(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2021004794
(43)【公開日】20210114
(54)【発明の名称】半導体ウェーハの厚み測定方法及び半導体ウェーハの厚み測定システム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/06 20060101AFI20201211BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20201211BHJP
【FI】
   !G01B11/06 G
   !H01L21/66 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】2019118686
(22)【出願日】20190626
(71)【出願人】
【識別番号】302006854
【氏名又は名称】株式会社SUMCO
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目2番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100165696
【弁理士】
【氏名又は名称】川原 敬祐
(74)【代理人】
【識別番号】100179903
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 裕司
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目2番1号 株式会社SUMCO内
(72)【発明者】
【氏名】木原 誉之
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目2番1号 株式会社SUMCO内
(72)【発明者】
【氏名】高梨 啓一
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目2番1号 株式会社SUMCO内
【テーマコード(参考)】
2F065
4M106
【Fターム(参考)】
2F065AA30
2F065AA47
2F065BB03
2F065CC19
2F065DD06
2F065EE01
2F065FF52
2F065GG21
2F065JJ18
2F065JJ25
2F065LL67
2F065QQ21
2F065QQ25
2F065QQ42
2F065QQ43
2F065QQ44
2F065RR05
4M106AA01
4M106BA08
4M106BA20
4M106CA48
4M106DB03
(57)【要約】
【課題】半導体ウェーハの厚みを面内の複数点において分光干渉方式で短時間に測定する際に、面内の温度ばらつきに起因する厚み測定値のばらつきを抑制することが可能な半導体ウェーハの厚み測定方法を提供する。
【解決手段】半導体ウェーハの厚みを面内の複数点において分光干渉方式で測定する際に、半導体ウェーハ表面の所定位置における屈折率及び厚みの光路長を求め、当該光路長を屈折率で除することによって、所定位置での半導体ウェーハの厚み測定値を求め、これを半導体ウェーハの面内の複数点で行う。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)半導体ウェーハの表面の所定位置における屈折率を求める屈折率取得工程と、
(B)前記半導体ウェーハの表面の前記所定位置における厚みに相当する光路長を測定する光路長測定工程と、
(C)前記半導体ウェーハの厚みの前記厚みに相当する光路長を、前記屈折率取得工程において求めた前記屈折率で除することによって、前記所定位置での前記半導体ウェーハの厚み測定値を得る厚み測定工程と、
を含み、
前記(B)光路長測定工程は、
(i)所定の帯域幅を有する赤外光を前記半導体ウェーハの表面の前記所定位置に照射する第1工程と、
(ii)前記赤外光が前記半導体ウェーハの表面で反射してなる第1反射光と、前記赤外光が前記半導体ウェーハを透過して該半導体ウェーハの裏面で反射してなる第2反射光との干渉光を検出する第2工程と、
(iii)前記第2工程で検出した前記干渉光の分光スペクトルを得る第3工程と、
