(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2021005483
(43)【公開日】20210114
(54)【発明の名称】固体電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0585 20100101AFI20201211BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20201211BHJP
   H01M 50/543 20210101ALI20201211BHJP
   H01M 50/572 20210101ALI20201211BHJP
   H01M 50/10 20210101ALI20201211BHJP
   H01M 50/172 20210101ALI20201211BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20201211BHJP
【FI】
   !H01M10/0585
   !H01M10/0562
   !H01M2/30 D
   !H01M2/34 B
   !H01M2/02 K
   !H01M2/06 K
   !H01M10/052
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】2019118476
(22)【出願日】20190626
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
【住所又は居所】京都府長岡京市東神足1丁目10番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】玉置 伊佐夫
【住所又は居所】京都府長岡京市東神足1丁目10番1号 株式会社村田製作所内
(72)【発明者】
【氏名】森 治彦
【住所又は居所】京都府長岡京市東神足1丁目10番1号 株式会社村田製作所内
【テーマコード(参考)】
5H011
5H029
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA10
5H011BB03
5H011CC02
5H011CC06
5H011CC10
5H011DD12
5H011DD18
5H011DD22
5H011EE04
5H011KK01
5H011KK02
5H029AJ05
5H029AK03
5H029AL03
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL11
5H029AL18
5H029AM11
5H029AM12
5H029AM14
5H029BJ04
5H029CJ03
5H029CJ04
5H029CJ22
5H029CJ24
5H029DJ02
5H029DJ05
5H029EJ01
5H029EJ12
5H029HJ04
5H029HJ07
5H029HJ12
5H043AA02
5H043AA11
5H043AA12
5H043AA13
5H043AA15
5H043BA20
5H043CA08
5H043CA13
5H043DA03
5H043GA22
5H043GA24
5H043HA05D
5H043HA22E
5H043HA23D
5H043HA24E
5H043KA01D
5H043KA22D
5H043LA02D
5H043LA11D
5H043LA21D
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電池性能の劣化をより好適に防止する固体電池を提供すること。
【解決手段】固体電池500であって、正極層10A、負極層10B、および該正極層と該負極層との間に介在する固体電解質層20を備える固体電池積層体500’を有して成り、固体電池積層体の対向する側面にそれぞれ設けられた正極端子30Aおよび負極端子30Bの外部端子を備え、正極端子全体および負極端子全体が2つの金属層100A,100Bでそれぞれ覆われており、2つの金属層が、断面視において、固体電池積層体の側面のうち、少なくとも3つの側面に及ぶようにそれぞれ延在しており、一方の金属層が他方の金属層の少なくとも一部にオーバーラップしており、2つの金属層間に樹脂層40A,40B,40が介在している、固体電池が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体電池であって、
正極層、負極層、および該正極層と該負極層との間に介在する固体電解質層を備える固体電池積層体を有して成り、
前記固体電池積層体の対向する側面にそれぞれ設けられた正極端子および負極端子の外部端子を備え、
前記正極端子全体および前記負極端子全体が、2つの金属層でそれぞれ覆われており、
前記2つの金属層が、断面視において、前記固体電池積層体の側面のうち、少なくとも3つの側面に及ぶようにそれぞれ延在しており、
一方の金属層が他方の金属層の少なくとも一部にオーバーラップしており、該2つの金属層間に樹脂層が介在している、固体電池。
【請求項2】
前記2つの金属層が、前記外部端子が設けられている側面に跨がるようにそれぞれ延在している、請求項1に記載の固体電池。
【請求項3】
断面視において、前記固体電池積層体の長手方向寸法に対する前記2つの金属層の長手方向寸法の比がそれぞれ0.5以上0.8以下となっている、請求項2に記載の固体電池。
【請求項4】
前記金属層の少なくとも一部が樹脂層で覆われている、請求項1〜3のいずれかに記載の固体電池。
【請求項5】
前記2つの金属層が、前記正極端子および前記負極端子とそれぞれ接しており、該2つの金属層が外部電極接続部分をそれぞれ有する、請求項1〜4のいずれかに記載の固体電池。
【請求項6】
前記2つの金属層が樹脂層から露出した部分をそれぞれ有しており、各々の該露出した部分が前記外部電極接続部分を成している、請求項4に従属する請求項5に記載の固体電池。
【請求項7】
前記外部電極接続部分の面積が、前記外部端子の面積に対して0.1以上1.0以下である、請求項5または6に記載の固体電池。
【請求項8】
前記固体電池積層体の電極積層方向に法線を有する側面側に前記外部電極接続部分を有する、請求項5〜7のいずれかに記載の固体電池。
【請求項9】
前記正極層および前記負極層がリチウムイオンを吸蔵放出可能な層となっている、請求項1〜8のいずれかに記載の固体電池。
【請求項10】
固体電池の製造方法であって、
蒸着法またはスパッタリング法によって、外部端子全体を覆うように、また断面視にて固体電池積層体の側面のうち、少なくとも3つの側面に及ぶように金属層を形成する工程、
ウェット工法によって、前記金属層を覆うように樹脂層を形成する工程、および
前記金属層に外部電極接続部分を形成するように前記樹脂層の一部を剥離する工程を含んで成る製造方法。
【請求項11】
固体電池の製造方法であって、
金属層および樹脂層を含んで成るラミネートフィルムから、前記樹脂層の一部を剥離して前記金属層の一部を露出させる工程、
