前記画像情報は、前記撮影情報に基づいて撮影された前記計器および当該計器を撮影する撮影者を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の検針作業表示部材。
【背景技術】
【0002】
従来、電力会社の発電所や変電所、あるいは、民間の工場などにおいて、計器の一例である、所内電力量計の検針作業が定期的におこなわれている。検針作業は、たとえば、所内電力量計の写真(撮影画像)をデジタルカメラで撮影し、その撮影画像に基づいて、サーバなどと通信をすることが可能なタブレット端末などの情報端末装置にデータを入力する。そして、このような写真の撮影をおこない、入力されたすべての電力量計の数値を集計して印刷し、さらに、その印刷物と写真(撮影画像)とを照合して、データ値の確認(承認)をおこない、全体としての電力使用量を集計している。
【0003】
検針作業は、具体的には、以下の手順でおこなわれる。撮影者(巡視担当者)は、通常、デジタルカメラを持参して、所内を巡視する。巡視は、月に一回程度の頻度で定期的におこなわれる。撮影者は、撮影する必要がある所内の電力量計の所在については分かっており、あらかじめ定められた巡視の経路にしたがって移動して、各箇所に設置されている電力量計の写真を撮影する。
【0004】
この巡視中に、撮影者は、デジタルカメラを操作して、デジタルカメラのメモリ内に蓄積されている撮影データ(画像情報)を、デジタルカメラのモニター画面に1枚ずつ表示し、そのモニター画面に表示された電力量計の「所名」および「用途」、「カウンタ最大値」、「乗率」を確認した上で、「指示値」を読み取って、専用のタブレット端末装置あるいはパーソナルコンピュータなどの情報端末装置に手動で入力する。
【0005】
その際、デジタルカメラのモニター画面(液晶画面)は、通常、3インチ程度であるので、そのまま当該モニター画面に表示したのでは、当該モニター画面が小さすぎて、上述した各項目までは読み取れない。したがって、撮影者は、モニター画面に表示された画像を、所定のサイズまで拡大する。そして、その拡大画像の表示位置を適宜移動させながら、各項目内容を確認し、入力していく。
【0006】
また、情報端末装置への検針情報の入力は、巡視担当者の指またはタッチペンなどを用いておこなうため、一方の手でデジタルカメラを持ち、他方(通常、利き腕)の手を使って、あるいは、当該他方の手でタッチペンを把持した状態で、画像内容の確認作業および検針情報の入力作業をおこなう。そして、入力作業が終了した後、入力したデータを、情報端末装置から、ネットワークを介して、図示を省略するサーバにアップロードする。また、入力作業が終了した画像情報は、デジタルカメラからその画像データをダウンロードし、同様に、ネットワークを介して、サーバの所定領域にデータ登録する。それによって、デジタルカメラで撮影した所内電力量計の画像データを、サーバから誰でも見られる状況にすることができる。
【0007】
このようにして、検針結果の入力作業が終了し、各箇所からデータがアップロードされることによって、全箇所(管轄内における各発電所や各電力所など全て)の所内電力量に関する情報を収集することができる。そして、収集された全箇所の所内電力量に関する情報は、全箇所帳票として印刷する。担当者は、その印刷された全箇所帳票と、サーバの所定領域にデータ登録された画像情報(登録写真)とをチェックし、その正否を検証する。
【0008】
その際、データに誤りがある場合や、登録写真が不鮮明などの理由により正否の判断ができない場合は、当該箇所の担当者に対して、データの修正あるいは画像情報の撮り直しを要求し、すべての確認が終わったところで、全箇所帳票の承認をする。このようにして、所内の電力量計に対して、一連の検針作業がおこなわれている。このように、特に、電力会社においては、自社内で使用する電力量について正確に把握する必要があり、厳正な検針処理が要求されている。
【0009】
関連する技術として、具体的には、ハンディターミナルの本体の側方に収納される、伸縮自在になる伸縮ロッドと、計量メータの検針指示数の計量値、マークなどの識別子を撮像するレンズ部を具備した頭部と、頭部・伸縮ロッドの先端部を首振り自在に連結した首振り部と、を備え、計量メータの検針に際して、本体から引き出したカメラ部の頭部を首振り部により稼働させて、計量メータの適切な位置に向けて撮像でき、数字、文字などを正確に読み取ることができる可動カメラ付き検針ハンディターミナルに関する技術がある(たとえば、下記特許文献1を参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、これらの技術は、写真を撮影する撮影者(巡視者)が固定されておらず、毎回、同じ担当者が作業をするとは限らない。したがって、撮影された写真のアングルやフォーカスはバラバラであり、撮影した写真において、データ入力、データ検証する上で、必要な部分が写っていなかったり、撮影距離や方向、周りの明るさに応じて、フォーカスのずれ(ピントのぼけ)があったりして、データの入力や確認に支障を来す場合がある。その場合は、写真の撮り直しをしなければならないなど、電力量計のデータの入力・集計作業が繁雑となるという問題点があった。
