前記限界値は、前記上限と前記下限との差に等しい流量の前記水素が漏洩した場合でも前記収容部内の水素濃度を所定濃度未満に維持可能な前記換気風量である、請求項2に記載の燃料電池システム。
前記第1制御部と前記第2制御部の少なくともいずれかは、前記燃料電池システムの動作の変更として、前記燃料電池スタックの発電を停止させる、請求項7に記載の燃料電池システム。
前記第1制御部と前記第2制御部の少なくともいずれかは、前記燃料電池システムに関する情報として、前記燃料電池システムの安全性に関する警報を出力する、請求項7または8に記載の燃料電池システム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の燃料電池システムの構成を模式的に示すブロック図である。
【0010】
図1の燃料電池システムは、燃料電池スタック1と、電源装置2と、第1計測器の例である流量計3と、第2計測器の例である電流計4と、制御装置5と、換気ファン6と、第3計測器の例である風量検知部7と、収容部の例であるパッケージ8とを備えている。燃料電池スタック1は、アノード電極(燃料極)1aと、カソード電極(空気極)1bとを備えている。制御装置5は、第1設定部5aと、第2設定部5bと、第1制御部5cと、第2制御部5dとを備えている。本実施形態の燃料電池システムは、例えば純水素燃料電池システムである。
【0011】
燃料電池スタック1は、燃料ガスの供給源から燃料ガスとして水素を供給され、ブロワから空気を供給される。水素は、水素供給系を介してアノード電極1aに供給され、空気は、空気供給系を介してカソード電極1bに供給される。燃料電池スタック1は、水素を空気中の酸素と反応させて水を生成し、この反応により電気を発生させる。この電気は、直流電流として燃料電池スタック1から出力される。燃料電池スタック1は、アノード電極1aに供給された水素の残りをアノード排気として排出し、カソード電極1bに供給された空気の残りをカソード排気として排出する。例えば、アノード排気はアノード電極1aに再び供給され、カソード排気はパッケージ8の外部に排出される。
【0012】
電源装置2は、燃料電池スタック1のアノード電極1aおよびカソード電極1bに電流取り出し線により接続されており、燃料電池スタック1から電流取り出し線を介して直流電流を取り出す。
【0013】
流量計3は、水素供給系に設置されており、燃料電池スタック1に供給される水素の流量を計測する。本実施形態の流量計3は、燃料ガスの供給源とアノード電極1aとの間に設定されている。流量計3により計測された流量(以下「水素流量」とも呼ぶ)は、制御装置5に出力される。この水素流量は、水素計測値の一例である。
【0014】
電流計4は、電流取り出し線に設置されており、燃料電池スタック1から出力される電流の値を計測する。本実施形態の電流計4は、アノード電極1aと電源装置2との間に設置されている。電流計4により計測された電流の値(以下「出力電流値」とも呼ぶ)は、制御装置5に出力される。この出力電流値は、電気計測値の一例である。
【0015】
制御装置5は、図1の燃料電池システムの種々の動作を制御する。制御装置5の例は、プロセッサ、制御回路、コンピュータなどである。制御装置5は例えば、燃料電池スタック1の発電動作や換気ファン6の換気動作を制御したり、燃料電池システムの状態を示す情報を表示、保存、発信するなど、燃料電池システムに関する種々の情報を出力したりする。この情報は、燃料電池システム内の機器に出力してもよいし、燃料電池システム外の機器に出力してもよい。
【0016】
換気ファン6は、パッケージ8内の換気を行うために設けられている。換気ファン6の換気開始、換気停止、および換気風量は、制御装置5により制御される。
【0017】
風量検知部7は、換気ファン6の付近に設置されており、換気ファン6の換気風量を計測する。風量検知部7により計測された換気風量は、制御装置5に出力される。この換気風量は、換気計測値の一例である。本実施形態の制御装置5は、風量検知部7を利用して換気ファン6の換気風量を監視している。
【0018】
パッケージ8は、燃料電池スタック1と、電源装置2と、流量計3と、電流計4と、制御装置5と、換気ファン6と、風量検知部7とを収容している。本実施形態の制御装置5は、パッケージ8内の水素濃度が安全な濃度に維持されるように、換気ファン6の換気動作を制御し、かつ風量検知部7から出力された換気風量を監視している。パッケージ8内の水素濃度の維持の詳細については、後述する。
