在席状況データベース、機器登録データベース、および制御装置を備える計算機システムで用いられて、対象空間に設置された複数の照明機器の点消灯を行うための照明制御方法であって、
前記在席状況データベースが、前記対象空間を利用する個々の利用者の在席状況を記憶する在席状況記憶ステップと、
前記機器登録データベースが、前記利用者ごとに、前記対象空間に設置された複数の照明機器のうち、当該利用者と関連する少なくとも1つの照明機器を、当該利用者の登録機器として登録した機器登録情報を記憶し、前記利用者の一部または全部について、前記登録機器として少なくとも2つの照明機器を登録した機器登録情報を記憶する機器登録記憶ステップと、
前記制御装置が、前記複数の照明機器のそれぞれについて、前記機器登録データベースを参照して、前記利用者のうちから、当該照明機器を前記登録機器として登録した登録利用者を選択し、前記在席状況データベースを参照して前記登録利用者の在席状況を確認し、前記登録利用者の在席状況に基づいて当該照明機器の点消灯を制御する制御ステップと
を備えることを特徴とする照明制御方法。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、第1の実施の形態にかかる照明制御システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、在席状況DBの構成例を示す説明図である。
【図3】図3は、第1の実施の形態にかかる機器登録DBの構成例を示す説明図である。
【図4】図4は、第1の実施の形態にかかる照明制御処理を示すフローチャートである。
【図5】図5は、第1の実施の形態にかかる照明制御動作例Aを示す説明図である。
【図6】図6は、第1の実施の形態にかかる照明制御動作例Bを示す説明図である。
【図7】図7は、第1の実施の形態にかかる照明制御動作例Cを示す説明図である。
【図8】図8は、第1の実施の形態にかかる照明制御動作例Dを示す説明図である。
【図9】図9は、第2の実施の形態にかかる機器登録の構成例を示す説明図である。
【図10】図10は、第2の実施の形態にかかる照明制御処理を示すフローチャートである。
【図11】図11は、第2の実施の形態にかかる照明制御動作例Eを示す説明図である。
【図12】図12は、第2の実施の形態にかかる照明制御動作例Fを示す説明図である。
【図13】図13は、第2の実施の形態にかかる照明制御動作例Gを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる照明制御システム10について説明する。図1は、第1の実施の形態にかかる照明制御システムの構成を示すブロック図である。
この照明制御システム10は、ビル建物などの施設において、制御対象となる対象空間20を利用する個々の利用者Uの在席状況に基づいて、対象空間20に設置されている照明機器Qの点消灯を自動制御するシステムである。
【0022】
[対象空間]
対象空間20は、例えばビル建物に設けられたビジネス用の居室からなり、机と椅子の組が整列して配置されている。これら机は、利用者Uの席に相当し、在席管理システム30により、各利用者Uの在席状況が検知される。
対象空間20の天井には、複数の照明機器Qと複数のセンサSが設置されている。これらのうち照明機器Qは、例えば蛍光灯やLEDなどの照明器具からなり、通信回線L2を介して制御装置13と接続されており、制御装置13から制御指示に応じて、点灯、消灯、さらには明るさ調整を行う機能を有している。
【0023】
また、センサSは、例えばサーモパイル、サーミスタまたはポロメータタイプなどの赤外線検出素子を用いた焦電型赤外線センサからなり、通信回線LSを介して在席管理システム30に接続されており、人体から発した赤外線に関する検出結果を在席管理システム30へ出力する機能を有している。
【0024】
[在席管理システム]
在席管理システム30は、センサSから取得した検出結果に基づいて、対象空間20内の熱画像(サーモグラフィ)を生成し、利用者Uの表面温度を示す人領域を検索することにより、対象空間20内に存在する人Uを検知して在席管理するシステムであり、例えば特許文献2に記載された一般的な人検知システムを用いればよい。在席管理システム30は、通信回線L3を介して制御装置13と接続されており、得られた検知結果が通信回線L3を介して制御装置13へ通知される。
【0025】
