(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2021004714
(43)【公開日】20210114
(54)【発明の名称】燃焼器及びガスタービン
(51)【国際特許分類】
   F23R 3/58 20060101AFI20201211BHJP
   F23R 3/30 20060101ALI20201211BHJP
   F23R 3/12 20060101ALI20201211BHJP
   F23R 3/00 20060101ALI20201211BHJP
   F02C 7/18 20060101ALI20201211BHJP
   F23R 3/28 20060101ALI20201211BHJP
   F23D 14/64 20060101ALI20201211BHJP
【FI】
   !F23R3/58
   !F23R3/30
   !F23R3/12
   !F23R3/00 D
   !F02C7/18 Z
   !F23R3/28 D
   !F23D14/64 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】2019119894
(22)【出願日】20190627
(71)【出願人】
【識別番号】316015888
【氏名又は名称】三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社
【住所又は居所】神奈川県相模原市中央区田名3000番地
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】福場 信一
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内三丁目2番3号 三菱重工業株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】瀧口 智志
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内三丁目2番3号 三菱重工業株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】石井 裕太
【住所又は居所】神奈川県相模原市中央区田名3000番地 三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社内
【テーマコード(参考)】
3K017
【Fターム(参考)】
3K017CA03
3K017CB08
3K017CE06
3K017CE08
(57)【要約】
【課題】燃焼器の大きさを抑制する。
【解決手段】一実施形態に係るガスタービンは、燃焼筒と、前記燃焼筒の周方向に延在するスクロール流路、及び、前記燃焼筒の軸方向に延在して前記スクロール流路と前記燃焼筒の内部とを接続する軸方向流路を含み、前記燃焼筒の軸方向上流側に配置される予混合管と、前記スクロール流路の周方向上流側に配置され、前記スクロール流路内に燃料を噴射するための噴射孔を有する第1燃料ノズルと、を備え、前記噴射孔は、前記スクロール流路が存在する範囲と前記軸方向において重複する位置に配置されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼筒と、
前記燃焼筒の周方向に延在するスクロール流路、及び、前記燃焼筒の軸方向に延在して前記スクロール流路と前記燃焼筒の内部とを接続する軸方向流路を含み、前記燃焼筒の軸方向上流側に配置される予混合管と、
前記スクロール流路の周方向上流側に配置され、前記スクロール流路内に燃料を噴射するための噴射孔を有する第1燃料ノズルと、
を備え、
前記噴射孔は、前記スクロール流路が存在する範囲と前記軸方向において重複する位置に配置されている
燃焼器。
【請求項2】
前記スクロール流路は、前記燃焼筒の径方向に沿った流路断面の面積が周方向上流側から周方向下流側に向かうにつれて漸減するように形成されている
請求項1に記載の燃焼器。
【請求項3】
前記スクロール流路は、前記燃焼筒の径方向に沿った流路断面の中心位置が周方向上流側から周方向下流側に向かうにつれて前記燃焼筒の軸方向下流側に移動するように形成されている
請求項2に記載の燃焼器。
【請求項4】
前記予混合管は、前記スクロール流路における前記周方向上流側の端部に接続され、該端部におけるスクロールの接線方向に延在する接線方向流路を有し、
前記噴射孔は、前記接線方向流路における上流側に配置されている
請求項1乃至3の何れか一項に記載の燃焼器。
【請求項5】
前記噴射孔は、前記スクロール流路における前記周方向上流側の端部からの距離が、該端部におけるスクロールの接線方向に沿って、該端部における前記スクロール流路の直径の2倍以内となる位置に配置されている
請求項1乃至4の何れか一項に記載の燃焼器。
【請求項6】
前記軸方向流路は、前記周方向に沿って環状に形成され、
前記軸方向流路によって径方向外側を環状に囲まれた中央領域に配置され、前記予混合管から前記燃焼筒内に供給された前記燃料と空気との混合気に着火させるための点火栓、
をさらに備える
請求項1乃至5の何れか一項に記載の燃焼器。
【請求項7】
前記中央領域において前記点火栓の側方に配置され、前記点火栓を冷却するための冷却空気が流れる冷却空気通路、
をさらに備える
請求項6に記載の燃焼器。
【請求項8】
前記中央領域に配置され、前記燃焼筒の内部に前記燃料を供給する第2燃料ノズル、
をさらに備える
請求項6又は7に記載の燃焼器。
【請求項9】
前記燃焼筒の外周面と間隔を空けて対向する外筒部、
をさらに備え、
前記外筒部は、第1間隔を空けて前記外周面と対向する第1領域と、前記第1領域の下流で前記第1間隔よりも小さな第2間隔を空けて前記外周面と対向する第2領域とを含む
請求項1乃至8の何れか一項に記載の燃焼器。
【請求項10】
前記外筒部は、前記第2領域の下流で前記第2間隔よりも大きな第3間隔を空けて前記外周面と対向する第3領域を含み、
前記燃焼筒は、前記第3領域と対向する領域に形成された複数の開口部を有する
請求項9に記載の燃焼器。
【請求項11】
前記燃焼筒は、軸方向下流側の端部から前記軸方向に延在する切欠き部が前記周方向に沿って間隔を空けて複数形成され、
該端部を前記燃焼筒の径方向外側又は内側から押圧して該端部を保持する保持部、
をさらに備える
請求項1乃至10の何れか一項に記載の燃焼器。
【請求項12】
前記スクロール流路の前記周方向上流側に配置され、前記スクロール流路内に流入する空気を整流するための案内部材
をさらに備える
請求項1乃至11の何れか一項に記載の燃焼器。
【請求項13】
前記予混合管が内部に配置されるケーシング
をさらに備え、
前記ケーシングは、前記ケーシングの内部に空気を供給するための空気入口部と、前記予混合管を前記燃焼筒の径方向外側から覆い前記空気入口部が形成された側壁部とを有し、