【0012】
また、撮影に慎重になるあまりに、撮影作業に時間がかかり、効率的な巡視作業をおこなうことができず、また、それにより、撮影者に多くの負担がかかるという問題点があった。
【0013】
また、上記先行技術に関しては、数字、文字などを正確に読み取ることができるという課題については共通するものの、専用のハンディターミナルを用いるなど、その構成は、本件発明とは異なる。
【0014】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、計器を撮影する際に、当該計器の撮影方法に関する情報を当該計器の近傍に設けることで、複数の計器の一連の検針作業を円滑にかつ効率的におこない、検針作業に携わる担当者の労力を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる検針作業表示部材は、検針の対象となる計器の近傍に設けられる、シート形状をなす基材を備えた検針作業表示部材であって、前記計器の撮影方法に関する撮影情報と、前記撮影情報に基づいて撮影された前記計器の画像情報と、が前記基材に記されることを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかる検針作業表示部材は、上記の発明において、前記撮影情報が、撮影される前記計器の範囲に関する情報を含むことを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかる検針作業表示部材は、上記の発明において、前記撮影情報が、前記計器に示されている当該計器を特定する特定情報を含むことを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかる検針作業表示部材は、上記の発明において、前記計器が、電力量計であり、前記特定情報が、前記電力量計の所在地および用途に関する情報であることを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかる検針作業表示部材は、上記の発明において、前記計器が、電力量計であり、前記撮影情報が、前記電力量計の指示値、乗率およびカウンタ最大値に関する情報を含むことを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかる検針作業表示部材は、上記の発明において、前記画像情報が、前記撮影情報に基づいて撮影された前記計器および当該計器を撮影する撮影者を含むことを特徴とする。
【0021】
また、この発明にかかる検針作業表示部材は、上記の発明において、前記撮影情報が、前記計器と当該計器を撮影する撮影装置との距離に関する情報を含むことを特徴とする。
【0022】
また、この発明にかかる検針作業表示部材は、上記の発明において、前記画像情報が、写真またはイラストであることを特徴とする。
【0023】
また、この発明にかかる検針情報入力装置は、検針の対象となる計器の検針結果にかかる数値を入力する入力欄を表示する表示画面を備え、前記表示画面に、前記入力欄と同時に、前記計器を撮影した画像情報を表示することを特徴とする。
【0024】
また、この発明にかかる検針情報入力装置は、上記の発明において、前記表示画面において、前記入力欄を隠さない位置に前記画像情報を表示することを特徴とする。
【0025】
また、この発明にかかる検針情報入力装置は、上記の発明において、前記計器が、電力量計であり、前記画像情報が、前記電力量計の所在地および用途に関する情報、前記電力量計の指示値、乗率およびカウンタ最大値に関する情報を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
この発明にかかる検針作業表示部材および検針情報入力装置によれば、計器を撮影する際に、当該計器の撮影方法に関する情報を当該計器の近傍に設けることで、複数の計器の一連の検針作業を円滑にかつ効率的におこない、また、当該計器の撮影情報を入力する情報処理端末の画面に同時に表示することで、検針作業に携わる担当者の労力を軽減することを目的とする。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる検針作業表示部材および検針情報入力装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0029】
