(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2021005469
(43)【公開日】20210114
(54)【発明の名称】有機電子デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/10 20060101AFI20201211BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20201211BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20201211BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20201211BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20201211BHJP
   H01L 51/44 20060101ALI20201211BHJP
【FI】
   !H05B33/10
   !H05B33/14 A
   !H05B33/04
   !H01L29/78 616V
   !H01L29/78 617M
   !H01L29/78 616K
   !H01L31/04 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】2019117784
(22)【出願日】20190625
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
【住所又は居所】東京都中央区新川二丁目27番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】下河原 匡哉
【住所又は居所】愛媛県新居浜市大江町1番1号 住友化学株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】森島 進一
【住所又は居所】茨城県つくば市北原6番 住友化学株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】藤井 貴志
【住所又は居所】愛媛県新居浜市大江町1番1号 住友化学株式会社内
【テーマコード(参考)】
3K107
5F110
5F151
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB02
3K107CC23
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5F110HK01
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5F110HK03
5F110HK04
5F110HK07
5F151JA02
5F151JA04
5F151JA05
(57)【要約】
【課題】
封止部材にしわ等の変形が生じることを抑制し、長期保管性に優れた有機電子デバイスの製造方法を提供すること。
【解決手段】
支持基材の主面上に、第1の電極、有機機能層及び第2の電極をこの順に有する有機電子デバイス基材を形成する工程と、樹脂層、金属層及び粘接着材層がこの順に積層された封止部材を乾燥する工程と、乾燥された封止部材を、粘接着材層を介して有機電子デバイス基材に貼合する工程と、を備え、金属層の耐力が100〜200N/mmである、有機電子デバイスの製造方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基材の主面上に、第1の電極、有機機能層及び第2の電極をこの順に有する有機電子デバイス基材を形成する工程と、
樹脂層、金属層及び粘接着材層がこの順に積層された封止部材を乾燥する工程と、
乾燥された前記封止部材を、前記粘接着材層を介して有機電子デバイス基材に貼合する工程と、を備え、
前記金属層の耐力が100〜200N/mmである、有機電子デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記金属層の材質が加工硬化されたアルミニウムである、請求項1に記載の有機電子デバイスの製造方法。
【請求項3】
支持基材の主面上に、第1の電極、有機機能層及び第2の電極をこの順に有する有機電子デバイス基材を形成する工程と、
樹脂層、金属層及び粘接着材層がこの順に積層された封止部材を乾燥する工程と、
乾燥された前記封止部材を、前記粘接着材層を介して有機電子デバイス基材に貼合する工程と、を備え、
前記金属層の材質が加工硬化されたアルミニウムである、有機電子デバイスの製造方法。
【請求項4】
前記金属層の耐力が100〜200N/mmである、請求項3に記載の有機電子デバイスの製造方法。
【請求項5】
前記金属層の材質が1N30−H材である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機電子デバイスの製造方法。
【請求項6】
前記封止部材の前記粘接着材層の表面に保護フィルムが設けられており、前記貼合する工程において、前記封止部材から前記保護フィルムを剥離して、前記封止部材を有機電子デバイス基材に貼合する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機電子デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電子デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電子デバイスの例として有機エレクトロルミネッセンス素子(有機ELデバイス)、有機太陽電池、有機トランジスタなどが挙げられる。有機電子デバイスは、第1の電極と、所定の機能を有する機能層(例えば、有機ELデバイスでは正孔注入層、発光層、電子注入層など)と、第2の電極を有し、それらは基板上に設けられている。有機電子デバイスは、通常、機能層の一つとして有機層を含む。そのため、通常、少なくとも機能層が封止部材で封止されている。特許文献1では、長尺の基板上に第1の電極、機能層及び第2の電極が形成されてなる長尺の有機電子デバイス基材をローラで搬送しながら、ローラで搬送されてきた長尺の封止部材を、有機電子デバイス基材に貼合して、有機電子デバイスを製造している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2010/106853号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
