(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2021004633
(43)【公開日】20210114
(54)【発明の名称】管路形成ユニット及び管継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 19/02 20060101AFI20201211BHJP
【FI】
   !F16L19/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】25
(21)【出願番号】2019117844
(22)【出願日】20190625
(71)【出願人】
【識別番号】392000796
【氏名又は名称】株式会社サンメディカル技術研究所
【住所又は居所】長野県諏訪市四賀2990番地
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100104709
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 誠剛
(72)【発明者】
【氏名】草野 栄亮
【住所又は居所】長野県諏訪市四賀2990番地 株式会社サンメディカル技術研究所内
【テーマコード(参考)】
3H014
【Fターム(参考)】
3H014CA05
(57)【要約】
【課題】両端部にフランジが形成されている円筒状管体と第1接続用管体及び第2接続用管体とをそれぞれ管継手によって接続でき、それによって、第1接続用管体、円筒状管体及び第2接続用管体による管路の形成を可能とする。
【解決手段】両端部にフランジ214,215を有する円筒状管体210と、円筒状管体210に接続される第1接続用管体220及び第2接続用管体230と、これらを接続する管継手100とを備え、管継手100の一端部110aは全面開口となっており、他端部110bは鍔部115を有する開口となっている円筒状ナット110と、円筒状管体210の外周面の周方向に装着可能なフランジ押さえ部材120とを備え、円筒状ナット110は一端部110a及び他端部110bの各内径がフランジ214の外径よりも大で、フランジ押さえ部材120は外径が一端部110aの内径以下で他端部110bの内径よりも大径に設定されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管本体の軸方向の第1端部及び当該第1端部とは反対側の第2端部のそれぞれの外周面にフランジが径方向の外側に向かって前記管本体と一体的に突出形成されている円筒状管体と、
前記円筒状管体の前記第1端部の側に配置され、外周面に雄ネジが形成されている第1接続用管体と、
前記円筒状管体の前記第2端部の側に配置され、外周面に雄ネジが形成されている第2接続用管体と、
前記円筒状管体と前記第1接続用管体とを接続する管継手と、
前記円筒状管体と前記第2接続用管体とを接続する管継手と、
を備える管路形成ユニットであって、
前記管継手は、
一方の端部及び他方の端部がそれぞれ開口となっている円筒体をなし、前記一方の端部は全面が開口となっているとともに当該一方の端部の側の内周面には、前記第1接続用管体の雄ネジ及び前記第2接続用管体の雄ネジに螺合可能な雌ネジが形成されており、前記他方の端部には、内側に向かって径方向に突出する鍔部が形成されている円筒状ナットと、
前記管本体における前記フランジの付け根部において前記フランジを押さえるフランジ押さえ部材と、
を備え、
前記円筒状ナットは、前記全面が開口となっている一方の端部の内径及び前記鍔部が形成されている他方の端部の内径がそれぞれ前記円筒状管体の前記フランジの外径よりも大径となっており、
前記フランジ押さえ部材は、
前記管本体の外周面の周方向に沿って環状をなすように装着可能な第1円弧部材及び第2円弧部材を有し、当該第1円弧部材及び第2円弧部材を、前記管本体の外周面の周方向に沿って環状をなすように装着したときの当該フランジ押さえ部材の外径が、前記円筒状管体の前記フランジの外径よりも大径であり、前記円筒状ナットの前記一方の端部の内径以下で、かつ、前記他方の端部の内径よりも大径となるように設定されている、
ことを特徴とする管路形成ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の管路形成ユニットにおいて、
前記第1円弧部材及び第2円弧部材は、当該第1円弧部材と当該第2円弧部材とが弾性を有する連結部材によって一体的に連結されていることを特徴とする管路形成ユニット。
【請求項3】
請求項1に記載の管路形成ユニットにおいて、
前記第1円弧部材及び第2円弧部材は、当該第1円弧部材と当該第2円弧部材とが切り離された個々の円弧部材でなることを特徴とする管路形成ユニット。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の管路形成ユニットにおいて、
前記第1円弧部材及び第2円弧部材には、断面がL字状をなす切り欠き部が、当該第1円弧部材及び第2円弧部材のそれぞれの長手方向に沿って形成されていることを特徴徴とする管路形成ユニット。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の管路形成ユニットにおいて、
前記管本体における前記フランジの付け根部には、前記フランジ押さえ部材を保持するためのフランジ押さえ部材保持棚が、前記管本体の外周面の周方向に沿って形成されていることを特徴とする管路形成ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載の管路形成ユニットにおいて、
前記フランジ押さえ部材保持棚は、前記管本体の外周面の周方向に沿って凹溝をなすように形成されていることを特徴とする管路形成ユニット。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の管路形成ユニットにおいて、
前記第1接続用管体は、生体における心臓の左心室に接続され、前記心臓の左心室から流出する血液を前記円筒状管体に導く機能を有し、
前記第2接続用管体は、補助人工心臓システムの血液ポンプに設けられていて、前記円筒状管体を流れた血液を前記血液ポンプに流入させるための機能を有することを特徴とする管路形成ユニット。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の管路形成ユニットにおいて、
前記円筒状管体、前記第1接続用管体及び前記第2接続用管体は、非柔軟性の硬質部材でなることを特徴とする管路形成ユニット。
【請求項9】
請求項8に記載の管路形成ユニットにおいて、
前記非柔軟性の硬質部材は、金属であることを特徴とする管路形成ユニット。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の管路形成ユニットにおいて、
前記第1接続用管体、前記円筒状管体及び前記第2接続用管体は、前記第1接続用管体と前記円筒状管体と前記第2接続用管体とを接続した状態としたときに、前記第1接続用管体の内周面、前記円筒状管体の内周面及び前記第2接続用管体の内周面がそれぞれ軸方向において無段差面となることを特徴とする管路形成ユニット。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の管路形成ユニットにおいて、
前記第1接続用管体と前記円筒状管体との間及び前記第2接続用管体と前記円筒状管体との間には、それぞれ環状のシール部材が介在されていることを特徴とする管路形成ユニット。
【請求項12】
管本体の軸方向の第1端部及び当該第1端部とは反対側の第2端部のそれぞれの外周面にフランジが径方向の外側に向かって前記管本体と一体的に突出形成されている円筒状管体と、当該円筒状管体の前記第1端部の側に配置され、外周面に雄ネジが形成されている第1接続用管体とを接続する際に使用可能であるとともに、
前記円筒状管体と、当該円筒状管体の前記第2端部の側に配置され、外周面に雄ネジが形成されている第2接続用管体とを接続する際にも使用可能な管継手であって、
一方の端部及び他方の端部がそれぞれ開口となっている円筒体をなし、前記一方の端部は全面が開口となっているとともに当該一方の端部の側の内周面には、前記第1接続用管体の雄ネジ及び前記第2接続用管体の雄ネジに螺合可能な雌ネジが形成されており、前記他方の端部には、内側に向かって径方向に突出する鍔部が形成されている円筒状ナットと、
前記管本体における前記フランジの付け根部において前記フランジを押さえるフランジ押さえ部材と、
を備え、
前記円筒状ナットは、前記全面が開口となっている一方の端部の内径及び前記鍔部が形成されている他方の端部の内径がそれぞれ前記円筒状管体の前記フランジの外径よりも大径となっており、
前記フランジ押さえ部材は、
前記管本体の外周面の周方向に沿って環状をなすように装着可能な第1円弧部材及び第2円弧部材を有し、当該第1円弧部材及び第2円弧部材を、前記管本体の外周面の周方向に沿って環状をなすように装着したときの当該フランジ押さえ部材の外径が、前記円筒状管体の前記フランジの外径よりも大径であり、前記円筒状ナットの前記一方の端部の内径以下で、かつ、前記他方の端部の内径よりも大径となるように設定されている、
ことを特徴とする管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路形成ユニット及び管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
