前記第三の評価分類の評価値が所定の条件を満たした場合、前記作業補助装置評価部による評価結果に関わらず、前記重筋作業に対して前記作業補助装置が適合しないと評価する作業補助装置適否評価部を具備する、
請求項5に記載の作業補助装置の評価システム。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、本発明の一実施形態に係る作業補助装置の評価システム1について説明する。作業補助装置の評価システム1は、所定の重筋作業に対する作業補助装置10の適合の度合い(適合度)を評価するものである。
【0026】
以下では、まず、作業補助装置10について説明する。図1(a)に示す作業補助装置10は、重量物の運搬等、作業者の筋肉に比較的大きな負担が掛かる作業(重筋作業)を補助するものである。作業補助装置10は、作業者の身体に装着して使用され、重筋作業において、作業者の腰部に掛かる負担を軽減する。
【0027】
作業補助装置10は、少なくとも中腰姿勢(かがみ姿勢)での重筋作業を補助可能である。ここで、中腰姿勢とは、主として腰部のみを曲げた(膝部を大きく曲げない)姿勢である。中腰姿勢での重筋作業(中腰作業)としては、中腰姿勢から重量物を持ち上げる作業や、中腰姿勢を維持した状態での作業等が挙げられる。
【0028】
作業補助装置10は、作業者の腰部及び大腿部に装着される。作業補助装置10を装着することで、作業者が中腰姿勢から立ち上がる際の腰部及び大腿部の動作や、中腰姿勢を維持することの補助が可能となる。これにより、上記重筋作業において作業者の腰部や大腿部に掛かる負担を軽減することができる。
【0029】
作業補助装置10は、バッテリーと、上記バッテリーの電力により駆動されるモータと、を内蔵し、上記モータの駆動により作業者の動作を補助する。作業補助装置10は、比較的重量が大きい重量物を比較的長時間扱う作業であって、作業者の移動距離が比較的小さい重筋作業に適している。
【0030】
次に、作業補助装置の評価システム1について説明する。図1(b)に示す作業補助装置の評価システム1は、主として記憶部2、制御部3、表示部4及び入力部5を具備する。
【0031】
記憶部2は、各種のプログラムやデータ等が記憶されるものである。記憶部2は、HDD、RAM、ROM等により構成される。
【0032】
制御部3は、記憶部2に記憶されたプログラムを実行するものである。制御部3は、CPUにより構成される。
【0033】
表示部4は、各種の情報を表示するものである。表示部4は、液晶ディスプレイ等により構成される。
【0034】
入力部5は、各種の情報を入力するためのものである。入力部5は、キーボード、マウス等により構成される。
【0035】
このように、作業補助装置の評価システム1としては、一般的なパーソナルコンピュータ等を用いることができる。
【0036】
作業補助装置の評価システム1は、図2に示す作業補助装置評価処理を実行可能である。作業補助装置評価処理は、所定の重筋作業に対する作業補助装置10の適合度を評価するものである。
【0037】
作業補助装置評価処理は、図3に示す作業項目ごとに入力された所定の入力値に基づいて行われる。
【0038】
ここで、作業項目とは、重筋作業の態様を複数の項目に分類して示した項目であって、作業補助装置10の適合度の評価に用いられる項目である。作業項目には、「個人案件a」、「重量物持ち上げ時の姿勢b」、「持ち手(指)c」、「持ち手(位置)d」、「持ち上げ距離e」、「最大重量f」、「繰り返し回数g」、「作業時間h」、「往復移動距離i」、「中腰作業の有無j」、「中腰作業角度k」及び「中腰作業時間m」が含まれる。
【0039】
また、入力値とは、上記作業項目ごとに入力される値であって、重筋作業において実際に行われる作業に基づいた値である。入力値は、作業補助装置評価処理を実行する前に、入力部5を介して入力される。また、当該入力値は、記憶部2に記憶される。
【0040】
以下では、図3を参照して、上記作業項目及び、当該作業項目ごとに入力される入力値について具体的に説明する。図3に示す表においては、評価の対象となる重筋作業として、後述する重量物運搬作業、重量物積載作業及び重量物反転作業を例示し、これらの重筋作業に対して作業項目ごとに適宜入力値が入力されている。
【0041】
