(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2021004687
(43)【公開日】20210114
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置及びそれを備えた流体加熱装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20201211BHJP
   F25B 43/02 20060101ALI20201211BHJP
【FI】
   !F25B1/00 321S
   !F25B1/00 387B
   !F25B43/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】2019118034
(22)【出願日】20190626
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区城見2丁目1番61号
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100115554
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 幸一
(72)【発明者】
【氏名】徐 季セン
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 パナソニック株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】山岡 由樹
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 パナソニック株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】森脇 俊二
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 パナソニック株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】今川 常子
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 パナソニック株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】中谷 和人
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 パナソニック株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】諌山 安彦
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 パナソニック株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】小石原 一貴
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 パナソニック株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】青山 繁男
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 パナソニック株式会社内
(57)【要約】
【課題】効率良く吐出温度や潤滑油の温度の過昇を抑制できる冷凍サイクル装置を提供すること。
【解決手段】圧縮機構11、油分離器17、利用側熱媒体を加熱する利用側熱交換器12、中間熱交換器13、第1膨張装置14、熱源側熱交換器15から形成される主冷媒回路10と、利用側熱交換器12から第1膨張装置14までの間から分岐され、分岐された冷媒が第2膨張装置21により減圧された後に、中間熱交換器13で主冷媒回路10を流れる冷媒と熱交換され、圧縮途中の冷媒に合流されるバイパス冷媒回路20と、油分離器17内の潤滑油を圧縮機構11に戻す返油回路40と、返油回路40に設けられ、油分離器17において分離された潤滑油を利用側熱媒体により冷却する油冷却器18と、を備え、利用側熱交換器12と油冷却器18とが直列に接続されている冷凍サイクル装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮回転要素から構成される圧縮機構、前記圧縮回転要素から吐出された冷媒と潤滑油とを分離する油分離器、前記圧縮回転要素から吐出された冷媒により利用側熱媒体を加熱する利用側熱交換器、中間熱交換器、第1膨張装置、熱源側熱交換器が、配管で順次接続されて形成される主冷媒回路と、