【0019】
図2は、第1実施形態の燃料電池システムの制御方法を説明するためのグラフである。
【0020】
図2の横軸は、図1の燃料電池システムにおける水素消費量を示している。水素消費量は、燃料電池スタック1により単位時間あたりに消費される水素の量を示す。水素消費量は、電流計4により計測された出力電流値から算出することが可能である。理由は、燃料電池スタック1が出力する電流の値が大きくなるほど、燃料電池スタック1が消費する水素の量が多くなるからである。本実施形態では、水素消費量は出力電流値に比例する。制御装置5は、電流計4により計測された出力電流値に基づいて、水素消費量の変化を検出することができる。
【0021】
図2の縦軸は、流量計3により計測された水素流量を示している。燃料電池システムにおける水素消費量が、出力電流値に関係するのに対し、水素流量は、燃料電池システムにおける水素供給量に関係している。水素供給量は、燃料電池スタック1に単位時間あたりに供給される水素の量を示す。水素供給量は、流量計3により計測された水素流量から算出することが可能である。理由は、流量計3を通過する水素の流量が大きくなるほど、燃料電池スタック1に供給される水素の量、すなわち、流量計3から燃料電池スタック1に向かう水素の量が多くなるからである。本実施形態では、水素供給量は水素流量に比例する。制御装置5は、流量計3により計測された水素流量に基づいて、水素供給量の変化を検出することができる。
【0022】
一般に、水素消費量は水素供給量に一致するはずである。理由は、燃料電池スタック1に供給される水素はすべて、燃料電池スタック1が消費するはずだからである。図2の直線Cは、水素消費量が水素供給量に一致する場合の水素消費量と水素流量との関係を示している。ここで、水素消費量は、電流計4により計測された出力電流値から算出され、水素供給量は、流量計3により計測された水素流量から算出される。
【0023】
一方、様々な理由で水素消費量が水素供給量に一致しない場合もある。例えば、燃料電池スタック1やその付近で水素の漏洩が生じている場合には、水素消費量は水素供給量よりも少なくなる。理由は、水素供給量の一部しか燃料電池スタック1で消費されず、残りの水素は漏洩しているからである。水素の漏洩が生じている場合の水素消費量と水素流量との関係を図2にて点で表すと、この点は直線Cの上側に位置することになる。
【0024】
図2は、直線Cと、後述する直線C1、C2とを示している。直線C1は直線Cの上側に位置し、直線C2は直線Cの下側に位置している。直線C1は、直線Cを縦方向に+Δだけ平行移動したものであり、直線C2は、直線Cを縦方向に−Δだけ平行移動したものである。ここでΔは正の定数である。図2はさらに、直線Cの上側の領域R1、R3と、直線Cの下側の領域R2、R4とを示している。ただし、領域R1は直線Cと直線C1との間に位置し、領域R3は直線C1の上側に位置している。また、領域R2は直線Cと直線C2との間に位置し、領域R4は直線C2の下側に位置している。水素の漏洩が生じている場合の水素消費量と水素流量との関係を図2にて点で表すと、この点は領域R1か領域R3内に位置することになる。
【0025】
ただし、流量計3や電流計4の計測値に誤差がある場合には、水素の漏洩が生じていなくても、上記の点が直線Cから外れることがある。加えて、流量計3や電流計4の計測値に誤差がある場合には、上記の点が、直線Cから領域R1、R3へと外れる可能性があるだけでなく、直線Cから領域R2、R4へと外れる可能性もある。また、流量計3や電流計4が故障しているなど、流量計3や電流計4に異常がある場合にも、上記の点が、直線Cから領域R1〜R4のいずれかへ外れる可能性がある。
【0026】
一般に、流量計3や電流計4の計測値には、所定の範囲の誤差、例えば最大で±10%程度の誤差がある。そのため、上記の点が直線Cから少しだけ外れている場合には、その原因はこれらの計測器の計測値の誤差である可能性が高い。この場合、燃料電池システムの運転を継続しても問題ないと考えられる。むしろ、この場合に運転を停止すると、燃料電池システムの利便性を損なう可能性が高い。一方、上記の点が直線Cから大きく外れている場合には、その原因は水素の漏洩や計測器の異常である可能性が高い。この場合、燃料電池システムの運転を停止する必要があると考えられる。そこで、制御装置5は、前者の場合には燃料電池スタック1の発電を継続し、後者の場合には燃料電池スタック1の発電を停止する。以下、このような制御の詳細を説明する。この制御は、図1の第1設定部5aや第1制御部5cにより行われる。