個人案件aは、重筋作業を行う作業者の性別又は年齢を示す項目である。個人案件aには、入力値として、「男性」、「女性」、「60歳以上」のうちのいずれかが入力される。本実施形態では、所定の重筋作業を行う作業者の中に少なくとも一人60歳以上の作業者がいれば、個人案件aに「60歳以上」を入力するものとしている。また、当該重筋作業を行う作業者の中に60歳以上の作業者がいない場合、当該作業者の中に少なくとも一人女性がいれば、個人案件aに「女性」を入力するものとしている。
【0042】
重量物持ち上げ時の姿勢bは、重筋作業において重量物を持ち上げる際の姿勢を示す項目である。重量物持ち上げ時の姿勢bには、入力値として、「座り姿勢」、「立位姿勢」、「背伸び姿勢」、「スクワット」及び「中腰姿勢」のうちのいずれかが入力される。ここで、「座り姿勢」とは、椅子等に座った姿勢である。また、「立位姿勢」とは、脚部により上半身を支えるように立った姿勢である。また、「背伸び姿勢」とは、直立した状態で腕部を上方に上げた姿勢である。また、「スクワット」とは、腰部及び膝部を曲げる姿勢である。
【0043】
持ち手(指)cは、重筋作業において重量物を持ち上げる際に、重量物にかかる指の範囲を示す項目である。持ち手(指)cには、入力値として、「第二関節まで」及び「その他」のうちのいずれかが入力される。ここで、「第二関節まで」とは、重量物に指の第一関節がかかる場合又は第一関節を超えて第二関節がかかる場合であって、第三関節には至らない状態を示す。また、「その他」は、重量物にかかる指の範囲が、第三関節に至る状態を示す。
【0044】
持ち手(位置)dは、重筋作業において、両手で重量物を持ち上げる際の持ち手の左右の位置(間隔)を示す項目である。持ち手(位置)dには、入力値として、「600mm以内」及び「600mm超」のうちのいずれかが入力される。なお、600mmは肩幅の目安となる値である。
【0045】
持ち上げ距離eは、重筋作業において重量物を持ち上げる際の鉛直方向の距離を示す項目である。持ち上げ距離eには、入力値として、上記鉛直方向の距離(mm)を示す数値が入力される。
【0046】
最大重量fは、重筋作業において、一人の作業者が扱う重量物の重量うち、最大の重量及び当該作業者の体重の合計を示す項目である。最大重量fには、入力値として、上記重量及び体重の合計(kg)を示す数値が入力される。
【0047】
繰り返し回数gは、重筋作業を繰り返す1日あたりの回数を示す項目である。繰り返し回数gには、入力値として、上記回数を示す数値が入力される。
【0048】
作業時間hは、重筋作業の1日あたりの作業時間を示したものである。作業時間hには、入力値として、上記時間(h)を示す数値が入力される。
【0049】
往復移動距離iは、重筋作業において重量物を運ぶ際の往復の移動距離を示す項目である。往復移動距離iには、入力値として、上記往復移動距離(m)を示す数値が入力される。
【0050】
中腰作業の有無jは、重筋作業において中腰姿勢での作業の有無を示す項目である。中腰作業の有無jには、入力値として、「有」及び「無」のうちのいずれかが入力される。
【0051】
中腰作業角度kは、重筋作業における中腰姿勢での腰部及び大腿部が成す角度を示す項目である。中腰作業角度kには、入力値として、「浅い」、「中間」、及び「深い」のうちのいずれかが入力される。本実施形態では、上記角度が0度超30度未満の場合に「浅い」を入力し、上記角度が30度以上60度未満の場合に「中間」を入力し、上記角度が60度以上90度未満の場合に「深い」を入力するものとする。なお、中腰作業の有無jに「無」が入力された場合には、中腰作業角度kには入力値は入力されない。
【0052】
中腰作業時間mは、重筋作業における中腰姿勢となる1日あたりの時間を示す項目である。中腰作業時間mには、入力値として、上記時間(h)を示す数値が入力される。なお、中腰作業の有無jに「無」が入力された場合には、中腰作業時間mには入力値は入力されない。
【0053】
以下では、作業補助装置評価処理の詳細について説明する。
【0054】
作業補助装置評価処理は、所定の作業者が装着した場合における作業補助装置10の重筋作業に対する適合度の評価が求められる場合に、操作者による入力部5を介した操作を契機として実行される。作業補助装置評価処理は、上記操作に先立って入力される、上記重筋作業に関する作業項目の入力値に基づいて行われる。なお、作業補助装置評価処理においては、上記作業項目のうち、所定の作業項目の入力値を必要に応じて用いるものとする。
【0055】
以下では、図2のフローチャートを用いて、作業補助装置評価処理において制御部3が行う処理について説明する。本実施形態に係る作業補助装置評価処理においては、評価値算出処理、個別評価処理及び最終評価処理が、上記した順番に行われる。
【0056】
