ワークに対してシーラを線状に塗布可能なシーラガンと、前記シーラガンを移動可能な塗布ロボットと、前記ワークに塗布された線状シーラを撮像してその画像を取得可能な撮像装置と、前記塗布ロボットと前記撮像装置を制御可能な制御装置とを備えたシーラ塗布装置であって、
前記線状シーラを横断するようにラインレーザを照射可能な照射装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記線状シーラのうち前記ラインレーザが横断している部分を撮像してその画像を取得するように前記撮像装置及び前記照射装置を制御し、
前記制御装置は、前記画像中の前記ラインレーザに生じた前記線状シーラと前記ワークとの段差に基づいて前記線状シーラの高さ寸法を算出する高さ寸法算出部を有する、シーラ塗布装置。
前記制御装置は、前記撮像装置による前記画像の撮像方向に対して前記ラインレーザが常に所定の方向に照射されるように、前記撮像装置と前記照射装置の移動を制御する請求項1又は2に記載のシーラ塗布装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方で、シーラの塗布状態を適正に評価するためには、シーラの塗布量を正確に評価する必要があり、そのためには、上述したシーラの塗布幅だけでなく塗布高さについても正確に知ることが重要となる。しかしながら、上述した従来の測定技術では、シーラの塗布位置、塗布幅についての測定、評価がなされているのみであり、塗布高さについては評価の対象外であった。また、特許文献1に記載の測定技術だと、画像の明暗を基に塗布幅を算出していることから、シーラの塗布高さを測定することも困難であった。
【0007】
以上の事情に鑑み、本明細書では、線状に塗布されたシーラの塗布幅だけでなく塗布高さについても正確にかつ塗布作業中に測定可能とすることを、解決すべき技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題の解決は、本発明に係るシーラ塗布装置によって達成される。すなわち、このシーラ塗布装置は、ワークに対してシーラを線状に塗布可能なシーラガンと、シーラガンを移動可能な塗布ロボットと、ワークに塗布された線状シーラを撮像してその画像を取得可能な撮像装置と、塗布ロボットと撮像装置を制御可能な制御装置とを備えたシーラ塗布装置であって、線状シーラを横断するようにラインレーザを照射可能な照射装置をさらに備え、制御装置は、線状シーラのうちラインレーザが横断している部分を撮像してその画像を取得するように撮像装置及び照射装置を制御し、制御装置は、画像中のラインレーザに生じた線状シーラとワークとの段差に基づいて線状シーラの高さ寸法を算出する高さ寸法算出部を有する点をもって特徴付けられる。
【0009】
このように、本発明に係るシーラ塗布装置によれば、線状に塗布されたシーラを横断するようにラインレーザを照射して、この照射により画像中のラインレーザに生じた線状シーラとワークとの段差に基づいて線状シーラの高さ寸法を算出することができる。よって、当該線状シーラの塗布高さを塗布作業中であっても正確に測定することができる。また、本発明に係るシーラ塗布装置によれば、いわゆる画像処理によって線状シーラの塗布高さを測定することができるので、塗布高さの測定に用いたものと同一の画像に対して、線状シーラの塗布幅を測定するための公知の画像処理を施すことができる。これにより、最小限の設備及び工数でもってシーラの塗布幅と塗布高さの双方を正確にかつ塗布作業中に測定することが可能となる。従って、シーラの塗布量を塗布作業中に正確に評価することができ、これにより塗布作業の自動化を図ることが可能となる。
【0010】
また、本発明に係るシーラ塗布装置において、撮像装置及び照射装置は、シーラガンに伴って移動すると共に、シーラガンに対する位置を変更可能に構成され、制御装置は、線状シーラのうちラインレーザが横断している部分を常に撮像可能なように、シーラガンに対する撮像装置と照射装置の移動を制御してもよい。
【0011】
