(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2021004286
(43)【公開日】20210114
(54)【発明の名称】ポリカーボネートポリオール誘導体
(51)【国際特許分類】
   C08G 64/42 20060101AFI20201211BHJP
   C08G 64/02 20060101ALI20201211BHJP
   C08G 18/44 20060101ALI20201211BHJP
【FI】
   !C08G64/42
   !C08G64/02
   !C08G18/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】2019117526
(22)【出願日】20190625
(71)【出願人】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
【住所又は居所】大阪府大阪市北区大深町3番1号
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畑中 慎太郎
【住所又は居所】東京都港区港南2−18−1 株式会社ダイセル内
(72)【発明者】
【氏名】紺野 貴史
【住所又は居所】東京都港区港南2−18−1 株式会社ダイセル内
【テーマコード(参考)】
4J029
4J034
【Fターム(参考)】
4J029AA09
4J029AB02
4J029AC01
4J029AD01
4J029AE11
4J029AE17
4J029FA17
4J029HA01
4J029JB131
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4J029KH01
4J034BA03
4J034DA01
4J034DA03
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4J034DB08
4J034DC02
4J034DF02
4J034HA01
4J034HA07
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA01
4J034QB12
4J034QB13
4J034QC05
4J034RA07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】末端アミノ基を有する、新規のポリカーボネートポリオール誘導体を提供する。
【解決手段】下記式(1)においてAのポリカーボネート骨格を含む基を持ち、n、mは平均値であって、n≧2、且つn−m>0を満たす数である。前記Aは、数平均分子量300〜10000のポリカーボネートポリオールの構造式から全ての水酸基を除いた基であって、下記式(a)で表される繰り返し単位を有する基を含む。


【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表されるポリカーボネートポリオール誘導体。
【化1】
(式中、Aはポリカーボネート骨格を含む基を示す。n、mは平均値であって、n≧2、且つn−m>0を満たす数である)
【請求項2】
式(1)中のAが、数平均分子量300〜10000のポリカーボネートポリオールの構造式から全ての水酸基を除いた基であって、下記式(a)
【化2】
(式中、Rは置換基を有していてもよい2価の脂環式炭化水素基を示し、前記置換基は−(OC(=O)OR’)t−OH基である。前記R’は脂環式炭化水素基を示し、tは1以上の整数を示す)
で表される繰り返し単位を有する基を含む、請求項1に記載のポリカーボネートポリオール誘導体。
【請求項3】
式(1)中のn、mが、(n−m)/m=1.5〜6.0を満たす数である、請求項1又は2に記載のポリカーボネートポリオール誘導体。
【請求項4】
下記式(2)で表される化合物と下記式(3)で表される化合物とのエステル交換反応により、請求項1〜3の何れか1項に記載のポリカーボネートポリオール誘導体を得る、ポリカーボネートポリオール誘導体の製造方法。
【化3】
(式中、Aはポリカーボネート骨格を含む基を示す。nは平均値であって、2以上の数である。R”は炭素数1〜5のアルキル基を示す)
【請求項5】
アルコール化合物とポリイソシアネート化合物の重付加物であって、前記アルコール化合物が、請求項1〜3の何れか1項に記載のポリカーボネートポリオール誘導体を含むことを特徴とする、ポリウレタンポリウレア樹脂。
【請求項6】
請求項5に記載のポリウレタンポリウレア樹脂を含む1液型塗料。
【請求項7】
請求項1〜3の何れか1項に記載のポリカーボネートポリオール誘導体とポリイソシアネート化合物とを含む2液型塗料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のポリカーボネートポリオール誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
末端アミノ基を有するポリエーテル(或いは、ポリエステル)は、ポリ(ウレタン)ウレア樹脂の原料として知られている。
【0003】