まず、制御部3は、評価値算出処理(ステップS10)を実行する。評価値算出処理は、作業項目ごとに入力された入力値に基づいて、評価値を算出する処理である。ここで、評価値とは、重筋作業に対する作業補助装置10の適合度の評価に用いられる数値である。
【0057】
本実施形態では、重筋作業のそれぞれに設定された複数の評価分類ごとに評価値を算出する構成としている。ここで、評価分類とは、重筋作業の態様を、作業者に掛かる負担に応じて分類したものである。複数の評価分類には、「椎間板圧迫力A」、「平均腰部負荷B」、「最大負荷姿勢C」及び「高負荷時間D」が含まれる(図5参照)。なお、複数の評価分類の詳細な説明については後述する。
【0058】
また、評価値は、作業項目ごとに入力された入力値や、当該入力値に応じて設定された設定値に基づいて算出される。ここで、設定値とは、作業項目の入力値に対応するように、作業項目ごとに設定された値であって、評価値の算出に用いられる数値である。以下では、図4を参照して、上記設定値について説明する。
【0059】
個人案件aにおいては、「男性」、「女性」及び「60歳以上」に対応する設定値を、それぞれ1、1.5及び1.5としている。
【0060】
また、重量物持ち上げ時の姿勢bは、「座り姿勢」、「立位姿勢」、「背伸び姿勢」、「中腰姿勢」及び「スクワット」に対応する設定値を、それぞれ0、0、0、30及び10としている。
【0061】
また、最大重量fにおいては、入力値が80kg以上の場合に対応する設定値を30、80kg未満に対応する設定値を10としている。
【0062】
また、中腰作業角度kにおいては、「浅い」、「中間」、及び「深い」に対応する設定値を、それぞれ10、20及び30としている。
【0063】
また、中腰作業時間mにおいては、入力値が1時間以上の場合に対応する設定値を30、0.5時間以上1時間未満に対応する設定値を20、0.5時間未満に対応する設定値を0としている。
【0064】
評価値算出処理においては、上述した入力値や設定値を基に、各評価分類のそれぞれの評価値を算出する構成としている。上記評価値の算出方法は、各評価分類ごとに異なる。以下では、「椎間板圧迫力A」、「平均腰部負荷B」、「最大負荷姿勢C」及び「高負荷時間D」の順番で、上記評価値の算出方法を説明する。
【0065】
「椎間板圧迫力A」は、個人案件a、重量物持ち上げ時の姿勢b及び最大重量fの設定値に基づく評価分類である。「椎間板圧迫力A」は、重筋作業を行う場合の作業者の椎間板に掛かる負担の度合いを示す。
【0066】
「椎間板圧迫力A」の評価値は、以下の数式(1)によって算出される。
「椎間板圧迫力A」の評価値=(重量物持ち上げ時の姿勢bの設定値+最大重量fの設定値)×個人案件aの設定値・・・(1)
【0067】
「平均腰部負荷B」は、最大重量f、繰り返し回数g及び作業時間hの入力値に基づく評価分類である。「平均腰部負荷B」は、重筋作業を行う場合の作業者の腰部に掛かる負担の度合いを示す。
【0068】
「平均腰部負荷B」の評価値は、以下の数式(2)によって算出される。
「平均腰部負荷B」の評価値=最大重量fの入力値×繰り返し回数gの入力値/作業時間hの入力値・・・(2)
【0069】
「最大負荷姿勢C」は、中腰作業角度k及び中腰作業時間mの設定値に基づく評価分類である。「最大負荷姿勢C」は、重筋作業を行う場合の作業者の姿勢(中腰姿勢)に起因する負担の度合いを示す。
【0070】
「最大負荷姿勢C」の評価値は、以下の数式(3)によって算出される。
「最大負荷姿勢C」の評価値=中腰作業角度kの設定値+中腰作業時間mの設定値・・・(3)
【0071】
「高負荷時間D」は、作業時間hの入力値に基づく評価分類である。「高負荷時間D」は、重筋作業を行う場合の作業時間に起因する負担の度合いを示す。
【0072】
「高負荷時間D」の評価値は、作業時間hの入力値が用いられる。
【0073】
次に、制御部3は、個別評価処理(ステップS11)を実行する。個別評価処理は、上記評価値を基に、各評価分類ごとに、当該評価分類に対する作業補助装置10の個別評価を行う処理である。上記個別評価の方法は、各評価分類ごとに異なる。以下では、「椎間板圧迫力A」、「平均腰部負荷B」、「最大負荷姿勢C」及び「高負荷時間D」の順番で、個別評価の方法を説明する。
【0074】
個別評価処理においては、各評価分類ごとの適合度を、3段階で評価する。上記適合度は、評価が高い順番に「◎」、「○」及び「×」で示される。上記評価の結果は、表示部4に表示される。
【0075】