有機電子デバイスに使用される封止部材は、安価で軽量なAlPET(AlとPETの複合材)等の樹脂層及び金属層を含む封止基材と、粘接着材層とを有し、粘接着材層を介して封止基材が、有機電子デバイス基材に貼合される。そのため、粘接着材層に水分が含まれていると、製造した有機電子デバイスの長期保管性が低下するという問題がある。このような長期保管性の低下を回避するために、封止部材を予め乾燥させておくことが考えられる。
【0005】
ここで、封止部材を乾燥させる際には、封止部材を加熱して水分を除去する。乾燥後、高温で加熱された封止部材が冷却された際に、封止部材における個々の層の熱膨張率が異なるために、各層の面内に応力が発生し、封止部材にしわ等が発生して変形する。このような変形は、特に搬送ローラと接触した際に封止部材が急冷されることよって生じやすい。封止部材に変形が生じた場合、気泡の混入などにより有機電子デバイス基材と封止部材との密着性が低下するため、有機電子デバイスの長期保管性が低下してしまう。
【0006】
そこで、本発明は、封止部材にしわ等の変形が生じることを抑制し、長期保管性に優れた有機電子デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の有機電子デバイスの製造方法は、支持基材の主面上に、第1の電極、有機機能層及び第2の電極をこの順に有する有機電子デバイス基材を形成する工程と、樹脂層、金属層及び粘接着材層がこの順に積層された封止部材を乾燥する工程と、乾燥された封止部材を、粘接着材層を介して有機電子デバイス基材に貼合する工程と、を備え、金属層の耐力が100〜200N/mmである。
本発明の有機電子デバイスの製造方法では、封止部材は耐力が100N/mm以上である金属層を有する。このような金属層は変形しにくいため、乾燥後の温度変化に伴う樹脂層及び粘接着材層の変形を抑制し、しわ等の変形が生じることを防ぐことができる。また、当該金属層の耐力が高すぎると、封止部材をローラで搬送する際に、封止部材が硬すぎて搬送路の形状になじみにくく、搬送することが困難になる。しかしながら、本発明の製造方法における封止部材では、耐力が200N/mm以下の金属層を使用しているため、適度な可撓性を有しており、ローラで搬送することが容易である。
また、このような金属層の材質としては、加工硬化されたアルミニウムが好ましい。アルミニウムは比重が小さいため、有機電子デバイス製造装置の荷重負荷を抑制できる。また、硬質アルミニウムにすることでしわ等の変形が生じることをより効果的に防ぐことができる。
【0008】
また、本発明の有機電子デバイスの製造方法は、支持基材の主面上に、第1の電極、有機機能層及び第2の電極をこの順に有する有機電子デバイス基材を形成する工程と、樹脂層、金属層及び粘接着材層がこの順に積層された封止部材を乾燥する工程と、乾燥された封止部材を、粘接着材層を介して有機電子デバイス基材に貼合する工程と、を備え、金属層の材質が加工硬化されたアルミニウムである製造方法であってもよい。
加工硬化されたアルミニウムは、変形しにくいため、乾燥後の温度変化に伴う樹脂層及び粘接着材層の変形を抑制し、しわ等の変形が生じることを防ぐことができると共に、適度な可撓性を有しており、ローラで搬送することが容易である。さらに、アルミニウムは比重が小さいため、有機電子デバイス製造装置の荷重負荷を抑制できる。
また、より効果的にしわ等の変形が生じることを防ぐことができ、ローラでの搬送がより容易になる傾向にあることから、金属層の耐力は、100〜200N/mmであると好ましい。
【0009】
上記金属層の材質が1N30−H材であるであると好ましい。
【0010】
上記封止部材の粘接着材層の表面に保護フィルムが設けられており、上記貼合する工程において、封止部材から当該保護フィルムを剥離して、封止部材を有機電子デバイス基材に貼合すると好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、封止部材にしわ等の変形が生じることを抑制し、長期保管性に優れた有機電子デバイスの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、一実施形態に係る有機電子デバイスの製造方法で製造される有機電子デバイスの一例である有機ELデバイスの構成を示す模式図である。
【図2】図2は、有機ELデバイスの製造に使用する長尺の保護フィルム付き封止部材の側面図である。
【図3】図3は、図1に示した有機ELデバイスの製造方法の一例のフローチャートである。
【図4】図4は、有機ELデバイス基材(有機電子デバイス基材)の構成を説明するための図面である。
【図5】図5は、乾燥工程及び貼合工程を説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。同一の要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。本発明で製造される有機電子デバイスとしては、例えば有機ELデバイス、有機太陽電池、有機フォトディテクタ及び有機トランジスタが挙げられる。以下に説明する実施形態は、断らない限り、有機電子デバイスの一例である有機ELデバイスの製造方法の実施形態である。
【0014】
図1に模式的に示されているように、一実施形態に係る有機ELデバイスの製造方法で製造される有機ELデバイス10は、基板12と、陽極(第1の電極)14と、有機EL部18(有機機能層)と、陰極(第2の電極)20と、を備える。有機ELデバイス10は、例えば照明に使用される有機EL照明パネルである。
【0015】
有機ELデバイス10は、陰極20に電気的に接続された引出電極16を備えてもよい。有機ELデバイス10は、少なくとも有機EL部18を封止する封止部材22を備えてもよい。有機ELデバイス10は、陽極14側から光を出射する形態、又は、陰極20側から光を出射する形態を取り得る。以下では、有機ELデバイス10として、引出電極16及び封止部材22を備えており、陽極14側から光を出射する形態について説明する。
【0016】
[基板]
基板12は、可視光(波長400nm〜800nmの光)に対して透光性を有するものである。基板12はフィルム状を呈してもよく、基板12の厚さは、例えば、30μm以上700μm以下である。
【0017】