(検針作業表示部材の概要)
まず、この発明にかかる実施の形態の検針作業表示部材の概要について説明する。図1は、この発明にかかる実施の形態の検針作業表示部材の設置の一例を示す説明図である。図1において、盤面(壁面)100には、電力量計101、102のほか、各種計器やスイッチなどが設けられている。このように、電力量計101、102は、通常、盤面(壁面)に設けられているのが一般的である。
【0030】
巡視担当者(撮影者)は、所内を巡視する際に、これらの電力量計101、102の検針をおこなう。すなわち、これらの電力量計101、102が、それぞれ指し示す電力使用量を目視により確認した上で、巡視の際に持参しているデジタルカメラで、これらの電力量計101、102が特定できて、かつ、電力量計101、102の電力使用量などが分かるように、電力量計101、102の画像をそれぞれ撮影する。
【0031】
そして、このように検針の対象となる電力量計101、102が設けられている壁面100であって、その近傍には、シート形状をなす基材を備えた検針作業表示部材103が設けられている。図1においては、電力量計101の隣り(向かって右側)に、検針作業表示部材103が貼り付けられている。検針作業表示部材103の詳細な内容については、後述する図2において説明する。
【0032】
検針作業表示部材103が貼り付けられる位置は、電力量計101、102の近傍であれば、電力量計101、102の上下左右のいずれであってもよい。電力量計101、102やその他の計器の計測などに支障を来さないところに、適宜、貼り付けるようにするのがよい。
【0033】
また、図1においては、図示を省略するが、検針作業表示部材103とは別の種類の検針作業表示部材(たとえば、検針作業表示部材103だけでなく、後述する図3に示す検針作業表示部材104)が、一緒に貼り付けられるようにしてもよい。
【0034】
検針作業表示部材103の基材の裏面には、粘着部材を有しており、盤面100の設置位置に貼り付けることで、固定することができる。粘着部材として、より具体的には、たとえば、両面テープや接着剤などを用いることができる。貼り付け方法は、両面テープや接着剤には限定されない。また、基材の固定方法は、固定位置に応じて、貼り付ける方法以外に、ネジ止めなど他の方法を用いるようにしてもよい。
【0035】
(検針作業表示部材の構成)
図2は、この発明にかかる実施の形態の検針作業表示部材の構成の一例を示す説明図である。図2において、検針作業表示部材103は、シート形状をなす基材を備えている。そして、基材には、計器の一例である電力量計の撮影方法に関する撮影情報と、その撮影情報に基づいて撮影された電力量計の画像情報201、202と、が記されている。
【0036】
基材は、たとえば、上質紙、コート紙、アート紙などの紙製とすることができる。また、基材は、たとえば、塩化ビニル樹脂(polyvinylchloride、PVC)、アクリル、PET(PolyethyleneTerephthalate)などの樹脂製であってもよい。基材に、このような材質を用いることによって、当該基材が、容易に破損しないようにすることができ、また、基材が、容易に劣化しないようにすることができる。
【0037】
図2において、『電力量計撮影方法』というタイトルと、2つの異なる電力量計の画像情報201、202の一例であるサンプル写真が、上下に記されている。上側の画像情報201にかかる電力量計は、図1に示した、電力量計101を撮影したものであり、下側の画像情報202にかかる電力量計は、図1に示した、電力量計102を撮影したものである。
【0038】
これらの画像情報201、202は、写真以外に、イラストなどのイメージ画像であってもよい。また、これらの画像情報201、202は、基材に直接印刷などして記してもよく、また、別紙(写真など)を、基材に貼り付けるようにしてもよい。
【0039】
電力量計101、102の撮影方法に関する撮影情報とは、具体的には、たとえば、図2において、『所名、用途、指示値、乗率、カウンタ最大値が読み取れる画質で撮影してください。』という説明が含まれる。また、撮影情報には、『※参考 斜め後ろからLEDライトで照らしています。』という説明が含まれる。電力量計101、102の設置場所においては、撮影装置の照明によって、電力量計101、102にはめられている透明板が光で反射して、その結果として、電力量計101、102を撮影した画像情報が見えづらくなるという問題がある。撮影情報には、その問題を解決するためのアドバイスに関する情報(説明)も、撮影情報に含まれる。
【0040】