重症の心不全患者を対象に用いる医療機器として、心臓の機能の一部を補う補助人工心臓システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図10は、特許文献1に記載されている補助人工心臓システム800を説明するために示す図である。特許文献1に記載されている補助人工心臓システム800は、図10に示すように、体内に埋め込まれる血液ポンプ810と、血液ポンプ810と心臓820とを接続するための人工血管830,840と、血液ポンプ810を体外において制御する機能を有する制御装置(図示せず。)と、血液ポンプ810と制御装置との間に配設される補助人工心臓用の接続ケーブル850とを有している。
【0004】
なお、人工血管830,840のうち、人工血管830は、心臓820の左心室から流出する血液を血液ポンプ810に流入させる人工血管であり、インフロー側人工血管とも呼ばれている。一方、人工血管840は、血液ポンプ810から血液を上行大動脈に送り込む人工血管であり、アウトフロー側人工血管とも呼ばれている。このため、人工血管830をインフロー側人工血管830と表記する場合もあり、人工血管840をアウトフロー側人工血管840と表記する場合もある。なお、インフロー側人工血管830はカニューレ(図示せず。)を介して心臓820に接続されている。
【0005】
このような補助人工心臓システム800において用いられるインフロー側人工血管830及びアウトフロー側人工血管840は、従来、様々な素材のものが使用されている。例えば、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE:expanded polytetrafluoroethylene)も素材の1つであり、このような柔軟性を有する素材を用いて円筒を形成して周囲にPTFEなどでなるワイヤーをスパイラル状に巻き付けた構成となっているものが知られている。
【0006】
このように、インフロー側人工血管830及びアウトフロー側人工血管840は、PTFEなどでなるワイヤーをスパイラル状に巻き付けた構成となっているために、フレキシブル性は保持されつつ、ねじれ、潰れ及び折れ曲がりなどを防止する効果は得られるが、人工血管としての信頼性を確保するためには、ねじれ、潰れ及び折れ曲がりなどを防止する効果をより高めることが重要となる。
【0007】
特に、インフロー側人工血管830は、内部が負圧となり易いことから、潰れが生じ易くなる。このため、近年、インフロー側人工血管830の素材として、剛性の高い素材によって円筒状管体を形成して、当該円筒状管体をインフロー側人工血管として用いることも試みられている。なお、剛性の高い素材としては、金属を例示できるが、金属の中でも、耐食性に優れ、かつ、生体組織との適合性にも優れたチタンなどを好ましく用いることができる。
【0008】
インフロー側人工血管830として、金属製の円筒状管体を用いる場合には、当該金属製の円筒状管体を心臓と血液ポンプとの間に介在させることとなるが、この場合、当該円筒状管体の第1端部側(心臓820側に位置する端部とする。)には、カニューレとして機能する接続用管体(第1接続用管体とする。)が接続され、また、円筒状管体の第2端部側(血液ポンプ810側に位置する端部とする。)には、血液ポンプ810に設けられている接続用管体(第2接続用管体とする。)が接続される。なお、第2接続用管体は、血液ポンプに一体的に設けられていてもよい。
【0009】
ここで、カニューレとして機能する第1接続用管体、インフロー側人工血管830としての円筒状管体及び血液ポンプ側に設けられる第2接続用管体は、心臓からの血液を血液ポンプに送り込むための管路として考えることができる。このような管路は、液密であることが重要であり、液密な管路を形成するための方法としては、例えば、円筒状管体の両端部(第1端部及び当該第1端部とは反対側の第2端部)にそれぞれフランジを形成し、当該円筒状管体と第1接続用管体とを専用の管継手を用いて密接させるとともに、同じく円筒状管体と第2接続用管体とを専用の管継手を用いて密接させることが考えられる。
【0010】
このように、両端部にフランジが形成されている円筒状管体と他の円筒状管体(上記の場合、第1接続用管体又は第2接続用管体)とを専用の管継手を用いて接続する例は特許文献2に記載されている。
【0011】
図11は、特許文献2に記載されている管継手900を説明するために示す図である。なお、特許文献2に記載されている管継手900は補助人工心臓システムに用いられるものではなく、油圧配管用の管路を形成するための管継手である。図11においては、一方の端部(第1端部)にフランジ932が形成されている円筒状管体930と他の管体としてのアダプタ910とを袋ナット920を用いて接続する例が示されている。なお、円筒状管体930の他方の端部(第2端部)には、フランジとしての機能を有するものか否かは不明であるが、フランジとほぼ同様の形状を有する突出部933が形成されている。
【0012】
特許文献2に記載されている管継手900は、袋ナット920を、円筒状管体930の外周面931に沿って摺動可能に当該外周面931に環装させた後、当該袋ナット920の雌ネジ921をアダプタ910の雄ネジ911に螺合させて締め付けることにより、袋ナット920の底部922で円筒状管体930の一方の端部(第1端部)に形成されているフランジ932をアダプタ910方向に押圧してフランジ932をアダプタ910に圧接させる。なお、円筒状管体930のフランジ932とアダプタ910との間には、オーリング940が介在されている。これにより、円筒状管体930をアダプタ910に液密状態で接続できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第5899528号公報
【特許文献2】実開平6−6868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献2に記載されている管継手900においては、上述したように、円筒状管体930には、一方の端部(第1端部)にはフランジ932が形成されており、他方の端部(第2端部)には、フランジとほぼ同様の形状を有する突出部933が形成されている。このため、袋ナット920を円筒状管体930に環装させることは困難であると考えられるが、特許文献2に記載されている管継手900においては、どのようにして袋ナット920を円筒状管体930に環装させるか明示されていない。
【0015】
このため、特許文献2に記載されている管継手900を、例えば、カニューレとして機能する第1接続用管体と、両端部にそれぞれフランジが突出形成されているインフロー側人工血管830としての円筒状管体と、血液ポンプ側に設けられる第2接続用管体とをそれぞれ接続するための管継手として適用しようとしても、これら第1接続用管体、円筒状管体及び第2接続用管体を接続することができず、第1接続用管体、円筒状管体及び第2接続用管体による管路を形成できないと考えられる。
【0016】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、軸方向の第1端部及び当該第1端部とは反対側の第2端部のそれぞれにフランジが突出形成されている円筒状管体と、当該円筒状管体の第1端部の側に配置される第1接続用管体及び当該円筒状管体の第2端部の側に配置される第2接続用管体とをそれぞれ管継手によって接続することができ、それによって、第1接続用管体、円筒状管体及び第2接続用管体による管路の形成が可能となる管路形成ユニットを提供するとともに、当該管路形成ユニットに用いる管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
[1]本発明の管路形成ユニットは、管本体の軸方向の第1端部及び当該第1端部とは反対側の第2端部のそれぞれの外周面にフランジが径方向の外側に向かって前記管本体と一体的に突出形成されている円筒状管体と、前記円筒状管体の前記第1端部の側に配置され、外周面に雄ネジが形成されている第1接続用管体と、前記円筒状管体の前記第2端部の側に配置され、外周面に雄ネジが形成されている第2接続用管体と、前記円筒状管体と前記第1接続用管体とを接続する管継手と、前記円筒状管体と前記第2接続用管体とを接続する管継手と、を備える管路形成ユニットであって、前記管継手は、一方の端部及び他方の端部がそれぞれ開口となっている円筒体をなし、前記一方の端部は全面が開口となっているとともに当該一方の端部の側の内周面には、前記第1接続用管体の雄ネジ及び前記第2接続用管体の雄ネジに螺合可能な雌ネジが形成されており、前記他方の端部には、内側に向かって径方向に突出する鍔部が形成されている円筒状ナットと、前記管本体における前記フランジの付け根部において前記フランジを押さえるフランジ押さえ部材と、を備え、前記円筒状ナットは、前記全面が開口となっている一方の端部の内径及び前記鍔部が形成されている他方の端部の内径がそれぞれ前記円筒状管体の前記フランジの外径よりも大径となっており、前記フランジ押さえ部材は、前記管本体の外周面の周方向に沿って環状をなすように装着可能な第1円弧部材及び第2円弧部材を有し、当該第1円弧部材及び第2円弧部材を、前記管本体の外周面の周方向に沿って環状をなすように装着したときの当該フランジ押さえ部材の外径が、前記円筒状管体の前記フランジの外径よりも大径であり、前記円筒状ナットの前記一方の端部の内径以下で、かつ、前記他方の端部の内径よりも大径となるように設定されている、ことを特徴とする。
ことを特徴とする。
【0018】
本発明の管路形成ユニットがこのように構成されていることによって、第1端部及び当該第1端部とは反対側の第2端部のそれぞれにフランジが突出形成されている円筒状管体と、当該円筒状管体の第1端部の側に配置される第1接続用管体及び当該円筒状管体の第2端部の側に配置される第2接続用管体とをそれぞれ管継手によって接続することができる。これにより、第1接続用管体、円筒状管体及び第2接続用管体による管路の形成が可能となる。
【0019】