シーラを線状に塗布する場合、シーラガンは、塗布すべきシーラの形態に沿った軌跡を辿る。そのため、シーラガンに伴って移動する撮像装置及び照射装置もシーラガンと同じ軌跡を辿る。この際、線状に塗布されたシーラは直線的な部分だけではなく曲線的な部分を含む。そのため、例えば撮像装置や照射装置が常にシーラガンに対して所定の位置に固定された状態では、たとえシーラガンに伴って移動させたとしても、シーラガンが撮像ないしラインレーザの照射の妨げになる場合が起こり得る。この点に鑑み、本発明に係るシーラ塗布装置では、撮像装置及び照射装置が、シーラガンに対する位置を変更可能に構成され、制御装置が、線状シーラのうちラインレーザが横断している部分を常に撮像可能なように、シーラガンに対する撮像装置及び照射装置の移動を制御するようにしたので、撮像装置と被撮像領域(線状シーラのうちラインレーザが横断する部分)との間、及び照射装置と被撮像領域との間にシーラガンが介在する事態を確実に回避することができる。従って、ワークに塗布された線状シーラの形態に関わらず、線状シーラの塗布高さを任意のタイミングで正確にかつ確実に測定することが可能となる。
【0012】
また、本発明に係るシーラ塗布装置において、制御装置は、撮像装置による画像の撮像方向に対してラインレーザが常に所定の方向に照射されるように、撮像装置と照射装置の移動を制御してもよい。
【0013】
上述のように、制御装置が、線状シーラのうちラインレーザが横断している部分を撮像してその画像を取得するように撮像装置及び照射装置を制御する場合、取得した画像中におけるラインレーザの形態は、たとえ撮像装置による被撮像領域と同一の領域内を照射したとしても、被撮像領域中の線状シーラに対する照射角度によって変動し得る。これでは、ラインレーザの線状シーラに対する照射角度をその都度考慮して、画像中のラインレーザに現れた段差から実際の塗布高さを算出する必要があり、算出に多大な時間を要するおそれが生じる。これに対して、本発明のように、撮像装置による画像の撮像方向に対してラインレーザが常に所定の方向に照射されるように、撮像装置と照射装置の移動を制御することによって、撮像装置により得られた画像中のラインレーザの線状シーラに対する照射角度が常に一定の大きさに保たれる。そのため、画像中の段差から実際の塗布高さを算出するための演算量を少なくでき、これにより短時間で線状シーラの塗布高さを測定することが可能となる。
【0014】
また、本発明に係るシーラ塗布装置において、制御装置は、線状シーラ及びラインレーザが常に画像の中央に含まれるように、撮像装置と照射装置の移動を制御してもよい。
【0015】
このように、線状シーラ及びラインレーザが常に画像の中央に含まれるように、撮像装置と照射装置の移動を制御することによっても、画像中のラインレーザに現れた段差から実際の塗布高さを算出するための演算量を少なくできる。よって、このことによっても短時間で線状シーラの塗布高さを測定することが可能となる。また、このように塗布高さの測定に要する時間を短くできることで、その分塗布幅の測定に多くの時間を割けるようになるので、塗布幅の測定手段(好ましくは画像処理による塗布幅算出手段)の選択肢を増やして、低コストで高品質の塗布量評価を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明に係るシーラ塗布装置によれば、線状に塗布されたシーラの塗布幅だけでなく塗布高さについても正確にかつ塗布作業中に測定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るシーラ塗布装置の全体構成を示す側面図である。
【図2】図1に示すシーラガン周辺の拡大側面図である。
【図3】(a)シーラの撮像方向と、ラインレーザの照射方向との関係を示した平面図と、(b)シーラの撮像方向と、ラインレーザの照射方向との関係を示した側面図である。
【図4】図1に示すロボット制御盤のブロック図である。
【図5】図4に示す画像処理部のブロック図である。
【図6】シーラの塗布幅を測定するための画像処理の一例を説明するための概念図である。
【図7】シーラの塗布高さを測定するための画像処理の一例を説明するための概念図である。
【図8】シーラ塗布動作間におけるシーラガンと画像センサとの位置関係を概念的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係るシーラ塗布装置の内容を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1に示すように、シーラ塗布装置1は、ワークWに対して線状にシーラSを塗布可能なシーラガン2と、シーラガン2を移動可能な塗布ロボット3と、ワークWに塗布されたシーラSを撮像可能な撮像装置4と、シーラSにラインレーザLを照射可能な照射装置5と、シーラガン2、塗布ロボット3、撮像装置4、及び照射装置5の制御を実施可能なロボット制御盤6とを備える。本実施形態ではロボット制御盤6が、本発明に係る制御装置に相当する。