前記利用側熱交換器から前記第1膨張装置までの間から分岐され、前記分岐された冷媒が第2膨張装置により減圧された後に、前記中間熱交換器で前記主冷媒回路を流れる冷媒と熱交換され、前記圧縮回転要素の圧縮途中の冷媒に合流されるバイパス冷媒回路と、
前記油分離器内の潤滑油を前記圧縮機構に戻す返油回路と、
前記返油回路に設けられ、前記油分離器において分離された潤滑油を前記利用側熱媒体により冷却する油冷却器と、
を備え、
前記利用側熱交換器と前記油冷却器とが、直列に接続されていることを特徴とする冷凍サイクル装置。
【請求項2】
前記利用側熱交換器と前記油冷却器とは、前記利用側熱媒体が、前記油冷却器を通過後に前記利用側熱交換器に流入するように直列に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項3】
前記潤滑油が前記油冷却器を流れる流路の断面積をA1、前記冷媒が前記利用側熱交換器を流れる流路の断面積をA2、とした場合、A1<A2の関係が成り立つことを特徴とする請求項1または2に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項4】
前記冷媒として、二酸化炭素を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置と、搬送装置によって前記利用側熱媒体を循環させる利用側熱媒体回路とを備えたことを特徴とする流体加熱装置。
【請求項6】
前記利用側熱媒体を、水又は不凍液としたことを特徴とする請求項5に記載の流体加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクル装置及びそれを備えた流体加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の冷凍サイクル装置では、圧縮機から吐出された高圧冷媒の中に含まれる潤滑油を分離する油分離器を備え、分離された潤滑油を放熱器の下部に配置された油冷却器に導入し、外気により冷却するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図3は、特許文献1に記載された従来の冷凍サイクル装置を示すものである。
【0004】
図3に示すように、冷凍サイクル装置100は、冷媒ガスを圧縮する圧縮機101、圧縮機101の吐出側に設けられた油分離器102、放熱器104、室外膨張弁105、蒸発器109が環状に接続された冷媒回路103を有している。
【0005】
また、油分離器102で分離されて流出する潤滑油と空気との間に熱交換する油冷却器112、抵抗手段113、圧縮機101の吸入側に戻す油戻し管114が環状に接続された返油回路115を有している。
【0006】
そして、冷媒を冷却する放熱器2と、潤滑油を冷却する油冷却器112とを、空気流れに対して並列に設け、室外吸込空気により、冷媒の放熱および潤滑油の放熱を同時に促進する構成としている
すなわち、返油回路115の一部を、放熱器104の空気流れ上流側に配置された油冷却器112を通過させ、返油回路115の下流側に抵抗手段113を配設して、圧縮機101に必要な潤滑油量を確保する構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−89736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来のような構成では、冷媒を冷却する放熱器と、潤滑油を冷却する油冷却器とを気流れに対して並列に設け、室外吸込空気により、冷媒の放熱および潤滑油の放熱を同時に促進する構成のため、多量の室外吸込空気が必要であり、機器が大型化してしまうという課題を有していた。
【0009】
本発明は、前記課題を解決するもので、効率良く吐出温度や潤滑油の温度の過昇を抑制できる冷凍サイクル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために本発明の冷凍サイクル装置は、圧縮回転要素から構成される圧縮機構、前記圧縮回転要素から吐出された冷媒と潤滑油とを分離する油分離器、前記圧縮回転要素から吐出された冷媒により利用側熱媒体を加熱する利用側熱交換器、中間熱交換器、第1膨張装置、熱源側熱交換器が、配管で順次接続されて形成される主冷媒回路と、前記利用側熱交換器から前記第1膨張装置までの間から分岐され、前記分岐された冷媒が第2膨張装置により減圧された後に、前記中間熱交換器で前記主冷媒回路を流れる冷媒と熱交換され、前記圧縮回転要素の圧縮途中の冷媒に合流されるバイパス冷媒回路と、前記油分離器内の潤滑油を前記圧縮機構に戻す返油回路と、前記返油回路に設けられ、前記油分離器において分離された潤滑油を前記利用側熱媒体により冷却する油冷却器と、を備え、前記利用側熱交換器と前記油冷却器とが直列に接続されていることを特徴とするものである。
