粘着層を有する第1シートと、前記粘着層に対面するマット面を有する第2シートとを有し、前記粘着層と前記マット面とが互いに密着することにより前記粘着層と前記マット面との密着部分に画像が記録され、前記第1シート及び前記第2シートを共に撓ませることにより前記密着部分における前記粘着層と前記マット面とが互いに剥離されて前記画像が消去される筆記シートと、前記筆記シートを止着可能なベース部材とを備える筆記ボードであって、
前記筆記シートが、止着部と把持部とを有し、該止着部で前記ベース部材に取り付けられ、
前記筆記シートが前記ベース部材に取り付けられた状態で、前記第1シート及び前記2シートを共に撓ませることが可能であることを特徴とする、筆記ボード。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0016】
なお、本明細書において、「シート」、「板」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「シート」は、「板」や「フィルム」と呼ばれ得るような部材も含む概念である。
【0017】
また、「シート面(板面、フィルム面)」とは、対象となるシート状(板状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材(板状部材、フィルム状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。また、シート状(板状、フィルム状)の部材に対して用いる法線方向とは、当該部材のシート面(板面、フィルム面)に対する法線方向のことを指す。
【0018】
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0019】
図1〜図7は、本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち図1は、筆記ボード1の一例を示す平面図であり、図2は、筆記シート10の一例を示す断面図であり、図3は、筆記シート10の第1シート及び第2シートの一例を示す断面図である。
【0020】
筆記ボード1は、画像5の記録および消去が可能な筆記シート10と、筆記シート10を止着可能なベース部材60と、を備えている。筆記シート10は、第1シート30及び第2シート50を備え、止着部61と把持部62とを有している。
本実施の形態の筆記ボード1は、筆記シート10の把持部62に、指先当接部63が設けられており、ベース部材60に設けられた止着手段64により、筆記シート10が、止着部61で、ベース部材60に着脱可能に取り付けられており、ベース部材60には、筆記シート10の表面を保護するカバー部材70が連設されている。
【0021】
[筆記シート]
筆記シート10について以下に詳述する。
筆記シート10は、第1シート30及び第2シート50を備えている。第1シート30は粘着層37を有しており、第2シート50は粘着層37に対面するマット面52aを有している。この筆記シート10は、画像5を記録する前の初期状態では、第1シート30と第2シート50とが密着しておらず、第1シート30と第2シート50との間には空気層が存在する。画像5を記録する場合には、第2シート50の上方から所望の部分に加圧する。加圧された部分の直下で第1シート30と第2シート50とが密着する。とりわけ第1シート30の粘着層37と第2シート50のマット面52aとが密着する。その結果、第1シート30と第2シート50との間に存在していた空気層が実質的になくなり、第2シート50のマット面52aにおける光の屈折率が変化する。この結果、未加圧部分のマット面52aにおける光の屈折率と、加圧部分のマット面52aにおける光の屈折率が互いに異なるようになり、未加圧部分と加圧部分との間にコントラストが生じることにより筆記シート10に画像5が記録される。一般的には、加圧された部分では第1シート30の色彩が第2シート50上部から認識できるようになる。加圧する方法は任意であり、樹脂材料等で形成されたペン7で文字状に加圧して筆跡を形成したり、スタンプのようなレリーフを押しつけて当該レリーフに形成された模様を転写する方法等が含まれる。そして、第2シート50が第1シート30から剥離されることによって、第1シート30と第2シート50との間に再び空気層が生じて、画像5が消去される。本実施の形態では、後述するように、第1シート30及び第2シート50を共に撓ませることにより密着部分における粘着層37とマット面52aとを互いに剥離させて画像5を消去する。このようにして、本実施の形態による筆記シート10では、画像5の記録と消去とを繰り返し行うことができる。
【0022】
本実施の形態の筆記シート10の構成について、以下に詳細に説明していく。図2に示された例では、筆記シート10は、背面側積層体20と前面側積層体40とを有している。背面側積層体20は、第1シート30、背面カバーフィルム22、及び第1シート30と背面カバーフィルム22とを互いに固定する接着層24を含んでいる。前面側積層体40は、第2シート50、前面カバーフィルム42、及び、第2シート50と前面カバーフィルム42とを互いに固定する接着層44を含んでいる。筆記シート10は、第1面10aと、第1面10aと反対側を向く第2面10bとを有している。図2に示された例では、第2面10bは、筆記シート10に画像5を記録する際に、ペン、レリーフ等が接触する面である。本明細書では、第1面10aを「背面」、第2面10bを「前面」、とそれぞれ呼称することがある。また、筆記シート10において、筆記シート10の法線方向に沿って第1面10aに近接する側を「背面側」、第2面10bに近接する側を「前面側」、とそれぞれ呼称することがある。また、第1面10aおよび/または第2面10bのうち、第1シート30の粘着層37と第2シート50のマット面52aとが密着し画像として外部から視認可能となる部分を「筆記面」と呼称することがある。
【0023】
背面カバーフィルム22は、背面側から第1シート30及び第2シート50を保護するフィルム状の部材である。本実施の形態では、背面カバーフィルム22が筆記シート10の第1面10aを形成する。接着層24は、第1シート30と背面カバーフィルム22とを互いに固定する機能を有する。背面カバーフィルム22の材料は特に限定されないが、例えば樹脂材料を用いることができる。接着層24の材料も特に限定されないが、種々の接着剤や粘着剤を用いることができる。本実施の形態では、背面カバーフィルム22及び接着層24は、光透過性を有した材料で形成されるが、背面カバーフィルム22及び接着層24においては、光透過性は必須ではない。
【0024】
前面カバーフィルム42は、前面側から第1シート30及び第2シート50を保護するフィルム状の部材である。本実施の形態では、前面カバーフィルム42が筆記シート10の第2面10bを形成する。接着層44は、第2シート50と前面カバーフィルム42とを互いに固定する機能を有する。前面カバーフィルム42及び接着層44は、当該前面カバーフィルム42及び接着層44を通して、第2シート50のマット面52aと第1シート30の粘着層37との密着した部分で形成される画像5を視認することができるよう、光透過性を有した材料で形成される。前面カバーフィルム42の材料は特に限定されないが、例えば光透過性を有した樹脂材料を用いることができる。前面カバーフィルム42は、筆記シート10への画像5の記録の際に、ペン7やレリーフから、筆記シート10の法線方向に沿った力を受ける。また、とりわけペン7を用いて画像5を記録する場合には、前面カバーフィルム42は、ペン7のペン先により筆記シート10のシート面に沿って擦過される。したがって、前面カバーフィルム42は、ペン7やレリーフから受ける力やペン7による擦過に対する十分な耐久力を有した材料で形成されることが望ましい。接着層44の材料は特に限定されないが、光透過性を有した種々の接着剤や粘着剤を用いることができる。
