前記制御手段は、前記他のユーザの数が一定数を超えた場合であっても、前記他のユーザが操作できる他の情報処理装置が存在する場合には前記入力の待ち時間を前記第2待ち時間に設定する請求項5に記載の情報処理装置。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2A】前提技術としてのATMの動作を説明する図である。
【図2B】前提技術としてのATMの動作を説明する他の図である。
【図2C】前提技術としてのATMによる画面表示を説明する図である。
【図3A】本発明の第2実施形態に係るATMの動作の概略を説明する図である。
【図3B】本発明の第2実施形態に係るATMの構成を示すブロック図である。
【図3C】本発明の第2実施形態に係るATMで用いられるテーブルを示す図である。
【図3D】本発明の第2実施形態に係るATMの動作の概略を説明する図である。
【図4A】本発明の第2実施形態に係るATMの画面表示の一例を示す図である。
【図4B】本発明の第2実施形態に係るATMの画面表示の一例を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るATMのハードウェア構成を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るATMの処理手順を説明するフローチャートである。
【図7】本発明の第3実施形態に係るATMの構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係るATMの構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第5実施形態に係るATMの構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第6実施形態に係るタッチパネル式注文装置の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第6実施形態に係るタッチパネル式注文装置の表示画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して、例示的に詳しく説明記載する。ただし、以下の実施の形態に記載されている、構成、数値、処理の流れ、機能要素などは一例に過ぎず、その変形や変更は自由であって、本発明の技術範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
【0012】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としての情報処理装置100について、図1を用いて説明する。情報処理装置100は、ユーザの動作速度に応じて画面表示を変化させる装置である。
【0013】
図1に示すように、情報処理装置100は、入力受付部101、表示部102、能力判定部103、周辺環境判定部104および制御部105を含む。
【0014】
入力受付部101は、ユーザ110の入力を受け付ける。表示部102は、ユーザ110の入力に応じた画面130を表示する。能力判定部103は、ユーザ110の能力を判定する。周辺環境判定部104は、ユーザの周辺環境120を判定する。制御部105は、ユーザの能力および周辺環境120に応じて、画面表示および入力の待ち時間を制御する。
【0015】
本実施形態によれば、ユーザの能力および環境因子に合わせて装置を制御するので、複数のユーザ全員にとって最適化された、使い勝手のよい装置を提供することができる。
【0016】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態に係る情報処理装置としてのATMについて、図2A乃至図6を用いて説明する。図2A乃至図2Cは、本実施形態の前提技術としてのATM(現金自動預け払い機:Automated/Automatic Teller Machine)290の動作を説明する図である。
【0017】
図2Aに示したように、ユーザ210が、ATM290の画面291に表示されたボタンを操作して振り込みや、公共料金の支払いなどを行う際、ATM290は、ユーザ210の操作に応じて、画面291の表示を制御する。ATM290の画面の切替は通常、瞬間的に行われるが、認知機能が低いユーザ210の場合、その切替の速さについていけず、ATM290を操作する手が止まり、先に進めなくなってしまう。
【0018】
一方、運動機能が低いユーザ210の場合、画面に対する入力が遅くなり、所定の待ち時間が経過して、画面が初期画面に戻ってしまうこともある。
【0019】