(iv)前記分光スペクトルを波形解析して、前記所定位置での前記半導体ウェーハの厚みに相当する光路長を求める第4工程と、
を含み、
前記(A)屈折率取得工程、前記(B)光路長測定工程、及び前記(C)厚み測定工程を前記半導体ウェーハの面内の複数点で行うことを特徴とする半導体ウェーハの厚み測定方法。
【請求項2】
前記(A)屈折率取得工程は、前記半導体ウェーハの表面の前記所定位置における反射率を、反射率測定器を用いて測定する反射率測定工程と、前記反射率に基づき前記所定位置における前記屈折率を算出する屈折率算出工程と、を含む、請求項1に記載の半導体ウェーハの厚み測定方法。
【請求項3】
前記(A)屈折率取得工程において、前記半導体ウェーハの表面の前記所定位置における前記屈折率を、屈折率測定器を用いて測定する、請求項1に記載の半導体ウェーハの厚み測定方法。
【請求項4】
半導体ウェーハを載置する台座と、
前記半導体ウェーハの表面の所定位置における屈折率を求める屈折率取得工程を行う屈折率取得ユニットと、
所定の帯域幅を有する赤外光を前記半導体ウェーハの表面の前記所定位置に照射する第1工程を行う光学ユニットと、
前記赤外光が前記半導体ウェーハの表面で反射してなる第1反射光と、前記赤外光が前記半導体ウェーハを透過して該半導体ウェーハの裏面で反射してなる第2反射光との干渉光を検出する第2工程を行う検出ユニットと、
(a)前記検出ユニットで検出した前記干渉光の分光スペクトルを得る第3工程と、
(b)前記分光スペクトルを波形解析して、前記所定位置での前記半導体ウェーハの厚みに相当する光路長を求める第4工程と、を行う第1演算部と、
前記所定位置における前記屈折率及び前記厚みに相当する光路長を記憶するメモリと、
前記メモリに記憶された前記半導体ウェーハの厚みに相当する光路長を、前記半導体ウェーハの前記屈折率で除することによって、前記所定位置での前記半導体ウェーハの厚み測定値を得る厚み測定工程を行う第2演算部と、
前記所定位置を、前記半導体ウェーハの面内の複数点に設定可能な、前記光学ユニットと前記半導体ウェーハとの相対位置の可動機構と、
を有し、
前記屈折率取得工程、前記第1工程から前記第4工程、及び前記厚み測定工程を前記半導体ウェーハの面内の複数点で行うことを特徴とする半導体ウェーハの厚み測定システム。
【請求項5】
前記屈折率取得ユニットは、前記半導体ウェーハの表面の前記所定位置における反射率を測定する反射率測定器と、前記反射率に基づき前記所定位置における前記屈折率を算出する第3演算部と、を有する、請求項4に記載の半導体ウェーハの厚み測定システム。
【請求項6】
前記屈折率取得ユニットは、前記半導体ウェーハの表面の前記所定位置における前記屈折率を測定する屈折率測定器を有する、請求項4に記載の半導体ウェーハの厚み測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分光干渉方式を用いた、半導体ウェーハの厚み測定方法及び半導体ウェーハの厚み測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載されるような分光干渉方式の厚み測定装置を用いて、シリコンウェーハ等の半導体ウェーハの厚みを測定する技術が従来から知られている。図1を参照して、一般的な分光干渉方式の厚み測定装置10によるシリコンウェーハの厚み測定の原理を説明する。厚み測定装置10は、光学ユニット12、検出ユニット14、及び演算部16を有する。光学ユニット12は、例えば波長可変レーザを有し、所定の帯域幅(図1に示した例では、波長1260〜1360nm)を有する赤外光をシリコンウェーハの表面に照射する。反射光は、赤外光がシリコンウェーハの表面で反射してなる第1反射光と、赤外光がシリコンウェーハを透過してシリコンウェーハの裏面で反射してなる第2反射光とを含む。CCD等の受光素子を含む検出ユニット14では、この第1反射光と第2反射光との干渉光を検出する。なお、シリコンウェーハの厚みをtとした場合、第2反射光の光路長は2nt(n:屈折率)となる。演算部16では、この干渉光の分光スペクトル(図1の左側のグラフ)をフーリエ変換して、横軸が光路長nd(n:屈折率、d:距離)、縦軸が光強度のグラフを得る。