基板12は、可撓性を有する可撓性基板であってもよい。可撓性基板とは、可撓性を有する基板であり、可撓性とは、基板に所定の力を加えても剪断したり破断したりすることがなく、基板を撓めることが可能な基板である。基板12の例としては、プラスチックフィルム又は高分子フィルムである。基板12の材料としては、例えばポリエーテルスルホン(PES);ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリビニルアルコール樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物;ポリアクリロニトリル樹脂;アセタール樹脂;ポリイミド樹脂;エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0018】
基板12には、有機ELデバイス10を駆動するための駆動回路(例えば、薄膜トランジスタなどを含む回路)が形成されていてもよい。このような駆動回路は、通常、透明材料から構成される。
【0019】
基板12には、水分バリア層が設けられてもよい。水分バリア層は、水分をバリアする機能に加えて、ガス(例えば酸素)をバリアする機能を有してもよい。水分バリア層は、例えば、ケイ素、酸素及び炭素からなる膜、又は、ケイ素、酸素、炭素及び窒素からなる膜であり得る。具体的には、水分バリア層の材料の例は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素等である。水分バリア層の厚さの例は、100nm以上10μm以下である。
【0020】
[陽極]
陽極14は、基板12上に設けられている。陽極14には、光透過性を示す電極が用いられてもよい。光透過性を示す電極としては、電気伝導度の高い金属酸化物、金属硫化物及び金属等の薄膜を用いることができ、光透過率の高い薄膜が好適に用いられる。陽極14は、導電体(例えば金属)からなるネットワーク構造を有してもよい。
【0021】
陽極14の厚さは、光の透過性、電気伝導度等を考慮して決定され得る。陽極14の厚さは、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
【0022】
陽極14の材料としては、例えば酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、銅等が挙げられ、これらの中でもITO、IZO、又は酸化スズが好ましい。陽極14は、例示した材料からなる薄膜として形成され得る。陽極14の材料には、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機物を用いてもよい。この場合、陽極14は、透明導電膜として形成され得る。前述したように、陽極14は、導電体(例えば金属)からなるネットワーク構造を有してもよい。
【0023】
[引出電極]
引出電極16は、陽極14と絶縁した状態で基板12上に設けられている。引出電極16は、陰極20に接続されており、陰極20を外部接続するために使用され得る。引出電極16の材料及び厚さは、陽極14と同様とし得る。
【0024】
[有機EL部]
有機EL部18は、発光層181を含み、陽極14及び陰極20に印加された電力(例えば電圧)に応じて、キャリアの移動及びキャリアの再結合などの有機ELデバイス10の発光に寄与する機能部である。
【0025】
本実施形態では、有機EL部18は陽極14の一部を覆うように設けられており、有機EL部18の一部は、図1に示したように、陽極14と引出電極16との間の基板12上にも配置されている。これにより、陽極14と他の電極(例えば、陰極20及び引出電極16)との短絡が防止されている。
【0026】
図1に示した例では、有機EL部18は単層構造を有する。すなわち、有機EL部18は、発光層181から構成されている。発光層181は、陽極14上に設けられている有機ELデバイス(有機電子デバイス)用の機能層である。発光層181の厚さは、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは10nm〜200nmである。
【0027】
発光層181は、通常、主として蛍光及びりん光の少なくとも一方を発光する有機物、又は、その有機物とこれを補助するドーパントとから形成される。ドーパントは、例えば発光効率の向上や、発光波長を変化させるために加えられる。発光層181に含まれる有機物は、低分子化合物でも高分子化合物でもよい。また、当該有機物は、有機金属錯体であってもよい。発光層181を構成する発光材料としては、下記の色素系材料、金属錯体系材料、高分子系材料、ドーパント材料等が挙げられる。
【0028】
色素系材料としては、例えばシクロペンタミン若しくはその誘導体、テトラフェニルブタジエン若しくはその誘導体、トリフェニルアミン若しくはその誘導体、オキサジアゾール若しくはその誘導体、ピラゾロキノリン若しくはその誘導体、ジスチリルベンゼン若しくはその誘導体、ジスチリルアリーレン若しくはその誘導体、ピロール若しくはその誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン若しくはその誘導体、ペリレン若しくはその誘導体、オリゴチオフェン若しくはその誘導体、オキサジアゾールダイマー若しくはその誘導体、ピラゾリンダイマー若しくはその誘導体、キナクリドン若しくはその誘導体、クマリン若しくはその誘導体等が挙げられる。
【0029】
金属錯体系材料としては、例えばTb、Eu、Dyなどの希土類金属、又はAl、Zn、Be、Pt、Ir等を中心金属に有し、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を配位子に有する金属錯体が挙げられる。金属錯体としては、例えばイリジウム錯体、白金錯体等の三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミニウムキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、フェナントロリンユーロピウム錯体等が挙げられる。
【0030】
高分子系材料としては、例えばポリパラフェニレンビニレン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリパラフェニレン若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、ポリアセチレン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、上記色素材料及び金属錯体材料の少なくとも一方を高分子化した材料等が挙げられる。