なお、本実施の形態では、対象空間20におけるこれらの在席管理処理を、照明制御システム10とは独立した在席管理システム30が実行する場合を例として説明するが、在席管理システム30での在席管理処理を照明制御システム10の制御装置13で実行するようにしてもよい。
また、在席管理システム30としては、前述したようなセンサSを用いたシステムに限定されるものではない。例えば、認証カードを利用して対象空間20における利用者Uの入退室や在席状況を管理するカード管理システムなど、他の在席管理システムを利用することも可能である。
【0026】
[照明制御システム]
図1に示すように、照明制御システム10は、主な構成として、在席状況データベース(在席状況DB)11、機器登録データベース(機器登録DB)12、および制御装置13を備えている。これら在席状況DB11、機器登録DB12、および制御装置13は、通信回線L1を介してデータやり取り可能に接続されている。以下では、在席状況DB11と機器登録DB12が、制御装置13と別個の装置である場合を例として説明するが、これに限定されるものではない。例えば、在席状況DB11または機器登録DB12、あるいはこれら両方が、制御装置13の内部に取り付けられていてもよい。
【0027】
[在席状況DB]
在席状況DB11は、全体としてハードディスクなどの記憶装置からなり、対象空間20を利用する個々の利用者Uの在席状況、すなわち在席/離席を記憶するデータベースである。
【0028】
図2は、在席状況DBの構成例を示す説明図である。図2に示すように、在席状況DB11には、利用者Uを識別するための利用者IDごとに、利用者Uの席に利用者Uが在席しているか、離席しているかを示す在席状況が保存されている。在席状況は、制御装置13により、対象空間20を利用する利用者Uの在席状況を逐次検出する在席管理システム30から取得されて、在席状況DB11に保存される。
【0029】
[機器登録DB]
機器登録DB12は、全体としてハードディスクなどの記憶装置からなり、利用者Uごとに、対象空間20に設置された複数の照明機器Qのうち、当該利用者Uと関連する少なくとも1つの照明機器Qを、当該利用者Uの登録機器として登録した機器登録情報を記憶し、利用者Uの一部または全部について、登録機器として少なくとも2つの照明機器Qを登録した機器登録情報を記憶するデータベースである。
【0030】
図3は、第1の実施の形態にかかる機器登録DBの構成例を示す説明図である。図3に示すように、機器登録DB12には、利用者Uを識別するための利用者IDごとに、当該利用者Uが選択した少なくとも1つの登録機器を示す登録機器IDが、機器登録情報として記憶されている。また、利用者Uの一部または全部については、少なくとも2つの登録機器を示す登録機器IDが、機器登録情報として記憶されている。
機器登録情報は、利用者Uの操作に応じた当該利用者の利用者端末Pからの登録要求に応じて、制御装置13が更新するようにしてもよく、制御装置13に接続されたコンソール(図示せず)でのオペレータ操作に応じて、制御装置13が更新するようにしてもよい。
【0031】
利用者Uは、自席の照明環境に大きな影響を与える少なくとも1つの照明機器Qを、自己の登録機器として主観的に任意に選択して登録すればよい。また、自席の照明環境が複数の照明機器Qの点消灯状態に大きな影響を受ける場合、利用者Uは、少なくとも2つの照明機器Qを、自己の登録機器として主観的に任意に選択して登録すればよい。
【0032】
通常、利用者Uの自席における明るさ(照度)は、照明機器Qと利用者Uの席との距離、照明機器Qの光束量などのパラメータにより特定される。このため、制御装置13において、利用者Uの自席における照明機器Qの照度または照度の特定に用いられるパラメータと、登録機器の登録数(例えば2つ)とに基づいて、複数の照明機器Qのうちから、当該利用者Uに関する登録機器を自動選択して機器登録DB12に自動登録するようにしてもよい。パラメータや登録数については、照明制御システム10の運用から経験的に決定すればよい。これにより、各利用者Uによる登録機器の登録に要する作業負担をなくすことができる。
【0033】
[制御装置]
制御装置13は、全体としてサーバ、パーソナルコンピュータ、産業用コントローラなどの情報処理装置からなり、対象空間20に設置された複数の照明機器Qのそれぞれについて、機器登録DB12を参照して、利用者Uのうちから、当該照明機器Qを登録機器として登録した登録利用者UAを選択し、在席状況DB11を参照して、登録利用者UAの在席状況を確認し、登録利用者UAの在席状況に基づいて当該照明機器Qの点消灯を制御するように構成されている。