前記金属層の露出した部分が内側となるように、前記ラミネートフィルムを屈曲形状に形成する工程、
前記ラミネートフィルムの屈曲形状の内側に、固体電池の外部端子と前記金属層の露出した部分とが接触するように該固体電池を挿入し、それらを接合および密着させるようにプレスする工程、ならびに
前記金属層に外部電極接続部分を形成するように該金属層を覆う樹脂層の一部を剥離する工程を含んで成る製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、繰り返しの充放電が可能な二次電池が様々な用途に用いられている。例えば、二次電池は、スマートフォンおよびノートパソコン等の電子機器の電源として用いられたりする。
【0003】
二次電池においては、充放電に寄与するイオン移動のための媒体として液体の電解質が一般に使用されている。つまり、いわゆる電解液が二次電池に用いられている。しかしながら、そのような二次電池においては、電解液の漏出防止の点で安全性が一般に求められる。また、電解液に用いられる有機溶媒等は可燃性物質ゆえ、その点でも安全性が求められる。
【0004】
そこで、電解液に代えて固体電解質を用いた固体電池について研究が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−220099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
固体電池は、空気中の水分に対して必要な措置を確実に講じておく必要がある。固体電池の内部に水分が侵入すると、固体電池構成部材において電池反応以外の副反応が生じ、電池特性の劣化を引き起こす虞があるからである。
【0007】
本願発明者は、従前提案されている固体電池では克服すべき課題が依然あることに気付き、そのための対策を取る必要性を見出した。具体的には以下の課題があることを本願発明者は見出した。
【0008】
固体電池は、正極層、負極層、およびそれらの間の固体電解質層から成る固体電池積層体を有して成る(特許文献1参照)。例えば図9に示すように、固体電池積層体500’において、正極層10A、固体電解質層20、負極層10Bがこの順に積層されている。固体電池積層体500’には、その対向する2つの側面(つまり、正極側側面500’Aおよび負極側側面500’B)に接して外部端子である正極端子30Aと負極端子30Bとが設けられている。ここで、正極層10Aおよび負極層10Bは、正極側側面500’Aおよび負極側側面500’Bにてそれぞれ終端するように延在している。
【0009】
固体電池積層体500’ならびに正極端子30Aおよび負極端子30Bは、特に水蒸気バリア性の高い金属層100ならびに絶縁性およびクッション性などを有する樹脂層40で覆われている。外部電極300は、正極端子30Aおよび負極端子30Bとそれぞれ接続され、樹脂層40から延出している。このように水蒸気バリア層として金属材を用いる場合、短絡防止の観点から、正極および負極の外部電極300と金属層100との間にそれぞれ絶縁材(例えば、樹脂層40)を介在させる必要がある。
【0010】
そのような固体電池において、外部電極と金属層との間に位置する絶縁材を介して固体電池積層体内部に水分が侵入する場合がある。上述したような構成では、水分の侵入経路が短いため、侵入した水分が容易に固体電池積層体内部に到達し、望ましくない副反応が生じることで、電池特性の劣化を引き起こす虞がある。
【0011】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の主たる目的は、固体電池積層体内部への水分の侵入がより低減された固体電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明者は、従来技術の延長線上で対応するのではなく、新たな方向で対処することによって上記課題の解決を試みた。その結果、上記主たる目的が達成された固体電池の発明に至った。
【0013】
本発明では、固体電池が提供される。かかる固体電池は、正極層、負極層、および正極層と負極層との間に介在する固体電解質層を備える固体電池積層体を有して成り、固体電池積層体の対向する側面にそれぞれ設けられた正極端子および負極端子の外部端子を備え、正極端子全体および負極端子全体が2つの金属層でそれぞれ覆われており、2つの金属層が、断面視において、固体電池積層体の側面のうち少なくとも3つの側面に及ぶようにそれぞれ延在しており、一方の金属層が他方の金属層の少なくとも一部にオーバーラップしており、2つの金属層間に樹脂層が介在している。
【0014】
また、本発明では、固体電池の製造方法も提供される。かかる固体電池の製造方法の一実施形態は、蒸着法またはスパッタリング法によって外部端子全体を覆うように、また断面視にて固体電池積層体の側面のうち少なくとも3つの側面に及ぶように金属層を形成する工程、ウェット工法によって金属層を覆うように樹脂層を形成する工程、および金属層に外部電極接続部分を形成するように樹脂層の一部を剥離する工程を含んで成る。
【0015】
かかる固体電池の製造方法の別の実施形態は、金属層および樹脂層を含んで成るラミネートフィルムから樹脂層の一部を剥離して金属層の一部を露出させる工程、金属層の露出した部分が内側となるようにラミネートフィルムを屈曲形状に形成する工程、ラミネートフィルムの屈曲形状の内側に、固体電池の外部端子と金属層の露出した部分とが接触するように固体電池を挿入し、それらを接合および密着させるようにプレスする工程、ならびに、金属層に外部電極接続部分を形成するように金属層を覆う樹脂層の一部を剥離する工程を含んで成る。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る固体電池は、固体電池積層体内部への水分の侵入をより低減することができる。よって、電池性能の劣化をより好適に防止する固体電池となっている。
【0017】
より具体的には、本発明の固体電池では、外部端子全体が金属層で覆われており、当該金属層が、断面視において、固体電池積層体の側面のうち少なくとも3つの側面に及ぶように延在していることで、かかる外部端子側から固体電池積層体内部に水分が侵入する経路をより長くすることできる。それによって、固体電池内部への水分の侵入をより低減し、電極層における望ましくない副反応の発生を低減することができる。したがって、固体電池の電池性能の劣化をより好適に防止することが可能となり、固体電池の長期信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明に係る固体電池において正極端子および負極端子が2つの金属層でそれぞれ覆われている実施形態を模式的に示した断面図である。
【図2】図2は、本発明に係る固体電池において外部電極が形成されている実施形態を模式的に示した断面図である。
【図3】図3Aおよび図3Bは、本発明に係る固体電池において外部端子の面積に対する外部電極接続部分の面積の比がそれぞれ異なる実施形態を模式的に示した断面図である。