このグラフの横軸「光路長nd」を、シリコンウェーハの屈折率nの設定値(例えば、3.86223)で除して得た「距離d」を横軸としたのが、図1の右側のグラフである。このグラフにおける隣接するピーク間の距離が、シリコンウェーハの厚み測定値となる。つまり、分光干渉方式で測定されたシリコンウェーハの厚みに相当する光路長ntを、シリコンウェーハの屈折率nで除することによって、シリコンウェーハの厚み測定値tを得ることができる。通常、演算部16では、上記のとおり屈折率nの設定値として一定の値を用いて、シリコンウェーハの厚み測定値tを算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−294155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、屈折率nには温度依存性がある。そのため、分光干渉方式で測定されるシリコンウェーハの厚みに相当する光路長ntは、測定時のシリコンウェーハの温度に依存して異なった値となる。そのため、屈折率nの設定値として一定の値を用いて、シリコンウェーハの厚み測定値tを算出すると、当該厚み測定値tも、測定時のシリコンウェーハの温度に依存して異なった値となる。
【0005】
このように、シリコンウェーハの温度に依存した屈折率の違いに起因して、厚み測定値がばらつくことを防ぐためには、測定環境の温度を一定に維持して、測定対象物としてのシリコンウェーハの温度を極力一定に維持することが一案である。しかしながら、本発明者らは、厚み測定の精度と厚み測定完了までに要する時間の観点から、このような工夫が有効ではない状況があることを見出した。
【0006】
それは、分光干渉方式による厚み測定をシリコンウェーハの面内の複数点で順次行う場合である。ある温度に保持されたシリコンウェーハが、それとは異なる温度の測定環境に置かれると、シリコンウェーハの温度は面内のそれぞれの位置で経時的に複雑に変化するため、シリコンウェーハの面内温度分布は不均一となる。この面内温度分布が均一になって、しかも各位置での温度が安定するまでには、かなりの時間を要する。
【0007】
面内の温度ばらつきが残っている段階で厚み測定を始めると、ある時刻で測定されたある測定点での厚み測定値と、別の時刻で測定された別の測定点での厚み測定値との間には、屈折率の差異に起因した測定値のばらつきが存在することになる。すなわち、複数の測定点間での厚み測定値の相対的な精度が十分に得られない。他方で、シリコンウェーハの温度が安定してから厚み測定を始めると、測定完了までに長時間を要し、シリコンウェーハの生産性を向上させることができない。このような課題は、シリコンウェーハに限らず、屈折率に温度依存性があり、かつ、分光干渉方式で厚み測定が可能な半導体ウェーハ全般に当てはまる。
【0008】
本発明者らは、シリコンウェーハの温度がシリコンウェーハの厚み測定値に与える影響を検証した。以下に、本発明者らによる実験例を示す。両面研磨されたシリコンウェーハ(狙い厚み:775μm、直径:300mm、ドーパント:ボロン、抵抗率:p−)の面内中心点の厚みを、分光干渉方式の厚み測定装置を用いて以下の条件で経時的に測定した。その際、シリコンウェーハに熱風を吹き付けることによって、温度を意図的に変動させた。なお、シリコンウェーハの温度は、表面に貼り付けた熱電対によって測定した。なお、屈折率の設定値は3.86223とした。
【0009】
図2に、上記実験によるシリコンウェーハの温度及び厚み測定値の変動を示す。図2から明らかなように、シリコンウェーハの温度の変動に同期して、厚み測定値も変動している。図3は、図2のグラフに基づいて作成した、シリコンウェーハの温度と厚み測定値との関係を示すグラフである。図3からは、シリコンウェーハの温度と厚み測定値には強い正の相関があることが分かる。横軸x:ウェーハ温度、縦軸y:ウェーハ厚み測定値として、y=0.0695+757.53となり、この実験例では、シリコンウェーハの温度1℃の変動あたり、厚み測定値は0.0695μm(69.5nm)だけ変動することが分かった。シリコンウェーハの熱膨張による厚みの増加分は、温度1℃あたり10nm程度であることから、この厚み測定値の変動は、実際の厚みの変動のみを反映するものではなく、温度変動に起因した測定誤差であると考えられる。すなわち、この厚み測定値の変動は、屈折率の温度依存性に起因するものであると考えられる。