【0034】
制御装置13は、少なくともCPUと記憶回路とを備え、CPUと記憶回路で記憶するプログラムとを共同させることにより、照明制御処理を実行する。プログラムは、通信網NWや通信回線L3を介して制御装置13に接続された外部装置または記録媒体から取得されて、予め記憶回路に保存される。
【0035】
制御装置13で実行する主な照明制御処理として、任意の照明機器Qについて、当該登録利用者UAの全てが在席していない場合、当該照明機器Qを消灯する処理と、当該登録利用者UAのいずれかが在席している場合、当該照明機器Qを点灯する処理とがある。これら処理の詳細については、動作の説明において図4を参照して後述する。
【0036】
図1に示すように、制御装置13は、通信回線L2を介して対象空間20に設置された複数の照明機器Qとデータ通信可能に接続されており、上記照明制御処理の1つとして、個々の照明機器Qに対して制御指示を送信することにより、照明機器Qの点灯、消灯、さらには明るさ調整を行う。
また、制御装置13は、通信回線L3を介して在席管理システム30とデータ通信可能に接続されており、上記照明制御処理の1つとして、在席管理システム30で検知した在席状況を取得して、在席状況DB11に保存する。
【0037】
また、制御装置13は、通信網NWを介して利用者Uの利用者端末Pとデータ通信可能に接続されており、上記照明制御処理の1つとして、利用者Uの操作に応じた当該利用者Uの利用者端末Pからの登録要求に応じて、機器登録DB12の機器登録情報を更新するように構成されている。また、上記照明制御処理の1つとして、利用者Uの操作に応じた当該利用者Uの利用者端末Pからの帰席通知に応じて、在席状況DB11のうち当該利用者Uの在席状況を直ちに在席状態に更新するように構成されている。
【0038】
[第1の実施の形態の動作]
次に、図4を参照して、本実施の形態にかかる照明制御システム10の動作について説明する。図4は、第1の実施の形態にかかる照明制御処理を示すフローチャートである。
照明制御システム10の制御装置13は、周期的な処理タイミングの到来に応じて、図4の照明制御処理を実行する。
【0039】
まず、制御装置13は、対象空間20に設置されている複数の照明機器Qのうちから、未選択の照明機器Qsを1つ選択し(ステップS100)、機器登録DB12の機器登録情報を参照して、選択した選択照明機器Qsを登録機器とする登録利用者UAを選択する(ステップS101)。
【0040】
次に、制御装置13は、在席状況DB11を参照して登録利用者UAの在席状況を確認し(ステップS102)、登録利用者UAの全てが離席中であるか検証する(ステップS103)。ここで、登録利用者UAの全てが離席中である場合(ステップS103:YES)、制御装置13は、選択照明機器Qsに対して消灯指示を出力し(ステップS104)、後述するステップS106へ移行する。これにより、選択照明機器Qsが消灯する。なお、ステップS104において、選択照明機器Qsが消灯中であるか確認し、消灯中である場合には消灯指示の出力を省略し、消灯中でない場合にのみ消灯指示を出力するようにしてもよい。
【0041】
一方、登録利用者UAの全てが離席中でない場合、すなわち登録利用者UAのいずれかが在席中である場合(ステップS103:NO)、制御装置13は、選択照明機器Qsに対して点灯指示を出力し(ステップS105)、後述するステップS106へ移行する。これにより、選択照明機器Qsが点灯する。なお、ステップS105において、選択照明機器Qsが点灯中であるか確認し、点灯中である場合には点灯指示の出力を省略し、点灯中でない場合にのみ点灯指示を出力するようにしてもよい。
【0042】
この後、ステップS106において、制御装置13は、対象空間20に設置されている複数の照明機器Qの全てを選択したか確認し(ステップS106)、照明機器Qを全て選択済みでない場合、すなわち未選択の照明機器Qが存在する場合(ステップS106:NO)、前述したステップS100へ戻る。
一方、照明機器Qを全て選択済みである場合(ステップS106:YES)、一連の照明制御処理を終了する。
【0043】
[第1の実施の形態の動作例]