【0020】
なお、本実施形態では、シーラガン2、塗布ロボット3、撮像装置4、及び照射装置5の制御をロボット制御盤6のみで実施可能な構成を採る場合を例示しているが、これに限らず、例えば複数の制御装置で上述したシーラ塗布装置1の各要素を制御してもよい。
【0021】
図2は、図1における塗布ロボット3の先端を拡大した図である。図2に示すように、シーラガン2は、シーラSのディスペンサ7と、ディスペンサ7から供給されたシーラSを吐出可能なノズル8と、ディスペンサ7の駆動装置としてのモータ9とを有する。ここで、ディスペンサ7には、図示しないシーラ供給装置からシーラSが供給可能に接続されている。本実施形態では、シーラガン2の駆動制御対象となるモータ9と、図示しないシーラ供給装置とがロボット制御盤6に接続されている。
【0022】
図1に示すように、塗布ロボット3は多関節アーム10を有し、その先端に上述したシーラガン2を取り付けてなる。ここで、多関節アーム10は、旋回・伸縮・揺動等の動作によって、その先端に取り付けたシーラガン2を三次元的に移動操作する。
【0023】
撮像装置4は、画像センサ11と、この画像センサ11をシーラガン2のまわりに回転させる駆動装置12とを備える。
【0024】
画像センサ11は、CCDセンサ又はCMOSセンサ等の各種センサ又はカメラにより構成され得る。画像センサ11は、駆動装置12を介してシーラガン2に支持されている。画像センサ11は、ワークWに塗布されるシーラSを撮像してその画像を取得し得る。この場合、画像は静止画であってもよく、あるいは動画であってもよい。画像センサ11は、撮像したシーラSの画像データを記憶する記憶部(図示は省略)を有する。また、画像センサ11は、ロボット制御盤6に接続されており、取得した画像データをこのロボット制御盤6に送信する。なお、本実施形態では、図1に示すように、画像センサ11は、斜め下方を指向しており、ワークWに塗布されたシーラSを撮像可能としている。
【0025】
駆動装置12は、画像センサ11を駆動するアクチュエータ13と、このアクチュエータ13を移動可能に支持する支持部材14とを備える。
【0026】
アクチュエータ13は、例えば電動モータにより構成される。図2に示すように、このアクチュエータ13は、その回転軸15にピニオン16を固定してなる。このアクチュエータ13は、支持部材14の周囲を移動可能なように、支持部材14に支持されている。この場合、アクチュエータ13は、ロボット制御盤6に接続され、塗布ロボット3の外部軸制御によって作動し得る。
【0027】
支持部材14は全体として環状をなすもので、その中央に設けられた穴部にシーラガン2が挿通された状態で、シーラガン2に固定されている。支持部材14の外周には、アクチュエータ13のピニオン16と噛み合うギヤ部17(図2中、クロスハッチングで示す部分)が設けられている。この場合、図示は省略するが、ギヤ部17と噛み合った状態のピニオン16を保持する保持部材が支持部材14の外側に設けられている。そのため、アクチュエータ13の回転軸15を回転させて、このギヤ部17に噛み合うピニオン16を回転させると、アクチュエータ13と、このアクチュエータ13に連結部材18を介して連結される画像センサ11とが上述した噛み合いを維持したまま支持部材14の外周面に沿って移動する。これにより、画像センサ11が、シーラガン2のまわりを回転(シーラガン2を中心とする同心円上を移動)するようになっている。
【0028】
照射装置5は、例えばラインレーザプロジェクタで構成され、画像センサ11と共に連結部材18を介してアクチュエータ13に連結されている。これにより、照射装置5は、画像センサ11と共にシーラガン2の周囲を移動可能とされる。より正確には、照射装置5は、画像センサ11に対する位置関係(画像センサ11に対する姿勢を含む)を一定に保った状態で、画像センサ11と一体的にシーラガン2の周囲を移動可能とされている。
【0029】