【0010】
この実験結果を踏まえると、分光干渉方式による厚み測定をシリコンウェーハの面内の複数点で順次行って、シリコンウェーハの面内の複数の測定点で厚み測定値を得るためには、面内の温度ばらつきに起因する厚み測定値のばらつきを抑制する必要がある。そして、この課題はシリコンウェーハに限られず、屈折率の温度依存性が問題となる半導体ウェーハおいても当てはまる。本発明者らはこの温度依存の問題を、半導体ウェーハの厚みを面内の複数点において分光干渉方式で求める際の新規な課題として認識した。
【0011】
上記課題に鑑み、本発明は、半導体ウェーハの厚みを面内の複数点において分光干渉方式で短時間に測定する際に、面内の温度ばらつきに起因する厚み測定値のばらつきを抑制することが可能な半導体ウェーハの厚み測定方法及び半導体ウェーハの厚み測定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決すべく、本発明者らは鋭意研究を進めた。従来公知の分光干渉方式を用いる場合に半導体ウェーハの温度が半導体ウェーハの厚み測定値に影響を及ぼす理由は、屈折率が温度依存性を示すにも関わらず、屈折率を一定値として計算するためである。そこで、半導体ウェーハの所定位置における温度依存性を示す屈折率を求め、その屈折率を用いて当該所定位置における厚みに相当する光路長から厚み測定値を求めることを本発明者らは着想した。こうすることで面内の温度ばらつきに起因する複数の測定点間での厚み測定値の相対的な変動を抑制することができることを本発明者らは見出した。
【0013】
上記知見に基づき完成した本発明の要旨構成は以下のとおりである。
(1)(A)半導体ウェーハの表面の所定位置における屈折率を求める屈折率取得工程と、
(B)前記半導体ウェーハの表面の前記所定位置における厚みに相当する光路長を測定する光路長測定工程と、
(C)前記半導体ウェーハの厚みの前記厚みに相当する光路長を、前記屈折率取得工程において求めた前記屈折率で除することによって、前記所定位置での前記半導体ウェーハの厚み測定値を得る厚み測定工程と、
を含み、
前記(B)光路長測定工程は、
(i)所定の帯域幅を有する赤外光を前記半導体ウェーハの表面の前記所定位置に照射する第1工程と、
(ii)前記赤外光が前記半導体ウェーハの表面で反射してなる第1反射光と、前記赤外光が前記半導体ウェーハを透過して該半導体ウェーハの裏面で反射してなる第2反射光との干渉光を検出する第2工程と、
(iii)前記第2工程で検出した前記干渉光の分光スペクトルを得る第3工程と、
(iv)前記分光スペクトルを波形解析して、前記所定位置での前記半導体ウェーハの厚みに相当する光路長を求める第4工程と、
を含み、
前記(A)屈折率取得工程、前記(B)光路長測定工程、及び前記(C)厚み測定工程を前記半導体ウェーハの面内の複数点で行うことを特徴とする半導体ウェーハの厚み測定方法。
【0014】
(2)前記(A)屈折率取得工程は、前記半導体ウェーハの表面の前記所定位置における反射率を、反射率測定器を用いて測定する反射率測定工程と、前記反射率に基づき前記所定位置における前記屈折率を算出する屈折率算出工程と、を含む、上記(1)に記載の半導体ウェーハの厚み測定方法。
【0015】
(3)前記(A)屈折率取得工程において、前記半導体ウェーハの表面の前記所定位置における前記屈折率を、屈折率測定器を用いて測定する、上記(1)に記載の半導体ウェーハの厚み測定方法。
【0016】
(4)半導体ウェーハを載置する台座と、
前記半導体ウェーハの表面の所定位置における屈折率を求める屈折率取得工程を行う屈折率取得ユニットと、
所定の帯域幅を有する赤外光を前記半導体ウェーハの表面の前記所定位置に照射する第1工程を行う光学ユニットと、
前記赤外光が前記半導体ウェーハの表面で反射してなる第1反射光と、前記赤外光が前記半導体ウェーハを透過して該半導体ウェーハの裏面で反射してなる第2反射光との干渉光を検出する第2工程を行う検出ユニットと、