また、第1接続用管体と円筒状管体とを接続する際においては、第1接続用管体及び円筒状管体が軸周りに回転することなく、第1接続用管体と円筒状管体とを接続することができる。同様に、第2接続用管体と円筒状管体とを接続する際においても、第2接続用管体及び円筒状管体が軸周りに回転することなく、第2接続用管体と円筒状管体とを接続することができる。
【0020】
例えば、第1接続用管体と円筒状管体とを接続する場合においては、円筒状ナットの鍔部と円筒状管体のフランジとの間にフランジ押さえ部材を介在させた状態で、円筒状ナットの雌ネジを第1接続用管体の雄ネジに螺合させて締め付けを行うが、この作業を行う際には、第1接続用管体及び円筒状管体が軸周りに回転することなく、円筒状ナットを締め付けることができる。
【0021】
すなわち、円筒状ナットの雌ネジを第1接続用管体の雄ネジに螺合させて締め付けを行う際には、第1接続用管体をスパナ又は作業者の手などで押さえておけば、第1接続用管体が軸周りに回転することがない。また、円筒状ナットは円筒状管体の外周面上において軸方向の移動及び軸周りの回転が自在となっているため、当該円筒状管体を作業者の手などで押さえておけば、円筒状管体も軸周りに回転することがない。このように、円筒状ナットの締め付け作業を行う際には、第1接続用管体及び円筒状管体が軸周りに回転することなく、円筒状ナットを締め付けることができる。このことは、第2接続用管体と円筒状管体とを接続する際においても同様である。
【0022】
[2]本発明の管路形成ユニットにおいては、前記第1円弧部材及び第2円弧部材は、当該第1円弧部材と当該第2円弧部材とが弾性を有する連結部材によって一体的に連結されていることが好ましい。
【0023】
第1円弧部材と第2円弧部材とが弾性を有する連結部材で一体的に連結されていることにより、第1円弧部材及び第2円弧部材は、連結部材を支点にして当該第1円弧部材と第2円弧部材との間隔を広げたり狭めたりすることができる。なお、第1円弧部材及び第2円弧部材は、外力が付与されなければ、円筒状管体の外周面に沿うような形状を保持している。
【0024】
従って、第1円弧部材及び第2円弧部材を円筒状管体の外周面に装着する際には、連結部材を支点にして当該第1円弧部材と第2円弧部材との間隔を広げて、円筒状管体の外周面に沿わせるように装着すればよい。このように、第1円弧部材と第2円弧部材とが弾性を有する連結部材で一体的に連結されていることにより、当該第1円弧部材及び第2円弧部材を円筒状管体の外周面に装着する際の作業性に優れたものとなるとともに、部品(第1円弧部材及び第2円弧部材)の管理がし易いものとなる。
【0025】
[3]本発明の管路形成ユニットにおいては、前記第1円弧部材及び第2円弧部材は、当該第1円弧部材と当該第2円弧部材とが切り離された個々の円弧部材でなることもまた好ましい。
【0026】
このように、第1円弧部材と第2円弧部材とが連結部材で連結されていないことによって、構成が単純なものとなり、フランジ押さえ部材の製造が容易なものとなる。
【0027】
[4]本発明の管路形成ユニットにおいては、前記第1円弧部材及び第2円弧部材には、断面がL字状をなす切り欠き部が、当該第1円弧部材及び第2円弧部材のそれぞれの長手方向に沿って形成されていることが好ましい。
【0028】
このように、第1円弧部材及び第2円弧部材には、断面がL字状の切り欠き部が第1円弧部材及び第2円弧部材の長手方向に沿って形成されていることにより、鍔部が第1円弧部材及び第2円弧部材に係合する際には、鍔部が切り欠き部に合致した状態となるため、鍔部の第1円弧部材及び第2円弧部材に対する「納まり」がよく、鍔部と第1円弧部材及び第2円弧部材との係合が確実なものとなる。なお、「断面がL字状」というのは、第1円弧部材及び第2円弧部材の長手方向に直交する断面であり、また、「第1円弧部材及び第2円弧部材の長手方向」というのは、当該第1円弧部材及び第2円弧部材を、管本体の外周面の周方向に沿って環状をなすように装着したときの周方向に沿った方向である。
【0029】
[5]本発明の管路形成ユニットにおいては、前記管本体における前記フランジの付け根部には、前記フランジ押さえ部材を保持するためのフランジ押さえ部材保持棚が、前記管本体の外周面の周方向に沿って形成されていることが好ましい。
【0030】
このようなフランジ押さえ部材保持棚が形成されていることにより、フランジ押さえ部材(第1円弧部材及び第2円弧部材)を円筒状管体の外周面の周方向に沿って装着したときに、装着した状態を安定的に保持できる。
【0031】
[6]本発明の管路形成ユニットにおいては、前記フランジ押さえ部材保持棚は、前記管本体の外周面の周方向に沿って凹溝をなすように形成されていることが好ましい。
【0032】
このように、フランジ押さえ部材保持棚が凹溝をなすように形成されていることにより、フランジ押さえ部材の第1円弧部材及び第2円弧部材を円筒状管体に装着する際には、第1円弧部材及び第2円弧部材を凹溝に嵌め込むように装着すればよい。このため、第1円弧部材及び第2円弧部材を円筒状管体に装着する作業がし易くなる。また、第1円弧部材及び第2円弧部材におけるフランジ押さえ部材保持棚側の縁部(内周側縁部)が凹溝に嵌まり込んでいることによって、円筒状ナットを第1接続用管体又は第2接続用管体に接続する作業(円筒状ナットの締め付け作業)を行った際に、第1円弧部材及び第2円弧部材におけるフランジ押さえ部材保持棚側の縁部(内周側縁部)が締め付け方向と反対側にずれてしまうことを防止できる。
【0033】
[7]本発明の管路形成ユニットにおいては、前記第1接続用管体は、生体における心臓の左心室に接続され、前記心臓の左心室から流出する血液を前記円筒状管体に導く機能を有し、前記第2接続用管体は、補助人工心臓システムの血液ポンプに設けられていて、前記円筒状管体を流れた血液を前記血液ポンプに流入させるための機能を有することが好ましい。
【0034】
このように、本発明の管路形成ユニットは、補助人工心臓システムにおいて使用可能となる。すなわち、心臓の左心室に接続される第1接続用管体と人工血管として機能する円筒状管体との接続に用いることができるともに、血液ポンプに設けられている第2接続用管体と人工血管として機能する円筒状管体との接続にも用いることができる。
【0035】
[8]本発明の管路形成ユニットにおいては、前記円筒状管体、前記第1接続用管体及び前記第2接続用管体は、非柔軟性の硬質部材でなることが好ましい。
【0036】
このように、円筒状管体、第1接続用管体及び第2接続用管体がそれぞれ非柔軟性の硬質部材でなることによって、ねじれ、潰れ及び折れ曲がりなどを防止する効果が得られる。これら円筒状管体、第1接続用管体及び第2接続用管体は、管路を形成するものである。このため、仮に、管路の内部が負圧となった場合においても、円筒状管体、第1接続用管体及び第2接続用管体がそれぞれ非柔軟性の硬質部材でなることによって、ねじれ、潰れ及び折れ曲がりなどの発生を防止できる。
【0037】
[9]本発明の管路形成ユニットにおいては、前記非柔軟性の硬質部材は、金属であることが好ましい。
【0038】
これにより、ねじれ、潰れ及び折れ曲がりなどを防止する効果をより高めることができる。なお、金属としては、耐食性に優れたものが好ましく、また、補助人工心臓システムに使用する場合には、生体組織との適合性にも優れたものが好ましい。このような観点から、金属としては、例えば、チタンを例示できる。
【0039】
[10]本発明の管路形成ユニットにおいては、前記第1接続用管体、前記円筒状管体及び前記第2接続用管体は、前記第1接続用管体と前記円筒状管体と前記第2接続用管体とを接続した状態としたときに、前記第1接続用管体の内周面、前記円筒状管体の内周面及び前記第2接続用管体の内周面がそれぞれ軸方向において無段差面となることが好ましい。
【0040】
このように、第1接続用管体の内周面、円筒状管体の内周面及び第2接続用管体の内周面がそれぞれ軸方向において無段差面となることによって、流体を滞りなく流すことができる。なお、この明細書において、「無段差面」というのは、実質的な段差が存在しない面であることを意味している。
【0041】
[11]本発明の管路形成ユニットにおいては、前記第1接続用管体と前記円筒状管体との間及び前記第2接続用管体と前記円筒状管体との間には、それぞれ環状のシール部材が介在されていることが好ましい。
【0042】
これにより、第1接続用管体と円筒状管体とを液密な状態で接続することができるとともに、第2接続用管体と円筒状管体とを液密な状態で接続することができる。
【0043】
[12]本発明の管継手は、管本体の軸方向の第1端部及び当該第1端部とは反対側の第2端部のそれぞれの外周面にフランジが径方向の外側に向かって前記管本体と一体的に突出形成されている円筒状管体と、当該円筒状管体の前記第1端部の側に配置され、外周面に雄ネジが形成されている第1接続用管体とを接続する際に使用可能であるとともに、前記円筒状管体と、当該円筒状管体の前記第2端部の側に配置され、外周面に雄ネジが形成されている第2接続用管体とを接続する際にも使用可能な管継手であって、一方の端部及び他方の端部がそれぞれ開口となっている円筒体をなし、前記一方の端部は全面が開口となっているとともに当該一方の端部の側の内周面には、前記第1接続用管体の雄ネジ及び前記第2接続用管体の雄ネジに螺合可能な雌ネジが形成されており、前記他方の端部には、内側に向かって径方向に突出する鍔部が形成されている円筒状ナットと、前記管本体における前記フランジの付け根部において前記フランジを押さえるフランジ押さえ部材と、を備え、前記円筒状ナットは、前記全面が開口となっている一方の端部の内径及び前記鍔部が形成されている他方の端部の内径がそれぞれ前記円筒状管体の前記フランジの外径よりも大径となっており、前記フランジ押さえ部材は、前記管本体の外周面の周方向に沿って環状をなすように装着可能な第1円弧部材及び第2円弧部材を有し、当該第1円弧部材及び第2円弧部材を、前記管本体の外周面の周方向に沿って環状をなすように装着したときの当該フランジ押さえ部材の外径が、前記円筒状管体の前記フランジの外径よりも大径であり、前記円筒状ナットの前記一方の端部の内径以下で、かつ、前記他方の端部の内径よりも大径となるように設定されている、ことを特徴とする。