【図4】図4は、本発明に係る固体電池積層体の電極積層方向に法線を有する側面側に外部電極接続部分を有する実施形態を模式的に示した断面図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に係る固体電池の製造方法を模式的に示した断面図である。
【図6】図6は、本発明のに係る固体電池においてラミネート工法によって製造された外部端子が設けられている側面に跨がるように金属層が延在している実施形態を模式的に示した断面図である。
【図7】図7は、本発明に係る固体電池においてラミネート工法によって製造された外部端子が設けられていない側面に跨がるように金属層が延在している実施形態を模式的に示した断面図である。
【図8】図8は、本発明に係る固体電池において外部電極が基板端子と一体となって接続される実施形態を模式的に示した断面図である。
【図9】図9は、従来の固体電池を模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の「固体電池」を詳細に説明する。必要に応じて図面を参照して説明を行うものの、図示する内容は、本発明の理解のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観や寸法比などは実物と異なり得る。
【0020】
本発明でいう「固体電池」とは、広義にはその構成要素が固体から構成されている電池を指し、狭義にはその構成要素(特に好ましくは全ての構成要素)が固体から構成されている全固体電池を指す。ある好適な態様では、本発明における固体電池は、電池構成単位を成す各層が互いに積層するように構成された積層型固体電池であり、好ましくはそのような各層が焼結体から成っている。なお、「固体電池」は、充電および放電の繰り返しが可能な、いわゆる「二次電池」のみならず、放電のみが可能な「一次電池」をも包含する。本発明のある好適な態様では「固体電池」は二次電池である。「二次電池」は、その名称に過度に拘泥されるものではなく、例えば、「蓄電デバイス」なども包含し得る。
【0021】
本明細書でいう「断面視」とは、固体電池を構成する電極層の積層方向に基づく厚み方向と電極層が外部端子と接して延在する長手方向とが構成する面に沿った断面の形態に基づいている。端的にいえば、図1などに示される固体電池の断面の形態に基づいている。
【0022】
[固体電池の基本的構成]
固体電池は、正極層、負極層、およびそれらの間に介在する固体電解質層から成る電池構成単位を積層方向に沿って少なくとも1つ備える固体電池積層体を有して成る。
【0023】
固体電池は、それを構成する各層が焼成によって形成されるところ、正極層、負極層および固体電解質層などが焼結層を成している。好ましくは、正極層、負極層および固体電解質は、それぞれが互いに一体焼成されており、それゆえ電池構成単位が一体焼結体を成している。
【0024】
正極層は、少なくとも正極活物質を含んで成る電極層である。正極層は、更に固体電解質および/または正極集電層を含んで成っていてよい。ある好適な態様では、正極層は、正極活物質と固体電解質粒子と正極集電層とを少なくとも含む焼結体から構成されている。一方、負極層は、少なくとも負極活物質を含んで成る電極層である。負極層は、更に固体電解質および/または負極集電層を含んで成っていてよい。ある好適な態様では、負極層は、負極活物質と固体電解質粒子と負極集電層とを少なくとも含む焼結体から構成されている。
【0025】
正極活物質および負極活物質は、固体電池において電子の受け渡しに関与する物質である。固体電解質を介した正極層と負極層との間におけるイオンの移動(伝導)と、外部回路を介した正極層と負極層との間における電子の受け渡しが行われることで充放電がなされる。正極層および負極層は特にリチウムイオンを吸蔵放出可能な層であることが好ましい。つまり、固体電解質を介してリチウムイオンが正極層と負極層との間で移動して電池の充放電が行われる全固体型二次電池であることが好ましい。
【0026】
(正極活物質)
正極層に含まれる正極活物質としては、例えば、リチウム含有化合物である。リチウム化合物の種類は、特に限定されないが、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物およびリチウム遷移金属リン酸化合物である。リチウム遷移金属複合酸化物は、リチウムと1種類または2種類以上の遷移金属元素とを構成元素として含む酸化物の総称であると共に、リチウム遷移金属リン酸化合物は、リチウムと1種類または2種類以上の遷移金属元素とを構成元素として含むリン酸化合物の総称である。遷移金属元素の種類は、特に限定されないが、例えば、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)および鉄(Fe)などである。
【0027】
リチウム遷移金属複合酸化物は、例えば、LiM1OおよびLiM2Oのそれぞれで表される化合物などである。リチウム遷移金属リン酸化合物は、例えば、LiM3POで表される化合物などである。ただし、M1、M2およびM3のそれぞれは、1種類または2種類以上の遷移金属元素である。x、yおよびzのそれぞれの値は、任意である。
【0028】
具体的には、リチウム遷移金属複合酸化物は、例えば、LiCoO、LiNiO、LiVO、LiCrOおよびLiMnなどである。また、リチウム遷移金属リン酸化合物は、例えば、LiFePOおよびLiCoPOなどである。
【0029】
(負極活物質)
負極層に含まれる負極活物質としては、例えば、炭素材料、金属系材料、リチウム合金およびリチウム含有化合物などである。
【0030】
具体的には、炭素材料は、例えば、黒鉛、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)および高配向性グラファイト(HOPG)などである。
【0031】
金属系材料は、リチウムと合金を形成可能である金属元素および半金属元素のうちのいずれか1種類または2種類以上を構成元素として含む材料の総称である。この金属系材料は、単体でもよいし、合金でもよいし、化合物でもよい。ここで説明する単体の純度は、必ずしも100%に限られないため、その単体は、微量の不純物を含んでいてもよい。
【0032】
金属元素および半金族元素は、例えば、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、パラジウム(Pd)および白金(Pt)などである。
【0033】
具体的には、金属系材料は、例えば、Si、Sn、SiB、TiSi、SiC、Si、SiO(0<v≦2)、LiSiO、SnO(0<w≦2)、SnSiO、LiSnOおよびMgSnなどである。
【0034】
リチウム含有化合物は、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物などである。リチウム遷移金属複合酸化物に関する定義は、上記した通りである。具体的には、リチウム遷移金属複酸化物は、例えば、Li(PO3、LiFe(PO3、LiTi12等である。
【0035】