前記予混合管の入口端は、前記ケーシングの内部の領域のうち、前記空気入口部が位置する領域とは前記燃焼筒の軸線を挟んで反対側の領域に配置されている
請求項1乃至12の何れか一項に記載の燃焼器。
【請求項14】
前記噴射孔は、前記反対側の領域に配置されている
請求項13に記載の燃焼器。
【請求項15】
前記軸方向流路は、前記燃焼筒の径方向外側に配置された筒状の外側壁部と、前記径方向内側に配置されていて前記外側壁部とは前記燃焼筒の径方向に間隔を空けて配置された筒状の内側壁部とを有し、
前記外側壁部及び前記内側壁部のうち少なくとも前記外側壁部は、前記軸方向流路における下流側の領域において前記軸方向下流側に向かうにつれて前記径方向の寸法が漸増するように形成されている
請求項1乃至14の何れか一項に記載の燃焼器。
【請求項16】
請求項1乃至15の何れか一項に記載の燃焼器と、
圧縮空気を生成するためのコンプレッサと、
前記燃焼器からの燃焼ガスによって回転駆動されるように構成されたタービンと、
を備える
ガスタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃焼器及びガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロガスタービンとも呼ばれる小型のガスタービンは、店舗、病院等の自家発電や、電気自動車におけるレンジエクステンダー、可搬用電源等、種々の用途に用いることができる。
このような小型のガスタービンでは、排ガス性能向上のため、燃焼室上流に予混合室を設け、空気と燃料とを予混合させることが望ましい(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−26351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば特許文献1に記載のガスタービンでは、円筒状の燃焼室の側部に燃焼室の軸線方向に沿って延在する予混合室を設け、燃焼室の軸線方向下流側から上流側に向かって燃料を噴射するように構成されている。すなわち特許文献1に記載のガスタービンでは、燃焼器の径方向に燃焼室と予混合室とが配置されているので、燃焼器の径方向の寸法が大きくなりがちである。
例えば、電気自動車におけるレンジエクステンダーや可搬用電源等にガスタービンを用いることを考えると、ガスタービンの大きさはできるだけ小さい方が望ましい。ガスタービンの小型化のためには、燃焼器の小型化を図ることが考えられる。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、燃焼器の大きさを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る燃焼器は、
燃焼筒と、
前記燃焼筒の周方向に延在するスクロール流路、及び、前記燃焼筒の軸方向に延在して前記スクロール流路と前記燃焼筒の内部とを接続する軸方向流路を含み、前記燃焼筒の軸方向上流側に配置される予混合管と、
前記スクロール流路の周方向上流側に配置され、前記スクロール流路内に燃料を噴射するための噴射孔を有する第1燃料ノズルと、
を備え、
前記噴射孔は、前記スクロール流路が存在する範囲と前記軸方向において重複する位置に配置されている。
【0007】
上記(1)の構成によれば、予混合管及び第1燃料ノズルを燃焼筒の側部に配置しなくてもよいので、燃焼器の大きさが燃焼筒の径方向に大きくなってしまうことを抑制でき、燃焼器の小型化を図れる。
【0008】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、前記スクロール流路は、前記燃焼筒の径方向に沿った流路断面の面積が周方向上流側から周方向下流側に向かうにつれて漸減するように形成されている。
【0009】
上記(2)の構成によれば、スクロール流路内で混合された燃料と空気との混合気が軸方向流路を介して燃焼筒内に流入することでスクロール流路を流れる混合気の流量がスクロール流路の周方向下流側に向かうにつれて漸減しても、スクロール流路の上記流路断面の面積も周方向下流側に向かうにつれて漸減するので、スクロール流路を流れる混合気の周方向の流速の低下が抑制される。そのため、軸方向流路から燃焼筒に流れ込む混合気の流量についての、周方向の位置による差が生じ難くなる。したがって、燃焼筒内での燃焼状態が周方向の位置によって差が生じることを抑制できる。これにより、燃焼筒内での燃焼状態が良好となり、燃焼器の燃焼効率向上に寄与できる。
【0010】
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)の構成において、前記スクロール流路は、前記燃焼筒の径方向に沿った流路断面の中心位置が周方向上流側から周方向下流側に向かうにつれて前記燃焼筒の軸方向下流側に移動するように形成されている。
【0011】
上記(3)の構成では、上記(2)の構成を含むので、スクロール流路は、燃焼筒の径方向に沿った流路断面の面積が周方向上流側から周方向下流側に向かうにつれて漸減するように形成されている。そのため、流路断面の中心の位置が周方向上流側から周方向下流側に向かうにつれて燃焼筒の軸方向下流側に移動するように形成されていない場合には、スクロール流路と軸方向流路との接続部の位置が周方向上流側から周方向下流側に向かうにつれて燃焼筒の軸方向上流側に移動してしまう。該接続部の軸方向の位置が周方向の位置によって異なると、軸方向流路の軸方向に沿った長さが周方向の位置によって異なってしまうので、軸方向流路を流れる混合気の流速が周方向の位置によって異なってしまい、軸方向流路から燃焼筒に流れ込む混合気の流量が、周方向の位置によって差が生じてしまうおそれがある。
上記(3)の構成では、上述したように、スクロール流路において燃焼筒の径方向に沿った流路断面の中心の位置が周方向上流側から周方向下流側に向かうにつれて燃焼筒の軸方向下流側に移動するように形成されている。そのため、スクロール流路と軸方向流路との接続部の位置が周方向上流側から周方向下流側に向かうにつれて燃焼筒の軸方向上流側に移動してしまうことを抑制できる。したがって、上記(3)の構成によれば、軸方向流路から燃焼筒に流れ込む混合気の流量が、周方向の位置によって差が生じ難くなり、燃焼筒内での燃焼状態が周方向の位置によって差が生じることを抑制できる。これにより、燃焼筒内での燃焼状態が良好となり、燃焼器の燃焼効率向上に寄与できる。
【0012】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかの構成において、
前記予混合管は、前記スクロール流路における前記周方向上流側の端部に接続され、該端部におけるスクロールの接線方向に延在する接線方向流路を有し、
前記噴射孔は、前記接線方向流路における上流側に配置されている。
【0013】