上記評価値に基づく評価の基準は、各評価分類ごとに異なる。以下では、図5を参照して、「椎間板圧迫力A」、「平均腰部負荷B」、「最大負荷姿勢C」及び「高負荷時間D」の順番で上記評価の基準について説明する。
【0076】
「椎間板圧迫力A」においては、評価値が60以上であれば「◎」、30以上60未満であれば「○」、30未満であれば「×」と評価される。
【0077】
「平均腰部負荷B」においては、評価値が500以上であれば「◎」、300以上500未満であれば「○」、300未満であれば「×」と評価される。
【0078】
「最大負荷姿勢C」においては、評価値が50以上であれば「◎」、20以上50未満であれば「○」、20未満であれば「×」と評価される。
【0079】
「高負荷時間D」においては、評価値が4以上であれば「◎」、2以上4未満であれば「○」、2未満であれば「×」と評価される。
【0080】
制御部3は、「椎間板圧迫力A」、「平均腰部負荷B」、「最大負荷姿勢C」及び「高負荷時間D」のそれぞれについて上記評価を行った後、個別評価処理を終了する。
【0081】
次に、制御部3は、最終評価処理(ステップS12)を実行する。最終評価処理は、上記各評価分類の個別評価に基づいて、重筋作業に対する作業補助装置10の総合的な評価(最終評価)を行う処理である。
【0082】
本実施形態では、各評価分類のそれぞれの個別評価ごとに設定された評価点数に基づいて作業補助装置10の総合的な評価を行う構成としている。上記評価点数の設定は、各評価分類ごとに異なる。以下では、図5を参照して、「椎間板圧迫力A」、「平均腰部負荷B」、「最大負荷姿勢C」及び「高負荷時間D」の順番で、上記評価点数について説明する。
【0083】
「椎間板圧迫力A」においては、評価点数は、個別評価が「◎」の場合には3点とされ、個別評価が「○」の場合には2点とされ、個別評価が「×」の場合には0点とされる。
【0084】
「平均腰部負荷B」においては、評価点数は、個別評価が「◎」の場合には6点とされ、個別評価が「○」の場合には4点とされ、個別評価が「×」の場合には0点とされる。
【0085】
「最大負荷姿勢C」においては、評価点数は、個別評価が「◎」の場合には3点とされ、個別評価が「○」の場合には2点とされ、個別評価が「×」の場合には0点とされる。
【0086】
「高負荷時間D」においては、評価点数は、個別評価が「◎」の場合には6点とされ、個別評価が「○」の場合には4点とされ、個別評価が「×」の場合には0点とされる。
【0087】
本実施形態では、上述したように、「平均腰部負荷B」及び「高負荷時間D」の評価点数を、「椎間板圧迫力A」及び「最大負荷姿勢C」の評価点数よりも比較的大きく設定している。なお、上記各評価分類の評価点数は一例であり、上述したものに限られない。上記点数としては、種々の数値を採用可能である。
【0088】
最終評価処理においては、各評価分類ごとに加点された評価点数の合計値に基づき、重筋作業に対する作業補助装置10の適合度を、3段階で評価する。上記適合度は、評価が高い順番に「◎」、「○」及び「×」で示される(図6参照)。上記評価の結果は、表示部4に表示される。
【0089】
具体的には、図6に示すように、最終評価処理においては、各評価分類ごとに加点された評価点数の合計値が、15点以上であれば「◎」、10点以上15点未満であれば「○」、10点未満であれば「×」と評価される。
【0090】
ここで、本実施形態に係る作業補助装置10は、主として中腰姿勢での重筋作業を補助するものであるので、当該作業補助装置10は、作業者が中腰姿勢となることに起因する負担が小さい重筋作業には適しないと考えることができる。従って、本実施形態では、各評価分類のうち、作業者が中腰姿勢となることに起因する負担の度合いを示す「最大負荷姿勢C」の個別評価が「×」とされた場合は、各評価分類の評価点数の合計値に関わらず、最終評価を「×」とするものとしている。すなわち、本実施形態では、「最大負荷姿勢C」の個別評価の評価結果によって、重筋作業に対する作業補助装置10の適否を判断する構成としている。
【0091】
制御部3は、上述したように重筋作業の評価を行った後、作業補助装置評価処理を終了する。
【0092】
以下では、作業補助装置評価処理の一例について説明する。なお、以下では、重筋作業の一例として、重量物運搬作業、重量物積載作業及び重量物反転作業を例に挙げて説明する。
【0093】
まず、重量物運搬作業についての作業補助装置評価処理について説明する。重量物運搬作業は、重量物を運搬する作業である。
【0094】