【0027】
(1)第1設定部5aと第1制御部5c
図2は、直線C上の点(X,Y)と、直線C1上の点(X,Y+Δ)と、直線C2上の点(X,Y−Δ)とを示している。水素消費量がXの場合、水素の漏洩、計測器の計測値の誤差、計測器の異常などがなければ、水素流量はYになるはずである。以下、制御装置5により行われる制御の詳細を、これらの点を例として説明する。
【0028】
制御装置5は、電流計4から出力電流値を受信すると、出力電流値から水素消費量を算出し、水素消費量に基づいて水素流量の上限および下限を設定する。この処理は、図1の第1設定部5aにより行われる。例えば、水素消費量がXの場合には、水素流量の上限がY+Δに設定され、水素流量の下限がY−Δに設定される。Yの値はXの値に依存することから、上限(Y+Δ)および下限(Y−Δ)は、水素消費量(X)に応じて変化する値となり、従って、出力電流値に応じて変化する値となる。上限は、直線C1上の点(X,Y+Δ)の水素流量に相当し、下限は、直線C2上の点(X,Y−Δ)の水素流量に相当する。
【0029】
制御装置5は、流量計3から水素流量を受信すると、この水素流量を上記の上限および下限と比較する。そして、制御装置5は、水素流量が上限および下限を逸脱していないと判断した場合には、燃料電池スタック1の発電を継続させる。一方、制御装置5は、水素流量が上限または下限を逸脱したと判断した場合には、燃料電池スタック1の発電を停止させる。この処理は、図1の第1制御部5cにより行われる。
【0030】
上記の例では、計測された水素流量がY−Δより大きくY+Δより小さい場合には、水素流量が上限および下限を逸脱していないと判断され、制御装置5は、燃料電池スタック1の発電を継続させる。この場合、計測された水素流量を図2にて点で示すと、この点は領域R1か領域R2内に位置する(または直線C上に位置する)。
【0031】
一方、計測された水素流量がY−Δより小さいかY+Δより大きい場合には、水素流量が上限または下限を逸脱したと判断され、制御装置5は、燃料電池スタック1の発電を停止させる。この場合、計測された水素流量を図2にて点で示すと、この点は領域R3か領域R4内に位置する。なお、直線C1や直線C2上の点は、上限および下限を逸脱していない点と扱っても、上限または下限を逸脱した点と扱ってもよい。
【0032】
流量計3や電流計4の計測値に、所定の範囲の誤差、例えば最大で±10%程度の誤差がある場合、Δの値は例えば、この10%という値に基づいて設定することが望ましい。例えば、水素消費量がXの場合において、水素の漏洩も計測器の異常もないが計測器の計測値の誤差が10%ある場合には、水素流量がY+ΔになるようにΔの値を設定する。これにより、水素の漏洩や計測器の異常がある場合に、燃料電池スタック1の発電を停止させることが可能となる。10%という誤差の値は例えば、計測器の取扱説明書に記載されている値を使用する。
【0033】
Δの値は、本実施形態では定数であるが、変数としてもよい。例えば、出力電流値が大きくなるほど、Δの値を大きくしてもよい。さらに、上限および下限はそれぞれ、本実施形態ではY+ΔとY−Δであるが、Y+Δ1とY−Δ2としてもよい(Δ1≠Δ2)。例えば、Δ1をΔ2よりも大きく設定してもよい。この場合、Δ1とΔ2は、ともに定数でもよいし、少なくとも一方が変数でもよい。ΔとΔ1は第1値の例であり、ΔとΔ2は第2値の例である。
【0034】
また、制御装置5は、上限および下限をどのような形で設定してもよい。例えば、制御装置5は、Δの値をあらかじめ保存しておき、XからYを算出し、YからY+ΔとY−Δを算出することで、上限および下限を設定してもよい。また、制御装置5は、直線C1、C2を表す関数やテーブルをあらかじめ保存しておき、関数やテーブルにXの値を適用することで上限および下限を設定してもよい。
【0035】