【0031】
ドーパント材料としては、例えばペリレン若しくはその誘導体、クマリン若しくはその誘導体、ルブレン若しくはその誘導体、キナクリドン若しくはその誘導体、スクアリウム若しくはその誘導体、ポルフィリン若しくはその誘導体、スチリル色素、テトラセン若しくはその誘導体、ピラゾロン若しくはその誘導体、デカシクレン若しくはその誘導体、フェノキサゾン若しくはその誘導体等が挙げられる。
【0032】
図1では、有機EL部18が発光層181である形態を例示しているが、有機EL部18は、発光層181と、他の機能層を含む積層体でもよい。
【0033】
陽極14と発光層181との間に設けられる機能層の例としては、正孔注入層及び正孔輸送層が挙げられる。陰極20と発光層181との間に設けられる機能層の例としては、電子注入層及び電子輸送層が挙げられる。正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び電子注入層の厚さは、有機ELデバイス10のデバイス性能などに応じて適宜設定され得る。
【0034】
正孔注入層は、陽極14から発光層181への正孔注入効率を改善する機能を有する層である。正孔注入層の材料には、公知の正孔注入材料が用いられ得る。正孔注入材料としては、例えば酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、及び、酸化アルミニウム等の酸化物、フェニルアミン化合物、スターバースト型アミン化合物、フタロシアニン化合物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、及び、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等のポリチオフェン誘導体を挙げることができる。
【0035】
正孔輸送層は、陽極14、正孔注入層又は陽極14により近い正孔輸送層から発光層181への正孔注入効率を改善する機能を有する層である。正孔輸送層の材料には、公知の正孔輸送材料が用いられ得る。正孔輸送層の材料としては、例えばポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン若しくはその誘導体、ピラゾリン若しくはその誘導体、アリールアミン若しくはその誘導体、スチルベン若しくはその誘導体、トリフェニルジアミン若しくはその誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体等が挙げられる。正孔輸送層の材料としては、例えば特開2012−144722号公報に開示されている正孔輸層材料も挙げられる。
【0036】
電子輸送層は、陰極20、電子注入層又は陰極20により近い電子輸送層からの電子注入効率を改善する機能を有する層である。電子輸送層を構成する電子輸送材料には、公知の材料が用いられ得る。電子輸送層を構成する電子輸送材料としては、オキサジアゾール若しくはその誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン若しくはその誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン若しくはその誘導体、8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体などを挙げることができる。
【0037】
電子注入層は、陰極20から発光層181への電子注入効率を改善する機能を有する層である。電子注入層は、陰極20の一部を構成する場合もある。電子注入層の材料には、公知の電子注入材料が用いられ得る。電子注入層の材料としては、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうちの1種類以上を含む合金、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の炭酸塩、又はこれらの物質の混合物等が挙げられる。
【0038】
上述した各種の機能層を含む有機ELデバイス10の層構成の例を以下に示す。
(a)陽極/発光層/陰極
(b)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
(c)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
(d)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(e)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
(f)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
(g)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(h)陽極/発光層/電子注入層/陰極
(i)陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
記号「/」は、記号「/」の両側の層同士が接合していることを意味している。上記(a)の構成が図1に示した構成に対応する。
【0039】
有機ELデバイス10は単層の発光層181を有していても2層以上の発光層181を有していてもよい。上記(a)〜(i)の層構成のうちのいずれか1つにおいて、陽極14と陰極20との間に配置された積層構造を「構造単位I」とすると、2層の発光層181を有する有機ELデバイス10の構成として、例えば、下記(j)に示す層構成を挙げることができる。2個ある(構造単位I)の層構成は互いに同じであっても、異なっていてもよい。
(j)陽極/(構造単位I)/電荷発生層/(構造単位I)/陰極
ここで電荷発生層とは、電界を印加することにより、正孔と電子とを発生する層である。電荷発生層としては、例えば酸化バナジウム、ITO、酸化モリブデンなどからなる薄膜を挙げることができる。
【0040】
「(構造単位I)/電荷発生層」を「構造単位II」とすると、3層以上の発光層181を有する有機ELデバイス10の構成として、例えば、以下の(k)に示す層構成を挙げることができる。