【0025】
図2に示された例では、筆記シート10のシート面に沿った両端部(図2では左右の両端部)において、接着層24及び接着層44により、背面カバーフィルム22と前面カバーフィルム42とが互いに固定されている。本実施の形態では、筆記シート10の法線方向から見たときに、すなわち平面視において、筆記シート10は一対の対辺を有する矩形形状を有しており、一方の対辺においては背面カバーフィルム22と前面カバーフィルム42とが互いに固定されており、他方の対辺においては背面カバーフィルム22と前面カバーフィルム42とが互いに固定されていない。
【0026】
次に、第1シート30及び第2シート50について説明する。本発明に用いられる第1シート30は、粘着層37を具備してなる。とりわけ、本実施の形態では、第1シート30は、有色層32を有する支持体31と、第2シート50に対向する粘着層37と、を有する。なお、第1シート30において、有色層32は必須の構成ではない。粘着層37は、画像記録時に第2シート50と密着する層であり、密着することによって、例えば支持体31の色彩が筆記シート10の第2面(前面)10bを介して観察できるようになる。
【0027】
粘着層37は支持体31の少なくとも一方の面に形成される。支持体31の両側面にそれぞれ粘着層37を設けて、それぞれの面に対向する2枚の第2シート50を組み合わせれば、前面と背面の両方に記録可能な筆記シート10とすることもできる。
【0028】
ここで支持体31は特に限定されないが、画像記録時に筆記シート10の表面から観察される画像のコントラストを高く保つために、着色されていることが必要である。また、筆記シート10に物理的に十分な強度を付与するために、支持体31には強度も要求される。
【0029】
このような観点から、図3に示すように、ひとつの実施形態において、基材層33と有色層32とを具備する支持体31を用いることができる。物理的に十分な強度を有する基材層33を用いることで、コストや色彩に応じて種々の有色層32を選択することが可能となる。このとき、基材層33は十分な物理的強度を有するものが好ましく、従来知られている任意の材料から選択することができる。例えば、ポリオレフィン樹脂やポリエステル樹脂から選択することができ、より具体的には、(i)ポリオレフィン樹脂基材としては、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体などから、(ii)ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂などから選択することができる。これらのうち、ポリエステル系樹脂が好ましく、強度や加工性の点からPET樹脂が特に好ましい。なお、支持体31は、有色層32のみから構成されていてもよい。
【0030】
これら基材層33の表面には、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、酸処理、アルカリ処理、下塗り剤の塗布(下塗り層の形成)等の、従来公知の表面処理が施されていてもよい。
【0031】
基材層33の厚さは、特に限定されないが、物理的に十分な強度を達成するために、厚さが50〜250μmであることが好ましい。これらの基材層33は、無色透明であっても、有色透明であっても、また不透明であってもよい。基材層33が無色透明である場合には、有色層32と積層されていることが好ましい。いずれの場合においても、支持体31は、全体として不透明であることが好ましい。なお、本発明において不透明であるとは、400〜760nmの波長領域全体にわたって、透過率が80%未満、好ましくは60%未満であることをいう。一方で無色透明であるとは、その波長領域の全領域に渡って、透過率が80%以上、好ましくは90%以上であることをいう。さらに有色透明とは、その波長領域の一部に透過率が80%未満の領域があることをいう。なお、本明細書において、「〜」を用いて示される数値範囲には、その両端の数値を含むものとする。例えば「50〜250μm」とは、「50μm以上250μm以下」を指すものとする。
【0032】
支持体31を不透明とするために、有色層32を用いる場合には、有色層32は、着色されたシート状材料などを透明な基材層33と貼り合わせてもよいし、透明な基材層33の表面に有色層32を塗布して形成させてもよい。
【0033】
着色されたシート状材料としては、例えば着色された紙、染色された樹脂基材、着色粒子が分散された樹脂材料からなる基材、着色された繊維集合体などが挙げられる。有色層32を塗布により形成させる場合には、着色された粒子が分散されたバインダーを含む組成物を塗布し、さらに乾燥または硬化させて、有色層32を形成させることができる。着色された粒子とは、無機顔料粒子、金属粉、金属酸化物粉などが挙げられる。
【0034】
なお、支持体31として、金属板または有色層32として金属層を具備する支持体31を用いることもできる。このような金属様表面を支持体31に用いた場合には、特殊な効果を得ることができる。この場合には、筆記により得られる画像のコントラストは比較的低い。ところが、その記録画像を複写機により複写すると、コントラストの高い画像が複写される。このような効果を利用することで、すかし絵の効果を得ることができる。
【0035】
支持体31の前面側の表面は平滑性が高いことが好ましい。その面の上には、後述するように粘着層37が設けられるが、最終的にこの粘着層37の表面の平滑性が高いことが好ましいので、その下地となる支持体31の前面側の表面も平滑性が高いことが好ましい。このような観点から、支持体31の前面側の表面は、樹脂製の基材層33であることが好ましい。したがって、支持体31が基材層33と有色層32とが積層された構造を有する場合には、図3に示すように、有色層32は第2シート50が対向する面とは反対側の面に形成されることが好ましい。
【0036】
第1シート30は粘着層37を具備する。この粘着層37を第1シート30の表面に形成するのに先だって、支持体31と粘着層37との接着性を改善するために、中間層35を設けることができる。筆記シート10は、使用に際して、粘着層37と第2シート50との密着と剥離を繰り返すため、粘着層37が第1シート30表面から剥離することがあるが、中間層35を設けることでこのような問題を改善することができ、また筆記シート10の保存安定性を改良することもできる。
【0037】
中間層35に用いる材料としてはポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルグラフトポリエステル樹脂、シリコーン樹脂などの各種樹脂が挙げられる。この中間層35は、たとえばポリエステル樹脂によって形成することができる。中間層35の厚さは、厚くすることによって支持体31と粘着層37との接着性を改良でき、薄くすることで画像記録時に支持体31の色彩が再現されやすくなる。このような観点から、中間層35の厚さは0.05〜1.0μmであることが好ましい。
【0038】
本発明に用いられる第1シート30において、支持体31の表面に直接、または表面の上に中間層35を介して、粘着層37が形成されている。粘着層37は、画像記録時に第2シート50と密着することによって、画像が記録される。したがって、画像の記録安定性の観点からは、粘着力が高いことが好ましいが、過度に高いと、消去時に第2シート50の剥離が困難になったり、剥離の際に不快な音を発生したり、粘着層37または第2シート50を損傷する可能性がある。さらには、筆記シート10を放置している状態にもかかわらず、第2シート50と粘着層37とが密着してしまい、意図しない画像が記録されることもある。このため、粘着層37の粘着力は、1.0〜5.0N/mであることが好ましく、1.5〜4.0N/mであることがより好ましい。ここで粘着力は、JIS Z 0237 方法1に示された、試験板に対する180°引き剥がし粘着力測定に従って測定することができる。