次に、図5−図8を参照して、本実施の形態にかかる照明制御システム10の照明制御動作例について説明する。図5は、第1の実施の形態にかかる照明制御動作例Aを示す説明図である。図6は、第1の実施の形態にかかる照明制御動作例Bを示す説明図である。図7は、第1の実施の形態にかかる照明制御動作例Cを示す説明図である。図8は、第1の実施の形態にかかる照明制御動作例Dを示す説明図である。
【0044】
これら図5−図8では、対象空間20に4人の利用者U1,U2,U3,U4の席が設けられており、対象空間20の天井には、3つの照明機器Q1,Q2,Q3が設置されているものとする。
【0045】
このうち、照明機器Q1は、利用者U1の席の近傍にあって、比較的利用者U2の席の近くにあり、利用者U1,U2の登録機器としてそれぞれ登録されている。また、照明機器Q2は、利用者U2,U3の席の近傍であり、利用者U2,U3の登録機器としてそれぞれ登録されている。また、照明機器Q3は、利用者U4の近傍であって、比較的利用者U3の席の近くにあり、利用者U3,U4の登録機器として登録されている。
したがって、照明機器Q1の登録利用者UAは利用者U1,U2となり、照明機器Q2の登録利用者UAは利用者U2,U3となり、照明機器Q3の登録利用者UAは利用者U3,U4となる。
【0046】
[照明制御動作例A]
図5に示した照明制御動作例Aでは、利用者U1が離席中であり、利用者U2,U3,U4が在席中である。これにより、照明機器Q1の登録利用者UAである利用者U2が在席中であるため、照明機器Q1は点灯状態に制御される。また、照明機器Q3は、登録利用者UAである利用者U2,U3が在席中であるため、照明機器Q2は点灯状態に制御される。同じく、照明機器Q4は、登録利用者UAである利用者U3,U4が在席中であるため、照明機器Q3は点灯状態に制御される。
【0047】
[照明制御動作例B]
一方、図6に示した照明制御動作例Bでは、図5の在席状況において利用者U2が離席した状況を示しており、利用者U1,U2が離席中であり、利用者U3,U4が在席中である。これにより、照明機器Q1の登録利用者UAである利用者U1,U2が離席中であるため、照明機器Q1は消灯状態となる。また、照明機器Q2は、登録利用者UAである利用者U3が在席中であるため、照明機器Q2は点灯状態に制御される。また、照明機器Q4は、登録利用者UAである利用者U3,U4が在席中であるため、照明機器Q3は点灯状態に制御される。
【0048】
[照明制御動作例C]
また、図7に示した照明制御動作例Cでは、図6の在席状況において利用者U4が離席した状況を示しており、利用者U1,U2,U4が離席中であり、利用者U3が在席中である。これにより、照明機器Q1の登録利用者UAである利用者U1,U2が離席中であるため、照明機器Q1は消灯状態となる。また、照明機器Q2は、登録利用者UAである利用者U3が在席中であるため、照明機器Q2は点灯状態に制御される。また、照明機器Q4は、登録利用者UAである利用者U3が在席中であるため、照明機器Q3は点灯状態に制御される。
【0049】
[照明制御動作例D]
また、図8に示した照明制御動作例Dでは、前述した図7の機器登録状況において、利用者U1が帰席した状況を示しており、利用者U2,U4が離席中であり、利用者U1,U3が在席中である。これにより、照明機器Q1の登録利用者UAである利用者U1が在席中であるため、照明機器Q1は点灯状態となる。また、照明機器Q2は、登録利用者UAである利用者U3が在席中であるため、照明機器Q2は点灯状態に制御される。また、照明機器Q4は、登録利用者UAである利用者U3が在席中であるため、照明機器Q3は点灯状態に制御される。
【0050】
この際、利用者U1は、帰席時に自己の利用者端末Pを操作して、通信網NWを介して制御装置13へ帰席通知を送信してもよい。これにより、制御装置13は、在席状況DB11のうち利用者U1の在席状況を直ちに在席状態に更新するため、利用者U1の在席が直ちに在席状況に反映される。このため、在席管理システム30における検知間隔に起因する更新遅延が解消され、利用者U1の帰席に合わせて照明機器Qを素早く点灯制御することが可能となる。