(k)陽極/(構造単位II)x/(構造単位I)/陰極
記号「x」は、2以上の整数を表し、「(構造単位II)x」は、(構造単位II)がx段積層された積層体を表す。複数ある(構造単位II)の層構成は同じでも、異なっていてもよい。
【0041】
電荷発生層を設けずに、複数の発光層181を直接的に積層させて有機ELデバイス10を構成してもよい。
【0042】
[陰極]
陰極20は、有機EL部18上に設けられている。本実施形態のように、有機ELデバイス10が引出電極16を有する形態では、陰極20は、引出電極16に接続されるように、有機EL部18上に設けられ、この場合、陰極20の一部は、基板12上に配置されてもよい。陰極20の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、電気伝導度、耐久性等を考慮して設定される。陰極20の厚さは、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
【0043】
発光層181からの光を陽極14側に陰極20で反射するために、陰極20の材料は、可視光反射率の高い材料が好ましい。陰極20の材料としては、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属及び周期表の13族金属等が挙げられる。陰極20として、導電性金属酸化物及び導電性有機物等からなる透明導電性電極を用いてもよい。
【0044】
[封止部材]
封止部材22は、少なくとも有機EL部18を封止するための部材である。封止部材22は、陰極20上に設けられている。本実施形態において、封止部材22は、陽極14の一部及び引出電極16の一部が、封止部材22から突出するように設けられている。陽極14及び引出電極16のうち封止部材22の外部に位置する部分は、外部接続のための領域として機能する。封止部材22は、基板12側から見て、粘接着材層222と、金属層223と、樹脂層224とをこの順に有する。
【0045】
樹脂層224は、有機ELデバイス10において基板12と反対側の最表面に位置する。樹脂層224の材質としては、PET等の透明なプラスチックフィルムが挙げられる。樹脂層224は6〜51μmの厚さであると好ましい。
【0046】
金属層223は、主成分として金属を含む層であり、当該金属は、金属の単体であっても合金であってもよい。本実施形態の有機ELデバイス10における金属層223は、耐力が100〜200N/mmであるとの条件、及び金属層223の材質が加工硬化されたアルミニウムであるとの条件のうち、少なくとも一方の条件を満たす。
【0047】
金属層223の耐力は、100〜200N/mmであると好ましく、110〜190N/mmであるとより好ましく、120〜180N/mmであると更に好ましく、150〜170N/mmであると特に好ましい。本実施形態の封止部材は、耐力が100〜200N/mmの金属層223を有するため、乾燥工程の後、封止部材が温度変化してもしわ等の変形が生じることを抑制できると共に、ローラで搬送することが容易である。なお、本明細書で言う「耐力」とは、JISZ2241(金属材料引張試験方法)に規定する0.2%耐力(オフセット法)を意味する。
【0048】
金属層223の厚さは、5〜50μmであることが好ましく、10〜40μmであるとがより好ましい。金属層223の厚さが5〜50μmであると、搬送性と封止性能を両立することが可能となる。
【0049】
金属層223の材質としては、加工硬化されたアルミニウム(以下、硬質アルミニウムとも言う。)、銅等が挙げられる。しわ等の変形が生じることを抑制できると共に、ローラで搬送することが容易である傾向にあり、更に比重が小さいため、装置への荷重負荷を軽減できる傾向があることから硬質アルミニウムが特に好ましい。
【0050】
ここで、硬質アルミニウムとは、加工(圧延)を施して加工硬化させた状態のアルミニウム箔を意味し、例えば、加工硬化上がりの箔、加工硬化後に適度な熱処理を施した箔等が挙げられ、一般的にJIS規格(JIS H0001)で用いられている質別記号HX1、HX2、HX3、HX4、HX5、HX6、HX7、HX8、HX9のもの(ただし、X:1〜3)が挙げられる。
【0051】
硬質アルミニウムのより具体的な材質としては、特に限定されるものではないが、JIS H4160で定義される1N30−H等が挙げられる。一般的に、1N30−Hの耐力は、150〜170N/mmである。
【0052】
粘接着材層222は、金属層223における基板12側の表面に設けられており、上記金属層223を、陽極14、有機EL部18及び陰極20が形成された基板12に接着させるとともに、水分バリアのために用いられる。粘接着材層222は、陽極14、有機EL部18及び陰極20からなる積層構造を埋設可能な厚さを有していればよいが、好ましくは1μm〜100μm、より好ましくは5μm〜60μm、さらに好ましくは10μm〜30μmである。粘接着材層222の厚さが1μm以上であると、基板12表面の凹凸又は混入した塵埃を十分埋め込むことができる傾向にあり、それらに起因する有機EL部18への機械的なストレスを与えることによるダークスポットの発生を抑制できる。また、粘接着材層222の厚さが100μm以下であると、粘接着材層222の端面から浸入する水分の影響を受けにくくなる傾向にある。
【0053】
粘接着材層222の材料は、例えば感圧型の粘着樹脂である。粘着樹脂の例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体などのポリオレフィンの酸変性物、エチレン・酢酸ビニル共重合体の酸変性物、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、ポリアミド、合成ゴム等の熱可塑性樹脂である。
【0054】
次に、図1に示した構成を有する有機ELデバイス10の製造方法の一例として、可撓性を有する長尺の基板12を用いて有機ELデバイス10を製造する方法について説明する。
【0055】
本実施形態の有機ELデバイス10の製造方法では、図2に示した長尺の保護フィルム付き封止部材24を使用する。
【0056】