以上のように、制御装置5は、水素流量が上限および下限を逸脱していないと判断した場合には、燃料電池スタック1の発電を継続させる。上記の例では、計測された水素流量がY−Δより大きくY+Δより小さい場合には、水素流量が上限および下限を逸脱していないと判断され、制御装置5は、燃料電池スタック1の発電を継続させる。この場合、計測された水素流量を図2にて点で示すと、この点は領域R1か領域R2内に位置する(または直線C上に位置する)。燃料電池スタック1がこの状態で発電を行うことを「燃料電池スタック1が領域R1、R2内で発電を行う」と表現することにする。以下、この場合に制御装置5により行われる制御の詳細を説明する。この制御は、図1の第2設定部5bや第2制御部5dにより行われる。
【0036】
(2)第2設定部5bと第2制御部5d
燃料電池スタック1が領域R1、R2内で発電を行う場合にも、燃料電池スタック1やその付近で水素の漏洩が生じている可能性がある。一方、パッケージ8内の水素濃度は、安全性の観点から所定濃度未満に維持する必要がある。この所定濃度の例は、パッケージ8内の水素の多さが問題となり始める濃度である。本実施形態の燃料電池システムの運転中には、パッケージ8内の水素を希釈するために、換気ファン6によりパッケージ8内の換気を行っている。
【0037】
図2は、直線C1と直線C2との間の縦方向の差「2Δ」を示している。この2Δは、上述の上限(Y+Δ)と下限(Y−Δ)との差に相当する。計測器の計測値の誤差や計測器の異常がない場合において、流量計3により計測された水素流量がY+Δである場合には、流量Δだけの水素が漏洩している可能性がある。この場合、流量計3により計測された水素流量にΔの誤差があると考えることにすると、流量2Δだけの水素が漏洩している可能性がある。このように、2Δという値は、燃料電池スタック1等で漏洩している可能性のある水素の最大流量を表す。以下、2Δを最大漏洩流量と呼ぶ。
【0038】
水素の漏洩は、燃料電池システム内の様々な箇所で生じる可能性がある。水素の漏洩を流量計3からの水素流量を用いて検出する場合には、流量計3よりも下流の地点で生じた漏洩が検出されることとなる。そのため、流量計3により漏洩が検出されないケースを減らすためには、流量計3を水素供給系のなるべく上流の地点に設定することが望ましい。
【0039】
制御装置5は、風量検知部7により計測される換気風量と比較するために、換気風量の限界値(下限値)を設定する。この処理は、図1の第2設定部5bにより行われる。本実施形態の限界値は、燃料電池スタック1等で最大漏洩流量2Δに等しい流量の水素が漏洩した場合でもパッケージ8内の水素濃度を所定濃度未満に維持可能な換気風量である。そのため、本実施形態の限界値は、最大漏洩流量2Δに依存する値となる。
【0040】
例えば、換気風量が限界値より大きい場合には、燃料電池スタック1等で最大漏洩流量2Δに等しい流量の水素が漏洩した場合でも、パッケージ8内の水素濃度を所定濃度未満に維持することが可能である。この場合、燃料電池システムの運転を継続しても問題ないと考えられる。一方、換気風量が限界値より小さい場合には、燃料電池スタック1等で最大漏洩流量2Δに等しい流量の水素が漏洩した場合には、パッケージ8内の水素濃度を所定濃度未満に維持できない可能性がある。この場合、燃料電池システムの運転を停止する必要があると考えられる。
【0041】
なお、第2設定部5bは、この限界値をどのような形で設定してもよい。例えば、第2設定部5bは、最大漏洩流量2Δと限界値との関係を示す関数やテーブルをあらかじめ保存しておき、第1設定部5aからΔの値を取得し、関数やテーブルに2Δの値を適用することで限界値を設定してもよい。また、限界値の値は、水素濃度が過度に上昇する前に余裕をもって燃料電池システムの運転を停止するために、上述の値よりも大きく設定してもよい。
【0042】
制御装置5は、風量検知部7から換気風量を受信すると、この換気風量を上記の限界値と比較する。そして、制御装置5は、換気風量が限界値より大きいと判断した場合には、パッケージ8内の水素濃度を所定濃度未満に維持することができるため、燃料電池スタック1の発電を継続させる。一方、制御装置5は、換気風量が限界値より小さいと判断した場合には、パッケージ8内の水素濃度を所定濃度未満に維持できない可能性があるため、燃料電池スタック1の発電を停止させる。この処理は、図1の第2制御部5dにより行われる。なお、換気風量が限界値と等しいと判断した場合には、発電を継続させても発電を停止させてもよい。
【0043】