さらに、図2Bに示すように、ATM290は、初期画面として、多くのボタンが含まれる画面292を表示させる。しかし、認知機能が低いユーザ210の場合、画面内の文字数が所定数以上あったり、選択肢が所定数以上あったりすると、やはり、ATM290を操作する手が止まり、先に進めなくなってしまう。
【0020】
また、図2Cに示したように、例えば、ユーザ210がATM290で現金引き出しの操作を行う場合、ユーザ210は、画面292に表示された複数のボタンから「お引き出し」ボタンを押す。「お引き出し」ボタンが押され、暗証番号が入力されると、ATM290は、金額入力画面293を表示する。
【0021】
しかし、現状では金額入力画面293には、細かい字で注意書きが多く表示されているため、ユーザ210は、それらの注意書きを読んで理解するのに時間がかかってしまい、金額を入力する前に、初期画面292に戻ってしまう場合がある。このような場合、ユーザ210は、ATM290の操作に対するモチベーションを失ってしまい、より一層操作に時間がかかってしまうと言う悪循環に陥る。このように、従来型のATM290は、ユーザ210の能力に応じた制御になっていない。
【0022】
図3Aは、本実施形態に係るATM300の動作の概略を説明する図である。ユーザ310が、ATM300を操作しようとしている場合、ATM300は、カメラ340、350などを用いてユーザ310の能力および周辺環境を判定する。ATM300は、例えば、ユーザ310がどのくらいの速度(スピード)でATM300を操作できるかについて、ユーザ310の操作能力を判定する。具体的には、ATM300の前にユーザ310が立ってから、最初の画面操作が行なわれるまでの時間を計測する。さらに、画面上での手の動き、画面内を見る眼球の動きなどをカメラ340で検出し、ユーザ310の操作能力を総合的に判定する。一方、カメラ350を用いることにより、ATM300の周辺環境、つまり、他のユーザ330の行列の長さや、他のATMの台数などを判定する。
【0023】
そして、ATM300は、ユーザ310の操作能力および周辺環境に応じて、画面321の表示制御を行なう。ATM300は、例えば、ユーザ310の操作能力に応じて、画面321の表示の切替速度を変化させる。ユーザ310の操作能力が低い場合、画面321の切替速度(次の画面に切り替わるまでの待ち時間)、画面321の表示の遷移速度(画面が消えるスピード)または画面321の表示の展開速度(次の画面が現われるスピード)をその操作速度に応じて遅くする。さらに表示される文字数および選択肢の数が少ない画面に切り替える。
【0024】
図3Bは、本実施形態に係るATM300の構成を示すブロック図である。ATM300は、入力受付部301、表示部302、能力判定部303、周辺環境判定部304、制御部305、計測部306および通知部307を備える。さらに、能力判定部303は、運動能力判定部331および認知機能判定部332を有する。
【0025】
入力受付部301は、ユーザ310によるATM300に対する入力を受け付ける。入力受付部301は、例えば、ATM(ATM300)のタッチパネルや入力ボタンなどを用いて入力されたユーザ310からの指示を受け付ける。
【0026】
表示部302は、入力受付部301で受け付けたユーザ310による入力に応じた画面を表示する。表示部302は、例えば、ATMやタブレット端末などのディスプレイなどである。
【0027】
ユーザ310がATM300のタッチパネルなどにタッチすると、表示部302は、例えば、メニュー選択画面を表示する。この他にも、ATM300は、ユーザ310が、ATM300を操作するためにATM300に近づくと、カメラ340の画像や不図示のセンサ出力に基づいてその接近を検知して、メニュー選択画面を表示してもよい。
【0028】
能力判定部303は、ユーザ310の操作能力を判定する。能力判定部303は、ユーザ310の運動能力を判定する運動能力判定部331と、ユーザ310の認知機能を判定する認知機能判定部332とを有する。
【0029】
例えば、運動能力判定部331は、カメラ340で撮影したユーザ310の動き(歩行や手の動き)の速度に基づいて、運動能力を判定する。また、認知機能判定部332は、ユーザ310がATM300のタッチパネルに最初に触れてメニュー表示画面が表示されてから、表示された一つのボタンに触れるまでの時間と所定閾値とを比較して、ユーザ310の認知機能(情報処理速度)を判定する。また、所定閾値を複数設定し、この時間と複数の所定閾値とを比較して、段階的に動作速度の判定を行ってもよい。また、ユーザ310が、ATM300の前に立ってから、画面にタッチするまでの時間などで情報処理速度を判定してもよい。さらに、カメラ340で撮影したユーザ310の視線や手の動きから認知機能を判定してもよい。