【0039】
このような粘着層37は、一般的には、粘着剤組成物に、必要に応じて触媒などを混合してから、支持体31または基材層33に、必要に応じて中間層35を介して塗布し、加熱などを行って反応させることによって形成させる。
【0040】
粘着層37の材料として、従来知られている粘着剤から任意のものを選択することができる。
【0041】
このような粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、フッ素系粘着剤等の各種粘着剤が挙げられる。
【0042】
これらのうち、シリコーン系粘着剤は、主骨格がシロキサン結合を主体したポリマーを主成分とするものである。シリコーン系粘着剤は、適当な粘着性を示すものが多く、また耐薬品性、耐水性、耐熱性に優れているので好ましい。さらに、シリコーン系粘着剤は、圧力による粘着力変化が小さいことも好ましい理由である。また、ウレタン系粘着剤は、イソシアネート化合物とヒドロキシ化合物を縮合させたポリマーを主成分とするものである。剥離性にすぐれているので好ましい粘着剤であるが、粘着力がシリコーン系粘着剤よりも高いことが多く、粘着性の調整が必要な場合がある。また、ウレタン系粘着剤を用いると、画像記録時に加える圧力に依存して、第2シート50と粘着層37との粘着力が変わる傾向にある。このため、第2シート50の剥離に要する力の均一性や、記録される画像のコントラストの均一性が重視される場合には、シリコーン系粘着剤を用いることが好ましい。
【0043】
このような方法に用いられる粘着剤は、種々のものが市販されており、それらから好適なものを選択して使用することができる。具体的には、シリコーン系粘着剤としては、LTC755、SD4580PSAなど(いずれも商品名、東レ・ダウコーニング株式会社より販売)、KR3700、KR3701、KR3704(いずれも商品名、信越化学工業株式会社より販売)が挙げられ、これに組み合わせる触媒としては、NC−25 Catalyst(商品名、東レ・ダウコーニング株式会社より販売)、CAT−PL−50T(商品名、信越化学工業株式会社より販売)が挙げられる。また、ウレタン系粘着剤としては、サイアバインシリーズSH−101M、SH−101、SP−205(いずれも商品名、トーヨーケム株式会社より販売)が挙げられ、それに組み合わせる触媒としてはサイアバイン T501B(多官能イソシアネート系架橋剤)(商品名、トーヨーケム株式会社より販売)が挙げられる。
【0044】
シリコーン系粘着剤に組み合わせる触媒は、架橋密度を調整することができるので白金を含む貴金属触媒が好ましく、特に白金−ルテニウム合金、白金−パラジウム合金、白金−チタニウム合金等が好適に用いられる。
【0045】
粘着剤組成物を塗布する方法は特に限定されず、例えば、グラビアロールコーター、ダイコーター、バーコーター等の、従来公知のコーターを用いて行うことができる。あるいは、含浸やカーテンコート法等により粘着剤組成物を塗布してもよい。
【0046】
塗布後、架橋反応を促進させ、製造効率を向上させるために、加熱を行うことが好ましい。加熱温度は、一般的には40〜150℃、好ましくは60〜130℃の範囲から選択される。
【0047】
粘着層37の厚さは、厚いほうが第2シート50と密着しやすく、薄いほうが画像記録時に支持体31の色彩が再現されやすく、また生産コストが低くなる。このため、粘着層37の厚さは、5〜30μmであることが好ましく、10〜20μmであることがより好ましい。また、粘着層37の表面は、平滑であることが好ましい。
【0048】
なお、粘着層37が着色されていてもよい。支持体31の色彩と粘着層37の色彩とを異なったものとすることによって、粘着層37の色彩と支持体31の色彩とで合成された色彩で画像を記録することが可能になる。また、支持体31の色彩と粘着層37の色彩とを同じものとすることによって、粘着層37の色濃度と支持体31の色濃度との組み合わせでより濃度の高い色濃度で画像を記録することが可能になる。またさらには、粘着層37に有色層の機能を持たせることもできる。すなわち粘着層37に高濃度の色彩を付与することで、有色層32を別途設けることを省略することも可能である。
【0049】
本発明に用いられる第2シート50は、粘着層37と密着した際に、第1シート30の色彩が筆記シート10の表面から観察できる必要がある。このため、第2シート50として光透過性の第2シートを用いる必要がある。ここで、光透過性の第2シートとは、上面からその下にある支持体31の色または模様が識別できるものをいう。一般的には第2シート50は無色透明であることが好ましい。第2シート50が400〜760nmの波長範囲全体にわたって高い透過率を有することにより、第1シート30に施された着色に忠実な画像記録が可能となる。ただし、第2シート50に着色することも可能である。400〜760nmの波長範囲の一部に透過性がある基材54を用いれば、第1シート30に施された色彩と異なった色彩で画像を記録することが可能となる。さらに、第2シート50にメタリック顔料を含ませることによって、特徴的な色彩表現が可能となる場合もある。
【0050】
このような第2シート50は、一般的には透明な基材54を具備してなる。第2シート50には透明性だけでなく、物理的強度も要求されるため、前記した支持体31において例示した材料からなる基材54が好ましく用いられる。第2シート50に着色する場合には、そのような透明な基材54に有色層を積層することができる。なお、この場合の有色層は、支持体31に含まれる有色層32とは独立したものである。
【0051】
本発明において第2シート50の背面側の表面にはマット面52aが形成されている。このマット面52aの表面形状によって、筆記シート10の特性が大きく変動する。
【0052】
本発明による筆記シート10において、マット面52aの算術平均高さSaが大きいとマット調表現が容易となり、また筆記シート10を放置しても、第2シート50と粘着層37とが密着してしまうことが少なく、Saが小さいとコントラストの高い画像が記録できる傾向にある。このような観点から、本発明において、マット面52aの算術平均高さSaは0.10〜0.50μmであり、0.15〜0.30μmであることが好ましい。
【0053】
なお、算術平均高さSaは三次元粗さ計によって測定することができる。具体的には、これらの測定にはレーザー顕微鏡 LEXT−OLS4100(商品名、オリンパス株式会社製を用いることができる。
【0054】
さらにマット面52aに存在する凹凸は、画像記録をする前の状態で、粘着層37と第2シート50が密着することを防ぎ、また画像記録の際には粘着層37と第2シート50との間の密着性を適切に維持し、さらに画像消去の際には容易に剥離が可能となる。このようなマット面52aとするためには、ヘーズ値が70〜95%であることが好ましい。ヘーズ値はヘーズメーター TC−HIII(商品名 有限会社東京電色社製)により測定することができる。
【0055】
第2シート50の背面側の表面にマット面52aを形成する方法は特に限定されないが、第2シート50の主たる構造物である基材54の表面を、直接的に食刻する方法、凹凸を有する基材と積層する方法、微粒子が分散された樹脂組成物を基材表面に塗布し、乾燥または硬化させて凹凸のある面を形成させる方法、加熱などにより気泡を生じる化合物を含む組成物を基材表面に塗布し、加熱などによって組成物層の中に気泡を生じさせて表面に凹凸を形成させる方法などが挙げられる。また、基材54として、微粒子が分散された樹脂組成物を基材状に成形することによっても、表面にマット面52aが形成された第2シート50を得ることができる。
【0056】