上記(4)の構成によれば、燃料と空気とが接線方向流路を流れることで整流されることとなり、スクロール流路内での混合気の流れに乱れが生じ難くなる。これにより、軸方向流路を介して燃焼筒に流れ込む混合気の流れが乱れ難くなるので、燃焼筒内での燃焼状態が良好となり、燃焼器の燃焼効率向上に寄与できる。
【0014】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(4)の何れかの構成において、前記噴射孔は、前記スクロール流路における前記周方向上流側の端部からの距離が、該端部におけるスクロールの接線方向に沿って、該端部における前記スクロール流路の直径の2倍以内となる位置に配置されている。
【0015】
上記(5)の構成によれば、燃料ノズルの位置を燃焼筒の径方向内側に近づけることができるので、燃焼器の小型化を図れる。
【0016】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れかの構成において、
前記軸方向流路は、前記周方向に沿って環状に形成され、
前記軸方向流路によって径方向外側を環状に囲まれた中央領域に配置され、前記予混合管から前記燃焼筒内に供給された前記燃料と空気との混合気に着火させるための点火栓、
をさらに備える。
【0017】
上記(6)の構成によれば、環状に形成された軸方向通路から燃焼筒内に混合気が流入するので、燃焼筒の軸方向上流側では、軸方向通路よりも径方向内側の領域において混合気が軸方向上流側に流れる循環流が発生する。上記(6)の構成では、軸方向流路によって径方向外側を環状に囲まれた中央領域に点火栓を配置しているので、上述したような混合気の循環流に対して着火させることができる。上述したような混合気の循環流が発生する領域では、混合気の流速が比較的遅くなるので、上記(6)の構成のように循環流に着火させるようにすることで、着火信頼性が向上する。
【0018】
(7)幾つかの実施形態では、上記(6)の構成において、
前記中央領域において前記点火栓の側方に配置され、前記点火栓を冷却するための冷却空気が流れる冷却空気通路、
をさらに備える。
【0019】
上記(7)の構成によれば、火炎の熱による点火栓への悪影響を抑制できる。
【0020】
(8)幾つかの実施形態では、上記(6)又は(7)の構成において、
前記中央領域に配置され、前記燃焼筒の内部に前記燃料を供給する第2燃料ノズル、
をさらに備える。
【0021】
上記(8)の構成によれば、点火栓での着火時に第2燃料ノズルから燃焼筒の内部に燃料を供給することで、点火栓近傍の燃料の濃度を上昇させることができ、着火性が向上する。
【0022】
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(8)の何れかの構成において、
前記燃焼筒の外周面と間隔を空けて対向する外筒部、
をさらに備え、
前記外筒部は、第1間隔を空けて前記外周面と対向する第1領域と、前記第1領域の下流で前記第1間隔よりも小さな第2間隔を空けて前記外周面と対向する第2領域とを含む。
【0023】
上記(9)の構成によれば、外筒部の第1領域及び第2領域と燃焼筒との間の空間に冷却空気を流すことで、燃焼筒を冷却できる。その際、第2間隔の方が第1間隔よりも小さいので、第2領域と燃焼筒との間の空間を流れる冷却空気の流速は、第1領域と燃焼筒との間の空間を流れる冷却空気の流速よりも大きくなる。そのため、燃焼筒のうち第2領域と第2間隔を空けて対向する領域を効果的に冷却できる。
【0024】
(10)幾つかの実施形態では、上記(9)の構成において、
前記外筒部は、前記第2領域の下流で前記第2間隔よりも大きな第3間隔を空けて前記外周面と対向する第3領域を含み、
前記燃焼筒は、前記第3領域と対向する領域に形成された複数の開口部を有する。
【0025】
上記(10)の構成によれば、外筒部と燃焼筒との間の空間に冷却空気を流すことで、該空間から上記複数の開口部を介して空気を燃焼筒内に供給できる。これにより、複数の開口部より軸方向上流側の領域において複数の開口部より軸方向下流側の領域よりも燃焼筒内の温度を高く保つことができる。これにより、複数の開口部より軸方向上流側の領域における燃焼状態を安定化できるとともに、複数の開口部より軸方向下流側の領域において燃焼ガスの温度を抑制できる。
【0026】
なお、複数の開口部から燃焼筒内に流入する空気は、燃焼筒の軸方向下流側に向かう速度成分(以下、軸方向速度成分と呼ぶ)と、燃焼筒の径方向内側に向かう速度成分(以下、径方向速度成分と呼ぶ)とを有する。
第3領域と燃焼筒との間の空間から複数の開口部を介して燃焼筒内に流入する空気の流速は、複数の開口部のそれぞれの開口面積、開口部の数、及び単位時間あたりに燃焼筒内に流入する空気量で決まる。そのため、該空気量が一定であれば、第3領域と燃焼筒との間の空間を流れる冷却空気の流速、すなわち該空間における軸方向速度成分を大きくすると、複数の開口部から燃焼筒内に流入する空気の軸方向速度成分は大きくなるものの、径方向速度成分は小さくなる。逆に、第3領域と燃焼筒との間の空間を流れる冷却空気の軸方向速度成分を小さくすると、複数の開口部から燃焼筒内に流入する空気の軸方向速度成分は小さくなるものの、径方向速度成分は大きくなる。
【0027】
燃焼筒の下流にタービンが配置されている場合、タービンに到達する燃焼ガスの温度のムラを抑制することがタービン効率向上の観点から望ましい。そのため、複数の開口部から燃焼筒内に流入する空気の径方向速度成分を大きくすることで、燃焼筒内を流れる燃焼ガスに対する、複数の開口部から燃焼筒内に流入する空気の貫通力を大きくすることが望ましい。したがって、第3領域と燃焼筒との間の空間を流れる冷却空気の軸方向速度成分を小さくすることが望ましい。
【0028】
上記(10)の構成によれば、第3間隔の方が第2間隔よりも大きいので、第3領域と燃焼筒との間の空間を流れる冷却空気の流速は、第2領域と燃焼筒との間の空間を流れる冷却空気の流速よりも小さくなる。これにより、第3領域と燃焼筒との間の空間を流れる冷却空気の軸方向速度成分を小さくすることができ、上記貫通力を大きくすることができる。
【0029】
(11)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(10)の何れかの構成において、
前記燃焼筒は、軸方向下流側の端部から前記軸方向に延在する切欠き部が前記周方向に沿って間隔を空けて複数形成され、
該端部を前記燃焼筒の径方向外側又は内側から押圧して該端部を保持する保持部、
をさらに備える。
【0030】
上記(11)の構成によれば、簡単な構成によって燃焼筒の軸方向下流側の端部を保持部で保持できる。
【0031】
(12)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(11)の何れかの構成において、
前記スクロール流路の前記周方向上流側に配置され、前記スクロール流路内に流入する空気を整流するための案内部材