【0051】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、在席状況DB11が、対象空間20を利用する個々の利用者Uの在席状況を記憶し、機器登録DB12が、利用者Uごとに、対象空間20に設置された複数の照明機器Qのうち、当該利用者Uと関連する少なくとも1つの照明機器Qを、当該利用者Uの登録機器として登録した機器登録情報を記憶するとともに、利用者Uの一部または全部について、登録機器として少なくとも2つの照明機器Qを登録した機器登録情報を記憶し、制御装置13が、照明機器Qのそれぞれについて、機器登録DB12を参照して、利用者Uのうちから、当該照明機器Qを登録機器として登録した登録利用者UAを選択し、在席状況DB11を参照して登録利用者UAの在席状況を確認し、登録利用者UAの在席状況に基づいて当該照明機器Qの点消灯を制御するようにしたものである。
【0052】
より具体的には、制御装置13が、当該照明機器Qに関する登録利用者UAの全てが在席しておらず離席中である場合、当該照明機器Qを消灯するようにしてもよい。また、当該照明機器Qに関する登録利用者UAのいずれかが在席している場合、当該照明機器Qを点灯するようにしてもよい。
【0053】
これにより、利用者Uの一部または全部について、登録機器として少なくとも2つの照明機器Qを登録することができ、照明機器Qの照明エリアという範囲に限定されることなく、その範囲を超えて、照明機器Qと利用者Uとを広く関連付けることができる。このため、当該利用者Uが在席している期間は、登録機器に相当する照明機器Qを点灯状態に維持することができる。したがって、利用者Uの登録機器として複数の照明機器Qを登録しておけば、より広い範囲について照明環境の変化により利用者Uが感じる不快感や不安感を軽減することが可能となる。
【0054】
また、照明機器Qと利用者Uとは、一対一の関係に限定されない。このため、例えば1つの照明機器Qを複数の利用者Uが登録機器として登録することができる。これにより、これら利用者Uが1人でも在席中であれば、当該照明機器Qが点灯状態に維持され、これら利用者Uが全て離席状態となった時点ではじめて当該照明機器Qが消灯されるため、照明機器Qの消灯により利用者Uが感じる不快感や不安感を大幅に軽減することが可能となる。
【0055】
また、1人の利用者Uが複数の照明機器Qを登録機器として登録することができる。これにより、利用者Uの直近の照明機器Qだけでなく、少し離れた照明機器Qや近隣の異なる部署の照明機器Qを登録機器として登録でき、利用者Uの席の周囲を含めた照明環境の変化により利用者Uが感じる不快感や不安感を確実に軽減することが可能となる。
【0056】
また、本実施の形態において、制御装置13が、複数の照明機器Qのいずれかを消灯する場合、当該照明機器Qの明るさを徐々に暗くして消灯するようにしてもよい。これにより、一瞬で消灯する場合と比較して、消灯を利用者Uに気づかれにくくすることができ、利用者Uが感じる不快感や不安感を和らげることが可能となる。
【0057】
また、本実施の形態において、制御装置13が、利用者Uの操作に応じた当該利用者Uの利用者端末Pからの帰席通知に応じて、在席状況DB11のうち当該利用者Uの在席状況を直ちに在席状態に更新するようにしてもよい。これにより、利用者Uの帰席に応じて、遅れることなく、利用者Uと関連する登録機器を点灯制御することができる。
【0058】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態にかかる照明制御システム10について説明する。
本実施の形態では、第1の実施の形態において、機器登録DB12の機器登録情報に登録した各利用者Uの登録機器を、照明制御における優先レベルが異なる第1の登録機器と第2の登録機器とに区別して登録しておき、これら第1および第2の登録機器と各利用者Uの在席状況とに基づいて、照明機器Qの照明制御を行う場合について説明する。
【0059】
本実施の形態にかかる照明制御システム10のうち、前述の図1で示した第1の実施の形態と比較して、機器登録DB12と制御装置13の構成が異なる。その他の構成は、前述の図1で示した第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0060】
[機器登録DB]
本実施形態において、機器登録DB12の機器登録情報は、登録機器のそれぞれが、照明制御における優先レベルが異なる第1の登録機器と第2の登録機器とに区別して登録されている。これは、任意の利用者Uの登録機器が複数登録されている場合、これら登録機器のそれぞれが、第1の登録機器または第2の登録機器のいずれかに区別されることを意味している。したがって、機器登録情報の構成として、登録機器に第1の登録機器と第2の登録機器の両方が含まれるケースだけではなく、登録機器の全てが第1の登録機器であるケース、さらには、登録機器の全てが第2の登録機器であるケースも含まれる。