これらのうち、マット面52aの粗さの制御が容易であることから、微粒子を分散させた樹脂組成物を用いることが好ましい。特に、シリカなどの透明性の高い微粒子が分散された樹脂組成物を基材54の表面に塗布し、加熱して樹脂を硬化させる方法が、品質の安定性やカバー基材の特性の面から好ましく採用される。微粒子は、有機材料であっても無機材料であってもよい。微粒子に用いる有機材料としては、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルウレタン樹脂などが挙げられる。また、微粒子に用いる無機材料としては、例えば、二酸化ケイ素(シリカ)、二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、金属フレーク、金属酸化物フレークなどが挙げられる。これらのうち、特にマイカ、金属フレークまたは金属酸化物フレークを用いると、画像記録時に生じる色がメタリック色となり、美麗な画像が記録されるという特徴がある。なお、この場合には、有色層32を濃度の高い色、典型的には黒色とすることで、コントラストが大きくなり、メタリック色がより美麗に観察されるので好ましい。
【0057】
これらの微粒子の平均粒子径は0.05〜5.0μmであることが好ましい。ここで、平均粒子径は、レーザー回折法(原理)により、体積基準で測定したものであり、例えばMICROTRAC9320−X100(Honeywell社製)により測定することができる。
【0058】
また、組成物のバインダーとして用いられる樹脂としては、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、アクリルメラミン樹脂、ポリエステルメラミン樹脂、アクリルウレタン樹脂などは物理的強度および光学特性の面で優れていると考えられ、好ましく用いられる。
【0059】
さらにこれらを溶解または分散させる溶媒としては、トルエンやメチルエチルケトンなどが挙げられる。
【0060】
図3には、いずれかの方法によって基材54の背面側の表面に、マット面52aを有するマット層52が積層された構造が図示されている。
【0061】
また、基材54の表面を直接的に食刻する方法には、物理的方法と化学的方法とがある。このうち物理的方法は、比較的工程が単純であり、より細かい凹凸を形成させることができるので好ましい。物理的に基材表面を食刻する方法としては、サンドブラスト法や、スクラッチ法が挙げられる。
【0062】
本発明において、第2シート50のマット面52aの硬度は、高いことが好ましい。具体的には、鉛筆硬度(JIS K 5600−5−4)がF以上であることが好ましく、H以上であることがより好ましい。本発明者らの検討によれば、筆記シート10において、画像を記録した後に消去した場合、第2シート50に画像の痕跡が残ることがあった。この結果、その後に記録される画像のコントラスト低下が起きてしまう。ところが、本願発明において、マット面52aの硬度を適当に設定することによって、そのような問題が改善され、このようなコントラスト低下が抑制される。さらには、第2シート50と粘着層37との粘着性が適切となって、画像の記録および消去を容易にすることもできる。
【0063】
本実施の形態では、第2シート50は、マット面52aを形成した面と反対側の面に、保護層56を具備している。なお、本実施の形態において、保護層56は必須の構成ではなく、保護層56を省略することも可能である。
【0064】
第2シート50の厚さは、十分な光透過性、好ましくは高い透明性を達成し、かつ画像記録の際の圧力を第2シート50と粘着層37との界面に伝達するためには薄いことが好ましく、物理的強度を高くするためには厚いことが好ましい。このような観点から、第2シート50を構成する主たる基材54の厚さは38〜100μmであることが好ましく、50〜75μmであることがより好ましい。また、マット層52を設ける場合、目的とする表面粗さを得るにはマット層52を厚くすることが好ましく、第2シート50の透明性を維持するためにはマット層52が薄いことが好ましい。このような観点から、マット層52の厚さは2〜20μmであることが好ましく、5〜10μmであることがより好ましい。また、保護層56を設ける場合、保護層56の厚さは0〜100μmであることが好ましく、25〜50μmであることがより好ましい。
【0065】
[止着部ならびに把持部]
止着部61ならびに把持部62について以下に詳述する。
筆記シート10は、止着部61と、把持部62とを有している。止着部61ならびに把持部62は、止着部61と把持部62とを互いに近づけることにより、筆記シート10の第1シート30及び第2シート50を共に撓ませることが可能であれば、筆記シート10の任意の箇所に設けることができる。止着部61ならびに把持部62は、各々複数設けてもよい。
本実施の形態では、筆記シート10の法線方向から見たときに、すなわち平面視において、筆記シート10は矩形形状を有しており、止着部61と把持部62は、筆記シート10の矩形形状の筆記面3をはさんで互いに対向するように設けられている。
止着部61と把持部62は、筆記面3をはさんで互いに対向するように設けると、止着部61と把持部62とを互いに近づけることにより、筆記シート10の筆記面3全体が撓んで、筆記面3に記録された画像を一度に効率よく消去することが出来るので、好ましい。
【0066】
筆記シート10は、止着部61でベース部材60に取り付けられ、筆記シート10がベース部材60に取り付けられた状態で、筆記シート10の第1シート30及び第2シート50を共に撓ませることが可能である。
本実施の形態では、止着部61は、筆記シート10の1辺(図1では上端部)のシート面に形成された貫通孔であり、ベース部材60は、筆記シート10のシート面の法線方向から見て略矩形形状の輪郭を有する板状の部材であり、筆記シート10がベース部材60上に配設され、筆記シート10が、止着部61で、ベース部材60の1辺の面上の端部(図1では上端部)に配設された止着手段64により、ベース部材60に穴綴じされている。
止着部61の形状は、筆記シート10を止着部61でベース部材60に取り付けることができれば、特に限定されるものではない。
また、筆記シート10を止着部61でベース部材60に取り付ける方法は、特に限定されるものではなく、たとえば、接着剤による接着や、粘着剤による粘着や、粘着性を有する部材同士の密着や、熱や超音波やレーザーなどによる溶着や、部材同士の嵌合などを、適宜選択することができる。また、前記の取り付け方法を複数組み合わせてもよい。
【0067】
筆記シート10の把持部62は、使用者が手で把持できる部分であり、たとえば、筆記シート10の一辺を把持部62として、使用者が筆記シート10の第1面(背面)10a側に手の親指で触れ、筆記シート10の第2面(前面)10b側に手の人差し指で触れて、親指と人差し指とで把持部62を把持することができる。
把持部62の形状は、使用者が手で把持できれば、特に限定されるものではない。
本実施の形態では、筆記シート10の1辺(図1では下端部)が把持部62であり、筆記シート10は、筆記シート10のシート面に沿った両端部(図1では上端部および下端部)において、背面カバーフィルム22と前面カバーフィルム42とが互いに固定されている。
このような構成により、止着部61と把持部62とを互いに近づけた場合、すなわち、筆記シート10を、前面側積層体40側に向かって曲がるように撓ませた場合に、後述するように、背面側積層体20と前面側積層体40とが互いに固定されている両端部の間の領域において、曲げの内側となる前面側積層体40に生じた歪み(力)が逃げず、これにより背面側積層体20と前面側積層体40との間に隙間が生じ、背面側積層体20の第1シート30の粘着層37と、前面側積層体40の第2シート50のマット面52aとが互いに剥離して、粘着層37とマット面52aとが互いに密着した部分で形成された画像5が消去されるので、筆記シート10に記録された画像5の消去性に優れる。