をさらに備える。
【0032】
上記(12)の構成によれば、案内部材によってスクロール流路を流れる空気の流量が燃焼筒の径方向に沿った流路断面の位置によって差が生じることを抑制できる。これにより、スクロール流路における燃料と空気との混合状態が該流路断面の位置によって差が生じることを抑制できる。
【0033】
(13)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(12)の何れかの構成において、
前記予混合管が内部に配置されるケーシング
をさらに備え、
前記ケーシングは、前記ケーシングの内部に空気を供給するための空気入口部と、前記予混合管を前記燃焼筒の径方向外側から覆い前記空気入口部が形成された側壁部とを有し、
前記予混合管の入口端は、前記ケーシングの内部の領域のうち、前記空気入口部が位置する領域とは前記燃焼筒の軸線を挟んで反対側の領域に配置されている。
【0034】
上記(13)の構成によれば、予混合管の入口端近傍では、空気入口部からケーシングの内部に流入する空気の流速の影響を受け難くなるので、スクロール流路内での混合気の流れに乱れが生じ難くなる。これにより、軸方向流路を介して燃焼筒に流れ込む混合気の流れが乱れ難くなるので、燃焼筒内での燃焼状態が良好となり、燃焼器の燃焼効率向上に寄与できる。
【0035】
(14)幾つかの実施形態では、上記(13)の構成において、前記噴射孔は、前記反対側の領域に配置されている。
【0036】
上記(14)の構成によれば、上記(13)の構成による作用効果も相まって、スクロール流路内で燃料と空気とが効率的に混合される。
【0037】
(15)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(14)の何れかの構成において、
前記軸方向流路は、前記燃焼筒の径方向外側に配置された筒状の外側壁部と、前記径方向内側に配置されていて前記外側壁部とは前記燃焼筒の径方向に間隔を空けて配置された筒状の内側壁部とを有し、
前記外側壁部及び前記内側壁部のうち少なくとも前記外側壁部は、前記軸方向流路における下流側の領域において前記軸方向下流側に向かうにつれて前記径方向の寸法が漸増するように形成されている。
【0038】
上記(15)の構成によれば、軸方向通路から燃焼筒内に混合気が径方向外側に向かう速度成分を有した状態で流入するので、燃焼筒の軸方向上流側では、軸方向通路よりも径方向内側の領域において混合気が軸方向上流側に流れる循環流が発生し易くなる。このような混合気の循環流が発生する領域では、混合気の流速が比較的遅くなるので、保炎に適した状態を確保できる。
【0039】
(16)本発明の少なくとも一実施形態に係るガスタービンは、
上記構成(1)乃至(15)の何れかの燃焼器と、
圧縮空気を生成するためのコンプレッサと、
前記燃焼器からの燃焼ガスによって回転駆動されるように構成されたタービンと、
を備える。
【0040】
上記(16)の構成によれば、上記構成(1)乃至(15)の何れかの燃焼器を備えるので、ガスタービンの小型化を図れる。
【発明の効果】
【0041】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、ガスタービンの大きさを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】幾つかの実施形態に係るガスタービンを備えた発電装置の全体構成を示す図である。
【図2】幾つかの実施形態に係る燃焼器の側面を模式的に示した図である。
【図3】幾つかの実施形態に係る燃焼器を後述する燃焼筒の軸方向上流側から見た外観を模式的に示した図である。
【図4】図3のIV−IV矢視断面を模式的に示した図である。
【図5】図2のV−V矢視断面を模式的に示した図である。
【図6】図4における予混合管20の近傍を拡大した模式的な図である。
【図7】幾つかの実施形態に係る予混合管における上流側の端部近傍を予混合管の軸方向に沿って切断した断面を模式的に示す図である。
【図8】冷却空気通路について説明するための模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0044】
(全体構成について)
図1は、幾つかの実施形態に係るガスタービンを備えた発電装置の全体構成を示す図である。図1に示す発電装置1は、例えば電気自動車におけるレンジエクステンダーや、可搬用電源等に用いられるものである。図1に示す発電装置1は、ガスタービン2と、発電機7と、熱交換器9とを備えている。幾つかの実施形態に係るガスタービン2は、圧縮空気を生成するためのコンプレッサ3と、圧縮空気及び燃料を用いて燃焼ガスを発生させるための燃焼器10と、燃焼ガスによって回転駆動されるように構成されたタービン5とを備えている。
【0045】
幾つかの実施形態に係るコンプレッサ3は、不図示のコンプレッサホイールとタービン5のタービンホイールとが回転軸8Aによって接続されている。コンプレッサ3は、タービン5の回転エネルギーによって回転駆動されて、圧縮空気を生成する。コンプレッサ3で生成された圧縮空気は、後述する熱交換器9を介して燃焼器10に供給される。なお、詳細は後で説明するが、幾つかの実施形態に係るコンプレッサ3で生成された圧縮空気の一部は、熱交換器9を介さずに燃焼器10に供給される。幾つかの実施形態に係るコンプレッサ3は、例えば遠心圧縮機であってもよい。
【0046】
幾つかの実施形態に係る燃焼器10には、コンプレッサ3で生成されて、熱交換器9で加熱された圧縮空気と、燃料とが供給され、燃料を燃焼させることによって、タービン5の作動流体である燃焼ガスを発生させる。そして、燃焼ガスは燃焼器10から後段のタービン5に送られる。なお、幾つかの実施形態に係る燃焼器10の詳細な構成例については後で詳述する。
【0047】
幾つかの実施形態に係るタービン5は、例えば、不図示のラジアルタービンホイール又は斜流タービンホイールを有するタービンである。幾つかの実施形態に係るタービン5は、燃焼器10で生成された燃焼ガスによって駆動される。幾つかの実施形態に係るタービン5の不図示のタービンホイールは、発電機7と回転軸8Bによって接続されている。すなわち、幾つかの実施形態に係る発電機7は、タービン5の回転エネルギーによって発電するように構成されている。
【0048】
タービン5から排出された燃焼ガスは、熱交換器9に供給される。幾つかの実施形態に係る熱交換器9は、タービン5から排出された燃焼ガスと、コンプレッサ3から供給された圧縮空気との間で熱交換を行うように構成されている。すなわち、幾つかの実施形態に係る熱交換器9では、コンプレッサ3から供給された圧縮空気は、タービン5から排出された燃焼ガスによって加熱される。
【0049】
(燃焼器10について)