【0061】
図9は、第2の実施の形態にかかる機器登録の構成例を示す説明図である。図9に示すように、機器登録DB12には、利用者Uを識別するための利用者IDごとに、複数の照明機器Qのうちから当該利用者Uが選択した、第1の登録機器を識別するための第1の登録機器IDと、第2の登録機器を識別するための第2の登録機器IDとが、機器登録情報として登録されている。
【0062】
第1の登録機器は、第2の登録機器に比較して優先レベルが高いものとし、照明制御におけるこれら第1の登録機器と第2の登録機器の用い方の詳細については、動作の説明において図10を参照して後述する。
第1の登録機器は、利用者Uの自席の照明環境に最も大きな影響を与える1つまたは複数の照明機器Qを、利用者Uが主観的に任意に選択して登録すればよい。また、第2の登録機器は、利用者Uの自席の照明環境に、第1の登録機器の次に大きな影響を与える1つまたは複数の照明機器Qを、利用者Uが主観的に任意に選択して登録すればよい。
【0063】
通常、利用者Uの自席における明るさ(照度)は、照明機器Qと利用者Uの席との距離、照明機器Qの光束量などのパラメータにより特定される。このため、制御装置13において、利用者Uの自席における照明機器Qの照度または照度の特定に用いられるパラメータと、第1および第2の登録機器の登録数とに基づいて、複数の照明機器Qのうちから、当該利用者Uに関する第1および第2の登録機器を自動選択して機器登録DB12に自動登録するようにしてもよい。パラメータや登録数については、照明制御システム10の運用から経験的に決定すればよい。これにより、各利用者Uによる登録機器の登録に要する作業負担をなくすことができる。
【0064】
[制御装置]
制御装置13は、複数の照明機器Qのそれぞれについて、機器登録DB12を参照して、利用者Uのうちから、当該照明機器Qを第1の登録機器として登録した第1の登録利用者UAと、当該照明機器Qを第2の登録機器として登録した第2の登録利用者UBとを選択し、在席状況DB11を参照して第1の登録利用者UAと第2の登録利用者UBの在席状況を確認し、第1の登録利用者UAと第2の登録利用者UBの在席状況に基づいて当該照明機器Qの点消灯を制御するように構成されている。
【0065】
制御装置13で実行する主な照明制御処理として、任意の照明機器Qについて、当該第1の登録利用者UAの全てが在席していない場合であって、かつ、第2の登録利用者UBの全てが在席していない場合、当該照明機器Qを消灯する処理と、当該第1の登録利用者UAの全てが在席していない場合であって、かつ、第2の登録利用者UBのいずれかが在席している場合、当該照明機器Qを消灯せず当該照明機器Qの明るさを低減する処理と、当該第1の登録利用者UAのいずれかが在席している場合、当該照明機器Qを点灯する処理とがある。これら処理の詳細については、動作の説明において図10を参照して後述する。
【0066】
[第2の実施の形態の動作]
次に、図10を参照して、本実施の圭太にかかる照明制御システム10の動作について説明する。図10は、第2の実施の形態にかかる照明制御処理を示すフローチャートである。
照明制御システム10の制御装置13は、周期的な処理タイミングの到来に応じて、図10の照明制御処理を実行する。
【0067】
まず、制御装置13は、対象空間20に設置されている複数の照明機器Qのうちから、未選択の照明機器Qsを1つ選択し(ステップS200)、機器登録DB12の機器登録情報を参照して、選択した選択照明機器Qsを第1の登録機器とする第1の登録利用者UAを選択するとともに(ステップS201)、選択照明機器Qsを第2の登録機器とする第2の登録利用者UBを選択する(ステップS202)。
【0068】
次に、制御装置13は、在席状況DB11を参照して第1の登録利用者UAと第2の登録利用者UBの在席状況をそれぞれ確認し(ステップS203)、まず、優先レベルの高い第1の登録機器に関連する第1の登録利用者UAの全てが離席中であるか検証する(ステップS204)。この際、ステップS204において、選択照明機器Qsに関する第1の登録利用者UAが存在しない場合、第1の登録利用者UAの全てが離席中であると判断する。したがって、ステップS204では、在席中の第1の登録利用者UAが存在しないことを検証すると換言してもよい。