図3(a)は、シーラガン2の長手方向から見た場合における画像センサ11による撮像方向D1と、照射装置5によるラインレーザLの照射方向D2との関係を示した図であり、図3(b)は、シーラガン2の側方から見た場合における撮像方向D1と、照射方向D2との関係を示した図である。まず図3(a)に示すように、画像センサ11と照射装置5を平面視した状態では、図3(a)に示すように、撮像方向D1と照射方向D2とは互いに平行でかつ対向する向きに設定されている。また、図3(b)に示すように、画像センサ11と照射装置5とを側面視した状態では、撮像方向D1と照射方向D2とは所定の角度θ1を介して交差する関係にある。本実施形態では、連結部材18を介して画像センサ11と照射装置5とは相互に連結されている。そのため、上述した位置関係は、画像センサ11と照射装置5の位置によらず常に一定である。なお、角度θ1の大きさは任意であるが、後述するラインレーザLに生じた段差S1,S2の大きさを最大する観点からは、例えばθ1=90°に設定するのがよい。
【0030】
ロボット制御盤6は、図4に示すように、CPUにより構成される演算処理部19と、ROM、RAM、HDD等により構成される記憶部20と、塗布ロボット3を制御するロボット制御部21と、撮像装置4(画像センサ11)及び照射装置5の位置を制御する位置制御部22と、撮像制御部23、及び画像処理部24とを備える。
【0031】
演算処理部19は、記憶部20に記憶されているプログラム及びデータに基づいて、多関節アーム10の動作やシーラガン2の動作に係る制御に必要な各種の演算処理を実行する。例えば、演算処理部19は、塗布ロボット3から送信されるシーラガン2の位置データに基づいて、画像センサ11によるシーラSの撮像のタイミングを演算すると共に、照射装置5によるラインレーザLの照射のタイミングを演算する。また、演算処理部19は、シーラガン2の位置データに基づいて、シーラガン2に対する画像センサ11の望ましい位置、言い換えると駆動装置12による画像センサ11の移動量を演算により求める。
【0032】
記憶部20は、塗布ロボット3の多関節アーム10及びシーラガン2の吐出動作を制御するためのプログラム、シーラSの塗布不良が生じた場合に、これを解消すべく塗布ロボット3に、シーラSを不良箇所に再塗布させるためのプログラム、ワークWの種別やシーラガン2の位置データ(座標データ)等のデータを記憶する。
【0033】
ロボット制御部21は、演算処理部19と協働して、塗布ロボット3における多関節アーム10の駆動に関する制御を行う。また、ロボット制御部21は、シーラガン2によるシーラSの吐出に関する制御、具体的にはディスペンサ7用のモータ9の駆動に関する制御を行う。なお、本実施形態では、ロボット制御部21にシーラガン2の駆動制御を行わせているが、例えばロボット制御部21とは別にシーラガン制御部(図示は省略)を設けて、このシーラガン制御部によりシーラガン2の駆動制御(シーラSの吐出制御)を行ってもよい。
【0034】
位置制御部22は、演算処理部19と協働し、塗布ロボット3から送信されるシーラガン2の位置データに基づいて、画像センサ11及び照射装置5の移動制御を行う。本実施形態では、画像センサ11と照射装置5とが一体的に移動するように構成されているので、位置制御部22は、共通のアクチュエータ13の駆動を制御することにより、画像センサ11及び照射装置5の位置を制御する。
【0035】
撮像制御部23は、演算処理部19により得られた撮像のタイミングに基づいて、画像センサ11にシーラSの撮像指令を送信する。また、撮像制御部23は、演算処理部19により得られた照射のタイミングに基づいて、照射装置5にラインレーザLの照射指令を送信する。例えば、画像センサ11により取得される画像データ中に、ラインレーザLの像が含まれるように、撮像タイミング及び照射タイミングを調整する。なお、本実施形態では、撮像制御部23にラインレーザLの照射制御を行わせているが、例えば撮像制御部23とは別に照射制御部(図示は省略)を設けて、この照射制御部により照射装置5の照射制御を行ってもよい。
【0036】
画像処理部24は、図5に示すように、撮像装置4の画像センサ11によって取得された画像データに対してシーラSの塗布幅を測定するための画像処理を実行する第一画像処理部25と、画像センサ11によって取得された画像データに対してシーラSの塗布高さを測定するための画像処理を実行する第二画像処理部26と、記憶部27とを備える。この第二画像処理部26が、本発明に係る高さ寸法算出部に相当する。
【0037】