【0068】
筆記シート10の一部を舌片状に形成することや、筆記シート10に、舌片状のつまみを連成することなどにより、把持部62を形成して、把持部の把持性を向上させることもできる。
また、筆記シート10の一部の厚み(法線方向の厚み)を厚く形成することや、筆記シート10に、筆記シート10の厚み(法線方向の厚み)よりも厚みを有する部材を連成することなどにより、把持部62を形成して、把持部の把持性を向上させることもできる。
さらにまた、把持部62の表面に凹凸を設けることや、把持部62の表面にシボ加工や梨地加工などを施すことなどにより、把持部62の把持性を向上させることもできる。
【0069】
次に、図4及び図5を参照して、本実施の形態の筆記ボード1における、筆記シート10の画像5の記録及び消去について説明する。
図4は、筆記ボード1における筆記の様子を説明するためのA−A縦断面図であり、図5は、筆記ボード1における画像5の消去の様子を説明するためのA−A縦断面図である。図4及び図5では、背面側積層体20及び前面側積層体40が、それぞれ簡略化した断面で示されている。また、図5では、撓む前の筆記シート10が一点鎖線で示されている。なお、図5で一点鎖線で示された撓む前の筆記シート10は、図4に示された筆記シート10に対応している。
【0070】
筆記シート10に画像を記録する際には、図4に示されているように、ペン7などを用い、筆記シート10の第2面(前面)10bを介して、第2シート50の所望の部分を加圧する。これにより、加圧された部分の直下で第1シート30と第2シート50とが密着する。とりわけ本実施の形態では、第1シート30の粘着層37と第2シート50のマット面52aとが密着する。その結果、第1シート30と第2シート50との間に存在していた空気層が実質的になくなり、第2シート50のマット面52aにおける光の屈折率が変化する。この結果、未加圧部分のマット面52aにおける光の屈折率と、加圧部分のマット面52aにおける光の屈折率が互いに異なるようになり、未加圧部分と加圧部分との間にコントラストが生じることにより筆記シート10に画像5が記録される。一般的には、加圧された部分では第1シート30の色彩が第2シート50上部から認識できるようになる。
なお、第1シート30が有色層32を有しない場合には、筆記シート10を有色のベース部材60上に配設して、筆記シート10に画像5を記録することにより、粘着層37とマット面52aとが密着した部分において当該有色のベース部材60の色彩が視認されるようになる。また、他の例として、第1シート30が有色層32を有しない場合には、背面カバーフィルム22として有色のフィルムを用いるようにしても良い。
【0071】
筆記シート10に記録された画像5を消去する際には、図5に示されているように、使用者が手で筆記シート10の把持部62を把持して、第1シート30及び第2シート50を共に撓ませる。
図示された例では、筆記シート10のシート面に沿った両端部(図5では左右の両端部)において、接着層24及び接着層44により、背面カバーフィルム22と前面カバーフィルム42とが互いに固定されている。すなわち、当該両端部においては、背面側積層体20と前面側積層体40とが互いに固定されている。
また、図示された例では、筆記シート10の右端部に止着部61が設けられ、筆記シート10が当該止着部61でベース部材60に取り付けられていることにより、止着部61が支点となるので、使用者が筆記シート10の左端部に設けられた把持部62を手で把持して上方に持ち上げることで、止着部61と把持部62とが互いに近づくように筆記シート10を撓ませることができる。
図5では、筆記シート10を、前面側積層体40側に向かって曲がるように撓ませているが、これに限られず、筆記シート10を、背面側積層体20側に向かって曲がるように撓ませてもよい。
【0072】
図5に示されているように、筆記シート10を、前面側積層体40側に向かって曲がるように撓ませた場合、背面側積層体20と前面側積層体40とが互いに固定されている両端部の間の領域において、曲げの内側となる前面側積層体40に生じた歪み(力)が逃げず、これにより背面側積層体20と前面側積層体40との間に隙間が生じる。このとき、背面側積層体20の第1シート30の粘着層37と、前面側積層体40の第2シート50のマット面52aとが互いに剥離する。これにより、粘着層37とマット面52aとが互いに密着した部分で形成された画像5が消去される。
【0073】
このように、筆記シート10のシート面に沿った両端部において、背面カバーフィルム22と前面カバーフィルム42とが互いに固定されると、筆記シート10に記録された画像5の消去性が向上するため好ましい。
【0074】
その一方、前記両端部において背面カバーフィルム22と前面カバーフィルム42とが互いに固定されることは、必須の構成ではない。本件発明者らがこのような筆記シート10について検討を進めたところ、前記両端部において背面カバーフィルム22と前面カバーフィルム42とが互いに固定されていなくても、第1シート30及び第2シート50を共に撓ませることにより、筆記シート10に記録された画像5を消去することが可能であることが知見された。
【0075】
このメカニズムについて、本件発明者らは以下の(1)及び(2)のいずれか、または、以下の(1)及び(2)の両方が生じるものと推測している。
(1)第1シート30及び第2シート50を共に撓ませることにより、第1シート30の粘着層37と第2シート50のマット面52aとの間の密着していない部分が拡がり、これにより、粘着層37とマット面52aとの密着部分において、粘着層37とマット面52aとが互いに剥離される。
(2)第1シート30及び第2シート50を共に撓ませることにより、第1シート30及び第2シート50に生じる歪み(力)が粘着層37の粘着力を上回り、これにより、粘着層37とマット面52aとの密着部分において、粘着層37とマット面52aとが互いに剥離される。
【0076】
なお、上記の推測は、筆記シート10のシート面に沿った両端部において、背面カバーフィルム22と前面カバーフィルム42とが互いに固定されていない場合における、画像5の消去のメカニズムを限定するものではない。すなわち、本実施の形態の筆記シート10、及び、筆記シート10における画像5の消去方法は、他のメカニズムにより画像5が消去されるものをも含む。
【0077】
[ベース部材]
ベース部材60について以下に詳述する。
筆記ボード1は、ベース部材60を備えている。ベース部材60は、筆記シート10が止着部61で止着される部材である。ベース部材60は、複数備えてもよい。
ベース部材60の形状は、筆記シート10が止着可能であれば、特に限定されるものではなく、たとえば板状など、使用者が手で把持可能な形状とすることにより、持ち歩きに適した筆記ボード1となるので、好ましい。
本実施の形態では、ベース部材60は表面が平坦な板状の部材であり、ベース部材60上に筆記シート10が配設されている。
このような構成により、ベース部材60が筆記台の役割を果たすので、通常は筆記シート10を机などの平坦な面に載せて使用するところ、立っている状態や歩いている状態でも筆記シート10に文字や画像を記録することができる。
【0078】
筆記シート10がベース部材60上に配設される場合に、ベース部材60の表面(筆記シート10側の表面)の平滑性を高くすることにより、筆記シート10の第2面(前面)10bを介して第2シート50の所望の部分を加圧して、筆記シート10に文字や画像を記録した際に、文字部分や画像部分の第1シート30の粘着層37と第2シート50のマット面52aとが、加圧された部分のみで、かつ加圧された通りに密着するとともに、加圧された部分以外で密着してしまうことがないので、文字や画像を描いた通りに鮮明に記録することができる筆記ボード1となる。