なお、正極層および/または負極層は、電子伝導性材料を含んでいてもよい。正極層および/または負極層に含まれる電子伝導性材料としては、例えば、炭素材料および金属材料などである。具体的には、炭素材料は、例えば、黒鉛およびカーボンナノチューブなどである。金属材料は、例えば、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)およびパラジウム(Pd)などであり、それらの2種類以上の合金でもよい。
【0036】
また、正極層および/または負極層は、結着剤を含んでいてもよい。結着剤としては、例えば、合成ゴムおよび高分子材料などのうちのいずれか1種類または2種類以上である。具体的には、合成ゴムは、例えば、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴムおよびエチレンプロピレンジエンなどである。高分子材料は、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミドおよびアクリル樹脂から成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。
【0037】
さらに、正極層および/または負極層は、焼結助剤を含んでいてもよい。焼結助剤としては、リチウム酸化物、ナトリウム酸化物、カリウム酸化物、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化ビスマスおよび酸化リンから成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。
【0038】
正極層および負極層の厚みは特に限定されず、例えば、それぞれ独立して、2μm以上100μm以下、特に5μm以上50μm以下であってもよい。
【0039】
(固体電解質)
固体電解質は、リチウムイオンが伝導可能な材質である。特に固体電池で電池構成単位を成す固体電解質は、正極層と負極層との間においてリチウムイオンが伝導可能な層を成している。なお、固体電解質は、正極層と負極層との間に少なくとも設けられていればよい。つまり、固体電解質は、正極層と負極層との間からはみ出すように当該正極層および/または負極層の周囲においても存在していてもよい。具体的な固体電解質としては、例えば、結晶性固体電解質およびガラスセラミックス系固体電解質などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
【0040】
結晶性固体電解質は、結晶性の電解質である。具体的には、結晶性固体電解質は、例えば、無機材料および高分子材料などであり、その無機材料は、例えば、硫化物および酸化物などである。硫化物は、例えば、LiS−P、LiS−SiS−LiPO、Li11、Li3.25Ge0.250.75SおよびLi10GeP12などである。酸化物は、例えば、Li(PO(1≦x≦2、1≦y≦2、Mは、Ti、Ge、Al、GaおよびZrから成る群より選ばれた少なくとも一種)、LiLaZr12、Li6.75LaZr1.75Nb0.2512、LiBaLaTa12、Li1+xAlTi2−x(PO、La2/3Li3xTiO、Li1.2Al0.2Ti1.8(PO3、La0.55Li0.35TiOおよびLiLaZr12等である。高分子材料は、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)などである。
【0041】
ガラスセラミックス系固体電解質は、アモルファスと結晶とが混在した状態の電解質である。このガラスセラミックス系固体電解質は、例えば、リチウム(Li)、ケイ素(Si)およびホウ素(B)を構成元素として含む酸化物などであり、より具体的には、酸化リチウム(LiO)、酸化ケイ素(SiO)および酸化ホウ素(B)などを含んでいる。酸化リチウム、酸化ケイ素および酸化ホウ素の総含有量に対する酸化リチウムの含有量の割合は、特に限定されないが、例えば、40mol%以上73mol%以下である。酸化リチウム、酸化ケイ素および酸化ホウ素の総含有量に対する酸化ケイ素の含有量の割合は、特に限定されないが、例えば、8mol%以上40mol%以下である。酸化リチウム、酸化ケイ素および酸化ホウ素の総含有量に対する酸化ホウ素の含有量の割合は、特に限定されないが、例えば、10mol%以上50mol%以下である。酸化リチウム、酸化ケイ素および酸化ホウ素のそれぞれの含有量を測定するためには、例えば、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES)などを用いてガラスセラミックス系固体電解質を分析する。
【0042】
固体電解質層は、結着剤および/または焼結助剤を含んでいてもよい。固体電解質層に含まれる結着剤および/または焼結助剤は、例えば、正極層および/または負極層に含まれ得る結着剤および/または焼結助剤と同様の材料から選択されてもよい。
【0043】
固体電解質層の厚みは特に限定されず、例えば、1μm以上15μm以下、特に1μm以上5μm以下であってもよい。
【0044】
(正極集電層/負極集電層)
正極集電層を構成する正極集電材および負極集電層を構成する負極集電材としては、導電率が大きい材料を用いるのが好ましく、例えば、炭素材料、銀、パラジウム、金、プラチナ、アルミニウム、銅およびニッケルから成る群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。正極集電層および負極集電層はそれぞれ、外部と電気的に接続するための電気的接続部を有し、端子と電気的に接続可能に構成されていてもよい。正極集電層および負極集電層はそれぞれ箔の形態を有していてもよいが、一体焼結による電子伝導性向上および製造コスト低減の観点から、一体焼結の形態を有することが好ましい。なお、正極集電層および負極集電層が焼結体の形態を有する場合、例えば、電子伝導性材料、結着剤および/または焼結助剤を含む焼結体より構成されてもよい。正極集電層および負極集電層に含まれる電子伝導性材料は、例えば、正極層および/または負極層に含まれ得る電子伝導性材料と同様の材料から選択されてもよい。正極集電層および負極集電層に含まれる結着剤および/または焼結助剤は、例えば、正極層および/または負極層に含まれ得る結着剤および/または焼結助剤と同様の材料から選択されてもよい。
【0045】
正極集電層および負極集電層の厚みは特に限定されず、例えば、それぞれ独立して、1μm以上10μm以下、特に1μm以上5μm以下であってもよい。
【0046】
(無機層)