第一画像処理部25は、画像センサ11から取得した画像データに対して、当該画像データに含まれるシーラSの塗布幅を測定するための一連の画像処理を実行する。この一連の画像処理には、塗布幅を測定するための公知の画像処理を適用することが可能であり、例えば図6に示す検出エリア28を用いた画像処理が適用される(詳細は、例えば特開2017−44680号公報を参照)。この検出エリア28は、複数の曲線CLを備えるもので、画像データ中のシーラSの像に交差するように重ね合わせるようにして用いられる。そして、詳細な図示は省略するが、シーラSの一方の側縁部Saと各曲線CLとの交点Aを演算により算出すると共に、シーラSの他方の側縁部Sbと各曲線CLとの交点Bを演算により算出し、両交点A,B間の距離(直線距離)をシーラSの塗布幅として算出する。
【0038】
本実施形態では、検出エリア28は、第一画像処理部25により、その中心28aが画像データにおけるシーラSの像に一致する(重なる)ように配置される。また、本実施形態では、図6に示すように、画像センサ11により取得した画像データの中心11aが、検出エリア28の中心28aと一致し、かつこれら中心11a,28aが画像データにおけるシーラSの像と重なるように、シーラSを撮像する。
【0039】
また、第二画像処理部26は、図7に示すように、画像センサ11により取得した画像データであって、当該画像データ中に、シーラSを横断するラインレーザLが含まれる画像データに対して、画像データ中のラインレーザLに生じたシーラSとワークWとの段差S1,S2に基づいて、シーラSのうちラインレーザLが横断する部分の高さ寸法(すなわち塗布高さ)を取得可能とする。
【0040】
詳細には、第二画像処理部26は、図7に示す画像データ中、シーラSを横断するラインレーザLに生じたシーラ側断続部La1,Lb1の座標データを算出すると共に、ワーク側断続部La2,Lb2の座標データを算出する。そして、これら算出した座標データLa1,Lb1,La2,Lb2の値に基づいて、画像データ中のラインレーザLに生じたシーラSの一方の側縁部SaとワークWとの段差S1と、シーラSの他方の側縁部SbとワークWとの段差S2とを算出する。
【0041】
本実施形態では、図7に示すように、画像センサ11により取得した画像データの中心11aが、画像データに含まれるラインレーザLの像、及びシーラSの像と重なるように、シーラSを撮像すると共に、ラインレーザLを照射する。もちろん、これに限らず、ラインレーザLとシーラSとの重複部分が、画像データの中心11aから外れた位置にあってもよい。
【0042】
記憶部27は、画像センサ11が取得した画像データの画像処理に係るプログラム、検出エリア28を用いてシーラSの塗布幅を測定するプログラム、ラインレーザLに生じた段差S1,S2に基づいてシーラSの塗布高さを測定するプログラム、ワークWに塗布されたシーラSにおける塗布状態の良否を判定するためのプログラム等の各種ソフトウェア、及び、画像センサ11により撮像された画像データ、各画像処置部25,26によって実行された塗布状態の判定結果に係るデータ等を記憶する。また、記憶部27は、望ましい塗布状態におけるシーラSの基準データ(例えば塗布幅の基準値、塗布高さの基準値)を記憶する。
【0043】
以下、上記構成のシーラ塗布装置1を使用してワークWにシーラSを塗布する方法について説明する。
【0044】
まず、シーラ塗布装置1は、塗布ロボット3の多関節アーム10を駆動して、シーラガン2を塗布開始位置へと移動させる。塗布開始位置において、シーラガン2のノズル8は、ワークWから離間された上方位置に配置される。このとき、画像センサ11及び照射装置5は、初期位置(待機位置)にて支持部材14に支持されている。
【0045】
ロボット制御盤6のロボット制御部21は、多関節アーム10を駆動し、シーラガン2を所定の軌道に沿って移動させる。また、ロボット制御部21は、シーラガン2の移動と同時に、このシーラガン2のディスペンサ7を駆動させて、ノズル8からシーラSを吐出させる。この動作に伴い、塗布ロボット3は、ノズル8先端部の位置データ(座標データ)をロボット制御盤6の演算処理部19に随時送信する。
【0046】
演算処理部19は、入力されたノズル8の位置データに基づいて画像センサ11及び照射装置5の座標を演算する。また、演算処理部19は、ノズル8の位置データに基づいて、このノズル8の進行方向を認識すると共に、画像センサ11がノズル8の進行方向後方に常に位置するように、画像センサ11の制御角度θ2を演算する。