また、撮影情報には、『小数点第1位が読み取れるように撮影』という説明が含まれる。実際の撮影作業において、過去に小数点第1位が読み取れない事例が多く発生したため、作業者に特に注意を促す情報(説明)も、撮影情報に含まれる。さらに、文章で撮影のポイントをアドバイスし、撮影者に確認させるような説明を記してもよい。具体的には、図示は省略するが、『所名が読めますか?』とか、『小数点第1位が読み取れますか?』などの説明を追加するようにしてもよい。
【0041】
また、撮影情報は、撮影される電力量計101、102の撮影範囲に関する情報を含んでいてもよい。具体的には、図2において、『これくらいの大きさで撮影してください』という説明と、画像情報(写真)201、202によって、切り取られている電力量計101、102の領域によって、撮影範囲に関する情報を示している。『これくらいの大きさで撮影してください』との説明は、電力量計101、102の不要な部分(下側の部分)については、撮影範囲から外して撮影するように示唆している。これは、図1に示した電力量計101、102の全体を撮影してしまうと、指示値などの部分が小さくなって、視認しづらくなるため、撮影情報に、このような、撮影される電力量計101、102の撮影範囲に関する情報を含めている。
【0042】
また、撮影情報は、電力量計101、102に示されている当該電力量計101、102を特定する特定情報、すなわち、撮影される電力量計がどこの電力量計であるかその所在地と、どのような用途のものかという、当該電力量計を正確に特定し、他所の電力量計と混同してしまうことを防止するための情報を含んでいてもよい。電力量計101、102の特定情報は、より具体的には、所在地の一例である「所名」と「用途」に関する情報が記されている。「所名」とは、所在の発電所名、電力所名、送電所名などを記載する。
【0043】
図2においては、「所名」は、『黒坂(発)』(中国電力 黒坂発電所)を示している。これは、『黒坂(発)』と記載されたテープを電力量計101、102の上部に貼り付けた状態で、電力量計101、102を撮影することで、画像情報(写真)201、202に含めることができる。そして、検針作業表示部材103の基材において、画像情報201、202の『黒坂(発)』の部分を線で囲んで、矢印で示すことによって、この部分が「所名」であることを明確にするようにしてもよい。
【0044】
また、図2において、「用途」は、画像情報201においては、『100V』を示しており、画像情報202においては、『200V』を示している。これらも、『100V』あるいは『200V』と記載されたテープをそれぞれ電力量計101、102の上部に貼り付けた状態で、電力量計101、102を撮影することで、画像情報(写真)201、202に含めることができる。そして、検針作業表示部材103の基材において、画像情報201の『100V』あるいは画像情報202の『200V』の部分を線で囲んで、矢印で示すことによって、この部分が「用途」であることを明確にするようにしてもよい。
【0045】
また、撮影情報は、電力量計101の指示値、乗率およびカウンタ最大値に関する情報を含んでいてもよい。電力量計101にあっては、現時形計器であり、6桁の数字からなる。ここで、この6桁の数字が指示値である。指示値には、一番右側(最小桁)の数字の右側の数字の右側に刻まれている目盛りも含む。この目盛りが、小数点第1位となる。
【0046】
また、電力量計101において、一番右側(最小桁)の数字の右側の上側に一部が隠れている数字である『0』が読み値である。『1』は一部見えているが、完全に見えていないので、未だ、指示値は『1』に達していない。したがって、読み値は『0』である。また、「カウンタ最大値」は『99999』である。
【0047】
また、電力量計101において、5桁の数字の上側に表示されている『×1』が乗率である。「×1」の場合は、指示値がそのまま電力使用量の数値となる。一方、電力量計102に示されているように『×10』である場合は、乗率が「10」であり、指示値を10倍した数値が、電力使用量の数値となる。
【0048】
そして、検針作業表示部材103の基材において、画像情報201の5桁の数字部分である『9・7・0・9・0/1』の部分を線で囲んで、矢印で示すことによって、この部分が「指示値」であり、また、「カウンタ最大値」であることを明確にするようにしてもよい。また、『X1』の部分を線で囲んで、矢印で示すことによって、この部分が「乗率」であることを明確にするようにしてもよい。
【0049】