重量物運搬作業においては、図3に示すように、個人案件aの入力値として「男性」が入力される。また、重量物持ち上げ時の姿勢bの入力値として「中腰姿勢」が入力される。また、持ち手(指)cの入力値として「第二関節まで」が入力される。また、持ち手(位置)dの入力値として「600mm以内」が入力される。また、持ち上げ距離eの入力値として「500mm」が入力される。また、最大重量fの入力値として「80kg」が入力される。また、繰り返し回数gの入力値として「400回」が入力される。また、作業時間hの入力値として「8時間」が入力される。また、往復移動距離iの入力値として「2m」が入力される。また、中腰作業の有無jの入力値として「有」が入力される。また、中腰作業角度kの入力値として「中間」が入力される。また、中腰作業時間mの入力値として「0.5時間」が入力される。
【0095】
上記入力値に基づいて、制御部3は、まず、各評価分類のそれぞれについて、評価値算出処理を実行する(ステップS10)。
【0096】
「椎間板圧迫力A」においては、個人案件aの入力値として「男性」が入力されていることから、設定値は「1」となる。また、重量物持ち上げ時の姿勢bの入力値として「中腰姿勢」が入力されていることから、設定値は「30」となる。また、最大重量fの入力値として「80kg」が入力されており、当該入力値は80kg以上であるので、設定値は「30」となる(図4参照)。以上から、上記数式(1)により、「椎間板圧迫力A」の評価値は60となる。
【0097】
「平均腰部負荷B」においては、最大重量fの入力値として「80kg」が入力されている。また、繰り返し回数gの入力値として「400回」が入力されている。また、作業時間hの入力値として「8時間」が入力されている。以上から、上記数式(2)により、「平均腰部負荷B」の評価値は4000となる。
【0098】
「最大負荷姿勢C」においては、中腰作業角度kの入力値として「中間」が入力されていることから、設定値は「20」となる。また、中腰作業時間mの入力値として「0.5時間」が入力されており、当該入力値は0.5時間以上であるので、設定値は「20」となる(図4参照)。以上から、上記数式(3)により、「最大負荷姿勢C」の評価値は40となる。
【0099】
「高負荷時間D」においては、作業時間hの入力値として「8時間」が入力されている。以上から、「高負荷時間D」の評価値は8となる。
【0100】
次に、制御部3は、上記設定値に基づいて、各評価分類について個別評価処理を実行する。具体的には、制御部3は、「椎間板圧迫力A」の評価値が60であり、当該評価値が60以上であることから、「椎間板圧迫力A」を「◎」と評価する(図5参照)。
【0101】
また、制御部3は、「平均腰部負荷B」の評価値が4000であり、当該評価値が500以上であることから、「平均腰部負荷B」を「◎」と評価する。
【0102】
また、制御部3は、「最大負荷姿勢C」の評価値が40であり、当該評価値が20以上50未満であることから、「最大負荷姿勢C」を「○」と評価する。
【0103】
また、制御部3は、「高負荷時間D」の評価値が8であり、当該評価値が4以上であることから、「高負荷時間D」を「◎」と評価する。
【0104】
次に、制御部3は、上記個別評価処理の個別評価に基づいて、最終評価処理を実行する。具体的には、制御部3は、「椎間板圧迫力A」の個別評価が「◎」であるので、3点を加点する。また、制御部3は、「平均腰部負荷B」の個別評価が「◎」であるので、6点を加点する。また、制御部3は、「最大負荷姿勢C」の個別評価が「○」であるので、2点を加点する。また、制御部3は、「高負荷時間D」の個別評価が「◎」であるので、6点を加点する(図5参照)。
【0105】
以上から、重量物運搬作業においては、各評価分類の評価点数の合計値は17点となり、当該合計値が15点以上であるので、図7に示すように、最終評価として「◎」と評価される(図6参照)。
【0106】
次に、重量物積載作業についての作業補助装置評価処理について説明する。重量物積載作業は、重量物をある場所に積載する作業である。
【0107】
重量物積載作業においては、図3に示すように、個人案件aの入力値として「男性」が入力される。また、重量物持ち上げ時の姿勢bの入力値として「中腰姿勢」が入力される。また、持ち手(指)cの入力値として「第二関節まで」が入力される。また、持ち手(位置)dの入力値として「600mm以内」が入力される。また、持ち上げ距離eの入力値として「500mm」が入力される。また、最大重量fの入力値として「90kg」が入力される。また、繰り返し回数gの入力値として「12回」が入力される。また、作業時間hの入力値として「0.5時間」が入力される。また、往復移動距離iの入力値として「2m」が入力される。また、中腰作業の有無jの入力値として「有」が入力される。また、中腰作業角度kの入力値として「中間」が入力される。また、中腰作業時間mの入力値として「0.5時間」が入力される。