無機層は無機材から成り、絶縁性を有する層である。特に限定されるものではないが、かかる無機層は、例えばガラス材、セラミック材などから構成されてもよい。かかる無機層として、例えばガラス材が選択されてよい。特に限定されるものではないが、ガラス材は、ソーダ石灰ガラス、カリガラス、ホウ酸塩系ガラス、ホウケイ酸塩系ガラス、ホウケイ酸バリウム系ガラス、ホウ酸亜塩系ガラス、ホウ酸バリウム系ガラス、ホウケイ酸ビスマス塩系ガラス、ホウ酸ビスマス亜鉛系ガラス、ビスマスケイ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、アルミノリン酸塩系ガラス、および、リン酸亜塩系ガラスからなる群より選択される少なくとも一種を挙げることができる。また、特に限定されるものではないが、セラミック材は、酸化アルミニウム(Al)、窒化ホウ素(BN)、二酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(Si)、酸化ジルコニウム(ZrO)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化ケイ素(SiC)およびチタン酸バリウム(BaTiO)からなる群より選択される少なくとも一種を挙げることができる。
【0047】
(金属層)
金属層は金属材から成り、水分および/またはガスなどに対して実質的に透過性を有さない層を指す。具体的には、水蒸気透過度が10−3g/m/day以下の層を指す。あくまでも例示にすぎないが、かかる金属層は、例えば、チタン、スズ、金、白金、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、ニッケルおよびニッケルメッキ鋼板ならびにそれらの合金から成る群から選択される少なくとも1種を含んで成っていてよい。なお、ステンレス鋼とは、「JIS G 0203 鉄鋼用語」に規定されている通り、クロムまたはクロムとニッケルとを含有させた合金鋼で、一般にはクロム含有量が全体の約10.5%以上の鋼をいう。そのようなステンレス鋼としては、マルテンサイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼及び析出硬化系ステンレス鋼が挙げられる。
【0048】
(樹脂層)
樹脂層は樹脂材から成り、少なくとも絶縁性を有する層である。換言すれば、絶縁性樹脂から成る層である。樹脂層は、クッション性および水蒸気バリア性などをさらに有することが好ましい。樹脂層は、固体電池における電極間の絶縁、および/または固体電池外部との絶縁を確保するために用いられるが、他の効果を奏するものであってよい。例えば、樹脂層が固体電池の最外側を覆う場合、物理的および/または化学的に固体電池を保護する保護層として用いてもよい。また、樹脂層が金属層の内側に配置される場合、かかる金属層の下地としての平滑面を供してもよい。特に限定されるものではないが、かかる樹脂層は、例えば、アクリル、エポキシ、ナイロン、ポリイミド、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステルおよび液晶ポリマーから成る群から選択される少なくとも1種を含んでいてよい。
【0049】
(外部端子)
固体電池には、一般に外部端子が設けられている。特に、固体電池の側面に正負極の端子が対を成すように設けられている。より具体的には、正極層と接続された正極側の端子と、負極層と接続された負極側の端子とが対を成すように設けられている。外部端子は、導電率が大きい材料を用いることが好ましい。外部端子の材質としては、特に制限するわけではないが、銀、金、プラチナ、アルミニウム、銅、スズ、ニッケルおよびステンレス鋼から成る群から選択される少なくとも一種を挙げることができる。
【0050】
(外部電極)
外部電極は、固体電池の外部端子と導通するように形成され得るもので、外部と電流をやりとりするための導体である。外部電極は外部端子と導通していれば、いずれの形態で形成されてよい。固体電池積層体への水分の侵入をより防止する観点から、外部電極は、金属層を介して外部端子と導通されていることが好ましい。外部電極は、導電率が大きい材料を用いることが好ましい。外部電極の材質としては、外部端子と同様のものを用いてもよい。
【0051】
[本発明の固体電池の特徴]
本発明の固体電池は、正極層、負極層、および正極層と負極層との間に介在する固体電解質層を備える固体電池積層体を有して成り、固体電池積層体の対向する側面にそれぞれ設けられた正極端子および負極端子の外部端子を備える固体電池であるところ、外部端子を覆う金属層の形状の点で特徴を有する。
【0052】
より具体的には、正極端子全体および負極端子全体が2つの金属層でそれぞれ覆われており、かかる2つの金属層が、断面視において、固体電池積層体の側面のうち少なくとも3つの側面に及ぶようにそれぞれ延在している。また、一方の金属層が他方の金属層の少なくとも一部にオーバーラップしており、2つの金属層間に樹脂層が介在している。そのような構成とすることで、金属層で覆われた外部端子側から固体電池積層体内部へと水分が侵入する経路をより長くすることできる。したがって、固体電池内部への水分の侵入をより低減することができる。
【0053】
ここで「断面視」とは、固体電池において、電極層が外部端子と接して延在する方向(すなわち、長手方向)と電極積層方向(すなわち、厚み方向)とが構成する面に沿った断面の形態を指す。一例として、「固体電池積層体の側面」は、断面視において、外部端子が設けられた固体電池積層体の対向する2つの側面と、電極積層方向に法線を有する対向する2つの側面とから成り、それら4つの側面のうち少なくとも3つの側面に及ぶように金属層が延在している。
【0054】
換言すれば、固体電池の断面視において、外部端子が略コの字状の金属層で覆われている。ここで、「略コの字状」とは、固体電池において、長手方向と厚み方向とが構成する面に沿った断面の形状が、略コの字状であることを指す。
【0055】
図1に示す例示態様でいえば、固体電池積層体500’の断面視において、正極層10A、固体電解質層20、負極層10Bがこの順に設けられている。固体電池積層体500’には、その対向する2つの側面(つまり、正極側側面500’Aおよび負極側側面500’B)に接するように正極端子30Aと負極端子30Bとが設けられている。正極層10Aおよび負極層10Bは、正極側側面500’Aおよび負極側側面500’Bにてそれぞれ終端するように延在している。ここで、正極層10Aおよび負極層10Bはそれぞれ、正極端子30Aおよび負極端子30Bと電気的に接続されている。
【0056】
正極端子30Aおよび負極端子30Bは、金属層100Aおよび100Bにそれぞれ覆われている。金属層100Aおよび100Bは、固体電池積層体500’の4つの側面(すなわち、正極側側面500’A、負極側側面500’Bならびに電極積層方向に法線を有する側面500’Cおよび500’D)のうち、3つの側面に及ぶようにそれぞれ延在している。より具体的には、金属層100Aは、正極側側面500’Aならびに電極積層方向に法線を有する側面500’Cおよび500’Dに及ぶように延在している。また、金属層100Bは、負極側側面500’Bならびに電極積層方向に法線を有する側面500’Cおよび500’Dに及ぶように延在している。ここで、金属層100Bは金属層100Aの一部にオーバーラップしており、金属層100Aおよび100Bの間に樹脂層40Aが介在している。
【0057】