また、撮影情報は、電力量計102の指示値、乗率およびカウンタ最大値に関する情報を含んでいてもよい。電力量計102にあっては、指針形計器であり、5個の指針計から構成される。ここで、これらの5つの指針計の針が指し示す数値が各桁を示しており、それが指示値となる。指示値には、一番右側(最小桁)の指針計は、他の4つの指針計よりも大きく、針の長さも長くなっている。それは、指針計を大きくすることによって、指針計の数字の間の目盛りをより見やすくし、見間違いを回避することができる。この目盛りが小数点第1位を示している。
【0050】
また、図2において、一番右側(最小桁)の指針計は、具体的には、『4.5』(『4』と『5』の中間付近)を指し示している。図2における「カウンタ最大値」は、『99999.9』である。また、「乗率」は、上述のように、『X10』であり、乗率が「10」であることを示す。
【0051】
そして、検針作業表示部材103の基材において、画像情報202の5つの指針部分を線で囲んで、矢印で示すことによって、この部分が「指示値」であり、また、「カウンタ最大値」であることを明確にするようにしてもよい。また、『X10』の部分を線で囲んで、矢印で示すことによって、この部分が「乗率」であることを明確にするようにしてもよい。
【0052】
このように、検針作業表示部材103を設けることによって、撮影者は、デジタルカメラのモニター画面(液晶画面)に表示されている電力量計101または102の画像と、検針作業表示部材103のサンプル画像(201または202)を比較して、双方の画像が、同一画像となっているかを確認した上で撮影することができるので、画面切れやフォーカスずれが発生する可能性がきわめて低くなる。
【0053】
また、サンプル画像を参照して撮影すればよいので、誰がやっても、ほぼ同じ写真を撮影することができる。種類の違うデジタルカメラを用いた場合であっても、同様に、ほぼ同じ写真を撮影することができる。これによって、なるべく撮り直し作業が発生しないようにすることができる。
【0054】
また、電力量計の種類によっては、撮影の方法が異なる場合があるが、撮影者はその撮影方法をいちいち把握する必要がない。撮影者は、ただ、サンプル画像と同一画像となっているかを確認するだけでよい。
【0055】
さらに、撮影情報として、図示は省略するが、撮影日時に関する情報もあわせて、記録できるようにするとよい。具体的には、デジタルカメラが持っている時計情報を撮影画像に含めるようにしてもよい。また、デジタルカメラが持っているGPS(Global Positioning System)情報を撮影画像データに含めるようにしてもよい。
【0056】
図3は、この発明にかかる実施の形態の検針作業表示部材の構成の別の一例を示す説明図である。図3に示す検針作業表示部材104も、図2に示した検針作業表示部材103と同様に、上質紙や樹脂製のシート形状をなす基材を備えている。そして、基材には、計器の一例である電力量計の撮影方法に関する撮影情報と、その撮影情報に基づいて撮影された電力量計の画像情報と、が記されている。
【0057】
図3において、『電力量計撮影方法』というタイトルと、2つの異なる画像情報301、302の一例である写真が、上下に記されている。いずれの画像情報301、302も、撮影情報に基づいて撮影された電力量計および当該電力量計を撮影する撮影者を含む画像情報である。
【0058】
画像情報301は、撮影者の左ななめ後方側から撮影した画像(写真)であり、一方、画像情報302は、撮影者の右ななめ後方側から撮影した画像(写真)である。いずれも、実際に撮影者が電力量計を撮影している様子を撮影したものである。このように、撮影者の左右からそれぞれ撮影した画像(写真)を上下に並べて記すことによって、この検針作業表示部材104を見ることで、撮影者は、どのようにして電力量計を撮影したらよいか、その態様について容易に把握することができる。
【0059】
また、撮影情報は、電力量計101、102と、当該電力量計101、102を撮影する撮影装置(たとえばデジタルカメラ)との距離に関する情報を含めるようにしてもよい。電力量計101、102を撮影する撮影装置(たとえばデジタルカメラ)との距離とは、たとえば、デジタルカメラをどの程度、電力量計101、102から離した位置で撮影すればよいかということを含む。
【0060】
撮影者は、図3に示す画像情報301、302を見ながら、そこに写っている撮影者の撮影姿勢と、自身の撮影姿勢とを比較して、調整しながら、電力量計を撮影する。このようにすることで、所望の画質、すなわち、図2の検針作業表示部材103に示した『所名、用途、指示値、乗率、カウンタ最大値が読み取れる画質で撮影してください。』という条件を容易に満たす画像を撮影することが可能となる。そして、検針作業表示部材104によって、撮影者ごとに、撮影した画像の品質のばらつきを可能な限り抑えることができる。
【0061】