【0011】
これにより、利用側熱交換器と油冷却器とが並列接続時の場合に対して、直列接続時の場合の方が、油冷却器を流れる利用側熱媒体の流量が多くなる。
【0012】
このため、利用側熱媒体の流速が向上し、油冷却器の利用側熱媒体の熱伝達率が高く維持される。
【0013】
そして、油冷却器の熱交換効率が向上することで、潤滑油の冷却量が増加し、その冷却された潤滑油はバイパス冷媒回路の中間圧冷媒と合流して圧縮機構に戻るため、吐出温度を低下させることができ、圧縮機の信頼性の低下を防止できる。
【発明の効果】
【0014】

本発明によれば、効率良く吐出温度や潤滑油の温度の過昇を抑制できる冷凍サイクル装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1における流体加熱装置の構成図
【図2】本発明の実施の形態1における冷凍サイクル装置の運転状態を示すモリエール線図(P−h線図)
【図3】従来の冷凍サイクル装置の構成図
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1の発明は、圧縮回転要素から構成される圧縮機構、前記圧縮回転要素から吐出された冷媒と潤滑油とを分離する油分離器、前記圧縮回転要素から吐出された冷媒により利用側熱媒体を加熱する利用側熱交換器、中間熱交換器、第1膨張装置、熱源側熱交換器が、配管で順次接続されて形成される主冷媒回路と、前記利用側熱交換器から前記第1膨張装置までの間から分岐され、前記分岐された冷媒が第2膨張装置により減圧された後に、前記中間熱交換器で前記主冷媒回路を流れる冷媒と熱交換され、前記圧縮回転要素の圧縮途中の冷媒に合流されるバイパス冷媒回路と、前記油分離器内の潤滑油を前記圧縮機構に戻す返油回路と、前記返油回路に設けられ、前記油分離器において分離された潤滑油を前記利用側熱媒体により冷却する油冷却器と、を備え、前記利用側熱交換器と前記油冷却器とが直列に接続されていることを特徴とする冷凍サイクル装置である。
【0017】
これにより、利用側熱交換器と油冷却器とが並列接続時の場合に対して、直列接続時の場合の方が、油冷却器を流れる利用側熱媒体の流量が多くなる。
【0018】
このため、利用側熱媒体の流速が向上し、油冷却器の利用側熱媒体の熱伝達率が高く維持される。
【0019】
すなわち、油冷却器の熱交換効率が向上することで、潤滑油の冷却量が増加し、その冷却された潤滑油はバイパス冷媒回路の中間圧冷媒と合流して圧縮機構に戻るため、吐出温度を低下させることができ、圧縮機の信頼性の低下を防止できる。
【0020】
第2の発明は、特に、第1の発明において、前記利用側熱交換器と前記油冷却器とは、前記利用側熱媒体が、前記油冷却器を通過後に前記利用側熱交換器に流入するように直列に接続されていることを特徴とするものである。
【0021】
これにより、温度の低い利用側熱媒体が、先に油冷却器を流入して高温の潤滑油と熱交換するので、油冷却器において利用側熱媒体と潤滑油との温度差が大きく取れる。
【0022】
したがって、低温の利用側熱媒体が、先に利用側熱交換器に流入する場合と比較して、油冷却器での熱交換量が多くなり、温度の低い潤滑油を圧縮機に戻すことができる。
【0023】
すなわち、吐出温度をさらに低下させることができ、圧縮機の信頼性低下を防止できる。
【0024】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、前記潤滑油が前記油冷却器を流れる流路の断面積をA1、前記冷媒が前記利用側熱交換器を流れる流路の断面積をA2、とした場合、A1<A2の関係が成り立つことを特徴とするものである。
【0025】
これにより、油冷却器において、熱伝達率が冷媒より低い潤滑油の流速が向上し、潤滑油の熱伝達率が高く維持される。
【0026】
潤滑油が油冷却器を流れる流路の断面積A1が、冷媒が利用側熱交換器を流れる流路の断面積A2面積と同等以上の場合と比較して、油冷却器での潤滑油の冷却量がさらに増加し、吐出温度をより一層低下させることができ、圧縮機の信頼性低下を防止できる。
【0027】
第4の発明は、特に、第1〜第3のいずれかの発明において、前記冷媒を二酸化炭素としたことを特徴とするものである。
【0028】
これにより、利用側熱交換器において、冷媒で利用側熱媒体を加熱したときの、利用側熱媒体の高温化が可能となる。
【0029】
第5の発明は、第1〜第4のいずれかの冷凍サイクル装置と、搬送装置によって前記利用側熱媒体を循環させる利用側熱媒体回路とを備えたことを特徴とする流体加熱装置である。
【0030】