そして、特許文献1には、末端アミノ基と芳香族アミド基とを有するポリエステルポリオール誘導体は、ポリエステルポリオール(=末端アミノ基及び芳香族アミド基を有さない)に比べて、ポリイソシアネートとの重付加反応が速やかに進行して、高い機械強度を有するポリ(ウレタン)ウレアアミド樹脂が得られることが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、末端アミノ基と芳香族アミド基とを有するポリエーテルポリオール誘導体を使用すれば、末端アミノ基を有し、芳香族アミド基は有さないポリエーテルポリオール誘導体を使用する場合に比べて、優れた耐熱性および機械的強度を有するポリ(ウレタン)ウレアアミド樹脂が得られることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平6−17473号公報
【特許文献2】特開昭60−208320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1、2に記載の誘導体は、ポリエステル骨格あるいはポリエーテル骨格を有することから、前記誘導体とポリイソシアネートとの重付加物である樹脂は、耐熱性、耐酸性、及び耐水性の点が不十分である。そのため、ポリイソシアネートとの重付加反応により、優れた耐熱等を備える樹脂を形成可能なポリオール誘導体が求められていた。
【0007】
そして、末端アミノ基を有するポリカーボネートポリオール誘導体は知られていない。
【0008】
従って、本発明の目的は、末端アミノ基を有するポリカーボネートポリオール誘導体を提供することにある。
本発明の他の目的は、末端アミノ基を有するポリカーボネートポリオール誘導体であって、ポリイソシアネートとの重付加反応により、耐熱性、耐酸性、及び耐水性に優れた樹脂を形成することができる化合物を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記末端アミノ基を有するポリカーボネートポリオール誘導体の製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記末端アミノ基を有するポリカーボネートポリオール誘導体を用いて得られるポリウレタンポリウレア樹脂を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記ポリウレタンポリウレア樹脂を含む塗料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、下記式(1)で表されるポリカーボネートポリオール誘導体が、耐熱性、耐酸性、及び耐水性に優れたポリウレタンポリウレア樹脂の原料として好適であることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
【0010】
すなわち、本発明は下記式(1)で表されるポリカーボネートポリオール誘導体を提供する。
【化1】
(式中、Aはポリカーボネート骨格を含む基を示す。n、mは平均値であって、n≧2、且つn−m>0を満たす数である)
【0011】
本発明は、また、前記Aが、数平均分子量300〜10000のポリカーボネートポリオールの構造式から全ての水酸基を除いた基であって、下記式(a)
【化2】
(式中、Rは置換基を有していてもよい2価の脂環式炭化水素基を示し、前記置換基は−(OC(=O)OR’)t−OH基である。前記R’は脂環式炭化水素基を示し、tは1以上の整数を示す)
で表される繰り返し単位を有する基を含む、前記ポリカーボネートポリオール誘導体を提供する。
【0012】
本発明は、また、式(1)中のn、mが、(n−m)/m=1.5〜6.0を満たす数である、前記ポリカーボネートポリオール誘導体を提供する。
【0013】
本発明は、また、下記式(2)で表される化合物と下記式(3)で表される化合物とのエステル交換反応により、前記ポリカーボネートポリオール誘導体を得る、ポリカーボネートポリオール誘導体の製造方法を提供する。
【化3】
(式中、Aはポリカーボネート骨格を含む基を示す。nは平均値であって、2以上の数である。R”は炭素数1〜5のアルキル基を示す)
【0014】
本発明は、また、アルコール化合物とポリイソシアネート化合物の重付加物であって、前記アルコール化合物が、前記ポリカーボネートポリオール誘導体を含むことを特徴とする、ポリウレタンポリウレア樹脂を提供する。
【0015】
本発明は、また、前記ポリウレタンポリウレア樹脂を含む1液型塗料を提供する。
【0016】
本発明は、また、前記ポリカーボネートポリオール誘導体とポリイソシアネート化合物とを含む2液型塗料を提供する。
【発明の効果】
【0017】
式(1)で表されるポリカーボネートポリオール誘導体は、耐熱性、耐酸性、及び耐水性に優れたポリウレタンポリウレア樹脂の原料として好適である。また、エポキシ樹脂の硬化剤としても好適である。
前記式(1)で表されるポリカーボネートポリオール誘導体は、式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物とのエステル交換反応により、効率よく製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[ポリカーボネートポリオール誘導体]
本発明のポリカーボネートポリオール誘導体は、下記式(1)で表される。
【化4】
(式中、Aはポリカーボネート骨格を含む基を示す。n、mは平均値であって、n≧2、且つn−m>0を満たす数である)
【0019】