【0044】
本発明の管継手は、前記[1]〜[11]のいずれかに記載の管路形成ユニットにおける管継手として用いることができる。すなわち、本発明の管継手は、一方の端部及び他方の端部にフランジが形成されている円筒状管体と、当該円筒状管体の第1端部の側に配置される第1接続用管体とを接続する際に使用可能であるとともに、前記円筒状管体と、当該円筒状管体の第2端部の側に配置される第2接続用管体とを接続する際にも使用可能な管継手となる。
【0045】
また、本発明の管継手は、第1接続用管体と円筒状管体とを接続する際においては、第1接続用管体及び円筒状管体が軸周りに回転することなく、第1接続用管体と円筒状管体とを接続することができる。同様に、第2接続用管体と円筒状管体とを接続する際においても、第2接続用管体及び円筒状管体が軸周りに回転することなく、第2接続用管体と円筒状管体とを接続することができる。
【0046】
例えば、第1接続用管体と円筒状管体とを接続する場合においては、円筒状ナットの鍔部と円筒状管体のフランジとの間にフランジ押さえ部材を介在させた状態で、円筒状ナットの雌ネジを第1接続用管体の雄ネジに螺合させて締め付けを行うが、この作業を行う際には、第1接続用管体及び円筒状管体が軸周りに回転することなく、円筒状ナットを締め付けることができる。
【0047】
すなわち、円筒状ナットの雌ネジを第1接続用管体の雄ネジに螺合させて締め付けを行う際には、第1接続用管体をスパナ又は作業者の手などで押さえておけば、第1接続用管体が軸周りに回転することがない。また、円筒状ナットは円筒状管体の外周面上において軸方向の移動及び軸周りの回転が自在となっているため、円筒状管体を作業者の手などで押さえておけば、円筒状管体も軸周りに回転することがない。このように、円筒状ナットの締め付け作業を行う際には、第1接続用管体及び円筒状管体が軸周りに回転することなく、円筒状ナットを締め付けることができる。このことは、第2接続用管体と円筒状管体とを接続する際においても同様である。また、本発明の管継手においても、前記[2]〜[11]のいずれかに記載されている管路形成ユニットと同様の特徴を有することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施形態に係る管路形成ユニット200を軸方向に沿って切断した断面図である。
【図2】図1に示した実施形態に係る管路形成ユニット200の外観斜視図である。
【図3】図1における破線枠A内を拡大して示す拡大図である。
【図4】実施形態に係る管路形成ユニット200に用いる管継手100を説明するために示す図である。
【図5】フランジ押さえ部材(第1円弧部材121及び第2円弧部材122)を円筒状管体210の外周面に装着した状態を示す図である。
【図6】第1接続用管体220と円筒状管体210とを管継手100を用いて接続する場合の接続手順を説明する図である。
【図7】フランジ押さえ部材120の変形例(フランジ押さえ部材120A)を説明するために示す図である。
【図8】フランジ押さえ部材120の変形例(フランジ押さえ部材120A)を構成する第1円弧部材121及び第2円弧部材122を円筒状管体210に装着した状態を示す図である。
【図9】フランジ押さえ部材保持棚218が凹溝をなすように形成されている場合を示す図である。
【図10】特許文献1に記載されている補助人工心臓システム800を説明するために示す図である。
【図11】特許文献2に記載されている管継手900を説明するために示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係る管路形成ユニット200を軸方向に沿って切断した断面図である。
図2は、図1に示した実施形態に係る管路形成ユニット200の外観斜視図である。
図3は、図1における破線枠A内を拡大して示す拡大図である。
【0050】
まずは、実施形態に係る管路形成ユニット200の全体的な構成について説明し、その後、実施形態に係る管路形成ユニット200に用いる管継手100Aについて説明する。
【0051】
実施形態に係る管路形成ユニット200は、図1〜図3に示すように、管本体211の軸方向の第1端部212及び当該第1端部212とは反対側の第2端部213のそれぞれの外周面にフランジ214,215が径方向の外側に向かって管本体211と一体的に突出形成されている円筒状管体210と、当該円筒状管体210の第1端部212の側に円筒状管体210と同軸的に配置され、外周面に雄ネジ221(詳細は図3参照。)が形成されている第1接続用管体220と、円筒状管体210の第2端部213の側に円筒状管体210と同軸的に配置され、外周面に雄ネジ231が形成されている第2接続用管体230と、円筒状管体210の第1端部212と第1接続用管体220とを接続する管継手100(管継手100Aとする。)と、円筒状管体210の第2端部213と第2接続用管体230とを接続する管継手100(管継手100Bとする。)とを備えている。
【0052】
図3に示す拡大図は、第1接続用管体220の一部(図1に示す破線枠A内)を拡大して示す図である。なお、図3においては、第2接続用管体230の同じ個所(図1に示す破線枠Aに対応する箇所)の拡大図は示されていないが、第2接続用管体230の同じ個所(図1に示す破線枠Aに対応する箇所)も図3と同様の構成となっている。但し、第2接続用管体230において、図1に示す破線枠Aに対応する箇所の構成は、図3とは左右が逆の構成となる。
【0053】
また、「管本体211の軸方向の第1端部212及び当該第1端部212とは反対側の第2端部213のそれぞれの外周面にフランジ214,215が径方向の外側に向かって管本体211と一体的に突出形成されている円筒状管体210」を以下では、「両端部にフランジが形成されている円筒状管体210」というように略記する場合もある。
【0054】
また、円筒状管体210の第1端部212と第1接続用管体220とを接続する管継手100Aと、円筒状管体210の第2端部213と第2接続用管体230とを接続する管継手100Bとは、同じ構成となっている。このため、これら管継手100A及び管継手100Bは、第1接続用管体220と円筒状管体210とを接続する際に使用可能であるとともに、第2接続用管体230と円筒状管体210とを接続する際にも使用可能となっている。なお、管継手100A及び管継手100Bの詳細な構成などについては後述する。また、管継手100A及び管継手100Bの構成を説明する際には、管継手100A及び管継手100Bをまとめて、「管継手100」として説明する場合もある。
【0055】
実施形態に係る管路形成ユニット200は、例えば、図10に示した補助人工心臓システム800における心臓820と血液ポンプ810との間において用いることができる。この場合、実施形態に係る管路形成ユニット200における円筒状管体210は、図10における人工血管(インフロー側人工血管)830に相当するものである。
【0056】
また、第1接続用管体220は、心臓の左心室に接続されるカニューレとしての機能を有するものであり、心臓から流出する血液を円筒状管体210に導く機能を有する。なお、実施形態において使用されるカニューレは、第1カフC1及び第2カフC2の2つのカフを有するものとしているが、2つのカフを有するカニューレに限定されるものではなく、1つのカフを有するカニューレであってもよい。
【0057】
一方、第2接続用管体230は、血液ポンプ300(図1参照。)に繋がっており、第1接続用管体220から円筒状管体210を通って流れてくる血液を血液ポンプ300内に流入させる機能を有する。なお、実施形態においては、第2接続用管体230は、血液ポンプ300の本体(血液ポンプ本体310という。)と一体的に突出形成されているものであるとする。
【0058】
なお、第1接続用管体220及び第2接続用管体230の説明を行う際においては、これら第1接続用管体220及び第2接続用管体230のそれぞれ円筒状管体210に向く側を先端側とし、その反対側を後端側とする。また、第1接続用管体220及び第2接続用管体230の先端側に位置する端部を先端部とし、また、第1接続用管体220及び第2接続用管体230の後端側に位置する端部を後端部とする。
【0059】
円筒状管体210、第1接続用管体220及び第2接続用管体230は、剛性に優れるとともに耐食性に優れ、かつ、生体組織との適合性にも優れた非柔軟性の硬質部材でなる素材(金属とする。)でなり、金属としては、例えば、チタンなどを好ましく用いることができる。また、円筒状管体210は、管本体211が軸方向において緩やかに湾曲している、いわゆる「ベンド管」となっている。
【0060】
ここで、円筒状管体210、第1接続用管体220及び第2接続用管体230のそれぞれは同一の内径を有しており、第1接続用管体220と円筒状管体210とを接続した状態とするとともに、第2接続用管体230と円筒状管体210とを接続した状態とすると、第1接続用管体220の内周面223、円筒状管体210の内周面217及び第2接続用管体230の内周面233は、軸方向において無段差面(実質的な段差が存在しない面)となる。
【0061】
また、第1接続用管体220の先端部から雄ネジ221が形成されている部分までの領域を接続領域W(図3参照。)とする。そして、当該接続領域Wの外径を「D1」としたとき、円筒状管体210のフランジ214の外径D2は、当該接続領域Wの外径D1よりも小さくしている。これは、第2接続用管体230の側においても同様である。