これにより、冷凍サイクル装置のCOPを低下させることなく、高温の利用側熱媒体を利用することができる。
【0031】
第6の発明は、特に、第5の発明において、前記利用側熱媒体を、水又は不凍液としたことを特徴とするものである。
【0032】
これによれば、暖房機器に用い、又は、貯湯タンクに高温水を貯えることができる。
【0033】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0034】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による流体加熱装置の構成図である。流体加熱装置は、冷凍サイクル装置と利用側熱媒体回路30とから構成されている。
【0035】
また、冷凍サイクル装置は、主冷媒回路10と、バイパス冷媒回路20と、返油回路40とから構成されている。
【0036】
主冷媒回路10は、冷媒を圧縮する圧縮機構11、圧縮機構11から吐出された冷媒と潤滑油とを分離する油分離器17と、放熱器である利用側熱交換器12、中間熱交換器13、第1膨張装置14、蒸発器である熱源側熱交換器15が、配管16で順次接続されて形成され、冷媒として二酸化炭素(CO)を用いている。
【0037】
なお、冷媒としては、二酸化炭素を用いるのが最適だが、例えば、R407C等の非共沸混合冷媒、R410A等の擬似共沸混合冷媒、または、R32等の単一冷媒を用いることもできる。
【0038】
圧縮機構11は、低段側圧縮回転要素11aと高段側圧縮回転要素11bとで構成される。利用側熱交換器12は、高段側圧縮回転要素11bから吐出された冷媒により利用側熱媒体を加熱する。
【0039】
なお、圧縮機構11を構成する低段側圧縮回転要素11aと高段側圧縮回転要素11bとの容積比は一定で、駆動軸(図示せず)を共通化させ、1つの容器内に配置した1台の圧縮機で構成されている。
【0040】
なお、本実施の形態では、圧縮回転要素が、低段側圧縮回転要素11aと高段側圧縮回転要素11bとで構成される二段の圧縮機構11を用いて説明するが、低段側圧縮回転要素11aと高段側圧縮回転要素11bとに分かれてなく、単一の圧縮回転要素においても適用できる。
【0041】
ここで、単一の圧縮回転要素の場合には、バイパス冷媒回路20からの冷媒が合流する位置を圧縮回転要素の圧縮途中とし、バイパス冷媒回路20からの冷媒が合流する位置までの圧縮回転要素を低段側圧縮回転要素11aとし、バイパス冷媒回路20からの冷媒が合流する位置以降の圧縮回転要素を高段側圧縮回転要素11bとして適用することができる。
【0042】
また、低段側圧縮回転要素11aと高段側圧縮回転要素11bとが、それぞれが独立した2台の圧縮機から構成されている二段の圧縮機構11でもよい。
【0043】
バイパス冷媒回路20は、利用側熱交換器12から第1膨張装置14までの間の配管16から分岐され、低段側圧縮回転要素11aと高段側圧縮回転要素11bとの間の配管16に接続されている。
【0044】
バイパス冷媒回路20には、第2膨張装置21が設けられている。利用側熱交換器12を通過後の一部の高圧冷媒、又は、中間熱交換器13を通過後の一部の高圧冷媒は、第2膨張装置21により減圧されて中間圧冷媒となった後に、中間熱交換器13で主冷媒回路10を流れる高圧冷媒と熱交換され、低段側圧縮回転要素11aと高段側圧縮回転要素11bとの間の冷媒と合流される。
【0045】
返油回路40は、油分離器17内の潤滑油を、低段側圧縮回転要素11aと高段側圧縮回転要素11bとの間に戻す回路であり、返油回路40には油冷却器18が設けられている。
【0046】
油冷却器18は、油分離器17において分離された高圧潤滑油を、利用側熱媒体により冷却する。
【0047】
放熱された高圧潤滑油が減圧手段19で中間圧まで減圧され、中間圧潤滑油となった後に、バイパス冷媒回路20を流れる中間圧冷媒と合流し、高段側圧縮回転要素11bに吸入される。
【0048】
利用側熱媒体回路30は、油冷却器18、利用側熱交換器12、搬送ポンプである搬送装置31、暖房端末32aが熱媒体配管33で順次接続されて形成され、利用側熱媒体として、水又は不凍液を用いている。
【0049】
本実施の形態における利用側熱媒体回路30は、暖房端末32aと並列に貯湯タンク32bを備えており、第1切替弁34、第2切替弁35の切り替えによって利用側熱媒体を、暖房端末32a又は貯湯タンク32bに循環させる。
【0050】
なお、利用側熱媒体回路30は、暖房端末32a及び貯湯タンク32bのいずれかを備えていればよい。
【0051】
油冷却器18と、利用側熱交換器12で生成された高温水は、暖房端末32aで放熱して暖房に利用され、暖房端末32aで放熱された低温水は再び油冷却器18と、利用側熱交換器12で加熱される。