前記Aはポリカーボネート骨格を含む基(例えば、ポリカーボネート骨格を含むn価の基)であり、より詳細には、ポリカーボネート骨格を含むポリオールから全ての水酸基を除いた残基である。
【0020】
前記ポリオールは、ポリカーボネート骨格のみを含んでいてもよく、他の骨格を含んでいても良い。他の骨格としては、例えば、ポリエステル骨格やポリエーテル骨格が挙げられる。すなわち、ポリオールとしては、ポリカーボネートポリオール、ポリカーボネート/ポリエステル共重合体ポリオール、ポリカーボネート/ポリエーテル共重合体ポリオール、及びポリカーボネート/ポリエステル/ポリエーテル共重合体ポリオールから選択される少なくとも1種が好ましい。
【0021】
前記ポリカーボネート骨格は、例えば、下記式(a)で表される繰り返し単位を有する。
【化5】
【0022】
前記Aとしては、なかでも、より優れた耐熱性、耐酸性、及び耐水性を有するポリウレタンポリウレア樹脂が得られる点で、ポリカーボネート骨格(好ましくは、上記式(a)で表される繰り返し単位)を、前記A全量の50重量%以上含有することが好ましく、より好ましくは55重量%以上、更に好ましくは60重量%以上、特に好ましくは70重量%以上、最も好ましくは80重量%以上、とりわけ好ましくは90重量%以上である。
【0023】
式(a)中、Rは2価の炭化水素基、又は2個以上の炭化水素基が単結合又は連結基を介して結合した2価の基を示す。前記炭化水素基には、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、及びこれらの結合した基が含まれる。
【0024】
2価の炭化水素基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等の炭素数1〜18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基;1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基等の炭素数3〜18のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む);フェニレン基等の炭素数6〜18のアリーレン基等が挙げられる。
【0025】
式(a)中、Rは置換基として、−(OC(=O)OR’)t−OH基を有していてもよい。前記R’は2価の炭化水素基を示し、上記Rと同様の例が挙げられる。また、tは1以上の整数を示す。
【0026】
前記連結基としては、例えば、カルボニル基(−CO−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−)等が挙げられる。
【0027】
前記Rとしては、なかでも、工業的に入手容易な点で、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基が好ましく、とりわけ置換基を有していてもよい炭素数1〜18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。
【0028】
前記Aとしては、ポリイソシアネートとの重付加反応が速やかに進行して、より優れた耐熱性、耐酸性、及び耐水性を有するポリウレタンポリウレア樹脂が得られる点で、ポリカーボネートポリオール、若しくはポリカーボネート/ポリエステル共重合体ポリオールの構造式から全ての水酸基を除いた基であることが好ましい。
【0029】
前記ポリカーボネートポリオール、若しくはポリカーボネート/ポリエステル共重合体ポリオールの数平均分子量は、例えば300〜10000であり、なかでも、ポリイソシアネートとの重付加反応が速やかに進行して、より優れた耐熱性、耐酸性、及び耐水性を有するポリウレタンポリウレア樹脂が得られる点で、好ましくは400〜4000、特に好ましくは500〜3000、最も好ましくは600〜2500、とりわけ好ましくは1100〜2500である。
【0030】
前記式(1)中のn、mは、それぞれ平均値であって、nは2以上の数であり、好ましくは2〜4の数、特に好ましくは2〜3の数である。mは2未満の数であり、好ましくは0を超え1.5以下の数、特に好ましくは0.5〜1.5の数である。
【0031】
また、前記n、mは、(n−m)/mが1.5〜6.0を満たす数であることが、より優れた耐熱性、耐酸性、及び耐水性を有するポリウレタンポリウレア樹脂が得られる点で好ましく、特に好ましくは2.0〜5.0、最も好ましくは2.0〜4.0である。
【0032】
すなわち、式(1)で表される化合物において、末端アミノ基と末端水酸基のモル比(末端アミノ基/末端水酸基)は、60/40〜85/15であることが好ましく、特に好ましくは65/35〜85/15、最も好ましくは65/35〜80/20である。
【0033】
式(1)で表される化合物の全官能基価(官能基は、アミノ基と水酸基)は、例えば10〜300KOHmg/gであり、より優れた耐熱性、耐酸性、及び耐水性を有するポリウレタンポリウレア樹脂が得られる点で、好ましくは30〜220KOHmg/g、特に好ましくは50〜180KOHmg/g、とりわけ好ましくは60〜120KOHmg/gである。尚、上記全官能基価は、JIS K 0070に記載の方法により測定できる。
【0034】
[ポリカーボネートポリオール誘導体の製造方法]