本実施形態において、水分は金属層100Aおよび100Bを介して固体電池積層体500’内部に侵入し得ない。すなわち、金属層100Aおよび100Bで覆われた正極側側面500’Aおよび負極側側面500’Bから固体電池積層体500’内部へと水分は侵入し得ず、水分侵入経路を長くすることができる。
【0058】
より具体的には、水分は金属層100Aおよび100Bを介して固体電池積層体500’内部に侵入し得ないため、それ以外の構成部分(例えば、樹脂層40、40Aおよび/または40B)を介して侵入する。ここで、図1における正極側に着目すると、水分は金属層100A以外の構成部分である樹脂層40、40Aおよび/または40Bを介して侵入し得るが、かかる構成部分における外部に接する位置と固体電池積層体に接する位置との距離(すなわち、水分侵入経路)が長くなっている。また、かかる構成部分が水蒸気バリア性を有する場合、水分子はかかる構成部分に対して移動抵抗を有し、実質的な水分侵入経路がより長くなる。
【0059】
それによって、水分の侵入に起因する電極層における望ましくない副反応の発生を低減することができる。したがって、固体電池の電池性能の劣化をより好適に防止することが可能となり、固体電池の長期信頼性をより向上させることができる。
【0060】
さらに、上述したような構成において、金属層100Aおよび100Bの間に樹脂層40Aが介在していることで、金属層100Aおよび100Bが正極端子30Aおよび負極端子30Bとそれぞれ導通している場合、短絡することを防止することができる。
【0061】
2つの金属層は、外部端子(すなわち、正極端子30Aおよび負極端子30B)が設けられている側面(すなわち、正極側側面500’Aおよび負極側側面500’B)に跨がるようにそれぞれ延在していてよい(図1参照)。または、外部端子が設けられていない側面(すなわち、電極積層方向に法線を有する側面500’Cおよび500’D)に跨がるようにそれぞれ延在していてもよい(図7参照)。固体電池積層体内部への水分侵入経路をより長くする観点から、2つの金属層はそれぞれ、外部端子が設けられている側面に跨がるように延在していることが好ましい。
【0062】
外部端子が設けられている側面に跨がるように2つの金属層がそれぞれ延在している実施形態において、一方の外部端子(例えば、正極端子30A)を覆う金属層(例えば、金属層100A)は、他方の外部端子(例えば、負極端子30B)に接触しないようにその付近まで延在していることが好ましい(図1参照)。具体的には、固体電池積層体の長手方向寸法L2に対する金属層の長手方向寸法L1の比(L1/L2)が0.5以上0.8以下となっていることが好ましい。ここで、金属層100Aおよび100Bの双方において、かかる比が0.5以上0.8以下となっていることがさらに好ましい。かかる比が0.5以上であることで、固体電池積層体内部への水分侵入経路をより長くすることができる。また、かかる比が0.8以下であることで、固体電池の電極間の接触による短絡を特に防止することができる。
【0063】
本発明に係る固体電池500において、実質的に水分侵入経路の距離を決める構成部分は、2つの金属層100Aおよび100B間に介在する樹脂層40Aとなり得る(図1参照)。樹脂層40Aを介する水分侵入経路をより長くするために、金属層100Aと100Bとがオーバーラップしている部分の長手方向寸法を大きくすることが好ましい。ここで、金属層100Aと100Bとがオーバーラップしている部分の長手方向寸法は2mm以上であることが好ましく、例えば10mm以上である。
【0064】
一実施形態では、金属層の少なくとも一部が樹脂層で覆われている。図1に示す例示態様でいえば、金属層100Aおよび100Bは、樹脂層40Aおよび40Bにそれぞれ覆われている。樹脂層は絶縁性を有するため、金属層を覆うことで電極間の接触による短絡を特に防止し得る。さらに、樹脂層がクッション性および耐薬品性などを有する場合、固体電池を物理的/化学的に保護する保護層として機能し得る。
【0065】
一実施形態では、金属層が外部端子と接している。図2に示す例示態様でいえば、金属層100Aおよび金属層100Bはそれぞれ、正極端子30Aおよび負極端子30Bと接している。金属層100Aおよび金属層100Bはそれぞれ、直接的に正極端子30Aおよび負極端子30Bと接していてよい。固体電池積層体500’が樹脂層40に覆われている場合、金属層100Aおよび金属層100Bはそれぞれ、樹脂層40に設けられた間隙を介して正極端子30Aおよび負極端子30Bと接していてもよい。
【0066】
上述の実施形態において、金属層100は外部電極接続部分110を有している。外部電極接続部分110は、金属層100が外部に露出した部分であってよく、金属層100と一体化した金属材から成る部分であってもよい。外部電極接続部分110は、金属層100が延在している範囲であれば、いずれの箇所に設けてよい。金属層100は導電性を有するため、外部端子30と接することで導通し、さらに外部電極接続部分110において外部電極300と接することで電極取出部として用いることができる。
【0067】
金属層が樹脂層で覆われている一実施形態において、金属層の一部が樹脂層から露出しており、当該露出した部分が外部電極接続部分を成している。図2に示す例示態様でいえば、金属層100Aの一部が、樹脂層40Aから露出して正極側外部電極接続部分110Aを成しており、および金属層100Bの一部が、樹脂層40Bから露出して負極側外部電極接続部分110Bを成している。そのような構成とすることで、樹脂層により金属層における損傷および短絡などの発生を防止しつつ、所望のサイズおよび位置で外部電極300を取り出すことができる。
【0068】
一実施形態では、外部端子30の面積S2に対する外部電極接続部分110の面積S1の比(S1/S2)は、0.1以上1.0以下となっている(図3Aおよび図3B参照)。ここで「面積」とは、外部端子と外部電極接続部分とが接触する面と同一面における、外部端子または外部電極接続部分の面積を指す。かかる面積比が0.1以上であると、幅方向における電極層の電子の流れをより均一にすることができる。また、かかる面積比が1.0以下であると、電極取出部のサイズを抑えることができ、よりコンパクトに固体電池を実装することができる。好ましくは、かかる面積比は0.3以上0.8以下である。
【0069】
一実施形態では、固体電池が、固体電池積層体の電極積層方向に法線を有する側面側に外部電極接続部分110を有している(図4参照)。固体電池を基板に表面実装する場合、一般に固体電池積層体の電極積層方向に法線を有する側面側が、基板と対向する側となり得る。上述するような構成とすることで、固体電池積層体の電極積層方向に法線を有する側面側を実装面側とすることができ、よりコンパクトに固体電池を実装することができる。
【0070】