【0052】
また、油冷却器18と、利用側熱交換器12で生成された高温水は、貯湯タンク32bの上部から貯湯タンク32bに導入され、貯湯タンク32bの下部から低温水が導出されて利用側熱交換器12で加熱される。
【0053】
主冷媒回路10には、高段側圧縮回転要素11bの吐出側の配管16に、高圧側圧力検出装置51が設けられている。
【0054】
なお、高圧側圧力検出装置51は、高段側圧縮回転要素11bの吐出側から、第1膨張装置14の上流側までの、主冷媒回路10に設けられていて、主冷媒回路10の高圧冷媒の圧力を検出できればよい。バイパス冷媒回路20には、第2膨張装置21の下流側に、中間圧側圧力検出装置52が設けられている。
【0055】
利用側熱媒体回路30には、油冷却器18に流入する利用側熱媒体の温度を検出する油冷却器入水温度サーミスタ53と、油冷却器18を流出する利用側熱媒体の温度を検出する油冷却器出湯温度サーミスタ54と、利用側熱交換器12から流出する利用側熱媒体の温度を検出する放熱器出湯温度サーミスタ55と、が設けられている。
【0056】
制御装置60は、高圧側圧力検出装置51、中間圧側圧力検出装置52からの検出圧力、油冷却器入水温度サーミスタ53、油冷却器出湯温度サーミスタ54及び放熱器出湯温度サーミスタ55からの検出温度によって、低段側圧縮回転要素11a及び高段側圧縮回転要素11bの運転周波数、第1膨張装置14と第2膨張装置21の弁開度、搬送装置31の運転回転数を制御する。
【0057】
主冷媒回路10とバイパス冷媒回路20を流れる冷媒の循環量は、圧縮機構11の運転周波数と、第1膨張装置14、第2膨張装置21の減圧量により調整することができる。
【0058】
冷凍サイクル装置は、外気温度、暖房負荷、入水温度などの条件に応じて、主流側とインジェクション側の冷媒循環量を調整することで、負荷を満足しつつ、効率の良い運転を行うことができる。
【0059】
図2は、本発明の実施の形態1における冷凍サイクル装置の低外気温度時、例えば、−20℃、入水温度47℃の条件での圧力―エンタルピー線図(P−h線図)である。
【0060】
図2のa〜e点、およびA〜B点は、図1に示す流体加熱装置における各ポイントに相当する。
【0061】
以下、図2に基づいて、本発明の実施の形態1における流体加熱装置の加熱運転動作について説明する。
【0062】
まず、高段側圧縮回転要素11bから吐出される高圧冷媒(a点)は、油分離器17を通過し、高圧潤滑油と分離される。
【0063】
分離された高圧冷媒は、利用側熱交換器12で放熱した後に、冷媒分岐点Aで主冷媒回路10から分岐し、第2膨張装置21により中間圧まで減圧されて中間圧冷媒(e点)となり、中間熱交換器13にて熱交換する。
【0064】
利用側熱交換器12で放熱した後の主冷媒回路10を流れる高圧冷媒は、バイパス冷媒回路20を流れる中間圧冷媒(e点)によって冷却され、エンタルピーが低減された状態(b点)で第1膨張装置14にて減圧される。
【0065】
これにより、第1膨張装置14にて減圧された後に、熱源側熱交換器15に流入する冷媒(c点)の冷媒エンタルピーも低減される。
【0066】
熱源側熱交換器15に流入する時点での冷媒乾き度(全冷媒に対して気相成分が占める重量比率)が低下して冷媒の液成分が増大するため、熱源側熱交換器15において蒸発に寄与し、冷媒比率が増大して外気からの吸熱量が増大され、低段側圧縮回転要素11aの吸入側(d点)に戻る。
【0067】
一方、油分離器17で分離された高圧潤滑油は、油冷却器18で放熱した後に、減圧手段19により中間圧まで減圧されて中間圧潤滑油となる。
【0068】
また、熱源側熱交換器15において蒸発に寄与しない気相成分に相当する量の冷媒は、バイパス冷媒回路20にバイパスされて低温の中間圧冷媒(e点)となる。
【0069】
そして、中間熱交換器13にて主冷媒回路10を流れる高圧冷媒によって加熱されて冷媒エンタルピーが高まった状態で、中間圧潤滑油と混合し、低段側圧縮回転要素11aと高段側圧縮回転要素11bとの間にある冷媒合流点Bに至る。
【0070】
従って、高段側圧縮回転要素11bの吸入側(B点)では、低段側圧縮回転要素11aの吸入側(d点)より冷媒圧力が高いため冷媒密度も高く、かつ、冷却された中間圧潤滑油と、中間圧冷媒と、低段側圧縮回転要素11aから吐出した冷媒と合流した冷媒が吸入され、高段側圧縮回転要素11bで更に圧縮されて吐出されるため、利用側熱交換器12に流入する冷媒流量が大幅に増大し、利用側熱媒体である水を加熱する能力が大幅に増大する。
【0071】
加えて、高段側圧縮回転要素11bから吐出された高温潤滑油を油分離器17で分離し、高圧潤滑油の熱、また潤滑油内溶け込んだ冷媒の熱が低温の水に放熱するので、冷凍サイクル装置の高能力化が実現できる。