本発明のポリカーボネートポリオール誘導体は、例えば、下記式(2)で表される化合物(=n価のポリオール)と下記式(3)で表される化合物(=アミノ安息香酸エステル)とをエステル交換反応に付すことにより製造することができる。当該エステル交換反応によれば、一段階で本発明のポリカーボネートポリオール誘導体を製造することができ、作業性に優れる。
【化6】
(式中、Aはポリカーボネート骨格を含む基を示す。nは平均値であって、2以上の数である。R”は炭素数1〜5のアルキル基を示す)
【0035】
式(2)中のAは、式(1)中のAに対応する。式(2)で表される化合物としては、例えば、ポリカーボネートポリオール、ポリカーボネート/ポリエステル共重合体ポリオール、ポリカーボネート/ポリエーテル共重合体ポリオール、ポリカーボネート/ポリエステル/ポリエーテル共重合体ポリオールなどが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0036】
式(2)で表される化合物の数平均分子量は、例えば300〜10000であり、なかでも、ポリイソシアネートとの重付加反応が速やかに進行して、より優れた耐熱性、耐酸性、及び耐水性を有するポリウレタンポリウレア樹脂が得られる点で、好ましくは400〜4000、特に好ましくは500〜3000、最も好ましくは600〜2500である。
【0037】
式(2)で表される化合物としては、なかでも、ポリカーボネートポリオール及び/又は、ポリカーボネート/ポリエステル共重合体ポリオールを使用することが好ましい。
【0038】
式(2)で表される化合物全量における、ポリカーボネートポリオールの占める割合は、例えば40重量%以上であり、より優れた耐熱性、耐酸性、及び耐水性を有するポリウレタンポリウレア樹脂が得られる点で、50重量%以上が好ましく、より好ましくは55重量%以上、更に好ましくは60重量%以上、特に好ましくは70重量%以上、最も好ましくは80重量%以上、とりわけ好ましくは90重量%以上である。式(2)で表される化合物は、ポリカーボネートポリオールのみから成るものであっても良い。
【0039】
前記ポリカーボネートポリオールは下記式(4)で表される化合物である。前記式(4)で表される化合物は、下記式(5)で表されるカーボネートと下記式(6)で表されるポリオールとの反応により得られる。
【化7】
【0040】
式(4)、式(6)中のRは、式(a)中のRに対応する。式(4)中の2つのRは同一であっても良く、異なっていても良い。
【0041】
式(4)中のsは、括弧内に示される繰り返し単位の数であり、例えば1〜70の整数、好ましくは1〜30の整数、特に好ましくは1〜20の整数である。
【0042】
式(5)中のR1、R2は同一又は異なって、1価の炭化水素基を示す。R1、R2は互いに連結して、隣接するカーボネート基と共に環を形成していてもよい。前記炭化水素基としては、式(a)中の2価の炭化水素基に対応する1価の基が挙げられる。
【0043】
前記式(5)で表されるカーボネートとしては、例えば、ジエチルカーボネート等のジC1-5アルキルカーボネート;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のC2-5アルキレンカーボネート;ジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジアントリルカーボネート、ジフェナントリルカーボネート、テトラヒドロナフチルカーボネート等のジアリールカーボネート等が挙げられる。
【0044】
前記式(5)で表されるカーボネートとしては、なかでも、C2-5アルキレンカーボネートが好ましい。
【0045】
前記式(6)で表されるポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ダイマー酸ジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド付加物、ビス(β−ヒドロキシエチル)ベンゼン、キシリレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0046】
前記式(6)で表されるポリオールとしては、なかでも、C1-10アルキレングリコールが好ましく、特にC3-8アルキレングリコールが好ましく、とりわけ1,6−ヘキサンジオールが好ましい。
【0047】
ポリエステルポリオールは、例えば、ポリオールとカルボン酸(ポリカルボン酸やヒドロキシカルボン酸等)を反応させることにより合成することができる。その他、ラクトン類を開環重合することでも合成することができる。
【0048】
前記ポリオールとしては、上記式(6)で表されるポリオールを挙げることができる。
【0049】
前記カルボン酸としては、例えば、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アゼライン酸、クエン酸、2,6−−ナフタレンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シトラコン酸、1,10−デカンジカルボン酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、乳酸、リンゴ酸、グリコール酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等が挙げられる。
【0050】
前記ラクトンとしては、例えば、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