(a)前記検出ユニットで検出した前記干渉光の分光スペクトルを得る第3工程と、
(b)前記分光スペクトルを波形解析して、前記所定位置での前記半導体ウェーハの厚みに相当する光路長を求める第4工程と、を行う第1演算部と、
前記所定位置における前記屈折率及び前記厚みに相当する光路長を記憶するメモリと、
前記メモリに記憶された前記半導体ウェーハの厚みに相当する光路長を、前記半導体ウェーハの前記屈折率で除することによって、前記所定位置での前記半導体ウェーハの厚み測定値を得る厚み測定工程を行う第2演算部と、
前記所定位置を、前記半導体ウェーハの面内の複数点に設定可能な、前記光学ユニットと前記半導体ウェーハとの相対位置の可動機構と、
を有し、
前記屈折率取得工程、前記第1工程から前記第4工程、及び前記厚み測定工程を前記半導体ウェーハの面内の複数点で行ことを特徴とする半導体ウェーハの厚み測定システム。
【0017】
(5)前記屈折率取得ユニットは、前記半導体ウェーハの表面の前記所定位置における反射率を測定する反射率測定器と、前記反射率に基づき前記所定位置における前記屈折率を算出する第3演算部と、を有する、上記(4)に記載の半導体ウェーハの厚み測定システム。
【0018】
(6)前記屈折率取得ユニットは、前記半導体ウェーハの表面の前記所定位置における前記屈折率を測定する屈折率測定器を有する、上記(4)に記載の半導体ウェーハの厚み測定システム。
【発明の効果】
【0019】
本発明の半導体ウェーハの厚み測定方法及び半導体ウェーハの厚み測定システムによれば、半導体ウェーハの厚みを面内の複数点において分光干渉方式で短時間に測定する際に、面内の温度ばらつきに起因する厚み測定値のばらつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】分光干渉方式の厚み測定装置10の構成を示す模式図である。
【図2】シリコンウェーハの温度を経時的に変動させた場合の、分光干渉方式の厚み測定装置10によるシリコンウェーハの厚み測定値の変動を示すグラフである。
【図3】図2のグラフに基づいて作成した、シリコンウェーハの温度と厚み測定値との関係を示すグラフである。
【図4】本発明の一実施形態によるシリコンウェーハの厚み測定方法の工程順序を説明するためのフローチャートである。
【図5】比較例による厚み測定システム100の構成を示す模式図である。
【図6】シリコンウェーハの面内厚み分布の測定方法の一例を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態による厚み測定システム200の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態によるシリコンウェーハの厚み測定方法及びシリコンウェーハの厚み測定システムを説明する。
【0022】
図4のフローチャートを参照する。本実施形態のシリコンウェーハの厚み測定方法は、シリコンウェーハの表面の所定位置における屈折率を求める屈折率取得工程(S10)と、シリコンウェーハの表面の上記所定位置における厚みに相当する光路長を測定する光路長測定工程(S20)と、シリコンウェーハの厚みに相当する光路長を、屈折率取得工程において求めた屈折率で除することによって、上記所定位置でのシリコンウェーハの厚み測定値を得る厚み測定工程(S30)と、を含む。
【0023】
<屈折率取得工程>
上記屈折率取得工程(S10)において、公知の手法によりシリコンウェーハの所定位置における屈折率を求めればよい。
【0024】
例えば、空気中において、被測定物の片面反射率R0と被測定物の屈折率nsとの関係が下記式(1)に従うことは公知である。
【数1】
そこで、本工程において、シリコンウェーハの表面の所定位置における反射率を、反射率測定器を用いて測定する反射率測定工程を行い、次いで、当該反射率に基づき所定位置における屈折率を算出する屈折率算出工程を行うことにより、上記所定位置での屈折率を求めることができる。反射率測定器は、市販の間接測定法反射率計、直接測定法全反射率計、反射率センサ等を用いることができる。
【0025】