【0069】
ここで、第1の登録利用者UAの全てが離席中である場合(ステップS204:YES)、制御装置13は、次の優先レベルである高い第2の登録機器に関連する第2の登録利用者UBの全てが離席中であるか検証する(ステップS205)。この際、ステップS205において、選択照明機器Qsに関する第2の登録利用者UBが存在しない場合、第2の登録利用者UBの全てが離席中であると判断する。したがって、ステップS205では、在席中の第2の登録利用者UBが存在しないことを検証すると換言してもよい。
【0070】
ステップS205において、第2の登録利用者UBの全てが離席中である場合(ステップS205:YES)、制御装置13は、選択照明機器Qsに対して消灯指示を出力し(ステップS206)、後述するステップS209へ移行する。これにより、選択照明機器Qsが消灯する。なお、ステップS206において、選択照明機器Qsが消灯中であるか確認し、消灯中である場合には消灯指示の出力を省略し、消灯中でない場合にのみ消灯指示を出力するようにしてもよい。
【0071】
一方、ステップS205において、第2の登録利用者UBの全てが離席中でない場合、すなわち第2の登録利用者UBのいずれかが在席中である場合(ステップS205:NO)、制御装置13は、選択照明機器Qsに対して、所定の明るさ、例えば点灯状態の50%の明るさへ低減させる明るさ低減指示を出力し(ステップS207)、後述するステップS209へ移行する。これにより、選択照明機器Qsが点灯する。なお、ステップS207において、選択照明機器Qsが明るさ低減中であるか確認し、明るさ低減中である場合には明るさ低減指示の出力を省略し、明るさ低減中でない場合にのみ明るさ低減指示を出力するようにしてもよい。
【0072】
また、ステップS204において、第1の登録利用者UAの全てが離席中でない場合、すなわち第1の登録利用者UAのいずれかが在席中である場合(ステップS204:NO)、制御装置13は、選択照明機器Qsに対して点灯指示を出力し(ステップS208)、後述するステップS209へ移行する。これにより、選択照明機器Qsが点灯する。なお、ステップS208において、選択照明機器Qsが点灯中であるか確認し、点灯中である場合には点灯指示の出力を省略し、点灯中でない場合にのみ点灯指示を出力するようにしてもよい。
【0073】
この後、ステップS209において、制御装置13は、対象空間20に設置されている複数の照明機器Qの全てを選択したか確認し(ステップS209)、照明機器Qを全て選択済みでない場合、すなわち未選択の照明機器Qが存在する場合(ステップS209:NO)、前述したステップS200へ戻る。
一方、照明機器Qを全て選択済みである場合(ステップS209:YES)、一連の照明制御処理を終了する。
【0074】
[第2の実施の形態の動作例]
次に、図11−図13を参照して、本実施の形態にかかる照明制御システム10の照明制御動作例について説明する。図11は、第2の実施の形態にかかる照明制御動作例Eを示す説明図である。図12は、第2の実施の形態にかかる照明制御動作例Fを示す説明図である。図13は、第2の実施の形態にかかる照明制御動作例Gを示す説明図である。
【0075】
図11−図13では、対象空間20に4人の利用者U1,U2,U3,U4の席が設けられており、対象空間20の天井には、3つの照明機器Q1,Q2,Q3が設置されているものとする。
このうち、照明機器Q1は、利用者U1の席の近傍であって、比較的利用者U2の席の近くにあり、利用者U1の第1の登録機器として登録されているとともに、利用者U2の第2の登録機器として登録されている。
【0076】
また、照明機器Q2は、利用者U2,U3の席の近傍であって、利用者U2,U3の第1の登録機器として登録されている。
また、照明機器Q3は、利用者U4の近傍であって、比較的利用者U3の席の近くにあり、利用者U4の第1の登録機器として登録されているとともに、利用者U3の第2の登録機器として登録されている。
【0077】
したがって、照明機器Q1の第1の登録利用者UAは利用者U1となり、照明機器Q2の第1の登録利用者UAは利用者U2,U3となり、照明機器Q3の第1の登録利用者UAは利用者U4となる。また、照明機器Q1の第2の登録利用者UBは利用者U2となり、照明機器Q2の第2の登録利用者UBは存在せず、照明機器Q3の第2の登録利用者UBは利用者U3となる。