【0030】
そして、能力判定部303は、求めた運動能力および認知機能を各種閾値と比較して、図3Cのユーザ能力テーブル351に示すように、ユーザ310を分類する。
【0031】
具体的には、能力判定部303は、以下の4つのグループにユーザを分類する。・情報処理速度と運動能力との両方が所定の第1、第2閾値よりも高いと判断された第1グループ・情報処理速度は第1閾値よりも高いが、運動能力は前記第2閾値以下と判断された第2グループ・情報処理速度は第1閾値以下だが、運動能力は第2閾値よりも高いと判断された第3グループ・情報処理速度と運動能力との両方が前記第1、第2閾値以下と判断された第4グループ
なお、ここでは4つのグループに分類したが、情報処理速度および運動能力でそれぞれ2つ以上の閾値を設定することにより、6つのグループ、9つのグループなどより多くのグループにユーザを分類してもよい。
【0032】
能力判定部303は、ユーザの能力を、サーバに記憶されたパーソナルヘルスレコードを読出すことにより判定してもよい。また、歩行がスムーズか否か、初めに表示される画面で1つめの選択肢を選ぶ時間、画像による年齢推定、性別などに応じて運動能力および情報処理速度を判定してもよく、ユーザによる操作中に随時、能力の判定結果(図3Cのどの分類か)を変更してもよい。
【0033】
また、認知機能判定部332は、目、顔の動き、手の揺れ、顔と画面との距離、手で顎にさわる動作、取消ボタンを押した回数、エラー回数、キーボードを使う指の本数などから、ユーザの認知機能、つまり情報処理速度を判断してもよい。
【0034】
周辺環境判定部304は、カメラ350が撮影した映像などに基づいてユーザ310の周辺環境を判定する。例えば、ユーザ310の後ろにできた待ち行列の長さ(他のユーザ330の数)や、閉店時間に近いか否かなどを判定する。さらに、他のユーザ330が操作できる他のATMが何台あるかを判定してもよい。
【0035】
制御部305は、能力判定部303で判定した能力および周辺環境判定部304で判定した周辺環境に応じて画面321の表示を制御する。具体的には、ユーザ310の情報処理速度が所定値よりも速い場合には、第1情報量の画面を表示させ、ユーザ310の情報処理速度が所定値以下の場合には、第1情報量よりも情報量が少ない第2情報量の画面を表示させる。
【0036】
また、制御部305は、ユーザの運動能力が所定値よりも大きい場合には、入力の待ち時間(入力を受け付ける画面において、初期画面または前画面に戻るまでの時間)を第1待ち時間に設定し、所定値以下の場合には、入力の待ち時間を第1待ち時間よりも長い第2待ち時間に設定する。
【0037】
一方、制御部305は、ユーザ310の後ろにできた待ち行列における他のユーザの数をカウントし、他のユーザの数が所定値以上の場合には、ユーザ能力に拘わらず、待ち時間を第1待ち時間に設定する。ただし、制御部305は、図3Dに示すように、他のユーザの数が一定数を超えた場合であっても、他のユーザが操作できる他のATM381が1台以上存在する場合には、入力の待ち時間を第2待ち時間に設定できる。
【0038】
計測部306は、ユーザ310がATM300の操作を開始してからの経過時間を計測する。
【0039】
制御部305は、他のユーザ330の数が一定数を超えた場合であっても、経過時間が所定値(例えば5分)以下の場合には、入力の待ち時間を第2待ち時間に設定できる。つまり、例えば5分間は、ユーザ310は、その能力に応じて、長い第2待ち時間での入力を許される。
【0040】
また、通知部307は、他のユーザの数が一定数を超え、経過時間が所定値を越えた場合に、その旨を、ATM300を管理する係員に通知する。つまり、待っている他のユーザの列が長いにも拘わらず、ユーザが所定時間以上、ATM300を占拠してしまっている場合には係員を呼び出して、ユーザに積極的なアドバイスをさせたり、窓口に誘導したりすることができる。
【0041】
制御部305は、図3Cのユーザ能力テーブル351に示されているように、第1グループのユーザに対しては、第1情報量の画面表示を行ない、第1待ち時間を設定する。また、第2グループのユーザに対しては、第1情報量の画面表示を行ない、第2待ち時間を設定する。さらに、第3グループのユーザに対しては、第2情報量の画面表示を行ない、第1待ち時間を設定する。そして、第4グループのユーザに対しては、第2情報量の画面表示を行ない、第2待ち時間を設定する。
【0042】