以上のように、制御装置5は、最大漏洩流量2Δに依存する限界値を設定し、換気風量を限界値と比較することでパッケージ8内の水素濃度の過度の上昇を抑制する。本実施形態では、換気風量が限界値より小さいという条件が成立すれば、水素濃度を所定濃度未満に維持できない可能性があると判断することができる。この条件によれば、水素の漏洩を検出するための閾値であるΔという値を通じて、最大の水素漏洩量を考慮した水素濃度制御を実現することができるし、風量検知部7により計測される換気風量を通じて、実際の換気ファン6の動作を考慮した水素濃度制御を実現することができる。よって、本実施形態によれば、適切な条件を使用して適切なサイズの換気ファン6により水素濃度制御を行うことが可能となる。
【0044】
なお、制御装置5は、水素流量が上限または下限を逸脱したと判断した場合には、燃料電池スタック1の発電を停止させる代わりに、燃料電池システムの動作を変更してもよいし、あるいは燃料電池システムに関する情報を出力してもよい。同様に、制御装置5は、換気風量が限界値より小さいと判断した場合には、燃料電池スタック1の発電を停止させる代わりに、燃料電池システムの動作を変更してもよいし、あるいは燃料電池システムに関する情報を出力してもよい。
【0045】
例えば、制御装置5は、水素流量が上限または下限を逸脱したと判断した場合には、燃料電池システムの安全性に関する警報を出力してもよい。警報の例は、「水素が漏洩している可能性があります」とのメッセージを、表示画面に表示することや、ユーザのメールアドレスに送信することなどである。警報の別の例は、燃料電池システムのインジケータの警報ランプを点灯させることなどである。
【0046】
また、制御装置5は、換気風量が限界値より小さいと判断した場合には、燃料電池スタック1の発電を停止させる代わりに、換気ファン6の換気風量を増加させてもよい。この場合、上述の限界値(以下「第1限界値」と呼ぶ)よりも大きい第2限界値を設定し、換気風量が第2限界値より小さい場合には換気ファン6の換気風量を増加させ、換気風量が第1限界値より小さい場合には燃料電池スタック1の発電を停止させてもよい。また、これらの場合に、上述の警報も併用してもよい。
【0047】
さらに、流量計3は、燃料電池スタック1に供給される水素に関する値を計測し、水素に関する計測値である水素計測値を出力する別の計測器に置き換えてもよい。このような水素計測値の例は、水素の圧力である。この場合、上述の説明中の「水素の流量」は、水素の圧力に置き換えられる。
【0048】
同様に、風量検知部7は、換気ファン6による換気に関する値を計測し、換気に関する計測値である換気計測値を出力する別の計測器に置き換えてもよい。このような換気計測値の例は、換気ファン6の回転数である。この場合、上述の説明中の「換気風量」は、回転数に置き換えられる。
【0049】
以上のように、本実施形態の燃料電池システムは、水素流量の上限および下限を、出力電流値に応じて変化する値に設定し、水素流量が上限または下限を逸脱した場合には、燃料電池スタック1の発電を停止させる。さらに、本実施形態の燃料電池システムは、換気風量の限界値を設定し、上記の逸脱が生じていないが換気風量が限界値よりも小さい場合には、燃料電池スタック1の発電を停止させる。よって、本実施形態によれば、換気により水素を希釈する場合の安全性を向上させることが可能となる。
【0050】
なお、本実施形態の燃料電池システムは、水素流量の上限と下限の両方を設定しているが、水素流量の上限と下限の一方のみを設定してもよい。例えば、水素流量の上限のみを設定してもよい。この場合、制御装置5は、水素流量が上限を逸脱していない場合には燃料電池スタック1の発電を継続させ、水素流量が上限を逸脱した場合には燃料電池スタック1の発電を停止させる。さらには、水素流量が上限を逸脱していない場合において、制御装置5は、換気風量が限界値よりも大きい場合には燃料電池スタック1の発電を継続させ、換気風量が限界値よりも小さい場合には燃料電池スタック1の発電を停止させる。
【0051】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規なシステムおよび方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明したシステムおよび方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。