【0051】
式(3)中のR”は炭素数1〜5のアルキル基を示し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。
【0052】
式(3)で表される化合物のアミノ基の結合位置は、オルト位、メタ位、パラ位のいずれであってもよいが、反応性の観点からパラ位が好ましい。
【0053】
また、式(3)中の芳香環にはアミノ基以外にも他の置換基が結合していても良い。他の置換基としては、例えば、C1-5アルキル基、C1-5アルコキシ基等が挙げられる。
【0054】
式(3)で表される化合物の使用量は、式(2)で表されるn価のポリオール1モルに対して、例えば0.5n〜10nモル、好ましくは0.8n〜1.2nモルである。尚、nは2以上の数であり、好ましくは2〜4の数、特に好ましくは2〜3の数である。
【0055】
式(3)で表される化合物の使用量は、式(2)で表されるポリオールの水酸基1モルに対して、例えば0.5〜10モル、好ましくは0.8〜1.2モルである。
【0056】
エステル交換反応は、窒素ガスなどの不活性化ガス雰囲気下において、触媒の存在下或いは不存在下に行うことが好ましい。また、反応温度は150〜250℃が好ましい。
【0057】
前記触媒としては、例えば、アルカリ金属化合物やチタン化合物を挙げることができる。また、前記アルカリ金属化合物としては、水酸化リチウムが好ましい。前記チタン化合物としては、テトラアルキルチタネート(例えば、テトラメチルチタネート、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート及びテトライソブチルチタネートから選択された少なくとも1種)が好ましい。触媒としては、なかでも、反応性や取り扱いの観点から、チタン化合物が好適である。
【0058】
触媒の使用量は、例えば原料総量の0.00001〜5重量%、好ましくは0.001〜2重量%である。
【0059】
エステル交換反応は、溶媒の存在下或いは不存在下で行われる。着色防止のため、酸化防止剤を添加しても良い。
【0060】
本発明のポリカーボネートポリオール誘導体は、上記エステル交換反応以外にも、例えば、ポリオールにパラニトロ安息香酸クロライドを反応させ、その後、ニトロ基を還元することによりアミノ基に変換する方法でも製造することができる。
【0061】
[ポリウレタンポリウレア樹脂]
本発明のポリウレタンポリウレア樹脂は、アルコール化合物とポリイソシアネート化合物の重付加物であって、前記アルコール化合物として少なくとも上記ポリカーボネートポリオール誘導体を含むことを特徴とする。
【0062】
本発明では、少なくとも上記ポリカーボネートポリオール誘導体を含むアルコール化合物を使用する。アルコール化合物としては、前記誘導体以外にも、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等を含有していても良いが、アルコール化合物全量における前記誘導体の占める割合は、例えば60重量%以上であることが優れた耐熱性、耐酸性、及び耐水性を有するポリウレタンポリウレア樹脂が得られる点で好ましく、より好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上である。
【0063】
前記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0064】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0065】
脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0066】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート等)、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等が挙げられる。
【0067】
前記ポリイソシアネート化合物の使用量としては、イソシアネート基と、アルコール化合物中の水酸基のモル比[イソシアネート基/水酸基]が、例えば0.5〜1.5となる範囲が好ましい。
【0068】
アルコール化合物とポリイソシアネート化合物を反応させる際の温度は、例えば60〜90℃が好ましく、より好ましくは70〜80℃である。上記温度が60℃以上であると、反応時間が短くなる傾向がある。上記温度が90℃以下であると、ポリイソシアネートの副反応を抑制しやすくなる傾向がある。
【0069】
アルコール化合物とポリイソシアネート化合物との反応では、溶剤を用いてもよいし、用いなくてもよい。溶剤としては不活性なものが好ましく、例えば、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、ジメチルフォルムアミド、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0070】
本発明のポリウレタンポリウレア樹脂は、上記ポリカーボネートポリオール誘導体由来の構成単位を含むため、優れた耐熱性、耐酸性、及び耐水性を有する。そのため、耐熱性、耐酸性、及び耐水性が求められる塗膜を形成する材料(例えば、塗料)に好適に使用することができる。
【0071】
[塗料]