図2は、幾つかの実施形態に係る燃焼器10の側面を模式的に示した図である。図3は、幾つかの実施形態に係る燃焼器10を後述する燃焼筒11の軸方向上流側から見た外観を模式的に示した図である。図4は、図3のIV−IV矢視断面を模式的に示した図である。図5は、図2のV−V矢視断面を模式的に示した図である。図6は、図4における予混合管20の近傍を拡大した模式的な図である。
幾つかの実施形態に係る燃焼器10は、円筒形状を有する燃焼筒11と、燃焼筒11の軸方向上流側に配置された予混合管20と、第1燃料ノズル31と、第2燃料ノズル35と、点火栓41とを備えている。幾つかの実施形態に係る燃焼器10は、予混合管20が内部に配置されるケーシング70と、燃焼筒11の外周面と間隔を空けて対向する外筒部80とを備えている。
以下の説明では、燃焼筒11の軸線AXに沿った方向を燃焼筒11の軸方向、又は単に軸方向とも呼ぶ。以下の説明では、燃焼筒11の周方向を単に周方向とも呼ぶ。以下の説明では、燃焼筒11の径方向を単に径方向とも呼ぶ。また、軸方向のうち、燃焼ガスの流れる方向に沿った上流側を軸方向上流側と呼ぶ。同様に、軸方向のうち、燃焼ガスの流れる方向に沿った下流側を軸方向下流側と呼ぶ。
【0050】
(燃焼筒11)
上述したように、幾つかの実施形態に係る燃焼筒11は、円筒形状を有しており、軸方向の両端が開口している。幾つかの実施形態に係る燃焼筒11は、軸方向下流側の端部11aが保持部90に保持されている(図4参照)。なお、図示はしていないが、幾つかの実施形態に係る燃焼筒11は、軸方向上流側の端部11b近傍で例えば外筒部80に固定されている。なお、外筒部80は、燃焼筒11の外周面11cと間隔を空けて対向する筒状の部材である。燃焼筒11の下流側は、タービン5に接続されている。
燃焼筒11と外筒部80との間には、後述するように圧縮空気が流通可能であるが、詳細については後で説明する。
【0051】
(予混合管20)
幾つかの実施形態では、予混合管20は、上述したように燃焼筒11の軸方向上流側に配置されている。幾つかの実施形態に係る予混合管20は、燃焼筒11の周方向に延在するスクロール流路23、及び、燃焼筒11の軸方向に延在してスクロール流路23と燃焼筒11の内部とを接続する軸方向流路25を含む。また、幾つかの実施形態に係る予混合管20は、スクロール流路23における周方向上流側の端部23aに接続され、該端部23aにおけるスクロールの接線方向に延在する接線方向流路21を含む。なお、スクロールの接線方向とは、スクロール流路23における燃焼筒11の径方向に沿った流路断面の中心Csを通る線AXsについての接線が延在する方向である。また、該流路断面の中心Csは、該流路断面の図心である。
【0052】
幾つかの実施形態では、図5によく示すように、予混合管20の入口端、すなわち、接線方向流路21の上流側の入口端部21aは、後述するケーシング70の内部の領域のうち、後述する空気入口部71が位置する領域70aとは燃焼筒11の軸線AXを挟んで反対側の領域70bに配置されている。
【0053】
幾つかの実施形態では、スクロール流路23は、燃焼筒11の径方向に沿った流路断面の面積が周方向上流側から周方向下流側に向かうにつれて漸減するように形成されている。
【0054】
図6によく示すように、幾つかの実施形態では、軸方向流路25は、周方向に沿って環状に形成された流路である。幾つかの実施形態では、軸方向流路25における軸方向上流側の端部25aは、スクロール流路23の軸方向下流側の壁面において円環状に開口した開口部23bと接続されている。幾つかの実施形態では、軸方向流路25における軸方向下流側の端部25bは、円環状に開口した開口部であり、燃焼筒11の軸方向上流側の領域に位置する。
【0055】
図6によく示すように、幾つかの実施形態では、軸方向流路25は、径方向外側に配置された筒状の外側壁部26と、径方向内側に配置されていて外側壁部26とは燃焼筒11の径方向に間隔を空けて配置された筒状の内側壁部27とを有する。
幾つかの実施形態では、外側壁部26及び内側壁部27は、軸方向流路25における下流側の領域において軸方向下流側に向かうにつれて径方向の寸法が漸増するように形成されている。
なお、外側壁部26及び内側壁部27のうち少なくとも外側壁部26についてだけ、軸方向流路25における下流側の領域において軸方向下流側に向かうにつれて径方向の寸法が漸増するように形成されていてもよい。
【0056】
図6によく示すように、幾つかの実施形態では、外側壁部26からさらに軸方向下流側に向かって拡径するように形成された円錐壁部28が設けられている。幾つかの実施形態では、円錐壁部28の下流側の端部は、燃焼筒11の内周面11dから径方向に間隔を空けて配置されている。
【0057】
図6によく示すように、幾つかの実施形態に係る予混合管20は、スクロール流路23よりも径方向内側の領域に軸方向に延在する内側円筒部24を有する。内側円筒部24は、スクロール流路23を形成する壁面の一部、及び、軸方向流路25の内側壁部27を含んでいる。幾つかの実施形態では、内側円筒部24の内側の領域は、軸方向流路25によって径方向外側を環状に囲まれた領域である。該領域を中央領域24aとも呼ぶ。
幾つかの実施形態では、中央領域24aには、点火栓41と、冷却空気通路43と、第2燃料ノズル35とが配置されている。
【0058】
(点火栓41、冷却空気通路43及び第2燃料ノズル35)
幾つかの実施形態では、点火栓41は、中央領域24aに配置され、予混合管20から燃焼筒11内に供給された燃料と空気との混合気に着火させるための点火栓である。幾つかの実施形態では、点火栓41は、中央領域24aにおいて、内側円筒部24の軸方向下流側の端部、すなわち、軸方向流路25の内側壁部27の軸方向下流側の端部に配置されている。
冷却空気通路43は、中央領域24aにおいて点火栓41の側方に配置され、点火栓41を冷却するための冷却空気が流れる空気通路である。冷却空気通路43の詳細については、後で説明する。
【0059】
幾つかの実施形態では、中央領域24aに配置され、燃焼筒11の内部に燃料を供給する第2燃料ノズル35を備えていてもよい。
点火栓41での着火時に第2燃料ノズル35から燃焼筒11の内部に燃料を供給することで、点火栓41近傍の燃料の濃度を上昇させることができ、着火性が向上する。
なお、第2燃料ノズル35には、例えば図4及び図6によく示すように、第2燃料ノズル35に燃料を供給するための燃料供給配管37が接続されている。
【0060】
(案内部材51)
図7は、幾つかの実施形態に係る予混合管20における上流側の端部近傍を予混合管20の軸方向に沿って切断した断面を模式的に示す図である。
幾つかの実施形態では、スクロール流路の前記周方向上流側に配置され、前記スクロール流路内に流入する空気を整流するための案内部材51を備えている。
なお、幾つかの実施形態では、案内部材51は、接線方向流路21の上流側の入口端部21aの近傍に配置されている。