【0062】
また、円筒状管体210は、管本体211におけるフランジ214の付け根部には、当該管本体211のフランジ214の付け根部においてフランジ214を押さえるフランジ押さえ部材120(図4(c)及び図4(d)参照。)を保持するためのフランジ押さえ部材保持棚218(図3参照。)が形成されている。なお、フランジ押さえ部材120については後述する。
【0063】
また、円筒状管体210の管本体211は、フランジ押さえ部材保持棚218以外の部分の肉厚t1(図3参照。)が、フランジ押さえ部材保持棚218の部分の肉厚t2(図3参照。)よりもわずかに薄いものとなっている。換言すれば、円筒状管体210の管本体211は、フランジ押さえ部材保持棚218以外の部分の太さが、フランジ押さえ部材保持棚218の部分の太さよりもわずかに細いものとなっている。
【0064】
また、第1接続用管体220の先端部には、環状のシール部材240を取り付けるためのシール部材取り付け溝222(図3参照。)が形成されている。なお、シール部材240としては、種々のシール部材を使用することができるが、実施形態においては、断面が円形をなすオーリングを用いるものとする。当該オーリングは、液密で、かつ、外圧を受けると弾性変形する素材でなる。また、当該第1接続用管体220の先端部における内周面223側には、当該先端部からさらに先端側に突出している突出部224(図3参照。)が周方向に沿って形成されている。
【0065】
第2接続用管体230も同様に、当該第2接続用管体230の先端部には、シール部材(オーリング)240を取り付けるためのシール部材取り付け溝232(図1参照。)が形成されている。そして、当該第2接続用管体230の先端部における内周面233側にも、当該先端部からさらに先端側に突出している突出部234(図1参照。)が周方向に沿って形成されている。
【0066】
一方、円筒状管体210の第1端部212には、第1接続用管体220の突出部224を受けるための凹部216(図3参照。)が周方向に沿って形成されている。このため、第1接続用管体220と円筒状管体210とが接続された状態となると、第1接続用管体220の突出部224と円筒状管体210の凹部216とが合致した状態となる。このとき、第1接続用管体220と円筒状管体210との間にはシール部材240が介在される。
【0067】
また、円筒状管体210の第2端部213には、第2接続用管体230の突出部234を受けるための凹部216(図1参照。)が周方向に沿って形成されている。このため、第2接続用管体230と円筒状管体210とが接続された状態となると、第2接続用管体230の突出部234と円筒状管体210の凹部216とが合致した状態となる。このとき、第2接続用管体230と円筒状管体210との間にはシール部材240が介在される。
【0068】
続いて、実施形態に係る管路形成ユニット200に用いる管継手100(管継手100A,100B)について、図1〜図3に加えて、図4及び図5を参照して詳細に説明する。
【0069】
図4は、実施形態に係る管路形成ユニット200に用いる管継手100を説明するために示す図である。管継手100は、円筒状ナット110(図4(a)及び図4(b)参照。)と、フランジ押さえ部材120(図4(c)及び図4(d)参照。)とを有している。なお、図4において、図4(a)は円筒状ナット110の斜視図であり、図4(b)は図4(a)に示す円筒状ナット110を矢印x方向に見た図であり、図4(c)はフランジ押さえ部材120を示す斜視図であり、図4(d)は図4(c)のa−a矢視断面図である。
【0070】
まず、円筒状ナット110について、図4(a)、図4(b)及び先に説明した図1〜図3を参照して説明する。円筒状ナット110は、管継手100A及び管継手100Bそれぞれにおいて同じ構成となっている。円筒状ナット110は、チタンなどの金属でなることが好ましい。なお、円筒状ナット110の説明を行う際においては、当該円筒状ナット110の円筒状管体210に向く側を先端側とし、その反対側を後端側とする。また、円筒状ナット110の先端側に位置する端部を先端部とし、また、円筒状ナット110の後端側に位置する端部を後端部とする。
【0071】
円筒状ナット110は、図4(a)及び図4(b)に示すように、一方の端部110a及び他方の端部110bがそれぞれ開口となっている円筒体をなしている。そして、一方の端部110aは全面が開口となっているとともに当該一方の端部110aの側の内周面には、図3に示すように、第1接続用管体220の雄ネジ221及び第2接続用管体230の雄ネジ231に螺合可能な雌ネジ111が形成されている。また、他方の端部110bには、内側に向かって径方向に突出する鍔部115が形成されている。なお、全面が開口となっている一方の端部(後端部)110aを「全面開口端部110a」とし、鍔部115が形成されている他方の端部(先端部)110bを「鍔部側開口端部110b」とする。
【0072】
ここで、円筒状ナット110の全面開口端部(全面が開口となっている一方の端部)110aの内径D5(図4(b)参照。)は、円筒状ナット110において、全面開口端部110aから鍔部115の内壁面までの間の内径でもある。そして、全面開口端部110aの内径D5は、第1接続用管体220及び第2接続用管体230における接続領域Wの外径D1よりもやや大径となっている。一方、円筒状ナット110の鍔部側開口端部(鍔部115が形成されている他方の端部)110bの内径D6(図4(a)及び図4(b)参照。)は、鍔部115が存在する分だけ、円筒状ナット110の全面開口端部110aの内径D5よりも小さくなっているが、円筒状管体210のフランジ214,215の外径D2(図1参照。)よりもやや大径となっている。このため、円筒状ナット110は、円筒状ナット110全体の内径がフランジ214,215の外径よりも大径となっている。
【0073】
このように、円筒状ナット110は、円筒状ナット110全体の内径がフランジ214,215の外径よりも大径であるため、円筒状ナット110は、円筒状管体210のフランジ214,215を通り抜けさせることができる。換言すれば、両端にフランジ214,215が形成されている円筒状管体210は、円筒状ナット110内を通り抜けることができる。ここで、「円筒状ナット110全体の内径」というのは、円筒状ナット110の全面開口端部110aの内径D5及び鍔部側開口端部110bの内径D6の両方の内径を指している。
【0074】
続いて、フランジ押さえ部材120について、図4(c)及び図4(d)を参照して説明する。フランジ押さえ部材120も円筒状ナット110と同様に、管継手100A及び管継手100Bそれぞれにおいて同じ構成となっている。
【0075】
フランジ押さえ部材120は、管本体211の外周面の周方向に沿って環状をなすように装着可能な第1円弧部材121材及び第2円弧部材122を有する。実施形態に係る管路形成ユニット200においては、第1円弧部材121と当該第2円弧部材122とが弾性を有する連結部材123によって一体的に連結されている。具体的には、第1円弧部材121の一方の端部121aと第2円弧部材122の一方の端部122aとが弾性を有する連結部材123で一体的に連結されている。なお、第1円弧部材121、第2円弧部材122及び連結部123は、耐久性などの面からチタンなどの金属でなることが好ましい。
【0076】
また、第1円弧部材121及び第2円弧部材122は、図4(d)に示すように、当該第1円弧部材及の長手方向に直交する断面がL字状をなす切り欠き部124が、当該第1円弧部材121の長手方向に沿って形成されている。当該切り欠き124は、円筒状ナット110の鍔部115を図3に示すように係合させるためのものである。図4(d)は第2円弧部材122のa−a矢視断面図であるが、第1円弧部材121にも同様の切り欠き124が形成されている。なお、「第1円弧部材121及び第2円弧部材122の長手方向」というのは、当該第1円弧部材121及び第2円弧部材122を、管本体211の外周面の周方向に沿って環状をなすように装着したときの周方向に沿った方向である。
【0077】
また、第1円弧部材121と第2円弧部材122とが弾性を有する連結部材123で一体的に連結されていることにより、第1円弧部材121の他方の端部121b及び第2円弧部材122の他方の端部122bに矢印b−b方向の外力を付与することによって、連結部材123を支点にして当該第1円弧部材121と第2円弧部材122との間隔を広げることができる。なお、第1円弧部材121及び第2円弧部材122は外力が付与されなければ、円筒状管体210の外周面に沿うような形状を保持している。
【0078】
これにより、フランジ押さえ部材120(第1円弧部材121及び第2円弧部材122)を円筒状管体210の外周面に装着する際には、連結部材123を支点にして当該第1円弧部材121と第2円弧部材122との間隔を広げて、円筒状管体210の外周面の周方向に沿うように装着することができる。
【0079】
このようにして、フランジ押さえ部材120(第1円弧部材121及び第2円弧部材122)を円筒状管体210の外周面の周方向に沿うように装着すると、フランジ押さえ部材(第1円弧部材121及び第2円弧部材122)は、円筒状管体210の外周面の周方向に沿うように装着された状態を保持する。なお、以下の説明においては、「円筒状管体210の外周面の周方向に沿うように装着する」を「円筒状管体210の外周面に装着する」というように略記する場合もある。
【0080】
図5は、フランジ押さえ部材(第1円弧部材121及び第2円弧部材122)を円筒状管体210の外周面に装着した状態を示す図である。図5(a)は側面図であり、図5(b)は図5(a)のa−a矢視断面図である。なお、図5においては、フランジ214,215のうちのフランジ214の側に装着した場合が示されている。
