むことにより、該廃石膏ボードに付着する有機分の燃焼除去を促進させる供給管を備えることができる。
【0018】
また、前記外熱式ロータリキルンの内部における前記廃石膏ボードを投入する側の領域に前記破砕用ボールを滞留させる仕切板を設けたり、外熱式ロータリキルン内で前記破砕用ボールを持ち上げて落下させるリフタを備えることで、破砕用ボールによる廃石膏ボードの破砕及び乾燥を効果的に行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、破砕・選別工程での居着きトラブルを解消させ、焼成炉の排ガス処理に過剰な負担を掛けずに廃石膏ボードから無水石膏を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る廃石膏ボードの処理装置の一実施の形態を示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1は、本発明に係る廃石膏ボードの処理装置の一実施の形態を示し、この処理装置1は、内部に破砕用ボール3を充填した外熱式ロータリキルン2を備える。
【0023】
外熱式ロータリキルン2は、回転型のキルンであって、左端部に廃石膏ボードの供給部2a、右端部に廃石膏ボードの排出部2bを備える。外熱式ロータリキルン2の内部には、排出部2b側の開口の中央部に外熱式ロータリキルン2の軸線方向に、常温空気もしくは常温酸素、又は過熱空気もしくは過熱酸素(以下「常温空気等」という。)NAを供給するための供給管4が延在する。
【0024】
外熱式ロータリキルン2の軸線方向の中央部よりやや左端部側には、仕切板5が設けられ、この仕切板5の左側の領域に多数の破砕用ボール3が充填される。また、破砕用ボール3が充填される領域には、破砕用ボール3を持ち上げて落下させる板状の複数のリフタ(不図示)が外熱式ロータリキルン2の内面に立設される。
【0025】
外熱式ロータリキルン2の外周面はジャケット10で囲繞され、ジャケット10の左下には、熱ガスG1が供給される熱ガス入口部10aが設けられ、右上には、外熱式ロータリキルン2の加熱に用いられた熱ガスG2が排出される熱ガス出口部10bが設けられる。
【0026】
外熱式ロータリキルン2は、外周面に設けられたタイヤ7がローラ8に支持され、モータ9によって回転する。
【0027】
外熱式ロータリキルン2の供給部2a側には、リフォームや家屋解体で発生した廃石膏ボード(破材)が供給されるホッパ11とシュート12が配置される。外熱式ロータリキルン2の窯尻部2cには、生成した無水石膏Aを排出する排出部2dとガス排出部2eが設けられる。
【0028】
次に、上記構成を有する処理装置の動作について図1を参照しながら説明する。
【0029】
外熱式キルン2を囲繞するジャケット10に、熱ガス入口部10aより熱ガスG1を導入し、外熱式キルン2の内部を400℃以上1000℃以下に維持した状態で、ホッパ11内の廃石膏ボードWをシュート12を介して供給部2aより外熱式ロータリキルン2に供給する。
【0030】
外熱式ロータリキルン2に供給された廃石膏ボードWは、仕切板5の左の領域で加熱されながら、多数の破砕用ボール3によって破砕されると共に乾燥される。これにより、廃石膏ボードWに含まれる有機分が燃焼除去される。この際、蓄熱した破砕用ボール3が乾燥を促進させると共に、破砕用ボール3自体からの表面の居付きの剥離も促進し、乾燥効率を向上させる役割を果たす。また、破砕用ボール3には鉄球等の安価な材料を用いることができるが、熱容量の大きな蓄熱タイプを用いることで外熱式ロータリキルン2の運転が安定する。さらに、供給管4からの常温空気NA等が外熱式ロータリキルン2内を移動する廃石膏ボードWに向けて吹き込まれ、廃石膏ボードWに付着する有機分の燃焼除去を促進させる。
【0031】
外熱式ロータリキルン2内の仕切板5を通過した廃石膏ボードWは、外熱式ロータリキルン2内でさらに加熱されながら排出部2b側に移動し、無水石膏Aが生成される。生成された無水石膏Aは、排出部2dから排出される。また、外熱式ロータリキルン2内で生じたガスGは、ガス排出部2eから排出される。
【0032】
尚、上記実施の形態においては、ジャケット10に熱ガスG1を通して外熱式ロータリキルン2を加熱したが、ガスバーナを3カ所程度設置して加熱したり、外熱式ロータリキルン2を電気炉とすることもできる。ガスバーナを設置した場合には、図1の熱ガスG1のルートが不要であり、電気炉とした場合には、図1の熱ガスG1、G2のルートが不要となる。
【符号の説明】
【0033】
1 廃石膏ボードの処理装置
2 外熱式ロータリキルン
3 破砕用ボール
4 供給管
5 仕切板
7 タイヤ
8 ローラ
9 モータ
10 ジャケット
11 ホッパ
12 シュート
【図1】