保護フィルム付き封止部材24は、封止部材22と、保護フィルム241とを有する。保護フィルム241は、封止部材22が有する粘接着材層222の表面(金属層223と反対側の面)222aに貼合されている。保護フィルム241は、粘接着材層222にゴミが付着したり、封止部材22同士が貼合したりすることなどを防止するためのフィルムである。保護フィルム241の材料は、例えばシリコーンやフッ素化合物等で表面処理されたPETである。保護フィルム241の厚さは、例えば5μm〜50μmである。
【0057】
有機ELデバイス10の製造方法は、図3に示したように、デバイス基材形成工程S10と、乾燥工程S20と、貼合工程S30と、切断工程S40と、を有する。
【0058】
[デバイス基材形成工程]
デバイス基材形成工程S10では、図4に模式的に示したように、長尺の基板12上の長手方向に設定される複数のデバイス形成領域のそれぞれに、陽極14、引出電極16、有機EL部18及び陰極20が設けられた有機ELデバイス基材(有機電子デバイス基材)26を形成する。図4は、デバイス形成領域において、基板12を、その長手方向に直交する面で切断した場合の断面構成を模式的に示している。
【0059】
デバイス基材形成工程S10は、図3に示したように、陽極(第1の電極)形成工程S11、有機EL部形成工程S12及び陰極(第2の電極)形成工程S13を有する。
【0060】
<陽極形成工程>
陽極形成工程S11では、長尺の基板12の長手方向に設定される複数のデバイス形成領域にそれぞれ陽極14を形成する。この際、各デバイス形成領域に、陽極14とともに、引出電極16も形成する。デバイス形成領域は、製造する有機ELデバイス10の製品サイズに対応する領域である。
【0061】
陽極14及び引出電極16は、有機ELデバイス10の製造において公知の方法で形成され得る。陽極14の形成方法としては、例えば真空成膜法、イオンプレーティング法、メッキ法、塗布法等が挙げられる。塗布法としては、例えばインクジェット印刷法が挙げられるが、陽極14を形成可能な塗布法であれば、他の公知の塗布法でもよい。インクジェット印刷法以外の公知の塗布法としては、例えばマイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法及びノズルプリント法等が挙げられる。
【0062】
陽極14及び引出電極16は、例えば陽極14及び引出電極16となる導電膜を形成した後に、その導電膜を、陽極14及び引出電極16それぞれのパターンにパターニングすることで形成され得る。陽極14及び引出電極16は、陽極14及び引出電極16それぞれのパターンに対応した導電膜を直接形成することで作製されてもよい。
【0063】
<有機EL部形成工程>
有機EL部形成工程S12では、陽極14上に有機EL部18を形成する。図1に示した形態では、有機EL部18は発光層181を有するため、有機EL部形成工程S12は、陽極14上に発光層181を形成する発光層(機能層)形成工程S12Aを有する。発光層181の形成方法としては、例えば真空成膜法、塗布法等が挙げられる。塗布法としては、例えばインクジェット印刷法が挙げられるが、発光層181を形成可能な塗布法であれば、他の公知の塗布法でもよい。インクジェット印刷法以外の公知の塗布法としては、陽極14を塗布法で形成する場合の説明で例示した塗布法が挙げられる。
【0064】
有機EL部18が発光層181以外の機能層を含む場合、有機EL部18の層構成に応じて陽極14側から順に機能層を形成すればよい。各機能層の形成方法は、発光層形成工程S12Aと同様とし得る。
【0065】
<陰極形成工程>
陰極形成工程S13では、有機EL部18上に陰極20を形成する。陰極20は、陽極14の形成方法と同様の方法で形成され得る。
【0066】
なお、デバイス基材形成工程S10において、陽極形成工程S11、有機EL部形成工程S12及び陰極形成工程S13のうち少なくとも一つの工程をロールツーロール方式で実施してもよい。例えば、有機EL部形成工程S12をロールツーロール方式で実施してもよいし、有機EL部形成工程S12及び陰極形成工程S13を連続的にロールツーロール方式で実施してもよい。
【0067】
[乾燥工程]
乾燥工程S20では、図2に示した保護フィルム付き封止部材24を乾燥させることによって、封止部材22を乾燥させる。一実施形態では、乾燥工程S20では、封止部材22が有する粘接着材層222の含水率が600ppm以下(なお、ppmは質量基準であり、本明細書において同様である。)となるように、封止部材22を乾燥させる。乾燥工程S20については、後ほど詳述する。
【0068】
[貼合工程]
貼合工程S30では、乾燥工程S20により乾燥された封止部材24から保護フィルム241を剥離して得られる封止部材22を、有機ELデバイス基材26に粘接着材層222を介して貼合する。貼合工程S30については、後ほど詳述する。
【0069】
[切断工程]
切断工程S40では、貼合工程S30により封止部材22が貼合された長尺の有機ELデバイス基材26を、その長手方向に搬送しながら、デバイス形成領域毎に基板12を切断する。これにより、封止部材22が貼合された長尺の有機ELデバイス基材26から製品サイズの複数の有機ELデバイス10が得られる。
【0070】
次に、図5を参照して、乾燥工程S20及び貼合工程S30について詳細に説明する。図5は、乾燥工程S20及び貼合工程S30を説明するための図面である。図5では、有機ELデバイス基材26及び封止部材24を模式的に太い実線で示している。本実施形態では、図5に示したように、乾燥室28で乾燥工程S20を実施した後、乾燥室28に連結部30を介して連結された貼合室32において貼合工程S30を実施する。なお、図5では、有機ELデバイスは、ロールツーロール方式で製造される。
【0071】
説明のために、保護フィルム付き封止部材24が巻かれたロールを第1ロール34Aと称し、封止部材22が貼合される前の長尺の有機ELデバイス基材26が巻かれたロールを第2ロール34Bと称し、貼合工程S30により封止部材22が貼合された有機ELデバイス基材26が巻かれたロールを第3ロール34Cと称す。
【0072】
乾燥工程S20では、乾燥室28内の繰出し部36にセットされた第1ロール34Aから封止部材24を繰りだし、封止部材24の長手方向にガイドローラR1でガイドしながら搬送する。このように封止部材24を搬送しながら、搬送経路上に配置された少なくとも一つの赤外線照射部38から封止部材24に赤外線を照射して、封止部材24を加熱乾燥させる。図5では、複数の赤外線照射部38を利用して封止部材24を加熱乾燥させる場合を例示している。
【0073】