つまり、手に障害がある場合など情報処理速度は速いが身体の動きが遅い場合には、情報量を落とさずに待ち時間を長くする。一方、運動能力は高いが情報処理速度は遅い(認知症で動作は速い)場合には、待ち時間を変えずに情報量を落とす。選択肢の数や文字数が少なければ一定時間内に決断でき、即座に操作できるからである。高齢者のように、運動能力も情報処理速度も低い場合には、情報量を落としつつ、待ち時間も長くする。さらに、これに対し、環境因子による時間制限がある場合には、待ち時間を制限し、早めに係員を呼ぶ制御とする。
【0043】
例えば、閉店すると係員を呼べなくなるため、周辺環境判定部304が閉店間際と判定した場合には、制御部305は、ユーザの能力に応じて早めに係員を呼ぶ。例えば、ユーザが第4グループに属すると判断した場合であって、閉店間際の場合には、表示制御を行なうよりも係員を呼ぶ制御を優先的に行なう。
【0044】
制御部305は、ひらがなやイラストで表示された画面などを用意してユーザが外国人や子供の場合にそのような画面を選択表示してもよい。
【0045】
図4Aは、第2情報量の情報が表示された画面の一例としての画面401、402を示す図である。第3、第4グループのユーザに対しては、選択肢を、図2Bの10個から4個(預け入れ、引出し、通帳記入、その他)に減らした画面401を表示する。預け入れ、引出し、通帳記入以外の操作をする場合には、「その他」ボタンを押すことにより、次の画面において、送金、定期、払い込みなどのボタンが表示される。
【0046】
また、ATM300は、第3、第4グループのユーザに対し、画面402のように文字数(注意書き)の少ない表示画面を選択する。一つの画面に表示される選択肢や文字数を少なくすることにより、認知機能が低い場合であっても迅速に操作させることが可能となる。
【0047】
図4Bは、画面表示の遷移を説明する図である。ATM300は、ユーザ310の情報処理速度に応じて画面403の表示変化を制御する。画面403から時計回りに左下に示した画面408まで、一旦、ユーザの選択肢を確認する確認画面404を表示させてから、前の表示が徐々に消えていき、次の表示が徐々に浮かび上がってくるように、画面の表示を変化させる。これにより、ユーザ310は、次の操作に対する心の準備が整うため、表示の変化に戸惑うことなく、スムーズにATM300の操作を行うことができる。
【0048】
また、この他にも、前の表示から次の表示へ画面321の表示を切り替えるまでの時間を通常より長くしたり、前の表示から一定時間待機してから次の表示を画面321に表示したりしてもよい。
【0049】
例えば、ユーザ310が、メニュー選択画面から所望のメニューを選択するまでの時間がx[秒]であれば、ATM300は、画面401で引出ボタンが選択されてから、次の画面(パスワード入力画面)を表示するまでの時間を、同じ時間x[秒]としてもよい。つまり、次の画面321をx[秒]かけてゆっくりと表示してもよい。なお、ATM300による画面321の表示の切替速度などは、これには限定されない。
【0050】
このように、ATM300は、一定時間入力操作がされない場合には、画面321を初期画面に戻すが、ユーザの能力に合わせて、初期画面に戻すまでの待ち時間を第1待ち時間から第2待ち時間に変更して(通常よりも長くして)、ユーザ310からの入力操作を待つ。これにより、ユーザ310が操作を初めからやり直さなければならない状況を減らすことができる。
【0051】
例えば、表示される画面321を次の画面に切り替えるタイミングを遅くする(待ち時間を長くする)、表示される画面321を次の画面に切り替えるスピードを遅くする(ゆっくりと徐々に切り替わる)、画面321の表示の遷移速度または画面321の表示の展開速度を遅くすることにより行われる。
【0052】
また、画面321に表示される文字の大きさを徐々に大きくしたり、色を変えたり、強調表示をしたり、アニメーション的な表示をしたりするなど、表示される文字の大きさなどを徐々に変化させることにより行われる。しかしながら、表示の変化は、これらには限定されない。
【0053】
図5は、本実施形態に係るATM300のハードウェア構成を示す図である。CPU(Central Processing Unit)510は演算制御用のプロセッサであり、プログラムを実行することでATM300の機能構成部を実現する。ROM(Read Only Memory)520は、初期データおよびプログラムなどの固定データおよびその他のプログラムを記憶する。また、ネットワークインタフェース530は、ネットワークを介して他の装置などと通信する。なお、CPU510は1つに限定されず、複数のCPUであっても、あるいは画像処理用のGPU(Graphics Processing Unit)を含んでもよい。また、ネットワークインタフェース530は、CPU510とは独立したCPUを有して、RAM(Random Access Memory)540の領域に送受信データを書き込みあるいは読み出しするのが望ましい。