また、筆記シート10がベース部材60上に配設される場合に、ベース部材60の表面(筆記シート10側の表面)に、たとえば、シボ加工や梨地加工などによる微細な凹凸を形成することにより、筆記シート10の第2面(前面)10bを介して第2シート50の所望の部分を加圧して、筆記シート10に文字や画像を記録した際に、文字部分や画像部分の第1シート30の粘着層37と第2シート50のマット面52aとが、加圧された部分だけでなく、加圧された部分の近傍でも微細な点状に密着するので、文字や画像の輪郭をあえて不鮮明にすることができ、あたかもクレヨンやエアブラシを用いて描いたかのような文字や画像を記録することができる筆記ボード1となる。
また、筆記シート10がベース部材60上に配設される場合に、ベース部材60の表面(筆記シート10側の表面)に、たとえば、ストライプ模様、格子模様、ドット模様、蜂の巣模様(ハニカム模様)、市松模様などの、特定のパターン状の凹凸を形成することにより、筆記シート10の第2面(前面)10bを介して第2シート50の所望の部分を加圧して、筆記シート10に文字や画像を記録した際に、第1シート30の粘着層37と第2シート50のマット面52aとが、当該パターン部分および/または当該パターン部分以外で密着するために、当該パターン形状に応じてコントラストが生じて画像が記録されるので、たとえば記録した文字や画像などがストライプ柄や格子柄、ドット柄、蜂の巣柄、市松柄などになり、意匠性にすぐれた筆記ボード1となる。
さらにまた、筆記シート10がベース部材60上に配設される場合に、ベース部材60の表面(筆記シート10側の表面)に、たとえば、マンガやアニメのキャラクターの図柄状の凹凸を形成することにより、筆記シート10の第2面(前面)10bを介して第2シート50の所望の部分を加圧して、筆記シート10に文字や画像を記録した際に、第1シート30の粘着層37と第2シート50のマット面52aとが、当該図柄部分および/または当該図柄部分以外で密着するために、当該図柄形状に応じてコントラストが生じて画像が記録されるので、たとえば文字や画像を記録していくにつれて徐々に前記キャラクターの図柄が浮かび上がり、意匠性にすぐれた筆記ボード1となる。
【0079】
また、文字や画像を記録した状態の筆記シート10を持ち運ぶ場合に、筆記シート10を把持して運ぶと、筆記シート10が撓んでしまい、文字部分や画像部分において密着していた第1シート30の粘着層37と第2シート50のマット面52aとが互いに剥離して、記録された文字や画像が消去されてしまうことがあるが、ベース部材60を備えることにより、ベース部材60を把持して筆記ボード1を持ち運ぶことができるので、持ち運びの際に筆記シート10が撓んでしまうことが抑制され、筆記シート10に記録された文字や画像が消去されてしまうことを効果的に抑制することができる。これらは、筆記シート10よりもベース部材60の方が曲げ剛性が大きい場合に、より効果的である。
さらにまた、ベース部材60を備えることにより、筆記シート10が汚れることや、筆記シート10に傷がつくことを効果的に抑制することができ、また、筆記シート10が何かにぶつかって、筆記シート10に記録された文字や画像が意図せずに消去されてしまうことを効果的に抑制することができる。これらは、筆記シート10よりもベース部材60の方が大きい場合に、より効果的である。
【0080】
ベース部材60の材質は、特に限定されるものではなく、たとえば、紙、合成紙、布、木材、樹脂、金属、ゴム、エラストマーなど、様々な材質を選択することができる。具体的には、紙、合成紙、布、木材、ABS樹脂、AS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などの樹脂や、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、ステンレスなどの金属や、ゴム、エラストマー、ガラス、セラミックなどを挙げることができる。また、前記の材質を複数組み合わせて形成してもよい。
【0081】
本実施の形態の筆記ボード1は、粘着層37を有する第1シート30と、粘着層37に対面するマット面52aを有する第2シート50とを有し、粘着層37とマット面52aとが互いに密着することにより粘着層37とマット面52aとの密着部分に画像5が記録され、第1シート30及び第2シート50を共に撓ませることにより密着部分における粘着層37とマット面52aとが互いに剥離されて画像5が消去される筆記シート10と、筆記シート10を止着可能なベース部材60とを備え、筆記シート10が、止着部61と、把持部62とを有し、止着部61でベース部材60に取り付けられ、筆記シート10がベース部材60に取り付けられた状態で、第1シート30及び第2シート50を共に撓ませることが可能である。
【0082】
図5においては、図面の理解を容易にするために、背面側積層体20と前面側積層体40との間に形成される隙間の大きさが誇張されている。また、背面側積層体20と前面側積層体40との間に形成される隙間の大きさは、筆記シート10の撓みの程度に依存する。本実施の形態では、背面側積層体20と前面側積層体40との間に形成される隙間が比較的小さい場合であっても、粘着層37とマット面52aとを互いに剥離させて画像5を消去することが可能である。したがって、本実施の形態によれば、筆記シート10に記録された画像5を消去する際に、粘着層37とマット面52aとの間に大きな隙間を生じさせる必要がない。したがって、粘着層37とマット面52aとの間に形成される隙間に塵埃等の異物が進入することを効果的に抑制することができる。
【0083】
また、本実施の形態によれば、粘着層37とマット面52aとの間に摺動部材を配置する必要がないので、筆記シート10を繰り返し使用することによる粘着層37の粘着力の低下を抑制することができる。したがって、筆記シート10が繰り返し使用された際における、画像5の記録の安定性の低下を抑制することができる。
【0084】
また、使用者が手で筆記シート10の把持部62を把持して、第1シート30及び第2シート50を共に撓ませることができるので、粘着層37とマット面52aとの間の全体に、短時間で隙間を形成することができる。したがって、筆記シート10に記録された画像5が消去されるために要する時間を短縮することが可能になる。
【0085】
[指先当接部]
指先当接部63について以下に詳述する。
筆記ボード1は、筆記シート10の把持部62に指先当接部63を備えていてもよい。
本実施の形態では、筆記シート10の1辺(図1では下端部)が把持部62であり、筆記シート10がベース部材60の上に配設され、筆記シート10の法線方向から見たときに、すなわち平面視において、筆記シート10よりもベース部材60の方が大きい構成であり、図1においてベース部材60の下端部中央に、略半円形の切り欠き部が設けられていることにより、筆記シート10の第2面(前面)10b側に加えて、筆記シート10の第1面(背面)10a側にも指先当接部63が設けられている。
このような構成により、たとえば、使用者が筆記シート10の第1面(背面)10a側の指先当接部63に手の親指で触れ、筆記シート10の第2面(前面)10b側の指先当接部63に手の人差し指で触れて、親指と人差し指とで、筆記シート10の把持部62を容易に把持することができ、第1シート30及び第2シート50を共に容易に撓ませることができるので、短時間で画像を消去することができる。
【0086】
指先当接部63は、複数設けてもよい。また、形状は特に限定されない。
筆記シート10がベース部材60上に配設される場合には、たとえば、ベース部材60に切り欠き部を設けることや、ベース部材60の表面(筆記シート10側の表面)に凸部を形成して、ベース部材60と筆記シート10との間に間隙を設けることや、筆記シート10の第1面(背面)10aに凸部を形成して、ベース部材60と筆記シート10との間に間隙を設けることなどにより、筆記シート10の第2面(前面)10b側に加えて、筆記シート10の第1面(背面)10a側にも指先当接部63を設けることができる。切り欠き部や凸部は複数設けてもよい。また、切り欠き部や凸部の形状は特に限定されない。