この画像情報301は、実際の撮影場所ごとに個別に撮影して、検針作業表示部材104の基材に記すようにするとよい。そうすることで、撮影場所ごとに異なる状況に応じて、より適切な画像を撮影することができる。
【0062】
また、撮影情報は、電力量計と当該電力量計を撮影する撮影装置との距離に関する情報を含んでいてもよい。具体的には、たとえば、図3に示すように、『電力量計とカメラとの距離は、下の写真を参照してください。』という説明を、検針作業表示部材104の基材に記すようにするとよい。
【0063】
また、図3においては、図示は省略するが、具体的な数値を記す、たとえば、『電力量計とカメラとの距離は、15cm程度としてください。』という説明や、『約20cm離すとよい』、『10cm程度下側から撮影してください。』などの説明を記すようにしてもよい。
【0064】
また、照明の状況や、屋外などの状況に応じて、撮影アングルのアドバイスもおこなうようにしてもよい。アドバイスは、具体的には、たとえば、『午前中は10cm右側から撮影、午後はできるだけ左側から撮影してください。』などの説明を記すようにしてもよい。このような撮影指南をすることで、誰がやってもほぼ同一品質で電力量計101、102の写真を撮ることができる。
【0065】
このように、図2に示したような「電力量計撮影方法」にかかる検針作業表示部材103、図3に示した「電力量計撮影方法」にかかる検針作業表示部材104を、検針の対象となる電力量計の近傍に設けることによって、所望の品質の画像を取得することができる。
【0066】
また、図2に示したような「電力量計撮影方法」にかかる検針作業表示部材103と、図3に示した「電力量計撮影方法」にかかる検針作業表示部材104とを併用する、すなわち、それぞれを一緒に貼り付けることによって、より確実に、所望の品質の画像を取得することができる。
【0067】
(検針情報入力装置の構成)
つぎに、検針情報入力装置400の構成について説明する。図4は、この発明にかかる実施の形態の検針情報入力装置の構成の一例を示す説明図である。図4において、検針情報入力装置400は、その一例として、具体的には、データ入力用のタブレット端末装置を用いることができる。
【0068】
検針情報入力装置(タブレット端末装置)400は、検針の対象となる電力量計の検針結果にかかる数値を入力する入力欄401を表示する表示画面を備えている。この表示画面は、LED(Light Emitting Diode)画面により構成され、さらに、入力装置としてのタッチパネル機能を搭載する。
【0069】
入力欄401には、所内の各箇所に設置されている電力量計の一覧が表示され、また、各電力量計における数値の入力をおこなう入力欄(空欄)が、それぞれ設けられている。撮影者は、この入力欄に、各電力量計における検針結果を入力する。
【0070】
具体的には、所定の操作により、タブレット端末装置400の表示画面に数値入力画面402を表示させる。数値入力画面402は、表示画面上において、入力欄を隠さない領域に表示する。数値入力画面402は、テンキーを含んでいて、そのテンキーを指またはタッチペンによって接触することによって、該当する数値を入力する。これにより、入力欄に数値を入力することができる。
【0071】
また、表示画面には、入力欄401と同時に、電力量計101を撮影した画像情報403を表示することができる。具体的には、画像情報は、あらかじめデジタルカメラから一括してタブレット端末装置400にダウンロードしておいたものを用いる。画像情報403は、図4に示すように、当該入力欄を隠さない領域に表示する。ダウンロードされた画像情報403は、所定の操作によって、切り替えて表示することができる。
【0072】
なお、この際に、切り替えて表示した画像情報403と、入力欄401とを関連付けしておくことによって、その関連付け情報を用いて、後ほどおこなわれる集計作業の際の承認作業時に、全箇所帳票を印刷せず、表示画面上で、関連付けされた画像情報とともに全箇所帳票を同時に表示して、製品の検証作業をするようにしてもよい。
【0073】
画像情報403が、電力量計101の所在地および用途に関する情報、電力量計101の指示値、乗率およびカウンタ最大値に関する情報を含むので、撮影者は、入力欄401に入力しようとする画像情報403を選択し、その画像情報を表示した状態で、画像情報403の内容を確認しつつ、入力欄に数値を入力することができる。
【0074】
また、表示画面において、画像情報403は、入力欄401を隠さない位置(領域)に表示するので、画像情報403の表示領域を変更することなく、入力欄401への入力をすることができる。
【0075】
従来のように、デジタルカメラのモニター画面を見ながらの操作が不要となり、入力作業が効率化できる。また、同一の表示画面に、入力欄401と、画像情報403を同時に表示することができることから、視線を表示画面から離すことなく入力処理が可能となり、誤入力を減らすことができる。