【0054】
RAM540は、CPU510が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM540には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する領域が確保されている。入力内容541は、入力受付部301が受け付けた、ATM300に対するユーザ310の指示内容などである。表示内容542は、入力受付部301で受け付けたユーザ310の入力内容に応じた表示内容であり、ATM300の画面321に表示される内容などである。ユーザ能力543は、ユーザ310がATM300を操作する能力(情報処理速度および運動能力)である。閾値544は、ユーザ310の能力を判断するための基準(指標)となる値である。表示変化方法545は、ユーザ310の能力に応じた画面321の表示の変化方法である。
【0055】
入出力データ546は、入出力インタフェース560を介して入出力されるデータである。送受信データ547は、ネットワークインタフェース530を介して送受信されるデータである。また、RAM540は、各種アプリケーションモジュールを実行するためのアプリケーション実行領域548を有する。
【0056】
ストレージ550には、データベースや各種のパラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。ストレージ550は、ユーザ能力テーブル351を格納する。ユーザ能力テーブル351は、図3Cを用いて説明済みである。ストレージ550は、さらに、入力受付モジュール551、表示モジュール552、動作速度判定モジュール553、運動能力判定モジュール554、認知機能判定モジュール555および制御モジュール556を格納する。
【0057】
入力受付モジュール551は、ユーザ310からの入力を受け付けるモジュールである。表示モジュール552は、ユーザ310の入力に応じた画面を表示するモジュールである。動作速度判定モジュール553は、ユーザ310の動作速度を判定するモジュールである。運動能力判定モジュール554は、ユーザ310のATM300の操作速度を判定するモジュールである。制御モジュール556は、ユーザ310の動作速度(操作速度)に応じて、画面の表示の変化を制御するモジュールである。これらのモジュール551〜556は、CPU510によりRAM540のアプリケーション実行領域548に読み出され、実行される。制御モジュール556は、ATM300の全体を制御するためのプログラムである。
【0058】
入出力インタフェース560は、入出力機器との間で入出力データをやり取りするインタフェースである。入出力インタフェース560には、表示部302、操作部562が接続される。さらに、音声出力部であるスピーカ563や、音声入力部であるマイク、あるいは、GPS(Global Positioning System)位置判定部が接続されてもよい。
【0059】
図6は、本実施形態に係るATM300の処理手順を説明するフローチャートである。このフローチャートは、CPU510がRAM540を使用して実行する。
【0060】
ステップS601において、認知機能判定モジュール555は、ユーザの情報処理速度を判定し、ユーザの情報処理速度が所定値以上であれば、ステップS603からステップS605に進み、運動能力の判定を行なう。ユーザの運動能力が所定値以上であれば、ステップS607からステップS609に進み、ユーザを第1グループに分類する。
【0061】
ステップS607において、ユーザの運動能力が所定値以下と判断すれば、ステップS613に進み、ユーザを第2グループに分類し、入力の待ち時間を第2待ち時間に設定する。また、ステップS603において、ユーザの情報処理速度が所定値以下と判断すれば、ステップS615に進み、さらにユーザの運動能力を判定する。運動能力が所定値より高ければ、ステップS617からステップS619に進み、ユーザを第3グループに分類し、情報量の少ない画面を表示する。運動能力が所定値以下の場合、ステップS617からステップS621に進み、ユーザを第4グループに分類し、情報量の少ない画面を表示しつつ入力の待ち時間を第2待ち時間とする。
【0062】