【0087】
[止着手段]
止着手段64について以下に詳述する。
筆記ボード1は、止着手段64を備え、該止着手段により、筆記シート10がベース部材60に着脱可能に取り付けられていてもよい。
本実施の形態では、ベース部材60の1辺の面上の端部(図1では上端部)に、止着手段64として、開閉可能な環状部65を有する綴じ具が配設され、止着部61として貫通孔が形成された筆記シート10が該綴じ具によりベース部材60に着脱可能に穴綴じされている。
【0088】
図6を参照して、本実施の形態の筆記ボード1における、筆記シート10のベース部材60への着脱について説明する。
図6は、図1の筆記ボード1における筆記シート10の着脱の様子を説明するためのA−A縦断面図である。
本実施の形態の止着手段(綴じ具)64は、蓋板と、基板と、該蓋板と該基板とを連結する可撓性を有する連結部からなり、弾性を備えた合成樹脂で一体的に成形され、基板上には複数の綴棒が設けられ、蓋板には該綴棒の先端を嵌合可能な綴穴が穿設され、蓋板と連結部と基板と綴棒とで、開閉可能な環状部65を形成している。
筆記ボード1に筆記シート10を着脱する場合には、蓋板の綴穴と基板の綴棒との嵌合を解くことにより、止着手段(綴じ具)64の環状部65を開いた状態として、止着部(貫通孔)61で綴棒に穴綴じされていた筆記シート10をベース部材60から取り外すことができ、また前記と逆の手順により、筆記シート10をベース部材60に取り付けることができる。
【0089】
止着手段64を備えることにより、たとえば、筆記シート10が汚れた場合や、筆記シート10に傷がついた場合や、繰り返しの使用により粘着層37表面の粘着力が低下し、筆記シート10の画像5の記録安定性が低下した場合などであっても、使用者自身が筆記シート10を容易に交換することができる。
また、互いに異なる色や模様、形状などを有する複数の筆記シート10を用意することにより、使用者が、自身の好みや、使用する用途に応じて筆記シート10を適宜交換することができる。
【0090】
止着手段64は、複数設けてもよい。止着手段64は、ベース部材60に設けてもよく、筆記シート10に設けてもよく、ベース部材60と筆記シート10の両方に設けてもよい。また、止着手段64は、ベース部材60および/または筆記シート10と一体に設けてもよく、別体にて設けてもよい。
止着手段64としては、特に限定されないが、たとえば、
(1)ベース部材60に、開閉可能な環状部を有する綴じ具を配設し、止着部61に穴を穿設した筆記シート10を、該綴じ具によりベース部材60に穴綴じする手段、
(2)ベース部材60に、挟持部を備えた挟持体を配設し、該挟持体における弾性力や、ベース部材60と挟持体との間に介装したばねの弾性力や、ベース部材60ならびに挟持体の少なくとも一部を磁性材料で形成することなどにより、挟持部をベース部材60の表面に圧着し、ベース部材60と挟持体との間に筆記シート10の止着部61を挟持する手段、
(3)ベース部材60および/または筆記シート10の止着部61に、アクリル系粘着剤などにより、再剥離性を有する粘着層を設け、筆記シート10をベース部材60に粘着する手段、
(4)ベース部材60に突状の嵌合雄部を設け、該嵌合雄部に着脱可能に嵌合する嵌合雌部を筆記シート10の止着部61に設け、筆記シート10をベース部材60に嵌着する手段、
(5)ベース部材60および/または筆記シート10の止着部61に、マジックテープ(登録商標)やベルクロ(VELCRO/登録商標)などの面ファスナーを設け、筆記シート10をベース部材60に貼着する手段、
(6)ベース部材60の少なくとも一部と、筆記シート10の止着部61の少なくとも一部を、磁性材料で形成し、筆記シート10をベース部材60に磁着する手段、
などを、適宜選択することができる。また、前記の手段を複数組み合わせてもよい。
【0091】
止着手段64により、筆記シート10に加えて、たとえばシート状の部材に図柄や溝やスリットなどを設けたシート材がベース部材60に着脱可能に取り付けられていてもよい。
前記シート材を、止着手段64により、筆記シート10の背面および/または前面に着脱可能に取り付けると共に、シート材の図柄や溝やスリットを、たとえば、
(1)文字や数字、記号などを筆記して覚えるための手本となる図柄や溝やスリット、
(2)足し算や掛け算などの算数に関する問題や、漢字などの国語に関する問題となる図柄や溝やスリット、
(3)動物の図柄や、マンガやアニメのキャラクターの図柄などをトレースするための原画となる図柄や溝やスリット、
などにすることにより、文字や数字の練習の際や、算数や漢字の学習の際や、動物やキャラクターの描画の際などに、シート材が筆記シート10の背面および/または前面からずれることが効果的に抑制されるので、前記の練習や学習や描画などに適した筆記ボード1となる。
また、使用者が、自身の好みや、使用する用途に応じて、前記シート材を適宜交換することができる。
なお、シート材を筆記シート10の背面に着脱する場合には、たとえば、筆記シート10の第1シート30の有色層32を無色透明や有色透明とすることなどにより、筆記シート10を透過して、シート材に設けられた図柄や溝やスリットを視認することができる。
【0092】
また、止着手段64により、筆記シート10に加えて、たとえば筆記用紙などがベース部材60に着脱可能に取り付けられていてもよい。
筆記用紙をベース部材60に着脱可能に取り付けることにより、筆記シート10と筆記用紙とを同時に持ち運ぶことができ、記録した文字や画像を短時間で簡易に消去したい場合には筆記シート10を使用し、記録した文字や画像を残しておきたい場合には筆記用紙を使用するというように、目的に応じて筆記シート10への記録と筆記用紙への記録とを使い分けることができる。
【0093】
[カバー部材]
カバー部材70について以下に詳述する。
筆記ボード1は、筆記シート10の表面を保護するカバー部材70を備え、カバー部材70がベース部材60に連設されていてもよい。
本実施の形態では、ベース部材60の1辺(図1では左端部)に、カバー部材70として、板状のカバー部材70が連設されている。より具体的には、一枚の矩形板状の部材に折り目を設けて、該折り目で矩形板状の部材を折り返すことにより、ベース部材60とカバー部材70とが形成されている。図1においては、ベース部材60とカバー部材70とを見開いた状態として、筆記シート10の筆記面3を露出させて、ペン7などにより画像5を記録可能としているが、ベース部材60とカバー部材70とを閉じた状態として、筆記シート10の筆記面3を覆うこともできる。
【0094】
カバー部材70を設けることにより、筆記シート10が汚れることや、筆記シート10に傷がつくことを効果的に抑制することができる。また、筆記シート10の筆記面3が何かにぶつかって、第2シート50と粘着層37とが密着してしまい、筆記シート10に意図しない画像が記録されてしまうことや、またはその逆に、文字や画像が記録された状態の筆記シート10が何かにぶつかって、文字や画像が意図せずに消去されてしまうことを、効果的に抑制することができる。これらは、筆記シート10よりもカバー部材70の方が大きい場合に、より効果的である。また、これらは、筆記シート10よりもカバー部材70の方が曲げ剛性が大きい場合に、より効果的である。
【0095】
カバー部材70は複数備えていてもよい。また、カバー部材70の形状は、筆記シート10の表面を保護可能であれば、特に限定されない。カバー部材70は、ベース部材60と一体に設けてもよく、別体にて設けてあってもよい。
カバー部材70をベース部材60に連設する方法は、特に限定されないが、たとえば、