案内部材51は、例えば、内周面が上流側に向かうにつれて半径が大きくなるベルマウス形状を有する短管状の部材である。
案内部材51によってスクロール流路23を流れる圧縮空気の流量が燃焼筒11の径方向に沿った流路断面の位置によって差が生じることを抑制できる。これにより、スクロール流路23における燃料と空気との混合状態が該流路断面の位置によって差が生じることを抑制できる。
【0061】
(第1燃料ノズル31)
幾つかの実施形態に係る第1燃料ノズル31は、スクロール流路23の周方向上流側に配置されている。幾つかの実施形態に係る第1燃料ノズル31は、スクロール流路23内に燃料を噴射するための噴射孔31aを有する。なお、例えば図5〜7において第1燃料ノズル31には1つの噴射孔31aだけが図示されているが、噴射孔31aの数は、1であってもよく、2以上であってもよい。
【0062】
(ケーシング70)
幾つかの実施形態では、予混合管20が内部に配置されるケーシング70を備えている。幾つかの実施形態に係るケーシング70は、ケーシング70の内部にコンプレッサ3からの圧縮空気を供給するための空気入口部71と、予混合管20を燃焼筒11の径方向外側から覆い、空気入口部71が一部に形成された側壁部73と、予混合管20を燃焼筒11の軸方向外側から覆う一対の壁部75とを有する。
【0063】
一対の壁部75のうち、軸方向下流側の壁部75には、開口部75aが形成されている。幾つかの実施形態では、開口部75aを介してケーシング70の内側の領域と、燃焼筒11の内側の領域とが連通している。また、幾つかの実施形態では、開口部75aを介してケーシング70の内側の領域と、及び外筒部80の内周面80aと燃焼筒11の外周面11cとで囲まれた領域とが連通している。
幾つかの実施形態では、開口部75aから軸方向下流側に向かって円錐壁部28が突出するように配置されている。
【0064】
(圧縮空気、混合気、及び燃焼ガスの流れの概要について)
このように構成される、幾つかの実施形態に係る燃焼器10における、圧縮空気、混合気及び燃焼ガスのおおよその流れについて、主に図4を参照して説明する。
コンプレッサ3から供給されて熱交換器9で加熱された圧縮空気は、図4の矢印a1で示すように、空気入口部71からケーシング70の内部に流入する。ケーシング70の内部に流入した圧縮空気は、主に、矢印a2、a3で示すように、予混合管20と一対の壁部75との間を流れる。
【0065】
予混合管20と一対の壁部75のうちの軸方向下流側の壁部75との間を流れる圧縮空気は、矢印a4、a7で示すように、外筒部80の内周面80aと燃焼筒11の外周面11cとで囲まれた領域に流れる流れと、矢印a5、a8で示すように、燃焼筒11の内周面11dと円錐壁部28の外周面とで囲まれた領域に流れる流れと、矢印a6、a9、a10で示すように、予混合管20の入口側に向かって流れる流れとに分かれる。また、予混合管20と一対の壁部75のうちの軸方向上流側の壁部75との間を流れる圧縮空気は、矢印a2、a11、a12で示すように、予混合管20の入口側に向かって流れる。
【0066】
図7に示すように、予混合管20の入口側に向かって流れる圧縮空気は、矢印a10、a12で示すように案内部材51の上流側の入口51aから案内部材51を介して予混合管20の接線方向流路21に流入するとともに、矢印a9,a11で示すように案内部材51の外周面51bと接線方向流路21の内周面21bとの間の環状の隙間から接線方向流路21に流入する。
第1燃料ノズル31の噴射孔31aから噴射された燃料Fと、予混合管20に流れ込んだ圧縮空気とは、予混合管20、主には、スクロール流路23内で予混合されて混合気となる。
【0067】
スクロール流路23内を流れる混合気は、図4における矢印g1で示すように、軸方向流路25(図6参照)を介し、円錐壁部28の内周面に沿って流れる。混合気の一部は、矢印g5で示すように循環流を形成し、残りは矢印g2で示すように燃焼筒11の内部に流れ込む循環流を形成する。
混合気は、内側円筒部24の軸方向下流側の端部にて点火栓41によって着火し、燃焼ガスとなって矢印g3で示すように燃焼筒11の軸方向下流側に向かって流れる。その後、燃焼ガスは、矢印g4で示すように、燃焼筒11から排気されて、タービン5に流入する。
【0068】
(噴射孔31aの位置について)
幾つかの実施形態に係る燃焼器10では、図7に示すように、噴射孔31aは、スクロール流路23が存在する範囲Aと軸方向において重複する位置に配置されている。
これにより、予混合管20及び第1燃料ノズル31を燃焼筒11の側部に配置しなくてもよいので、ガスタービン2の大きさが燃焼筒11の径方向に大きくなってしまうことを抑制でき、ガスタービン2の小型化を図れる。
また、第1燃料ノズル31が上記の位置に配置されているので、燃料をスクロールの接線方向に沿ってスクロール流路23内に噴射し易くなる。そのため、燃料がスクロール流路23を構成する壁面に付着し難くなり、燃焼筒11内の火炎が予混合管20側に遡上するフラッシュバック(逆火)を抑制できる。
さらに、第1燃料ノズル31が上記の位置に配置されているので、燃料ノズルの本数を抑制できる。例えば、上述した幾つかの実施形態では、上記の位置における燃料ノズルの本数を1本とすることができる。
【0069】
幾つかの実施形態に係る燃焼器10では、図5によく示すように、予混合管20は、スクロール流路23における周方向上流側の端部23aに接続され、該端部23aにおけるスクロールの接線方向に延在する接線方向流路21を有している。そして、幾つかの実施形態に係る燃焼器10では、噴射孔31aは、接線方向流路21における上流側に配置されている。
これにより、燃料と空気とが接線方向流路21を流れることで整流されることとなり、スクロール流路23内での混合気の流れに偏差が生じ難くなる。これにより、軸方向流路25を介して燃焼筒11に流れ込む混合気の燃料と空気の混合性や流量の偏差が生じにくくなるので、燃焼筒11内での燃焼状態が良好となり、ガスタービン2の燃焼効率向上に寄与できる。
【0070】
幾つかの実施形態に係る燃焼器10では、図5に示すように、噴射孔31aは、スクロール流路23における周方向上流側の端部23aからの距離Lが、該端部23aにおけるスクロールの接線方向に沿って、該端部23aにおける前記スクロール流路の直径Dの2倍(2D)以内となる位置に配置されている。
これにより、第1燃料ノズル31の位置を燃焼筒11の径方向内側に近づけることができるので、ガスタービン2の小型化を図れる。
【0071】
(スクロール流路23について)
幾つかの実施形態では、上述したように、スクロール流路23は、燃焼筒11の径方向に沿った流路断面の面積が周方向上流側から周方向下流側に向かうにつれて漸減するように形成されている。