【0081】
フランジ押さえ部材120(第1円弧部材121及び第2円弧部材122)は、フランジ214の付け根部に形成されているフランジ押さえ部材保持棚218に装着される。ここで、フランジ押さえ部材120(第1円弧部材121及び第2円弧部材122)は、第1円弧部材121及び第2円弧部材122を管本体211の外周面に装着したときの当該フランジ押さえ部材120の外径D7が、フランジ214の外径D2よりも大径であり、円筒状ナット110の全面開口端部110aの内径D5(図4(b)参照。)以下で、かつ、鍔部側開口端部110bの内径D6(図4(a)及び図4(b)参照。)よりも大径となるように設定されている。なお、実施形態に係る管路形成ユニットにおいては、フランジ押さえ部材120の外径D7は円筒状ナット110の全面開口端部110aの内径D5とほぼ同じに設定されているものとする。
【0082】
第1円弧部材121及び第2円弧部材122を図5に示すように装着すると、当該第1円弧部材121及び第2円弧部材122は、管本体211の外周面の周方向に沿って環状をなすように装着される。第1円弧部材121及び第2円弧部材122を、図5に示すように、環状をなすように装着したときのフランジ押さえ部材120(第1円弧部材121及び第2円弧部材122)の外径D7は、フランジ214の外径D2よりも大径となる。なお、当該フランジ押さえ部材120を円筒状ナット110に装着させる具体的な手順については図6により後述する。
【0083】
以上、管継手100について説明したが、このように構成されている管継手100を用いることにより、第1接続用管体220と円筒状管体210とを接続することができるとともに、第2接続用管体230と円筒状管体210とを接続することができる。すなわち、管継手100Aを用いることにより、第1接続用管体220と円筒状管体210とを接続することができる。また、管継手100Aと同じ構成となっている管継手100Bを用いることによって、第2接続用管体230と円筒状管体210とを接続することができる。
【0084】
続いて、円筒状管体210と第1接続用管体220及び第2接続用管体230とを接続する際の接続手順を説明する。ここでは、円筒状管体210と第1接続用管体220とを管継手100Aを用いて接続する手順について説明する。なお、実施形態においては、第1接続用管体220は、カニューレとしての機能を有するものであり、第1カフC1及び第2カフC2が設けられている端部(後端部)が心臓の左心室に接続されるものである。
【0085】
なお、実施形態においては、カニューレは、第1カフC1と第2カフC2の2つカフを有する場合を例示している。この場合、第1カフは心臓の内部に縫合され、第2カフC2は心臓の表面に縫合されたものとなる。ここでは、第1接続用管体220は、既に心臓に接続された状態となっているものとし、心臓に接続された状態となっている第1接続用管体220と円筒状管体210とを管継手100Aを用いて接続する場合の接続手順について図6を参照して説明する。なお、図6においては、第1接続用管体220が、心臓に接続された状態となっている様子は示されてはいない。
【0086】
図6は、第1接続用管体220と円筒状管体210とを管継手100Aを用いて接続する場合の接続手順を説明する図である。なお、図6においては、接続手順についての説明を行う際に説明に必要ではない符号は図示が省略されている。
【0087】
まず、円筒状管体210に円筒状ナット110を環装させる(図6(a)参照。)。なお、円筒状管体210に円筒状ナット110を環装させる際には、円筒状管体210を円筒状ナット110の一方の端部(例えば、鍔部側開口端部110b)の側から挿入させることによって、円筒状ナット110を円筒状管体210に環装させることができる。すなわち、円筒状ナット110は、当該円筒状ナット110の内径D5(図4(b)参照。)は勿論のこと、鍔部側開口端部110bの内径D6(図4(b)参照。)も円筒状管体210のフランジ214,215の外径D2より大径であるため、円筒状管体210の両端部にフランジ214,215が存在していても、円筒状管体210に円筒状ナット110を環装させることができる。
【0088】
このようにして、まずは、円筒状管体210に円筒状ナット110を環装させておく。このとき、円筒状管体210のフランジ214を円筒状ナット110の全面開口端部110aから外方に突き出した状態としておく(図6(a)参照。)。この状態では、円筒状ナット110は、円筒状管体210の外周面上において軸方向への移動が自在であるとともに軸周りの回転(空回り)も自在となっている。
【0089】
なお、前述したように、円筒状管体210の管本体211は、フランジ押さえ部材保持棚218以外の部分の太さが、フランジ押さえ部材保持棚218の部分の太さよりもわずかに細いものとなっている。このため、円筒状ナット110に鍔部215が存在していても、円筒状ナット110は、円筒状管体210の鍔部215が管本体211の外周面に接触しにくくなる。これにより、円筒状ナット110を円筒状管体210の外周面に沿って軸方向に移動させたり、軸周りに回転させたりする際には、軸方向の移動及び軸周りの回転をスムーズに行うことができる。
【0090】
続いて、フランジ押さえ部材120(第1円弧部材121及び第2円弧部材122)を円筒状管体210の外周面に装着する(図6(b)参照。)。フランジ押さえ部材120を円筒状管体210の外周面に装着する際には、第1円弧部材121と第2円弧部材122との間の間隔を広げて、第1円弧部材121及び第2円弧部材122を円筒状管体210のフランジ214に沿わせるようにして円筒状管体210の外周面に装着する。このとき、第1円弧部材121及び第2円弧部材122は、円筒状管体210のフランジ押さえ部材保持棚218に装着する(図6(b)参照。)。
【0091】
円筒状管体210にフランジ押さえ部材保持棚が形成されていることにより、フランジ押さえ部材120(第1円弧部材121及び第2円弧部材122)を円筒状管体210の外周面に装着したときに、装着した状態を安定的に保持できる。
【0092】
なお、第1円弧部材121及び第2円弧部材122を円筒状管体210の外周面に装着する際には、第1円弧部材121及び第2円弧部材122に形成されている切り欠き部124(図4(d)参照。)がフランジ214とは反対側(後端側)に位置するように円筒状管体210に装着する(図6(b)参照)。
【0093】
この状態で、円筒状ナット110を円筒状管体210のフランジ214側にスライドさせる。円筒状ナット110を円筒状管体210のフランジ214側にスライドさせると、円筒状ナット110の鍔部115がフランジ押さえ部材120の第1円弧部材121及び第2円弧部材122の切り欠き部124に係合する(図6(c)参照。)。
【0094】
なお、第1円弧部材121及び第2円弧部材122に、断面がL字状をなす切り欠き部124が形成されていることにより、鍔部115が第1円弧部材121及び第2円弧部材122に係合する際には、鍔部115が切り欠き部214に合致した状態となるため、鍔部115の第1円弧部材121及び第2円弧部材122に対する「納まり」がよく、鍔部115と第1円弧部材121及び第2円弧部材122との係合が確実なものとなる。
【0095】
続いて、円筒状ナット110を第1接続用管体220に取り付ける(図6(d)参照。)。このとき、第1接続用管体220は、上述したように、心臓の左心室に接続されているものとする。円筒状ナット110を第1接続用管体220に取り付ける際の作業について図6(d)を参照して説明する。なお、図6(d)は全体が断面で示されている。
【0096】
円筒状ナット110を第1接続用管体220に取り付ける際には、シール部材(オーリング)240を第1接続用管体220のシール部材取り付け溝222に装着しておく。その後、第1接続用管体220が動かないように、当該第1接続用管体220を作業者の手などで押さえた状態として、円筒状ナット110の全面開口端部110aに第1接続用管体220の先端部を挿入させて、円筒状ナット110を第1接続用管体220の外周面に沿って後方側にスライドさせて行く。そして、円筒状ナット110の雌ネジ111を第1接続用管体220の雄ネジ221に螺合させて、第1接続用管体220が動かないように当該第1接続用管体220を作業者の手などで押さえた状態で、円筒状ナット110を回転させて締め付けて行く。
【0097】
このとき、円筒状ナット110は、円筒状管体210の外周面上で移動及び回転が自在となっている。このため、円筒状ナット110を回転させて締め付けを行う際には、円筒状管体210を作業者の手などで押さえておくことによって、円筒状管体210を回転させることなく円筒状ナット110のみを回転させて締め付けて行くことができる。
【0098】
このようにして、円筒状ナット110の締め付けを行うと、円筒状ナット110は、フランジ214に対して後端側(図6(d)の左方向)への押圧力を与えながら第1接続用管体220の後端側(図6(d)の左方向)に移動して行く。なお、円筒状ナット110の移動に伴う押圧力は、フランジ押さえ部材(第1円弧部材121及び第2円弧部材122)を介して付与される。
【0099】
すなわち、フランジ214と円筒状ナット110の鍔部115との間には、円筒状ナット110の鍔部115が第1円弧部材121及び第2円弧部材122の切り欠き部124に係合しているため(図3(b)参照。)、円筒状ナット110が後端側(第1接続用管体220側)に移動すると、円筒状ナット110の進行に伴う押圧力が、フランジ押さえ部材(第1円弧部材121及び第2円弧部材122)を介して付与される。
【0100】