【0047】
以下、図8を参照しながら、画像センサ11における制御角度θ2について説明する。ロボット制御盤6には、塗布ロボット3における三次元座標系(ツール座標系)が設定されている。この座標系は、シーラガン2の中心軸に一致するように設定されるZ軸と、このZ軸に直交するとともに互いに直交するX軸及びY軸を含む。図8は、平面視におけるシーラガン2、画像センサ11、及び照射装置5と、シーラガン2の軌跡Tとを示す平面図である。本図示例において、画像センサ11及び照射装置5は、Z軸(シーラガン2の中心軸)を中心として所定の半径で回転可能とされている。なお、シーラガン2の軌跡Tは、シーラSを所定のパターンでワークWに塗布するためにシーラガン2のノズル8が描くものであり、図8ではその一部として曲線状の部分を示している。
【0048】
なお、画像センサ11の回転半径、すなわち、画像センサ11とシーラガン2との離間距離の値は、ロボット制御盤6の記憶部20に記憶されている。また、この図8において、シーラガン2の位置は、シーラガン2の中心、すなわちノズル8の中心をこの座標系のXY平面上に制御点O1として表示している。また、画像センサ11の位置は、この画像センサ11の中心を制御点O2として座標系のXY平面上に表示している。
【0049】
ロボット制御盤6の演算処理部19は、この座標系のX軸と、制御点O1及び制御点O2を結ぶ直線Iとがなす角度を制御角度θ2として定義する。演算処理部19は、記憶部20に予め記録されているシーラSの塗布パターン、すなわち、シーラガン2におけるノズル8の軌跡Tに係るデータと、制御点O1の位置データ(座標データ)と、制御点O1と制御点O2との距離に係るデータとに基づいて、制御点O2がノズル8の軌跡Tを辿るように、制御角度θ2を算出する。
【0050】
ロボット制御盤6の位置制御部22は、演算処理部19と協働して、演算処理部19によって演算された制御角度θ2となるように、駆動装置12を動作させる。具体的には、位置制御部22は、アクチュエータ13を駆動してピニオン16を回転させることにより、シーラガン2に対する画像センサ11の位置を変更する。
【0051】
また、位置制御部22は、線状に塗布されたシーラSのうちラインレーザLが横断している部分を撮像してその画像を取得するように画像センサ11及び照射装置5の位置を変更する。本実施形態では、照射装置5が連結部材18を介して画像センサ11に連結され、画像センサ11と照射装置5とが図3に示す所定の位置関係に設定されている。そのため、上述のように、画像センサ11の位置を位置制御部22により制御する場合、画像センサ11と照射装置5の位置に関係なく、画像センサ11と照射装置5との位置関係は常に図3に示す状態に維持される。
【0052】
なお、本実施形態では、画像センサ11は直線Iに沿った向きに傾斜しており、これにより画像センサ11による被撮像領域は直線I上に設定される。また、照射装置5の中心点O3は直線I上に設定されると共に、照射装置5によるラインレーザLの被照射領域も直線I上に設定される。
【0053】
一方、ロボット制御盤6の演算処理部19は、画像センサ11による撮像のためのトリガ信号を撮像制御部23に送信する。このトリガ信号は、画像センサ11がシーラガン2の移動に伴って所定の距離を進行する毎に、又は所定の時間が経過する毎に撮像制御部23に送信される。撮像制御部23は、このトリガ信号を受信すると、画像センサ11がワークWに塗布された線状のシーラSのうち画像センサ11の下方(本実施形態では斜め下方)に位置するシーラSを撮像するように、画像センサ11を制御する。撮像された画像データは、画像センサ11から画像処理部24に送信される。
【0054】
また、演算処理部19は、照射装置5によるラインレーザLの照射のためのトリガ信号を撮像制御部23に送信する。このトリガ信号は、照射装置5がシーラガン2の移動に伴って所定の距離を進行する毎に、又は所定の時間が経過する毎に撮像制御部23に送信される。撮像制御部23は、このトリガ信号を受信すると、照射装置5がワークWに塗布された線状のシーラSのうち画像センサ11により撮像されている部分のシーラSを横断するようにラインレーザLを照射するように、照射装置5を制御する。これにより、線状のシーラS及びこのシーラSを横断するラインレーザLが含まれる画像データが撮像され、画像処理部24に送信される。
【0055】