幾つかの実施形態では、軸方向流路25が燃焼筒11の周方向の全周にわたって延在する環状の流路であって燃焼筒11に接続されているので、スクロール流路23を流れる混合気は、スクロール流路23の周方向下流側に向かうにつれて漸減する。幾つかの実施形態では、上述したように、スクロール流路23において燃焼筒11の径方向に沿った流路断面の面積が周方向上流側から周方向下流側に向かうにつれて漸減するように形成されている。そのため、スクロール流路23を流れる混合気が上述したようにスクロール流路23の周方向下流側に向かうにつれて漸減しても、スクロール流路23を流れる混合気の周方向の流速の低下が抑制される。そのため、軸方向流路25から燃焼筒11に流れ込む混合気の流量が、周方向の位置によって差が生じ難くなり、燃焼筒11内での燃焼状態が周方向の位置によって差が生じることを抑制できる。これにより、燃焼筒11内での燃焼状態が良好となり、ガスタービン2の燃焼効率向上に寄与できる。
【0072】
幾つかの実施形態では、スクロール流路23は、燃焼筒11の径方向に沿った流路断面の中心Csの位置が周方向上流側から周方向下流側に向かうにつれて燃焼筒11の軸方向下流側に移動するように形成されている。
幾つかの実施形態では、上述したように、スクロール流路23は、燃焼筒11の径方向に沿った流路断面の面積が周方向上流側から周方向下流側に向かうにつれて漸減するように形成されている。そのため、流路断面の中心Csの位置が周方向上流側から周方向下流側に向かうにつれて燃焼筒11の軸方向下流側に移動するように形成されていない場合には、スクロール流路23と軸方向流路25との接続部29の位置、すなわちスクロール流路23の開口部23bと軸方向流路25の端部25aとの接続位置が周方向上流側から周方向下流側に向かうにつれて燃焼筒11の軸方向上流側に移動してしまう。接続部29の位置が周方向の位置によって異なると、軸方向流路25の軸方向に沿った長さが周方向の位置によって異なってしまうので、軸方向流路25を流れる混合気の流速が周方向の位置によって異なってしまい、軸方向流路25から燃焼筒11に流れ込む混合気の流量が、周方向の位置によって差が生じてしまうおそれがある。
幾つかの実施形態では、上述したように、スクロール流路23において燃焼筒11の径方向に沿った流路断面の中心Csの位置が周方向上流側から周方向下流側に向かうにつれて燃焼筒11の軸方向下流側に移動するように形成されている。そのため、接続部29の位置が周方向上流側から周方向下流側に向かうにつれて燃焼筒11の軸方向上流側に移動してしまうことを抑制できる。したがって、幾つかの実施形態によれば、軸方向流路25から燃焼筒11に流れ込む混合気の流量が、周方向の位置によって差が生じ難くなり、燃焼筒11内での燃焼状態が周方向の位置によって差が生じることを抑制できる。これにより、燃焼筒11内での燃焼状態が良好となり、ガスタービン2の燃焼効率向上に寄与できる。
【0073】
(点火栓41の配置位置について)
幾つかの実施形態では、点火栓41は、中央領域24aに配置されている。
幾つかの実施形態では、環状に形成された軸方向流路25における軸方向下流側の端部25bから流路が急拡大するので、燃焼筒11の軸方向上流側では、図4における矢印g5で示すように、軸方向流路25よりも径方向内側の領域において混合気が軸方向上流側に流れる循環流が発生する。幾つかの実施形態では、軸方向流路25によって径方向外側を環状に囲まれた中央領域24aに点火栓41を配置しているので、上述したような混合気の循環流に対して着火させることができる。上述したような混合気の循環流が発生する領域11rでは、混合気の流速が比較的遅くなるので、中央領域24aに配置した点火栓41によって循環流に着火させるようにすることで、着火信頼性が向上する。
【0074】
(冷却空気通路43について)
図8は、冷却空気通路43について説明するための模式的な断面図である。図6及び図8に示すように、幾つかの実施形態では、点火栓41を冷却するための冷却空気が流れる冷却空気通路43を備えている。
冷却空気通路43は、例えば壁面に複数の開口45aが形成された筐体45の内部に形成される。筐体45は、点火栓41における燃焼筒11内に面した端部41aの近傍を冷却空気で冷却するように、冷却空気通路43を形成している。筐体45には、冷却空気を供給するための冷却空気配管47の下流端が接続されている。
幾つかの実施形態では、冷却空気配管47は、図1に示すように、コンプレッサ3からの圧縮空気を、熱交換器9を介さずに冷却空気通路43に供給可能に構成されている。なお、熱交換器9を通過して加熱された後の圧縮空気が冷却空気通路43に供給可能に構成されていてもよい。
【0075】
図8の矢印b1で示すように、冷却空気配管47を流れるコンプレッサ3からの圧縮空気(冷却空気)は、矢印b2で示すように冷却空気通路43に流入する。その後、冷却空気は、矢印b3で示すように筐体45の内部、すなわち冷却空気通路43を流れて、矢印b4で示すように複数の開口45aから筐体45の外部、すなわち燃焼筒11内に流出する過程で点火栓41を冷却する。
これにより、燃焼筒11内の火炎の熱による点火栓41への悪影響を抑制できる。
また、点火時に冷却空気通路43への冷却空気の供給を停止し、着火後に冷却空気通路43への冷却空気の供給を開始することで、着火性信頼性を保ちつつ、火炎の熱による点火栓41への悪影響を抑制できる。
【0076】
(燃焼筒11と外筒部80との間の圧縮空気の流れについて)
上述したように、幾つかの実施形態では、燃焼筒11の外周面11cと外筒部80の内周面80aとの間には、図4における矢印a4、a5で示すように、ケーシング70を介して供給された圧縮空気が流入可能に構成されている。
圧縮空気が燃焼筒11の外周面11cと外筒部80の内周面80aとの間を軸方向下流側に向かって流れることで、圧縮空気によって燃焼筒11を冷却できる。
【0077】
幾つかの実施形態では、外筒部80は、第1間隔△d1を空けて燃焼筒11の外周面11cと対向する第1領域81と、第1領域81の下流で第1間隔△d1よりも小さな第2間隔△d2を空けて燃焼筒11の外周面11cと対向する第2領域82とを含む。
幾つかの実施形態では、外筒部80の第1領域81及び第2領域82と燃焼筒11との間の空間に圧縮空気(冷却空気)を流すことで、燃焼筒11を冷却できる。その際、第2間隔△d2の方が第1間隔△d1よりも小さいので、第2領域82と燃焼筒11との間の空間を流れる冷却空気の流速は、第1領域81と燃焼筒11との間の空間を流れる冷却空気の流速よりも大きくなる。そのため、燃焼筒11のうち第2領域82と第2間隔△d2を空けて対向する領域を効果的に冷却できる。
【0078】
幾つかの実施形態では、外筒部80は、第2領域82の下流で第2間隔△d2よりも大きな第3間隔△d3を空けて燃焼筒11の外周面11cと対向する第3領域83を含む。
また、幾つかの実施形態では、燃焼筒11は、第3領域83と対向する領域に形成された複数の開口部13を有する。