【0076】
また、データ入力するタブレット端末装置400のカメラを用いることで、撮影した写真の取り込み作業を省略することができる。そして、入力画面あるいは確認画面と同一画面に表示でき、入力あるいは確認作業の効率化を図ることができ、また、精度も向上させることができる。
【0077】
また、タブレット端末装置400に所定のアプリケーション(アプリ)を入れて、そのアプリで対応することができるようにしてもよい。たとえば、電力量計の型番などを読み取ると該当するメータデータを、画像認識技術を用いて抽出できるようにし、その抽出したデータを、コピーアンドペーストで入力欄に入力するようにしてもよい。
【0078】
また、画像情報403は、写真の代わりの動画であってもよい。また、撮影者による読み上げ音声も一緒に記録しておいて、入力欄401への入力の際に、その音声も再生するようにしてもよい。
【0079】
このように、タブレット端末装置400の表示画面に、入力欄401と同時に、電力量計101を撮影した画像情報403を表示するので、入力欄401への入力作業の効率および精度を向上させることができる。
【0080】
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態の検針作業表示部材103、104は、検針の対象となる電力量計101、102の近傍に設けられる、シート形状をなす基材を備え、電力量計101、102の撮影方法に関する撮影情報と、撮影情報に基づいて撮影された電力量計101、102の画像情報201、202、301、302と、が基材に記されるので、撮影者が代わっても、当該画像情報201、202、301、302を参照して、撮影することができるので、より確実に、所望の品質の画像(写真)を取得することができる。
【0081】
また、この発明にかかる実施の形態の検針作業表示部材103は、撮影情報が、撮影される電力量計101、102の範囲に関する情報を含むので、撮影した画像が、画面切れとなることを確実に防止することができる。
【0082】
また、この発明にかかる実施の形態の検針作業表示部材103は、撮影情報が、電力量計101、102に示されている当該電力量計101、102を特定する特定情報を含む。具体的には、特定情報が、電力量計101、102の所在地および用途に関する情報であるので、撮影された画像の所在地および用途を容易に判断することができ、他の電力量計と取り違うことを確実に防止することができる。
【0083】
また、この発明にかかる実施の形態の検針作業表示部材103は、撮影情報が、電力量計101、102の指示値、乗率およびカウンタ最大値に関する情報を含むので、検針情報の入力に必要な情報を、撮影した画像情報から確実に取得することができる。
【0084】
また、この発明にかかる実施の形態の検針作業表示部材104は、画像情報301、302が、撮影情報に基づいて撮影された計器(電力量計)および計器(電力量計)を撮影する撮影者を含むので、そこに写っている撮影者の撮影姿勢と、自身の撮影姿勢とを比較して、調整しながら、電力量計を撮影することができ、所望の画像を容易に撮影することができる。
【0085】
また、この発明にかかる実施の形態の検針作業表示部材104は、計器と当該計器を撮影する撮影装置との距離に関する情報を含むので、撮影した画面の、画面切れや、フォーカスずれを防止することができる。
【0086】
また、この発明にかかる実施の形態の検針作業表示部材103、104は、画像情報201、202、301、302が、写真またはイラストであるので、撮影者はより容易にかつ確実に撮影方法を理解することができる。
【0087】
また、この発明にかかる実施の形態の検針情報入力装置400は、検針の対象となる計器の検針結果にかかる数値を入力する入力欄401を表示する表示画面を備え、表示画面に、入力欄401と同時に、電力量計101を撮影した画像情報403を表示する。そして、画像情報403が、電力量計101の所在地および用途に関する情報、電力量計101の指示値、乗率およびカウンタ最大値に関する情報を含むので、入力欄401への入力作業の効率および精度を向上させることができる。
【0088】
また、この発明にかかる実施の形態の検針情報入力装置400は、表示画面において、入力欄401を隠さない位置に画像情報403を表示するので、画像情報403を表示画面に表示させることで、入力欄401への入力を妨げることがないようにすることができる。
【0089】
なお、実施の形態では、電力量計について説明したが、電力量計以外で、検針の対象となる計器であってもよい。具体的には、たとえば、ガスメータや、水道メータなどであってもよい。