画像処理部24は、第一画像処理部25により、画像センサ11から送信された画像データに含まれるシーラSの塗布幅を測定する。ここで、第一画像処理部25は、取得された画像データにおけるシーラSの像に対し、検出エリア28を重ね合わせる画像処理を実行する。具体的には、必要に応じて、シーラSの像の位置や向きを修正して、検出エリア28の中心28aをシーラSの像に一致させる(本実施形態では、画像の中心11aを、検出エリア28の中心28aに一致させているので、上述の処理は不要である)。その後、第一画像処理部25は、上述したように、検出エリア28を構成する複数の曲線CLとシーラSとの交点A,Bをそれぞれ取得し、各々の曲線CLについて交点A,B間の距離(直線)を算出することにより、シーラSの塗布幅の測定を行う。
【0056】
そして、第一画像処理部25は、演算したシーラSの塗布幅を記憶部27に記憶されている基準データ(基準値又は閾値)と比較して、その良否を判定する。そして、第一画像処理部25は、測定したシーラSの塗布幅が基準値に至らず、その位置におけるシーラSの塗布状態を不良と判定した場合に、この塗布不良を解消させるべく、塗布不良の位置(座標)に係るデータをロボット制御盤6に送信する。
【0057】
具体的には、第一画像処理部25がシーラSの塗布状態を不良であると判断した場合、画像処理部24は、その旨をノズル8の位置データ(座標データ)と共にロボット制御盤6に送信する。ロボット制御盤6は、この不良判定情報を受信すると、演算処理部19及びロボット制御部21により多関節アーム10を駆動してシーラガン2を不良状態と判定された位置(座標)へと移動させる。その後、ロボット制御部21は、シーラガン2を作動させて、ノズル8からシーラSを吐出させ、不良箇所を修正する。
【0058】
また、画像処理部24は、第二画像処理部26により、画像センサ11から送信された画像データに含まれるシーラSの塗布高さを測定する。ここで、第二画像処理部26は、取得された画像データにおけるシーラSを横断するラインレーザLの像に生じた段差S1,S2の大きさを算出する画像処理(演算)を実行する。具体的には、第二画像処理部26は、図6に示す画像データ中、シーラSを横断するラインレーザLに生じたシーラ側断続部La1,Lb1の座標データを算出すると共に、ワーク側断続部La2,Lb2の座標データを算出する。そして、これら算出した座標データLa1,Lb1,La2,Lb2の値に基づいて、画像データ中のラインレーザLに生じたシーラSの一方の側縁部SaとワークWとの段差S1と、シーラSの他方の側縁部SbとワークWとの段差S2とを算出する。そして、例えば段差S1,S2のうち大きいほうの値をシーラSの塗布高さとして測定(評価)する。
【0059】
そして、第二画像処理部26は、測定したシーラSの塗布高さを記憶部27に記憶されている基準データ(基準値又は閾値)と比較して、その良否を判定する。そして、第二画像処理部26は、測定したシーラSの塗布高さが基準値に至らず、その位置におけるシーラSの塗布状態を不良と判定した場合に、この塗布不良を解消させるべく、塗布不良の位置(座標)に係るデータをロボット制御盤6に送信する。
【0060】
具体的には、第二画像処理部26がシーラSの塗布状態を不良であると判断した場合、画像処理部24は、その旨をノズル8の位置データ(座標データ)と共にロボット制御盤6に送信する。ロボット制御盤6は、この不良判定情報を受信すると、演算処理部19及びロボット制御部21により多関節アーム10を駆動してシーラガン2を不良状態と判定された位置(座標)へと移動させる。その後、ロボット制御部21は、シーラガン2を作動させて、ノズル8からシーラSを吐出させ、不良箇所を修正する。
【0061】
以上説明したように、本実施形態に係るシーラ塗布装置1によれば、線状に塗布されたシーラSを横断するようにラインレーザLを照射すると共に、このラインレーザLが映り込むようにシーラSの画像を取得して、画像中のラインレーザLに生じたシーラSとワークWとの段差S1(D2)に基づいてシーラSの高さ寸法を算出することができる。よって、線状に塗布されたシーラSの塗布高さを塗布作業中であっても正確に測定することができる。また、このシーラ塗布装置1によれば、いわゆる画像処理(第二画像処理部26)によってシーラSの塗布高さを測定することができるので、塗布高さの測定に用いたものと同一の画像に対して、線状シーラの塗布幅を測定するための公知の画像処理(例えば図6に示す検出エリア28を用いた画像処理)を施すことができる。これにより、最小限の設備及び工数でもってシーラSの塗布幅と塗布高さの双方を正確にかつ塗布作業中に測定することが可能となる。従って、シーラSの塗布量を塗布作業中に正確に評価することができ、これにより塗布作業の自動化を図ることが可能となる。