したがって、幾つかの実施形態では、外筒部80と燃焼筒11との間の空間に圧縮空気(冷却空気)を流すことで、該空間から上記複数の開口部13を介して空気を燃焼筒11内に供給できる。これにより、複数の開口部13より軸方向上流側の領域において複数の開口部13より軸方向下流側の領域よりも燃焼筒11内の温度を高く保つことができる。これにより、複数の開口部13より軸方向上流側の領域における燃焼状態を安定化できるとともに、複数の開口部13より軸方向下流側の領域において燃焼ガスの温度を抑制できる。
【0079】
なお、複数の開口部13から燃焼筒11内に流入する空気は、燃焼筒11の軸方向下流側に向かう速度成分(以下、軸方向速度成分Vaxと呼ぶ)と、燃焼筒11の径方向内側に向かう速度成分(以下、径方向速度成分Vdと呼ぶ)とを有する(図4参照)。
第3領域83と燃焼筒11との間の空間から複数の開口部13を介して燃焼筒11内に流入する空気の流速Vは、複数の開口部13のそれぞれの開口面積、開口部13の数、及び単位時間あたりに燃焼筒11内に流入する空気量で決まる。そのため、該空気量が一定であれば、第3領域83と燃焼筒11との間の空間を流れる冷却空気の流速、すなわち該空間における軸方向速度成分を大きくすると、複数の開口部13から燃焼筒11内に流入する空気の軸方向速度成分Vaxは大きくなるものの、径方向速度成分Vdは小さくなる。
逆に、第3領域83と燃焼筒11との間の空間を流れる冷却空気の軸方向速度成分を小さくすると、複数の開口部13から燃焼筒11内に流入する空気の軸方向速度成分Vaxは小さくなるものの、径方向速度成分Vdは大きくなる。
【0080】
燃焼筒11の下流にタービン5が配置されている場合、タービン5に到達する燃焼ガスの温度のムラを抑制することがタービン効率向上、損傷防止の観点から望ましい。そのため、複数の開口部13から燃焼筒11内に流入する空気の径方向速度成分Vdを大きくすることで、燃焼筒11内を流れる燃焼ガスに対する、複数の開口部13から燃焼筒11内に流入する空気の貫通力を大きくすることが望ましい。したがって、第3領域83と燃焼筒11との間の空間を流れる冷却空気の軸方向速度成分を小さくすることが望ましい。
【0081】
幾つかの実施形態によれば、第3間隔△d3の方が第2間隔△d2よりも大きいので、第3領域83と燃焼筒11との間の空間を流れる冷却空気の流速は、第2領域82と燃焼筒11との間の空間を流れる冷却空気の流速よりも小さくなる。これにより、第3領域83と燃焼筒11との間の空間を流れる冷却空気の軸方向速度成分を小さくすることができ、上記貫通力を大きくすることができる。
【0082】
(燃焼筒11の軸方向下流側の切欠き部について)
幾つかの実施形態に係る燃焼器10では、図4に示すように、燃焼筒11は、軸方向下流側の端部11aから軸方向に延在する切欠き部15が周方向に沿って間隔を空けて複数形成されている。
また、幾つかの実施形態に係る燃焼器10では、保持部90は、該端部11aを燃焼筒11の径方向外側から押圧して該端部11aを保持するように構成されている。
具体的には、幾つかの実施形態に係る燃焼器10では、切欠き部15を設けることで、切欠き部15によって周方向に間隔を空けて分割された燃焼筒11における軸方向下流側の部分円筒部17のそれぞれは、他の部分円筒部17とは別々に端部11aを径方向に動かすことができる。
したがって、保持部90によって燃焼筒11を保持する際に、該端部11aを部分円筒部17の弾性力に抗して径方向内側に移動させることで、該弾性力によって部分円筒部17が径方向外側に向かって保持部90を押圧する。
これにより、簡単な構成によって燃焼筒11の軸方向下流側の端部11aを保持部90で保持できる。
また、燃焼筒11(部分円筒部17)の弾性力を利用して燃焼筒11を保持部90で保持できるので、燃焼時に燃焼筒11が振動することを抑制でき、燃焼筒11の耐久性を向上できる。また、単純な構成であるので、コスト増を抑制できる。
なお、該端部11aを燃焼筒11の径方向内側から押圧して該端部11aを保持するようにしてもよい。
【0083】
(予混合管20の入口端とケーシング70の空気入口部71との位置関係について)
上述したように、幾つかの実施形態では、図5によく示すように、予混合管20の入口端、すなわち、接線方向流路21の上流側の入口端部21aは、ケーシング70の内部の領域のうち、空気入口部71が位置する領域70aとは燃焼筒11の軸線AXを挟んで反対側の領域70bに配置されている。
これにより、予混合管20の入口端近傍では、空気入口部71からケーシング70の内部に流入する圧縮空気の流速分布の偏りの影響を受け難くなるので、スクロール流路23内での混合気の流れに乱れが生じ難くなる。これにより、軸方向流路25を介して燃焼筒11に流れ込む混合気の流れが乱れ難くなるので、燃焼筒11内での燃焼状態が良好となり、ガスタービン2の燃焼効率向上に寄与できる。
【0084】
また、幾つかの実施形態では、噴射孔31aは、上記反対側の領域70bに配置されている。
これにより、接線方向流路21の上流側の入口端部21aを上記反対側の領域70bに配置したことによる上記の作用効果も相まって、スクロール流路23内で燃料と空気とが効率的に混合される。
【0085】
(混合気の循環流について)
上述したように、幾つかの実施形態では、環状に形成された軸方向流路25から燃焼筒11内に混合気が流入するので、燃焼筒11の軸方向上流側では、図4における矢印g5で示すように、軸方向流路25よりも径方向内側の領域において混合気が軸方向上流側に流れる循環流が発生する。
さらに、幾つかの実施形態では、上述したように、外側壁部26及び内側壁部27は、軸方向流路25における下流側の領域において軸方向下流側に向かうにつれて径方向の寸法が漸増するように形成されている。
これにより、軸方向流路25から燃焼筒11内に混合気が径方向外側に向かう速度成分を有した状態で流入するので、燃焼筒11の軸方向上流側では、軸方向流路25よりも径方向内側の領域において上述した循環流が発生し易くなる。このような混合気の循環流が発生する領域11rでは、上述したように混合気の流速が比較的遅くなるので、保炎に適した状態を確保できる。
【0086】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【符号の説明】
【0087】
1 発電装置
2 ガスタービン
3 コンプレッサ
5 タービン
10 燃焼器
11 燃焼筒
13 開口部
15 切欠き部
20 予混合管
21 接線方向流路
23 スクロール流路
24a 中央領域
25 軸方向流路
26 外側壁部
27 内側壁部
31 第1燃料ノズル
31a 噴射孔
32 第2燃料ノズル
41 点火栓
51 案内部材
70 ケーシング
71 空気入口部
73 側壁部
80 外筒部
81 第1領域
82 第2領域
83 第3領域
90 保持部
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】