また、本工程において、シリコンウェーハの表面の所定位置における屈折率そのものを、屈折率測定器を用いて直接的に測定してもよい。屈折率測定器は、市販のアッベ屈折計、分光エリプソメータ、屈折率センサ等を用いることができる。
【0026】
<光路長測定工程>
分光干渉方式を用いて上記光路長測定工程(S20)を行うことができ、この工程は、以下の第1工程〜第4工程を有する。
<<第1工程>>
所定の帯域幅を有する赤外光をシリコンウェーハの表面の所定位置(測定点)に照射する(S21)。
<<第2工程>>
赤外光がシリコンウェーハの表面で反射してなる第1反射光と、赤外光がシリコンウェーハを透過してシリコンウェーハの裏面で反射してなる第2反射光との干渉光を検出する(S22)。
<<第3工程>>
第2工程で検出した干渉光の分光スペクトルを得る(S23)。
<<第4工程>>
分光スペクトルを波形解析して、前記所定位置でのシリコンウェーハの厚みに相当する光路長を求める(S24)。
【0027】
図1の厚み測定装置10を再度参照しつつ、分光干渉方式を用いた所定位置でのシリコンウェーハの厚みに相当する光路長の取得態様を説明する。この厚み測定装置10は、光学ユニット12、検出ユニット14、及び演算部16を有する。
【0028】
光学ユニット12は、所定の帯域幅を有する赤外光をシリコンウェーハWの表面の所定位置(測定点)に照射する上記第1工程を行う。図1では、波長1260〜1360nmの範囲内の帯域幅100nmの赤外光を照射する例を示したが、これには限定されず、例えば波長1200〜1600nmの範囲内で、帯域幅としては50〜200nmの範囲内の赤外光を照射すればよい。このような光学ユニット12としては、好適には波長可変レーザを挙げることができるが、これに限定されず、広波長帯域の赤外光を一時に照射可能なSLD(Super Luminescent Diode)であってもよい。
【0029】
検出ユニット14は、CCD等の受光素子を含み、上記第1反射光と第2反射光との干渉光を検出する上記第2工程を行う。
【0030】
演算部16は、検出した干渉光における第1反射光と第2反射光との光路長の差(シリコンウェーハの厚みをtとした場合、当該光路長差は2nt(n:屈折率))から、測定点でのシリコンウェーハWの厚み測定値を算出する。まず、演算部16は、図1の左側のグラフに例示される、検出ユニット14で検出した干渉光の分光スペクトルを得る(第3工程)。次に、演算部16は、分光スペクトルを波形解析して、前記測定点でのシリコンウェーハの厚みに相当する光路長ntを求める(第4工程)。
【0031】
公知の分光干渉方式を用いた厚み測定装置は、この第4工程に続けて、厚みに相当する光路長ntを一定値の屈折率(前述のとおり、シリコンウェーハの屈折率は例えば3.86223で設定される)で除することでシリコンウェーハの厚みtを求める。しかしながら本実施形態では、後記の厚み測定工程に述べるとおり、一定値の屈折率で厚みに相当する光路長ntを除することに代えて、屈折率取得工程(S10)により測定点毎に求めた屈折率nで厚みに相当する光路長ntを除することにより、厚みtを得る。
【0032】
<厚み測定工程>
上述した屈折率取得工程(S10)及び光路長測定工程(S20)を行った後、厚み測定工程(S30)により、上記第4工程(S24)により求めた厚みに相当する光路長を、屈折率取得工程(S10)において求めた屈折率で除する。こうして、上記所定位置でのシリコンウェーハの厚み測定値を得ることができ、このシリコンウェーハの厚み測定値は、厚み測定時の屈折率の温度依存性が考慮された値となる。
【0033】
そして、本実施形態では以上の(A)屈折率取得工程、第1工程から第4工程を含む(B)光路長測定工程、及び(C)厚み測定工程を、シリコンウェーハの面内の複数点で行う。こうすることで、例えばシリコンウェーハの面内厚み分布を得ることができる。本実施形態に従うシリコンウェーハの厚み測定方法は、温度依存性を示す屈折率(複数点測定する際にはウェーハ面内で温度がばらつくため各測定点での屈折率は一定値ではない)を求め、当該屈折率を用いて厚みに相当する光路長からシリコンウェーハの厚み測定値を求める。したがって、シリコンウェーハの厚みを面内の複数点において分光干渉方式で短時間に求める際に、面内の温度ばらつきに起因する厚み測定値のばらつきを抑制することが可能である。また、本実施形態に従うシリコンウェーハの厚み測定方法は半導体ウェーハの面内の複数点で上記厚み測定値を得るものである。そのため、上記面内厚み分布への本測定方法の適用のほか、シリコンウェーハの平坦度指標であるGBIR、WARPなどのウェーハ面内の厚みの相対変化量を求める際にも本測定方法を適用することはできる。