【0072】
ただし、低外気温度運転の時、圧縮機構11から吐出される冷媒吐出温度が、所定上限温度付近まで高くなる。
【0073】
よって、吐出された潤滑油の温度も非常に高い。水を使って冷却する場合、潤滑油の熱伝達率が冷媒より小さいので、油冷却器18での熱交換量を確保することが困難である。
【0074】
潤滑油の冷却が不十分で高温のままで合流点Bに戻って混合すると、高段側圧縮回転要素11bの吸入側の冷媒温度が上昇し、高段側圧縮回転要素11bで更に圧縮されて吐出される冷媒吐出温度が所定上限温度を超えてしまう可能性がある。
【0075】
ここで、本実施の形態によれば、図1に示すように、利用側熱媒体である水は、油冷却器18と利用側熱交換器12に直列に流入して、油冷却器18、利用側熱交換器12の順に加熱される。
【0076】
これにより、利用側熱媒体回路30を流れる利用側熱媒体である水は、油冷却器18と利用側熱交換器12とが並列接続の場合のように分流されることなく、利用側熱媒体である水は、油冷却器18、利用側熱交換器12の順に直列に流入するため、油冷却器18を流れる水流量が並列接続時より多くなる。
【0077】
そのため、油冷却器18の水側の水量および流速が向上し、熱伝達率が高く維持され、油冷却器18の熱交換効率が向上することで潤滑油の冷却量が増加する。
【0078】
そして、冷却された潤滑油は、バイパス冷媒回路の中間圧冷媒と合流して、圧縮機構11に戻り、吐出温度を低下させることができる。
【0079】
詳しくは、利用側熱交換器12と油冷却器18とは、利用側熱媒体である水が、油冷却器を通過後に利用側熱交換器12に流入するように直列に接続されている。
【0080】
すなわち、利用側熱媒体である水は、油冷却器18、利用側熱交換器12の順に流入して加熱されるため、熱交換される前の低温水が、先に油冷却器18を流入して、高温潤滑油と熱交換するので、油冷却器18において、水と潤滑油との温度差が大きく取れる。
【0081】
これにより、低温水が先に利用側熱交換器12を流入する場合と比較し、油冷却器18での熱交換量が多くなる。
【0082】
そのため、より冷却された潤滑油を、圧縮機構11に戻すことによって、吐出温度をさらに低下させることができる。
【0083】
さらに、潤滑油が油冷却器18を流れる流路の断面積をA1、冷媒が利用側熱交換器12を流れる流路の断面積をA2、とした場合、A2よりもA1を小さくすることで、油冷却器18において、熱伝達率が冷媒より低い潤滑油の流速が向上し、潤滑油の熱伝達率が高く維持される。
【0084】
これにより、油冷却器18において、熱伝達率が冷媒より低い潤滑油の流速が向上し、潤滑油の熱伝達率が高く維持される。
【0085】
潤滑油が油冷却器18を流れる流路の断面積A1が、冷媒が利用側熱交換器12を流れる流路の断面積A2面積と同等以上の場合と比較して、油冷却器18での潤滑油の冷却量がさらに増加し、吐出温度をより一層低下させることができ、圧縮機の信頼性低下を防止できる。
【0086】
なお、本実施の形態による冷凍サイクル装置では、冷媒を二酸化炭素とすることが好ましい。これは、利用側熱交換器12において、冷媒である二酸化炭素で、利用側熱媒体を加熱したときの、利用側熱媒体の高温化が可能となるためである。
【0087】
また、利用側熱媒体を水又は不凍液とすることで、暖房端末32aに用い、又は貯湯タンク32bに高温水を貯えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
以上のように、本発明にかかる冷凍サイクル装置は、油分離器を備えた主冷媒回路、バイパス冷媒回路と油冷却器を備えた返油回路からなり、高温の潤滑油を効率よく冷却することで、吐出温度の過昇および圧縮機の信頼性低下を防止できるので、冷凍サイクル装置を用いた冷凍、空調、および、給湯、暖房機器の流体加熱装置等に有用である。
【符号の説明】
【0089】
10 主冷媒回路
11 圧縮機構
11a 低段側圧縮回転要素
11b 高段側圧縮回転要素
12 利用側熱交換器
13 中間熱交換器
14 第1膨張装置
15 熱源側熱交換器
16 配管
17 油分離器
18 油冷却器
19 減圧手段
20 バイパス冷媒回路
21 第2膨張装置
30 利用側熱媒体回路
31 搬送装置
32a 暖房端末
32b 貯湯タンク
33 熱媒体配管
34 第1切替弁
35 第2切替弁
40 返油回路
51 高圧側圧力検出装置
52 中間圧側圧力検出装置
53 油冷却器入水温度サーミスタ
54 油冷却器出湯温度サーミスタ
55 放熱器出湯温度サーミスタ
60 制御装置
【図1】
【図2】
【図3】