ステップS609、S613、S619およびS621でユーザの分類をした後、ステップS611に進むと、環境因子に基づく、入力待ち時間の制限(第2待ち時間から第1待ち時間への変更)が行なわれる。
【0063】
ステップS619、S621では、ATM300は、画面321の表示変化がゆっくりになるように制御してもよい。なお、このフローチャートで表現した処理手順は一例に過ぎず、本発明は、このタスク処理順に限定されない。例えばS603の後にグループ化をせずに待ち時間を先に設定してしまってもよい。さらに、情報処理速度と運動能力とを並列処理で判定して、それぞれのパラメータ(待ち時間および情報量)を並行して適宜修正してもよい。つまり、グループ分けは結果として行われるが、制御部305による表示制御は、グループ分類をした後に限定されず、その前でもよい。
【0064】
以上説明したとおり、本実施形態によれば、ユーザの操作速度に合わせて画面の表示の変化を制御するので、ユーザにとって使い勝手のよい装置を提供することができる。つまり、ユーザ310がATM300の動作スピードに合わせるのではなく、ATM300がユーザ310の能力に合わせた動作を行なう。したがって、ユーザ310は落ち着いてATM300を操作することができる。また、行列などの環境因子に応じた制御を行なうため、順番待ちの行列に並んでいるユーザ330の待ち時間も減り、全体最適を図ることができる。
【0065】
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態に係るATM700について、図7を用いて説明する。図7は、ATM700の構成を説明するためのブロック図である。本実施形態に係るATM700は、上記第2実施形態と比べると、歩行速度判定部731を有する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0066】
歩行速度判定部731は、ユーザ310の歩行速度を判定する。そして、運動能力判定部331は、ユーザ310の歩行速度を加味してユーザの動作速度を判定する。
【0067】
ユーザ310の歩行速度は、例えば、ATM700の設置されている場所の床に圧力センサを設けて判定することができる。また、ユーザ310が店舗の入り口や、店舗内の所定の位置からATM700の前に到達するまでの時間でユーザ310の歩行速度を判定してもよい。また、店舗内に設けられた監視カメラなどの映像に基づいて、ユーザ310の歩行速度を判定してもよい。なお、ユーザ310の歩行速度の判定方法は、ここに示した方法には限定されない。例えば、ユーザ310の所持するスマートフォンなどに搭載されているビーコンなどのNFC(Near field radio communication;近距離無線通信)の電波やGPS(Global Positioning System)位置情報などを利用して判定してもよい。また、第2実施形態と同様に、歩行速度を所定閾値と比較してもよい。歩行速度と比較される所定閾値は、1つであっても複数であってもよい。
【0068】
本実施形態によれば、ユーザの操作速度に歩行速度を加味して、ユーザの動作速度を判定するので、より的確にユーザの動作速度に合わせた画面の表示の変化を制御することができる。また、装置を設置する店舗は、ユーザの動作速度に合わせた適切なサービスを提供することができる。
【0069】
[第4実施形態]
次に本発明の第4実施形態に係るATM800について、図8を用いて説明する。図8は、本実施形態に係るATM800の構成を説明するためのブロック図である。ATM800は、上記第2実施形態と比べると、属性判定部801を有する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0070】
属性判定部801は、ユーザ310の年齢や性別などといった属性を判定する。属性は、例えば、ATM800に挿入されたキャッシュカードなどから取得したユーザ310のIDを用いて不図示のサーバから読み出したユーザ情報を用いてもよい。あるいは、カメラ340、350で撮像された画像に基づいてユーザの属性を判定してもよい。
【0071】
制御部305は、ユーザの年齢や性別といった属性に応じて、異なる画面表示を行なう。例えば、ユーザの属性から推定される選択肢を優先的に画面に表示してもよい。
【0072】
本実施形態によれば、ユーザの属性をさらに判定するので、より的確にユーザに合わせた画面の表示を行なうことができる。
【0073】
[第5実施形態]
次に本発明の第5実施形態に係るATM900について、図9を用いて説明する。図9は、本実施形態に係るATM900の構成を説明するためのブロック図である。ATM800は、上記第2実施形態と比べると、制御部305が表示制御部951および音声制御部952を有する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0074】