【0034】
なお、図4のフローチャートに示すとおり、屈折率取得工程(S10)及び光路長測定工程(S20)の工程の順序は問われない。シリコンウェーハの上記所定位置における温度変化に伴う屈折率の変動を抑制するよう、両工程を実質的に同時(例えば5秒以内、好ましくは1秒以内)に行うことが好ましい。
【0035】
次に、シリコンウェーハの面内の複数点で厚みを測定することが可能なシリコンウェーハの厚み測定システムの構成を説明する。まず、図5を参照して、比較例による厚み測定システム100の構成を説明する。厚み測定システム100は、厚み測定装置10、回転台座20、チャック22、センサ支持部24、及びガイドレール26を有する。
【0036】
回転台座20は、台座の上面中心部にターンテーブルを有し、このターンテーブル上にシリコンウェーハWを載置可能である。ターンテーブル上には少なくとも3つのチャック22が設けられており、ターンテーブル上に載置されたシリコンウェーハWは、チャック22によって固定される。
【0037】
センサ支持部24は、回転台座20と連結して鉛直方向に延在する一対の脚部24Aと、該脚部間を連結して水平方向に延在する腕部24Bとからなる。腕部24Bは、延在方向に垂直な断面が矩形の柱状構造体であり、その側面にガイドレール26が設けられる。
【0038】
厚み測定装置10は、既述のとおり、図1に示す構成を有する分光干渉方式の厚み測定装置であり、厚み測定装置10は、センサヘッドが下向きとなるようにガイドレール26に取り付けられており、センサヘッドから出射された赤外光がシリコンウェーハWの表面に対して垂直に照射される。その結果、上記第1反射光と第2反射光との干渉光は、センサヘッドに入射して、厚み測定装置10内の検出ユニット14に導かれる。ガイドレール26に沿って厚み測定装置10を一軸で並行移動することによって、厚み測定装置10からシリコンウェーハWへの赤外光の照射位置(測定点)は、シリコンウェーハWの面内中心を通る直径上を走査させることができる。
【0039】
そして、ガイドレール26に沿った厚み測定装置10の一軸移動と、回転台座20のターンテーブルを回転に伴うシリコンウェーハWの回転とを組み合わせることによって、測定点をシリコンウェーハWの面内の任意に位置に設定することができる。すなわち、光学ユニット12(厚み測定装置10)とシリコンウェーハWとの相対位置の可動機構は、回転台座20及びガイドレール26によって構成される。
【0040】
このような相対位置の可動機構によれば、例えば図6に示すように、シリコンウェーハWの面内中心を始点として、らせん状に複数の測定点を順次設定して、厚み測定を行うことができる。図5には、取得する面内厚み分布の例も示す。図6左側のグラフは、面内中心から4つの半径方向(0°、90°、180°、270°)に厚み測定値をプロットしたグラフであり、このような面内厚み分布を取得することができる。さらに、図6右側のグラフは、図6左側のグラフの4水準を平均したグラフであり、このような面内厚み分布を取得することもできる。このような面内厚み分布(複数点での厚み測定結果)から、GBIR(Global Backside Ideal Range)等のウェーハ面内厚み相対変化量を求めることもできる。なお、厚み測定システム100は、直径300mmのシリコンウェーハに限らず、任意の直径のシリコンウェーハの複数点における厚みを測定可能である。
【0041】
次に、図7を参照して、本発明の一実施形態による厚み測定システム200の構成を説明する。厚み測定システム200は、上記の比較例による厚み測定システム100の厚み測定装置10に代えて厚み測定装置40を有する。さらに、厚み測定システム200は、以下に述べる構成も有する。厚み測定システム200のその他の構成は、上記の比較例による厚み測定システム100と同様である。