【0062】
また、本実施形態では、画像センサ11及び照射装置5は、シーラガン2に伴って移動すると共に、シーラガン2に対する位置を駆動装置12により変更可能に構成され、制御装置としてのロボット制御盤6は、線状をなすシーラSのうちラインレーザLが横断している部分を常に撮像可能なように、シーラガン2に対する画像センサ11と照射装置5の移動を制御した。これにより、画像センサ11と被撮像領域(シーラSのうちラインレーザLが横断する部分)との間、及び照射装置5と被撮像領域との間にシーラガン2が介在する事態を確実に回避することができる。従って、ワークWに塗布されたシーラSの形態に関わらず、シーラSの塗布高さを任意のタイミングで正確にかつ確実に測定することが可能となる。
【0063】
また、本実施形態では、連結部材18により画像センサ11と照射装置5とを相互に連結することで、図3に示すように、画像センサ11によるシーラSの撮像方向D1と照射装置5によるラインレーザLの照射方向D2との関係を一定に維持し、かつ、図7に示すように、画像センサ11により取得した画像データの中心11aが、画像データに含まれるラインレーザLの像、及びシーラSの像と重なるように、シーラSを撮像すると共に、ラインレーザLを照射するようにした。このようにしてシーラSの画像データを取得し、第二画像処理部26により塗布高さの測定のための画像処理を施すことで、取得した画像データに対して常に同じ条件で画像処理を施すことができる。従って、処理に要する時間を大幅に短縮することができ、これによりシーラ塗布作業の高速化に対応することが可能となる。
【0064】
以上、本発明の一実施形態について述べたが、本発明に係るシーラ塗布装置及びこの塗布装置を用いた塗布方法は、その趣旨を逸脱しない範囲において、上記以外の構成を採ることも可能である。
【0065】
例えば、上記実施形態では、連結部材18により画像センサ11と照射装置5を相互に連結し、画像センサ11を所定のアクチュエータ13で駆動させることで、画像センサ11と照射装置5を所定の位置に移動可能とした場合を例示したが、もちろんこれには限られない。例えば図示は省略するが、アクチュエータ13とは別個のアクチュエータを新たに設けて照射装置5を画像センサ11とは独立して駆動可能に構成し、移動後も図3に示す位置関係を画像センサ11と照射装置5との間で維持できるように、各アクチュエータの動作をロボット制御盤6で制御してもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、画像センサ11によるシーラSの撮像方向D1と照射装置5によるラインレーザLの照射方向D2とがなす角度θ1が一定に維持される場合を例示したが、もちろんこれについても限定されない。例えば画像センサ11と照射装置5の少なくとも一方に姿勢変化を可能とする機構を設けて、角度θ1を可変とすることも可能である。
【0067】
また、上記実施形態では、画像センサ11の撮像方向D1が斜め下方に設定される場合を例示したが(図3(a)を参照)、もちろん鉛直下方に撮像方向D1を設定してもかまわない。
【0068】
また、上記実施形態では、撮像装置4(画像センサ11)及び照射装置5を何れもシーラガン2に支持させた状態でシーラガン2と共に移動する場合を例示したが、もちろんこれ以外の構成を採ることも可能である。例えば画像センサ11と照射装置5をシーラガン2から離れた位置に保持して、シーラガン2から塗布されたシーラSを追尾しながら撮像、及びラインレーザLを照射してもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、ロボット制御盤6(制御装置)が、塗布幅と塗布高さの測定値をそれぞれ記憶部27の基準値又は閾値と比較し、良否を判定した場合を例示したが、これ以外の基準で良否を判定することも可能である。例えばロボット制御盤6が、塗布幅と塗布高さの積(に所定の係数を乗じた値)を塗布量とみなして、この塗布量の基準値又は閾値と比較することで、塗布状態の良否判定を行うことも可能である。