(1)一枚の板状の部材に折り目を設けて、該折り目で折り返すことにより、ベース部材60とカバー部材70とを形成する方法、
(2)ベース部材60とカバー部材70とを、可撓性を有する部材で連結する方法、
(3)ベース部材60に、開閉可能な環状部を有する綴じ具を配設し、カバー部材70に穴を穿設し、該綴じ具により、ベース部材60にカバー部材70を穴綴じする方法、および/または、カバー部材70に、開閉可能な環状部を有する綴じ具を配設し、ベース部材60に穴を穿設し、該綴じ具により、カバー部材70にベース部材60を穴綴じする方法、
(4)ベース部材60に設けられた前記止着手段64によって、筆記シート10と共にカバー部材70をベース部材60に着脱可能に取り付ける方法、
などを、適宜選択することができる。また、前記の方法を複数組み合わせてもよい。
【0096】
カバー部材70の材質は、特に限定されるものではなく、たとえば、紙、合成紙、布、木材、樹脂、金属、ゴム、エラストマーなど、様々な材質を選択することができる。具体的には、紙、合成紙、布、木材、ABS樹脂、AS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などの樹脂や、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、ステンレスなどの金属や、ゴム、エラストマー、ガラス、セラミックなどを挙げることができる。また、前記の材質を複数組み合わせて形成してもよい。
【0097】
また、本実施の形態では、カバー部材70の裏面(ベース部材60とカバー部材70とを閉じた状態において、筆記シート10側となる表面)に、平面視において略矩形形状のシート部材が、その2辺(図1では左辺及び下辺)で、カバー部材70に熱によって溶着されることにより、収容部90が形成されている。
カバー部材70に収容部90を設けることにより、たとえば、収容部90、すなわちカバー部材70と前記シート部材との間に筆記用紙などを挟持することで、筆記シート10と筆記用紙とを同時に持ち運ぶことができ、記録した文字や画像を短時間で簡易に消去したい場合には筆記シート10を使用し、記録した文字や画像を残しておきたい場合には筆記用紙を使用するというように、記録する目的に応じて筆記シート10への記録と筆記用紙への記録とを使い分けることができる。
収容部90は、カバー部材70と一体に設けてもよく、別体にて設けてもよい。収容部は複数設けてもよい。また、収容部90の形状は特に限定されない。
【0098】
[筆記部材取付部]
筆記部材取付部について以下に詳述する。
筆記ボード1は、ペン7を着脱可能な筆記部材取付部を備えていてもよい。
筆記部材取付部としては、どのような形状、材質であってもよく、ベース部材60やカバー部材70と一体に設けてもよく、別体にて設けてもよい。
たとえば、ペン7に設けたクリップ部を掛止可能な1個または複数の孔部やスリット部、ペン7を収容可能な袋状部、ペン7を挟持可能なC字状部などの挟持片、ペン7の外面と凹凸嵌合できる形状、少なくとも一部を磁性体で形成したペン7を磁着可能な磁性体などを挙げることができ、ベース部材60やカバー部材70の形状、材質や、ペン7の形状、材質に応じて適宜適用される。また、前記の構成を複数組み合わせてもよい。
【0099】
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を適宜参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
【0100】
[筆記シートの変形例]
筆記シート10の変形例について以下に詳述する。
図7は、筆記シート10の第1シート30及び第2シート50の変形例を示す断面図である。本変形例による筆記シート10に用いられる第1シート30は、基材層33と、第2シート50に対向する面に有色粘着層39を具備してなるものである。この有色粘着層39は、本発明における有色層32と粘着層37とが一体化したものであり、第1の実施形態における有色層32および粘着層37の機能を併せ持っている。有色粘着層39は、画像記録時に第2シート50と密着する層であり、密着することによって、例えば有色粘着層39の色彩が筆記シート10表面から観察できるようになる。有色粘着層39は基材層33の少なくとも一方の面に形成される。基材層33の両側面にそれぞれ有色粘着層39を設けて、それぞれの面に対向する2枚の第2シート50を組み合わせれば、前面と背面の両方に記録可能な筆記シート10とすることもできる。
【0101】
本変形例による筆記シート10は、第1シート30以外は図3を参照して説明した上述の実施形態に係る筆記シート10と同様の構成とすることができる。
【0102】
有色粘着層39に用いられる材料は上述の実施形態において有色層32または粘着層37に用いられるものと同様のものを用いることができる。
【0103】
本実施の形態の筆記ボード1は、粘着層37を有する第1シート30と、粘着層37に対面するマット面52aを有する第2シート50とを有し、粘着層37とマット面52aとが互いに密着することにより粘着層37とマット面52aとの密着部分に画像5が記録され、第1シート30及び第2シート50を共に撓ませることにより密着部分における粘着層37とマット面52aとが互いに剥離されて画像5が消去される筆記シート10と、筆記シート10を止着可能なベース部材60とを備え、筆記シート10が、止着部61と、把持部62とを有し、止着部61でベース部材60に取り付けられ、筆記シート10がベース部材60に取り付けられた状態で、第1シート30及び第2シート50を共に撓ませることが可能である。
【0104】
このような筆記ボード1によれば、筆記シート10が止着部61でベース部材60に取り付けられることにより、止着部61が支点となるので、筆記シート10の把持部62を把持して上方に持ち上げることで、止着部61と把持部62とが互いに近づくように筆記シート10を撓ませることができ、異物の侵入を抑制することができるとともに、短時間で画像を消去することができ、繰り返し使用された際における画像の記録の安定性の低下を抑制することができる。
【0105】
本実施の形態の筆記ボード1は、筆記シート10の把持部62に、指先当接部63が設けられていてもよい。
【0106】
このような筆記ボード1によれば、指先当接部63が設けられることにより、筆記シート10が筆記シート10よりも大きいベース部材60上に配設されている場合でも、筆記シート10の第2面(前面)10bだけでなく、筆記シート10の第1面(背面)10aにも容易に指を当接させ、把持部62を把持することができ、第1シート30及び第2シート50を共に容易に撓ませることができ、短時間で画像を消去することができる。
【0107】
本実施の形態の筆記ボード1は、筆記シート10が、ベース部材60に着脱可能に取り付けられていてもよい。
【0108】
このような筆記ボード1によれば、筆記シート10が汚れた場合や、筆記シート10に傷がついた場合や、繰り返しの使用により粘着層表面の粘着力が低下し、筆記シート10の画像の記録安定性が低下した場合であっても、使用者自身が筆記シート10を容易に交換することができる。
また、互いに異なる色や模様、形状などを有する複数の筆記シート10を用意することにより、使用者が、自身の好みや、使用する用途に応じて筆記シート10を適宜交換することができる。
【0109】
本実施の形態の筆記ボード1は、筆記シート10の表面を保護するカバー部材70を備え、カバー部材70がベース部材60に連設されていてもよい。
【0110】
このような筆記ボード1によれば、筆記シートが汚れることや、筆記シートに傷がつくことを効果的に抑制することができ、また、筆記シートが何かにぶつかって、筆記シートに意図しない画像が記録されてしまうことや、筆記シートに記録された画像が意図せずに消去されてしまうことを効果的に抑制することができる。