表示制御部951は、上述の実施形態と同様にユーザの能力および環境に応じた表示制御を行なう。
【0075】
一方、音声制御部952は、ユーザ310の能力に応じて、ATM900で発生する音声を変化させる。音声制御部952は、例えば、ユーザ310の情報処理速度が遅い場合には、ゆっくりとしたピッチの音声やゆっくりとしたリズムの音声を出力させる。また、音声制御部952は、ユーザ310の処理能力も運動能力も低い場合には、ユーザ310が高齢である可能性が高いため、出力される音声の音量を大きくしたり、音声の周波数を下げて低い音程の音声を出力したりしてもよい。
【0076】
また、音声制御部952は、出力される音声の内容を変化させてもよい。音声内容の変化は、例えば、同じ内容の音声を複数回繰り返して出力してもよいし、より詳細な内容の音声を出力してもよい。
【0077】
本実施形態によれば、画面表示の変化の制御の他に音声の変化を制御するので、装置を設置する店舗は、ユーザの動作速度に合わせた適切なサービスを提供することができる。
【0078】
[第6実施形態]
上記実施形態では、銀行などのATMを例に説明をしたが、本発明にかかる情報処理装置はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明は、スマートフォンやタブレット端末などの携帯端末や、鉄道に設置されるタッチパネル式券売機、飲食店に設置されるタッチパネル式注文装置などにも適用できる。
【0079】
本発明の第6実施形態として、本発明を適用したタッチパネル式注文装置1000について図10を用いて説明する。図10は、本実施形態に係るタッチパネル式注文装置1000の構成を説明するためのブロック図である。タッチパネル式注文装置1000は、上記第2実施形態と比べると、ユーザ嗜好判定部1001を有する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0080】
タッチパネル式注文装置1000であっても、上述のATMと同様に、カメラ1040などで、ユーザの運動能力および認知機能を判定して、それらに応じた画像表示を行なう。つまり、ユーザの能力が低い場合、タッチパネル式注文装置1000の画面表示の切替速度(次の画面に切り替わるまでの待ち時間)、画面表示の遷移速度(画面が消えるスピード)または画面表示の展開速度(次の画面が現われるスピード)を遅くする。さらに表示される文字数および選択肢の数が少ない画面に切り替える。
【0081】
さらに環境因子を判定し、飲食店の待ち行列が長ければ、選択肢の少ないお勧めから選ぶように誘導したり、入力の待ち時間を短くしたりする。さらに、ユーザ嗜好判定部1001により、ユーザの嗜好を判定し、制御部305は、ユーザの嗜好に合わせた選択肢を優先的に画面に表示させる。例えば、ユーザの高齢者で女性の場合には、あっさりした食品を優先的に表示させる、若い人なら揚げ物系やボリュームのある食品を優先的に表示させる。または、ユーザ嗜好判定部1001は、ユーザ個人を特定する機能を有していてもよく、ユーザ個人を特定した場合には、その個人に合わせた画面を表示させる。
【0082】
図11は、本実施形態の表示画面の例を示す図である。図11に示すタッチパネル式注文装置1000において、ユーザの嗜好を判定する前は、画面1102のように、食品のカテゴリー毎の表示を行なう。一方、カード挿入口1101にカスタマーカードを挿入したり、カメラ1040で顔認識したりすることによりユーザ個人またはユーザ属性を特定すると、画面1103のように、そのユーザにあったお勧めメニューを表示する。これにより、ユーザは効率的にメニューを選択できる。結果として、ユーザの滞在時間を短くでき、行列の待ち時間を短縮できる。すなわち、飲食店は、ユーザに対して高品質なサービスを提供することが可能となる。
【0083】
[他の実施形態]
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
【0084】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給される場合にも適用可能である。したがって、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、本発明の範疇に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の範疇に含まれる。