【0042】
まず、厚み測定システム200は、測定点でのシリコンウェーハWの厚みに相当する光路長を測定する厚み測定装置40を有する。厚み測定装置10の演算部16が、既述の第1工程から第4工程までの厚みに相当する光路長の演算を行い、かつ、さらに一定値の屈折率(例えば3.86223)を用いて厚みに相当する光路長からシリコンウェーハの厚み測定値を求めていたのに対して、厚み測定装置40は既述の第1工程から第4工程までの厚みに相当する光路長の演算を行う第1の演算部(図示せず)を有する点で異なる。
【0043】
また、厚み測定システム200は、測定点でのシリコンウェーハWの屈折率を求める屈折率取得ユニット50を有する。屈折率取得ユニット50としては、既述の反射率測定器及び屈折率測定器を挙げることができ、反射率センサ、屈折率センサ等を用いることができる。本実施形態では、シリコンウェーハWの測定点での屈折率を求めることができるように、屈折率取得ユニット50は、厚み測定装置40と隣接してガイドレール26に取り付けられている。ただし、本発明はこのような態様に限定されず、例えば厚み測定装置40のセンサヘッド内に反射率センサ又は屈折率センサを内蔵する構成でもよい。
【0044】
さらに、厚み測定システム200は、測定点での屈折率及び厚みの光路長を記憶するメモリ(図示せず)を有する。
【0045】
そして、厚み測定システム200は、第2の演算部(図示せず)を有する。第2の演算部は、メモリに記憶されたシリコンウェーハWの厚みに相当する光路長を、シリコンウェーハWの屈折率で除することによって、測定点でのシリコンウェーハWの厚み測定値を得る。本実施形態では、こうすることで、面内の複数点において、温度依存性を示す屈折率を用いた厚み測定値を得ることができる。したがって、面内の温度ばらつきに起因する厚み測定値のばらつきを抑制することができる。
【0046】
なお、屈折率取得ユニット50が、シリコンウェーハWの測定点における反射率を測定する反射率測定器を有する場合、厚み測定システム200は、この反射率に基づき当該測定点における屈折率を算出する第3演算部を有してもよい。
【0047】
上記では、厚みの測定対象をシリコンウェーハとした実施形態を説明したが、本発明はこれに限らず、屈折率に温度依存性があり、かつ、分光干渉方式で厚みに相当する光路長の測定が可能な、SiC、GaAsなどの半導体ウェーハを測定対象とする場合も包含する。さらに、本発明において測定対象となる半導体ウェーハの直径、厚み、導電型、抵抗率などは任意であり、何ら制限されない。
【0048】
本実施形態の半導体ウェーハの厚み測定方法及び半導体ウェーハの厚み測定システムは、半導体ウェーハの両面研磨工程以降の工程に適宜適用することができる。例えば、両面研磨されたウェーハの最終仕上げ片面研磨を行う直前に、本実施形態に従ってウェーハの厚みを面内の複数点において測定し、GBIR等のウェーハ面内厚み相対変化量を求め、当該ウェーハ面内厚み相対変化量に基づいて、片面研磨の条件を設定することができる。また、半導体ウェーハにエピタキシャル層を形成する直前に、本実施形態に従ってウェーハの厚みを面内の複数点において測定し、GBIR等のウェーハ面内厚み相対変化量を求め、当該ウェーハ面内厚み相対変化量に基づいて、エピタキシャル成長条件を設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の半導体ウェーハの厚み測定方法及び半導体ウェーハの厚み測定システムによれば、半導体ウェーハの厚みを面内の複数点において分光干渉方式で短時間に測定する際に、面内の温度ばらつきに起因する厚み測定値のばらつきを抑制することができる。
【符号の説明】
【0050】
100 厚み測定システム
200 厚み測定システム
10 厚み測定装置
12 光学ユニット
14 検出ユニット
16 演算部
20 回転台座
22 チャック
24 センサ支持部
24A 脚部
24B 腕部
26 ガイドレール
40 厚み測定装置
50 屈折率測定ユニット
W シリコンウェーハ
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】