乾燥室28内において、封止部材24の搬送経路は、図5に示したように、複数回、折り返されてもよい。この場合、乾燥のための省スペース化を図りながら乾燥時間を確保可能である。赤外線照射部38は、例えば封止部材24の厚さ方向において、封止部材24の両側に配置されてもよいし、一方にのみ配置されてもよい。
【0074】
乾燥室28内は、乾燥を効果的に行うために、例えば露点−40℃以下であり且つ不活性ガス雰囲気(例えば窒素ガス雰囲気)で満たされていてもよい。乾燥室28内は、乾燥を効果的に行うために、10Pa以下の減圧環境に設定されていてもよい。
【0075】
乾燥室28で乾燥された封止部材24は、連結部30を通過して貼合室32に搬入され、貼合室32で貼合工程S30が実施される。
【0076】
貼合工程S30では、貼合室32内の繰出し部40にセットされた第2ロール34Bから、有機ELデバイス基材26を繰り出す。繰り出された有機ELデバイス基材26を、その長手方向にガイドローラR2でガイドしながら搬送した後、巻取り部42に巻き取って第3ロール34Cを形成するまでの間に、乾燥室28から搬入されてきた封止部材24から保護フィルム241が剥離されて得られる封止部材22を、有機ELデバイス基材26に貼合する。
【0077】
具体的には、貼合室32内には、一対の貼合ローラR3が隙間を空けて配置されており、この隙間に、封止部材22の粘接着材層222と有機ELデバイス基材26において陽極14、有機EL部18及び陰極20が形成されている側とが対向するように、有機ELデバイス基材26と封止部材22とが送り込まれる。そして、一対の貼合ローラR3により有機ELデバイス基材26及び封止部材22が押圧される。このとき、貼合ローラR3にはヒーターが埋め込まれており、貼合ローラR3を加熱することで封止部材22を温めながら、有機ELデバイス基材26に封止部材22が貼合される。
【0078】
一対の貼合ローラR3に封止部材22を送りこむために、乾燥室28から搬送されてきた封止部材24は、ガイドローラR4でガイドされながら搬送される。貼合室32内におけるガイドローラR4による封止部材22の搬送経路には、ガイドローラR5が配置されており、ガイドローラR5により保護フィルム241が封止部材22から剥離される。保護フィルム241が剥離されて得られた封止部材22は、ガイドローラR4により搬送され、一対の貼合ローラR3に上述した状態で送り込まれる。
【0079】
ガイドローラR5により剥離された保護フィルム241は、フィルム回収部44で巻き取ればよい。
【0080】
連結部30及び貼合室32内は、乾燥室28で乾燥された粘接着材層222の含水率を維持し、且つ、封止部材22を貼合していない有機ELデバイス基材26の劣化を防ぐように調整され得る。例えば、連結部30及び貼合室32内は露点−40℃以下であり且つ不活性ガス雰囲気であり得る。したがって、乾燥室28も露点−40℃以下であり且つ不活性ガス雰囲気であれば、連結部30及び貼合室32内は同じ室内環境であってもよい。図5では、繰出し部36が乾燥室28に配置されているが、繰出し部36は乾燥室28外に配置されていてもよい。同様に、繰出し部40、巻取り部42及びフィルム回収部44も貼合室32外に配置されていてもよい。ただし、繰出し部40には封止部材22が貼合される前の長尺の有機ELデバイス基材26が巻かれた第2ロール34Bが設置される。そのため、繰出し部40を貼合室32外に配置する場合は、繰出し部40の配置領域及び繰出し部40から繰り出された有機ELデバイス基材26の搬送経路は、有機ELデバイス基材26の劣化を防ぐように構成され得る。例えば、繰出し部40の配置領域及び繰出し部40から繰り出された有機ELデバイス基材26の搬送経路は露点−40℃以下であり且つ不活性ガス雰囲気を保てるように構成され得る。
【0081】
乾燥室で加熱乾燥された高温の保護フィルム付き封止部材24は、連結部30及び貼合部32に搬送された後、連結部30及び貼合部32の温度が乾燥部よりも低いため、徐々に除熱される。特にガイドローラR4、R5等との接触により、急激に冷却される場合もある。この際に、封止部材の各層の熱膨張率が異なるため、従来の封止部材では、各層の面内に収縮の不整合に伴う応力が発生し、封止部材にしわ等の変形が発生する。このように変形した封止部材を有機ELデバイス基材に貼合すると、しわ等の変形箇所に気泡が混入し、封止部材と有機ELデバイス基材との密着性が損なわれる。それにより、封止部材の封止性能が十分に発揮できず、有機ELデバイスの長期保管性が劣化する。
【0082】
しかしながら、本実施形態の有機ELデバイスの製造方法では、封止部材における金属層223の耐力が100N/mm〜200N/mmである、又は金属層223の材質が加工硬化されたアルミニウムであるため、上記応力に抗して封止材の変形を抑制できる。一方で、例えば、金属層223として、JIS H4160で定義される1N30−O(一般的に、1N30−Oの耐力は、30〜40N/mmである)等の軟質のアルミニウムを用いた場合、封止材の変形を十分に抑制できない。また、封止部材における金属層223の耐力が200N/mm以下であると、封止部材が固すぎず、封止部材が十分な可撓性を有するため、ローラでの搬送が容易である。
【0083】
上記有機ELデバイス10の製造方法では、封止部材22に保護フィルム241が貼合されてなる封止部材24を乾燥させている。そのため、乾燥時の加熱により、粘接着材層222のタック性が増大しても、粘接着材層222がガイドローラR1等に直接接触しないため、ガイドローラR1等に粘接着材が付着するのを防ぐことができる。
【0084】
乾燥工程S20において、封止部材22は、保護フィルム241が貼合された状態で搬送されるので、搬送過程において、粘接着材層222にゴミが付着しない。そのため、封止部材22を有機ELデバイス基材26に貼合した際に、有機ELデバイス基材26にゴミが入り込むことを防止でき、その結果、上記ゴミに起因したデバイス不良が生じない。
【0085】
乾燥を効果的に行うためには、保護フィルム241の厚さは薄い方がよいが、薄すぎると、搬送過程において、保護フィルム241が切れたり、保護フィルム241にシワが入ったりするなどにより搬送制御が困難になる。一方、保護フィルム241が厚すぎると、乾燥効率が低下するため、封止部材24の搬送経路が不要に長くなるとともに、乾燥処理に要する時間も長くなる。さらに、封止部材24が巻かれた第1ロール34Aも無用に大きくなるなどの問題がある。これに対して、保護フィルム241が例えば5μm以上50μm以下であれば、封止部材24の搬送も容易であるとともに、乾燥効率の向上も図れる。さらに、第1ロール34Aのサイズも小さくできる。