本発明の塗料には、1液型塗料と2液型塗料が含まれる。そして、前記1液型塗料は、上記ポリウレタンポリウレア樹脂を含むことを特徴とする。1液型塗料は、被塗布面に塗料を塗布し、乾燥することで塗膜を形成することができる。一方、前記2液型塗料は、上記ポリカーボネートポリオール誘導体を少なくとも含むアルコール化合物とポリイソシアネート化合物とを含むことを特徴とする。2液型塗料は、アルコール化合物とポリイソシアネート化合物をそれぞれ別個に保存し、被塗布面上にてこれら(すなわち、アルコール化合物とポリイソシアネート化合物)を混合することでポリウレタンポリウレア樹脂を形成し、その後、乾燥することで塗膜を形成することができる。
【0072】
前記塗料(2液型塗料の場合は、アルコール化合物とポリイソシアネート化合物を混合した後の塗料)は、ポリウレタンポリウレア樹脂以外にも他の樹脂を含有していても良いが、塗料に含まれる樹脂分全量における前記ポリウレタンポリウレア樹脂の占める割合は、例えば60重量%以上であることが優れた耐熱性、耐酸性、及び耐水性を有する塗膜が得られる点で好ましく、より好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上である。
【0073】
また、前記塗料は樹脂分以外にも、一般的な塗料に含まれる成分(例えば、溶剤、顔料、酸化防止剤等)を、一般的な配合割合で含むことができる。
【0074】
本発明の塗料を用いれば、基材等の被塗布面に上記ポリウレタンポリウレア樹脂から成る、優れた耐熱性、耐酸性、及び耐水性を有する塗膜を形成することができる。
【実施例】
【0075】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0076】
(実施例1)ポリカーボネートポリオール誘導体(1)の製造
撹拌翼、窒素導入管、温調機、冷却コンデンサー、減圧トラップを備えた5つ口フラスコに「PLACCELCD CD210」(ポリカーボネートジオール、平均官能基数2、数平均分子量1000、(株)ダイセル製)(765g、0.75モル)を仕込んだ。オイルバスにより、内温が100℃となるまで加温した後、反応器内を0.9kPaへ減圧し、1時間減圧脱水を行った。その後、p−アミノ安息香酸エチル(300g、1.82モル)と、触媒としてチタン酸テトラ−n−ブチル(0.21g)を反応器内に仕込み、内温が200℃となるまで加熱した。
内温200℃でエステル交換反応により末端アミノ化を行い、生成するエタノールを反応系外に留出させた。ガスクロマトグラフィーによる分析で、残存するp−アミノ安息香酸エチルが3%未満となることを確認した後、反応器内を1kPaまで減圧し、残存するp−アミノ安息香酸エチルとエタノールを系外へ留去した。ガスクロマトグラフィーによる分析で、残存p−アミノ安息香酸エチルが1%未満となることを確認した後、内温を90℃へ冷却を行い、ポリカーボネートポリオール誘導体(1)を得た。1H−NMR測定結果から末端アミノ基と末端水酸基は、78モル%:22モル%の比率であると確認した。全官能基価は131.7KOHmg/gであった。また、アミド結合の形成はないことが確認できた。
【0077】
(実施例2)ポリカーボネートポリオール誘導体(2)の製造
「PLACCELCD CD210」に代えて、「PLACCELCD CD220」(ポリカーボネートジオール、平均官能基数2、数平均分子量2000、(株)ダイセル製)(866g、0.43モル)を使用し、p−アミノ安息香酸エチルの使用量を172g(1.04モル)に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリカーボネートポリオール誘導体(2)を得た。1H−NMR測定結果から末端アミノ基と末端水酸基は、72モル%:28モル%の比率であると確認した。全官能基価は78.0KOHmg/gであった。
【0078】
(実施例3)ポリカーボネートポリオール誘導体(3)の製造
「PLACCELCD CD210」に代えて、「PLACCELCD 220EC」(ポリカーボネート/ポリカプロラクトン共重合体ジオール(ポリカーボネート由来の繰り返し単位の占める割合:50重量%)、平均官能基数2、数平均分子量2000、(株)ダイセル製)(866g、0.43モル)を使用し、p−アミノ安息香酸エチルの使用量を172g(1.04モル)に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリカーボネートポリオール誘導体(3)を得た。1H−NMR測定結果から末端アミノ基と末端水酸基は、80モル%:20モル%の比率であると確認した。全官能基価は80.0KOHmg/gであった。
【0079】
(実施例4)ポリカーボネートポリオール誘導体(4)の製造
「PLACCELCD CD210」に代えて、「PLACCELCD CD305」(ポリカーボネートポリオール、平均官能基数2.8、数平均分子量500、(株)ダイセル製)(522g、1.04モル)を使用し、p−アミノ安息香酸エチルの使用量を620g(3.76モル)に変更し、更に触媒としてチタン酸テトラ−n−ブチルの使用量を0.23gに変更した以外は実施例1と同様にして、ポリカーボネートポリオール誘導体(4)を得た。1H−NMR測定結果から末端アミノ基と末端水酸基は、75モル%:25モル%の比率であると確認した。全官能基価は244.1KOHmg/gであった。