【0078】
[照明制御動作例E]
図11に示した照明制御動作例Eでは、利用者U1,U2,U4が在席中であり、利用者U3が離席中である。これにより、照明機器Q1,Q2,Q3において、それぞれの第1の登録利用者UAである利用者U1,U2,U4が在席中であるため、照明機器Q1,Q2,Q3は点灯状態に制御される。
【0079】
[照明制御動作例F]
一方、図12に示した照明制御動作例Fでは、図11の在席状況において利用者U1が離席した状況を示しており、利用者U2,U4が在席中であり、利用者U1,U3が離席中である。これにより、照明機器Q2,Q3において、それぞれの第1の登録利用者UAである利用者U2,U4が在席中であるため、照明機器Q2,Q3は点灯状態のままとなる。また、照明機器Q1は、第1の登録利用者UAである利用者U1が離席中であるが、第2の登録利用者UBである利用者U2が在席中であるため、照明機器Q2は明るさ低減状態に制御される。
【0080】
[照明制御動作例G]
また、図13に示した照明制御動作例Gでは、前述した図12の機器登録状況において、利用者U2がさらに離席した状況を示しており、利用者U4のみが在席中であり、利用者U1,U2,U3が離席中である。これにより、照明機器Q3の第1の登録利用者UAである利用者U4が在席中であるため、照明機器Q3は点灯状態のままとなる。一方、照明機器Q1は、第1の登録利用者UAである利用者U1が離席中であって、第2の登録利用者UBである利用者U2も離席中であるため、照明機器Q1は消灯状態に制御される。また、照明機器Q2は、第1の登録利用者UAである利用者U2,U3が離席中であり、第2の登録利用者UBが存在しないため、照明機器Q2は消灯状態に制御される。
【0081】
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、機器登録DB12の機器登録情報において、登録機器のそれぞれを、照明制御における優先レベルが異なる第1の登録機器と第2の登録機器とに区別して登録しておき、制御装置13が、複数の照明機器Qのそれぞれについて、機器登録DB12を参照して、利用者Uのうちから、当該照明機器Qを第1の登録機器として登録した第1の登録利用者UAと、当該照明機器Qを第2の登録機器として登録した第2の登録利用者UBとを選択し、在席状況DB11を参照して、第1の登録利用者UAと第2の登録利用者UBの在席状況を確認し、第1の登録利用者UAと第2の登録利用者UBの在席状況に基づいて当該照明機器Qの点消灯を制御するようにしたものである。
【0082】
より具体的には、任意の照明機器Qについて、当該第1の登録利用者UAの全てが在席していない場合であって、かつ、第2の登録利用者UBの全てが在席していない場合、当該照明機器Qを消灯するようにしてもよい。また、当該第1の登録利用者UAの全てが在席していない場合であって、かつ、第2の登録利用者UBのいずれかが在席している場合、当該照明機器Qを消灯せず当該照明機器Qの明るさを低減するようにしてもよい。また、当該第1の登録利用者UAのいずれかが在席している場合、当該照明機器Qを点灯するようにしてもよい。
【0083】
これにより、照明機器Qと対応して設けられた照明エリアという範囲に限定されることなく、その範囲を超えて、照明機器Qと利用者Uとを関連付けることができる。また、照明機器Qと利用者Uとの関連付けを、照明制御における優先レベルが異なる第1および第2の登録機器として2段階に分けることができる。
このため、利用者Uが自席の明るさに影響を与える程度に応じて、任意の照明機器Qを第1の登録機器または第2の登録機器として登録しておけば、当該利用者Uが在席している期間は、少なくとも当該照明機器Qの消灯を回避できる。
【0084】
また、任意の照明機器Qを第2の登録機器として登録しておけば、当該照明機器Qを第1の登録機器として登録した第1の登録利用者UAが全て離席した場合、当該利用者Uが在席している期間は、明るさ低減状態に制御される。この明るさ低減状態は、点灯状態と比較して消費電力が少ない。したがって、照明機器Qの消灯により利用者Uが感じる不快感や不安感を軽減しつつ、照明機器Qでの消費電力を削減できる。
【0085】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。