【0086】
粘接着材層222の材料が感圧型の粘着樹脂である場合、乾燥工程S20での熱によりタック性が増大し易い。よって、本実施形態で説明した有機ELデバイス10の製造方法は、感圧型の粘着樹脂を含む粘接着材層222を有する封止部材22を使用する場合により一層有効である。
【0087】
乾燥工程S20では、粘接着材層222の含水率が600ppm以下になるように封止部材24(より具体的には封止部材22)を乾燥することが好ましい。このような乾燥状態の封止部材22を有機ELデバイス基材26に貼合することで、長期保管性がより一層向上した有機ELデバイス10を製造可能であるからである。
【0088】
本実施形態で説明した有機ELデバイスの製造方法では、前述したように、保護フィルム付き封止部材24を乾燥させた後、乾燥された封止部材22を有機ELデバイス基材26に貼合している。よって、生産性の向上を図りながら、長期保管性に優れた有機ELデバイス10を効率的に製造可能である。さらに、封止部材22の含水率が例えば600ppm以下となるように乾燥することで、より一層長期保管性に優れた有機ELデバイス10を効率的に製造可能である。
【0089】
以上、本発明の種々の実施形態及び実施例について説明した。しかしながら、本発明は上述した種々の実施形態及び実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0090】
図5では、乾燥室と貼合室とが連結部で連結した形態を例示した。しかしながら、乾燥室と貼合室とは繋がっていなくてもよい。この場合、乾燥室で乾燥された保護フィルム付き封止部材を、一旦、ロール状に巻き取った後、気密容器に収容して、貼合室に搬入すればよい。
【0091】
乾燥工程での乾燥方法として赤外線加熱を例示したが、保護フィルム付き封止部材の乾燥方法は、赤外線加熱に限定されない。例えば、保護フィルム付き封止部材をガイドするガイドローラを加熱ローラとし、加熱ローラにより保護フィルム付き封止部材を乾燥してもよいし、ハロゲンランプヒーター、レーザー、マイクロ波加熱等の加熱方法で乾燥してもよい。
【0092】
上記実施形態では、基板に陽極、有機EL部及び陰極を順に形成する形態を説明したが、例えば、陽極が予め形成された基板から有機ELデバイスを製造してもよい。この場合、有機ELデバイスの製造方法は、有機EL部形成工程及び陰極形成工程を備えていればよい。
また、上記実施形態では、長尺の基材及び長尺の封止部材を用いたロールツーロール方式による製造方法について説明したが、基材及び封止部材としては、断裁等により予め所定のサイズに調整された枚葉のものを用いて有機電子デバイスを製造してもよい。
【0093】
また、例えば、剥離工程は、貼合工程の後に実施する場合に限定されない。例えば、剥離工程は、デバイス本体部形成工程中に実施してもよいし、デバイス本体部形成工程と、貼合工程との間に実施してもよい。デバイス本体部形成工程中に実施する場合は、例えば、陽極(第1電極)を形成した後に実施すればよい。例えば、有機機能層形成工程中でもよいし、有機機能層形成工程と陰極形成工程との間に実施してもよい。可撓性基板上にデバイス本体部などを形成する際のハンドリングの容易性向上のために可撓性基板を支持基板に固定するため、剥離工程は、少なくとも陽極(第1電極)形成工程の後に実施することが好ましい。
【0094】
上記実施形態において、封止部材として粘接着材層の表面に設けられた保護フィルムを有する保護フィルム付き封止部材を使用する場合、乾燥工程の前に保護フィルムを剥離してもよい。また、封止部材として元々保護フィルムを有しないものも使用できる。保護フィルムを有しない封止部材としては、例えば、粘接着剤層と樹脂層とが接するようにロール状に巻かれた封止部材等を使用することができ、この場合、樹脂層の金属層とは反対側の表面に必要に応じて離型処理が施されていてもよい。
【0095】
これまでの説明では、第1の電極を陽極とし、第2の電極を陰極として説明したが、第1の電極が陰極であって、第2の電極が陽極であってもよい。
【0096】
有機電子デバイスの一例である有機ELデバイスについて、その製造方法を説明したが本実施形態に係る有機電子デバイスの製造方法は、例えば有機太陽電池、有機フォトディテクタ、有機トランジスタ等の有機機能層を備える有機電子デバイスにも適用可能である。有機トランジスタを製造する場合、第1の電極は、例えばソース電極、ドレイン電極及びゲート電極のいずれかであり、第2の電極は、ソース電極、ドレイン電極及びゲート電極のうちの第1の電極以外の電極である。有機トランジスタを製造する場合の機能層は、ゲート絶縁層又は有機半導体層で有り得る。
【実施例】
【0097】
[実施例1]
封止部材Aとして、以下の層構成のものを使用した。
保護フィルム(厚さ12μm)/粘接着材層(厚さ30μm)/アルミニウム層(厚さ30μm、1N30−H材、東洋アルミニウム株式会社製)/PET(厚さ38μm)
封止部材Aを搬送速度1m/minで搬送し、保護フィルム側からカーボンヒーターを用いて封止部材Aの温度が160℃になるように赤外照射し、5分間加熱した後、巻き取った。封止部材Aにしわ等の変形は見られなかった。
巻き取った封止部材Aの保護フィルムを剥離し、有機電子デバイス基材に貼合したところしわは見られず、良好な貼合面が得られた。
【0098】
[比較例1]
封止部材Aのアルミニウム層を1N30−O材の層(厚さ30μm、東洋アルミニウム株式会社製)に変更した封止部材Bを使用したこと以外は、実施例1と同様に実験を行った。
巻き取った後の封止部材Bでは、幅5mmのシワが搬送方向に連続的に発生し、変形が見られた。
巻き取った封止部材Bの保護フィルムを剥離し、有機電子デバイス基材に貼合したところシワの部分に気泡が混入し、良好な貼合面が得られなかった。
【符号の説明】
【0099】
10…有機ELデバイス(有機電子デバイス)、12…基板、14…陽極(第1の電極)、20…陰極(第2の電極)、22…封止部材、24…保護フィルム付き封止部材、181…発光層(機能層)、222…粘接着材層、223・・・金属層、224・・・樹脂層、241…保護フィルム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】