これにより、フランジ214は、当該フランジ214の内周面が第1接続用管体220の突出部224(詳細は図3参照。)上を移動して、シール部材(オーリング)240を押圧する。これにより、第1接続用管体220と円筒状管体210とがシール部材(オーリング)240を介して密接状態となる(図6(d)参照。)。
【0101】
すなわち、第1接続用管体220の先端部には、突出部224(図3参照。)が形成されており、円筒状管体210には、第1接続用管体220の突出部224に合致する凹部216(図3参照。)が形成されている。このため、円筒状ナット110がフランジ214を押圧すると、フランジ214は当該フランジ214の内周面が第1接続用管体220の突出部224上を移動してシール部材(オーリング)240を押圧することとなり、第1接続用管体220と円筒状管体210との密接状態がより高いものとなる。これによって、第1接続用管体220から円筒状管体210に流れる流体(この場合は、心臓からの血液)が外部に漏れ出ることをより確実に防止できる。
【0102】
また、図6(d)に示すように、第1接続用管体220と円筒状管体210とが密接状態となると、第1接続用管体220の内周面223と円筒状管体210の内周面217とは段差がなくなる。このため、第1接続用管体220の内周面223と円筒状管体210の内周面217は軸方向において無段差面(実質的な段差が存在しない面)となる。これにより、第1接続用管体220から円筒状管体210に流れる流体(心臓からの血液)の流れが阻害されることない。
【0103】
以上は、管継手100Aを用いて第1接続用管体220と円筒状管体210とを接続する場合について説明したが、管継手100Aと同じ構造の管継手100Bを用いて第2接続用管体230と円筒状管体210とを接続することもできる。管継手100Bを用いて第2接続用管体230と円筒状管体210との接続を行う際の接続手順は、管継手100Aを用いて第1接続用管体220と円筒状管体210との接続を行う場合と同様に行うことができるため、その説明は省略する。
【0104】
以上説明したように、両端部にフランジ214,215が形成されている円筒状管体210(図1及び図2参照。)と、第1接続用管体220及び第2接続用管体230(図1及び図2参照。)と、管継手100(管継手100A及び管継手100B)とを用いることによって、図1及び図2に示すような実施形態に係る管路形成ユニット200を構成することができる。図1に示す実施形態に係る管路形成ユニット200は、前述したように、図10に示した補助人工心臓システム800における心臓820と血液ポンプ810の間の管路形成ユニットとして用いることができる。
【0105】
実施形態に係る管路形成ユニット200を図10に示した補助人工心臓システム800における心臓820と血液ポンプ810との間の管路形成ユニットとして用いることによって、下記に示す様々な効果が得られる。
【0106】
まず、実施形態に係る管路形成ユニット200は、管継手100を用いているため、図6(a)〜図6(d)に示す接続手順に沿って、第1接続用管体220と両端部にフランジ214,215を有する円筒状管体210との接続を行うことができるとともに、当該円筒状管体210と第2接続用管体230との接続を行うことができる。
【0107】
また、実施形態に係る管路形成ユニット200に用いられている管継手100は、円筒体の一方の端部の全面が開口となっているとともに当該一方の端部の側の内周面には雌ネジ111が形成されており、円筒体の他方の端部が鍔部215を有する開口となっている単純な構成の円筒状ナット110と、第1円弧部材121とび第2円弧部材122とが連結部材123で一体的に連結されているフランジ押さえ部材120とによって構成されている。このため、実施形態に係る管路形成ユニット200に用いられている管継手100は、構成要素が少なく構造が単純であることから、製造が容易であり、かつ、第1接続用管体220と円筒状管体210との接続及び第2接続用管体230と円筒状管体210との接続も容易に行うことができる。
【0108】
また、第1円弧部材121及び第2円弧部材122が弾性を有する連結部材123で一体的に連結されていることにより、第1円弧部材121と第2円弧部材122とがバラバラになることがない。このため、当該第1円弧部材121及び第2円弧部材122を円筒状管体210の外周面に装着する際の作業性に優れたものとなるとともに、部品(第1円弧部材121及び第2円弧部材122)の管理がし易いものとなる。
【0109】
ところで、心臓に接続されている状態の第1接続用管体220に円筒状管体210を接続する際においては、第1接続用管体220が軸周りに回転しないようにするとともに、円筒状管体210も軸周りに回転しないようにして、第1接続用管体220と円筒状管体210とを接続可能とすることが要求されるが、実施形態に係る管路形成ユニット200においては、管継手100を用いているため、このような要求を満たすことができる。
【0110】
例えば、第1接続用管体220と円筒状管体210とを接続する場合においては、円筒状ナット110の鍔部115と円筒状管体210のフランジ214との間にフランジ押さえ部材120を介在させた状態で、円筒状ナット110の雌ネジ111を第1接続用管体220の雄ネジ221に螺合させて締め付けを行うが、この作業を行う際には、第1接続用管体220及び円筒状管体210が軸周りに回転することなく、円筒状ナット110を締め付けることができる。
【0111】
すなわち、円筒状ナット110の雌ネジ111を第1接続用管体220の雄ネジ221に螺合させて締め付けを行う際には、第1接続用管体220をスパナ又は作業者の手などで押さえておけば、第1接続用管体220が軸周りに回転することがない。また、円筒状ナット110は円筒状管体210の外周面上において軸方向の移動及び軸周りの回転が自在となっているため、円筒状管体210を作業者の手などで押さえておけば、円筒状管体210も軸周りに回転することがない。このように、円筒状ナット110の締め付け作業を行う際には、第1接続用管体220及び円筒状管体210が軸周りに回転することなく、円筒状ナット110を締め付けることができる。
【0112】
特に、第1接続用管体220は、カニューレとして機能し、第1カフC1及び第2カフC2が心臓の左心室に縫合によって接続されている場合、第1接続用管体220には無理な力を与えることができない。また、円筒状管体210が湾曲しているベンド管である場合には、血液ポンプ300の位置との関係から、当該円筒状管体210の出口(第2端部)の位置や向きが決められていることとなる。
【0113】
これらのことから、実施形態に係る管路形成ユニット200を補助人工心臓システムに用いる場合においては、第1接続用管体220が軸周りに回転しないようにするとともに、円筒状管体210も軸周りに回転しないようにして、第1接続用管体220と円筒状管体210とを接続することができることが要求されるが、実施形態に係る管路形成ユニット200によれば、このような要求を満たすことができる。
【0114】
第2接続用管体230と円筒状管体210とを接続する際も同様であり、第2接続用管体230が軸周りに回転しないようにするとともに、円筒状管体210も軸周りに回転しないようにして、第2接続用管体230と円筒状管体210とを接続することができる。このため、第2接続用管体230が血液ポンプ300に一体的に設けられている場合においては、血液ポンプ300の位置や向きを適切な位置や向きに設定した状態で、当該血液ポンプ300に設けられている第2接続用管体230と円筒状管体210とを接続できる。
【0115】
また、実施形態に係る管路形成ユニット200によれば、円筒状管体210、第1接続用管体220及び第2接続用管体230は、非柔軟性の硬質部材(金属とする。)として、実施形態においてはチタンとしている。このため、剛性に優れるとともに耐食性に優れ、かつ、生体組織との適合性にも優れたものとなるとともに、ねじれ、潰れ及び折れ曲がりなどの変形を防ぐことができ、心臓からの血液を滞りなく血液ポンプに送り込むことができる。
【0116】
また、実施形態に係る管路形成ユニット200において用いられている円筒状管体210は、従来の補助人工心臓システムにおいて用いられている柔軟性素材でなる人工血管(例えば、ePTFEなど柔軟性を有する素材を用いた人工血管)に相当するものであり、当該人工血管をチタンなどの金属によって形成することにより、ねじれ、潰れ及び折れ曲がりなどの変形を確実に防ぐことができる。特に、心臓の左心室から流出する血液を血液ポンプに流入させる人工血管(インフロー側人工血管)の場合、当該人工血管内が負圧になり易く、負圧となった場合には、潰れが生じてしまうといった不具合が生じる場合もあり得るが、人工血管をチタンなどの金属によって形成することによって、このような不具合の発生を未然に防ぐことができる。
【0117】
また、実施形態に係る管路形成ユニット200においては、第1接続用管体220、円筒状管体210及び第2接続用管体230のそれぞれの内周面は、軸方向において無段差面(実質的な段差が存在しない面)となっているため、心臓から流出する血液が滞ることなく円滑に流すことができる。また、第1接続用管体220、円筒状管体210及び第2接続用管体230のそれぞれの外周面には、クリップなどの突起物が存在せず、ほぼ平坦面となるため、生体内の他の組織などに影響を与えにくいものとなる。
【0118】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能となるものである。たとえば、下記に示すような変形実施も可能である。
【0119】
(1)上記実施形態においては、管継手100の構成要素の1つであるフランジ押さえ部材120は、第1円弧部材121と第2円弧部材122とが連結部材123によって連結されている場合を示したが、第1円弧部材121と第2円弧部材122とが連結されていなくてもよい。以下、フランジ押さえ部材120の変形例(フランジ押さえ部材120Aとする。)について説明する。