本明細書の固体電池における構造は、イオンミリング装置(日立ハイテク社製 型番IM4000PLUS)によって断面視方向断面を切り出し、走査電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテク社製 型番SU−8040)を用いて取得した画像から観察するものであってよい。また、本明細書でいう、金属層における終端している側面側の長手方向寸法L1および固体電池積層体の長手方向寸法L2、2つの金属層がオーバーラップしている部分の長手方向寸法、ならびに外部電極接続部分の面積S1および外部端子の面積S2は、上述した方法により取得した画像から測定した寸法を指すものであってもよい。
【0071】
本発明に係る固体電池は、固体電池積層体を構成する各層が積層して成る積層型固体電池であり、スクリーン印刷法等の印刷法、グリーンシートを用いるグリーンシート法、またはそれらの複合法により製造することができる。それゆえ、固体電池積層体を構成する各層は焼結体から成っている。好ましくは、正極層、負極層および固体電解質層のそれぞれが互いに一体焼結されている。つまり、固体電池積層体は、焼成一体化物を成しているといえる。かかる固体電池積層体に導電性接着剤などを用いて外部端子を接着することができる。そのような固体電池の断面視において、外部端子を覆うように、また固体電池積層体の側面のうち少なくとも3つの側面に及ぶように金属層を蒸着法またはラミネート工法などで形成する。
【0072】
[固体電池の製造方法]
本発明の固体電池は、上述したように、固体電池積層体についてスクリーン印刷法等の印刷法、グリーンシートを用いるグリーンシート法、またはそれらの複合法により製造することができる。また、固体電池積層体および外部端子を覆う金属層などを蒸着法またはラミネート工法などで形成することができる。以下、本発明の理解のために本発明に係る固体電池を製造する実施形態について詳述するが、本発明は当該方法に限定されない。
【0073】
(固体電池積層前駆体の形成工程)
本工程では、正極層用ペースト、負極層用ペースト、固体電解質層用ペースト、集電層用ペースト、無機層用ペーストなどの数種類のペーストをインクとして用いる。つまり、ペーストを印刷法で塗布することを通じて支持基体上に所定構造のペーストを形成する。
【0074】
印刷に際しては、所定の厚みおよびパターン形状で印刷層を順次、積層することによって、所定の固体電池の構造に対応する固体電池積層前駆体を基体上に形成することができる。パターン形成方法の種類は、所定のパターンを形成可能な方法であれば、特に限定されないが、例えば、スクリーン印刷法およびグラビア印刷法などのうちのいずれか1種類または2種類以上である。
【0075】
ペーストは、正極活物質、負極活物質、電子伝導性材料、固体電解質材料、集電層材料、無機材、結着剤および焼結助剤から成る群から適宜選択される各層の所定の構成材料と、有機材料を溶媒に溶解した有機ビヒクルとを湿式混合することによって作製することができる。正極層用ペーストは、例えば、正極活物質、電子伝導性材料、固体電解質材料、結着剤、焼結助剤、有機材料および溶媒を含む。負極層用ペーストは、例えば、負極活物質、電子伝導性材料、固体電解質材料、結着剤、焼結助剤、有機材料および溶媒を含む。固体電解質層用ペーストは、例えば、固体電解質材料、結着剤、焼結助剤、有機材料および溶媒を含む。正極集電層用ペーストおよび負極集電層用ペーストは、電子伝導性材料、結着剤、焼結助剤、有機材料および溶媒を含む。無機層用ペーストは、例えば無機材、結着剤、有機材料および溶媒を含む。
【0076】
ペーストに含まれる有機材料は特に限定されないが、ポリビニルアセタール樹脂、セルロース樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂およびポリビニルアルコール樹脂などから成る群から選択される少なくとも1種の高分子材料を用いることができる。溶媒の種類は、特に限定されないが、例えば、酢酸ブチル、N−メチル−ピロリドン、トルエン、テルピネオールおよびN−メチル−ピロリドン等の有機溶媒のうちのいずれか1種類または2種類以上である。
【0077】
湿式混合ではメディアを用いることができ、具体的には、ボールミル法またはビスコミル法等を用いることができる。一方、メディアを用いない湿式混合方法を用いてもよく、サンドミル法、高圧ホモジナイザー法またはニーダー分散法等を用いることができる。
【0078】
支持基体は、各ペースト層を支持可能な支持体であれば、特に限定されないが、例えば、一面に離型処理が施された離型フィルムなどである。具体的には、ポリエチレンテレフタレート等の高分子材料から成る基体を用いることができる。各ペースト層を基体上に保持したまま焼成工程に供する場合には、基体は焼成温度に対して耐熱性を呈するものを使用してよい。
【0079】
印刷に際しては、所定の厚みおよびパターン形状で印刷層を順次、積層することによって、所定の固体電池の構造に対応する未焼成積層体を基材上に形成することができる。各印刷層の形成に際しては、乾燥処理が行われる。乾燥処理では、未焼成積層体から溶剤が蒸発することになる。未焼成積層体を形成した後、未焼成積層体を基材から剥離して、焼成工程に供してもよいし、あるいは、未焼成積層体を支持基材上に保持したまま焼成工程に供してもよい。
【0080】
(焼成工程)
焼成工程では、固体電池積層前駆体を焼成に付す。あくまでも例示にすぎないが、焼成は、酸素ガスを含む窒素ガス雰囲気中または大気中で、例えば500℃にて有機材料を除去した後、窒素ガス雰囲気中または大気中で例えば550℃以上5000℃以下で加熱することで実施する。焼成は、積層方向(場合によっては積層方向および当該積層方向に対する垂直方向)で固体電池積層前駆体を加圧しながら行ってよい。
【0081】
そのような焼成を経ることによって、固体電池積層体が形成される。
【0082】
(外部端子の形成工程)
外部端子は、導電性接着剤などを用いて固体電池積層体に正極端子を接着させるとともに、導電性接着剤などを用いて固体電池積層体に負極端子を接着させる。これにより、正極端子および負極端子のそれぞれが固体電池積層体に取り付けられることで固体電池が形成される。
【0083】
[本発明における特徴部分の作製について]
本発明の固体電池における金属層は、外部端子を覆い、断面視において、固体電池積層体の側面のうち少なくとも3つの側面に及ぶように延在しているものであれば、いずれの方法で形成されてもよい。一例として、金属層を形成する部分以外をマスキングして金属材を蒸着させて形成してもよい。また、屈曲形状に形成された金属層を含むラミネートフィルムに固体電池積層体を挿入することで形成してもよい。
【0084】
以下、蒸着法およびラミネート工法による固体電池の製造方法(特に、金属層および樹脂層の形成方法)を具体的に説明する。
【0085】
(蒸着法による固体電池の製造方法)