【0108】
上記入力値に基づいて、制御部3は、まず、各評価分類のそれぞれについて、評価値算出処理を実行する(ステップS10)。
【0109】
「椎間板圧迫力A」においては、個人案件aの入力値として「男性」が入力されていることから、設定値は「1」となる。また、重量物持ち上げ時の姿勢bの入力値として「中腰姿勢」が入力されていることから、設定値は「30」となる。また、最大重量fの入力値として「90kg」が入力されており、当該入力値は80kg以上であるので、設定値は「30」となる(図4参照)。以上から、上記数式(1)により、「椎間板圧迫力A」の評価値は60となる。
【0110】
「平均腰部負荷B」においては、最大重量fの入力値として「90kg」が入力されている。また、繰り返し回数gの入力値として「12回」が入力されている。また、作業時間hの入力値として「0.5時間」が入力されている。以上から、上記数式(2)により、「平均腰部負荷B」の評価値は2160となる。
【0111】
「最大負荷姿勢C」においては、中腰作業角度kの入力値として「中間」が入力されていることから、設定値は「20」となる。また、中腰作業時間mの入力値として「0.5時間」が入力されており、当該入力値は0.5時間以上であるので、設定値は「20」となる(図4参照)。以上から、上記数式(3)により、「最大負荷姿勢C」の評価値は40となる。
【0112】
「高負荷時間D」においては、作業時間hの入力値として「0.5時間」が入力されている。以上から、「高負荷時間D」の評価値は0.5となる。
【0113】
次に、制御部3は、上記設定値に基づいて、各評価分類について個別評価処理を実行する。具体的には、制御部3は、「椎間板圧迫力A」の評価値が60であり、当該評価値が60以上であることから、「椎間板圧迫力A」を「◎」と評価する。
【0114】
また、制御部3は、「平均腰部負荷B」の評価値が2160であり、当該評価値が500以上であることから、「平均腰部負荷B」を「◎」と評価する。
【0115】
また、制御部3は、「最大負荷姿勢C」の評価値が40であり、当該評価値が20以上50未満であることから、「最大負荷姿勢C」を「○」と評価する。
【0116】
また、制御部3は、「高負荷時間D」の評価値が0.5であり、当該評価値が2未満であることから、「高負荷時間D」を「×」と評価する。
【0117】
次に、制御部3は、上記個別評価処理の個別評価に基づいて、最終評価処理を実行する。具体的には、制御部3は、「椎間板圧迫力A」の個別評価が「◎」であるので、3点を加点する。また、制御部3は、「平均腰部負荷B」の個別評価が「◎」であるので、6点を加点する。また、制御部3は、「最大負荷姿勢C」の個別評価が「○」であるので、2点を加点する。また、制御部3は、「高負荷時間D」の個別評価が「×」であるので、0点を加点する(図5参照)。
【0118】
以上から、重量物積載作業においては、各評価分類の評価点数の合計値は11点となり、当該合計値が10点以上15点未満であるので、図7に示すように、最終評価として「○」と評価される(図6参照)。
【0119】
次に、重量物集積作業についての作業補助装置評価処理について説明する。重量物集積作業は、ある場所において重量物を積み上げる作業である。
【0120】
重量物集積作業においては、図3に示すように、個人案件aの入力値として「男性」が入力される。また、重量物持ち上げ時の姿勢bの入力値として「スクワット」が入力される。また、持ち手(指)cの入力値として「第二関節まで」が入力される。また、持ち手(位置)dの入力値として「600mm以内」が入力される。また、持ち上げ距離eの入力値として「350mm」が入力される。また、最大重量fの入力値として「100kg」が入力される。また、繰り返し回数gの入力値として「30回」が入力される。また、作業時間hの入力値として「2時間」が入力される。また、往復移動距離iの入力値として「5m」が入力される。また、中腰作業の有無jの入力値として「無」が入力される。
【0121】
上記入力値に基づいて、制御部3は、まず、各評価分類のそれぞれについて、評価値算出処理を実行する(ステップS10)。