【0120】
図7は、フランジ押さえ部材120の変形例(フランジ押さえ部材120A)を説明するために示す図である。図7(a)はフランジ押さえ部材120Aを拡大して示す斜視図であり、図7(b)はフランジ押さえ部材120Aの断面図(図7(a)のa−a矢視断面図)である。
【0121】
フランジ押さえ部材120Aは、図7に示すように、第1円弧部材121と第2円弧部材122とが連結部材で連結されておらず、第1円弧部材121及び第2円弧部材122は、それぞれが切り離された個々の円弧部材でなる。また、フランジ押さえ部材120Aの第1円弧部材121及び第2円弧部材122は、前述の実施形態において説明したフランジ押さえ部材120の第1円弧部材121及び第2円弧部材122同様、断面がL字状をなす切り欠き部124が周方向に沿って形成されている(図7(b)参照。)。
【0122】
また、フランジ押さえ部材120Aにおいても、前述実施形態において説明したフランジ押さえ部材120と同様に、管本体211外周面の周方向に沿って環状をなすように装着可能である。この場合、第1円弧部材121の一方の端部121aと第2円弧部材122の一方の端部122aとを対向させるとともに、第1円弧部材121の他方の端部121bと第2円弧部材122の他方の端部122bとを対向させるようにして管本体211の外周面の周方向に沿って装着する。
【0123】
図8は、フランジ押さえ部材120の変形例(フランジ押さえ部材120A)を円筒状管体210に装着した状態を示す図である。なお、図8(a)は側面図であり、図8(b)は図8(a)のa−a矢視断面図である。図8に示すフランジ押さえ部材120Aを用いて円筒状管体210を第1接続用管体220に接続するための手順は、前述の実施形態の説明で用いた図6(a)〜図6(d)とほぼ同様の手順によって行うことができる。但し、フランジ押さえ部材120Aの場合は、第1円弧部材121及び第2円弧部材122が連結部材123によって連結されていることなく、それぞれが切り離された個々の円弧部材(第1円弧部材121及び第2円弧部材122)でなる。
【0124】
このため、図6(a)〜図6(d)のうちの図6(b)及び図6(c)に示す接続作業を行う際は、第1円弧部材121及び第2円弧部材122が落下しないように、第1円弧部材121及び第2円弧部材122を作業者の手などで押さえた状態で行う必要があるが、その一方で、図7に示すフランジ押さえ部材120Aの場合は、第1円弧部材121及び第2円弧部材122が連結部材123によって連結されていることなく、それぞれが切り離された個々の円弧部材でなることから、構成がより単純なものとなり、フランジ押さえ部材の製造が容易なものとなる。
【0125】
管継手100の構成要素の1つであるフランジ押さえ部材として、図7に示すようなフランジ押さえ部材120Aを用いた場合であっても、前述の実施形態において説明したフランジ押さえ部材120を用いた場合と同様に、両端部にフランジ214,215が形成されている円筒状管体210(図1及び図2参照。)と、第1接続用管体220及び第2接続用管体230(図1及び図2参照。)とを接続することができる。
【0126】
(2)上記実施形態においては、円筒状管体210に形成されているフランジ押さえ部材保持棚218は平坦面とした場合を例示したが、平坦面ではなく、フランジ押さえ部材保持棚218が凹溝をなすように形成されていてもよい。
【0127】
図9は、フランジ押さえ部材保持棚218が凹溝をなすように形成されている場合を示す図である。なお、凹溝は管本体211の周方向に沿って一周に渡って形成されている。また、図9は上述の実施形態の説明で用いた図3に対応する図であり、同一部分には同一符号が付されている。
【0128】
図9に示すように、フランジ押さえ部材保持棚218が凹溝をなすように形成されていることにより、フランジ押さえ部材120又はフランジ押さえ部材210Aの第1円弧部材121及び第2円弧部材122を円筒状管体210に装着する際には、第1円弧部材121及び第2円弧部材122を凹溝に嵌め込むように装着すればよい。このため、第1円弧部材11及び第2円弧部材122を円筒状管体210に装着する作業(図6(b)に示す作業)がし易くなるとともに、その後の作業(図6(c)及び図6(d)の作業)がし易くなる。
【0129】
また、第1円弧部材121及び第2円弧部材122におけるフランジ押さえ部材保持棚218側の縁部(内周側縁部)が、凹溝をなすフランジ押さえ部材保持棚218に嵌まり込んでいることによって、円筒状ナット110の締め付け作業(図6(d)の作業)を行った際に、第1円弧部材121及び第2円弧部材122におけるフランジ押さえ部材保持棚218側の縁部(内周側縁部)が締め付け方向と反対側にずれてしまうことを防止できる。
【0130】
(3)上記実施形態においては、第1接続用管体220と円筒状管体210とを管継手100Aを用いて接続する際には、第1接続用管体220は、既に心臓に接続された状態となっているものとし、心臓に接続された状態となっている第1接続用管体220と円筒状管体210とを管継手100Aを用いて接続する場合について説明したが、これに限られるものではない。すなわち、第1接続用管体220を心臓に接続する前の段階で、第1接続用管体220と円筒状管体210とを管継手100Aを用いて接続し、その後、第1接続用管体220を心臓に接続するようにしてもよい。
【0131】
(4)上記実施形態においては、本発明の管路形成ユニットを補助人工心臓システムに適用する場合において、特に、心臓の左心室から血液ポンプまでの間の管路形成ユニットとして用いる場合に説明したが、これに限られるものではない。例えば、円筒状管体210の長さ及び形状を変更することにより、血液ポンプから上行大動脈までの間に配置される管路形成ユニットとして用いることも可能である。また、本発明の管路形成ユニットは、補助人工心臓システムに限られるものではなく、種々の用途に使用できる。
【0132】
(5)上記実施形態においては、本発明の管路形成ユニットを補助人工心臓システムに用いる場合を例示したために、心臓と血液ポンプとの位置の関係から、円筒状管体210は湾曲しているベンド管とした。一方、本発明の管路形成ユニットを補助人工心臓システム以外の場所に用いる場合においては、円筒状管体210は、必ずしも湾曲していなくてもよく、直線状、S字状、U字状など、用途に応じて様々な形状の円筒状管体とすることができる。
【0133】
(6)上記実施形態においては、第1接続用管体220、円筒状管体210、第2接続用管体230の材質として、チタンを使用した場合を例示したが、チタンと同様に耐食性及び耐久性に優れるとともに、生体組織との適合性にも優れた素材であれば、他の金属を使用できる。また、金属以外でも、耐食性及び耐久性に優れるとともに、生体組織との適合性にも優れ、非柔軟性の硬質素材であれば、例えば、合成樹脂であってもよい。なお、本発明の管路形成ユニットを補助人工心臓システム以外の場所に用いる場合においては、第1接続用管体220、円筒状管体210及び第2接続用管体230の材質の自由度はさらに広がる。
【0134】
また、円筒状ナット110及びフランジ押さえ部材120についても、チタンに限られるものではなく、チタンと同様に耐食性及び耐久性に優れるとともに、生体組織との適合性にも優れた素材であれば、他の金属を使用できる。また、金属以外でも、耐食性及び耐久性に優れるとともに、生体組織との適合性にも優れていれば、例えば、合成樹脂であってもよい。
【0135】
(7)上記実施形態においては、円筒状管体210の両端部(第1端部212及び第2端部213)にそれぞれ接続用管体(上記実施形態の場合は、第1接続用管体220及び第2接続用管体230)をそれぞれ管継手100(管継手100A,100B)を用いて接続するような構成の管路形成ユニットについて説明したが、必ずしも、円筒状管体210の両端部にそれぞれ接続用管体を接続するような構成となっている管路形成ユニットでなくてもよい。例えば、円筒状管体210の一方の端部(例えば、第1端部212)のみに接続用管体を管継手(例えば、管継手100A)を用いて接続するような構成の管路形成ユニットであってもよい。
【符号の説明】
【0136】
100(100A,100B)・・・管継手、110・・・円筒状ナット、110a・・・円筒状ナット110の一方の端部(全面開口端部)、110b・・・円筒状ナット110の他方の端部(鍔部側開口端部)、111・・・雌ネジ、115・・・鍔部、120,120A・・・フランジ押さえ部材、121・・・円弧部材(第1円弧部材)、122・・・円弧部材(第2円弧部材)、123・・・連結部材、124・・・切り欠き部、200・・・管路形成ユニット、210・・・円筒状管体、211・・・管本体、212・・・第1端部、213・・・第2端部、214,215・・・フランジ、216・・・凹部、217,223,233・・・内周面、218・・・フランジ押さえ部材保持棚、220・・・第1接続用管体、221,231・・・雄ネジ、222,232・・・シール部材取り付け溝、224,234・・・突出部、230・・・第2接続用管体、240・・・シール部材(オーリング)、300・・・血液ポンプ、310・・・血液ポンプ本体、D1・・・第1接続用管体220の接続領域Wの外径、D2・・・フランジの外径、D5・・・円筒状ナット110の一方の端部(全面開口端部)の内径、D6・・・円筒状ナット110の他方の端部(鍔部側開口端部)の内径、W・・・第1接続用管体220の接続領域、D7・・・フランジ押さえ部材120の外径
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】