最初に、固体電池積層体を樹脂(例えば、ポリイミド)にディップさせることで、正極端子30Aおよび負極端子30Bのそれぞれの少なくとも一部以外の固体電池表面に樹脂層40を形成する(図1参照)。次いで、固体電池積層体の所望の位置をマスキングして、真空蒸着によって金属材(例えば、アルミニウム)を蒸着させることで正極端子30Aを覆うように金属層100Aを形成する。この際、金属層100Aが負極端子30Bに接触しないように、その付近まで延在するように形成する(例えば、固体電池積層体500’の長手方向寸法L2に対する金属層100Aにおける終端している面側の長手方向寸法L1の比が0.5以上0.8以下となるように形成する)。また、金属層100Aを樹脂にディップさせることで、金属層100Aを覆うように樹脂層40Aを形成する。最後に、樹脂層40Aの所望の位置にレーザーを照射することによって、金属層100Aを露出させ、外部電極接続部分110Aを形成する。
【0086】
正極側と同様に、固体電池積層体の所望の位置をマスキングして、真空蒸着によって金属材を蒸着させることで負極端子30Bを覆うように金属層100Bを形成する。この際、金属層100Bが正極端子30Aに接触しないように、その付近まで延在するように形成する(例えば、固体電池積層体500’の長手方向寸法L2に対する金属層100Bにおける終端している側面側の長手方向寸法の比が0.5以上0.8以下となるように形成する)。また、金属層100Bを樹脂にディップさせることで、金属層100Bを覆うように樹脂層40Bを形成する。最後に、樹脂層40Bの所望の位置にレーザーを照射することによって、金属層100Bを露出させ、外部電極接続部分110Bを形成する。
【0087】
上述した金属層はスパッタリング法などの他の真空プロセスによって形成してもよい。また、樹脂層はスプレー塗布などの他のウェット工法で形成してもよい。
【0088】
(ラミネート工法による固体電池の製造方法)
最初に、樹脂層40A/金属層100A/樹脂層40の順にラミネートされたラミネートフィルム200Aを準備し、樹脂層40の所望の位置を剥離して金属層100Aを露出させる(図5参照)。その後、樹脂層40が内側に位置するように、ラミネートフィルム200Aを屈曲形状(例えば、略コの字状)に形成する。この際、ラミネートフィルム200Aにおける屈曲形状の内縁が、固体電池積層体の3つの側面の外縁に嵌合し得るように、また金属層100Aの露出した部分が当該屈曲形状の内側となるように形成する。次いで、ラミネートフィルム200Aの屈曲形状の内側に、固体電池積層体500’に取り付けた正極端子30Aと金属層100Aの露出した部分とが接触するように固体電池積層体を挿入し、それらを接合および密着させるようにプレスする。また、樹脂層40Aの所望の位置にレーザーを照射することによって、金属層100Aを露出させ、外部電極接続部分110Aを形成する。
【0089】
正極側と同様に、樹脂層/金属層/樹脂層の順にラミネートされたラミネートフィルムを準備し、樹脂層の所望の位置を剥離して金属層を露出させる(図示なし)。その後、いずれかの樹脂層が内側に位置するように、ラミネートフィルムを屈曲形状に形成する。この際、かかるラミネートフィルムにおける屈曲形状の内縁が、固体電池積層体の3つの側面およびラミネートフィルム200Aの外縁に嵌合し得るように、また金属層の露出した部分が当該屈曲形状の内側となるように形成する。次いで、ラミネートフィルムの屈曲形状の内側に、固体電池積層体に取り付けた負極端子と金属層の露出した部分とが接触するように固体電池を挿入し、それらを接合および密着させるようにプレスする。また、樹脂層の所望の位置にレーザーを照射することによって、金属層を露出させ、外部電極接続部分を形成する。
【0090】
上述のラミネート工法において、金属層100は、外部端子30が設けられている側面に跨がるように形成してよい(図6参照)。または、外部端子30が設けられていない側面に跨がるように形成してもよい(図7参照)。
【0091】
上述のような蒸着法またはラミネート工法により、断面視において、金属層が外部端子を覆い、固体電池積層体の側面のうち少なくとも3つの側面に及ぶように延在している固体電池が形成される。
【0092】
(外部電極の形成工程)
外部電極300は、導電性ペースト(例えば、銀を含んで成る樹脂ペースト)をウェット工法によって外部電極接続部分110に塗布した後、硬化することで形成してよい(図2参照)。また、外部電極300を有する端子(例えば、基板端子400)に接続してもよい(図8参照)。
【0093】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、あくまでも典型例を例示したに過ぎない。従って、本発明はこれに限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲において種々の態様が考えられることを当業者は容易に理解されよう。
【0094】
例えば、上記した説明においては、例えば図1などで例示される固体電池を中心にして説明したが、本発明は必ずしもこれに限定されない。本発明では正極層、負極層、固体電解質層を備える固体電池積層体を有し、固体電池積層体の対向する側面にそれぞれ設けられた外部端子を備え、断面視において、金属層が外部端子を覆い、固体電池積層体の側面のうち少なくとも3つの側面に及ぶように延在しているものであれば、どのようなものであっても同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明の固体電池は、蓄電が想定される様々な分野に利用することができる。あくまでも例示にすぎないが、本発明の固体電池は、モバイル機器などが使用される電気・情報・通信分野(例えば、携帯電話、スマートフォン、ノートパソコンおよびデジタルカメラ、活動量計、アームコンピューター、電子ペーパーなどのモバイル機器分野)、家庭・小型産業用途(例えば、電動工具、ゴルフカート、家庭用・介護用・産業用ロボットの分野)、大型産業用途(例えば、フォークリフト、エレベーター、湾港クレーンの分野)、交通システム分野(例えば、ハイブリッド車、電気自動車、バス、電車、電動アシスト自転車、電動二輪車などの分野)、電力系統用途(例えば、各種発電、ロードコンディショナー、スマートグリッド、一般家庭設置型蓄電システムなどの分野)、医療用途(イヤホン補聴器などの医療用機器分野)、医薬用途(服用管理システムなどの分野)、ならびに、IoT分野、宇宙・深海用途(例えば、宇宙探査機、潜水調査船などの分野)などに利用することができる。
【符号の説明】
【0096】
10 電極層
10A 正極層
10B 負極層
20 固体電解質層
30 外部端子
30A 正極端子
30B 負極端子
40 樹脂層
40A 正極側樹脂層
40B 負極側樹脂層
100 金属層
100A 正極側金属層
100B 負極側金属層
110 外部電極接続部分
110A 正極側外部電極接続部分
110B 負極側外部電極接続部分
200 ラミネートフィルム
200A 正極側ラミネートフィルム
200B 負極側ラミネートフィルム
300 外部電極
400 基板端子
500’ 固体電池積層体
500’A 正極側側面
500’B 負極側側面
500’C 電極積層方向に法線を有する側面
500’D 電極積層方向に法線を有する側面
500 固体電池
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】