【0122】
「椎間板圧迫力A」においては、個人案件aの入力値として「男性」が入力されていることから、設定値は「1」となる。また、重量物持ち上げ時の姿勢bの入力値として「スクワット」が入力されていることから、設定値は「10」となる。また、最大重量fの入力値として「100kg」が入力されており、当該入力値は80kg以上であるので、設定値は「30」となる(図4参照)。以上から、上記数式(1)により、「椎間板圧迫力A」の評価値は40となる。
【0123】
「平均腰部負荷B」においては、最大重量fの入力値として「100kg」が入力されている。また、繰り返し回数gの入力値として「30回」が入力されている。また、作業時間hの入力値として「2時間」が入力されている。以上から、上記数式(2)により、「平均腰部負荷B」の評価値は1500となる。
【0124】
「最大負荷姿勢C」においては、中腰作業の有無jに「無」が入力されていることから、中腰作業角度k及び中腰作業時間mには入力値は入力されない。従って、「最大負荷姿勢C」の評価値は0となる。
【0125】
「高負荷時間D」においては、作業時間hの入力値として「2時間」が入力されている。以上から、「高負荷時間D」の評価値は2となる。
【0126】
次に、制御部3は、上記設定値に基づいて、各評価分類について個別評価処理を実行する。具体的には、制御部3は、「椎間板圧迫力A」の評価値が40であり、当該評価値が30以上60未満であることから、「椎間板圧迫力A」を「○」と評価する(図5参照)。
【0127】
また、制御部3は、「平均腰部負荷B」の評価値が1500であり、当該評価値が500以上であることから、「平均腰部負荷B」を「◎」と評価する。
【0128】
また、制御部3は、「最大負荷姿勢C」の評価値が0であり、当該評価値が20未満であることから、「最大負荷姿勢C」を「×」と評価する。
【0129】
また、制御部3は、「高負荷時間D」の評価値が2であり、当該評価値が2以上4未満であることから、「高負荷時間D」を「○」と評価する。
【0130】
次に、制御部3は、上記個別評価処理の個別評価に基づいて、最終評価処理を実行する。具体的には、制御部3は、「椎間板圧迫力A」の個別評価が「○」であるので、2点を加点する。また、制御部3は、「平均腰部負荷B」の個別評価が「◎」であるので、6点を加点する。また、制御部3は、「最大負荷姿勢C」の個別評価が「×」であるので、0点を加点する。また、制御部3は、「高負荷時間D」の個別評価が「○」であるので、4点を加点する。
【0131】
以上から、重量物集積作業においては、各評価分類の評価点数の合計値は12点となる。ここで、重量物集積作業においては、各評価分類のうち、「最大負荷姿勢C」の個別評価が「×」とされているので、図7に示すように、最終評価として「×」と評価される。
【0132】
上述したように、重量物運搬作業、重量物積載作業及び重量物集積作業の最終評価を比較することで、作業補助装置10は、最終評価が「◎」である重量物運搬作業に最も適した(適合度が高い)ものであることが示される。
【0133】
以上のように、本発明の一実施形態に係る作業補助装置の評価システム1は、
少なくとも中腰姿勢での重筋作業を補助可能な作業補助装置10の評価システムであって、
前記重筋作業の態様を示す作業項目ごとに入力された、当該重筋作業に関する入力値に基づいて、当該重筋作業に設定された複数の評価分類ごとの評価値を算出する(ステップS10)評価値算出部(制御部3)と、
前記複数の評価分類ごとの評価値に基づいて、前記重筋作業に対する前記作業補助装置10の適合の度合いを評価する(ステップS12)作業補助装置評価部(制御部3)と、
を具備するものである。
【0134】
このような構成により、所定の重筋作業に対する作業補助装置10の適合の度合いを好適に評価することができる。すなわち、重筋作業に関する入力値に基づいた定量的な評価により、所定の重筋作業に対する作業補助装置10の適合の度合いを評価することができる。これにより、作業補助装置10を、当該作業補助装置10に最も適した重筋作業に使用することができる。具体的には、作業補助装置10を、作業者が中腰姿勢となることによる負担が比較的大きい重筋作業に使用することができる。
【0135】
また、作業補助装置の評価システム1は、
前記複数の評価分類ごとに、当該評価分類に対する前記作業補助装置10の適合の度合いを評価する(ステップS11)個別評価部(制御部3)を具備するものである。
【0136】
このような構成により、所定の重筋作業に対する作業補助装置10の適合の度合いをより好適に評価することができる。すなわち、複数の評価分類のそれぞれについて、重筋作業に関する入力値に基づいた定量的な評価が可能となり、より詳細に、所定の重筋作業に対する作業補助装置10の適合の度合いを評価することができる。
【0137】
また、前記複数の評価分類には、
前記重筋作業を行う場合の作業者の椎間板に掛かる負担に関する椎間板圧迫力A(第一の評価分類)が含まれ、
前記評価値算出部(制御部3)は、
前記複数の作業項目のうち、前記作業者の椎間板に掛かる負担に関する作業項目(個人案件a、重量物持ち上げ時の姿勢b及び最大重量f)において入力された入力値に基づいて、前記椎間板圧迫力Aの評価値の算出を行うものである。
【0138】
このような構成により、重筋作業を行う場合の作業者の椎間板に掛かる負担の軽減に対して、作業補助装置10がどの程度適合するかを評価することができる。
【0139】
また、前記複数の評価分類には、
前記重筋作業を行う場合の作業者の腰部に掛かる負担に関する平均腰部負荷B(第二の評価分類)が含まれ、
前記評価値算出部(制御部3)は、
前記複数の作業項目のうち、前記作業者の腰部に掛かる負担に関する作業項目(最大重量f、繰り返し回数g及び作業時間h)において入力された入力値に基づいて、前記平均腰部負荷Bの評価値の算出を行うものである。
【0140】
このような構成により、重筋作業を行う場合の作業者の腰部に掛かる負担の軽減に対して、作業補助装置10がどの程度適合するかを評価することができる。
【0141】
また、前記複数の評価分類には、
前記重筋作業を行う場合の作業者の姿勢に関する最大負荷姿勢C(第三の評価分類)が含まれ、
前記評価値算出部(制御部3)は、
前記複数の作業項目のうち、前記作業者の姿勢に関する作業項目(中腰作業角度k及び中腰作業時間m)において入力された入力値に基づいて、前記最大負荷姿勢Cの評価値の算出を行うものである。
【0142】
このような構成により、重筋作業を行う場合の作業者の姿勢に関する負担の軽減に対して、作業補助装置10がどの程度適合するかを評価することができる。
【0143】
また、作業補助装置の評価システム1は、
前記第三の評価分類の評価値が所定の条件を満たした場合、前記作業補助装置評価部(制御部3)による評価結果に関わらず、前記重筋作業に対して前記作業補助装置10が適合しないと評価する作業補助装置適否評価部(制御部3)を具備するものである。
【0144】
このような構成により、前記重筋作業に対する前記作業補助装置10の適否を好適に判断することができる。すなわち、所定の重筋作業を行う場合、作業者の姿勢に関する負担の軽減の度合いが小さい作業補助装置10は、当該重筋作業に適しないと考えることができる。従って、重筋作業を行う場合の作業者の姿勢を考慮することで、前記重筋作業に対する前記作業補助装置10の適否を好適に判断することができる。
【0145】
また、前記複数の評価分類には、
前記重筋作業を行う場合の作業時間に関する高負荷時間D(第四の評価分類)が含まれ、
前記評価値算出部(制御部3)は、
前記複数の作業項目のうち、前記作業時間に関する作業項目(作業時間h)において入力された入力値に基づいて、前記高負荷時間Dの評価値の算出を行うものである。
【0146】
このような構成により、重筋作業を行う場合の作業時間に関する負担の軽減に対して、作業補助装置10がどの程度適合するかを評価することができる。
【0147】
なお、本実施形態に係る制御部3は、本発明に係る評価値算出部、個別評価部、作業補助装置評価部及び作業補助装置適否評価部の一形態である。
また、本実施形態に係る「椎間板圧迫力A」は、本発明に係る第一の評価分類の一形態である。
また、本実施形態に係る「平均腰部負荷B」は、本発明に係る第二の評価分類の一形態である。
また、本実施形態に係る「最大負荷姿勢C」は、本発明に係る第三の評価分類の一形態である。
また、本実施形態に係る「高負荷時間D」は、本発明に係る第四の評価分類の一形態である。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0148】
例えば、本実施形態に係る作業補助装置評価処理(評価値算出処理、個別評価処理、及び最終評価処理)は、一例であり、上述した実施形態の構成に限られない。
【0149】
例えば、本実施形態では、制御部3により個別評価処理を実行する構成としたが、このような態様に限られない。すなわち、個別評価処理を実行せず、各評価分類ごとに算出された評価値に基づいて最終評価処理を実行する構成としてもよい。